特許第5794958号(P5794958)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794958
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】衝撃吸収床材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20150928BHJP
   E04F 15/18 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   E04F15/16 A
   E04F15/18 602F
   E04F15/18 602M
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-187328(P2012-187328)
(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公開番号】特開2014-43726(P2014-43726A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2013年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100162765
【弁理士】
【氏名又は名称】宇佐美 綾
(72)【発明者】
【氏名】西川 洋
(72)【発明者】
【氏名】島津 幸造
(72)【発明者】
【氏名】細野 俊彦
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−317548(JP,A)
【文献】 特開2001−132220(JP,A)
【文献】 特開2002−180599(JP,A)
【文献】 特開2010−255240(JP,A)
【文献】 特開平09−254290(JP,A)
【文献】 特開平10−211670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/16
E04F 15/18
E04F 15/20
E04F 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧層の裏面に衝撃吸収層を有する衝撃吸収床材であって、
前記衝撃吸収層が8.5〜13mmの厚みを有し、かつ発泡倍率が8〜15倍である発泡体からなること、
前記化粧層がガラス繊維織布または不織布からなる第1補強層を有すること、
前記衝撃吸収層層より下層にガラス繊維織布または不織布からなる第2補強層を有すること、
前記第1補強層及び前記第2補強層の強度がいずれも50〜500N/25mmであり、かつ、前記第1補強層の強度が前記第2補強層の強度より高いことを特徴とする、衝撃吸収床材。
【請求項2】
前記衝撃吸収層において、
ポリオレフィン系樹脂および化学発泡剤を含有する発泡体であること、
発泡のセル径が10〜1000μmであること、並びに
独立気泡率が95%以上であることを特徴とする、
請求項1に記載の衝撃吸収床材。
【請求項3】
衝撃吸収値(G値)が50〜80Gである、請求項1または2に記載の衝撃吸収床材。
【請求項4】
前記第2補強層より下層に、床下地に接着するための樹脂層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の衝撃吸収床材。
【請求項5】
樹脂タイルである、請求項1〜4のいずれかに記載の衝撃吸収床材。
【請求項6】
前記衝撃吸収層が8.5〜10mmの厚みを有する、請求項1〜5のいずれかに記載の衝撃吸収床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に優れた衝撃吸収性を有する衝撃吸収床材に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでにも、建築物に用いられる床材として、衝撃を吸収するような床材の開発は色々と行われてきた。
【0003】
しかし、高齢者、子供、障害者などが転倒したときに床材からの衝撃で怪我をする事故は依然として起こっており、まだ充分に防止できていないのが現状である。特に、近年の高齢化社会を鑑みれば、これまで一般的とされている衝撃吸収性では充分ではないという懸念があった。
【0004】
これまでに、衝撃を吸収するのに優れた床材として、衝撃吸収層として衝撃吸収層を有する床材が報告されており、例えば、特定の発泡剤と熱可塑性樹脂を含む、該熱可塑性樹脂を1.3〜5.0倍に発泡させてなる発泡形成体を、厚さ2〜30mmのシート状発泡成形体とし、それを含んだ床材等が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−291163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の床材では衝撃吸収性の効果はいまだ十分とはいえず、より優れた衝撃吸収性を有する製品が要望されているのが現状である。
【0007】
また、衝撃吸収性を向上させるには衝撃吸収層の厚みをある程度大きくしなればならないことは知られていたが、衝撃吸収層の厚みを例えば10mm程度に厚くすると、衝撃吸収層と化粧層の線膨張率の違いにより、床材自体に反りが発生することが問題となっていた。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、優れた衝撃吸収性を有し、かつ反りを起こさない寸法安定性にも優れた衝撃吸収床材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討した結果、下記構成を有する衝撃吸収床材によって、前記課題が解決することを見出し、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることによって本発明を完成した。
【0010】
本発明の一態様に係る衝撃吸収床材は、化粧層の裏面に発泡体からなる衝撃吸収層を有する衝撃吸収床材であって、前記衝撃吸収層が6〜15mmの厚みを有し、かつ発泡倍率が7〜20倍である発泡体からなること、前記化粧層がガラス繊維織布または不織布からなる第1補強層を有すること、並びに前記衝撃吸収層より下層にガラス繊維織布または不織布からなる第2補強層を有することを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、非常に優れた衝撃吸収性を有する衝撃吸収床材を提供することができる。よって、前記衝撃吸収床材を用いることにより、集合住宅、特に高齢者ケア施設および児童福祉施設などにおける転倒による怪我のリスクを低減することができる。また、前記衝撃吸収床材は、衝撃吸収層の両側に補強層を有しているため、温度や湿度などによる寸法変化が少なく、反りなどを起こさないため、寸法安定性にも優れている。
【0012】
また、前記衝撃吸収床材において、前記衝撃吸収層が、ポリオレフィン系樹脂および化学発泡剤を含有していること、前記衝撃吸収層の発泡のセル径が10〜1000μmであること、並びに前記衝撃吸収層の独立気泡率が95%以上であることが好ましい。これにより、本発明の前記効果がより確実に得られる。
【0013】
また、前記衝撃吸収床材は、JIS A 6519「体育館用鋼製下地構成材」床の硬さ試験における最大加速度(G値)が50〜80Gであることが好ましい。
【0014】
さらに、前記衝撃吸収床材が、前記第2補強層より下層に、床下地に接着するためのポリ塩化ビニル樹脂層を有していることが好ましい。このような構成により、特別な接着剤を必要とせず、従来のビニル床タイル用接着剤を使用して、床下地に接着することが可能である。
【0015】
また、前記衝撃吸収床材が樹脂タイルである場合に、本発明の効果はより発揮されると考えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、非常に優れた衝撃吸収性と、優れた寸法安定性を併せ持つ衝撃吸収床材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態における衝撃吸収床材の断面図を示す概略図である。
図2図2は、本発明の一実施形態における衝撃吸収床材の化粧層、衝撃吸収層、それ以外の層にそれぞれ分けて示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
<床材>
本実施態様に係る床材は、化粧層の裏面に発泡体からなる衝撃吸収層を有する衝撃吸収床材であって、前記衝撃吸収層が6〜15mmの厚みを有し、かつ発泡倍率が7〜20倍である発泡体からなること、前記化粧層がガラス繊維織布または不織布からなる第1補強層を有すること、並びに前記衝撃吸収層より下層にガラス繊維織布または不織布からなる第2補強層を有することを特徴としている。
【0020】
本実施形態に係る床材は、上記構成を満たせば、他の構成に特に制限はないが、その具体的な実施形態の例を、図面等を用いて説明する。
【0021】
例えば、具体的には、本実施形態の床材は、図1に示すように、化粧層4の裏面に、衝撃吸収層3と、第2補強層2とが積層されており、化粧層4が第1補強層1を有する床材である。第2補強層の下層には、必須ではないが、後述する樹脂層5を設けてもよい。
【0022】
以下、床材を構成する各層について説明する。
【0023】
本実施形態における化粧層としては、通常の床材に用いられ得るような、基材に印刷層や表層などが積層されたものであれば特に限定なく用いることができる。例えば、クッションフロア、ビニル床シート、ビニル床タイル、置敷ビニル床タイル、タイルカーペットなど様々なタイプの化粧層を用いることができ、その厚みも特に限定はされない。
【0024】
より具体的には、例えば、図2の上部に示すように、表層(クリアフィルムなど)6、印刷層7、着色シート8、第1補強層1、基材層9を積層した化粧層等を用いてもよい。
【0025】
本実施形態における第1補強層は、化粧層中に設けてあれば、図2で示す位置に限らず、化粧層におけるその他の層間に設けてもよい。好ましくは、着色シート層と基材層との間に設けることにより、化粧層自体の反り発生がなく、衝撃吸収層と貼り合せる際の圧着ムラがなくなるという利点がある。
【0026】
第1補強層はガラス繊維織布または不織布からなる層である。本実施形態において、前記織布又は不織布の目付量は、例えば、10〜800g/m程度であり、より好ましくは10〜600g/m程度である。前記目付量が10g/m未満となると、十分な寸法安定性や反り防止効果を得ることができないおそれがあり、また、目付量が800g/mを超えると剛性が増し施工性が低下するため好ましくない。また、その厚みとしては、通常、0.03〜0.70mm程度であり、好ましくは0.05〜0.50mm程度である。第1補強層の厚みが、0.03mm未満となると、充分な寸法安定性や反り防止効果を得ることができないおそれがあり、0.70mmを超えると剛性が増し施工性が低下するため好ましくない。さらに、第1補強層の強度は、50〜500N/25mm程度であることが好ましい。強度が50N/25mm未満となると、化粧層の熱膨張率が大きくなると共に、発泡層の熱伸縮を抑える効果が弱くなり、製品の反り発生につながり、また500N/25mmを超えると著しい価格上昇となり好ましくない。
【0027】
このような第1補強層を設けることにより、化粧層の熱膨張率が低下して寸法安定性が向上するため、衝撃吸収層の寸法安定性が不十分であっても、床材そのものの寸法安定性が向上するという利点がある。
【0028】
本実施形態における衝撃吸収層は、6〜15mmの厚みを有すること、及び、発泡倍率が7〜20倍である発泡体からなることを特徴とする。
【0029】
前記発泡体における発泡倍率は7〜20倍であればよいが、より好ましくは、8〜15倍である。発泡倍率が7倍未満であると、衝撃吸収性が低下し、また20倍を超えると、荷重による垂直方向の変位量が大きくなるためへこみ量が大きくなり、車椅子の走行性なども著しく低下するおそれがある。
【0030】
さらに、前記発泡体からなる衝撃吸収層の厚みは6〜15mmであるが、6〜10mm程度であることがより好ましい。前記厚みが6mm未満となると衝撃吸収性が低下し、15mmを超えると施工性が悪くなり好ましくない。
【0031】
前記発泡体としては、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂に化学発泡剤を添加して得られる発泡体が用いられる。
【0032】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの樹脂が挙げられる。
【0033】
また、添加する化学発泡剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。前記発泡体には、必要に応じて、化学発泡剤以外の添加剤、例えば、架橋剤などが含まれていてもよい。
【0034】
さらに、前記発泡体における、発泡のセル径は10〜1000μm程度であることが好ましい。10μm未満だと、衝撃吸収効果がなく、1000μmを超えると荷重による垂直方向の変位量が大きくなると同時に、復元性も悪くなりへこみ跡が残りやすくなるおそれがある。
【0035】
また、前記発泡体における、独立気泡率は95%以上であることが好ましい。独立気泡率が95%未満だと、荷重による垂直方向の変位量が大きくなるためへこみ量が大きくなるという観点からあまり好ましくない。
【0036】
上述したような発泡体の製造方法については特に限定はないが、例えば、特開平08−001700号公報などに記載の方法によって製造することが可能である。
【0037】
本実施形態における第2補強層は、ガラス繊維織布または不織布からなる層である。第1補強層と第2補強層は同じ材質であってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
本実施形態において、第2補強層に用いるガラス繊維織布又は不織布の目付量は、例えば、10〜800g/m程度であり、より好ましくは10〜600g/m程度である。前記目付量が10g/m未満となると、十分な寸法安定性や反り防止効果を得ることができないおそれがあり、また、目付量が800g/mを超えると剛性が増し施工性が低下するため好ましくない。また、その厚みとしては、通常、0.03〜0.70mm程度であり、好ましくは0.05〜0.50mm程度である。第2補強層の厚みが、0.03mm未満となると、充分な寸法安定性や反り防止効果を得ることができないおそれがあり、0.70mmを超えると剛性が増し施工性が低下するため好ましくない。さらに、第2補強層の強度は、第1補強層と同じく、50〜500N/25mm程度であることが好ましい。強度が50N/25mm未満となると、ベース層の熱膨張率が大きくなると共に、発泡層の熱伸縮を抑える効果が弱くなり、製品の反り発生につながり、また500N/25mmを超えると著しい価格上昇となり好ましくない。
【0039】
第2補強層は、衝撃吸収層より下層に位置していれば、その積層位置については特に限定はされない。例えば、図1に示すように、第2補強層2を衝撃吸収層3と後述の樹脂層5との間に設けることができる。
【0040】
このような第2補強層を設けることにより、衝撃吸収層に厚みを持たせても、温度や湿度による寸法変化が起こりにくくし、反り防止となる。よって、本実施形態の床材は寸法安定性においても優れたものである。
【0041】
本実施形態の衝撃吸収床材には、上述した層以外に、例えば、さらに樹脂層を設けてもよい。図1に示すように、例えば、樹脂層5を本実施形態の床材の最下層に設けることができ、このような樹脂層は、衝撃吸収床材を床下地に接着する際に有用となる樹脂を使用することが望ましい。
【0042】
樹脂層としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂製シート、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂製シート、ゴム製シートなどを用いることができ、その厚みは、特に限定はないが、例えば、0.10mm〜2.00mm程度である。
【0043】
この樹脂層と上述の第2補強層を合わせてベース層としてもよい。
【0044】
上述したような第1補強層を含む化粧層、衝撃吸収層および第2補強層等を積層する方法については、特に限定はなく、通常用いられている方法によって積層することができる。例えば、化粧層と衝撃吸収層との間及び衝撃吸収層と第2補強層との間にそれぞれ接着層を設けたり、あるいは、各層それぞれを適切な順にて接着剤で貼り合わせて積層することもできるが、図2に示すように第1補強層1等を含む化粧層4や、第2補強層2に樹脂層5を貼り合わせたベース層をあらかじめ用意し、それぞれを衝撃吸収層3に、例えば、衝撃吸収層3の両面に接着剤を塗布して、化粧層及びベース層を圧着し、養生するなどの手段により積層することもできる。本実施形態において、好ましく使用される接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤等が挙げられる。
【0045】
本実施形態の衝撃吸収床材は、JIS A 6519の床の硬さ試験に準じて測定した最大加速度(G値)において、50〜80Gという非常に優れた値を示す。
【0046】
本実施形態の衝撃吸収床材を床下地に接着させる手段としては、特に限定はなく、例えば、JIS A 5536 に規定されるビニル系床材用の接着剤を塗布して圧着することによって、床下地に接着することができる。
【0047】
また、衝撃吸収層の厚みが厚いため、床材の切断面にあたる端部が荷重により大きくへこむことがある。このへこみを少なくするため、当接する切断面を接着することが好ましい。接着剤は、衝撃吸収層3と化粧層などを接着した接着剤を使用できる。施工は、第1の床材を床下地に接着した後、この第1の床材の切断面に接着剤を塗布し、次に第2の床材の切断面を第1の床材の切断面に当接することができる。
【実施例】
【0048】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0049】
[実施例1]
以下に示す方法により床材を製造した。
【0050】
化粧層として、ポリ塩化ビニル系樹脂を主体とし、第1補強層(ガラスクロス、厚み:0.1mm、目付量:50g/m)を有する薄形置敷きビニル床タイル(「テゴラージュ」(製品名)、フクビ化学工業株式会社製、厚み:3.0mm)を用い、衝撃吸収層として、独立気泡型ポリエチレン発泡体(厚み:8.5mm)を用い、第2補強層として、ガラス繊維不織布(厚み:0.15mm、目付量:30g/m)を用い、さらに樹脂層としてポリ塩化ビニルシート(厚み0.35mm)を用いた。第2補強層と樹脂層は、第2補強層の裏面に樹脂層を熱圧着によって積層することによってベース層(厚み0.5mm)とした。
【0051】
化粧層と衝撃吸収層、そして、衝撃吸収層とベース層は、それぞれ、接着層(ウレタン樹脂系接着剤、「KU570」(製品名)、コニシ株式会社製)を設けて、接着した。
【0052】
このようにして、実施例1に係る床材を製造した。なお、発泡体の各物性については、下記表1に示す。
【0053】
[実施例2]
衝撃吸収層の独立気泡型ポリエチレン発泡体の厚みを6mmにした以外は、実施例1と同様にして試料を製造した。
【0054】
[実施例3]
衝撃吸収層として、発泡倍率が7倍の独立気泡型ポリエチレン発泡体(厚み:13mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして試料を製造した。
【0055】
[比較例1]
第2補強層および樹脂層を設けずに床材を作成した以外は、実施例1と同様にして試料を製造した。
【0056】
[比較例2]
さらに化粧層において第1補強層を設けなかった以外は、比較例1と同様にして試料を製造した。
【0057】
[比較例3]
衝撃吸収層として、発泡倍率が5倍の独立気泡型ポリエチレン発泡体(厚み:8.5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして試料を製造した。
【0058】
[比較例4]
衝撃吸収層の独立気泡型ポリエチレン発泡体の厚みを5mmにした以外は、実施例1と同様にして試料を製造した。
【0059】
[比較例5]
衝撃吸収層を連続気泡型ポリエチレン発泡体の厚みを3mmにした以外は、実施例1と同様にして試料を製造した。
【0060】
(評価)
上述のようにして得られた試料(実施例1〜3および比較例1〜5)について、以下の評価試験を行った。
【0061】
(反り試験)
5℃、23℃及び40℃の条件下で12時間以上静置し、反りを確認・測定した。評価基準は以下の通りである:
○:いずれの温度条件下においても、反り1.0mm未満
×:いずれかの温度条件下において、反り1.0mm以上
(衝撃吸収性(G値))
JIS A6519に準拠して行った。
【0062】
以上の評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
[考察]
表1からわかるように、本発明に関する床材を用いた試料では、衝撃吸収性(G値)はいずれも80G以下という非常に優れたレベルであった。また、反りについてもいずれの実施例においても、ほとんど起こらなかった。
【0065】
これに対し、第2補強層を有さない比較例1や第1補強層と第2補強層の両方を有さない比較例2では、反りが起こってしまい、実用品として使用が困難な状態となった。そして、衝撃吸収層の厚み、発泡倍率、独立気泡率が本発明の範囲から外れる比較例3〜5では、本発明に関する床材のような高い衝撃吸収性を得ることはできなかった。
【0066】
以上より、本発明の床材は衝撃吸収性に非常に優れており、かつ寸法安定性にも優れていることがわかった。
【符号の説明】
【0067】
1 第1補強層
2 第2補強層
3 衝撃吸収層
4 化粧層
5 樹脂層
6 表層
7 印刷層
8 着色シート
9 基材層
図1
図2