(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795057
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】形状
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
A61J1/00 351A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-509500(P2013-509500)
(86)(22)【出願日】2011年5月2日
(65)【公表番号】特表2013-526312(P2013-526312A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2011056962
(87)【国際公開番号】WO2011141318
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月8日
(31)【優先権主張番号】10162376.7
(32)【優先日】2010年5月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】595141166
【氏名又は名称】ベー.ブラウン メルズンゲン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100111707
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル ピッテ
(72)【発明者】
【氏名】キャロライン アンセルメ
(72)【発明者】
【氏名】バスチアン エカベルト
(72)【発明者】
【氏名】セドリック ベルチェ
【審査官】
山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−508000(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/010410(WO,A1)
【文献】
特開2002−136570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチャンバ(1)、第2の上方チャンバ(2)、及び第3の下方チャンバ(3)からなる医薬品の保存のための柔軟な多チャンバ・バッグ(10)であって、
a)前記チャンバ(1、2、及び3)内に1つの溶着部となる基点(8)からそれぞれ出発する溶着部によって前記隣合うチャンバ(1、2、及び3)を分離する3つの溶着されたシーム(4、5、及び6)を備えるが、ここで、溶着されたシーム(4及び5)は、周囲溶着部(7)の互いに位置の異なる側端で終わり、溶着されたシーム(6)は前記周囲溶着部(7)の反対の側端で終わり、シーム(4)は第1のチャンバ(1)及び第2の上方チャンバ(2)を部分的に分離し、シーム(5)は第1のチャンバ(1)及び第3の下方チャンバ(3)を部分的に分離し、シーム(6)は第2の上方チャンバ(2)及び第3の下方チャンバ(3)を部分的に分離し、
b)前記溶着されたシーム(5)及びシーム(6)は、逆向きの「V」字の形状を表すが、この「V」字の形状において前記溶着されたシーム(5)及びシーム(6)のそれぞれの対応する2つの線の間に増加する角度を持ち、前記シーム(4、5、及び6)の各々は、前記バッグ(10)の周囲溶着部(7)の両側端の各々に前記バッグ(10)のトップ端から90°より大きく105°までの角度で接続され、
c)前記基点(8)は、バッグ(10)上に圧力をかけたとき固定され及び剥離不能であり、バッグ(10)上に圧力がかけられたときに、前記シーム(4)は剥離不能であり、前記シーム(5)及び前記シーム(6)は剥離可能であり、
d)前記バッグ(10)は、前記周囲溶着部(7)内で、前記第2の上方チャンバ(2)の隣に前記バッグ(10)のトップ端から延びるハンガーフラップを備え、そして、
e)メディカルポート(9)は、前記周囲溶着部(7)の下方の端に溶着される、柔軟な多チャンバ・バッグ(10)。
【請求項2】
前記医薬品は、患者の非経口又は経腸用の栄養のための溶液、エマルション、懸濁液、及び/又は分散液を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッグ(10)。
【請求項3】
前記第1のチャンバ(1)は脂肪乳剤を含み、前記第2の上方チャンバ(2)は糖液を含み、前記第3の下方チャンバ(3)はアミノ酸溶液を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッグ(10)。
【請求項4】
脂肪乳剤との混合の前に糖液及びアミノ酸溶液を混合することにより準備される混合物の患者への適用のための、請求項1から3の何れかのバッグ(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つのチャンバを備える医薬品を保存するための柔軟な多チャンバ・バッグに関する。
【0002】
製薬産業、特に灌流溶液の分野において、不浸透性の柔軟なバッグが広範囲に用いられている。このようなバッグ又は容器は、様々な要件を満たさなければならない重合された材料から作成される。従って、特に、ガス及び蒸気の気密性、透明性、印刷適性、及びそれらが含む物質に対して不活性であることが、本質的に重要である。前記容器又はバッグに本質的に含まれる物質は、その塩及び溶液、炭水化物、アミノ酸、及び脂質から構成される。それらは、通常、多コンパートメント・バッグにおいて利用され、個々のコンパートメント又はチャンバは、異なる成分により満たされる。
【0003】
独国特許出願公開第4410876号は、高分子材料からなる多コンパートメント・バッグに関し、そのバッグ・コンパートメントは、周辺(周囲)領域における溶着部により、及びコンパートメント間領域における少なくとも1つの溶着部により形成され、その溶着部は、コンパートメントに面する高分子材料から形成される。周囲溶着部は、容器に入れるためのポートに加えて、それぞれのチャンバを充填するためのいくつかのポートを備えている。
【0004】
欧州特許第0295204号は、医学的用途のための容器、特に、包み用の材料からなる漏れないように封された溶着部によってお互いに分離された3つのコンパートメントに分割される軟質で均質な重合された材料からなる包みから構成される輸液用容器を記述しており、前記各コンパートメントは、内部空間のその部分の内容物が別の部分の中に流れることを可能にするために意図的に開けられ得る、閉塞路を備えており、ここで、その容器は、その下方区分内にあるその下側部分における1つのコンパートメント(5)、及び、その上方区分内にある内部空間の2つのコンパートメント(3、4)を持ち、更に、その使用の直前に脂質、アミノ酸、及び糖を受入れ続いて混合するように意図されており、そして、その各コンパートメントは、1つの閉塞可能な開口部を備え、その開口部を通してその化合物を供給するようにし、又は、その開口部を通してその内容物を外へ排出するようにしており、更に、その包みの材料は、如何なる想定される化合物及びそれらの混合物に対して化学的、生物学的に不活性である。
【0005】
独国実用新案第9401288号は、混合段階の間にその上にと次々と配置される少なくとも2つのチャンバを持ち、かつ、外側の境界により囲まれる多チャンバ・バッグに関しており、前記チャンバは、少なくとも1つのバーにより別のチャンバから分離され、上方チャンバ及び混合チャンバを形成しており、前記バッグは、バー内において配置され、開口されるように設計される固定装置により閉じられている、少なくとも1つの接続装置を持っており、前記接続装置は、開口された後にチャンバ間の流れの接続を提供し、前記バッグは、上方境界領域に少なくとも1つのハングアップ開口部と、混合チャンバに配置される排出装置と、を持ち、この排出装置はその反対側にある第2の排出装置と共に混合チャンバの周囲領域に配置される。
【0006】
独国特許出願公開第19605357号は、空間的に分離された保存のための、及び、オプションとして、非経口用又は経腸用の製剤の成分の選択的滅菌のための可撓性プラスチック容器1を記述する。この可撓性プラスチック容器1は、コンパートメント2内に微量元素、コンパートメント3内に炭水化物、コンパートメント4内に脂肪及びコンパートメント5内にアミノ酸溶液、及び、オプションとして、コンパートメント6内に電解質及び/又はビタミンを受入れるのに適する、オプションとしてのコンパートメント6と、少なくとも4つのコンパートメント2、3、4、5とを含み、前記容器は、閉鎖可能な充填用の開口部7、8、9、10、及び、オプションとして11の1つと、非経口用又は経腸用の製剤の成分の混合物を投与するための1つの排出開口部12と、コンパートメント2、3、4、5、及び、オプションとしての6の間の流れ接続がそれぞれに供給され得ることにより、外部から滅菌状態で開口し得る接続手段13、13’、14、14’、15、15’、及び、オプションとしての16、16’と、を有し、コンパートメント2、3、4、5、及び、オプションとして6の容量の割合は、ハングアップ手段17でつり下げることに起因する作動位置において、コンパートメント5内のすべての成分の完全な混合が、接続手段13、13’、14、14’、15、15’、及び、オプションとして16、16’を開口することにより可能となるように選択され、コンパートメント3に対するコンパートメント2の容量の比率は、ハングアップ手段17でつり下げることに起因するような作動位置において、コンパートメント3内のコンパートメント2、3の成分の完全な混合が、接続手段13の開口により可能となるように選択され、更にオプションとして、コンパートメント6に対するコンパートメント4の容量の比率は、ハングアップ手段17でつり下げることに起因するような作動位置において、コンパートメント4内におけるコンパートメント4及び6の成分の完全な混合が、接続手段16、16’の開口により可能となるように選択される。
【0007】
欧州特許第1011605号は、空間的に分離される保存のための、及び、オプションとして、非経口用又は経腸用の製剤の成分の選択的な滅菌のための、可撓性プラスチック容器(1)に関する。前記可撓性プラスチック容器(1)は、3つだけのコンパートメント(即ち、第1のコンパートメント(3)、第2のコンパートメント(4)、及び第3のコンパートメント(5))と、ここで、前記コンパートメントは、包み用の材料からなる漏れないように封された溶着部により互いに分離され、かつ、前記コンパートメントは、各々1つの閉鎖可能な充填開口部(7)、(8)、(9)を持っているが、そして、ハングアップ手段(12)によりつり下げることに起因するような作動位置において、第3のコンパートメント(5)内のすべての成分の急速で完全な混合が接続手段(10)及び(11)を開口することにより可能とするように、コンパートメント(3)、(4)、及び(5)の間のそれぞれの流れの接続が選択されることにより、外側から滅菌状態で開口することができる剥離可能な熱封止溶着部として形成される接続手段(10)及び(11)と、から構成され、第1のコンパートメント(3)が炭水化物、第2のコンパートメント(4)が脂質、及び第3のコンパートメント(5)がアミノ酸を含むことを特徴とする。
【0008】
国際公開第2007/037793号は、非経口の栄養製剤の成分を個別に保存するための多チャンバ容器に関する。多チャンバ容器は、脆弱なバリヤ、好ましくは互いにチャンバを分離する剥離可能なシールを含んでもよい。その容器は、好ましくは、すべての個別に格納された成分よりも少い成分を混合することを可能とする、剥離可能なシールの選択的活性化を容易にする。容器は、互いに反対側にある両側端の各々に位置するチャンバと、及び、その両側端チャンバの間に少なくとも1つの追加のチャンバと、を備えていてもよい。少なくとも1つの追加のチャンバは、その側端のチャンバの少なくとも1つの長手方向の長さよりも実質的に短い長手方向の長さを有していてもよい。この構成は、その容器を回転するとき、トップから、その少なくとも1つの追加のチャンバを加圧すること及びシールの不注意による活性化を回避するので、シールの選択的な開口を許す。少なくとも1つの追加のチャンバの長手方向の長さは、側端のチャンバの少なくとも1つの長手方向の長さの約3分の2から約4分の3までの範囲であってもよい。或いは、その容器は、少なくとも1つの追加のチャンバに比べて、側端のチャンバよりも実質的に長い距離だけ下端部に向かって容器の上端部から延びるハンガーフラップを備えていてもよい。
【0009】
欧州特許第1773277号は、柔軟な高分子フィルムからなる、医薬品の保存のための容器に関する。その容器は、少なくとも2つの実質的に直線のセクション(7、8)を備える少なくとも1つの剥離可能なシールを備え、ここで、そのセクションは曲線状の破壊域(5)により接続され、そして、その剥離可能なシール曲線状の破壊域(5)は少なくとも60°の中心角を有する円の弧として形成され、かつ、直線のセクション(7、8)間のその全長にわたって曲線状であり、その容器は、曲線状の破壊域(5)が半径5〜75mmの円の弧として形成される、その半径は、円の中心点からシールの外端の点までに匹敵し、その外端は、内端よりも中心点からさらに外れる端であり、実質的に剥離可能なシールの直線部(7、8)が150°〜180°の角度を形成することとを特徴とする。その曲線状の破壊域(5)は、半径5〜75mmの円の弧として形成され、その半径はその円の中心点からシールの外辺のある点までと測定され、その外辺は内辺よりも中心点から外されており、剥離可能なシールの実質的に直線なセクション(7、8)は150°〜180°の角度を形成することを特徴とする。
【0010】
国際公開第97/37628号は、非経口的液体のための改良された容器に関する。前記刊行物は、特に、酸素感受性の高い非経口的に投与可能な薬剤の改良された保存のための柔軟な透明な容器を開示する。その容器は、外側の包みがシールされた後、残余の酸素の全てを本質的に消費することができる酸素吸収材を備える、実質的に酸素不透過性の外側の包み(十分な期間ではまた、酸素はその包みに侵入するが)内に囲まれた内部の第1次容器を備える。その内部容器は、永続的なシール及び剥離可能なシールの両方を形成することができる脂肪に適合する柔軟な高分子材料を含むポリプロピレンからなり、その包みは、実質的に水不浸透性の柔軟な多層高分子材料からなり、その多層高分子材料は酸素バリヤを形成する能力持つ第1の外側の実質的に水不浸透性の高分子フィルムを含み、追加の酸素バリヤを形成する能力持つ第2の内側の高分子フィルムと組み合わされる。容器は、蒸気又は放射線により滅菌された後、本質的にその特性を維持する。
【0011】
図1によるシーム(合せ目:seam)50及び50’は、反転文字「V」の形を持ち、前記「V」の基点から前記「V」の線による角度を増加する。
図1に示される内部容器は、保存される製品の所望の量に依存して同じ又は異なる容積を持つかもしれない3つの平行チャンバ31、32、33を備えるように形成される。チャンバを分離する2つのシーム50、50’は、非常に気密性が高いが、ユーザの所定の動作により破壊され得る容器内において剥離可能なシール溶着により典型的に形成される。トップチャンバ31内に炭水化物溶液を充填することがここにおいて好まれるが、しかるに、中間のチャンバ32は脂肪乳剤を含み、従って、アミノ酸溶液は下方のチャンバ33に充填されるように指定される。それにもかかわらず、前記構造は、看護師の乱用の場合であったとしても、最初、不適合の脂肪乳剤及び炭水化物溶液が、アミノ酸の混合に先立ち混合されることを確実にすることができない。更に、周囲の溶着部への溶着シーム50、50’の長方形で終了することは、前記接続の角においてデッド・ボリュームという結果になるかもしれない。
【0012】
本特許のコアは、規定された半径を持つ円の弧として形成される曲がった破壊域5である。しかしながら、剥離可能なシール41、32、及び33が、下方の溶着部25へと延びるので、常にデッド・ボリュームが存在し、そして、容器の内容物は、患者への完全な投与として使用はできない。同様に、欧州特許第1773277号の
図3における破壊域39は、バッグ内に含まれる材料の完全な使用を確保しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の目的は、医薬品を保存するための柔軟な多チャンバ・バッグの最終構造を簡易化し、看護師によるその使用を改善することである。更に、構成要素、即ち、脂質及びアミノ酸は、グルコース又は炭水化物を添加する前に、まず混合されることを確保するべきである。このようにして、本発明の目的は、特に、看護師によるバッグの潜在的な如何なる乱用から独立して、グルコース及び脂質の最初の混合を避けることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、医薬品の保存のための柔軟な多チャンバ・バッグ10により、本発明の第1の実施例において満足させられるが、これは以下の特徴を含む。
a)ここで、第1のチャンバ1は、溶着されたシーム4及び5によって、第3の下方のチャンバ3から第2の上方のチャンバ2を部分的に分離するが、これらの3つのチャンバ。
b)前記第2のチャンバ2及び前記第3のチャンバ3は、溶着されたシーム6によって部分的に接続される。
c)前記溶着されたシーム5及び6は、バッグ10の上に圧力がかけられたときに、剥離可能であり、前記溶着されたシーム5及び6は、逆向きの「V」字の形状を持つが、それは前記「V」の線の増加する角度を備え、各溶着されたシーム5及び6は、チャンバ(1、2、3)と接続されるように基点8において出発し、前記「V」の前記溶着されたシーム(5)及び(6)は、前記バッグ10の周囲溶着部7に対して本質的に直角の状態で終了する。
d)前記「V」の前記基点8は、バッグ10上に圧力をかける際に固定され及び剥離不能である。
e)前記溶着されたシーム4は、バッグ10上に圧力をかける際に剥離不能であり、前記「V」の基点8において出発し、前記バッグ10の周囲溶着部7で直角に本質的に終了する。
f)前記バッグ10は、前記周囲溶着部7以内で、前記チャンバ2の隣に前記バッグ10のトップ端から延びるハンガーフラップを備える。更に、
g)メディカルポート9は、前記周囲溶着部7の下方の端に溶着される。
【0015】
3つのチャンバの分離の特定の幾何形状により、上記に概説されるように本発明の目的が満たされる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は、本発明による柔軟な多チャンバ・バッグ10を詳細に示すが、その中に医薬品の保存をするように意図されている。
【0017】
図1の本発明による多チャンバ・バッグは、3つの隣接チャンバ1、2、3を備えているが、溶着されたシーム4、5、6の配置を乱すことなく、追加のチャンバを追加してもよい。
【0018】
上方チャンバ2及び下方チャンバ3は、多チャンバ・バッグの周囲溶着部の右から左に延びるように、溶着されたシーム4、6により分離される。しかしながら、前記溶着部4、6は、周囲溶着部7に対して本質的に直角に終端となるが、直線状の溶着部として延びず、それは一緒に翼を形成する剥離不能部分4及び剥離可能部分6を含む。
【0019】
しかしながら、その中に含まれる材料を完全に排出することを確保するために、溶着部4及び6の周囲溶着部7への接続が、前記バッグ10のトップに相対的に、90°から105°の角度で終点を迎える。そのような角度は、そのようなコーナにおける如何なるデッド・ボリュームをも避け、多チャンバ・バッグの内容物の完全な使用を許す。同じ考察が、もちろん、剥離可能な溶着部5に適用される。
【0020】
シーム5及び6は、多チャンバ・バッグを巻くことにより圧力をかける、又は、手で圧力をかけるという看護師の技術から独立してバッグ10上に圧力をかけるときに、剥離可能である。
【0021】
溶着されたシーム4及び5の形状に関しクレーム言語に従って、横になった文字「U」の形もまたここにおいて含まれるが、これは、文字「U」の上端、及び、基点8の一部である文字「U」の最下端部、に接続される周囲溶着部7から延びる。溶着されたシーム6は、基点8及び周囲溶着部7の間の相対的な直線として外形を描かれるかもしれない。再び、溶着されたシーム5は剥離可能であるが、溶着されたシーム4は、バッグに圧力がかけられるときであってさえ、そのまま維持し続ける。再び、この構成は、使用されるバッグの実務的な全排出を許すものである。
【0022】
好適な実施例において、本発明による多チャンバ・バッグは、永続的又は剥離可能なシームに対する従来の溶着ツールによって相互にシールされ得る、その外側として指名された、より高い融点をもつ領域を有し、且つその内部にシールするように指名された、より低い融点をもつ領域を有する柔軟な高分子フィルムからなる。内部領域が、格納された成分に面するように意図され、異なる溶着条件又は操作にさらされたときに、永続的なシーム及び異なる剥離可能なシームの両方を形成することができることは理解されるべきである。そのフィルムが、少なくとも2つの異なる高分子層から作られることは特に好適である。このとき、その内側層は異なる温度での溶着を受けたときに、永続的なシーム及び剥離可能なシームの両方を形成することができる封止材層である。前記特徴を提供する高分子材料は、上記で定義されたような従来技術で知られている。
【0023】
多チャンバ・バッグの製造工程に耐えるのに十分に頑丈な剥離可能なシームを有するべきとの要求と、他方で看護師にとって開くことが容易であるべきとの要求と、の間のバランスが常にある。低シール強度、例えば5〜10N/30mmの剥離可能な継ぎ目を持つ柔軟な多チャンバ・バッグは、容易に開口することができるが、低強度のシームは、多チャンバ・バッグ製造又は輸送の間に破損し得る。この理由のため、少なくとも30N/30mmのシール強度、より好ましくは40N/30mmのシール強度を持つ剥離可能なシームを製造することは従来技術に従って有利である。
【0024】
前記溶着されたシーム5及び6の延長は、前記「V」の基点8からの前記「V」の線間の増加する角度を持つ逆「V」字の形状を有する。好ましくは、「V」字の角度は、剥離するのが困難なコーナを避けて連続的に増加する。前記増加する角度を伴わない適切な「V」は、前記バッグ10及びそのトップ部に対して90°未満の前記バッグの周囲溶着部7での角度における前記溶着部5、6の終端をもたらし、その結果、デッド容積(ボリューム:volume)をもたらすだろう。従って、剥離可能なシール5及び6の翼のような外観は、柔軟な多チャンバ・バッグの完全な排出のオプションを確かにする。
【0025】
前記「V」の基点8は、剥離不能なシーム4の一部であるので、バッグ10上に圧力をかけるときでさえ、剥離不能なシール4の延長部により固定されるかもしれない。別の実施例において、基点8は、剥離可能なシーム5及び6の一部であってもよく、しかして、バッグ10の上に圧力をかけるときに開く。この場合、連続する溶着部5及び6が開く。従って、その正確な位置は、シーム4、5、6の外観により決定される。看護師が多チャンバ・バッグの間違った部分に圧力をかけるといった場合でさえ、その構造は、脂質及びグルコース(炭水化物)の第1の不適合の混合を禁止し、更に、アミノ酸及び脂質の混合なしに高濃度のグルコース溶液の患者への投与を禁止する。
【0026】
本発明によるバッグ10は、特に周囲溶着部7内において、チャンバ2に隣接した前記バッグのそのトップ部から延びるハンガーフラップを備える。
【0027】
好適な実施例において、本発明による多チャンバ・バッグ10は、チャンバ1、2、3へ内容物の導入のための如何なるポートをも含まないが、ただ、前記周囲溶着部7の下方端に溶着されたメディカルポートを含むだけである。
【0028】
上述のように、本発明によるバッグ10は、特に、患者の非経口又は経腸用の栄養のために好適な溶液、エマルション、懸濁液、及び/又は分散液のような医薬品を含む。
【0029】
特に、チャンバ2及びチャンバ3を部分的に分離するチャンバ1は、脂肪乳剤を含む。従って、上方チャンバ2は糖液を含み、下方チャンバ3はアミノ酸溶液を含む。上記のようなバッグの特徴は、容器のすべての内容物の迅速な混合及び完全な乳化を確かにする。
【0030】
本発明の第2の実施例は、炭水化物、脂質、及びアミノ酸の急速な混合及び投与、空間的に離れた保存、及び、選択的な滅菌のために、上述してきたように、バッグの使用に関する。