(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図示が本開示の好適な種々の実施形態を示すためにのみ行なわれ、これらの実施形態を限定するために行なわれるのではないこれらの図面を参照するに、
図2〜5に図示されているのは、
図1に示す航空機100の透明部材104のような透明部材104の画像を記録する光学的欠陥検出システム10である。当該画像は、
図8に示すデジタル画像150を含むことができ、そしてデジタル画像150内の光学的欠陥群162を、以下に更に詳細に説明するように検出する
図8〜26に示す欠陥検出方法に用いることができる。
【0018】
図2〜5を参照するに、光学的欠陥検出システム10は、拡散板48を含むことができる検出固定具12を含むことができ、この拡散板48は、透明部材104の幾何学構造と相補的な形状の凹凸に形成する、または相補的な形状に形成することができる。透明部材104は、透明部材固定具70に取り付けることができ、この透明部材固定具70は、パノラマカメラ24のような撮像記録装置22に位置合わせされるように位置決めすることができる。撮像記録装置22は、透明部材104の視認部分122の詳細(すなわち、高解像度)画像を記録するように構成することができる。
【0019】
これらの透明部材104は、輸送手段用途に、または輸送手段以外の用途に使用することができる透明パネルまたは比較的透き通ったパネル16を備えることができる。例えば、
図1は、幾つかの透明部材104を有する航空機100を示しており、これらの透明部材104に対して欠陥検出システム10を用いることにより、これらの透明部材104の画像を記録して、光学的欠陥群106を検出することができる。
図1に示す航空機100は、航空機100の機体前方端132のキャノピー112または風防110のような1つ以上の透明部材に覆われたコックピットを有する胴体102を含む。風防110の透明部材104は、透明部材104を支持する機体後方アーチ部材120を有する透明部材枠116を含むことができる。風防110の透明部材104は視認部分122を含むことができ、この視認部分122を通して、パイロットは、風防110の外部の物体を視認することができる。この点に関して、視認部分122は、透明部材104のうち、
図4〜5に示す透明部材枠116で隠れてしまうことがない透き通った部分、または透明部分を含む。
【0020】
本明細書において開示される欠陥検出システム10は、これに限定されないが、風防110のポリカーボネート層の内部に埋まっている可能性のある炭素微粒子のような光学的欠陥群106を検出する手段となる。これらの図全体を通じて図示され、かつ本明細書において記載される航空機100風防110の透明部材104は、欠陥検出システム10を使用して欠陥群106を検出する際の対象となる他の種類の透明部材104を限定するものとして捉えられるべきではないことに留意されたい。この点に関して、欠陥検出システム10を用いて、画像を記録し、そして多種多様な異なる用途における非常に多種多様な透明部材の内部の光学的欠陥群106を検出することができる。例えば、欠陥検出システム10を使用して、何れかの海上船舶、陸上車、飛行体、及び/又は宇宙船における透明部材104の画像を記録するだけでなく、輸送手段以外の用途において使用される透明部材104の画像を記録することができ、輸送手段以外の用途において使用される透明部材として、建物及び構造物において使用される、そして計測器、照明アセンブリ、レンズのような他のアセンブリまたはシステムにおいて使用される、更には、光学的欠陥群の検出が望まれる何れかのガラス組成物及び/又はプラスチック組成物またはポリマー組成物として使用されるウィンドウパネルまたは光沢材料を挙げることができる。
【0021】
有利な点として、欠陥検出システム10によって、凹凸形状または湾曲形状を有する透明部材104の検査が可能になるが、略平坦構造または略平板構造を有する透明部材104は、欠陥検出システム10を使用して検査することができる。凹凸形状または輪郭形状をした透明部材104の場合、拡散板48及び光源54は、透明部材104の凹凸と相補的な形状に形成することができる。例えば、航空機100風防110、及び/又は航空機100キャノピー112が、
図1に示す1つ以上の湾曲部を有する場合、拡散板48は、透明部材104の形状を、透明部材104から離間した距離の位置で正確に映し出した形状に形成されて、透明部材104の視認部分122が、光源54及び拡散板48の組み合わせによって略均一にバックライト照明されるようにすることが好ましい。
【0022】
図2〜5を概観するに、光源54は、1つ以上の発光素子56を並べた構造として構成することができ、これらの発光素子56は、拡散板48を照明するように構成することができる。このようにして、光源54から放出される光は、拡散板48全体に亘って略均一に拡散または分散されて、透明部材104の視認部分122全体の後方から均一に分散して背景照明を行うことができる。更に、光源54及び拡散板48は、視認部分122の全体が、画像記録装置22の視野角内で照明されるように配置されることが好ましい。
図2〜5に誇張サイズで示される欠陥と同様の光学的欠陥群106は、欠陥検出システム10によって確実に検出することができる。
【0023】
図4〜5を簡単に参照するに、画像記録装置22は、上に説明したパノラマカメラ24のようなカメラ24を備えることができ、当該カメラ24は、垂直視野角30を有する広角レンズ26(すなわち、魚眼レンズ)を含むことができ、この垂直視野角30は、レンズ26から突出する、または延びるベクトル群34で示すように、透明部材34の上縁端124及び下側辺縁126を含むことができる。しかしながら、画像記録装置22の(すなわち、レンズ26の)垂直視野角30は、上縁端124と下側辺縁126との間の領域の一部しか撮影されないような視野としてもよい。
【0024】
前に示したように、画像記録装置22から突出する、または延びるベクトル34は、物体をレンズ26から或る方向に沿って視認するときの当該方向を表わす。レンズ26から延びるベクトル34は、レンズ26の画角に収まる。画像記録装置22を、画像を記録するときに動かす(例えば、並進移動させる、回転させる)ことにより、視野角を広げることができる。例えば、画像記録装置22を、画像を記録しながら垂直軸88回りに回転させることにより、水平視野角32を広くする。同様に、画像記録装置22を、水平回転軸(図示せず)回りに回転させることにより、垂直視野角30を広くすることができる。画像記録装置22を、他の軸の回りに回転させる構成を想到することもできる。画像記録装置22の垂直移動または水平移動のような画像記録装置22の並進移動によって、視野角が同様に広がる。
【0025】
画像記録装置22は、水平視野角32を有することができ、この水平視野角は、ベクトル群34で示すように、透明部材104の各側方部にある側方辺縁128のような透明部材104の対向する側方部を含む。この目的のために、画像記録装置22は、回転軸88回りに回転することができるので、透明部材104の対向する側方辺縁128の間の視認部分122の全体の記録が可能になる。画像記録装置22を、回転軸88回りに回転させることにより、画像記録装置22が垂直視野角30及び水平視野角32を実現するので、透明部材104の物理的な最縁端領域に在る光学的欠陥を含む、これらの物理的な最縁端領域の間に在る光学的欠陥群106の検出が可能になる。
【0026】
図2〜5を概観するに、図示されているのは、光源54と、拡散板48と、そして画像記録装置22と、を備える光学的欠陥検出システム10である。光源54は、光を放出するように構成され、そしてこの点に関して、拡散板48によって拡散される光を供給する、または放出することができる何れかの適切な照明装置を備えることができる。例えば、光源54は、1つ以上の白熱灯及び/又は蛍光灯62または電球により構成することができる。
図3に示すように、複数の蛍光発光素子56または蛍光管は、アーチパターンに並べることができ、かつ互いに平行に離間して配置することができる。しかしながら、これらの発光素子56は、過剰な熱を発生することなく光を放出することができる何れかの適切なデバイスとして構成することができ、過剰な熱が発生すると、拡散板48及び/又は透明部材104にダメージを与える虞がある。
【0027】
更に、白熱電球、及び発光ダイオード(LED)のような他の光源54を光源54に用いることができるが、蛍光管が、白熱電球または白熱灯に比べて、蛍光管の強度または輝度(すなわち、光度)が相対的に高く、熱出力が小さく、そして動作寿命が長いので、好適な構成となり得る。
図3に複数の細長の蛍光灯62として図示されているが、光源54は、多種多様な別の配置になるように製造または構成することができ、例えば白熱電球アレイ、及び/又はLEDアレイとして製造または構成することができる、または単一光源54として、または複数の発光素子56として提供することができる他の何れかの発光素子群56の組み合わせとして製造または構成することができる。
【0028】
更に、この点に関して、光源54は、比較的高い強度の光を、熱出力を低く維持しながら放出することが好ましい何れかの適切な発光素子56により構成することができる。発光素子構造の非限定的な例として:キセノンショートアークランプ、水銀ランプ、タングステン写真電球、タングステンハロゲンランプ、高圧ナトリウムランプ、及び他の何れかの適切な発光素子構造を挙げることができる。画像記録装置は、画像のホワイトバランスを、光源により生成される光の色温度、及び光の色または色合いを考慮に入れて、そして透明部材の自然色を考慮に入れて調整する手段を含むことができる。
【0029】
図3〜5を参照するに、蛍光灯62は、垂直姿勢に配置される複数の照明固定具58に取り付けることができる。これらの照明固定具58は、検出固定具12のハウジング14に固く取り付けることができる。これらの発光素子56(すなわち、蛍光灯62)の各1つの発光素子は、拡散板48の凹凸に沿って等間隔で離間させることにより、均一に分散された光出力を拡散板48に供給することができる。各照明固定具58は、これらの蛍光灯62のうちの1つ以上の(例えば、一対の)蛍光灯62を、各照明固定具58の上側ランプ保持具及び下側ランプ保持具60に取り付けるように構成することができる。1つの実施形態では、これらの照明固定具58は、各蛍光灯が5,500ルーメンの蛍光発光能力を有する構成の85ワット蛍光灯62に給電する120/277V給電用固定具として構成することができる。しかしながら、何れかの電圧、電流を引き出す能力を持つ、または何れかの数値のルーメンで発光する能力を持つ蛍光灯62を使用してもよい。均一に離間するこれらの蛍光灯62は、均一分散光を拡散板48に、透明部材104の画像を記録する背景光として供給する。しかしながら、上に示したように、何れの構成の発光素子56も、拡散板48を照明するために使用することができる。
【0030】
図3〜5を参照し続けると、欠陥検出システム10は反射板64を含むことができ、この反射板64は、光源54に隣接配置することができる。
図4〜5に示すように、反射板64は、これらの照明固定具58とこれらの蛍光灯62との間に配置することができる。この配置では、反射板64は、発光素子56のうち、拡散板48とは反対の側に配置されて、反射板64が光源54から放出される光を反射するようにしている。当該光は、拡散板48の方に向かう方向に反射されて、拡散板48に供給される光の合計量を最大にすることが好ましい。この点に関して、反射板64によって、拡散板48に対する均一な照明が容易になり、この場合、光は、拡散板48全体に略均一に分散される。
【0031】
更に、反射板64は、光を、拡散板48内の影、輝点、及び/又はホットスポットの発生が無くなるように反射することにより、拡散板48に効果的に作用することができる。反射板64は、検出固定具12のハウジング14に固く取り付ける、または一時的に取り付けることができる。反射板64は、
図4から最も良く分かるように、光源54の後方に配置することができ、かつハウジング14の上側パネル16と下側パネル16との間に延設することができる。1つの実施形態では、反射板64は、照明固定具58に固く取り付けられる金属材料シートにより構成することができる、そして/または
図3に示すように、拡散板48の凹凸に、そして/または光源54のアーチ形に一致するように形成することができる。更に、反射板64は、これらの発光素子56から僅かに離間して配置されて、拡散板48の方に向かって誘導することができる反射光の量を最大にすることが好ましい。以上から分かるように、反射板64は、何れかの適切な材料を含むことができ、そしてこれらには限定されないが、紙シート、プラスチックシート、金属シート、またはこれらのシートの組み合わせを含む多種多様な構造に構成することができる。更に、反射板64は、何れかの適切な反射色の、または反射仕上げのペイント層として構成することができる。更に、反射板64は、照明固定具58に施される、そして/または透明部材104のうち、拡散板48とは反対の側108に配置される裏打ち材(図示せず)に施される反射コーティングまたは反射処理剤により簡単に構成することができる。
【0032】
図3〜5を参照し続けると、図示されているのは拡散板48であり、この拡散板48は、光源54と透明部材104との間に配置されることが好ましく、かつ透明部材104と相補的な形状の凹凸に形成される、または相補的な形状に形成されて、画像記録装置22によって視認または撮像されるときの透明部材104に対する均一なバックライト照明を容易に行うことができる。この目的のために、拡散板48は、所望の透過率を有する適切なガラス材料及び/又はポリマー材料で作製することができる。拡散板48は、熱処理することにより、航空機100のキャノピー112、及び小型高速航空機風防110のような非常に短い曲率を有する特定の透明部材104に忠実に追従するために必要とされる比較的短い曲率半径に拡散板48を成形するときの亀裂及び/又は割れを回避することができる。所望の半径に成形する前の拡散板48に対する熱処理が更に、拡散板48が曲率の変化が少ない半径、または曲率が大きい半径に向かって弾性力で戻る、または徐々に変化するのを防止するために必要となる。
【0033】
この目的のために、拡散板48に拡散板枠50を設けて、拡散板48の曲率を保持することができる。拡散板枠50は、これらには限定されないが、金属構造及び/又はポリマー構造を含む何れかの構造とすることができるが、他の材料を使用して、拡散板枠50を形成することにより拡散板48の曲率を保持するようにしてもよい。この点に関して、拡散板48をハウジング14の上側及び下側パネル16の各パネルに形成される切欠き部18に締結固定することにより、拡散板48の位置及び曲率を保持することができる構成を想到することができる。
【0034】
単一の湾曲構造を有するものとして図示されているが、拡散板48は、複雑な形状または輪郭形状に形成することができる。例えば、
図1に示すキャノピーのような湾曲した航空機100キャノピー112を検査する場合、拡散板48は、複合湾曲形状に形成することができ、そして所定の材料組成及び厚さの場合に許容される最小曲げ半径によって異なるが、拡散板48に熱処理を施して、拡散板48をキャノピー112の小半径に成形する必要がある。
【0035】
拡散板48は、光のうち所望の百分率に相当する光を透過することができるポリマー材料のような材料からなるシートとして構成することができる。例えば、拡散板48は、光源54から放出される、そして/または反射板64によって反射される光のような光の約25〜75%を透過するように構成することができる。別の実施形態では、拡散板48は、光源54から放出される、そして/または反射板64によって反射される光の少なくとも約50%を透過するように構成することができる。しかしながら、拡散板48は、如何なる量の光でも透過するように構成することができる。
【0036】
拡散板48の材料に関しては、アクリルのような材料から成る熱可塑性透明シートを使用することができるが、他のポリマー組成物を使用してもよく、他のポリマー組成物として、これに限定されないが、ポリカーボネート材料を挙げることができる。更には、拡散板48を、光を拡散板48の面積全体に亘って均一に分散させる適切な拡散特性を有するガラスにより作製する構成を想到することができる。しかしながら、ポリマー組成物は、ポリマーシートを複雑な形状または輪郭形状に成形することが相対的に容易であるので、好ましい。この点に関して、拡散板48は、何れかの適切な範囲の光透過率を示す材料により作製する、または構成することができ、この範囲の光透過率は、透明部材104の視認部分122を均一に照明するために十分であることが好ましく、これにより更に、拡散板48内の輝点の発生を無くすこともできる。
【0037】
1つの実施形態では、拡散板48は、約0.030〜0.25インチの範囲の厚さを有するプレキシガラス(Plexiglas)シートとして構成することができるが、如何なる厚さを用いてもよい。一般的に、シートの厚さを最小に保って、輪郭に成形するときの拡散板48内の曲げ応力を低減し、そして拡散板48に対する熱処理の時間を最小にすることが好ましく、熱処理時間を最小にすることは、残留応力を低減する、または除去するために必要であり、低減または除去しない場合には、拡散板48が、当該拡散板の初期の平板形状または平坦形状に弾性力で戻り易くなる。例えば、拡散板48は、拡散板48を輪郭形状に成形するために必要な熱処理の長さを最小にしつつ十分高い光透過率を有する0.063インチ厚のシート材料として設けることができる。しかしながら、可用性及び/又はコストによって、例えば0.118インチ厚のプレキシガラス板のような、より厚い材料厚さが決定され、このプレキシガラス板は、上側パネルと下側パネル16との間を、そしてハウジング14の対応する側面の間を連続して延びる長さ、及び幅を持つものとして設けることにより、透明部材104の照明背景の不連続または中断を回避することができる。透明部材104が航空機100風防110を構成する図示の実施形態では、拡散板48を、0.118インチの厚さ、及び適切な長さ及び幅(例えば、6フィート×8フィート)を有するプレキシガラス板として設けることにより、透明部材104の背景を連続させることができる。プレキシガラスは、50%の可視光透過率を有することができるが、拡散板48は、何れかの光透過度を示す何れの材料によっても組み立てることができる。
【0038】
図4〜5を参照するに、図示されているのは、ハウジング14に固く取り付けることができ、かつ拡散板間隙52で指示されるように、光源54に対して離間して配置されることが好ましい拡散板48である。この点に関して、拡散板48は、光源54から離間配置して、拡散板48及び/又は透明部材104にダメージを与え得る過熱を回避することができる。更に、拡散板48を光源54から離間配置することにより、拡散板48内の輝点の発生を無くすことができる。1つの実施形態では、拡散板48は、光源54から、約1インチの拡散板間隙52だけ離間させることができるが、拡散板348は、及び光源54は、何れのサイズの拡散板間隙52でも離間させることができる。
【0039】
図2,3,及び5を参照するに、図示されているのは、上側パネル及び下側パネル16を相互に接続する1つ以上の垂直枠部材20を備えることができるハウジング14である。ハウジング14は、光源54、拡散板48、及び/又は反射板64を、互いに対して固定して、または調整可能に取り付けるように構成することができる。ハウジング14の1つの実施形態では、照明固定具58の上端及び下端を、パネル群16に、例えば機械的な締結固定手段、接着手段、または他の適切な手段により取り付けることができる。同様に、
図3から最も良く分かるように、反射板64及び/又は拡散板48は、これらのパネル16に、これらのパネル16に形成される切欠き部18に沿って取り付けることができる。ハウジング14は、部分閉鎖構造として構成することにより、ハウジング14の内部への接近が可能になり、例えば照明固定具58または電気配線を操作して、電力を電源(図示せず)から照明固定具58に供給することができる。また、配線を施して、電力を画像記録装置22に供給する、そして/またはプロセッサに供給する、または画像記録装置22を制御するために使用することができるようなパーソナルコンピュータまたはラップトップのようなコントローラに供給することができる。
【0040】
ハウジング14は、任意であるが、電力を付属部品群に供給する1つ以上の電源出力84を含むことができる。更に、1つ以上のスイッチ86をハウジング14の外側部分に取り入れて、光源54を作動させる、そして/または画像記録装置22への電力供給を有効にする、または電力を画像記録装置22に供給することができる。例えば、検出固定具12は、一対のスイッチ86を含むことができ、これらのスイッチ86は、ハウジング14に取り付けられて発光素子群56の異なる部分を作動させる。一方のスイッチ86は、ハウジング14の左側のスイッチ86は、ハウジング14の左側の発光素子群56を作動させるように適合させることができるのに対し、他方の照明スイッチ86は、ハウジング14の右側の発光素子群56を作動させるように適合させることができる。
【0041】
切欠き部18が上側パネル及び下側パネル16に設けられる構成の略直交形状を有するものとして図示されているが、ハウジング14は、多種多様な別の構造として構成することができ、そして図示の構造に限定されない。例えば、ハウジング14は、半モノコック構造として、または管状部材配列構造として組み立てることにより、発光素子群56、反射板64、及び/又は拡散板48を取り付けることができる。更に、ハウジング14に車輪78を取り付けて、組立施設またはメンテナンス施設におけるように、異なる現場への可搬性を向上させる構成を想到することもできる。
【0042】
図2〜5を参照し続けると、図示されているのは、透明部材104及び画像記録装置22を互いに対して固定して取り付ける透明部材固定具70である。透明部材固定具70を拡散板48に対して位置決めすることにより、画像記録装置22を通して視認される場合の視認部分122の全体における何れの点も拡散板48を背景に有することができるようにする。更に詳細には、画像記録装置22、透明部材104、及び拡散板48は、画像記録装置22から延び、かつ視認部分122内の或る点を通過するベクトル34が必ず、拡散板48と交差する、または衝突するように構成される、そして/または位置決めされる。
【0043】
拡散板48が均一に照明されるので、欠陥検出システム10は、透明部材104の視認部分122の詳細写真画像及び/又はビデオ撮影画像の記録を容易にするように適合させる。透明部材104を、均一に照明される拡散板48を利用して背景照明することにより、比較的小さい欠陥群106に対する照明が容易になり、照明が容易にならない場合には、レーザ駆動機構から見えなくなる可能性がある。更に、透明部材固定具70によって画像記録装置22を位置決めして、レンズ26で、透明部材104の上縁端124及び下側辺縁126における詳細画像だけでなく、透明部材104の対向する側方辺縁128の詳細画像を撮影することができるようにすることが好ましい。例えば、
図2に示す航空機100風防110では、風防110の先端130が風防110の上縁端124を画定し、そしてアーチ部材120が風防110の下側辺縁126を画定する。対向する側方縁端128は同様にして、アーチ部材120が透明部材枠116と交差する点によって画定される。
【0044】
透明部材104が航空機100風防110として図示されているが、本明細書において開示される欠陥検出システム10は、何れかのサイズ、形状、及び構造の何れかの透明部材104内の光学的欠陥群106を検出するように適合させることができる。更に、本明細書において開示される欠陥検出システム10は、凹凸形状または湾曲形状を有する透明部材104の検査に限定されない。例えば、欠陥検出システム10は、更に具体的には、拡散板48は、略平板の透明部材、略平坦な透明部材、または僅かに湾曲した透明部材104の光学検査が容易になって、拡散板48を平板形に形成することができるように適合させることができる構成を想到することができる。同様に、透明部材104が平板である場合、反射板64及び/又は光源54も、拡散板48と相補的な形状に形成されるように構成することができる。更に、検出固定具12は、透明部材104が、画像記録装置22を基準に取り付けられるものとして図示されているが、画像記録装置22をハウジング14に取り付けることができる構成を想到することができる。同様に、検出固定具12は完全に無くしてもよく、そして透明部材104を拡散板48及び画像記録装置22に対して、画像記録装置22のレンズ26を通過し、かつ透明部材104の視認部分122を通って延びるベクトル34が必ず、拡散板48と衝突する、または交差するように簡単に位置決めすることができる。この点に関して、
図4及び5に示すベクトル群34は、所定の視野角を持つ所定のレンズを通してどの位の範囲を視認することができるかを表わしている。
【0045】
図4を参照するに、透明部材固定具70は、画像記録装置22をカメラマウント42に取り付けることができるように構成することができる。画像記録装置22を位置決めして、レンズ26の光軸28を透明部材104の高さ114に沿った略中点に位置させることにより、視認部分122の上縁端124及び下側辺縁126の検査を十分高い解像度で容易に行なえるようにすることができる。この点に関して、画像記録装置22に、上縁端124及び下側辺縁126を含む垂直視野角30を持たせることが好ましい。
図4から分かるように、レンズ26から延び、かつ視認部分122の上縁端124及び下側辺縁126を通過するベクトル群34は拡散板48と交差する。明らかなことであるが、水平方向に向いた光軸28が交差する透明部材104の領域は、透明部材104の残りの領域と比べると、最適な解像度で撮像することができる。
図4に示す画像記録装置22の垂直視野角30は、画像記録装置22を集合的に支持するオフセットアーム36及び垂直アーム38に邪魔されるので約175°として図示されている。しかしながら、垂直視野角30は、180°に拡大することができるが、画像記録装置22は、視野角の他の値を設定することができる。
【0046】
図5を参照するに、画像記録装置22は更に、水平視野角32を設定し、この水平視野角32は、レンズ26の焦点距離によって異なるが、180°以上に拡大することができる。しかしながら、画像記録装置22が回転軸88の回りに回転方向90に沿って回転すると、水平視野角32を最大360°まで拡大することができ、そして画像記録装置22の回転性能によって異なるが、360°を僅かに超える角度まで拡大することができる。透明部材104が
図5に示す構成の場合、回転方向90に沿った画像記録装置22の合計回転角度は、225°に制限することができる。画像記録装置22のこのような制限回転角度を、適切な魚眼レンズ26の180°の静的視野と組み合わせるだけで、透明部材104の対向する側の透明部材枠116の間を延びる視認部分122の全体を撮影するために十分である。360°の回転が行なわれる場合、画像記録装置22は、略球形の視野を実現することができる。
【0047】
画像記録装置22は更に、並進移動して所望の物体を撮像するように適合させることができる。例えば、画像記録装置22は、垂直方向に、水平方向に、対角方向に、またはこれらの方向を組み合わせた方向に移動して、透明部材104のような物体の画像を記録するように適合させることができる。同様に、画像記録装置22は、回転しながら並進移動することにより、透明部材104のような物体の撮像を容易にするように適合させることができる。この点に関して、画像記録装置22は、透明部材104または他の物体の撮像中に、回転、並進移動、チルト、及びロール、及び他の何れかの動き、またはこれらの動きの組み合わせを含む何れかの動作で移動するように適合させることができる。例えば、比較的高さが高く、かつ幅が狭い物体を撮像する場合、画像記録装置22は、当該物体の底部から当該物体の上部に向かう方向のような垂直方向に、物体の高速撮像中に並進移動するように適合させることができる。比較的平坦な物体が比較的広い幅を有し、かつ比較的低い高さを有する場合、画像記録装置22は、物体の高速撮像中に物体の一方の端部から反対側の端部に水平方向に並進移動するように適合させることができる。更に、物体がレンズ26の最大視野角からはみ出す場合、漸次撮像するステップ群を組み合わせて、物体の全体を撮影し、続いて後処理して複数の画像を継ぎ合わせて1枚のパノラマ画像を生成する必要がある。
【0048】
画像記録装置22は、十分に高い解像度を持ち、かつ軸回りに回転可能な何れかの装置として構成することができる。例えば、画像記録装置22は、カリフォルニア州Van Nuys(ヴァンナイス市)にあるPanoscan(パノスキャン)社から市販され、かつPanoscan MK−3カメラの商品名で知られるカメラのようなパノラマカメラ24として構成することができる。広角レンズ26を取り付ける場合、画像記録装置22は、透明部材104の360°パノラマ画像を記録することができる。炭素微粒子のような光学的欠陥群106の検出は、画像が、このような欠陥群106が無いことが分かっている基準画像と比較される場合には、ピクセルごとにピンポイントで行うことができる。欠陥の無い基準画像は、拡散板48を、同じレンズ26を有し、かつ透明部材104の画像を記録するために使用される同じ光源54、拡散板48、及び/又は反射板64の設定を使用する画像記録装置22で走査することにより記録することができる。保存基準画像、またはリアルタイム基準画像を被検査透明部材104の保存画像またはリアルタイム画像とピクセルごとに比較することにより、潜在的な光学的欠陥群106の位置及びサイズを検出し、そして記録することができる。
【0049】
画像記録装置22は、何れかの適切なスチルカメラ24またはビデオカメラ24と、そして何れかのデジタルまたはアナログカメラ24と、を備えることができ、そして画像記録装置22に、何れかの焦点距離の何れかのレンズ26を取り付けることができる。更に、画像記録装置22は、回転基台40に取り付けられる構成に限定されず、透明部材104の画像、または他の物体の画像を集合的に記録する複数のカメラ24として構成してもよい。更には、画像記録装置22は、光軸28が、上縁端124と下側辺縁126との間の(すなわち、先端130からアーチ部材120に向かう)透明部材104の高さ114に沿った略中点に配置されるように位置決めされることが好ましい。しかしながら、画像記録装置22は更に、高さを調整することができるので、透明部材104に対する、そしてレンズ26の垂直視野角30に収めることができる物体よりも大きい他の物体に対する走査が可能になる。例えば、画像記録装置22は、上側位置及び下側位置(図示せず)に位置決めすることができるので、透明部材104の上側部分のパノラマ画像を記録し、続いて透明部材104の下側部分をパノラマ撮像し、その後、透明部材104の画像群を、各位置で記録された画像群を継ぎ合わせることにより合成することができる。画像記録装置22の高さを調整することができることにより、透明部材104の上側位置及び下側位置における透明部材104の画像群の解像度を高めることができる。
【0050】
図4〜5を参照し続けると、画像記録装置22は、透明部材固定具70に、これらの図に取り付けプレート72に取り付けられるものとして図示されているカメラマウント42を介して取り付けることができる。画像記録装置22の基台40はモータ駆動機構を含むことができ、このモータ駆動機構によって、回転軸88回りの画像記録装置22の回転が容易になる。前に示したように、画像記録装置22は、レンズ26の光学中心が
図5に示すように、回転軸88に一致して、画像記録装置22が回転軸88回りに回転している間に、光学中心が略静止するように取り付けることができる。しかしながら、画像記録装置22は、光学中心が、画像記録装置22の回転中に回転するように構成することができる。
【0051】
1つの実施形態では、画像記録装置22は、少なくとも約0.010インチのという短い幅を有する欠陥群106を記録するために十分高い解像度を透明部材104の視認部分122の全体に亘って有することが好ましい。例えば、カメラ24は、カメラ24の回転角度によって異なるが、最高で少なくとも約9,000ピクセルの垂直解像度、及び最高で少なくとも約65,000ピクセルの水平解像度を有することができる。しかしながら、画像記録装置22は、所定のサイズの欠陥群106を記録するために十分高い何れかの解像能力を有するように提供することができる。理想的には、画像記録装置22は、デジタルカメラ24として構成して、欠陥106のサイズ及び位置のデジタル記録の生成を可能にするだけでなく、少なくとも約0.030インチという小さいサイズ、更に好ましくは、少なくとも約0.010インチ以下という小さいサイズを持つ欠陥群106を特定する能力を有することができる。例えば、画像記録装置22は、0.005インチ以下という微小な欠陥群106を記録するために十分高い解像度を有することができる。更に、カメラ24を高速デジタルカメラ24として提供して大型の透明部材104を走査し、そして透明部材104の画像を記録するために必要な時間の長さを短くすることが好ましい。有利な点として、欠陥検出システム10によって、欠陥群106に対する照明、及び欠陥群106の検出が容易になり、これらが容易にならない場合には、欠陥106を記録するレーザ駆動機構には見えなくなる。更に、拡散板48を、透明部材104と相補的な形状の凹凸に形成する、または相補的な形状に形成すると、比較的小さい光学的欠陥群106を、上縁端124と下側辺縁126との間に沿って、そして透明部材104の対向する側方辺縁128の間に沿って確実に、正確に検出することが容易になる。
【0052】
図4〜5を参照し続けると、透明部材固定具70は、透明部材104を支持して、透明部材104が略垂直な姿勢になって、カメラ24から上縁端124及び下側辺縁126にある透明部材104までの距離が等しくなるように構成される。このようにして、視認部分122の上縁端124及び下側辺縁126を、略等しい解像度で撮像することができる。理想的には、透明部材104は更に、透明部材固定具70に取り付けられて、透明部材104が拡散板48に対して略平行な姿勢になる、または拡散板48と略一致する姿勢になって、透明部材104の視認部分122が拡散板48によって略一様に、または略均一に照明されるようになることが好ましい。
【0053】
上に示したように、カメラ24及び拡散板48に対する透明部材104の位置決めは、好ましくは、かつ任意であるが、ベクトル34が、レンズ26から突出する、または延び、そして次に、透明部材104の視認部分122の何れかの位置を通過する場合には必ず、ベクトル34が拡散板48と衝突する、または交差するように行なわれることが好ましい。この目的のために、透明部材104を一対のシムブロック76または他の適切な高さ調整機構に取り付けて、透明部材104が略垂直な姿勢を採るのを容易にすることができる。透明部材104は、透明部材固定具70に、透明部材取り付け孔群118に通して透明部材枠116に挿入される機械式仮止めファスナー74を使用して固く固定することができる。透明部材104は
図5に、透明部材固定具70にCleco(クリコ)ファスナーのような一対の機械式仮止めファスナー74を介して固く固定されるものとして図示されているが、任意の数の機械式ファスナー、及び接続ブラケットを設けて、透明部材104を固く固定することにより、検査中の動きを防止することができる。例えば、
図4から最も良く分かるように、3番目の機械式ファスナー74を、透明部材104のクレスト(山頂)に位置するアーチ部材120に設けられた1つ以上の透明部材取り付け孔118に通して突出させることができる。しかしながら、透明部材104は、透明部材固定具70の上で、機械的手段または他の取り付け手段を援用することなく支持することができる。
【0054】
透明部材固定具70は、水平方向を向いた一連の水平パネル82を相互接続する一連の垂直枠80を備えるものとして図示されている。しかしながら、透明部材固定具70は、画像記録装置22及び透明部材104を透明部材固定具70に固く固定するために適する多種多様な別の構造として構成することができる。更に、透明部材固定具70に車輪群78または他の機構を取り付けることにより、検出固定具12に対する透明部材104の移動を容易にすることができる。しかしながら、上に示したように、透明部材104は、検出固定具12に取り付けることにより、透明部材固定具70を無くすことができる。
【0055】
また、透明部材固定具70は、透明部材104が、先端が上方を向いた構成になっているものとして図示されているが、透明部材104は、画像記録装置22による透明部材104の撮像を可能にするために十分な何れか別の姿勢を採ることができることに留意されたい。更に、欠陥検出システム10は、デジタルカメラ24が透明部材104の画像を垂直配向回転軸88の回りの、そして/または水平配向回転軸の回りの、または他の方向を向いた軸の回りの回転を利用して記録することができる何れかの構造になるように構成することができる。更に、欠陥検出システム10は、透明部材104を一度に1つだけ検査する動作に限定されると捉えられるべきではなく、複数の(すなわち、2つ以上の)透明部材104または他の物体を、1回の撮像動作中に検査するように構成することができる。透明部材群104を検査する動作について上に説明されているが、欠陥検出システム10を用いて、可視光を透過しない不透明物体または不透明物体群を検査する構成を想到することもできる。この点に関して、画像記録装置22を用いて、湾曲形状を有する物体のパノラマ画像を記録することができる。
【0056】
図6に示すフローチャートを参照し、そして
図1〜5を併せて参照するに、図示されているのは、透明部材104の画像を記録する方法である。上に示したように、透明部材104は、透明部材枠116で区切られる視認部分122を含むことができる。当該方法は、ステップ200を含むことができ、このステップ200では、光源54を透明部材104に隣接するように位置決めする。前に示したように、光源54は、多種多様な別の構造として構成することができ、これらの構造では、これに限定されないが、一連の蛍光灯62を互いに離間する平行な向きにしてアーチ状に配置する。光源54は、透明部材104に対して離間して配置して、透明部材104に対する過度の放射加熱を回避することができる。
【0057】
ステップ202では、光を光源54から放出して、光が拡散板48に入射するようにする。反射板64を、
図3〜5に示すように、光源54の後方に設けて、拡散板48に入射する光の量及び/又は強度を増大させることができる。上に示したように、反射板64は、光を拡散板48に向かって反射して、または再誘導して、拡散板48に影が生じるのを、または拡散板48が不均一に照明されるのを回避し、そして透明部材104が画像記録装置22によって撮像されるときの撮像対象の背景を均一に照らすように構成されることが好ましい。過度の熱が拡散板48に蓄積されるのを回避するために、拡散板48は、光源54から、
図4〜5に示す拡散板隙間52で定義される離間距離だけ離れて配置される必要がある。拡散板48を光源54から離間させると、拡散板48に対する略均一な照明が、拡散板48内の影、ホットスポット、及び/又は輝点が無くなることにより一層容易になる。
【0058】
ステップ204では、光を拡散させて拡散板48を照明することにより、光を、拡散板48全体に亘って略均一に拡散させる、または分散させて透明部材104を均一に撮像する。好適であり、かつ任意である実施形態では、拡散板48は、光源54から放出される光の約50%を透過するように構成することができるが、拡散板48は、透明部材104を十分に照明する、またはバックライト照明するどの程度の量の光でも透過するように構成してもよい。拡散板48は、多種多様な異なる材料により形成することができ、これらの材料として、これらには限定されないが、アクリルシートまたはプレキシガラスシートのようなポリマー材料を挙げることができるが、何れの材料を用いてもよい。当該材料は、所望の光透過特性を実現するように選択されることが好ましい。拡散板48は任意であるが、複数種類の材料の組み合わせとして、または透明部材104を視認するために背景を均一に照明することができるように構成されるアセンブリとして形成することができる。
【0059】
ステップ206では、画像記録装置22を透明部材104のうち、拡散板48とは反対の側に配置して、視認部分122の一部を通過するベクトル34が必ず、
図4〜5に示すように、拡散板48と交差する、または衝突するようにする。この点に関して、拡散板48は、透明部材104の凹凸と相補的な形状の凹凸に形成されて、視認部分122の全体が、拡散板48によって均一にバックライト照明されることが好ましい。同様に、光源54及び/又は反射板64は、レンズ26を通して視認することができる視認部分122の領域が必ず、バックライト照明に寄与する拡散板48の外周縁を含む拡散板48の均一照明領域によってバックライト照明されるように配置されることが好ましい。この目的のために、拡散板48は、透明部材104よりも大きいサイズとする必要がある。
【0060】
透明部材104の画像を記録する方法では、画像記録装置22を適切な位置に位置決めして、透明部材104の全領域における解像度を最高にすることができる。例えば、画像記録装置22を透明部材104の高さ114に沿った中点に位置決めして、上縁端124及び下側辺縁126における解像度を等しくすることができる。画像記録装置22は、透明部材104の側方辺縁128における解像度が等しくなる位置に位置決めすることができる。画像記録装置22は、画像記録装置22が静止している場合に、視認部分122の少なくとも一部を、レンズ26の視野角30,32内で撮影することができるように位置決めされることが好ましい。比較的大きい透明部材104が、視野角30,32から普通は外れている領域を有する場合(すなわち、カメラ24が静止している場合)、視認部分122の全体を撮像するためには、画像を記録しながら画像記録装置22を移動させる必要がある。
図4に示す透明部材104の例では、視認部分122の上縁端124及び下側辺縁126は、画像記録装置22の垂直視野角30内に収まっている。
【0061】
しかしながら、
図5に示すように、視認部分122の側方辺縁128は、視野角30,32から外れているので(すなわち、カメラ24が静止している場合)、画像記録装置22は、視認部分122の全体を、一方の側方辺縁128から対向する側方辺縁128に亘って撮像するために移動させる必要がある。透明部材104が凹凸形状または湾曲形状に形成されている場合、ステップ208では、
図5に示すように、画像記録装置22を、視認部分122の画像を記録しながら、回転軸88回りに回転させることができる。しかしながら、画像記録装置22を、何れかの適切な方法で移動させて、視認部分122の全体を撮像することができる。画像記録装置22の移動は、並進移動、回転、ロール、チルト、または他の移動、及びこれらの動きの組み合わせを含むことができる。画像記録装置22の移動は更に、
図4に示され、かつ垂直回転軸88として図示される回転軸88のような少なくとも1つの回転軸の回りの画像記録装置22の回転を含むことができる。しかしながら、画像記録装置22は、他の回転軸の回りに回転させることができる。更に、画像記録装置22は、並進移動させる(例えば、垂直に、水平に、横方向などに移動させる)ことができる、または画像を記録しながら回転移動と併せて並進移動させることができる。前に説明したように、透明部材104の異なる領域の複数の画像は、継ぎ合わせる、またはそれ以外には、組み合わせることにより透明部材104の1枚の複合画像またはパノラマ画像を生成することができる。
【0062】
上に示したように、拡散板48は凹凸を有することができ、この凹凸は、透明部材104の凹凸と相補的な形状に形成されることが任意であるが好ましい。画像記録装置22は、画像記録装置22が回転軸88回りに回転すると、レンズ26から、上縁端124と下側辺縁126との間の透明部材104までの距離の変化を最小にすることができることにより、画像の品質(すなわち、解像度)が上縁端124及び下側辺縁126において略等しくなるように、透明部材104及び拡散板48に対して位置決めされることが好ましい。同様に、画像記録装置22は、対向する側方辺縁128における解像度が略等しくなるように、透明部材104に対して位置決めされることが好ましい。しかしながら、画像記録装置22を透明部材104に対して位置決めして、解像度が他の領域と比べて、透明部材104の特定の領域において高くなるようにする構成を想到することができる。光学的欠陥検出システム10は、少なくとも約0.010インチ以下という狭い幅を透明部材104の全体に亘って持つ欠陥群の記録が可能になるように構成されることが好ましい。この目的のために、画像記録装置22は、デジタル記録される欠陥106を位置特定することができ、そして文書化することができるように、デジタルカメラ24として構成することができる。
【0063】
図27A〜27Bを参照し、そして
図7〜26Cを併せて参照するに、開示されているのは、透明部材104内の光学的欠陥群162を検出する方法である。前に示したように、透明部材104は視認部分122を含み、この視認部分122は、
図4〜5に示すように、透明部材枠116及び/又はアーチ部材120で隠れてしまうことが殆どない透明部材104の透き通った部分、または透明部分を含むことができる。有利な点として、開示される方法は、透明部材104の画像ファイルをピクセルごとに解析し、そして透明部材104内の多種多様な不透明欠陥及び/又は半透明欠陥または物質を検出するプロセスとなり、これらの欠陥として、これに限定されないが、透明部材104の内部に埋まっている可能性がある炭素微粒子欠陥を挙げることができる。更に、本明細書において開示される方法は、透明部材104の内部のこのような光学的欠陥群162のサイズ、形状、及び/又は位置に関する詳細情報を生成する手段となる。更に、本開示では、透明部材104の画像ファイルを、欠陥候補群160について、最適な撮像設定で走査して、このような光学的欠陥群162を検出し、そして分類する手段となる自動化方法について説明する。
【0064】
図27A〜27Bを参照するに、当該方法のステップ300では、まず、画像記録装置22(
図7)の設定を、撮像対象の透明部材104に対して最適化することができる。例えば、F値(すなわち、fストップ)、ISO感度(すなわち、フィルムスピード)、及び色設定(すなわち、赤、緑、青)のようなカメラ設定は、透明部材104(
図7)の色相に応じて調整することができる。F値を調整して、カメラ24のセンサに達する光の量を制御することができる。例えば、Panascan(パノスキャン)社から市販されている上に説明したパノラマカメラ24は、F値を30にして、十分な量の光を受光することにより、透明部材104内の欠陥群の検出が可能になるように調整することができる。
【0065】
同様に、ISO感度またはフィルムスピードは、撮像対象の透明部材104及び照明環境に応じて調整することができる。ISO感度を約400未満に調整することにより、透明部材104の自然の平均色相を補正することができるが、ISO感度は、何れの値にも調整することができる。同様に、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の各色の色設定は、透明部材104の色相に応じて調整することができる。設定は、透明部材104の組成に応じて変えることができる。例えば、航空機100風防110は、アクリルコーティング、ポリウレタンコーティング、ポリカーボネートコーティング、及び1種類以上のコーティングから成る複数枚のプライにより構成することができ、これらのコーティングの全てが、画像記録装置22の設定に影響を与える。
【0066】
図27A〜27Bを参照し続けると、ステップ302では、透明部材104のデジタル画像150を記録することができる。
図6は、上に詳細に説明したように、透明部材104のデジタル画像150を記録する方法を示している。結果として得られるデジタル画像150ファイルは、
図2〜5に示す画像記録装置22を、
図7に示す方法で走査させて、
図8に示すデジタル画像150を生成することにより記録することができる。
【0067】
図8に示すように、デジタル画像150は、RGB形式(すなわち、三原色)で表現することができる複数の画像ピクセル152により構成することができる。しかしながら、デジタル画像150は階調に、
図27Aのステップ304において変換することができる。欠陥検出方法の1つの実施形態では、カラーデジタル画像150を階調に、何れかの適切なソフトウェアパッケージを用いて変換することができる。デジタル画像150ファイルは、サンプリングされるピクセル当たり8ビットで保存することにより、
図27Aのステップ306において決定されるように、画像ピクセル群152を256濃度階調(すなわち、階調)で表示することができる。
図10は、8ビット表示系における黒の濃度値I−0から白の最大濃度階調値I−255を含む画像ピクセル群152の相対濃度階調の図を示している。しかしながら、これに限定されないが、16ビット表示形式を含む他のファイル形式を、本明細書において開示される欠陥検出方法に用いることができる。
【0068】
図8から分かるように、画像記録装置22は、透明部材枠116に収まるように取り付けることができ、かつ下側辺縁126でアーチ部材120によって区切られ、更に透明部材104の先端130に向かって上方に延びる両側の側方辺縁128を有する透明部材104のデジタル画像150を撮影する。当該枠は、透明部材104の視認部分122の外周縁136を画定することができる。
図8に更に図示されているのは、幾つかの欠陥候補160であり、これらの欠陥候補160は、透明部材104に含まれている可能性があり、かつ透明部材104の撮像中に記録することができる。このような欠陥候補群160は、光学的欠陥群162として特定することができる。前に示したように、このような光学的欠陥群162は、これに限定されないが、炭素微粒子のような透明部材104内に埋まった微粒子物質を含む任意の数の多種多様な異なる種類の欠陥を含むことができる。しかしながら、任意の数の異なる種類の欠陥が透明部材104内に発生する可能性があり、そしてこれらの欠陥を当該方法によって検出することができる。
【0069】
本開示では更に、透明部材104内の非微粒子欠陥群(non−particulate defects)の検出を容易にすることができる。例えば、開示の方法は、透明部材104のヘイズ透過率及び/又は視感透過率を求めるように適合させることができる。この技術分野で公知の如く、ヘイズは普通、透明部材104を透過する光が散乱される度合いを示し、この散乱によって、透明部材104を通して視認することができる物体のコントラストが低下してしまう。視感透過率は、透明部材104に入射する光の量に対する透明部材104を透過することができる光の量の割合として定義することができる。
【0070】
本明細書において開示される装置及び方法実施形態では、透明部材104のヘイズ透過率、視感透過率、及び種々の他の光学係数の測定を、デジタル画像150のピクセルごとの解析に基づいて容易にすることができる。この点に関して、画像ファイルについてカラーフォーマット(すなわち、RGBフォーマット)で解析することにより、このような光学パラメータ群の測定を容易にすることができる。普通、色が黒である炭素微粒子のような欠陥群を検出する場合、デジタル画像150は、上に説明したように、カラーフォーマットから階調に変換することにより、演算密度を低くすることができる。
【0071】
図8〜10を参照するに、
図27A〜27Bに開示される方法のステップ308では、透明部材104の外周縁136を検出することができる。外周縁136の検出は、視認部分122の所定の外周縁138を選択することにより、そして/または画像ピクセル群152をピクセルごとに解析することにより行うことができる。しかしながら、外周縁136の検出は、何れかの適切なエッジ検出方法を使用することにより行うことができる。外周縁136を、所定の外周縁138を選択することにより検出するに当たって、当該方法では、視認部分122の外周縁136に関して事前に定義された位置座標を使用することができる。
【0072】
図8のデジタル画像150を参照すると、視認部分122の外周縁136は、透明部材104のうち、透明部材枠116から透明部材104の略透明視認部分122に移行する部分として定義することができる。この点に関して、所定の外周縁138は、透明部材104の3次元ファイルを2次元投影図に変更することにより求めることができ、この2次元投影図は、画像記録装置22によって記録されているパノラマデジタル画像150に関連付けることができる。
図1〜5に示す航空機100風防110の直円錐のような比較的簡単な幾何学構造の場合、透明部材104の視認部分122の外周縁136は、幾何学構造を3次元から2次元投影図に、デジタル画像150に酷似するように投影することにより求めることができる。
【0073】
別の構成として、ステップ308における透明部材104の視認部分122の外周縁136の検出では、デジタル画像150の画像ピクセル群152のピクセルごとの解析を行うことができ、この場合、濃度階調の比較的均一な変化を外周縁136の検出に対応させることができる。例えば、
図9を参照するに、図示されているのは、デジタル画像150のうち、複数の画像ピクセル152を含んでいる部分であり、これらの画像ピクセル152の各1つの画像ピクセルは、1つの濃度階調を有する。所定の連続する(すなわち、所定の数の)ピクセルについての隣接ピクセル間の濃度階調の比較的均一な変化(すなわち、濃度勾配)は、透明部材104の視認部分122の外周縁136に対応させることができる。
図9に示す非限定的な例では、デジタル画像150の一部の左側は、濃度階調I−0を有するピクセル群を含み、この濃度階調は、勾配値I−10だけ、
図9のデジタル画像150の一部の左側から、
図9のデジタル画像150の一部の右側に向かう方向に沿って比較的均一に増大する。
【0074】
これとは異なり、隣接する画像ピクセル152の濃度階調の不均一な変化、または急峻な変化は、視認部分122の外周縁136を示唆するのではなく、炭素微粒子のような欠陥を示唆することができる。別の非限定的な例では、複数のI−200で表わされる濃度階調が1桁(すなわち、I−0)の濃度階調に急峻に変化する場合の連続するピクセルに沿った濃度階調の変化は、1つの欠陥を表わすことができ、そして透明部材104の外周縁136を必ずしも表わしてはいない。この点に関して、当該方法では、外周縁136を検出するパラメータ群を調整する、または選択するようにする、例えば連続する画像ピクセル152の個数を調整する、または選択して、当該個数を外周縁136の検出中に考慮に入れる構成を想到することができる。
【0075】
図11〜16を参照するに、
図27A〜27Bの方法のステップ310では、視認部分122内の欠陥候補群160を検出して、このような欠陥候補群160を光学的欠陥群162と見なすことができるかどうかを、または欠陥候補群160が画像欠陥群158を含んでいるかどうかを判断する。このような画像欠陥群158は、相対的に少ない個数の画像ピクセル152(例えば、3画像ピクセル未満)を、非常に低い濃度階調(例えば、I−0)を有する透明部材104の局所領域に含むことができる。このような画像ピクセル群152は、非常に高い濃度階調(例えば、I−200の濃度階調)を有する画像ピクセル群152によって取り囲まれる可能性がある。
【0076】
欠陥候補群160を解析するに当たって、当該方法は、濃度勾配(すなわち、Δ210)を、デジタル画像150内の隣接する対の画像ピクセル152の各1対の画像ピクセル152について計算するステップ312(
図27A)を含むことができる。例えば、
図11に示すデジタル画像150の一部に関して、画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルは、当該画像ピクセルに関連付けられる濃度階調を有する。
図11から分かるように、画像ピクセル群152のうちの幾つかの画像ピクセルは、非常に低い濃度階調を有することができ、そして1つ以上の集合にクラスタリングすることができる。画像ピクセル群152から成る同様の集合群は、透明部材104全体に分散している可能性がある。濃度勾配は、
図12に示すように、隣接する対の画像ピクセル152の各1対の画像ピクセルについて、水平方向(例えば、x)及び垂直方向(例えば、y)に計算することができる、またはデジタル画像150内の互いに対するピクセル群の配置によって異なるが、他の方向に計算することができる。例えば、
図12の画像ピクセル群152のうちの1つの画像ピクセルがI−0の濃度階調を有する場合、当該画像ピクセルに隣接する4個の画像ピクセル152は、I−0,I−15,1−240,及び1−15の濃度階調を有することができる。
【0077】
図13を参照するに、当該方法のステップ314(
図27A)では、画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルに、1つの勾配値を割り当てることができる。画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルに対応して選択される勾配値は、画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルに関連付けられる濃度勾配群の絶対値の最大値を含むことができる。上記例の場合、画像ピクセル群152には、4個の隣接する画像ピクセル152の濃度階調(I−0,I−15,1−240,1−15)の最大勾配値(すなわち、Δ240)を割り当てることができる。1つの勾配値を1個のピクセルに割り当てる別の手法では、関連する濃度勾配をx方向に記録し、濃度勾配をx方向に記録し、そして次に、x方向勾配値、及びy方向勾配値のうちの大きい方の勾配値を、画像ピクセル152に割り当てられる値として割り当てることになる。1つの勾配値を画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルに対応して選択すると、
図27Aのステップ316では、画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルに
図13に示す通りに割り当てられる勾配値群により構成される勾配画像154を作成することができる。
【0078】
図27Aのステップ318では、所定の勾配閾値を上回る勾配値を有する画像ピクセル群152を特定する。例えば、Δ100以上の勾配値を有する各画像ピクセル152を特定することができ、そして当該画像ピクセルの位置にフラグを立てる、または注記を貼付することができる。このようにして、勾配閾値は、濃度階調の極めて急峻な変化を特定する手段となり、この急峻な変化は、視認部分122の外周縁136とは異なり、光学的欠陥162の位置に対応させることができる。明らかなことであるが、勾配閾値は、検査対象の透明部材104に適する何れかの所望値に設定することができる。勾配閾値を上回る勾配値を有する画像ピクセル群152を特定すると、このような画像ピクセル群152は、ピクセル候補群156として指定することができる。これらのピクセル候補156は、透明部材104内の1つ以上の欠陥候補160を含むことができる。
【0079】
図14を参照するに、当該方法のステップ320(
図27B)では、欠陥候補群160を分類することができ、この分類では、ステップ318において指定されたピクセル候補群156の各1つのピクセル候補の位置を特定することができる。欠陥候補群160を分類するステップの一部として、ピクセル候補群156の各1つのピクセル候補の位置をステップ322(
図27B)において特定することができる。ピクセル候補群156の位置は、
図8に示すように、デジタル画像150の原点及び座標系を基準として特定することができる。
図4を参照し続けると、分類操作のステップ324(
図27B)では、ピクセル候補群156を1つ以上のピクセルクラスタ164に、ピクセル候補群156の相対位置に基づいて、クラスタリングする、または分割することができる。例えば、
図14は、ステップ318でフラグを立てた、または特定された2つのピクセル集合を、非常に大きい勾配値の領域として図示している。
【0080】
一旦、特定されると、ピクセル候補群156は、ステップ324において、適切なクラスタリング法でクラスタリングすることができる。更に、重心166をピクセル候補群156のピクセルクラスタ群164の各1つのピクセルクラスタに対応して定義することができる。このようにして、ピクセル候補群156の位置は、極めて近接する他のピクセル候補群156と一緒にグループ化することができる。ピクセル候補群156のグループ化またはクラスタリングでは、デジタル画像150を複数のピクセルクラスタ164に分割することができる。
図14は、2つのピクセルクラスタ164を分割するパーティション168を図示している。しかしながら、透明部材104のデジタル画像150全体に亘って、画像ピクセル群152は、パーティション群168で分割することができる複数のピクセルクラスタ164にクラスタリングすることができるピクセル候補群156を含むことができる。
【0081】
1つの実施形態では、ピクセル候補群156をクラスタリングするステップは、k−平均クラスタリングを用いて行うことができる、または他の何れかの適切なクラスタリング法を用いることにより行うことができる。k−平均クラスタリングでは、kは、k個のクラスタに対応する整数を指す。kの値は、クラスタリングプロセスを開始する前に予め選択しておくことができる、またはkの値は、デジタル画像150内の画像ピクセル群152の合計数以上の数値として、または他の何れかの適切な値として指定することができる。
図14に示すように、ピクセルクラスタ群164の各1つのピクセルクラスタは、当該ピクセルクラスタに関連付けられる重心166を含むことができる。重心166は、ピクセルクラスタ164内に含まれるピクセル候補群156の中心を表わすことができる。
【0082】
当該方法のステップ326(
図27B)では更に、ピクセルクラスタ群164の各1つのピクセルクラスタ内のピクセル候補群156の数をピクセル数閾値と比較することにより、欠陥候補160が光学的欠陥162または画像欠陥158を含んでいるかどうかを判断することができる。1つの実施形態では、ピクセル数閾値は、画像ピクセル群152の比較的少ない個数として選択することができる(例えば、3つよりも多くの画像ピクセル152を光学的欠陥162と見なすことができる)。例えば、
図14では、ピクセルクラスタ群164のうちの最も下側のピクセルクラスタは、ピクセル候補群156のうちの7つのピクセル候補を含む。同様に、ピクセルクラスタ群164のうちの上側のピクセルクラスタは、ピクセル候補群156のうちの5つのピクセル候補を含むことにより、
図14に示すピクセルクラスタ群164の各ピクセルクラスタを、例示的なピクセル数閾値を用いて、光学的欠陥162と見なすことができる。
【0083】
これとは異なり、
図17〜20を参照するに、
図17に示すデジタル画像150の一部は、画像ピクセル群152のうち、非常に小さい濃度階調値(すなわち、I−0)を有する画像ピクセルを1つだけ含み、当該画像ピクセルは、非常に大きい濃度階調値(すなわち、I−240)を有する画像ピクセル群152によって取り囲まれる。
図17〜20に示すデジタル画像150の一部を解析するプロセスは、
図8〜16に示すデジタル画像150の一部について上に説明したプロセスと同様である。この点に関して、欠陥候補群160を検出するステップ310を含むプロセスは、
図17に示すデジタル画像150の一部に対して行なわれ、これにより、
図18に示すように、濃度勾配群の計算がステップ312において行なわれることになる。
【0084】
当該プロセスでは更に、
図19に示すように、ステップ314において、勾配値を画像ピクセル群152の各1つの画像ピクセルに割り当て、そしてステップ318の勾配閾値を上回る勾配値を有するピクセル候補群156を特定して、
図20に示す画像ピクセル群152に、潜在的な光学的欠陥162を示唆する高勾配領域としてフラグを立てる。上の例に示すピクセル数閾値基準(すなわち、3つよりも多くの画像ピクセル152を光学的欠陥162と見なす)によれば、
図20に示すピクセル候補群156の数を比較するステップによって、1つの画像ピクセル152を、光学的欠陥162ではなく、画像欠陥158として分類することになる。
図20に示す1つのピクセル候補156は、透明部材104を撮像するプロセス中の異常による不良ピクセルに起因している可能性がある。
【0085】
図15を参照するに、当該方法のステップ328(
図27B)では、光学的欠陥群162の境界174(
図16)を求めることができる。この点に関して、境界174は、当該境界に関連付けられる動的輪郭184(
図15)を有するエネルギー関数を用いることにより求めることができる。エネルギー関数は、内部エネルギー及び外部エネルギーを含むことができる。動的輪郭184は、内部エネルギー関数及び外部エネルギー関数のエネルギーが最小になるまで、境界174に繰り返し収束させることができる。1つの実施形態では、エネルギー関数によって、境界174を求める操作が、コンピュータで描く曲線170(すなわち、円、楕円など)のような曲線を、光学的欠陥群162を表わすピクセル候補156クラスタに重ね合わせることにより容易になる。コンピュータで描く曲線170は、制御点群172を含むことができ、そして閉鎖輪郭の概要を表わすことができ、この閉鎖輪郭は、光学的欠陥群162の境界174に、これらの制御点172を操作することにより収束させることができる。
【0086】
例えば、
図15は、略円形の動的輪郭184を、ピクセルクラスタ群164の各1つのピクセルクラスタに重ね合わせる様子を示している。各ピクセルクラスタ164では、動的輪郭184(すなわち、円)のサイズは、ピクセルクラスタ164を構成するピクセル候補群156の外側限界内に収まるように決定することができる。次に、動的輪郭184を所定の方法で拡大することができる。例えば、
図15の上側ピクセルクラスタ164の動的輪郭184の制御点群172を操作して、動的輪郭184の所定の曲率を維持することができる。別の構成として、動的輪郭184は、ピクセルクラスタ164を構成するピクセル候補群156の外側限界を囲むように選択することができる。次に、動的輪郭184を、所定の方法で、ピクセルクラスタ164の境界174までサイズ低減する、または縮小することができる。
【0087】
上に示したように、動的輪郭184は、内部エネルギー及び外部エネルギーを含むエネルギー関数に関連付けられる。内部エネルギーは、特定の用途に合わせることができ、そして内部エネルギーによって、動的輪郭184を湾曲させることができる度合いを極めて小さくすることができるので、輪郭を曲がり難くすることができる。別の構成として、内部エネルギーは、動的輪郭184の剛性が低いことに起因して、動的輪郭184に近づくときに非常に大きくなり得る。更に、動的輪郭184の内部エネルギーは、動的輪郭184の傾向を規定することにより、サイズを拡大する、または縮小することができる。例えば、
図15に示す動的輪郭184では、これらの動的輪郭184の各1つの動的輪郭の内部エネルギーは、動的輪郭184がピクセルクラスタ164の境界174に近似するまでサイズが大きくなる傾向を規定することができる。同様に、動的輪郭184は、
図15のピクセル候補群156により表わされる光学的欠陥群162に対応する外部エネルギー関数を持つ。
【0088】
図15の例では、動的輪郭184が、光学的欠陥群162の境界174の方に向かって拡大すると、動的境界174の形状に、光学的欠陥群162に隣接する画像ピクセル群152の濃度勾配に応じた影響を与えることができる。例えば、低エネルギー領域は、光学的欠陥群162の境界174の外部に位置する画像ピクセル群152の非常に低い濃度勾配で定義することができる。別の構成として、高エネルギー領域は、境界174に隣接して位置する画像ピクセル群152に関連付けることができるので、非常に高い濃度勾配を有することができる。動的輪郭184は、内部エネルギー関数及び外部エネルギー関数のエネルギーが、上に示したように最小になるまで、境界174に繰り返し収束させることができる。
図16は、これらの動的輪郭184が、これらの光学的欠陥群162のうちの該当する光学的欠陥群の境界174に収束する様子を示している。
【0089】
図21〜23を参照するに、デジタル画像150内の光学的欠陥群162の境界174を求めると、ステップ330(
図27B)において、透明部材104自体に対する光学的欠陥群162の位置を特徴付けることができる。更に具体的には、デジタル画像150内の光学的欠陥群162の2次元位置を、第1固定座標変換を用いて変換することにより、光学的欠陥群162を3次元透明部材104上で特徴付け、そして位置特定することができる。このようにして、光学的欠陥群162の位置を、透明部材104、輸送手段、構造物の上の既知の基準点、または予め選択されている基準点、または他の基準点に対して特定することができる。例えば、光学的欠陥群162の位置は、航空機100の設計眼140に対して特定することができる。設計眼140は、近似位置にある乗務員(例えば、パイロット)の眼を含むことができ、この近似位置から、光学的欠陥群162を、
図22に示すように、視認する、または知覚することができる。
【0090】
この点に関して、
図21は、
図21に示すデジタル画像原点176及びデジタル画像座標系178を基準として透明部材104のデジタル画像150上に位置する第1、第2、及び第3光学的欠陥162,OD
1,OD
2,OD
3を示している。第1固定座標変換を用いて、第1、第2、及び第3光学的欠陥162,OD
1,OD
2,OD
3の各1つの光学的欠陥の位置を、
図21のデジタル画像150上のこれらの欠陥のそれぞれの位置から、
図22に示す3次元物理透明部材104上の対応する位置に変換することができる。
図22の光学的欠陥群162の位置は、
図22に示す透明部材原点180及び透明部材座標系182を基準として定義することができる。しかしながら、何れかの適切な基準位置または原点を用いて、光学的欠陥群162の位置を特徴付けることができる。
図23は、
図21のデジタル画像150内に特定され、かつ透明部材104に変換される第1、第2、及び第3光学的欠陥162,OD
1,OD
2,OD
3の位置を示している。
【0091】
図24〜25を参照するに、当該方法のステップ332(
図27B)では、透明部材104に対する光学的欠陥群162のサイズを特徴付けることができる。更に詳細には、ステップ332では、
図21の透明部材104のデジタル画像150内に特定される光学的欠陥群162のサイズを、光学的欠陥群162から、透明部材104を撮像するために使用される画像記録システムの光学中心142までの距離に比例して拡大縮小することができる。例えば、
図24は、透明部材固定具70に取り付けられる画像記録装置22の側面図を示しており、そして画像記録装置22の光学中心142から第4光学的欠陥162,OD
4、及び第5光学的欠陥162,OD
15までの距離d
4,d
5をそれぞれ示している。
図25は同様に、画像記録装置22の光学中心142から第4光学的欠陥162,OD
4、及び第6光学的欠陥162,OD
6までの側方距離d
4,d
6をそれぞれ示している。
【0092】
この点に関して、ステップ332では、光学的欠陥群162のサイズを、物理的サイズによって、かつ画像記録装置22上の位置(例えば、光学中心142)からの光学的欠陥群162の距離に比例して、第2固定座標変換及び/又はスケーリング変換を用いることにより特徴付けることができる。このようにして、デジタル画像150内の光学的欠陥群162のサイズは、画像記録装置22と透明部材104との間の相対距離に比例して拡大するか、または縮小することができる。更に、当該変換では、光学的欠陥群162を画像記録装置22で撮像するときの角度を、光学的欠陥群162を3次元透明部材104内に、例えば
図22に示すパイロットの設計眼140の位置から視認することができる角度に対して補正することができる。このようにして、ステップ332は、デジタル画像150内に特定される光学的欠陥群162を、ピクセル群の数から所定の基準点を基準とする長さ単位(すなわち、インチ、ミリメートル)、または面積単位(すなわち、平方インチ、平方ミリメートル)のような測定単位にマッピングする手段となる。
【0093】
ステップ334(
図27B)では、当該方法において、光学的欠陥群162の形状を特徴付けることができる。更に詳細には、ステップ330及び332において位置及びサイズについて検出され、そして特徴付けられる光学的欠陥群162の形状をそれぞれ、任意であるが、特徴付けることができる。形状の特徴付けは、光学的欠陥群162の形状の比較、及びこれらの光学的欠陥162に関連する他のパラメータ群の比較を、続いて解析される透明部材104内の光学的欠陥群162の発生を追跡する手段として容易にすることができる。
【0094】
1つの実施形態では、光学的欠陥群162の形状を特徴付けるステップ334において、
図26A〜26Cに示すように、2次元畳み込み積分を用いることができ、この2次元畳み込み積分では、モデル関数を、透明部材104のデジタル画像150の視認部分のような動的セグメントを表わすことができる等価関数に畳み込むことができる。当該畳み込みによる出力は、同様の構成の、または同一の構成の他の透明部材104内の光学的欠陥群162の形状特性に基づく、検査対象の透明部材104内の光学的欠陥群162の種類の予測を容易にする。
【0095】
この点に関して、光学的欠陥群162の形状を特徴付けるステップによって、微粒子の特定の種類を特定の形状に関連付けるときの、特定の形状または特定のクラスの形状(例えば、円形、楕円形など)に関連付けられる特定の種類の欠陥(例えば、炭素微粒子)の所定の分類に基づく、上記方法で検出される微粒子物質の種類の同定が容易になる。例えば、微粒子の種類及びこれらの微粒子の種類に関連する形状のリストを含むデータベースを、透明部材の所定のプライ積層板のような所定の構成の連続する透明部材の検査中に継続的に記録することができる。例えば、上に示したように、航空機10風防110(
図24)は、アクリル、ポリウレタン、ポリカーボネートから成る複数枚のプライで構成することができ、この場合、これらのプライのうちの1枚以上のプライが、ポリカーボネート層内のポリカーボネート微粒子のような特定の種類の微粒子物質を含んでいる。当該データベースを、各透明部材104を検査するときに、光学的欠陥群について特徴付けされた形状、及びこれらの形状に関連付けられる微粒子物質の種類またはクラスで継続的に更新することにより、更に別の透明部材104内の光学的欠陥群162を検出する能力を向上させることができる。また、光学的欠陥群の特徴付けは更に、このような欠陥群の原因に関する示唆を与える、またはこのような光学的欠陥群162が、所定の透明部材104構造内に発生する態様に関する示唆を与えることができる。
【0096】
図26A〜26Cを参照するに、光学的欠陥162の形状を分類する方法では、モデル関数f(x,y)(
図26A)が円形のような所定の欠陥形状を表わすことができる2次元畳み込みを用いることができる。しかしながら、モデル関数f(x,y)は、多種多様な異なる所定の欠陥形状のうちの何れか1つの欠陥形状を表わすことができ、そして円形に限定されない。例えば、モデル関数f(x,y)は楕円形を表わすことができ、この楕円形は更に、楕円形のアスペクト比で定義することができる。等価関数g(x,y)(
図26B)は、上に説明され、かつ
図8に示すデジタル画像150の視認部分122のようなデジタル画像150の動的セグメントの一部として定義することができる。しかしながら、等価関数g(x,y)は、デジタル画像150の1つのセグメントの或る部分の全体として定義することができ、そしてデジタル画像150の特定の部分に限定されない。
【0097】
光学的欠陥162の形状を特徴付ける2次元畳み込み演算の非限定的な例では、そして
図26A〜26Cを参照するに、図示されているのは、モデル関数f(x,y)及び等価関数g(x,y)をそれぞれ表わす2つの入力行列である。
図26Aに示すモデル関数f(x,y)の行列は、
図16に示す光学的欠陥群162のうちの上側の欠陥として図示される欠陥と同様の円形をした光学的欠陥162を表わすことができる。行列f(x,y)の中の値は、
図11に示す濃度階調と同様の、透明部材104の画像ピクセル群152の正規化された濃度階調に対応させることができる。関数g(x,y)は、
図8の透明部材104のデジタル画像150の一部を表わすことができ、そして
図11に示す濃度階調と同様の、画像ピクセル群152の正規化された濃度階調に対応する値を含む行列を含むことができる。
【0098】
図26A〜26Cに示すように、2次元畳み込みは、f(x,y)行列及びg(x,y)行列の畳み込み行列f
*g(x,y)として定義することができる。非限定的な例では、畳み込み行列f
*g(x,y)の値は、方程式f
*g(x,y)={f(x−1,y−1)g(1,1)+f(x,y−1)g(2,1)+f(x+1,y−1)g(3,1)+f(x−1,y)g(1,2)+f(x,y)g(2,2)+f(x+1,y)g(3,2)+f(x−1,y+1)g(1,3)+f(x,y+1)g(2,3)+f(x+1,y+1)g(3,3)}/9により求めることができ、x及びyは、行列要素値の相対的な位置を示す行列インデックスである。上述の例では、x行列インデックス及びy行列インデックスは、これらの行列の各1つの行列において、左から右の方向に、そして上から下の方向にそれぞれ、1つずつ増える。
【0099】
出力畳み込み行列f
*g(x,y)を、光学的欠陥群162のデータベースと比較して、透明部材104内の微粒子物質の形状、及び関連する種類またはクラスを特定することができる。このようにして、形状特徴付けステップによって、同様の構造の、または同一の構造の他の透明部材内に発生する光学的欠陥群162の種類の予測が容易になる。
図26Cでは、出力畳み込み行列f
*g(x,y)の要素の最大値(例えば、5/9)は、光学的欠陥162の中心に対応させることができる。この点に関して、当該最大値は、
図26Aに示すモデル関数f(x,y)の行列で表現される光学的欠陥162の所定の形状に関連付けることができる。上に示したように、光学的欠陥162の形状のデータベースを、各透明部材104を検査するときに継続的に更新することにより、光学的欠陥群162の検出が容易になり、そしてこのような欠陥群の原因に関する、そして/またはこのような光学的欠陥群162が製造中に発生する態様に関する示唆を与えることができる。
【0100】
本開示に対して種々の変更及び改善を加え得ることは、この技術分野の当業者には明らかである。従って、本明細書において記載され、そして例示される構成要素群の特定の組み合わせは、本開示の特定の実施形態のみを表わすものであり、そして本開示の思想及び範囲に含まれる別の実施形態またはデバイスを限定するために利用されるべきではない。