【実施例】
【0064】
まず、実施例
、参考例および比較例に先立ち、以下のようにしてセルロース繊維aを作製した。
【0065】
〔セルロース繊維aの作製〕
まず、針葉樹パルプ2gに、水150mlと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPOを0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が6.5mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10〜11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120秒)。反応終了後、0.1N塩酸を添加してpHを7.0に調整し、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維aを得た。セルロース繊維aのカルボキシル基量、最大繊維径、数平均繊維径は、下記の基準に従って測定した結果、カルボキシル基量が1.83mmol/g、最大繊維径が10nm、数平均繊維径が6nmであった。
【0066】
〔カルボキシル基量の測定〕
セルロース水分散体を60ml(セルロース重量:0.25g)調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下の式(2)に従いカルボキシル基量を求めた。
【0067】
カルボキシル基量 [mmol/g]=V[ml]×〔0.05/セルロース重量〕 ……(2)
【0068】
〔最大繊維径、数平均繊維径〕
セルロース水分散体におけるセルロース繊維の最大繊維径および数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM−1400)を用いて観察した。すなわち、各セルロース繊維を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、最大繊維径および数平均繊維径を算出した。
【0069】
なお、セルロース繊維aに関し、セルロース繊維表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基に酸化されているかどうかについて、
13C−NMRチャートで確認した。すなわち、酸化前のセルロースの
13C−NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。このことから、セルロース繊維aは、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基に酸化されていることが確認された。
【0070】
〔
参考例1〕
上記セルロース繊維aを、固形分濃度が2重量%となるように純水で希釈し、超高圧ホモジナイザーで処理した。これを、さらに純水で希釈し、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)により8000rpmで10分間撹拌することにより、固形分濃度が1重量%のセルロース繊維a分散液を調製した。一方、グアーガム(非イオン性の増粘多糖類)を純水に溶解し、1重量%のグアーガム水溶液を調製した。そして、セルロース繊維a分散液:グアーガム水溶液が、重量比で、25:75となるように混合し、T.K.ホモミクサーにより8000rpmで10分間撹拌した。撹拌後、脱気してマヨネーズ瓶にうつし、24時間静置した。このように調製した組成物の粘度Zを、BH型粘度計(80000mPa・s未満:ローターNo.4、回転数2.5rpm、3分、25℃、80000mPa・s以上:ローターNo.5、回転数2.5rpm、3分、25℃)を用いて測定した。同様の測定方法により、上記混合前の、1重量%セルロース繊維a分散液の粘度Xと、1重量%グアーガム水溶液(増粘多糖類水溶液)の粘度Yも測定した。
【0071】
〔
参考例2〕
セルロース繊維a分散液:グアーガム水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例1と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0072】
〔
参考例3〕
セルロース繊維a分散液:グアーガム水溶液が、重量比で、75:25となるよう混合した。それ以外は、
参考例1と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0073】
〔
参考例4〕
グアーガム水溶液に代えて、タマリンドガム(非イオン性の増粘多糖類)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のタマリンドガム水溶液を用いた。また、
参考例1と同様の方法で得たセルロース繊維a分散液の固形分濃度を0.5重量%に調整した。そして、セルロース繊維a分散液:タマリンドガム水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例1と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0074】
〔
参考例5〕
グアーガム水溶液に代えて、グルコマンナン(非イオン性の増粘多糖類)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のグルコマンナン水溶液を用いた。また、
参考例1と同様の方法で得たセルロース繊維a分散液の固形分濃度を0.5重量%に調整した。そして、セルロース繊維a分散液:グルコマンナン水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例1と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0075】
〔比較例1〕
グアーガム水溶液に代えて、カラギーナン(イオン性の増粘多糖類)を純水に溶解して調製した、1重量%のカラギーナン水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:カラギーナン水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例1と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0076】
〔比較例2〕
グアーガム水溶液に代えて、キサンタンガム(イオン性の増粘多糖類)を純水に溶解して調製した、1重量%のキサンタンガム水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:キサンタンガム水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例1と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0077】
ここで、上記
参考例1〜5および比較例1,2において測定した組成物の測定粘度Zを、下記の表1および表2に示すとともに、先の、セルロース繊維a分散液の粘度Xと、増粘多糖類水溶液の粘度Yから、下記の式に従い算出した理論粘度Tを、同表に併せて示した。なお、組成物の測定粘度Zが理論粘度Tを上回る場合、同表における増粘相乗効果を○と表記し、組成物の測定粘度Zが理論粘度Tを下回る場合、増粘相乗効果を×と表記した。
理論粘度T=〔α×粘度X+β×粘度Y〕/(α+β)
α:組成物中のセルロース繊維aの配合量(重量%)
β:組成物中の増粘多糖類の配合量(重量%)
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
上記表1および表2の結果より、セルロース繊維aとともに非イオン性の増粘多糖類を配合した
参考例1〜5では、増粘相乗効果が認められるのに対し、セルロース繊維aとともにイオン性の増粘多糖類を配合した比較例1,2では、
参考例のような増粘相乗効果が認められなかった。
【0081】
ところで、上記
参考例1〜3でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aとグアーガムの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表3に示す通りである。そして、表3における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図1に示す通りである。
【0082】
【表3】
【0083】
図1に示すように、セルロース繊維aとグアーガムとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aとグアーガムとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0084】
また、上記
参考例4でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aとタマリンドガムの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表4に示す通りである。そして、表4における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図2に示す通りである。
【0085】
【表4】
【0086】
図2に示すように、セルロース繊維aとタマリンドガムとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aとタマリンドガムとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0087】
また、上記
参考例5でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aとグルコマンナンの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表5に示す通りである。そして、表5における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図3に示す通りである。
【0088】
【表5】
【0089】
図3に示すように、セルロース繊維aとグルコマンナンとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aとグルコマンナンとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0090】
また、上記比較例1でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aとカラギーナンの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表6に示す通りである。そして、表6における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図4に示す通りである。
【0091】
【表6】
【0092】
図4に示すように、セルロース繊維aとカラギーナンとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を下回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aとカラギーナンとの併用による増粘相乗効果は認められないことがわかる。
【0093】
また、上記比較例2でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aとキサンタンガムの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表7に示す通りである。そして、表7における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図5に示す通りである。
【0094】
【表7】
【0095】
図5に示すように、セルロース繊維aとキサンタンガムとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を下回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aとキサンタンガムとの併用による増粘相乗効果は認められないことがわかる。
【0096】
〔
参考例6〕
前記セルロース繊維aを、固形分が2重量%となるように純水で希釈し、超高圧ホモジナイザーで処理した。これを、さらに純水で希釈し、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)により8000rpmで10分間撹拌することにより、固形分が0.5重量%のセルロース繊維a分散液を調製した。一方、重量平均分子量350000のカルボキシメチルセルロース(CMC)(セルロース誘導体)を純水に溶解し、0.5重量%のCMC水溶液を調製した。そして、セルロース繊維a分散液:CMC水溶液が、重量比で、25:75となるように混合し、T.K.ホモミクサーにより8000rpmで10分間撹拌した。撹拌後、脱気してマヨネーズ瓶にうつし、24時間静置した。このように調製した組成物の粘度Zを、BH型粘度計(80000mPa・s未満:ローターNo.4、回転数2.5rpm、3分、25℃、80000mPa・s以上:ローターNo.5、回転数2.5rpm、3分、25℃)を用いて測定した。同様の測定方法により、上記混合前の、0.5重量%セルロース繊維a分散液の粘度Xと、0.5重量%CMC水溶液(セルロース誘導体水溶液)の粘度Yも測定した。
【0097】
〔
参考例7〕
セルロース繊維a分散液:CMC水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0098】
〔
参考例8〕
セルロース繊維a分散液:CMC水溶液が、重量比で、75:25となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0099】
〔
参考例9〕
重量平均分子量350000のCMC水溶液に代えて、重量平均分子量230000のCMC(セルロース誘導体)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のCMC水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:CMC水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0100】
〔
参考例10〕
重量平均分子量350000のCMC水溶液に代えて、重量平均分子量120000のヒドロキシエチルセルロース(HEC)(セルロース誘導体)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のHEC水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:HEC水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0101】
〔
参考例11〕
重量平均分子量350000のCMC水溶液に代えて、重量平均分子量160000のメチルセルロース(MC)(セルロース誘導体)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のMC水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:MC水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0102】
〔比較例3〕
重量平均分子量350000のCMC水溶液に代えて、重量平均分子量30000のCMC(セルロース誘導体)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のCMC水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:CMC水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0103】
〔比較例4〕
重量平均分子量350000のCMC水溶液に代えて、重量平均分子量100000のCMC(セルロース誘導体)を純水に溶解して調製した、0.5重量%のCMC水溶液を用いた。そして、セルロース繊維a分散液:CMC水溶液が、重量比で、50:50となるよう混合した。それ以外は、
参考例6と同様にして、組成物を調製し、粘度X,Y,Zを測定した。
【0104】
ここで、上記
参考例6〜11および比較例3,4において測定した組成物の測定粘度Zを、下記の表8および表9に示すとともに、先の、セルロース繊維aの水分散体の粘度Xと、セルロース誘導体水溶液の粘度Yから、下記の式に従い算出した理論粘度Tを、同表に併せて示した。なお、組成物の測定粘度Zが理論粘度Tを上回る場合、同表における増粘相乗効果を○と表記し、組成物の測定粘度Zが理論粘度Tを下回る場合、増粘相乗効果を×と表記した。
理論粘度T=〔α×粘度X+β×粘度Y〕/(α+β)
α:組成物中のセルロース繊維aの配合量(重量%)
β:組成物中のセルロース誘導体の配合量(重量%)
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【0107】
上記表8および表9の結果より、セルロース繊維aとともに重量平均分子量120000以上のセルロース誘導体を配合した
参考例6〜11では、増粘相乗効果が認められるのに対し、セルロース繊維aとともに配合したセルロース誘導体の重量平均分子量が120000未満である比較例3,4では、
参考例のような増粘相乗効果が認められなかった。
【0108】
ところで、上記
参考例6〜8でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aと重量平均分子量350000のCMCの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表10に示す通りである。そして、表10における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図6に示す通りである。
【0109】
【表10】
【0110】
図6に示すように、セルロース繊維aと重量平均分子量350000のCMCとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aと重量平均分子量350000のCMCとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0111】
また、上記
参考例9でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aと重量平均分子量230000のCMCの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表11に示す通りである。そして、表11における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図7に示す通りである。
【0112】
【表11】
【0113】
図7に示すように、セルロース繊維aと重量平均分子量230000のCMCとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aと重量平均分子量230000のCMCとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0114】
また、上記
参考例10でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aと重量平均分子量120000のHECの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表12に示す通りである。そして、表12における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図8に示す通りである。
【0115】
【表12】
【0116】
図8に示すように、セルロース繊維aと重量平均分子量120000のHECとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aと重量平均分子量120000のHECとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0117】
また、上記
参考例11でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aと重量平均分子量160000のMCの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表13に示す通りである。そして、表13における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図9に示す通りである。
【0118】
【表13】
【0119】
図9に示すように、セルロース繊維aと重量平均分子量160000のMCとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aと重量平均分子量160000のMCとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0120】
また、上記比較例3でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aと重量平均分子量30000のCMCの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表14に示す通りである。そして、表14における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図10に示す通りである。
【0121】
【表14】
【0122】
図10に示すように、セルロース繊維aと重量平均分子量30000のCMCとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を下回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aと重量平均分子量30000のCMCとの併用による増粘相乗効果は認められないことがわかる。
【0123】
また、上記比較例4でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aと重量平均分子量100000のCMCの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表15に示す通りである。そして、表15における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図11に示す通りである。
【0124】
【表15】
【0125】
図11に示すように、セルロース繊維aと重量平均分子量100000のCMCとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を下回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aと重量平均分子量100000のCMCとの併用による増粘相乗効果は認められないことがわかる。
【0126】
〔実施例
1〕
前記セルロース繊維aを、固形分が2重量%となるように純水で希釈し、超高圧ホモジナイザーで処理した。これを、さらに純水で希釈し、T.K.ホモミクサー(PRIMIX社製)により8000rpmで10分間撹拌することにより、固形分が0.5重量%のセルロース繊維a分散液を調製した。一方、カルボキシビニルポリマー(アクリル系高分子)を純水に溶解し、12%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH7に調整し、0.5重量%のカルボキシビニルポリマー水溶液を調製した。そして、セルロース繊維a分散液:アクリル系高分子水溶液が、重量比で、50:50となるように混合し、T.K.ホモミクサーにより8000rpmで10分間撹拌した。撹拌後、脱気してマヨネーズ瓶にうつし、24時間静置した。このように調製した組成物の粘度Zを、BH型粘度計(80000mPa・s未満:ローターNo.4、回転数2.5rpm、3分、25℃、80000mPa・s以上:ローターNo.5、回転数2.5rpm、3分、25℃)を用いて測定した。同様の測定方法により、上記混合前の、0.5重量%セルロース繊維a分散液の粘度Xと、0.5重量%カルボキシビニルポリマー水溶液(アクリル系高分子水溶液)の粘度Yも測定した。
【0127】
ここで、上記実施例
1において調製した組成物において測定した測定粘度Zを、下記の表16に示すとともに、先の、セルロース繊維a分散液の粘度Xと、アクリル系高分子水溶液の粘度Yから、下記の式に従い算出した理論粘度Tを、同表に併せて示した。なお、組成物の測定粘度Zが理論粘度Tを上回る場合、同表における増粘相乗効果を○と表記した。
理論粘度T=〔α×粘度X+β×粘度Y〕/(α+β)
α:組成物中のセルロース繊維aの配合量(重量%)
β:組成物中のアクリル系高分子の配合量(重量%)
【0128】
【表16】
【0129】
上記表16の結果より、セルロース繊維aとともにカルボキシビニルポリマー(アクリル系高分子)を配合した実施例
1では、増粘相乗効果が認められた。
【0130】
ところで、上記実施例
1でも示されたが、
増粘剤組成物における固形分中のセルロース繊維aとカルボキシビニルポリマーの重量割合(%)と、そのときの、組成物の実際の測定粘度と理論粘度は、下記の表17に示す通りである。そして、表17における、上記組成物の測定粘度と理論粘度との関係は、グラフに示すと、
図12に示す通りである。
【0131】
【表17】
【0132】
図12に示すように、セルロース繊維aとカルボキシビニルポリマーとを併用したとき、組成物の測定粘度が、常に、理論粘度(図の破線)を上回っていることがわかる。このことから、セルロース繊維aとカルボキシビニルポリマーとの併用により、常に、その増粘相乗効果が認められることがわかる。
【0133】
ところで、実施例1では、本発明の増粘剤組成物のA成分として、セルロース繊維aを使用しているが、これに限らず、最大繊維径が1000nm以下で、数平均繊維径が2〜150nmのセルロース繊維であって、セルロースI型結晶構造を有すると共に、セルロース分子中の各グルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性され、それによってカルボキシル基が0.6〜2.0mmol/gの割合になっている、セルロース繊維であれば、実施例で使用されている増粘促進剤(
カルボキシビニルポリマー)
や(メタ)アクリル酸アルキル共重合体との
特定量での併用により、実施例と同様、特異的な増粘相乗効果が得られることが、実験により確認された。