(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準位置特定要素のそれぞれの近傍の前記基準カテーテルの前記軸は、前記基準位置特定要素のそれぞれと隣接する基準位置特定要素とを結ぶ線分により定義される、請求項3又は4に記載の作動方法。
前記少なくとも1つの基準位置特定要素の低速移動平均位置及び高速移動平均位置のうちの少なくとも一方は、指数移動平均フィルタ、移動平均フィルタ、無限インパルス応答フィルタ、有限インパルス応答フィルタ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるフィルタを使用して計算される、請求項1から6のいずれか一項に記載の作動方法。
前記初期基準位置の近傍に前記基準カテーテルを再位置決めし、固定するのに役立つガイダンスをユーザに提供するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の作動方法。
前記基準カテーテルずれプロセッサは、少なくとも部分的に、前記基準カテーテルの認識されるずれの方向と、前記基準カテーテルの期待されるずれの方向と、の相関に基づいて初期基準位置からの前記基準カテーテルのずれを監視する、請求項10から12のいずれか一項に記載の位置特定システム。
【発明の概要】
【0007】
したがって、体の幾何学的形状を測定する際に相対する座標系の原点を定義するナビゲーション基準のずれを検出可能なことが望ましい。
【0008】
さらに、ナビゲーション基準の「偽」のずれからナビゲーション基準の機械的なずれを区別可能なことが望ましい。
【0009】
ナビゲーション基準の原点位置を再確立する際にユーザを案内することも望ましい。
【0010】
ナビゲーション基準の原点位置を再確立し得る方法を提供することがさらに望ましい。
【0011】
さらに、ナビゲーション基準の原点位置を再確立する必要なしで、ナビゲーション基準のずれた位置を説明する方法を提供することが望ましい。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、位置特定場内のナビゲーション基準のずれを検出する方法は、以下のステップを含む。即ち、少なくとも1つの基準位置特定要素を含む基準カテーテルを位置特定場に配置するステップ、基準カテーテルを位置特定場内の初期基準位置に固定するステップ、少なくとも1つの基準位置特定要素の低速移動平均位置を計算するステップ、少なくとも1つの基準位置特定要素の高速移動平均位置を計算するステップ、少なくとも1つの基準位置特定要素の低速移動平均位置と高速移動平均位置との距離を計算するステップ、計算された距離をずれ閾値と比較するステップ、初期基準位置からの基準カテーテルのずれが発生したと判断するステップ、及び、初期基準位置からの基準カテーテルのずれを示す信号を生成するステップである。適したずれ閾値は約4mmである。
【0013】
ずれが実際のものであるのか、それとも単に認識されただけなのかを判断するさらなるチェックとして、この方法は、計算される距離がずれ閾値を超える場合、少なくとも1つの基準位置特定要素に対して以下の任意選択的なステップを含み得る。即ち、基準位置特定要素のそれぞれの低速移動平均位置及び高速移動平均位置の計算された距離がずれ閾値を超える時点での基準位置特定要素のそれぞれの低速移動平均位置及び高速移動平均位置を結ぶベクトルを計算するステップ、基準位置特定要素のそれぞれの低速移動平均位置及び高速移動平均位置の計算された距離がずれ閾値を超える時点での基準位置特定要素のそれぞれの近傍の基準カテーテルの軸を特定するステップ、及び、計算されたベクトルと、基準位置特定要素のそれぞれの近傍の基準カテーテルの軸と、の間の角度を計算するステップ、それにより、少なくとも1つの基準位置特定要素に関連付けられた少なくとも1つの角度を計算するステップ、及び、基準カテーテルが初期基準位置からずれたことを示す少なくとも1つの角度を分析するステップである。基準カテーテルが初期基準位置特定位置からずれたことを示す少なくとも1つの角度を分析するステップは、鋭角閾値を超える角度の総数を特定すること、及び角度の総数をカウント閾値と比較することを含み得る。
【0014】
同様に、各基準位置特定要素の近傍の基準カテーテルの軸は、任意の適した様式で定義し得る。例えば、各基準位置特定要素の近傍の基準カテーテルの軸は、各基準位置特定要と、隣接する基準位置特定要素と、を結ぶ線分により定義し得る。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの基準位置特定要素の高速移動平均位置は、約12秒というフィルタ時間定数を用いて計算される。低速移動平均位置及び/又は高速移動平均位置の計算に適したフィルタは、指数移動平均フィルタ、移動平均フィルタ、無限インパルス応答フィルタ、有限インパルス応答フィルタ、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0016】
基準カテーテルがずれた場合、この方法は、初期基準位置の近傍に基準カテーテルを再位置決めし、固定するのに役立つガイダンスをユーザに提供することを任意選択的に含む。初期基準位置の近傍への基準カテーテルを再位置決めに対する代替として、この方法は、基準カテーテルの新しい安定位置を定義すること、初期基準位置と新しい安定位置との基準カテーテルの任意の位置変化を補償する基準調整を計算すること、及び、基準調整を使用して、初期基準位置からのずれの後に行われる位置特定要素位置測定を調整することを含み得る。
【0017】
本発明の別の態様では、非電離位置特定場内のナビゲーション基準のずれを検出する方法であって、複数の基準位置特定要素を含む基準カテーテルを位置特定場内の初期基準位置に固定すること、初期基準位置からの基準カテーテルの認識された変位を検出すること、認識された変位の方向を分析して、初期基準位置から基準カテーテルがずれたか否かを判断すること、及び、初期基準位置からの基準カテーテルのずれを示す信号を生成することを含む。この方法は以下の任意選択的なステップを含み得る。即ち、初期基準位置からのずれの後の基準カテーテルの任意の位置変化を補償する基準調整を計算するステップと、基準調整を使用して、初期基準位置からのずれの後に行われた位置特定要素位置測定を調整するステップである。或いは、この方法は、初期基準位置の近傍に基準カテーテルを再位置決めし、固定するのに役立つガイダンスをユーザに提供することも含み得る。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態では、検出するステップは、複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの認識された変位の大きさをずれ閾値と比較することを含む。同様に、分析するステップは、複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの認識された変位の方向を期待ずれ方向と比較することを含み得る。
【0019】
本明細書には、複数の位置特定場生成器と、複数の基準位置特定要素を含む基準カテーテルと、基準カテーテルの複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの低速移動平均位置及び高速移動平均位置の差に少なくとも部分的に基づいて、初期基準位置からの基準カテーテルのずれを監視する基準カテーテルずれプロセッサと、を含む位置特定システムも開示される。ずれプロセッサが、基準カテーテルの認識されるずれの方向(例えば、低速移動平均位置と高速移動平均位置とを結ぶベクトル)と、ずれの期待される方向(例えば、基準カテーテル軸に沿ったベクトル)との相関に少なくとも部分的に基づいて、初期基準位置からの基準カテーテルのずれを監視することも意図される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、基準カテーテルずれプロセッサは、複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの低速移動平均位置及び高速移動平均位置の差をずれ閾値と比較し、差がずれ閾値を超える場合、複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかに対して、基準位置特定要素の低速移動平均位置と高速移動平均位置とを結ぶベクトルと、基準位置特定要素の近傍の基準カテーテルの軸との角度を計算し、それにより、複数の角度を計算し、鋭角閾値を超える角度の総数を特定し、角度の総数をカウント閾値と比較して、基準カテーテルが初期基準位置からずれたか否かを判断する。基準調整プロセッサは、初期基準位置からずれた後、基準カテーテルの任意の位置変化を補償する基準調整を計算し、基準調整を使用して、初期基準位置からずれた後に行われた位置特定要素位置測定を調整もし得る。
【0021】
本発明の利点は、ナビゲーション基準のずれをユーザに警告するために使用し得ることである。
【0022】
本発明のさらなる利点は、ずれを軽減する際にユーザを案内し得ることである。
【0023】
本発明の別の利点は、例えば、基準調整を計算して、ナビゲーション基準の変化した位置を補償することによりずれを自動的に補正することである。
【0024】
本発明のさらに別の利点は、ナビゲーション基準の実際の機械的なずれと、「偽の」ずれと、を区別することである。
【0025】
本発明の上記及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び、利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読むとともに、添付図面を検討することにより明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、好ましくは位置特定システムと併せて適用され、位置特定システムのナビゲーション基準のずれを自動的に検出する。さらに、本発明は、ずれを自動的に補正するか、又はナビゲーション基準を元の位置に再位置決めする際にユーザ、例えば、医師を案内する方法を提供する。
【0028】
説明のために、本発明について、電磁生理学的研究等の心臓診断又は治療処置の文脈の中で説明する。しかし、本発明をさまざまな用途で同様に首尾良く実施することができ、したがって、本発明の説明のために本明細書に使用される例示的な実施形態は限定として見なされるべきではないことを当業者なら理解しよう。
【0029】
図1は、心臓カテーテルをナビゲートし、患者11の心臓10で生じた電気活動を測定し、電気活動、及び/又は、そうして測定された電気活動に関連する又は表す情報を三次元マッピングする心臓電気生理学的研究を行う位置特定システム8の概略図を示す。より詳細に後述するように、位置特定システム8は、好ましくは、電場及び/又は磁場を生成する位置特定システム等の非電離位置特定システムである。
【0030】
システム8は、例えば、1つ又は複数の電極(又は他の適した位置特定要素)を使用して患者の心臓10の解剖学的モデルを作成するために使用することができる。当業者が認識するように、且つさらに後述するように、位置特定システム8は、通常は三次元空間内の物体の位置(及びいくつかの態様では向き)を特定し、それらの位置を少なくとも1つの基準に相対して特定される位置情報として表す。システム8は、心臓表面に沿った複数のポイントで電子生理学的データを測定し、測定データを、電子生理学的データが測定された各測定ポイントの位置情報に関連付けて記憶して、例えば、患者の心臓10の診断データマップを作成するために使用することもできる。
【0031】
説明を簡明にするために、患者11は楕円として概略的に示される。
図1に示される実施形態では、3組の表面電極(例えば、パッチ電極)が、患者11の表面に適用され、本明細書ではx軸、y軸、及びz軸と呼ばれる3つの概して直交する軸を定義する。他の実施形態では、電極は、他の構成で位置決めしてもよく、例えば、複数の電極を特定の体表面に位置決めしてもよい。同様に、電極は、体表面のみにある必要はなく、外部装置に固定してもよく、又は体内に位置決めされた電極を使用してもよい。
【0032】
図1では、x軸表面電極12、14が、患者の胸部領域の横側等の第1の軸に沿って患者に適用(例えば、各腕の下の患者の皮膚に適用)され、左電極及び右電極と呼ばれ得る。y軸電極18、19は、患者の内腿及び首領域に沿うなど、x軸に概して直交する第2の軸に沿って患者に適用され、左足電極及び首電極と呼ばれ得る。z軸電極16、22は、胸部領域の患者の胸骨及び背骨に沿うなどx軸及びy軸の両方に概して直交する第3の軸に沿って適用され、胸電極及び背中電極と呼ばれ得る。心臓10は、これらの表面電極対12/14、18/19及び16/22の間にある。
【0033】
追加の表面基準電極21(例えば、「腹部パッチ」)が、システム8の基準及び/又は接地電極を提供する。腹部パッチ電極21は、さらに詳細に後述するように、固定心臓内電極31に対する代替であり得る。さらに、患者11が所定位置に従来の心電図(「ECG」又は「EKG」)システムリードのうちの大半又はすべてを有してもよいことも理解されたい。このECG情報は、
図1に示されていないが、システム8に提供される。
【0034】
少なくとも1つの電極17(例えば、遠位電極)を有する代表的なカテーテル13も示される。この代表的なカテーテル電極17は、本明細書全体を通して「ロービング電極」、「移動電極」、「測定電極」、又は「位置測定センサ」と呼ばれる。電極17は「位置特定要素」とも呼ばれ、その用語が以下に定義される。通常、カテーテル13及び/又は複数のそのようなカテーテル上に複数の電極が使用される。一実施形態では、例えば、位置特定システム8が、患者の心臓及び/又は血管内に配置された12本のカテーテル上に64個の電極を備え得る。勿論、この実施形態は単なる例示であり、任意の数の電極及びカテーテルを本発明の範囲内で使用し得る。
【0035】
本開示では、例示的なカテーテル13を
図2に示す。
図2では、カテーテル13は、患者の心臓10の左心室50内に延びる。カテーテル13は、遠位端部に電極17を含むとともに、長さに沿って離間された複数の追加の測定電極52、54、56を含む。通常、隣接する電極の間隔は既知であるが、電極がカテーテル13に沿って等間隔でなくてもよく、互いに等しいサイズでなくてもよいことを理解されたい。これらの電極17、52、54、56のそれぞれは患者内にあり、位置特定システム8により各電極で同時に位置データを収集し得る。したがって、各電極(例えば、17、52、54、56)は、パッチ電極12/14、18/19、及び16/22により生成される位置特定場内のカテーテル13の位置を説明するとともに、任意選択的に向きも説明する位置特定信号を生成し得る。
【0036】
これより
図1に戻ると、任意選択的な固定基準電極31(例えば、心臓10の壁に取り付けられるか、又は冠状静脈洞内に係留される)は、第2のカテーテル29に担持されて示される。較正のために、電極31は、静止してもよく(例えば、心臓の壁又はその近傍に取り付けられてもよく)、又はロービング電極(例えば、電極17、52、54、56)と一定の空間関係の箇所に配置されてもよく、したがって、用語が上に定義されている「ナビゲーション基準」を構成する。電極31は「ローカル基準」と呼ばれることもある。同様に、カテーテル29は、電極31を担持し、用語が上に定義されている「基準カテーテル」を構成する。
【0037】
固定基準電極31は、上述した表面基準電極21に加えて、又はその代替として使用し得る。多くの場合、心臓10内の冠状静脈洞電極又は他の電極は、電圧及び変位を測定する基準として使用することができ、すなわち、本明細書に記載のように、固定基準電極31は、位置特定場の座標系の原点を定義し得る。基準カテーテル29が通常、例えば、
図2に示されるように複数の電極を担持すること、及び位置特定システム8のユーザが1つのそのような電極(例えば、基準電極31)を特定の処置のナビゲーション基準として指定し得ることも理解されたい。
【0038】
各表面電極は多重化スイッチ24に結合され、表面電極対が、コンピュータ20で実行中のソフトウェアにより選択され、多重化スイッチ24は表面電極を信号生成器25に結合する。コンピュータ20は、例えば、従来の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、分散コンピュータ、又は他の任意のコンピュータを含み得る。コンピュータ20は、命令を実行して、本明細書に記載の本発明の様々な態様を実施し得る信号中央処理演算装置(CPU)又は一般に並列処理環境と呼ばれる複数の処理ユニット等の1つ又は複数のプロセッサを備え得る。
【0039】
一般に、3つの公称的に直交する電場が一連の駆動され感知される電極双極子(例えば、表面電極対12/14、18/19、及び16/22)により生成され、生物学的導体内にカテーテルナビゲーションを実現する。或いは、これらの直交する場を分解し、任意の表面電極対を双極子として駆動して、有効電極三角測量を提供することができる。同様に、電極12、14、18、19、16、及び22(又は任意の数の電極)を他の任意の有効な構成に位置決めして、電流を送り、心臓内の電極からの電流を感知することができる。例えば、複数の電極を患者11の背中、脇、及び/又は腹部に配置することができる。さらに、そのような非直交方法は、システムに柔軟性を加える。任意の所望の軸では、所定の駆動(ソース−シンク)構成セットから生じるロービング電極を両端として測定される電位を代数的に結合して、直交する軸に沿って均一の電流を単に駆動することにより得られるものと同じ有効電位をもたらすことができる。
【0040】
したがって、表面電極12、14、16、18、19、22のうちの任意の2つを双極子ソースとして選択し、腹部パッチ21等の接地基準に対してドレーンしてもよく、その一方で、非励起電極は接地基準に対する電圧を測定する。心臓10に配置された測定電極(例えば、ロービング電極17、52、54、56)は、電流パルスからの場に曝され、腹部パッチ21等の接地に対して測定される。実際には、心臓内のカテーテルは、示される4つのよりも多数又は少数の電極を含んでもよく、各電極電位を測定し得る。上述したように、少なくとも1つの電極(例えば、基準電極31)を心臓の内面に固定して、固定ナビゲーション基準を形成してもよく、この固定ナビゲーション基準も腹部パッチ21等の接地に対して測定され、位置特定システム8が位置を測定する相対元である座標系の原点として定義し得る。各表面電極からのデータセット、内部電極、及び仮想電極をすべて使用して、心臓10内のロービング電極17、52、54、56の位置を特定し得る。
【0041】
測定された電圧を使用して、基準電極31等の基準位置に対するロービング電極17、52、54、56等の心臓内部の電極の、三次元空間での位置を特定し得る。すなわち、基準電極31で測定される電圧を使用して、座標系の原点を定義し得、その一方で、ロービング電極17、52、54、56で測定される電圧を使用して、原点に対するロービング電極17、52、54、56の位置を表現し得る。本開示では、本発明について三次元(x,y,z)デカルト座標系に関連して説明する。しかし、三次元での球座標系及び円筒座標系及び二次元での極座標系等のその他の座標系も本発明の範囲内にあることを理解されたい。
【0042】
上記考察から明らかであるとおり、心臓内の電極の位置の特定に使用されるデータは、表面電極対が電場を心臓に印加する間に測定される。電極データは、米国特許第7,263,397号明細書に記載のように電極位置の未処理位置データを改良するために使用される呼吸補償値の生成にも使用してもよく、この特許は参照によって本明細書に組み込まれる。電極データは、2005年9月15日に出願された同時係属中の米国特許出願第11/227,580号明細書に記載のように、患者の体のインピーダンス変化を補償するためにも使用してもよく、この出願は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0043】
まとめると、システム8はまず、1組の表面電極を選択し、次に、電流パルスで表面電極を駆動する。電流パルスが送られている間、残りの表面電極のうちの少なくとも1つ及び生体内電極で測定される電圧等の電気活動が測定され記憶される。呼吸及び/又はインピーダンスシフト等のアーチファクトの補償を、上に示したように実行し得る。
【0044】
好ましい実施形態では、位置特定システムは、St. Jude Medical, Atrial Fibrillation Division, Inc.のEnSite NavX(トレードマーク)ナビゲーション及び視覚化システムであり、これは上述したように電場を生成する。しかし、例えば、Biosense Webster, Inc.のCARTOナビゲーション及び位置特定システム又はNorthern Digital Inc.のAURORA(登録商標)システムを含む他の位置特定システムを本発明に関連して使用してもよく、これらは両方とも電場ではなく磁場を利用する。(すべて参照によって本明細書に組み込まれる)以下の特許、即ち、米国特許第6,990,370号明細書、同第6,978,168号明細書、同第6,947,785号明細書、同第6,939,309号明細書、同第6,728,562号明細書、同第6,640,119号明細書、同第5,983,126号明細書、及び同第5,697,377号明細書に記載される位置特定及びマッピングシステムも本発明と併用することができる。
【0045】
電場(例えば、EnSite NavX(トレードマーク))であれ、磁場(例えば、CARTO、AURORA(登録商標))であれ、又は別の適した場であれ、位置特定システム8により生成される場は一般的に「位置特定場」と呼んでもよく、その一方で、表面電極12、14、16、18、19、及び22等の場を生成する要素は一般的に「位置特定場生成器」と呼んでもよい。同様に、本発明は主に、カテーテル13及び29が電極を担持するように電場を生成する位置特定システムの文脈の中で説明されるが、本明細書に開示される原理を他の種類の位置特定場にいかに適用するか、特に他の種類の非電離位置特定場にいかに(例えば、電極17、52、54、56をコイルで置換して、磁場の異なる成分を検出することにより)適用するかを当業者は理解しよう。したがって、用語「位置特定要素」は、本明細書において、システム8により生成される位置特定場内の位置を測定することができる要素を一般的に指すために使用される。
【0046】
当業者が認識するように、且つ上述したように、基準電極31は、例えば、医師が非意図的に基準カテーテル29を引っ張り、事実上、ロービング電極(例えば、17、52、54、及び56)の位置が相対して測定される座標系の原点を移動させ、ずれの後に行われるあらゆるそのような測定を無効にする場合、電子生理学的研究の過程中に初期基準位置からずれるおそれがある。したがって、コントローラ(例えば、コンピュータシステム20に組み込まれるようなプロセッサ)が初期基準位置からのナビゲーション基準のずれを監視し、そのようなずれが発生した場合、ずれを示す信号を生成して、例えば、ずれが発生したことをユーザに警告し、それにより、ユーザが是正措置をとることができるようにすることが望ましい。
【0047】
ナビゲーション基準のずれを検出する一問題は、ナビゲーション基準が患者内に配置され、例えば、患者の心臓活動及び呼吸活動により常に動いていることである。さらに、様々な電気的及び薬理的な干渉が、実際にはずれていない場合にナビゲーション基準をずれたように見せることがある。したがって、基準カテーテル29の実際の機械的ずれから、これらの外部の影響による基準カテーテル29のそのような「偽」又は「認識された」ずれを区別することが望ましい。
【0048】
本発明は、基準カテーテル29の最も可能性が高い機械的ずれが、基準カテーテル29が血管(例えば、冠状静脈洞)に配置された場合、カテーテルの軸に沿うか、又はそこから比較的わずかにずれる(すなわち、予測可能又は予期されるずれ方向にある)現象を利用する。したがって、本発明は、基準カテーテル29上の基準位置特定要素(例えば、電極)の変位を予期されるずれ方向(例えば、基準カテーテル29の軸方向)に相関付け、その相関が高い場合(例えば、変位が大きく、カテーテルの軸に大方平行又は略平行する場合)、ずれを報告する。
【0049】
ナビゲーション基準のずれを検出する本発明による方法の様々な態様について、これより
図3を参照して説明する。ブロック100において、複数の基準電極(又は他の適した位置特定要素)を含む基準カテーテル(例えば、基準カテーテル29)は、位置特定場内の初期基準位置に固定される。例えば、基準カテーテル29を患者の冠状静脈洞に挿入してもよく、基準カテーテル29上の基準電極31はナビゲーション基準(すなわち、位置特定システム8の座標系の原点)として示されてもよい。
【0050】
ブロック102において、基準カテーテル29上の基準電極のうちの1つ又は複数の低速移動平均位置が計算される。説明のために、本開示は、基準カテーテル29上のすべての基準電極が利用される本発明の実施形態を説明する。しかし、全数未満の数の基準電極を本発明の趣旨及び範囲内で利用することができることを理解されたく、それに従って本教示をいかに適合させるかを当業者は認識しよう。
【0051】
したがって、本明細書に記載の本発明の実施形態では、基準カテーテル29上のすべての基準電極の(x,y,z)座標が測定され、数分のフィルタ時間定数を有する移動平均フィルタを用いてフィルタリングされる。実際には、低速移動平均位置は、患者の心臓活動及び呼吸活動の影響並びに特定の電気的及び薬理学的干渉の影響を「平滑化」して、基準電極の安定位置のより長期の表現を提供する。当然、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、基準電極の安定位置を計算する他の方法を利用することもできる。
【0052】
同時に、ブロック104において、基準カテーテル29上の基準電極の高速移動平均位置が計算される。本発明のいくつかの実施形態では、高速移動平均位置が、基準カテーテル29上のすべての基準電極の(x,y,z)座標を測定し、好ましくは、約12秒という時間定数を有する移動平均フィルタを用いてこれらの測定をフィルタリングすることにより計算される。当然、移動平均フィルタは、可変又は適応可変時間定数を有していてもよい。
【0053】
基準電極の低速移動平均位置及び高速移動平均位置の計算に適したフィルタ実施態様は、限定ではなく、指数移動平均フィルタ、移動平均フィルタ、無限インパルス応答フィルタ、有限インパルス応答フィルタ、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0054】
当業者には明らかなように、高速移動平均位置は、様々な基準電極の位置特定信号から心臓及び呼吸のアーチファクトを除去することにより、基準カテーテル29の位置のより「瞬間的」な画を提供する。しかし、本発明の範囲から逸脱せずに利用し得る、上述した移動平均フィルタに対する代替肢がある。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、米国特許第7,263,397号明細書に開示される呼吸補償方法を利用して、位置特定信号から呼吸アーチファクトを除去し得る。参照によって本明細書に完全に記載されるかのように組み込まれる2010年7月13日に出願された米国特許出願第12/835,518号明細書に開示される呼吸フィルタリング方法を利用しても、本発明に関連する良好な利点をもたらし得る。
【0055】
ブロック106において、基準カテーテル29上の基準電極の低速移動平均位置と高速移動平均位置との距離が計算される。この距離は一般に、基準カテーテル29が任意所与の瞬間に初期基準位置からどれくらい離れているか(又は離れているように見えるか)を反映する。
【0056】
判断ブロック108において、基準カテーテル29の潜在的な機械的ずれの一次検出として、ブロック106において計算された距離と事前設定されたずれ閾値とが比較される。事前設定されたずれ閾値は、距離であって、その距離未満では基準カテーテル29の機械的ずれの可能性が低く、且つ/又は臨床的に有意ではない距離未満を反映するように選ばれ、通常は約4mmである。ブロック106において計算された距離がずれ閾値を超えない(例えば、約4mm未満である)場合、基準カテーテル29が初期基準位置からずれている可能性が低く、且つ/又は任意のそのようなずれが臨床的に有意ではなく、分析はブロック106に戻る。他方、ブロック106において計算される距離がずれ閾値を超える(例えば、約4mm以上である)場合、さらなる分析を行い、基準カテーテル29が、実際に初期基準位置からずれているか、それとも単に認識された(例えば、患者の呼吸による)ずれであるかを判断することができる。
【0057】
この二次解析は、基準カテーテル29の認識された変位が、機械的ずれが沿うと予期される(例えば、カテーテルの軸に沿う)方向に生じたか否かを調べる。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、ブロック110において、一連の角度が計算される。まず、基準カテーテル29上の基準電極毎に、距離がずれ閾値を超えた場合(例えば、潜在的なずれがあるとき)の低速移動平均位置と高速移動平均位置とを結ぶベクトルが計算される。次に、このベクトルと基準電極の近傍の基準カテーテル29の軸(基準カテーテル29の「ローカル軸」と呼ぶことができる)との間の角度が計算され、基準カテーテル29の移動方向をローカル軸の方向に相関付ける。上述したように、基準カテーテル29の移動方向と基準カテーテル29のローカル軸との相関が高いことは、「偽」のずれとは対照的な機械的ずれを示唆する。したがって、基準カテーテル29上の各基準電極は関連付けられた角度を有する。
【0058】
基準カテーテル29のローカル軸は、いくつかの方法で特定し得る。例えば、ローカル軸は、各基準電極を隣接する基準電極に結ぶ線分、又は基準カテーテル29の既知の幾何学的形状に基づく線分を計算することにより特定し得る。他の実施形態では、基準カテーテル29のローカル軸は、隣接する基準電極を結ぶ線分を計算することにより計算してもよい。本発明のさらに他の実施形態では、基準カテーテル29のローカル軸は、基準カテーテル29の本体への接線として計算し得る。
【0059】
ブロック112において、ブロック110において計算された角度を分析して、いくつのそのような角度が事前設定された鋭角閾値を超えるかを特定する。このステップは、基準電極の変位とカテーテル軸との相関を測定し、上述したように、基準カテーテル29の最も可能性の高い機械的ずれはその軸に沿うか、又は比較的近い。したがって、鋭角閾値は、好ましくは、基準カテーテル29のローカル軸の定義に採用される規約に応じて、略0度又は略180度である。
【0060】
判断ブロック114において、鋭角閾値を超える角度の数が、事前設定されるカウント閾値と比較される。カウント閾値は、基準カテーテル29が初期基準位置からずれたとの結論付けをサポートするために、カテーテルの軸に沿うか、又は略沿う変位を受けなければならない基準電極の数を反映するように選択される。すなわち、多数の基準電極がカテーテルの軸に沿うか、又は略沿う変位を受けた場合、基準カテーテル29が初期基準位置からずれた可能性が高い。他方、少数の基準電極がカテーテルの軸に沿うか、又は略沿う変位を受けた場合、基準カテーテル29が初期基準位置からずれた可能性は低い。
【0061】
したがって、鋭角閾値を超える角度の数がカウント閾値を下回る場合(すなわち、比較的少数の基準電極が、基準カテーテル29の軸に沿うか、又は略沿う変位を受けた場合)、システムは、基準カテーテル29のずれがなかったと結論付け、分析はブロック106に戻る。他方、鋭角閾値を超える角度の数がカウント閾値を超える場合(すなわち、比較的多数の基準電極が基準カテーテル29の軸に沿うか、又は略沿う変位を受けた場合)、システムは、基準カテーテル29のずれがあったと結論付け、ブロック116において、適した信号(例えば、可聴信号、可視信号、又はこれらの組み合わせ)が生成される。
【0062】
ずれが検出されると、判断ブロック118において、施術者に3つの選択肢が提供される。第1に、ユーザは何もしないことを選び得る(ブロック120)。
【0063】
第2に、ユーザは、基準カテーテル29を初期基準位置(又はより可能性が高くは、初期基準位置の妥当な近傍位置)に戻すことを選び得る(ブロック122)。ユーザがこの選択肢を選んだ場合、さらに詳細に後述するように、視覚的及び/又は可聴ガイダンスを提供して、上記のようにするに際してユーザを支援してもよい。例えば、システムは、基準カテーテル29の現在位置の画像と、初期基準位置にある基準カテーテル29の「シャドー」画像と、を示してもよい。或いは、システムは、基準カテーテル29の現在位置の画像と、ユーザが基準カテーテル29を移動させようとしている標的とを示してもよい。
【0064】
システムは、基準カテーテル29が初期基準位置に近づくにつれて周波数が増大するビープトーン等の可聴ガイダンスを提供して、初期基準位置への基準カテーテル29の近傍性を示すこともできる。
【0065】
システムが、2006年12月29日に出願された米国特許出願第11/647,298号明細書に開示されるロボット外科システム等の位置ガイダンスを自動カテーテル制御システムに提供し得ることも意図され、この特許は本明細書に完全に記載されているかのように参照によって本明細書に組み込まれる。
【0066】
第3に、ユーザは、基準カテーテル29の新しい変位位置を新しい基準位置として受け入れることを選んでもよい(ブロック124)。ユーザがこの選択肢を選ぶ場合、好ましくは、ブロック126において基準調整が計算されて、初期基準位置からずれた後、基準カテーテル29の任意の位置変化を補償する。この基準調整は、実際には、ナビゲーション基準31の新しい位置に相対して測定された座標を、基準カテーテル29がずれる前の座標系に変換する変換関数又はベクトルであり、したがって、ずれた後に位置特定システム8により行われた位置測定の調整に使用される。
【0067】
当然、ユーザが基準カテーテル29の初期基準位置への再位置決めを選ぶ場合、ユーザが、基準カテーテル29がずれ前に占有していた位置と全く同じ位置に戻せる可能性が低いときも、基準調整を計算することが望ましいであろう。
【0068】
最後に、ユーザがずれの軽減を選ぶ(すなわち、ユーザが、ずれに応答して何もしないこと以外の何かを行うことを選ぶ)場合、ブロック128において、ずれ検出プロセスを再初期化してもよい。再初期化プロセス中、ずれ監視が一時的に中断される。ずれ監視が中断される場合、ずれ直前の基準カテーテル29上のすべての基準電極の低速移動平均の位置が記憶される(したがって、例えば、これらの位置を、上述したように基準調整の計算に使用してもよい)、基準カテーテル29上の基準電極の新しい安定位置が、待機期間中にわたって平均されて、本明細書に記載のずれ検出方法の新しい低速移動平均位置ベースラインを設定する。待機期間の終わりで(すなわち、新しい低速移動平均ベースラインが確立されると)、ずれ監視は再び有効にされる。
【0069】
本発明が、gMPS(トレードマーク)Medical Positioning System等の電場磁場統合に基づく位置特定システムに関連して実施してもよいことも意図される。例えば、電場に基づく位置特定システムを使用して基準カテーテル29上の基準電極の位置を測定することに加えて、電磁場基準位置特定要素(例えば、電磁トランスデューサ)の位置を、磁場に基づく位置特定システムを使用して測定し得る。
【0070】
同様に、電子磁気基準位置特定要素は、磁場に基づく位置特定システムにより測定可能な軸を有する。この要素の軸が基準カテーテル29のローカル軸に略平行することを理解されたい。
【0071】
電磁基準位置特定要素に関して、ずれベクトル(すなわち、電磁基準位置特定要素の低速移動平均位置と高速移動平均位置とを結ぶベクトル)及びずれ角度(すなわち、ずれベクトルと基準カテーテル29のローカル軸との角度)を検査し得る。ずれ角度が事前設定される閾値未満の場合(上述した鋭角閾値と同様の性質のもの)、それは、基準カテーテル29が初期基準位置からずれたことのさらなる証拠である。
【0072】
本発明による方法の適用について、
図4〜
図7を参照してこれより説明する。
図4は、ずれ検出が可能な状態のシステムの初期状態を表す。基準カテーテル29が可視であり、基準カテーテル29上の基準電極31も可視であり、ナビゲーション基準として示されている。測定電極を担持する一連の他のカテーテル13も示される。説明のために、カテーテル13の実際の位置は、シャドー13’として破線で示される。
【0073】
図5では、基準カテーテル29はずれている。ナビゲーション基準は安定していると仮定されるため、基準電極31は移動したように見えず、したがって、変位は基準カテーテル29を拡張させて見せる。さらに、基準カテーテル29のずれは、カテーテル13を、矢印13’で示されるように、実際の位置から大きく変位して見えさせる。
【0074】
次に、ユーザにずれが警告され、基準カテーテル29を初期基準位置の近傍に再位置決めするか、又は基準カテーテル29の変位位置を新しい基準位置として受け入れることにより、何もしないか、ずれを軽減するかの選択肢が提供される。
図6は、ユーザが基準カテーテル29を初期基準位置の近傍に再位置決めすることによりずれの軽減を選んだと仮定する。
【0075】
基準カテーテル29を初期基準位置又はその近傍に再位置決めする際にユーザを支援するために、初期基準位置(例えば、基準カテーテル31の元の位置)は、標的ボール200で強調表示される。カテーテル13は、明確にするために
図6から省かれてもいる。ユーザが基準カテーテル29を動かすにつれ、基準カテーテル29の進行はディスプレイ23に反映され、視覚的及び/又は可聴フィードバックをユーザに提供し得る。例えば、ユーザが基準カテーテル29を初期基準位置の近傍に移動させるにつれ、標的ボール200は色を変え(例えば、基準カテーテル29が初期基準位置の近傍にない場合は赤、基準カテーテル29が初期基準位置の近傍にある場合は黄色、基準カテーテル29が初期基準位置に一致する場合は緑)、明滅し、又は他の様式で初期基準位置への基準カテーテル29の近傍性を示す。
【0076】
ユーザは、基準カテーテル29を初期基準位置の近傍に戻すと、基準カテーテル29の新しい位置を安定した基準位置として受け入れることができる。次に、システムは、
図7に示されるように、カーテル13が再び、実際の位置シャドー13’の近傍になるように、カテーテル13の位置を再計算する。当然、基準カテーテル29が、初期基準位置と厳密に同じ位置に復元されないという点で、基準調整が望ましいことがある。さらに、システムはずれ検出プロセスを再初期化する。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を、ある程度の具体性をもって上述したが、当業者は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱せずに、開示される形態の多くの変更を行い得る。例えば、基準調整は、新しい座標系から古い座標系への変換として説明されるが、古い座標系から新しい座標系にも同様に変換を行い得ることを当業者は理解しよう。すなわち、基準調整を使用して、すべての測定が共通の座標系に対して行われることを保証する。座標系が古い座標系であるか、それとも新しい座標系であるかは重要ではない。
【0078】
別の例として、本明細書に記載の本発明の実施形態(例えば、電場に基づく位置特定システム、磁場に基づく位置特定システム、及び電磁場磁場混成に基づく位置特定システム)を任意の所望の組み合わせで利用し得ることを当業者は理解しよう(例えば、両方の基準電極及び基準電磁位置特定要素の両方がずれ閾値を超え、ずれの可能性が高い方向での変位を示す場合のみ、ずれを検出する)。
【0079】
全ての方向に関する指示(例えば、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、底部、より上方に、より下方に、垂直の、水平の、時計回り、反時計回り)は、読者の本発明についての理解を助けるべく、識別する目的で使用されているに過ぎず、特に本発明の位置、方向又は使用に関して制限を与えるものではない。結合に関する指示(例えば、取り付けられる、連結される、接続されるなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続部と、要素の間の相対的な動きと、の間の中間部材を含んでいてもよい。その様に、結合に関する指示は、2つの要素が直接的に接続されている及び互いに固定した関係にあることを必ずしも推定しているものではない。
【0080】
上記の説明に含まれる又は添付図面に示される全ての内容は、制限的なものとしてではなく、単に例示的なものとして解釈されるべきである。添付の特許請求の範囲で定義されている本発明から逸脱すること無く、細部又は構造に変更を加えることができる。
以下の項目は、2013年6月24日付で提出の翻訳文提出書に記載の要素である。
(項目1)
位置特定場内のナビゲーション基準のずれを検出する方法であって、
少なくとも1つの基準位置特定要素を含む基準カテーテルを位置特定場に配置するステップと、
前記基準カテーテルを前記位置特定場内の初期基準位置に固定するステップと、
前記少なくとも1つの基準位置特定要素の低速移動平均位置を計算するステップと、
前記少なくとも1つの基準位置特定要素の高速移動平均位置を計算するステップと、
前記少なくとも1つの基準位置特定要素の前記低速移動平均位置と前記高速移動平均位置との距離を計算するステップと、
前記計算された距離をずれ閾値と比較するステップと、
前記初期基準位置からの前記基準カテーテルのずれが発生したと判断するステップと、
前記初期基準位置からの前記基準カテーテルのずれを示す信号を生成するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記ずれ閾値は約4mmである。
(項目3)
前記計算された距離が前記ずれ閾値を超える場合、
前記少なくとも1つの基準位置特定要素に対して、
前記基準位置特定要素のそれぞれの前記低速移動平均位置及び前記高速移動平均位置の前記計算された距離が前記ずれ閾値を超える時点での前記基準位置特定要素のそれぞれの前記低速移動平均位置及び前記高速移動平均位置を結ぶベクトルを計算するステップと、
前記基準位置特定要素のそれぞれの前記低速移動平均位置及び前記高速移動平均位置の前記計算された距離が前記ずれ閾値を超える時点での前記基準位置特定要素のそれぞれの近傍の前記基準カテーテルの軸を特定するステップと、
前記計算されたベクトルと、前記基準位置特定要素のそれぞれの近傍の前記基準カテーテルの前記軸との間の角度を計算するステップと、
それにより、前記少なくとも1つの基準位置特定要素に関連付けられた少なくとも1つの角度を計算するステップと、
前記基準カテーテルが前記初期基準位置からずれたという表示に関して、前記少なくとも1つの角度を分析するステップと、
をさらに含む。
(項目4)
前記基準カテーテルが前記初期基準位置特定位置からずれたという表示に関して、前記少なくとも1つの角度を分析するステップは、
鋭角閾値を超える角度のカウントを特定することと、
前記角度のカウントをカウント閾値と比較することと、
を含む。
(項目5)
前記基準位置特定要素のそれぞれの近傍の前記基準カテーテルの前記軸は、前記基準位置特定要素のそれぞれと隣接する基準位置特定要素とを結ぶ線分により定義される。
(項目6)
前記少なくとも1つの基準位置特定要素の前記高速移動平均位置は、約12秒というフィルタ時間定数を用いて計算される。
(項目7)
前記少なくとも1つの基準位置特定要素の低速移動平均位置及び高速移動平均位置のうちの少なくとも一方は、指数移動平均フィルタ、移動平均フィルタ、無限インパルス応答フィルタ、有限インパルス応答フィルタ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるフィルタを使用して計算される。
(項目8)
前記初期基準位置の近傍に前記基準カテーテルを再位置決めし、固定するのに役立つガイダンスをユーザに提供するステップをさらに含む。
(項目9)
前記基準カテーテルの新しい安定位置を定義するステップと、
前記初期基準位置と前記新しい安定位置との前記基準カテーテルの任意の位置変化を補償する基準調整を計算するステップと、
前記基準調整を使用して、前記初期基準位置からのずれの後に行われる位置特定要素位置測定を調整するステップと、
をさらに含む。
(項目10)
非電離位置特定場内のナビゲーション基準のずれを検出する方法であって、
複数の基準位置特定要素を含む基準カテーテルを前記位置特定場内の初期基準位置に固定するステップと、
前記初期基準位置からの前記基準カテーテルの認識された変位を検出するステップと、
前記認識された変位の方向を分析して、前記初期基準位置から前記基準カテーテルがずれたか否かを判断するステップと、
前記初期基準位置からの前記基準カテーテルのずれを示す信号を生成するステップと、
を含む、方法。
(項目11)
前記初期基準位置からのずれの後の前記基準カテーテルの任意の位置変化を補償する基準調整を計算するステップと、
前記基準調整を使用して、前記初期基準位置からのずれの後に行われた位置特定要素位置測定を調整するステップと、
をさらに含む。
(項目12)
前記検出するステップは、前記複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの認識される変位の大きさをずれ閾値と比較することを含む。
(項目13)
前記分析するステップは、前記複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの認識される変位の方向を期待されるずれ方向と比較することを含む。
(項目14)
前記初期基準位置の近傍に前記基準カテーテルを再位置決めし、固定するのに役立つガイダンスをユーザに提供するステップをさらに含む。
(項目15)
位置特定システムであって、
複数の位置特定場生成器と、
複数の基準位置特定要素を含む基準カテーテルと、
少なくとも部分的に、前記基準カテーテルの前記複数の基準位置特定要素のうちの少なくとも1つの低速移動平均位置及び高速移動平均位置の差に基づいて、初期基準位置からの前記基準カテーテルのずれを監視する基準カテーテルずれプロセッサと、
を備える、システム。
(項目16)
前記基準カテーテルずれプロセッサは、
前記複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかの前記低速移動平均位置と前記高速移動平均位置との前記差をずれ閾値と比較し、前記差が前記ずれ閾値を超える場合、
前記複数の基準位置特定要素のうちの少なくともいくつかに対して、前記基準位置特定要素の前記低速及び高速移動平均位置を結ぶベクトルと、前記基準位置特定要素の近傍の前記基準カテーテルの軸との間の角度を計算し、それにより、複数の角度を計算し、
鋭角閾値を超える角度のカウントを特定し、
前記角度のカウントをカウント閾値と比較して、前記基準カテーテルが前記初期基準位置からずれたか否かを判断する。
(項目17)
基準調整プロセッサをさらに備え、前記基準調整プロセッサは、
前記初期基準位置からのずれの後の前記基準カテーテルの任意の位置変化を補償する基準調整を計算し、
前記基準調整を使用して、前記初期基準位置からのずれの後に行われた位置特定要素位置測定を調整する。
(項目18)
前記基準カテーテルずれプロセッサは、少なくとも部分的に、前記基準カテーテルの認識されるずれの方向と、前記基準カテーテルの期待されるずれの方向との相関に基づいて初期基準位置からの前記基準カテーテルのずれを監視する。