(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795092
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】挟み具の構造
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20150928BHJP
B25B 5/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
B25J15/08 A
B25B5/02
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-9147(P2014-9147)
(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-144530(P2014-144530A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2014年1月22日
(31)【優先権主張番号】102201769
(32)【優先日】2013年1月25日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514019132
【氏名又は名称】萬潤科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】張 巍騰
(72)【発明者】
【氏名】王 瑞鴻
【審査官】
谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−008107(JP,A)
【文献】
特開平11−138484(JP,A)
【文献】
特開2007−118115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
B25B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、移動体と、第1挟み爪と、第2挟み爪とを備える挟み具の構造であって、
前記本体は、第1境界と第2境界とが形成された内室を有し、前記内室の一端には第1開口部が形成され、前記第1開口部の他端には第1境界が形成され、前記第1開口部には締め蓋が設けられ、前記締め蓋によって前記第2境界が形成され、前記本体は外部のコネクタと接して正圧を導入させる第1流路を含み、前記第1境界と前記本体の下方にはくり抜き移動空間が設けられ、
前記移動体は、前記内室に可動に内設され、前記内室を第1空間と第2空間とに仕切り、第1流路の外部に接して正圧を第1空間に導入し、かつ弾性素子を第2境界と移動体との間の第2空間に取付けられ、
前記第1挟み爪は、前記移動体の下方に取付けられ、前記本体のくり抜きの移動空間によって、前記移動体に固設されるとともに該移動体と連動し、前記第1挟み爪は第1挟み台を含み、
前記第2挟み爪は、前記移動体の下方の本体に設けられ、第2挟み台を含み、
正圧の気体を第1空間に導入することにより、移動体を第2空間へ押し付けるとともに弾性素子を圧縮させ、移動体に連動されることによって第1挟み爪を第2挟み爪側へ移動させ、かつ第1挟み爪の下方の第1挟み台と第2挟み爪の下方の第2挟み台とを引き合わせ、その間に取り付けた物品を挟み込むことを特徴とする挟み具の構造。
【請求項2】
前記移動体は、前記第2空間の一側に第2空間の収納室を凹設して形成ことを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【請求項3】
前記締め蓋にて、外部に連絡する第2流路を開けられていることを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【請求項4】
前記締め蓋は、前記本体の前記内室に備える前記第2空間の一側に位置決め区域を凹設されていることを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【請求項5】
前記第1挟み爪は、前記本体の前記くり抜きの移動空間によって、前記移動体に固設する第1載置台と、前記第1載置台に固設する第1爪部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【請求項6】
前記第1挟み爪は、前記締め蓋の一端に向かって湾設され、前記第1締め台を一側に偏って取り付けることを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【請求項7】
前記第2締め付け爪は、前記本体に固設する第2載置台と、前記第2載置台に固設する第2爪部とを含むことを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【請求項8】
前記第2挟み爪は、まっすぐに延在していて、前記第2挟み台は、前記第1挟み台の反対方向の一側に偏って取り付けることを特徴とする、請求項1に記載する、挟み具の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟み具の構造に関し、特に空気圧力を稼働動力として、直線の移動軌道において、挟みと放して置き操作ができる挟み具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の挟み具の種類と構造は多くある。駆動動力で分類すると、電動、手動、油圧、気圧などの方式がある。そして、使用場面で分類すると、自動車より大きい挟み具や、ヒトの体の胃腸に入れて異物を掴み取るマイクログリッパーなどがある。さらに挟み具のつかみ取り方式で分類すると、挟み爪を円周の径方向から縮小して挟み取るか、または挟み爪を交差させて挟み取るなど構造の種類は多岐にわたる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は捲線機で線材を挟み込んで移動することのできる挟み具の発明に関する。直径は0.1mmの線材を挟み込んで移動するものである。この種の線材は、携帯電話機、タブレットPCなどに使用するマイクロトランス(Transformer)コイルに巻きつけている。この種の挟み具は微形で、長さは5cm以下、しかも油を嫌う稼働環境でしか適用できない。さらに、わずかな寸動距離のほか、挟み爪は直線移動の軌道において、挟みと離し動作を必要とする。残念ながら、公知の捲線技術では、この種の操業に適する挟み具はみられない。
【0004】
発明者は、公知の大型、油圧、または円の径方向から収縮して挟み取るものや、挟み爪を交差して挟み取るものか、その他大スパン移動距離の挟み具などは、本発明のような微形で、かつ直線の軌道でわずかな距離で移動する線材を挟み込んで移動作業に適用できないことから、本発明を思料した次第である。
【0005】
よって、本発明の目的は、微形で、かつ直線の軌道でわずかな距離で移動する物体を挟み込みと放し可能な挟み具の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述目的に基づき、本発明の挟み具は、本体と、移動体と、第1挟み爪と、第2挟み爪と、を備える。本体は、第1境界と、第2境界を形成された内室と、第1流路と、くり抜き移動空間とを設けられている。移動体は、本体の内室で可動にて内室に内設され、内室を第1空間と、第2空間とを仕切り、弾性素子を第2境界と移動体との間に取り付ける。第1締め付け爪は、本体のくり抜きの移動空間によって、移動体に固設され、かつ移動体と連動し、第1挟み台を有する。第2挟み爪は、本体に設けられ、第2挟み台を有する。
【0007】
本発明の目的に基づき、本発明の挟み具のもう一つの構造は、本体と、移動体と、締め蓋と、第1挟み爪と、第2挟み爪と、を備える。本体は、一端に第1開口部を形成された内室を内設し、第1開口部の他端に第1流路を設けられ、本体は、くり抜きの移動空間を有する。移動体は、本体の内室で可動にて内室に内設され、内室を第1空間と、第2空間とを仕切って、弾性素子を第2境界と移動体との間に取り付ける。締め蓋は、本体の開口端に設けることによって、弾性素子を移動体との間に取り付ける。第1締め付け爪は、本体のくり抜きの移動空間によって、移動体固設され、かつ移動体と連動し、第1挟み台を有する。第2挟み爪は、本体に設けられ、第2挟み台を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明設計の長所として、移動体を戻す弾性戻り力を蓄積する構成品の弾性素子は、移動体に凹設された収納室と、締め蓋に凹設された位置決め区域との間に設けているため、チャンバーの必要空間を大幅に小さくすることができ、本体全体が微形でありながら、直線移動の軌道に極近距離で挟みと放し機能を実現できる。さらに、第1挟み爪と第2挟み爪の第1爪部と第2爪部とも第1載置台または第2載置台と分離して、異なる形状の爪部または挟み台を持つ挟み爪に交換可能なため、交換性が大幅に向上される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例による挟み具の構造の外観を示す立体概略図である。
【
図2】本発明の実施例による挟み具の構造において、挟み爪を緩めるときを示す断面概略図である。
【
図3】本発明の実施例による挟み具の構造において、挟み爪を挟み込むときを示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0010】
図1と
図2、とを参照する。本発明の挟み具の構造は、本体1と、移動体3と、締め蓋4と、第1挟み爪と、第2挟み爪と、を備える。
【0011】
本体1内部の一端に第1開口部11を設けられた内室12を有し、第1開口部11の他端に備える第1境界121は第1流路13を設けられ、第1流路13はコネクタ2によって、外部に螺合され、本体1の下方にくり抜き移動空間14を設けられている。
【0012】
移動体3は、本体1の内室12で可動にて内室12に内設され、内室12との間にシールリング31を設けると共に、内室12を第1空間122と第2空間123とを仕切られている。移動体3は第2空間122の一側に、第2開口部32の収納室33が凹設されている。
【0013】
締め蓋4は、本体1の内室12の他端に第2境界124を形成して、本体1の開口端11に取付けられ、固定具41によって、開口部11の端部に螺合して密閉される。締め蓋4に外部と連絡する第2流路42を開けられている。締め蓋4は、本体1の内室12に向かう第2空間122の一側に、位置決め区域43を凹設することによって、弾性素子5を締め蓋4の第2境界124と移動体3との間に取り付けて、位置決め区域43と、移動体3の収納室33との間に固定される。
【0014】
第1挟み爪5は、本体1のくり抜き移動空間14によって移動体3に固設していて、かつ移動体3と連動される。第1挟み爪5は、本体1のくり抜き移動空間14によって、移動体3に固設する第1載置台51と、第1載置台51に固設する台1爪部52とを含む。第1爪部52は締め蓋4の一端に向かって湾設され、末端部は一側に偏る第1挟み台521を設けられている。
【0015】
第2挟み爪6は、本体1と固設する第2載置台61と、第2載置台61に固設する第2爪部62とを含み、本体1に設けられている。第2爪部62はまっすぐに延在していて、末端部は、第1挟み台521と逆方向にて、一側に偏って取り付ける第2挟み台621を設けられている。
【0016】
本体1の第1流路13がコネクタ2につなげて、正圧の気体を第1空間122に入力し、正圧の気体によって、移動体3を第2空間123に移動させると共に、弾性素子5を圧迫し、移動体3と連動する第1挟み爪5を第2挟み爪6へ近づけるように移動させ、下方にある第1挟み台521と、第2挟み爪6下方の第2挟み台621とを引き合わせて(
図3に示す)、その間に取り付けた物品を挟み込む。本体1の第1流路13がコネクタ2につなげて、正圧の気体を第1空間122への注入が中止されると、弾性素子5を圧迫し、蓄積していた弾性戻り力によって、移動体3を第1空間122に移動させ、移動体3と連動する第1挟み爪5を駆動して、第2挟み爪と6を引き離せ、下方にある第1挟み台521と、第2挟み爪6の下方にある第2挟み台621とを
図2に示すように分離して、その間で挟み込まれた物品を放される。
【0017】
正圧の気体によって、移動体3を第2空間123に移動すると共に、弾性素子5を圧迫するときに、第2空間123に滞留していた気体は、第2流路42から排出し、移動体3を第2空間123に移動させる(
図3に示す)。弾性素子5を圧迫して蓄積していた弾性戻り力によって、移動体3を第1空間122に移動させるとき、第2空間123で形成する負圧によって、第2流路42から気体を吸入して、気体を補償すると共に、釣り合いをとって、移動体3が負圧の気体によって吸着されずに、第1空間122に移動される(
図2に示す)。
【0018】
本発明の実施例によれば、移動体3を戻すための弾性戻り力を蓄積する構成品の弾性素子5は、移動体3に凹設された収納室33と、締め蓋4に凹設された位置決め区域43との間に設けているため、チャンバー12の必要空間を大幅に小さくできるほかに、本体1全体が微形でありながら、直線移動の軌道に極近距離で挟みと放し機能を実現できる。さらに、第1挟み爪5と第2挟み爪6の第1爪部52と、第2爪部62とも第1載置台51または第2載置台61とを分離して、異なる形状の爪部または挟み台を持つ挟み爪に交換可能なため、交換性が大幅に向上される。
【0019】
以上に説明した本発明の好ましい実施例は、本発明の実施範囲に制限を加わるものではない。よって、本発明の実施範囲および明細書の内容による等効果変化と修飾はなお本発明の特許出願の範疇に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0020】
1 本体
11 開口部
12 内室
121 第1境界
122 第1空間
123 第2空間
124 第2境界
13 第1流路
14 移動区間
2 コネクタ
3 移動体
31 シールリング
32 第2開口部
33 収納室
4 締め蓋
41 固定具
42 第2流路
42 第2流路
43 位置決め区域
5 第1挟み爪
51 第1載置台
52 第1爪部
521 第1挟み台
6 第2挟み爪
61 第2載置台
62 第2爪部
621 第2挟み台