(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794974
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】太陽電池内のトンネル接合の高濃度ドープ層
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0687 20120101AFI20150928BHJP
H01L 31/0693 20120101ALI20150928BHJP
【FI】
H01L31/06 310
H01L31/06 320
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-500800(P2012-500800)
(86)(22)【出願日】2010年2月4日
(65)【公表番号】特表2012-521090(P2012-521090A)
(43)【公表日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】US2010023171
(87)【国際公開番号】WO2010107522
(87)【国際公開日】20100923
【審査請求日】2013年2月4日
(31)【優先権主張番号】12/404,795
(32)【優先日】2009年3月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】フェッツァー, クリストファー エム.
【審査官】
井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭64−037060(JP,A)
【文献】
特開平09−082995(JP,A)
【文献】
RAGAY F W,APPLICATION OF δ-DOPING IN GAAS TUNNEL JUNCTIONS,ELECTRONICS LETTERS,英国,IEE STEVENAGE,1994年 1月 6日,V30 N1,P86-87
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1p/n型の半導体材料のトンネルダイオード(302)の第1層(306)と;
前記第1p/n型の半導体材料と同様のp/n型のドーピングを有するデルタドープ層(404)であって、前記第1層(306)よりも実質的に薄く、前記第1層(306)のドーパント濃度よりも実質的に高いドーパント濃度に達しており、且つ前記第1層(306)の上に堆積している前記デルタドープ層(404)と;
前記トンネルダイオード(302)の前記第1層(306)、及び前記デルタドープ層(404)と相補の関係にある第2p/n型の半導体材料の前記トンネルダイオード層(302)の第2層(304)であって、前記デルタドープ層(404)上にエピタキシャル成長させた前記第2層(304)と;
前記トンネルダイオード(302)によって電気的に接続された少なくとも2つの光起電性のサブセル(102、104)と
を備え、さらに前記デルタドープ層(404)と前記第2層(304)との間に、前記第1p/n型の半導体材料の追加層を更に備え、前記デルタドープ層(404)と第2層(304)との間に、前記追加層以外の層を更に備えない、多接合太陽電池(400)。
【請求項2】
第1p/n型の半導体材料のトンネルダイオード(302)の第1層(306)と;
前記第1p/n型の半導体材料と相補の関係にある第2p/n型のドーピングを有するデルタドープ層(404)であって、前記第1層(306)よりも実質的に薄く、前記第1層(306)のドーパント濃度よりも実質的に高いドーパント濃度に達しており、且つ前記第1層(306)の上に堆積している前記デルタドープ層(404)と;
前記第2p/n型の半導体材料の前記トンネルダイオード(302)の第2層(304)であって、前記デルタドープ層(404)上にエピタキシャル成長させた前記第2層(304)と;
前記トンネルダイオード(302)によって電気的に接続された少なくとも2つの光起電性のサブセル(102、104)と
を備え、さらに前記第1層(306)と前記デルタドープ層(404)との間に、前記第2p/n型の半導体材料の追加層を更に備え、第1層(306)と前記デルタドープ層(404)との間に、前記追加層以外の層を更に備えない、多接合太陽電池(400)。
【請求項3】
基板(106)と;
前記基板(106)の上にエピタキシャル成長させた第1の光起電性のサブセル(104)と;
前記トンネルダイオード(302)の前記第2層(304)の上にエピタキシャル成長させた第2の光起電性のサブセル(102)と
を更に備え;前記トンネルダイオード(302)の前記第1層(306)が、第1の光起電性のサブセル(104)の上にエピタキシャル成長させたものである、請求項1に記載の多接合太陽電池。
【請求項4】
複数の光起電性のサブセル(104、102)を更に備え、前記複数の光起電性のサブセルの各々が、デルタドープ層(404)を有するトンネルダイオード(302)によって分離されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の多接合太陽電池。
【請求項5】
前記デルタドープ層(404)内の前記ドーパント濃度が前記第1層(306)の前記ドーパント濃度の略10倍高い、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の多接合太陽電池。
【請求項6】
前記デルタドープ層(404)の前記ドーパント濃度が1020cm−3よりも高い、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の多接合太陽電池。
【請求項7】
前記デルタドープ層(404)の幅が略20オングストロームである、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の多接合太陽電池。
【請求項8】
前記トンネルダイオード(302)が、前記第1の光起電性のサブセル(104)と等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセル(104)よりも大きいバンドギャップを有する材料を含んでいる、請求項3に記載の多接合太陽電池。
【請求項9】
前記トンネルダイオード(302)が、砒化ガリウム、砒化ガリウムインジウム、リン化ガリウムインジウム、及び砒化アルミニウムガリウムから成るグループから選択される半導体材料を含んでいる、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の多接合太陽電池。
【請求項10】
前記第1の光起電性のサブセル(104)及び前記第2の光起電性のサブセル(102)がn−on−pサブセルであり;
前記第1層(306)、第2層(304)及び前記デルタドープ層(404)の第1または第2p/n型がn型であるときは、ドープ材料がIV族又はVI族の元素から選択されたドナー型の半導体材料であり、p型であるときはドープ材料がII族、IV族、又はV族の元素から選択されたアクセプタ型の半導体材料である、請求項3に記載の多接合太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において記載される主題の実施形態は概して、隣接する太陽電池の間の相互接続トンネル接合の電気特性を改良する方法、及び改良された相互接続トンネル接合を有する多接合太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
多接合太陽電池は、特定の向きに配置される電流発生p−n接合ダイオード又はサブセルの積層体である。電気的に直列接続される場合、1つのサブセル内で発生する電流は、直列に並んだ次のサブセルに流れる。サブセルの間の相互接続トンネル接合の電気特性は、多接合太陽電池の総合効率に影響する。
【発明の概要】
【0003】
提供されるのは、多接合太陽電池のサブセル間の相互接続トンネル接合の電気特性を改良する方法、及び改良された相互接続トンネル接合を有する多接合太陽電池である。種々の実施形態では、当該方法、及び改良された相互接続トンネル接合は、狭いデルタドープ層を当該相互接続トンネル接合内に備え、当該デルタドープ層によって、多接合太陽電池のサブセル間の相互接続トンネル接合の電流処理容量を高めることができる。
【0004】
本開示の一つの態様では、多接合太陽電池が提供され、前記多接合太陽電池は:第1p/n型の半導体材料のトンネルダイオードの第1層と;前記第1p/n型の半導体材料と同様のp/n型のドーピングを有するデルタドープ層であって、前記第1層よりも実質的に薄く、前記第1層のドーパント濃度よりも実質的に高いドーパント濃度に達しており、前記第1層の上に堆積している前記デルタドープ層と;前記トンネルダイオードの前記第1層、及び前記デルタドープ層と相補の関係にある第2p/n型の半導体材料の前記トンネルダイオードの第2層であって、前記デルタドープ層の上にエピタキシャル成長させた前記第2層と;前記トンネルダイオードによって電気的に接続される少なくとも2つの光起電性のサブセルとを備える。前記多接合太陽電池は更に、前記第1p/n型の半導体材料の追加層を、前記デルタドープ層と前記第2層との間に備えることができる。前記多接合太陽電池の前記デルタドープ層は、相補の関係にある前記第2p/n型の半導体材料と同様のp/n型のドーピングを有することができる。前記多接合太陽電池は更に:相補の関係にある前記第2p/n型の半導体材料の追加層を、前記第1層と前記デルタドープ層との間に備えることができる。前記多接合太陽電池は更に、基板と;前記基板の上にエピタキシャル成長させる第1の光起電性のサブセルと;前記トンネルダイオードの前記第2層の上にエピタキシャル成長させる第2の光起電性のサブセルとを備えることができ;前記トンネルダイオードの前記第1層は、第1の光起電性のサブセルの上に成長させる。前記多接合太陽電池は更に、複数の光起電性のサブセルを備えることができ、前記複数の光起電性のサブセルの各々は、デルタドープ層を有するトンネルダイオードによって分離される。
【0005】
前記デルタドープ層内の前記ドーパント濃度は、前記第1層の前記ドーパント濃度の略10倍高い。前記デルタドープ層の前記ドーパント濃度は10
20cm
−3よりも高い。前記デルタドープ層の幅は略20オングストロームである。 前記第1の光起電性のサブセルは、前記第2の光起電性のサブセルよりも小さいバンドギャップを有する半導体材料を含むことができる。前記第1の光起電性のサブセルは砒化ガリウムインジウムを含み、前記第2の光起電性のサブセルはリン化ガリウムインジウムを含む。前記トンネルダイオードは、前記第1の光起電性のサブセルと等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセルよりも大きいバンドギャップを有する材料を含む。前記多接合太陽電池の前記トンネルダイオードは、砒化ガリウム、砒化ガリウムインジウム、リン化ガリウムインジウム、及び砒化アルミニウムガリウムから成るグループから選択される半導体材料を含む。前記第1の光起電性のサブセル及び前記第2の光起電性のサブセルはn−on−pサブセルであり;前記第1層及び前記デルタドープ層は、II族、IV族、又はV族のn型ドープ半導体材料であり、前記第2層は、IV族又はVI族のp型ドープ半導体材料である。
【0006】
別の態様では、デルタドープ相互接続トンネル接合を形成する方法が提供され、前記方法は:トンネルダイオードの第1層をエピタキシャル成長させる工程であって、前記第1層に第1ドーパントを使用する工程と;前記トンネルダイオードの前記第1層をエピタキシャル成長させる前記工程を中断する工程と;前記第1ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型の第2ドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上に堆積させる工程であって、前記デルタドープ層内の前記第2ドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第1層内の前記第1ドーパントの濃度よりも実質的に高いドーパント濃度に達する工程と;前記トンネルダイオードの第2層をエピタキシャル成長させる工程であって、前記第2層に、前記第1ドーパント及び前記第2ドーパントと相補の関係にあるアクセプタ/ドナー型の第3ドーパントを使用する工程とを含む。デルタドープ相互接続トンネル接合を形成する前記方法は更に:前記堆積させる工程の後に、追加層を、前記第1ドーパントを使用してエピタキシャル成長させる工程を含む。前記方法は更に:基板を用意する工程と;第1の光起電性のサブセルをエピタキシャル成長させる工程と;第2の光起電性のサブセルをエピタキシャル成長させる工程とを含み;前記第1の光起電性のサブセルは前記基板の上に成長させ、前記トンネルダイオードの前記第1層は前記第1の光起電性のサブセルの上に成長させ、前記第2の光起電性のサブセルは、前記トンネルダイオードの前記第2層の上に成長させる。前記第1の光起電性のサブセルは、前記第2の光起電性のサブセルよりも小さいバンドギャップを有する材料を含む。前記トンネルダイオードは、前記第1の光起電性のサブセルと等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセルよりも大きいバンドギャップを有する材料を含む。前記デルタドープ層内の前記ドーパント濃度は、前記トンネルダイオードの前記第1層内の前記第1ドーパントの前記濃度の略10倍高い。前記デルタドープ層は、10
20cm
−3よりも高いドーパント濃度を有する。前記デルタドープ層の幅は略20オングストロームである。前記第1ドーパント及び前記第2ドーパントは、アクセプタ型の、且つII族、IV族、又はV族のドーパントであり、前記第3ドーパントは、ドナー型の、且つIV族又はVI族のドーパントである。
【0007】
別の態様では、プロセスにより形成されるデルタドープ層を有する相互接続トンネル接合を有する多接合太陽電池が提供され、前記プロセスは:(a)基板を用意する工程と;(b)第1の光起電性のサブセルを前記基板の上にエピタキシャル成長させる工程と;(c)トンネルダイオードの第1層を、前記第1の光起電性のサブセルの上にエピタキシャル成長させる工程であって、前記第1層に、前記第1の光起電性のサブセルの接合部分のアクセプタ/ドナー型のドーパントを使用する工程と;(d)前記トンネルダイオードの前記第1層をエピタキシャル成長させる前記工程を中断する工程と;(e)前記ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型のデルタドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上に堆積させる工程であって、前記デルタドープ層内の前記デルタドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第1層内の前記ドーパントの濃度よりも実質的に高いデルタドーパント濃度に達する工程と;(f)前記トンネルダイオードの第2層を前記デルタドープ層の上にエピタキシャル成長させる工程であって、前記第2層に、前記トンネルダイオードの前記第1層の前記ドーパントと相補の関係にある異なるアクセプタ/ドナー型のドーパントを使用する工程とを含む。前記多接合太陽電池は更に:(g)前記デルタドープ層を堆積させる前記工程(e)の後で、且つ前記第2層をエピタキシャル成長させる前記工程(f)の前に、前記第1層の追加部分を、前記ドーパントを使用してエピタキシャル成長させる工程を含む。前記工程(e)は:(e)相補の関係にある前記ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型のデルタドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上に堆積させる工程であって、前記デルタドープ層内の前記デルタドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第2層内の相補の関係にある前記ドーパントの濃度よりも実質的に高いデルタドーパント濃度に達する工程である。多接合太陽電池が提供され、前記工程(d)、(e)、及び(f)は:(d)前記トンネルダイオードの第2層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上にエピタキシャル成長させる工程であって、前記第2層に、前記トンネルダイオードの前記第1層の前記ドーパントと相補の関係にある異なるアクセプタ/ドナー型のドーパントを使用する工程であり;(e)前記トンネルダイオードの前記第2層をエピタキシャル成長させる前記工程を中断する工程であり;(f)相補の関係にある前記ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型のデルタドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第2層の上に堆積させる工程であって、前記デルタドープ層内の前記デルタドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第2層内の相補の関係にある前記ドーパントの濃度よりも実質的に高いデルタドーパント濃度に達する工程である。前記第1の光起電性のサブセルは、前記第2の光起電性のサブセルよりも小さいバンドギャップを有する半導体材料を含む。多接合太陽電池が提供され、前記トンネルダイオードは、前記第1の光起電性のサブセルと等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセルよりも大きいバンドギャップを有する半導体材料を含む。前記デルタドープ層内の多接合太陽電池デルタドーパント濃度は、前記トンネルダイオードの前記第1層内の前記ドーパントの前記濃度の略10倍高い。前記デルタドープ層は、10
20cm
−3を上回るデルタドーパント濃度を有する。前記デルタドープ層の幅は略20オングストロームである。前記ドーパントは、アクセプタ型の、且つII族、IV族、又はV族のドーパントであり、相補の関係にある前記ドーパントは、ドナー型の、且つIV族又はVI族のドーパントである。
【0008】
説明される特徴、機能、及び利点は、本発明の種々の実施形態において個々に達成することができる、又は更に他の実施形態において組み合わせることができ、これらの実施形態に関する更なる詳細は、以下の記述及び図面を参照しながら理解することができる。
【0009】
添付の図は、太陽電池内のトンネル接合に対応する高濃度ドープ層に関するシステム及び方法の種々の実施形態を描いている。各図に関する簡単な説明は、以下に与えられる。各図において同じ参照番号が付された構成要素は、同じ、又は機能的に同様の構成要素を指している。更に、参照番号の最も左側の桁は、参照番号が初めて現われる図面を指している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、太陽電池システム及び方法におけるトンネル接合に対応する高濃度ドープ層の一つの実施形態における多接合太陽電池の2つのサブセルのバンドギャップを示している。
【
図2】
図2は、太陽電池システム及び方法におけるトンネル接合に対応する高濃度ドープ層の一つの実施形態における多接合太陽電池の2つのサブセルの間の逆バイアス接合を示している。
【
図3】
図3は、太陽電池システム及び方法におけるトンネル接合に対応する高濃度ドープ層の一つの実施形態における多接合太陽電池の2つのサブセルの間の相互接続トンネル接合を示している。
【
図4】
図4は、多接合太陽電池の2つのサブセルの間のデルタドープ層を、太陽電池システム及び方法におけるトンネル接合に対応する高濃度ドープ層内に有する相互接続トンネル接合を示している。
【
図5】
図5は、デルタドープ層及び対応するドーパント濃度を、太陽電池システム及び方法におけるトンネル接合に対応する一つの実施形態の高濃度ドープ層内に有する相互接続トンネル接合を示している。
【
図6】
図6は、デルタドープ層を有する相互接続トンネル接合を、太陽電池システム及び方法におけるトンネル接合に対応する一つの実施形態の高濃度ドープ層内に有する多接合太陽電池を形成する製造プロセスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な記述は、本質的に単なる例示に過ぎず、且つ本発明の実施形態を、又はこのような実施形態の適用及び使用を限定するものではない。更に、前掲の技術分野、背景、要約、又は以下の詳細な記述に提示されるいずれの明示的な理論又は暗示的な理論にも拘束されるものではない。
【0012】
多接合太陽電池は、順に重ねた多数のサブセルにより構成され、各サブセルは、電流発生p−n接合ダイオードである。光がサブセルに入射すると、バンドギャップEgのエネルギー、又はバンドギャップEgに近いエネルギーを有する光子がp−n接合に吸収され、p−n接合により電流に変換される。バンドギャップよりも小さいエネルギーを有する光子は、サブセルを通って、下部サブセルに流れ込むのに対し、バンドギャップよりも大きいエネルギーを有する光子は普通、余剰熱に変換される。比較的大きいバンドギャップを有する最上部サブセル、及び連続的に小さくなるバンドギャップを有する下部サブセルを使用することにより、光の利用可能なスペクトルのうちのより広いスペクトルを各サブセルにおいて利用して電気に変換することができる。各サブセル内の材料を選択することにより、下部サブセルにおいて利用することができるエネルギーを決定することができる。
【0013】
例示のために、且つ説明を簡単にするために、以下の図及び記述では、2つのセルを有する多接合太陽電池について記載するが、本明細書において記載されるシステム及び方法は、1個、2個、3個、又は多数個のセルを有する太陽電池に同じように適用することができる。2セル型多接合太陽電池への限定を暗に意味するものではない、又は意図するものではない。
【0014】
次に、
図1を参照するに、一つの非限定的な例では、リン化ガリウムインジウム(GaInP)から成る上部セル102と、砒化ガリウムインジウム(GaInAs)から成る下部セル104とを有する2セル型太陽電池100が示される。これらのセル102、104は、ゲルマニウム(Ge)基板を開始材料としてエピタキシャル成長させ、p型GaInAs層、n型GaInAs層、及びn型GaInP層を堆積させる。入射光108は、2セル型太陽電池100の上部セル102に誘導される。光108の一部は反射120される。光108の一部は上部セル102に入射し、吸収され、熱110に変換され、特に上部セル102のGaInP材料のバンドギャップEg>1.87eVよりも大きいエネルギーを有する光108の高エネルギー光子112が吸収され、熱に変換される。上部セル102内のGaInP材料のバンドギャップEg>1.87eVに近いエネルギーを有する高エネルギー光子112は、GaInP材料内の電子によって吸収される。追加エネルギーにより、GaInP結晶格子の価電子帯に詰まった電子が、高エネルギー伝導帯に移動することができ、2セル型太陽電池100の電流発生に寄与する自由電子118を生成する。低エネルギー光子114は、実質的に小さいエネルギーしか有していないのでGaInP材料内の電子118を自由にすることができず、上部セル102を通過して下部セル104に流入する。バンドギャップは1.87eVであるとして示されているが、GaInPのバンドギャップは約1.75eV〜約1.90eVまで変化し得る。
【0015】
下部セル104では、光108の一部は、この場合も同じように吸収され、熱110に変換され、特に下部セル104のGaInAs材料のバンドギャップEg>1.39eVよりも大きいエネルギーを有する低エネルギー光子114が吸収され、熱に変換される。下部セル104内のGaInP材料のバンドギャップEg>1.39eVに近いエネルギーを有する低エネルギー光子114は、自由電子118に変換される。残りの光子116は基板106に流入し、この基板では、残りの光子116は普通、熱110に変換される。バンドギャップは1.39eVであるとして示されているが、GaInPのバンドギャップは約1.35eV〜約1.43eVまで変化し得る。
【0016】
各セル102、104は、電流を発生するp−n接合ダイオードから成る。これらのp−n接合ダイオードは、n−on−p型接合ダイオード、又はp−on−n型接合ダイオードとすることができる。次に、
図2を参照するに、n−on−p型接合ダイオード200から成る2つの積層セルを示している。各セル102、104は、n型ドープ層202及びp型ドープ層204から成る。電流は、各セル内でnからpの方向に、矢印Iで示すように発生し、n−on−p型接合ダイオード200から成る2つの積層セルの上部の電気接続V+、及び基板106の電気接続V−を通って収集される。両方のセル102、104内のp−n接合の方向を同じ方向にすることにより、上部セル102で発生する電流が下部セルを通過し、各セル102、104は、自由電子118の電圧を増幅する。
【0017】
しかしながら、上部セル102のp型ドープ層204と下部セルのn型ドープ層202との間の電圧差によって、自由電子118が非常に欠乏する空乏領域208を有する逆バイアス接合206が形成される。p−n接合の電圧−電流グラフ210に示すように、正常動作電圧の場合、ほんの僅かな量のリーク電流212しか、逆バイアス接合206を横切って流れることができない。
【0018】
次に、
図3を参照するに、逆バイアス接合206の電流伝達能力を高めるために、相互接続トンネル接合(interconnecting tunnel junction)又はICTJ302を上部セル102と下部セル104との間にエピタキシャル成長させて多接合太陽電池300を形成する。多接合太陽電池300内のICTJ302は、GaInAs、GaInP、又はAlGaAsから成る高濃度ドープp+型層304、及びGaInAs、GaInP、又はAlGaAsから成る高濃度ドープn+型層306を含む。量子力学的プロセスを経て、高濃度ドープICTJ302によって、電子は空乏領域208を横切って突き抜けることができるので、或る量のトンネル電流308が、トンネル接合の電圧−電流グラフ310に示すように、電圧に比例する逆バイアス接合206を横切って流れることができる。
【0019】
ICTJ302は、上部セル102と下部セル104との間を流れる大量の電流を流すように構成される。ICTJ302は、光学的に透過であるので、出来る限り多くの光108を、上部セル102と下部セル104との間を通過させることができる。製造歩留まりを最大にするために、ICTJ302の構造は、大量生産プロセスに良く見られる僅かな変動による影響を受け易いようにはなっていない。光透過性を高めるために、ICTJ302は薄く、且つ普通、下部セルに等しい、又は下部セルよりも大きいバンドギャップEgを有するようにして、光108、特に低エネルギー光子114(
図1に示す)が捕獲されるのを回避することができ、捕獲されない場合に、これらの光子は下部セル104内で自由電子118に変換されることになる。しかしながら、ICTJ302の薄さに関する要求、及びバンドギャップEgに関する要求によって、ICTJ302に導入することができるドーパントの量、又は意図的に導入することができる不純物の量(N
AまたN
D)が制限される。これらの制限によって今度は、ピークトンネル電流が、近似関係式に従って制限される:
上式では、J
peakは、ICTJ302を量子トンネル現象によりトンネリングする電子の容積とエネルギーの積であり、Egは、ICTJ302を成長させるために使用される材料のバンドギャップであり、N
Aは、高濃度ドープp+型層304のアクセプタドーパント濃度であり、N
Dは、高濃度ドープn+型層306のドナー濃度である。ドーパント濃度を低くし、且つバンドギャップを大きくすると、ICTJ302内を流れ得るピークトンネル電流が小さくなることに注目されたい。
【0020】
陸上用途では、入射光108を多接合太陽電池300に集中させ、且つ集光させる。集中照射をこのように強くすると、ICTJ302を流れる電流が大きくなる。ピーク伝達容量J
peakを超える場合、ニー電流312、又は逆バイアス接合206を横切って流れるトンネル電流308の量の急激な減少は、トンネル接合の電圧−電流グラフ310に示すように変化する。集光器用途では、光108の強度は、2000suns(照射強度の単位:sun)、又は2000×AM1.5と等価であるとすることができ、地球表面に達する太陽放射のスペクトル及び振幅の指数とすることができる。これは、30A/cm
2の最小J
peakに対応する。ICTJ302は、薄い150A(150オングストローム)の層(約20原子層)として成長させるので、このような薄層へのドーピングレベルを良好にモニタリングして、正しいドーパント濃度が確実に達成されるようにする。しかしながら、ドーピングレベルは、製造中に変化し得るので、100A/cm
2のJ
peakに対応する設計基準を使用して、正しい歩留まりを製造プロセス中に確保する。
【0021】
しかしながら、薄い150A(150オングストローム)の層(約20原子層)のICTJ302をエピタキシャル成長させることは難しい。通常の製造プロセスでは、約20原子層を20インチ径基板全体に何百万回も堆積させる。10%の厚さバラツキが標準的に要求される。従って、ICTJ302の厚さは、製造中に、20インチ径基板の全領域に亘って、わずか+又は2原子層の精度で制御される必要がある。更に、ドーパントのピーク量(N
AまたN
D)は、ドーピング対象の材料のバンドギャップEgに反比例する。これにより、N
AまたN
Dドーパント濃度は、材料が1.8〜1.9eVのバンドギャップを有する場合には約10
19cm
−3に、材料が1.4eVのバンドギャップを有する場合には約10
20cm
−3に制限される。
【0022】
より小さいバンドギャップを有する材料を使用すると、許容されるドーピングレベルが高くなるが、より小さいバンドギャップを有する材料の光透過性が低くなる。光透過性が低くなると、下部セル104において利用することができる光108の量、及び透過させて下部セル104に到達させる光子のエネルギーの両方が小さくなるので、多接合太陽電池300のエネルギー生成能力及びエネルギー生成効率が低下する。
【0023】
より大きいバンドギャップを有する材料を使用すると、透過性が高くなるが、ICTJ302を形成するためには、ドーピングレベルを厳密に制御して、30A/cm
2の最小J
peak〜100A/cm
2のJ
peakを達成する必要がある。ICTJ302の層にドーピングする直接的な方法は、Te、Se、及びSのようなVI族ドーパントのバルクドーピング特性が、ドーピング前に設定される必要がある液体表面原子層濃度、及びバルク混合物の全体溶解度が存在することにより制限されるので制限される。これらの製造上の制約により、ピーク濃度が制限され、ICTJ302の層を薄く信頼性良く成長させる方法が制限される。C、Si、Ge、及びSnのようなVI族ドーパントは、合計ドーパント濃度を打ち消すドナー及びアクセプタの両方として作用して、これらのドーパントの活性化率を、約10
18cm
−3の濃度〜10
19cm
−3の低濃度の範囲に制限する。Zn、Cd、及びHgのようなII族ドーパントは、格子内を移動し易く、後続のエピタキシャルプロセス中に高濃度領域から遠ざかるように拡散する。これにより、II族ドーパントを使用して、ICTJ302をエピタキシャル成長させるために必要な高ドーパント濃度を達成するという適用可能性が低くなる。
【0024】
次に、
図4を参照するに、デルタドープ層を有する多接合太陽電池400が示される。デルタドープ層を有する多接合太陽電池400は、上部セル102及び下部セル104と、デルタドープ層を有する相互接続トンネル接合、又はδドープICTJ402とを備える。δドープ層404は、約20オングストロームの幅を持ち、且つ10
20cm
−3のピークドーパント濃度を有する薄い高濃度ドープ層である。δとは、ディラックデルタ関数に近いδドープ層のドーピングプロファイルの形状を指している。ディラックデルタ関数又はδは、1点で無限大になり、他の全ての点でゼロになる関数である。δドープ層404は、δドープICTJ402内に配置され、実効N
AまたN
Dドーパント部分に加わって、δドープICTJ402層のピークトンネル電流を大きくする。δドープ層404は、δドープICTJ402のトンネル電流伝達能力を、約2倍だけ、δドープ層404を持たない
図3のICTJ302よりも大きくする。これは、δドープトンネル接合の電圧−電流グラフ408にも示され、このグラフは、逆バイアスδドープICTJ402に対応するδドープトンネル電流406が、δドープ層404を持たないICTJ302に対応するトンネル電流308を表わす曲線よりも約2倍の急勾配になることを示している。
【0025】
次に、
図5を参照するに、δドープICTJ402が拡大図で示されている。高濃度ドープp+型層304及び高濃度ドープn+型層306が接合して、逆バイアス接合206を形成する。n型δドープ層502は、高濃度ドープn+型層306内で、高濃度ドープp+型層304にごく接近するように変位している。n型δドープ層502を、高濃度ドープp+型層304に接近するように配置することにより、電子が逆バイアス接合206を横切って移動する必要がある距離を短くし、電子が逆バイアス接合206を横切る前に再結合する機会を減らして、ピークトンネル電流密度を増やしている。ドーパント濃度のグラフ504は、δドープICTJ402内のpドーパント濃度506、nドーパント濃度508、及びn型δドープ濃度510に関連するドーパント濃度レベルの概略を示している。n型δドープ濃度510の一部は、δドープ層の幅が狭いことによって濃度の測定が難しくなっているので、点線で示すように推定される。
【0026】
別の実施形態では、n型δドープ層502は、高濃度ドープp+型層304にじかに隣接する。他の実施形態では、n型δドープ層502は、高濃度ドープn+型層306内の中心に位置し、下部セル104により接近する方向に変位し、下部セル104と高濃度ドープn+型層306との間に配置される。別の実施形態では、δドープICTJ402は、p型δドープ層(図示せず)を高濃度ドープp+型層304内に含む。更に別の実施形態では、δドープICTJ402は、高濃度ドープp+型層304内のp型δドープ層、及び高濃度ドープn+型層306内のn型δドープ層502の両方を利用する。別の実施形態では、ICTJ302は、下部セル104と基板106との間に配置される。更に別の実施形態では、δドープICTJ402は、下部セル104と基板106との間に配置される。他の実施形態では、一つ以上のδドープICTJ302、及び/又は一つ以上のδドープICTJ402は、デルタドープ層を有する多接合太陽電池400内の隣接するセルの間に配置されるか、又はセルと、これらには限定されないが、電気接続ポイント及び電気接続層を含む他の構造との間に配置される。
【0027】
これまでの図及び記述では、各セル102、104を、n−on−p型接合ダイオードであるとして、δドープICTJ402をp−on−nトンネル接合であるとして示してきたが、これは例示のために過ぎない。他の実施形態では、複数のセル102、104を設け、各セル102、104を隣接するセル102、104からδドープICTJ402によって分離される。他の実施形態では、デルタドープ層を有する多接合太陽電池400は、p−on−n型接合ダイオードである複数のセル102、104を備え、各セル102、104を隣接するセル102、104から、n−on−pトンネル接合であるδドープICTJ402によって分離される。
【0028】
種々の実施形態では、δドープICTJ402及び各セル102、104の隣接部分は、同じp/n型のドーピングを有し、これらの隣接部分の両方にアクセプタ型N
Aドーパントを使用するか、又はこれらの隣接部分の両方にドナー型N
Dドーパントを使用するかのいずれかである。δドープICTJ402の非隣接部分は、相補の関係にあるp/n型のドーピングを有する。例えば、セル102、104の隣接部分がp型半導体材料である場合、δドープICTJ402の隣接部分もp型半導体材料であり、これらの隣接部分の両方が、アクセプタ型N
Aドーパントを含む。δドープICTJ402の他方の部分は、相補の関係にあるn型半導体材料であり、ドナー型N
Dドーパントを含む。δドープICTJ402及びセル102、104の隣接部分には、同じアクセプタ/ドナー型ドーパントを使用するが、一つの実施形態では、δドープICTJ402及びセル102、104の隣接部分には、同じドーパントを使用し、別の実施形態では、δドープICTJ402及びセル102、104の隣接部分には、異なるドーパントを使用する。一つの実施形態では、δドープICTJ402及びセル102、104の隣接部分には、同じ母体半導体材料を使用する。一つの実施形態では、δドープICTJ402及びセル102、104の隣接部分には、異なる母体半導体材料を使用する。一つの実施形態では、δドープICTJ402の両方の部分には、同じ母体半導体材料を使用する。一つの実施形態では、これらの部分は、異なる母体半導体材料から成る。
【0029】
次に、
図6を参照するに、一つの非限定的な例では、δドープICTJ製造プロセスは、Ge基板106を用意する(602)ことにより始まる。Ge基板106の上に、n−on−pGaInAs下部セル104をエピタキシャル成長させる(604)。下部セル104が完成した後、δドープICTJ402の高濃度ドープn+型GaInAs層306のエピタキシャル成長を開始する(606)。次に、成長工程606を約1分間だけ中断し、Si
2H
6流を4.5x10
−2マイクロモル/分の流量で、合計ドーズ量4.5x10
−2マイクロモルだけ蒸気雰囲気下で、或る量のPH
3と一緒に堆積させて、δドープ層404を形成する(608)。任意工程として、高濃度ドープn+型層306の残りの部分を成長させ続ける(610)。次に、高濃度ドープp+型GaInAs層304をエピタキシャル成長させる(612)。最後に、n−on−pGaInP上部セル102をエピタキシャル成長させる(614)。
【0030】
一つの実施形態では、Si
2H
6ではなく、Si
2H
4を使用する。一つの実施形態では、セル102、104はp−on−nセルであり、δドープICTJ402はn−on−pトンネル接合である。一つの実施形態では、δドープ層404は、高濃度ドープp+型GaInAs層304をエピタキシャル成長させる工程612中に堆積させる(608)。一つの実施形態では、堆積工程608において、δドープ層404を、シリコン層を当業者に公知の如く、堆積させる他の方法及びプロセス工程を使用して形成する。
【0031】
他の実施形態では、Pドーパントの各Pドーパントは、II、IV、又はV族元素のうちの1つの族の元素から選択され、Nドーパントの各Nドーパントは、IV族又はVI族元素のうちの1つの族の元素から選択される。更に別の実施形態では、基板、サブセル、及びトンネル接合材料は、半導体材料からそれぞれ選択され、これらの半導体材料は、結晶、多結晶を含むゲルマニウム、シリコンと、二セレン化銅インジウム(CIS)、テルル化カドミウム(CdTe)を含むアモルファスシリコン、多結晶薄膜と、薄膜シリコンと、砒化ガリウムインジウム(GaInAs)及びリン化ガリウムインジウム(GaInP)を含む結晶薄膜とを含む。他の実施形態では、基板、サブセル、及びトンネル接合材料は、合金GaAs、InAs、GaP、InP、AlAs、AlP、AlGaInP、AlGaP、AlInP、GaInP、AlInAs、AlGaInAs、GaInAs、GaAsP、GaInAsP、GaAsSb、GaInAsSb、AlInSb、AlGaSb、GaInNAs、GaInNAsSb、GaInNP、GaInNAs、SiGe、Ge、ErP、ErAs、ErGaAs、ErInAsから選択される。
【0032】
図面に示され、且つ上に記述される本発明の実施形態は、添付の請求項の範囲内で実施することができる多くの実施形態の例示である。δドープ相互接続トンネル接合の多くの他の構成は、開示されるアプローチを利用して考案することができると考えられる。本出願人は、本願から発生する特許の範囲が添付の請求項の範囲によってのみ制限されるものであると考える。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
第1p/n型の半導体材料のトンネルダイオードの第1層(304)と;
前記第1p/n型の半導体材料と同様のp/n型のドーピングを有するデルタドープ層(404)であって、前記第1層よりも実質的に薄く、前記第1層のドーパント濃度よりも実質的に高いドーパント濃度に達しており、且つ前記第1層の上に堆積している前記デルタドープ層(404)と;
前記トンネルダイオードの前記第1層(304)、及び前記デルタドープ層(404)と相補の関係にある第2p/n型の半導体材料の前記トンネルダイオード層の第2層(306)であって、前記デルタドープ層(404)上にエピタキシャル成長させた前記第2層(306)と;
前記トンネルダイオードによって電気的に接続された少なくとも2つの光起電性のサブセル(102、104)と
を備える多接合太陽電池(400)。
(態様2)
前記デルタドープ層と前記第2層との間に、前記第1p/n型の半導体材料の追加層を更に備えている、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様3)
前記デルタドープ層(404)が、相補の関係にある前記第2p/n型の半導体材料と同様のp/n型のドーピングを有している、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様4)
前記第1層と前記デルタドープ層(404)との間に、相補の関係にある前記第2p/n型の半導体材料の追加層を更に備えている、態様3に記載の多接合太陽電池。
(態様5)
基板と;
前記基板(106)の上にエピタキシャル成長させた第1の光起電性のサブセル(104)と;
前記トンネルダイオード(402)の前記第2層(304)の上にエピタキシャル成長させた第2の光起電性のサブセル(102)と
を更に備え;前記トンネルダイオード(402)の前記第1層(306)が、第1の光起電性のサブセル(104)の上にエピタキシャル成長させたものである、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様6)
複数の光起電性のサブセル(104、102)を更に備え、前記複数の光起電性のサブセルの各々が、デルタドープ層(404)を有するトンネルダイオード(402)によって分離されている、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様7)
前記デルタドープ層(404)内の前記ドーパント濃度が前記第1層の前記ドーパント濃度の略10倍高い、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様8)
前記デルタドープ層(404)の前記ドーパント濃度が1020cm−3よりも高い、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様9)
前記デルタドープ層(404)の幅が略20オングストロームである、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様10)
前記第1の光起電性のサブセル(104)が、前記第2の光起電性のサブセル(102)よりも小さいバンドギャップを有する半導体材料を含んでいる、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様11)
前記第1の光起電性のサブセル(104)が砒化ガリウムインジウムを含み、前記第2の光起電性のサブセル(102)がリン化ガリウムインジウムを含んでいる、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様12)
前記トンネルダイオード(402)が、前記第1の光起電性のサブセル(104)と等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセル(104)よりも大きいバンドギャップを有する材料を含んでいる、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様13)
前記トンネルダイオード(402)が、砒化ガリウム、砒化ガリウムインジウム、リン化ガリウムインジウム、及び砒化アルミニウムガリウムから成るグループから選択される半導体材料を含んでいる、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様14)
前記第1の光起電性のサブセル(104)及び前記第2の光起電性のサブセル(102)がn−on−pサブセルであり;前記第1層及び前記デルタドープ層(404)がII族、IV族、又はV族のn型ドープ半導体材料であり、前記第2層がIV族又はVI族のp型ドープ半導体材料である、態様1に記載の多接合太陽電池。
(態様15)
デルタドープ相互接続トンネル接合(402)を形成する方法であって:
トンネルダイオードの第1層をエピタキシャル成長させる工程(604)であって、前記第1層に第1ドーパントを使用する工程(604)と;
前記トンネルダイオードの前記第1層をエピタキシャル成長させる前記工程を中断する工程(606)と;
前記第1ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型の第2ドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上に堆積させる工程(608)であって、前記デルタドープ層内の前記第2ドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第1層内の前記第1ドーパントの濃度よりも実質的に高いドーパント濃度に達する工程(608)と;
前記トンネルダイオードの第2層をエピタキシャル成長させる工程(612)であって、前記第2層に、前記第1ドーパント及び前記第2ドーパントと相補の関係にあるアクセプタ/ドナー型の第3ドーパントを使用する工程(612)と
を含む方法。
(態様16)
前記堆積させる工程の後に、前記第1ドーパントを使用して追加層をエピタキシャル成長させる工程(610)を更に含む、態様15に記載の方法。
(態様17)
基板(106)を用意する工程と;
第1の光起電性のサブセル(104)をエピタキシャル成長させる工程と;
第2の光起電性のサブセルをエピタキシャル成長させる工程(614)と
を更に含み、
前記第1の光起電性のサブセル(104)を前記基板(106)の上に成長させ、前記トンネルダイオード(402)の前記第1層(306)を前記第1の光起電性のサブセル(104)の上に成長させ、前記第2の光起電性のサブセル(102)を前記トンネルダイオード(304)の前記第2層の上に成長させる、態様15に記載の方法。
(態様18)
前記第1の光起電性のサブセル(104)が、前記第2の光起電性のサブセル(102)よりも小さいバンドギャップを有する材料を含む、態様17に記載の方法。
(態様19)
前記トンネルダイオード(402)が、前記第1の光起電性のサブセル(104)と等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセル(104)よりも大きいバンドギャップを有する材料を含む、態様18に記載の方法。
(態様20)
前記デルタドープ層(404)内の前記ドーパント濃度が、前記トンネルダイオード(402)の前記第1層(306)内の前記第1ドーパントの前記濃度の略10倍高い、態様15に記載の方法。
(態様21)
前記デルタドープ層が1020cm−3を上回るドーパント濃度を有する、態様15に記載の方法。
(態様22)
前記デルタドープ層(404)の幅が略20オングストロームである、態様15に記載の方法。
(態様23)
前記第1ドーパント及び前記第2ドーパントは、アクセプタ型の、II族、IV族、又はV族のドーパントであり、前記第3ドーパントは、ドナー型の、IV族又はVI族のドーパントである、態様15に記載の方法。
(態様24)
デルタドープ層(404)を有する相互接続トンネル接合(402)を有する多接合太陽電池であって、
(a)基板を用意する工程(602)と;
(b)第1の光起電性のサブセルを前記基板の上にエピタキシャル成長させる工程(604)と;
(c)トンネルダイオードの第1層を、前記第1の光起電性のサブセルの上にエピタキシャル成長させる工程(606)であって、前記第1層に、前記第1の光起電性のサブセルの接合部分のアクセプタ/ドナー型のドーパントを使用する工程(606)と;
(d)前記トンネルダイオードの前記第1層をエピタキシャル成長させる前記工程を中断する工程と;
(e)前記ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型のデルタドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上に堆積させる工程(608)であって、前記デルタドープ層内の前記デルタドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第1層内の前記ドーパントの濃度よりも実質的に高いデルタドーパント濃度に達する工程(608)と;
(f)前記トンネルダイオードの第2層を前記デルタドープ層の上にエピタキシャル成長させる工程(612)であって、前記第2層に、前記トンネルダイオードの前記第1層の前記ドーパントと相補の関係にある異なるアクセプタ/ドナー型のドーパントを使用する工程(612)と
を含むプロセスにより形成される多接合太陽電池。
(態様25)
(g)前記デルタドープ層を堆積させる前記工程(e)の後で、且つ前記第2層をエピタキシャル成長させる前記工程(f)の前に、前記ドーパントを使用して前記第1層の追加部分をエピタキシャル成長させる工程(614)を更に含む、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様26)
前記工程(e)が:
(e)相補の関係にある前記ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型のデルタドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上に堆積させる工程(608)であって、前記デルタドープ層内の前記デルタドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第2層内の前記相補の関係にあるドーパントの濃度よりも実質的に高いデルタドーパント濃度に達する工程(608)である、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様27)
前記工程(c)、(d)、及び(e)が:
(c)前記トンネルダイオードの第2層を、前記トンネルダイオードの前記第1層の上にエピタキシャル成長させる工程(606)であって、前記第2層に、前記トンネルダイオードの前記第1層の前記ドーパントと相補の関係にある異なるアクセプタ/ドナー型のドーパントを使用する工程(606);
(d)前記トンネルダイオードの前記第2層をエピタキシャル成長させる前記工程を中断する工程;及び
(e)相補の関係にある前記ドーパントと同じアクセプタ/ドナー型のデルタドーパントのデルタドープ層を、前記トンネルダイオードの前記第2層の上に堆積させる工程(608)であって、前記デルタドープ層内の前記デルタドーパントが、前記トンネルダイオードの前記第2層内の前記相補の関係にあるドーパントの濃度よりも実質的に高いデルタドーパント濃度に達する工程(608)である、
態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様28)
前記第1の光起電性のサブセル(104)が、前記第2の光起電性のサブセル(102)よりも小さいバンドギャップを有する半導体材料を含む、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様29)
前記トンネルダイオード(402)が、前記第1の光起電性のサブセル(104)と等しいか、又は前記第1の光起電性のサブセル(104)よりも大きいバンドギャップを有する半導体材料を含む、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様30)
前記デルタドープ層(404)内の前記デルタドーパント濃度が、前記トンネルダイオード(402)の前記第1層内の前記ドーパントの前記濃度の略10倍高い、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様31)
前記デルタドープ層(404)が1020cm−3を上回るデルタドーパント濃度を有している、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様32)
前記デルタドープ層(404)の幅が略20オングストロームである、態様24に記載の多接合太陽電池。
(態様33)
前記ドーパントがアクセプタ型のII族、IV族、又はV族のドーパントであり、相補の関係にある前記ドーパントがドナー型のIV族又はVI族のドーパントである、態様24に記載の多接合太陽電池。