(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795064
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】建設機械の旋回制御装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20150928BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20150928BHJP
B66C 23/84 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
E02F9/20 Q
E02F9/22 C
B66C23/84 H
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-519559(P2013-519559)
(86)(22)【出願日】2010年7月13日
(65)【公表番号】特表2013-535593(P2013-535593A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】KR2010004528
(87)【国際公開番号】WO2012008627
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2013年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】502032378
【氏名又は名称】ボルボ コンストラクション イクイップメント アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(72)【発明者】
【氏名】イ・チュンハン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジンソプ
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭62−033946(JP,A)
【文献】
特開平04−041395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/22
B66C 23/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定された停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定する開始位置推定部と、
ユーザが停止指令を入力したとき、現在の上部旋回体位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置とを用いて、停止目標位置を算出する停止目標位置算出部と、
前記求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータの位置を制御する旋回モータ位置制御部と、を備えてなる建設機械の旋回制御装置であって、
前記開始位置推定部は、
ユーザが任意に前記停止位置(または、角度)を数字で入力している場合にこれを用いて、前記最適な停止開始位置を、通常の建設機械の上部旋回体の質量慣性モーメントと最大トルクを基準として計算する手段または、試験を通じて作成した、ユーザ設定の停止位置と停止開始位置とのマッピング関係を定義したルックアップテーブルを用いて補間して計算する手段であり、
前記停止目標位置算出部は、
停止目標位置を下記のようにして算出する手段であることを特徴とする建設機械の旋回制御装置。
(1)現在の位置がA1とA2との間にある場合、
停止目標位置=(現在の位置−A1)/(A2−A1)*(E2−E1)+E1
ここで、A2は、最適な停止開始位置、A1は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最小値、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)、E1は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最小位置。
(2)現在の位置がA2とA3との間にある場合、
停止目標位置=(現在の位置−A2)/(A3−A2)*(E3−E2)+E2
ここで、A3は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最大値、E3は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最大位置、A2は、最適な停止開始位置、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)。
【請求項2】
ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定するステップと、
ユーザが停止指令を入力したときに、現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置とを用いて停止目標位置を算出するステップと、
前記求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータの位置を制御するステップと、を含んでなる建設機械の旋回制御方法であって、
前記停止開始位置を計算または推定するステップは、
ユーザが任意に前記停止位置(または、角度)を数字で入力している場合にこれを用いて、前記最適な停止開始位置を、通常の建設機械の上部旋回の質量慣性モーメントと最大トルクを基準として算出するか、あるいは、試験を通じて作成した、ユーザ設定の停止位置と停止開始位置とのマッピング関係を定義したルックアップテーブルを用いて補間して算出し、
前記停止目標位置を算出するステップは、
前記停止目標位置を下記のようにして算出することを特徴とする建設機械の旋回制御方法。
(1)現在の位置がA1とA2との間にある場合、
停止目標位置=(現在の位置−A1)/(A2−A1)*(E2−E1)+E1
ここで、A2は、最適な停止開始位置、A1は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最小値、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)、E1は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最小位置。
(2)現在の位置がA2とA3との間にある場合、
停止目標位置=(現在の位置−A2)/(A3−A2)*(E3−E2)+E2
ここで、A3は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最大値、E3は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最大位置、A2は、最適な停止開始位置、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の旋回制御装置及びその方法に係り、さらに詳しくは、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点が異なっても、建設機械(例えば、掘削機)の上部旋回体を、所定の算出式によって決定される範囲内に停止できるようにして、停止される位置が、停止指令が始まる時点に応じて異なり、さらなる運転動作を行わなければならないという従来の不都合などを解消する建設機械の旋回制御装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械(特に、掘削機)において、
図1に示すような掘削、積荷などの作業をする場合、所定の範囲内において左右を変えながら作業をするが、このような動作中に上部旋回体を停止させる場合、上部旋回体は所定の停止開始時点から所定の角度を旋回した後、ある地点に停止する(
図2参照)。
【0003】
または、
図3及び
図4に示すように、従来の旋回制御による旋回停止時にも、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点から減速し始めて所定の角度を旋回した後、ある時点で停止が行われる。しかしながら、このとき、停止される位置は、停止指令が始まる時点に応じて異なり、これを合わせるためにさらなる運転動作を行わなければならないという不都合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述した問題点を解消するために案出されたものであり、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点が異なっても、定められた範囲内に上部旋回体を停止できるようにする建設機械(特に、掘削機)の旋回制御装置及びその方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するための本発明に係る建設機械の旋回制御装置は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定された停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定する開始位置推定部と、ユーザが停止指令を入力したとき、現在の上部旋回体位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を算出する停止目標位置算出部と、前記求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータの位置を制御する旋回モータ位置制御部と、を備えてなることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、前記開始位置推定部は、前記最適な停止開始位置を建設機械の上部旋回体の質量慣性モーメントと最大トルクを基準として計算する手段、またはユーザ設定の停止位置と停止開始位置とのマッピング関係を定義したルックアップテーブル(look−up table)を用いて補間して計算する手段のどちらか一つであることを特徴とする。
【0007】
また、前記停止目標位置算出部は、停止目標位置を下記のようにして算出する手段であることを特徴とする。
(1)現在の位置がA1とA2との間にある場合、
停止目標位置=(
現在の位置−A1)/(A2−A1)*(E2−E1)+E1
【0008】
ここで、A2は、最適な停止開始位置であり、A1は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最小値であり、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)であり、E1は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最小位置である。
【0009】
(2)現在の位置がA2とA3との間にある場合、
停止目標位置=(
現在の位置−A2)/(A3−A2)*(E3−E2)+E2
【0010】
ここで、A3は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最大値であり、E3は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最大位置であり、A2及びE2は、上述した通りである。
【0011】
前記目的を達成するための他の本発明に係る建設機械の旋回制御方法は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定するステップと、ユーザが停止指令を入力したときに、現在の上部旋回体の位置と前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を算出するステップと、前記求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータの位置を制御するステップと、を含んでなることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記停止開始位置を計算または推定するステップは、前記最適な停止開始位置を建設機械の上部旋回体の質量慣性モーメントと最大トルクを基準として算出するか、あるいは、ユーザ設定の停止位置と停止開始位置とのマッピング関係を定義したルックアップテーブルを通じて補間して算出することを特徴とする。
【0013】
また、前記停止目標位置を算出するステップは、前記停止目標位置を下記のようにして算出することを特徴とする:
【0014】
(1)現在の位置がA1とA2との間にある場合、
停止目標位置=(
現在の位置−A1)/(A2−A1)*(E2−E1)+E1
【0015】
ここで、A2は、最適な停止開始位置であり、A1は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最小値であり、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)であり、E1は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最小位置である。
【0016】
(2)現在の位置がA2とA3との間にある場合、
停止目標位置=(
現在の位置−A2)/(A3−A2)*(E3−E2)+E2
【0017】
ここで、A3は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最大値であり、E3は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最大位置であり、A2及びE2は、上述した通りである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る建設機械の旋回制御装置及びその方法は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定した後、ユーザが停止指令を入力したときに、現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を求めた後、その求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように上部旋回体の旋回モータを制御することにより、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点が異なっても、定められた範囲内に上部旋回体を停止させることができ、停止される位置が、停止指令が始まる時点によって異なり、さらなる運転動作を行わなければならないという不都合などを解消する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】本発明に係る建設機械の旋回制御装置を示すブロック構成図である。
【
図6】本発明に係る停止開始位置と停止目標位置を算出する態様を概略的に示す図である。
【
図7】本発明に係る建設機械の旋回制御方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明に係る旋回制御を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図5は、本発明に係る建設機械の旋回制御装置を示すブロック構成図である。
【0021】
図5に示すように、この装置は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定する開始位置推定部301と、ユーザが停止指令を入力したときに、現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を算出する停止目標位置算出部302と、前記求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータ304の位置を制御する旋回モータ位置制御部303と、を備える。
【0022】
ここで、前記開始位置推定部301は、ユーザが上部旋回体の停止位置(または、角度)を設定した場合、そのユーザ設定の停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定するものである。
【0023】
具体的な計算または推定方法は、下記の通りである。
【0024】
(1)ユーザ設定の停止位置E2を用いて最適な停止開始位置A2を計算または推定する例1
【0025】
・ユーザが任意にE2を数字で入力して(例えば、90度)用いる場合、通常の掘削機の上部旋回体質量慣性モーメントと最大トルクを基準として計算するか、あるいは、試験を通じてルックアップテーブルを作成し、これを補間して計算する。
【0026】
例えば、[表1]に示すルックアップテーブルが作成された場合、E2が100度に設定されるならば、A2は、(
100−90)/(135−80)*(80−45)+45=
52.8度となる。
【0028】
(2)ユーザ設定の停止位置E2を用いて最適な停止開始位置A2を計算または推定する例2
【0029】
・
図6に示すように、ユーザが自ら掘削機を試し運転してE2を設定する場合、実際に停止指令が入力された地点をA2として保存して用いることができる。
【0030】
停止目標位置算出部302は、ユーザのキー操作に応じて上部旋回体の停止指令が入力された場合、現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を算出する(
図6参照)。
【0032】
(1)
図6に示すように、現在の位置がA1とA2との間にある場合、線形補間により下記のようにして計算する:
【0033】
停止目標位置=(
現在の位置−A1)/(A2−A1)*(E2−E1)+E1
【0034】
ここで、A2は、最適な停止開始位置であり、A1は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最小値であり、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)であり、E1は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最小位置である
【0035】
(2)次いで、
図6に示すように、現在の位置がA2とA3との間にある場合、線形補間により下記のようにして計算する:
【0036】
停止目標位置=(
現在の位置−A2)/(A3−A2)*(E3−E2)+E2
【0037】
ここで、A3は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最大値であり、E3は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最大位置であり、A2及びE2は、上述した通りである。
【0038】
もし、現在の位置が40度のときに停止指令が入力され、A2=45度、A1=35度、E2=90度、E1=88度にそれぞれ設定されているならば、停止目標位置は、(45−40)/(45−35)*(90−88)+88=89度となる。上部旋回体は、89度の地点に停止するように制御される。
【0039】
旋回モータ位置制御部303は、停止目標位置算出部302と旋回モータ304との間に設けられるものであり、上述したようにして停止目標位置が求められると、その求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータ304の位置を制御するものである。具体的な位置制御方式は既に公知のため、ここではその説明を省略する。
【0040】
以下、
図7に基づき、
図5の本発明に係る建設機械の旋回制御装置の動作について説明する。
【0041】
図7は、本発明に係る建設機械(特に、掘削機)の旋回制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0042】
図7に示すように、この動作は、先ず、ユーザのキー操作に応じて上部旋回体の停止位置(または、角度)を設定する(S501)。
【0043】
次いで、開始位置推定部301において、そのユーザ設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定する(S502)。
【0045】
・ユーザが任意に停止位置E2を数字で入力して用いる場合、通常の掘削機の上部旋回体の質量慣性モーメントと最大トルクを基準として計算するか、あるいは、試験によりルックアップテーブルを作成し、これを補間して計算する。
【0046】
例えば、[表2]に示すルックアップテーブルが作成された場合、E2が100度に設定されるならば、最適な停止開始位置A2は、(
100−90)/(135−80)*(80−45)+45=
52.8度となる。
【0048】
次いで、最適な停止開始位置が計算または推定されれば、上部旋回体の停止指令を待つ。
【0049】
次いで、ユーザのキー操作により上部旋回体の停止指令が入力された場合(S503)、停止目標位置算出部302を通じて現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を算出する(S504、S505)。
【0050】
例えば、
図6に示すように、現在の位置がA1とA2との間にある場合、線形補間により下記のようにして停止目標位置を算出する:
【0051】
停止目標位置=(
現在の位置−A1)/(A2−A1)*(E2−E1)+E1
【0052】
ここで、A2は、最適な停止開始位置であり、A1は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最小値であり、E2は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)であり、E1は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最小位置である。
【0053】
そして、
図6に示すように、現在の位置がA2とA3との間にある場合、線形補間により下記のようにして停止目標位置を算出する。
【0054】
停止目標位置=(
現在の位置−A2)/(A3−A2)*(E3−E2)+E2
【0055】
ここで、A3は、A2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止指令範囲を考慮した最大値であり、E3は、E2を基準としてユーザが設定したり既に設定された停止位置範囲を考慮した最大位置であり、A2及びE2は、上述した通りである。
【0056】
最後に、停止目標位置が求められれば、旋回モータ位置制御部303を通じてその求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように旋回モータ304の位置を制御する(S506)。
【0057】
以上述べたように、本発明は、ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定した後、ユーザが停止指令を入力したときに、現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を求めた後、その求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように上部旋回体の旋回モータを制御することにより、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点が異なっても、定められた範囲内に上部旋回体を停止させることが可能になる。
【0058】
すなわち、
図8に示すように、本発明は、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点(図中のA1、A2、A3)が異なっても、定められた狭い範囲内に上部旋回体を停止させることができ、停止される位置が、停止指令が始まる時点に応じて異なることにより、さらなる運転動作を行わなければならないという従来の不都合を解消することができる。
【0059】
本発明は、建設機械(特に、掘削機)の旋回制御装置に使用可能なものであり、ユーザが設定した停止位置(または、角度)を用いてその設定停止位置(または、角度)に上部旋回体を停止させるための最適な停止開始位置を計算または推定した後、ユーザが停止指令を入力したときに、現在の上部旋回体の位置と、前記計算または推定された最適な停止開始位置を用いて停止目標位置を求めた後、その求められた停止目標位置に上部旋回体が停止するように上部旋回体の旋回モータを制御して、運転者がレバーを離したり停止指令を下したりする時点が異なっても、定められた範囲内に上部旋回体を停止させることができる掘削機の旋回制御装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0060】
301 開始位置推定部
302 停止目標位置算出部
303 旋回モータ位置制御部
304 旋回モータ