特許第5794975号(P5794975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフトの特許一覧

特許5794975母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク
<>
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000002
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000003
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000004
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000005
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000006
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000007
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000008
  • 特許5794975-母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5794975
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク
(51)【国際特許分類】
   B21D 37/14 20060101AFI20150928BHJP
   B21D 28/34 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B21D37/14 K
   B21D28/34 L
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-501129(P2012-501129)
(86)(22)【出願日】2010年3月23日
(65)【公表番号】特表2012-521294(P2012-521294A)
(43)【公表日】2012年9月13日
(86)【国際出願番号】DE2010000315
(87)【国際公開番号】WO2010108476
(87)【国際公開日】20100930
【審査請求日】2012年10月12日
(31)【優先権主張番号】202009004013.5
(32)【優先日】2009年3月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100061815
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ビュトナー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ライプ
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−137025(JP,A)
【文献】 特開平06−337070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 37/14
B21D 28/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
母型工具(11)又は父型工具(9)の再研磨長さを補償するための補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)において、
補償ディスクとして種々異なる厚さの複数の補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)が積み重ねられており、
前記補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)のディスク厚(d1,d2,d3)をコード化した符号(31,34)が設けられており、
前記符号(31,34)が、ディスク厚(d1,d2,d3)のための前もって規定された寸法単位に相当する少なくとも1つのコード化マーク(31a,31b,31c,31d,31e;34a,34b,34c,34d,34e)を有しており、
前記ディスク厚(d1,d2,d3)が、前もって規定された寸法単位の整数倍であって、該整数が前記コード化マーク(31a,31b,31c,31d,31e;34a,34b,34c,34d,34e)の数に相当し、
前記符号が異形成形部(31,34)として構成されており、
前記異形成形部(31)が、前記補償ディスク(30a,30b,30c)の外側縁部(32)に沿って形成されていることを特徴とする、母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク。
【請求項2】
少なくとも1つの補償ディスクが円環状に構成されており、該補償ディスクは母型工具の最大直径を超えない、請求項1記載の補償ディスク。
【請求項3】
前記コード化マーク(31a,31b,31c,31d,31e;34a,34b,34c,34d,34e)の前もって規定された寸法単位が、0.05mm〜0.2mmの間の範囲内である、請求項2記載の補償ディスク。
【請求項4】
前記コード化マーク(31a,31b,31c,31d,31e;34a,34b,34c,34d,34e)の前もって規定された寸法単位が、0.1mmである、請求項3記載の補償ディスク。
【請求項5】
前記コード化マークは、溝(31a,31b,31c,31d,31e)として構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の補償ディスク。
【請求項6】
前記異形成形部(34)が表面側に設けられている、請求項からまでのいずれか1項記載の補償ディスク。
【請求項7】
前記コード化マークは、貫通孔(34a,34b,34c,34d,34e)として構成されている、請求項記載の補償ディスク。
【請求項8】
母型工具(11)又は父型工具(9)、並びに請求項1からまでのいずれか1項記載の少なくとも1つの補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)を有している工具装置(11,30a,30b,30c;33a,33b,33c)であって、前記補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)が、再研磨長さを補償するために母型工具(11)又は父型工具(9)の下に置かれており、
種々異なるディスク厚(d1〜d3)を有する複数の補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)が設けられており、これらの各補償ディスク(30a,30b,30c;33a,33b,33c)のディスク厚(d1,d2,d3)が前もって規定された寸法単位の整数倍である、工具装置(11,30a,30b,30c;33a,33b,33c)。
【請求項9】
少なくとも1つの補償ディスクが円環状に構成されており、該補償ディスクは母型工具の最大直径を超えない、請求項記載の工具装置。
【請求項10】
プレート状のワーク(4)を切断加工及び/又は成形加工するための工作機械(1)において、請求項又は記載の少なくとも1つの工具装置(11,30a,30b,30c;33a,33b,33c)を有することを特徴とする、工作機械(1)。
【請求項11】
前記ワーク(4)は金属薄板である、請求項10記載の工作機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、母型工具又は父型工具の再研磨長さを補償するための補償ディスク、並びに工具装置、及び少なくとも1つのこのような工具装置を備えた工作機械に関する。
【0002】
母型工具(又は父型工具)のために補償ディスクが必要とされている。この補償ディスクは、母型(ダイ)を再研磨する際に削り取られたダイの上側面の材料損失を補償して、再研磨後に母型工具の上縁部が、加工しようとするワークが載せられている作業平面と面一になるようにするためのものである。
【0003】
特開平06−106256号公報によれば、ダイ(下部金型)の再研磨を補償するための補償ディスク(調節部材)が公知である。下部金型は穴を有しており、該穴内に、調節部材を下部金型の穴に固着するために、調節部材の舌片状の領域が係合するようになっている。このような形式で、再研磨された下部金型と調節部材とを1つのユニットとして交換できるようになっている。
【0004】
同様の型式の補償ディスク(板状リング体)は、特開2006−239701号公報に記載されており、この場合、追加的にインサート部材が母型工具の開口内に挿入され、この開口内に板状リング体の係止突起が係合するようになっている。また、特開2006−239728号公報にも、母型工具(ダイ)に緊締可能な補償ディスク(高さ調節具)について開示されており、この補償ディスクは、母型工具の貫通開口内に係合する弾性変形可能な係止片の折損が避けられるように構成されている。
【0005】
特開2002−126831号公報には、ダイ本体と、ダイ本体の上部に取り付けられたリング状部材とから成るダイ金型について開示されている。このリング状部材にダイ金型の識別情報を記憶した媒体が取り付けられている。この媒体は、ダイ本体の上面に付加的に設けることもできる。
【0006】
発明の課題
本発明の課題は、母型工具若しくは父型工具の再研磨を補償する際に、補償ディスクを用いてプロセスの信頼性を高めることである。
【0007】
発明の開示
この課題を解決した本発明によれば、冒頭に述べた形式の補償ディスクにおいて、補償ディスクのディスク厚をコード化した符号が設けられていることによって解決された。
【0008】
再研磨長さを補償するために、一般的に、形状は同じであるが種々異なるディスク厚を有する補償ディスクが使用される。しかしながら、使用された補償ディスクの厚さが薄いか若しくは厚さの差が僅か(1/10mmの範囲内)であるので、各補償ディスク間のディスク厚の違いを識別することは非常に困難である(目によって識別可能な限界は1/10mmである)。このような理由により、従来では、補償ディスクを使用する前に、補償ディスクの厚さを識別するために、手にもって厚さを推測(場合によっては間違えることがある)するか、又は補償ディスクを測定する必要があった。作業員は、一般的に、補償ディスクをディスク厚に従って整理して、例えば異なるスタック(積み重ね)、異なる容器その他に貯蔵しておくようになっているので、このような作業を補償ディスクの使用後に繰り返し行う必要がある。このためにかなりの時間を必要とし、しかも補償ディスクが間違って分類して積み重ねられると、次に補償ディスクを使用する際に、無意識の間違いが生じることになる。従って、一般的に、補償ディスクの取り付け後に、間違えを避けるために、母型工具装置全体(補償ディスクを有する母型工具)の高さが測定される。しかしながら、構成部分の公差は、補償ディスクが正しく選択された場合にはこのような測定を行う必要がない程度に、僅かである。
【0009】
補償ディスクの厚さは非常に僅かであるので、補償ディスクの厚さを視覚的に識別可能とすれば好都合であることが分かっている。そこで本発明によれば、補償ディスクにディスク厚を示す符号を設けることが提案されている。この場合、符号は種々異なる形式で、例えば種々異なる厚さを示す種々異なる色を有するマーキングを使用することによって、又は補償ディスクに符号(文字、数字、記号その他)をプリント、彫り込み又は型打ちすることによって、設けることができる。補償ディスクの厚さを識別するために個々の補償ディスクの形状を変えてもよい。つまり、外側輪郭若しくは内側輪郭を異なる形状とすることによって、又は追加的な輪郭形状を設けることによって、種々異なる厚さの補償ディスクを互いに区別することができる。この場合、適当な符号によって、適当なディスク厚を有する補償ディスクを視覚的に確実に選択することができる。
【0010】
本発明の1実施態様によれば、符号が、ディスク厚のための前もって規定された寸法単位に相当する少なくとも1つのコード化マークを有している。コード化マークの数が増えるにつれて、ディスク厚が大きくなるので、ディスク厚若しくは、種々異なるディスクの厚さの差を簡単に視覚的に認識することができる。
【0011】
本発明の1実施態様によれば、コード化マークの前もって規定された寸法単位は、0.05mm〜0.2mmの間の範囲、有利には0.1mmの範囲内である。一般的に、母型工具の下敷きとして設けられた補償ディスクのセットのうちの最薄の補償ディスクは、前もって規定された寸法単位に相当するディスク厚(例えば0.1mm)を有している。典型的には、このために使用されるセットのすべての補償ディスクは、1mm又はそれ以下のディスク厚を有している。
【0012】
本発明の1実施態様によれば、ディスク厚は、前もって規定された寸法単位の整数倍であって、該整数は、(形状の同じ)コード化マークの数に相当する。このような形式で、ディスク厚を、コード化マークの数を用いて明確に規定することができる。従って、例えば0.1mmの寸法単位において、3つのコード化マークが0.3mmのディスク厚に相当する。
【0013】
符号は、特に異形成形部の形で構成されている。このようにすれば、塗料又は圧刻成形部用いた場合におけるように、異形成形部が補償ディスクの厚さに影響することがないので、好都合である。異形成形部は、簡単な形式で、種々異なる厚さの補償ディスクのセットに設けることができる。
【0014】
本発明の1実施態様によれば、異形成形部が、前記補償ディスクの外側縁部に沿って形成されており、前記コード化マークは有利には溝として構成されている。異形成形部を補償ディスクの溝に沿って設けることによって、補償ディスクが前もって母型工具に組み付けられているか、若しくは複数の補償ディスクが互いに上下に積み重ねられている場合、ディスク厚を視覚的に識別することができる。例えば1セットの溝を補償ディスクに設けることによって、既に使用されている、符号を有していない補償ディスクに、簡単な形式で符号を設けることができる。選択的に又は追加的に、異形成形部を補償ディスクの内側縁部に設けてもよい。
【0015】
本発明の1実施態様によれば、異形成形部が表面側に設けられており、前記コード化マークが有利には貫通孔として構成されている。貫通孔として構成されたコード化マークは両面側に設けられることになるので、符号を補償ディスクの両側から識別することができる。場合によっては、両面側に、それぞれ異なる形状の異形成形部を設けてもよい。ディスク厚が僅かであるので、両面側に貫通孔としての圧刻成形部を設ければ、圧刻成形部は、補償ディスクの反対側において鏡面対称的に識別することができる。
【0016】
本発明は、母型工具と、再研磨長さを補償するために母型工具の下に置かれている、上記請求項のいずれ1項に記載された少なくとも1つの補償ディスクとを備えた母型工具装置に関する。補償ディスクの形状は母型工具の形状と合致しており、典型的には円環状に構成されている。円環の直径は一般的に、補償ディスクがダイ内に設けられた貫通開口内に突入しないように、また使用に応じて母型工具の最大直径を越えないように、選定されている。
【0017】
本発明の1実施態様によれば、母型工具装置は、種々異なるディスク厚を有する複数の補償ディスクを有しており、各補償ディスクのディスク厚は、前もって規定された寸法単位の整数倍である。このような形式で、前もって規定された寸法単位の数倍の再研磨長さが補償される。このために、補償ディスクは、ダイとダイプレートとの間、又はダイインサートと中間リング若しくはアダプタとの間に挿入され、ダイ上縁部が作業平面と同じ高さ位置にもたらされる。1セットの補償ディスクは、例えば0.1mm、0.3mm及び0.5mmの厚さを有するディスク型式であってよい。
【0018】
この場合、最小のディスク厚のための寸法精度は、再研磨がこの寸法精度以下の再研磨量で行われた場合に、プレート状のワーク(有利には金属薄板)の切断及び/又は成形加工を行う工作機械(少なくとも1つのこのような母型工具装置を有する)の運転に不都合な影響を及ぼすことがない程度に小さく選定されている。本発明は、またこのような工作機械に関する。
【0019】
本発明のその他の利点は、図面及び実施例の説明に記載されている。上述の及び以下に記載する特徴は、単独でも、また任意の組み合わせでも使用することができる。図面及び実施例の説明は、これに限定されるものではなく、本発明を説明するための1例として挙げたものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の1実施例による工作機械の概略的な斜視図である。
図2】ワークを打ち抜き加工する際のダイ装置の概略図である。
図3図3a,図3b,図3cは、コード化マークとしての溝を備えた補償ディスクの第1のセットを示す概略図である。
図4図4a,図4b,図4cは、符号孔を備えた補償ディスクの第2のセットを示す概略図である。
【0021】
図1は、金属薄板を加工するための打ち抜き成形機として構成されたプレート状のワークを切断及び/又は成形するための工作機械1を示す。打ち抜き成形機1は、C字形の機械フレーム2を有しており、この機械フレーム2の開口スペース内に、ワークテーブル3として構成されたワーク載設部が配置されており、該ワーク載設部は、加工しようとするワーク(金属薄板4)を載せるために用いられる。ワークテーブル3はその上側面が、加工しようとする金属薄板4のための水平なワーク載設面5を形成しており、該ワーク載設面5は、図1に示した座標系のx/y平面に対して平行に延在している。座標ガイド6によって、コレットチャック7を介して緊締された金属薄板4が、ワークテーブル3の載設面5内で摺動可能である。
【0022】
C字形の機械フレーム2の上脚の前端部に、父型工具収容部8が配置されており、該父型工具収容部8内に、打ち抜きパンチを有する父型工具9が支承されている。C字形の機械フレーム2の下脚の前端部に、母型工具収容部10が設けられており、該母型工具収容部10内に母型工具11が支承されている。父型工具9と母型工具11とは、金属薄板4を分離及び/又は成形するための1つの工具12を形成している。
【0023】
打ち抜き成形機1の駆動ユニットは、パンチ駆動部13とダイ駆動部14とから成っており、このパンチ駆動部13及びダイ駆動部14はリニア駆動装置を構成している。パンチ駆動装置13によって、父型工具収容部8は、該父型工具収容部8に支承若しくは固定された父型工具9と共に、上下軸線15に沿ってワークテーブル3に対して昇降可能である。また父型工具収容部8及び母型工具収容部10は、詳しく図示していない回転駆動装置によって、上下軸線15と同じ工具回転軸線16を中心にして回転調節可能である。
【0024】
座標ガイド6には、別の工具12を備えたリニアマガジン17が設けられている。このリニアマガジン17内に配置された工具12は、それぞれ工具カセット18によって保持され、金属薄板4を加工するために、必要に応じて父型工具収容部8若しくは母型工具収容部10に固定可能である。
【0025】
工具交換時及びワーク加工時に、打ち抜き成形機1のすべての駆動部が数値制御ユニット21によって制御される。数値制御ユニット21は、工具データを記憶するための特別な記憶手段19を有しており、さらに、記憶されたワーク4若しくは工具12のデータに基づいて、父型工具収容部8の昇降運動及び回転運動も、また母型工具収容部10の昇降運動及び回転運動も測定し、かつ制御するための制御手段20を有している。
【0026】
母型工具11は、使用時にその上側面が摩耗するので、母型工具11の上側面を時々再研磨する必要がある。しかしながら研磨することによって、母型工具11の高さhは低下する(図2参照)ので、ワークの載設面5と母型工具収容部10との間の間隔aはもはや、母型工具11の最初の高さ(再研磨なしの)に相当しなくなる。それにも拘わらず、再研磨された母型工具11の上側面23がワーク載設面5と面一(同一平面)になるようにするために、母型工具11のアダプタリング11bとダイインサート11aとの間に、複数の補償ディスク30a〜30cが配置されている。これらの補償ディスク30a〜30cは合わせて、母型工具11の再研磨量に相当する厚さdを有しているので、再研磨量を補償することができる。
【0027】
ワーク載設面5と母型工具収容部10との間の間隔aは例えば30mmであって、母型工具は0.9mmだけ再研磨されているので、母型工具は、29.1mmの高さh1+h2を有している。つまり補償ディスク30a〜30cの全厚さdは、同様に0.9mmでなければならない。
【0028】
正確な全厚さdを生ぜしめるために適した3つの補償ディスクのセットは、図3a〜図cに示されている。この場合、第1の補償ディスク30aは0.1mmのディスク厚d1を有し、第2の補償ディスク30bは0.3mmのディスク厚d2を有し、第3の補償ディスク30cは0.5mmのディスク厚d3を有している。すべての3つの円環状の補償ディスク30a〜30cはさらに、これらの補償ディスクを相対回動不能に支承するための方形の切欠を有している。
【0029】
図3a〜図3cに示されているように、補償ディスク30a〜30cは、その厚さによって区別される以外に、補償ディスク30a〜30cの外縁部32に設けられた三角形の溝31a,31b,31c,31d,31eの形の異形成形部31によって区別される。溝31a,31b,31c,31d,31eは、補償ディスク30a〜30cのディスク厚を符号するためのコード化マークとして用いられる。各溝31a〜31eは、図示の実施例では0.1mmである、ディスク厚のための寸法単位に相当する。それに応じて、各補償ディスク30a〜30cに、1つの溝31a、3つの溝31a〜31c若しくは5つの溝31a〜31eによって、0.1mm、0.3mm及び0.5mmのディスク厚d1〜d3がコード化されている。これらの溝31a〜31eを補償ディスク30a〜30cの外縁部に配置したことによって、種々異なる厚さの複数の補償ディスク30a〜30cが互いに積み重ねられていても、ディスク厚d1〜d3を識別することができる。
【0030】
図2に示されているように、補償ディスク30a〜30cは、母型工具11のダイインサート11aとアダプタリング11bとの間、及び/又はアダプタリング11bとダイプレート11cとの間に配置されている。このダイプレート11cは母型工具収容部10に固定されている。ダイインサート11aとアダプタリング11bとの間に挿入された補償ディスクは、原則として、アダプタリング11bとダイプレート11cとの間に挿入された補償ディスクとは異なる直径を有している。補償ディスク30a〜30cは、予備組立時に装着される。つまり複数部分より成る母型工具11の個別部材(ダイインサート11a、アダプタリング11b、ダイプレート11c)の組立時にこれらの個別部材(11a,11b,11c)を工具カセット18内に挿入する前に装着される。母型工具11は、それより多い個別部分又はそれより少ない個別部分より成っていてもよい。
【0031】
図4a〜図4cに示した補償ディスク33a〜33cのセットは、符号34が、補償ディスク33a〜33cの上側面35内に設けられた孔34a〜34eの形の異形成形部によって形成されている点で、図3a〜図3cに示した補償ディスクのセットとは次の点で異なっている。孔34a〜34eの数は、図3a〜図3cの実施例のものと同様に、ディスク厚d1〜d3を得るために、寸法単位(ここでは、0.1mm)に掛けられる乗数に相当する。孔34a〜34eは、図示の実施例では貫通しているので、符号34は補償ディスク33a〜33cの両側から読み取ることができる。
【0032】
寸法単位は必ずしも0.1mmではなくてもよく、0.1mmとは異なる寸法が選択されてもよい。しかしながら、寸法単位は一般的に0.05mmから0.2mmの間の範囲にある。さらに、補償ディスク30a〜30c,33a〜33cのディスク厚を示す符号を、異形成形とは異なる形式で、例えばカラーコードを選択することによって、又は例えば圧刻、プリント又は彫り込みによって補償ディスクに符号(数字、文字又は記号)を設けることによって設けてもよい。異なる形状付与によって、例えば種々異なる厚さを有する補償ディスクの外側輪郭形状若しくは内側輪郭形状の種々異なる形状によって、区別することも可能である。
【0033】
いずれの場合も、補償ディスクに設けられた、ディスク厚を示す符号によって、ディスク厚を視覚的に識別することができ、それによって母型工具の再研磨量の補償時におけるプロセスの信頼性が高められる。上記のコード化された補償ディスクは、工作機械の父型工具の再研磨長さ(再研磨量)を補償するためにも、同様に使用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 工作機械(打ち抜き成形機)、 2 C字形の機械フレーム、 3 ワークテーブル、 4 金属薄板(ワーク)、 5 ワークテーブル3のワーク載設面、 6 座標ガイド、 7 コレットチャック、 8 父型工具収容部、 9 父型工具、 10 母型工具収容部、 11 母型工具、 11a ダイインサート、 11b アダプタリング、 11c ダイプレート、 12 工具、 13 パンチ駆動装置、 15 上下軸線、 16 工具回転軸線、 17 リニアマガジン、 18 工具カセット、 19 記憶手段、 20 制御手段、 21 数値制御ユニット、 23 上側面、 30a〜30c 補償ディスク、 31 異形成形部、 31a,31b,31c,31d,31e 溝、 32 外縁部、 33a,33b,33c 補償ディスク、 34 符号、 34a〜34e 孔、 35 上側面
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c