【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)日本実験力学会講演論文集 No.13 229〜234頁 日本実験力学会 発行 「重み付け位置解析法の提案と位相解析精度の向上」 (2)第45回応力・ひずみ測定シンポジウム講演論文集 7〜12頁 平成26年1月24日 一般社団法人日本破壊検査協会 発行 「二次元平滑化処理を用いた重み付け位相解析法の系統的誤差の軽減」
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2次元格子画像において、縦方向と横方向の位相値を複数個求め、請求項1または請求項2に係る位相値を求める方法を適用して、注目点の縦方向と横方向の位相値を求める、2次元格子の位相分布を求める方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、サンプリングモアレ法は、等間隔な格子を対象とした位相解析手法であるため、間引き間隔と格子ピッチが大きく異なる場合、位相解析精度が低下するという問題がある。つまり、カメラの配置や格子を貼付する表面が曲面である場合が要因で、撮影された2次元格子が変形して格子のピッチが変化してしまうため、サンプリングモアレ法では計測精度が大幅に低下してしまう問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、新たな2次元格子の位相解析手法として、重み付け位相解析法(Weighting phase analysis method)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、求めたい画素の周辺画素に重み付けを行い、位相シフト法の原理を用いて位相解析することで、高精度に格子の位相分布を求めることができる方法である。この位相解析方法の一番の特徴は、容易に重み付けを変化させることができることであり、重み付けを適切に行うことで高精度に2次元格子画像の位相分布を求めることができる。
よって、格子ピッチが大きく変化するような大変形している格子に対しても、重み付け位相解析法を用いた位相解析は、サンプリングモアレ法に比べて位相解析誤差が小さくなるので、精度よく位相解析が可能となる。
本願の請求項1に係る発明は、注目点を起点にして、注目点とその周辺の微小領域
に含まれる各画素の画素値から求められる注目点の位相値を、解析領域を微小領域内で複数回変化させることにより、注目点の複素数値を複数個の解析領域でそれぞれ求め、得られた複数個の複素数値に対し、微小領域
に含まれる各画素の位置に応じた重みを前記複数個の複素数値の実部と虚部にかけて積算し、さらに得られた複素数値の偏角を求めることで注目点の位相値を求める方法である。
請求項2に係る発明は、注目点を起点として、注目点の周辺の微小領域
に含まれる各画素の画素値
に、それぞれの画素の位置に応じた重みと、それぞれの画素の位置に応じた複素数値を掛け合わせ、それらを積算して得られた複素数値の偏角として注目点の位相値を求める方法である。
請求項3に係る発明は、2次元格子画像において、縦方向と横方向の位相値を複数個求め、請求項1または請求項2に係る位相値を求める方法を適用して、注目点の縦方向と横方向の位相値を求める、2次元格子の位相分布を求める方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、格子画像の位相解析に要する時間が短縮される、格子画像の位相解析の解析精度が向上し、格子画像を用いた三次元計測、変位計測、ひずみ計測の計測精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】座標(x,y)付近におけるx方向格子(4画素ピッチ)の輝度分布の例を示す図である。
【
図2】位相シフト法(数2式,N=4)を用いた場合の位相解析方法を説明する図である。
【
図3】位相シフト法(数6式,N=4)を用いた場合の位相解析方法を説明する図である。
【
図4】均等に重み付けを行った場合の重み付け位相解析法を説明する図である(N=4)。
【
図5】位相シフト法に矩形波の重み付けを行った場合の重み付け関数W
x(k)(N=10)を説明する図である。
【
図6】三角波の重み付けを行った場合の重み付け位相解析法を説明する図である(N=4)。
【
図7】位相シフト法に三角波の重み付けを行った場合の重み付け関数W
x(k)(N=10)を説明する図である。
【
図8】余弦波の重み付けを行った場合の重み付け位相解析法を説明する図である(N=4)。
【
図9】位相シフト法に余弦波の重み付けを行った場合の重み付け関数W
x(k)(N=10)を説明する図である。
【
図10】(a)2次元矩形波格子,(b)x方向格子(平滑化処理後),(c)x方向格子の位相分布[rad],(d)x方向格子の位相分布(位相接続後)[rad]を示す図である。
【
図11】解析格子ピッチの違いによる位相解析誤差の表である。
【
図12】解析格子ピッチの違いによる位相解析誤差の格子1周期の標準偏差を示す図である。
【
図13】解析格子ピッチの違いによるサンプリングモアレ法の位相解析誤差を示す図である。
【
図14】解析格子ピッチの違いによる重み付け位相解析法の位相解析誤差を示す図である。
【
図15】(a)実験環境と(b)各装置の配置を示す図である。
【
図16】(a)撮影画像,(b)x方向格子の位相分布[rad]を示す図である。
【
図17】変位計測結果(重み付け位相解析法)を示す図である。
【
図18】変位計測結果(サンプリングモアレ法)を示す図である。
【
図19】変位計測結果の標準偏差(d=0.5[mm])を示す図である。
【
図20】x方向格子のピッチ計測結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面とともに説明する。
1.位相シフト法による格子の位相解析
位相シフト法とは、格子1周期の輝度情報から、その格子の位相を求めることができる手法である。格子画像が撮影された場合、位相シフト法を用いて位相解析することで、その格子の位相分布を求めることができる。
【0011】
ここで、x軸方向に周期的に輝度が変化する格子の位相解析について説明する。
図1にx軸方向に周期的に輝度が変化する格子が撮影された場合の、撮影画像の座標(x,y)付近における格子の輝度と位相の関係について示す。x軸方向に周期的に輝度が変化する格子が撮影された場合、x軸方向にその格子の位相が変化していると考えることができる。よって、撮影された格子画像の輝度を位相が変化している方向に1画素ごとにサンプリングした場合、格子1周期の輝度情報を得ることができ、位相シフト法を適用することが可能となる。
【0012】
ここで、撮影された格子1周期の画素数がN画素であった場合について考える。位相シフト法を適用するためには、求めたい格子のピッチNをあらかじめ決定する必要がある。数1式に、離散フーリエ変換を用いた位相シフト法による座標(x,y)のx方向の格子の位相算出式を示す。
【0014】
数1式は、位相シフト法において、座標(x,y)における位相、つまり初期位相を求める位相算出式である。I(x,y)は座標(x,y)における輝度値であり、Nは求めたいx方向格子の1周期の画素数である。
ここで、x軸方向に1画素ごと変化すると位相が1回位相シフトすると考えると、sはx軸方向の座標の変化と対応して変化しているため、sは座標(x,y)からのx方向への位相シフト回数と考えることができる。つまり、座標(x,y)からx軸方向に位相シフトしていると考えたとき、座標(x,y)の位相シフト回数nは0回となり、座標(x+s,y)における位相シフト回数nはs回となる。
【0015】
次に、座標(x,y)における位相シフト回数nが0≦n≦N−1である場合の位相シフト法による位相解析について考える。そのときの座標(x,y)の位相は、数2式で求めることができる。また、数2式に0≦n≦3,N=4の場合の数1式による位相解析について示す。数2式における+2・s/Nは、n回の位相シフト回数における位相の変化量を表している。
【0017】
また、数2式の左辺は位相であり、右辺の+2πn/Nも位相であるため、数2式においては、右辺の+2πn/Nは、数3式に示す複素平面での回転の座標変換と考えることができる。
【0019】
ゆえに、数3式によって数2式は数4式,数5式と変形することができる。
【0022】
ここで、k=s−nと定義する。kを用いることで、数5式は、さらに数6式に変形することができる。また、kは座標(x,y)の位相シフト回数を0と考えた場合のそれぞれの座標の位相シフト回数と考えることができる。
【0024】
図3に0≦n≦3,N=4の場合における数6式を用いた位相解析について示す。nが変化した場合、位相シフト法の計算式が変化する。つまり、数6式は、nの数の分だけ、位相解析パターンが考えられることを示している。
【0025】
2.重み付け位相解析法による格子の位相解析
重み付け位相解析法とは、注目画素の周辺画素に対して重み付けを行い、位相シフト法の原理を利用した計算式から、高精度に位相解析することができる手法である。
【0026】
まず、重み付け位相解析法の原理について述べる。重み付け位相解析法の原理は、数6式で得られる複数の位相算出式に対して重み付けを行い、位相解析することである。位相シフト法による位相解析は、誤差やばらつきの影響を受けやすく、位相解析精度はあまり良くないが、それぞれの位相解析結果に対して適切な重み付けを行うことで、誤差やばらつきの影響を低減させることができる。
【0027】
次に、数6式の位相シフト法を用いた重み付け位相解析法によるx方向格子の位相解析について説明する。数7式に、数6式の位相シフト法に対して重み付けを行う重み付け関数W.(n,k)について示す。w(n)は0以上の任意の実数の重みである。W.(n,k)を用いて数6式の位相シフト法の位相解析結果に対して重み付けを行うことで、重み付け位相解析法の位相算出式が得られる。数8式に、nが任意の整数の範囲内の値である場合の重み付け位相解析法による位相算出式について示す。また、数8式のnとkは、数8式の位相シフト法のnとkとそれぞれ対応している。
【0030】
数8式において、W.(n,k)は座標(x,y)の輝度I(x,y)にかかる重みである。数8式における、それぞれの位相シフト法が座標に掛ける重み付けの総和をW
x(k)とすると、W
x(k)は数9式で表される。また、kは注目座標(x,y)からの距離となる。
【0032】
つまり、数9式のW
x(k)を用いると、数8式は数10式で表すことができる。ただし、数10式のW
x(k)は数9式で表される重み付け関数でなければならない。また、kは任意の整数の範囲内の値である。
【0034】
2次元格子の位相解析の場合、y方向の画素に対しても重み付けを行うことで2次元格子のx方向の格子の位相解析が可能となる。y方向の画素に対しても重み付けを行ったx方向の格子の位相解析は、y方向への重み付け関数をW
y(l)と定義すると、数8式より数11式で表される。また、lは任意の整数の範囲内の値である。また、数11式は数9式より数12式として表される。
【0037】
x方向への重み付け関数W
x(k)とy方向への重み付け関数W
y(l)は、2次元方向への重み付け関数W
xy(k,l)として表すことができる。W
xy(k,l)を数13式として定義した場合、数12式は数14式として表される。
【0040】
また、y方向格子の位相解析は前述の位相算出式のxとyを入れ替えると位相解析できる。よって、y方向格子の位相解析における2次元方向への重み付け関数W
yx(k,l)を数15式として定義すると、数16式を用いることで位相解析することができる。
【0043】
3.重み付け位相解析法における重み付け関数について
数8式のnの範囲を0≦n≦N−1と定義した場合における位相解析について説明する。nの範囲が0≦n≦N−1の場合は、数8式の位相算出パターンはN通り考えることができ、その場合の数8式は数17式で表される。
【0045】
まず、複数の位相算出式に均等の重み付けを行う場合の重み付け位相解析法による格子の位相解析について述べる。均等に重み付けを行う場合の重み付け関数W.(n,k)は、数8式より数18式で表すことができる。
【0047】
また、数18式の重み付け関数を用いた場合の数17式は数19式で表される。
【0049】
数19式を用いた場合の、座標(x,y)のx方向格子の位相の位相解析について説明する。位相シフト法に掛ける重み付け関数を数18式とした場合の、それぞれの位相シフト法が座標に掛ける重み付けについて図に説明したものを
図4に示す。また、位相シフト法に均等に重み付けを行った場合の重み付け位相解析法の画素にかける重み付け関数W
x(k)は、1画素における最大の重みの比率を1とした場合、数20式となる。また、数20式の重み付け関数W
x(k)は、三角波状の重み付け関数となる。
図5にN=10の場合の重み付け関数について示す。
【0051】
数21式に数20式のW
x(k)を用いた場合の位相算出式について示す。数21式は、線形補間を利用したサンプリングモアレ法による格子の位相算出式と同じ計算式となる。
【0053】
次に、位相シフト法に掛ける重み付けを複数の位相シフト法の中心画素の重みが大きくなるように三角波状の重み付け関数、余弦波状の重み付け関数を用いた場合を考える。三角波状の重み付け関数を数22式に、余弦波状の重み付け関数を数23式に示す。
【0056】
数22式の三角波状の重み付けを用いた場合の重み付け位相解析法の説明図を
図6に示し、最大の重みの比率を1とした場合の数22式の重み付け関数W
x(k),N=10を
図7に示す。また、数23式の余弦波状の重み付けを用いた場合の重み付け位相解析法の説明図を
図8に示し、最大の重みの比率を1とした場合の数23式の重み付け関数W
x(k),N=10を
図9に示す。
nの範囲が0≦n≦N−1の場合における、
図7と
図9の画素への重み付け関数は、余弦波状に似た分布になることから、重み付け位相解析法では一般的に、数24式に示す余弦波の重み付け関数を用いて位相解析を行う。また、数25式に数24式の重み付け関数を用いた重み付け位相解析法による位相算出式を示す。数25式はハニング窓を用いた窓関数付フーリエ変換の周波数2の位相算出式と同じ計算式となる。
【0059】
また、nの範囲が0≦n≦N−1の範囲における重み付け関数の例について述べる。放物線を利用した重み付け関数の例を数26式と数27式に、三角関数を利用した重み付け関数の例を数28式,数29式に示す。数26式〜数29式は、任意のパラメータp(>0)を変化させることで用意に重みを変化させることができ、これらの式で得られる重みは組み合わせて使用することが可能である。また、p=1のとき、数26式と数27式は三角波状の重み付け関数に、数28式と数29式は余弦波状の重み付け関数となる。
【0064】
4.シミュレーションによる位相解析精度の数値解析
数25式を用いた重み付け位相解析法の位相解析精度のシミュレーションをおこなった。位相解析精度の精度評価の方法について説明する。まず、
図10(a)に示すコンピュータで作成した200×200[pixel]、格子間ピッチ10[pixel]の理想的な2次元矩形波格子画像に対して、縦方向に20[pixel]の領域の平滑化処理を行い、
図10(b)に示す、x方向格子画像の作成を行った。その後、x方向格子画像に対して、重み付け位相解析法(数25式)と線形補間を用いたサンプリングモアレ法(数21式)それぞれで位相解析を行った。位相解析は、解析パラメータである格子1ピッチの間隔N(サンプリングモアレ法の場合は間引き間隔)を6〜19[pixel]に変化させて、x方向格子の位相解析を重み付け位相解析法とサンプリングモアレ法を用いて行った。
【0065】
その後、
図10(c)に示す、x方向格子の位相分布に対して位相接続を行い、Fig.4.4に示す、位相接続されたx方向格子の位相を1周期分ラインで抜き出し、理論値との誤差を計算し、位相解析精度の評価を行った。
図10(d)の座標(95,100)〜(104,100)のサンプリングモアレ法と重み付け位相解析法の位相解析結果の位相解析誤差と解析格子ピッチの関係を表にまとめたものを
図11に示し、位相解析誤差の標準偏差と解析格子ピッチの関係をグラフにしたものを
図12に示す。また、解析格子ピッチNが8〜12[pixel]であった場合のサンプリングモアレ法の位相解析誤差のグラフを
図13に示し、重み付け位相解析法の位相解析誤差のグラフを
図14に示す。
【0066】
5.変位量計測実験による計測精度評価
2次元格子シートを貼付した移動ステージを用いた変位量計測実験をおこなった。実験環境の風景と装置の位置関係を
図15に示す。移動ステージに変位を与える際に、Mitutoyo社製のマイクロメーターを、カメラは、画像サイズ640×480[pixel]のDragonflyExpressを使用した。また、2次元格子シートには4.0[mm]ピッチの2次元矩形波格子を使用した。
【0067】
変位量計測実験の実験方法について説明する。
図15(b)に示すように、カメラの光軸を基準面の表面に対してz軸方向に30度傾けて配置し、撮影画像の格子のピッチが変化するようにした。その後、移動ステージを用いて、x方向に0.1[mm]ずつ、最大0.5[mm]の変位を与え、変位を与えた位置でそれぞれ撮影を行い、その後、重み付け位相解析法とサンプリングモアレ法それぞれで位相解析を行い、得られた格子のx方向の位相分布から変位量の計測結果を算出し、その計測結果の精度評価を行った。
【0068】
また、画像に対する縦方向の平滑化画素数を70[pixel]、解析格子ピッチNを20[pixel]に設定して位相解析を行った。撮影におけるランダムノイズは今回の精度評価には不必要であるため、100回撮影を行って平均化した画像を撮影画像として用いることで、ランダムノイズの低減を行った。2次元格子を撮影した画像を
図16(a)に、
図16(a)の撮影画像のx方向格子の位相解析を行った画像を
図16(b)にそれぞれ示す。
【0069】
変位量の計測は、変位前と変位後の位相と2次元格子のピッチp[mm]を用いて計測することができる。変位量をd[mm]、格子ピッチをp[mm]、変位前後の位相の変化量を・・、・・・≦・・・≦・とすると、変位量は数30式で求められる。
【0071】
サンプリングモアレ法と重み付け位相解析法、それぞれの手法で解析した変位量計測結果の座標(100,240)〜(600,240)の1ラインの計測結果を抜き出して、計測精度の評価を行った。
計測結果をグラフにしたもので、重み付け位相解析法を用いた場合を
図17に、サンプリングモアレ法を用いた場合を
図18に示す。また、
図19に、移動ステージに0.5[mm]の変位を与えた場合の変位量計測結果に対して、計測結果のx方向21[pixel]の標準偏差の計算を行い、グラフにしたものを示す。
また、格子ピッチは位相分布から数31式を用いて計算することができる。撮影されたx方向格子のピッチを位相分布から計算した結果をグラフにしたものを
図20に示す。
【0073】
6.まとめ
重み付け位相解析法は従来手法であるサンプリングモアレ法に比べ、解析格子ピッチと実際のピッチが大きく異なる場合でも、位相解析誤差が少ない手法であることが、シミュレーションによる解析結果と変位量計測実験の計測結果から確認できた。
【0074】
シミュレーションによる解析結果から、解析格子ピッチが実際の格子ピッチより大きい場合と小さい場合では、大きい場合のほうが、計測精度の低下が少ないことが確認できた。つまり、格子ピッチが急激に変化する格子に対して位相解析を行う場合、解析格子ピッチを実際のピッチより大きく設定するほうがよいと考えられる。
【0075】
変位量計測実験の結果から、シミュレーションの解析結果の傾向が実計測においても同様の傾向が確認できた。また、移動ステージに与える変位量が大きくなるにつれ、変位計測の計測誤差が大きくなることが確認できた。これは、位相解析によって得られる位相に解析格子ピッチと実際の格子ピッチの違いから発生するランダムではない系統的な位相解析誤差が原因だと考えられる。重み付け位相解析法を用いて解析を行うことで、サンプリングモアレ法に比べ、計測結果のばらつきが低減されていることから、実計測における重み付け位相解析法の有用性が確認できた。
上述したように、本願発明により、格子画像の位相解析に要する時間が短縮される、格子画像の位相解析の解析精度が向上する、FPGAで解析する場合に、容量が小さくて済むために、安価なものを利用することができる。格子画像を用いた三次元計測、変位計測、ひずみ計測の計測精度が向上する。