(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一日に一回の投与のための徐放性経口製剤であって、鎮痛効果量のオキシコドン又は医薬上許容できるその塩と、疎水性材料及び二つの疎水性バインダー材料の混合物を含有する徐放性材料とを含む医薬上許容できるマトリクスを含み、
前記疎水性材料がアクリル樹脂であり、
前記疎水性バインダー材料の一つが、C12−C40の脂肪酸であり、前記疎水性バインダー材料のもう一つが、C12−C40の脂肪アルコールであり、
前記製剤は、ヒト患者に定常状態での経口投与後少なくとも24時間鎮痛効果を与え、
前記製剤は、前記患者に対する定常状態経口投与後に0.7から1.0の平均C24/Cmaxオキシコドン比を与え、
100rpmでのUSPバスケット法により、37℃で、1.6と7.2との間のpHで、900mlの擬似胃液(SGF)または擬似腸液(SIF)において測定したとき、1時間で0%から40%、4時間で8%から70%、8時間で20%から80%、12時間で30%から95%、18時間で35%から95%及び24時間で50%を超えるオキシコドン又は医薬上許容できるその塩の生体外の放出速度を与え、かつ、
100rpmでのUSPバスケット法により、37℃で、1.6と7.2との間のpHで、900mlの擬似胃液(SGF)および擬似腸液(SIF)において測定したとき、1時間、4時間、8時間、12時間、18時間、及び24時間で擬似胃液(SGF)よりも擬似腸液(SIF)においてより遅い速度でオキシコドン又は医薬上許容できるその塩を生体外で放出する、前記徐放性経口製剤。
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸)(無水物)及びグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群より選択される、請求項1記載の製剤。
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸)(無水物)及びグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群より選択される、請求項17記載の製剤。
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸)(無水物)及びグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群より選択される、請求項32記載の製剤。
ヒト患者に一日に一回基準で経口投与するための鎮痛医薬品の製造において、オキシコドン又は医薬上許容できるその塩と、疎水性材料及び二つの疎水性バインダー材料の混合物を含有する徐放性材料とを含む医薬上許容できるマトリクスを含む徐放性経口製剤であって、
前記疎水性材料がアクリル樹脂であり、
前記疎水性バインダー材料の一つが、C12−C40の脂肪酸であり、前記疎水性バインダー材料のもう一つが、C12−C40の脂肪アルコールであり、
前記患者に定常状態での経口投与後少なくとも24時間鎮痛効果及び0.7から1.0の平均C24/Cmaxオキシコドン比を与え、
100rpmでのUSPバスケット法により、37℃で、1.6と7.2との間のpHで、900mlの擬似胃液(SGF)または擬似腸液(SIF)において測定したとき、1時間で0%から40%、4時間で8%から70%、8時間で20%から80%、12時間で30%から95%、18時間で35%から95%及び24時間で50%を超えるオキシコドン又は医薬上許容できるその塩の生体外の放出速度を与え、
100rpmでのUSPバスケット法により、37℃で、1.6と7.2との間のpHで、900mlの擬似胃液(SGF)および擬似腸液(SIF)において測定したとき、1時間、4時間、8時間、12時間、18時間、及び24時間で擬似胃液(SGF)よりも擬似腸液(SIF)においてより遅い速度でオキシコドン又は医薬上許容できるその塩を生体外で放出する、前記徐放性経口製剤の使用。
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸)(無水物)及びグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群より選択される、請求項44記載の製剤の使用。
ヒト患者に一日に一回基準で患者に経口投与するための鎮痛医薬品の製造において、オキシコドン又は医薬上許容できるその塩と、疎水性材料及び二つの疎水性バインダー材料の混合物を含有する徐放性材料とを含む複数の徐放性マトリクスを含む徐放性経口製剤であって、
前記疎水性材料がアクリル樹脂であり、
前記疎水性バインダー材料の一つが、C12−C40の脂肪酸であり、前記疎水性バインダー材料のもう一つが、C12−C40の脂肪アルコールであり、
ヒト患者に定常状態での経口投与後少なくとも24時間鎮痛効果を与え、
前記患者に定常状態での経口投与後0.7から1.0の平均C24/Cmaxオキシコドン比を与え、かつ、
100rpmでのUSPバスケット法により、37℃で、1.6と7.2との間のpHで、900mlの擬似胃液(SGF)および擬似腸液(SIF)において測定したとき、1時間、4時間、8時間、12時間、18時間、及び24時間で擬似胃液(SGF)よりも擬似腸液(SIF)においてより遅い速度でオキシコドン又は医薬上許容できるその塩を生体外で放出する、前記徐放性経口製剤の使用。
前記アクリル樹脂が、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸)(無水物)及びグリシジルメタクリレートコポリマーからなる群より選択される、請求項47記載の製剤の使用。
前記マトリクスが、前記オキシコドン又は医薬上許容できるその塩と、前記疎水性材料及び前記二つの疎水性バインダー材料からなる、請求項1から43のいずれかに記載の製剤。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明のある実施の形態において、
徐放性製剤は、100rpmでのUSPバスケット法により、37℃で、1.6と7.2との間のpHで、900mlの緩衝液において
測定したとき、1時間で0%から約40%、4時間で約8%から約70%、8時間で約20%から約80%、12時間で約30%から約95%、18時間で約35%から約95%及び24時間で約50%を超え
るオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩の生体外(in vitro)の放出速度を与える。
【0033】
本発明のある実施の形態において、オキシコドン血液レベル(定常状態での投与後)が
最大血液レベルの75%より大きいか又は等しい間の期間(T≧
0.75Cmax)は、4時間又
はそれ以上、好ましくは6時間又はそれ以上でも良い。
【0034】
ある実施の形態において、オキシコドン血液レベルがそれらの最大濃度(T
max)に到
達する時間は、製剤の定常状態での投与後約2時間から約17時間であり、好ましくは約
6.5時間から約17時間であり、より好ましくは約8時間から約16時間であり、さら
により好ましくは約10時間から約16時間又は約12時間から約16時間である。
【0035】
本発明のある実施の形態において、製剤は、0.6から1.0、0.7から0.99又
は0.8から0.95の定常状態での投与後のC
24/C
max比を与える。本発明の他の実
施の形態において、製剤は、0.7から1.0、0.72から0.99又は0.74から
0.95の定常状態での投与後のC
24/C
max比を与える。
【0036】
本発明のある実施の形態において、製剤は、0.6から1.0、0.7から0.99、
又は0.8から0.95の定常状態での投与後のC
24/C
max比と、約6.5時間から約
17時間、約8時間から約16時間、約10時間から約16時間又は約12時間から約1
6時間の(T
max)とを与える。本発明の他の実施の形態において、製剤は、0.7から
1.0、0.72から0.99又は0.74から0.95の定常状態での投与後のC
24/
C
max比と、約2時間から約17時間の(T
max)とを与える。
【0037】
本発明のある実施の形態において、食物との一緒の服用は、オキシコドン吸収の程度を
著しく増加又は減少させない。
【0038】
本発明の徐放性経口製剤は、約1から約640mgのオキシコドン又は医薬上許容され
るそれらの塩(例えば、オキシコドン塩化水素)を含む。好ましくは、本発明の徐放性経
口製剤は、約5から約500mgのオキシコドン又は医薬上許容されるそれらの塩、より
好ましくは約10から約320mgのオキシコドン又は医薬上許容されるそれらの塩、さ
らにより好ましくは約10から約160mgのオキシコドン又は医薬上許容されるそれら
の塩を含む。
【0039】
他の好ましい実施の形態において、本発明の徐放性製剤は、約10から約160mgの
オキシコドン塩化水素又は等量のオキシコドン又は塩化水素塩以外の医薬上許容されるそ
れらの塩を有する。
【0040】
本発明は、ここに開示された薬理動的パラメータにしたがって、痛みを解放する必要の
ある患者に、一日一回基準で約1から約640mgのオキシコドン又は医薬上許容できる
それらの塩を投与する方法を含む。好ましくは、その方法は、約5から約500mgのオ
キシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を投与することを含む。
【0041】
本発明に係る投与方法は、急性及び慢性の痛み、特に、癌、慢性的な背中の痛み(back
pain)及び術後の痛みのようなターミナルディジーズ(terminal disease)に関連する痛
みの処置に特に適用できる。
【0042】
製剤
ある実施の形態において、経口製剤は、オキシコドンの徐放的に与えるためにオキシコ
ドン又は医薬上許容できるそれらの塩とともにマトリクスに含められた徐放性材料を含む
。徐放性材料は、望ましくは疎水性又は親水性でも良い。本発明の経口製剤は、錠剤に圧
縮され得るか又はカプセル化され得る徐放性マトリクスにオキシコドン又は医薬上許容で
きるそれらの塩を含む、顆粒、スフェロイド(spheroids)、マトリクスマルチ微粒子(m
ultiparticulates)などとして調製され得る。本発明の経口製剤は、任意に、他の医薬上
許容できる成分(例えば、希釈剤、バインダー、着色剤、滑剤など)を含んでも良い。
【0043】
ある実施の形態において、本発明の経口製剤は、製剤からオキシコドン又は医薬上許容
できるそれらの塩を押し出すための二層コアの層の一つとしてのプッシュ又は置換組成物
と、コアを囲繞する半浸透性壁組成物とを有する浸透性製剤であっても良い。その壁は、
製剤からオキシコドンを移送する少なくとも一つの出口手段又は通路を有する。あるいは
、浸透性製剤のコアが、放出制御ポリマーと、オキシコドン又は医薬上許容できるそれら
の塩とを含む単層コアを含んでも良い。
【0044】
好ましくは、本発明の製剤は、投与後少なくとも約24時間、鎮痛効果を与える。
【0045】
徐放性マトリクス配合物
本発明のある好ましい実施の形態において、徐放性キャリアは、オキシコドン又は医薬
上許容できるそれらの塩を有するマトリクスに組み込まれても良い。そのマトリクスは、
オキシコドンを徐放的に与える。
【0046】
本発明に係る徐放性マトリクスに含まれ得る好適な徐放性材料の非制限的なリストは、
ゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク質誘導材料、ワックス、シェラック
、並びに水素化ひまし油及び水素化ベジタブルオイルのようなオイルなどの疎水性及び/
又は親水性材料を含む。しかしながら、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩に
徐放性を加えることができる任意の医薬上許容できる疎水性又は親水性徐放性材料は、本
発明にしたがって使用され得る。好ましい徐放性ポリマーは、エチルセルロース、アクリ
ル酸及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマーのようなアルキルセルロースと、セルロー
スエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロース(特に、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース)及びカルボキシルアルキルセルロースとを含む。好ましいアクリル酸及びメタク
リル酸ポリマー及びコポリマーは、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリ
マー、エトキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、トリメチルアンモニオエチ
ルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリ
マー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリ
マー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸無水物)、ポリメタクリレー
トポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸)(無水物)及びグリシジルメタクリレート
コポリマーを含む。ある好ましい実施の形態は、本発明のマトリクスにおいて前述の任意
の徐放性材料の混合物を使用する。
【0047】
マトリクスはまたバインダーを含んでも良い。そのような実施の形態において、バイン
ダーは好ましくは、徐放性マトリクスからオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩
を徐放することに寄与する。
追加の疎水性バインダー材料が含まれるならば、好ましくは、天然及び合成ワックス、
脂肪酸、脂肪アルコール、並びにそれらの混合物から選択される。例としては、ビーズワ
ックス、カーノーバワックス(carnauba wax)、ステアリン酸及びステアリルアルコール
を含む。このリストは、排他的であることを意味しない。ある好ましい実施の形態におい
て、2つ又はそれ以上の疎水性バインダー材料の組み合わせをマトリクス配合物に含める
。
【0048】
本発明にしたがって使用され得る好ましい疎水性バインダー材料は、脂肪酸、脂肪アル
コール、脂肪酸のグリセリルエステル、無機及びベジタブルオイル、天然及び合成ワック
ス、並びにポリアルキレングリコールのような消化し易い長鎖(C
8−C
50、特にC
12−
C
40)の置換又は無置換の炭化水素を含む。25℃から90℃の間の融点を有する炭化水
素が好ましい。ある実施の形態において、長鎖の炭化水素バインダー材料の中で、脂肪(
脂肪族)アルコールが好ましい。経口製剤は、80(重量)%までの少なくとも一つの消
化し易い長鎖炭化水素を含んでも良い。
【0049】
ある実施の形態において、疎水性バインダー材料は、天然及び合成ワックス、脂肪族ア
ルコール(ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチル、又は好ましくはセトステアリル
アルコール)、脂肪酸を含んでも良く、限定はされないが、脂肪酸エステル、脂肪酸グリ
セライド(モノ−、ジ−及びトリ−グリセライド)、水素化脂肪、炭化水素、ノーマルワ
ックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、並びに炭化水素骨格を有する疎水性及び
親水性材料を含む。好適なワックスは、例えばビーズワックス、グリコワックス、カスタ
ーワックス及びカーノーバワックスを含む。本発明の目的では、ワックス様物質は、室温
で通常固体であり、約30℃から約100℃の融点を有する任意の材料で規定される。あ
る好ましい実施の形態において、製剤は、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩
と、少なくとも一つの水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも一つのC
12−C
36、好ましくはC
14−C
22脂肪族アルコール及び任意に少なくとも一つのポリアルキレン
グリコールとを含む徐放性マトリクスを有する。ヒドロキシアルキルセルロースは、好ま
しくはヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び特にヒ
ドロキシエチルセルロースのようなヒドロキシ(C
1−C
6)アルキルセルロースである。
本経口製剤における少なくとも一つのヒドロキシアルキルセルロースの量は、とりわけ、
必要とされるオキシコドン又はオキシコドン塩放出の正確な速度により決定され得る。脂
肪族アルコールは、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール又はステアリルア
ルコールでも良い。しかしながら、本経口製剤の特に好ましい実施の形態において、その
少なくとも一つの脂肪族アルコールは、セチルアルコール又はセトステアリルアルコール
である。本経口製剤における脂肪族アルコールの量は、上述のように、必要とされるオキ
シコドン又はオキシコドン塩放出の正確な速度により決定され得る。それはまた、少なく
とも一つのポリアルキレングリコールが経口製剤にあるかないかどうかに依存し得る。少
なくとも一つのポリアルキレングリコールの存在しない場合において、経口製剤は、好ま
しくは約20(重量)%から約50(重量)%の脂肪族アルコールを含む。ポリアルキレ
ングリコールが経口製剤に存在するとき、そのとき脂肪族アルコールとポリアルキレング
リコールとの合わせた重量は、好ましくは総製剤の約20(重量)%と約50(重量)%
との間である。
【0050】
ある好ましい実施の形態において、例えば少なくとも一つの脂肪族アルコール/ポリア
ルキレングリコールに対する少なくとも一つのヒドロキシアルキルセルロース又はアクリ
ル樹脂の比は、かなりの程度で、配合物からのオキシコドン又はオキシコドン塩の放出速
度を決定する。ある実施の形態において、1:1から1:4の間の脂肪族アルコール/ポ
リアルキレングリコールに対するヒドロキシアルキルセルロースの放出比が好ましい。特
に、1:2から1:3の間の比が好ましい。
【0051】
ある実施の形態において、ポリアルキレングリコールは、例えばポリプロピレングリコ
ール又はポリエチレングリコールでも良く、それらが好ましい。少なくとも一つのポリア
ルキレングリコールの平均分子量は、好ましくは1,000から15,000の間、特に
1,500から12,000の間である。
【0052】
別の好適な徐放性マトリクスは、アルキルセルロース(特に、エチルセルロース)、C
12−C
36の脂肪族アルコール及び任意にポリアルキレングリコールを含む。
【0053】
上記成分に加えて、徐放性マトリクスはまた、好適量の他の材料、例えば医薬分野で慣
習的である希釈剤、滑剤、バインダー、粒状化剤(granulating aids)、着色剤、フレー
バランツ(flavorants)及びグリダンツ(glidants)を含んでも良い。
【0054】
本発明に係る固形徐放性経口製剤の調製を容易にするために、本発明のさらなる態様に
おいて、徐放性マトリクスにオキシコドン又はそれらの塩を組み込むことを含む本発明に
係る固形徐放性経口製剤の調製方法が提供される。マトリクスへの組み入れは、例えば、
(a)オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩とともに、上記に示すような少な
くとも一つの疎水性及び/又は親水性材料(例えば、水溶性ヒドロキシアルキルセルロー
ス)を含む顆粒を形成し、
(b)顆粒を含む少なくとも一つの疎水性及び/又は親水性材料と少なくとも一つのC
12−C
36脂肪族アルコールとを混合し、
(c)任意に、顆粒を圧縮し及び成型する
ことによりなされ得る。
【0055】
顆粒は、医薬配合物の当業者に良く知られている任意の手順により形成され得る。例え
ば、一つの好ましい方法において、顆粒は、粒状化したヒドロキシアルキルセルロース/
オキシコドン又はオキシコドン塩を湿式で粒状化することにより形成され得る。このプロ
セスの特に好ましい実施の形態において、湿式粒状化ステップ中に加えられる水の量は、
好ましくはオキシコドン又はオキシコドン塩の乾燥重量の1.5から5倍の間、特に1.
75から3.5倍の間である。
【0056】
徐放性マトリクスはまた、例えば溶融粒状化又は溶融押出成型技術により調製され得る
。一般的に、溶融粒状化技術は、通常の固体の疎水性バインダー材料、例えばワックスを
溶かすこと、及びその中に粉末状の薬剤を入れることを伴う。徐放性製剤を得るために、
疎水性徐放性材料、例えばエチルセルロース又は水不溶性アクリルポリマーを溶融ワック
ス疎水性バインダー材料に入れることを必要とし得る。メルト−グラニュレーション技術
によって介して調製された徐放性配合物の例は、例えば米国特許第4,861,598号
にある。
【0057】
追加の疎水性バインダー材料は、一つ又はそれ以上の水不溶性ワックス様物質よりも疎
水性の小さい一つ又はそれ以上のワックス様熱可塑性物質とどうにかして混合される一つ
又はそれ以上の水不溶性のワックス様熱可塑性物質を含んでも良い。徐放性を達成するた
めに、配合物における個々のワックス様物質は、初期の放出フェーズ中に胃腸液において
実質的に分解されず、不溶であるべきである。有用な水不溶性ワックス様バインダー物質
は、約1:5000(W/W)よりも低い水溶性を有するもので良い。
【0058】
本発明に係る好適な溶融押出成型マトリクスの調製は、均質な混合物を得るために、例
えば、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩と、徐放性材料及び好ましくはバイ
ンダー材料とをブレンドするステップを含む。均質な混合物は、それから混合物を成型す
るために少なくとも混合物を十分に軟化させるに十分な温度に加熱される。得られた均質
な混合物は、それから、例えばツインスクリュー押出成型機を用いて押出成型して、スト
ランドを形成する。押出成型は、好ましくは従来技術において既知である任意の手段によ
り冷却され、マルチ微粒子に切断される。マトリクスマルチ微粒子は、それから単位服用
量に分けられる。押出成型物は、好ましくは約0.1から約5mmの直径を有し、少なく
とも約24時間の間にオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩の徐放性を与える。
【0059】
本発明の溶融押出成型配合物を調製する任意のプロセスは、疎水性徐放性材料と、オキ
シコドン又はそれらの塩と、任意のバインダー材料とを押出成型機に直接計量して入れ;
均質な混合物を加熱し;均質な混合物を押出成型してそれによりストランドを形成し;均
質な混合物を含むストランドを冷却し;ストランドを約0.1から約12mmのサイズを
有するマトリクスマルチ微粒子に切断し;並びにその粒子を単位服用量に分けることを含
む。本発明のこの態様において、相対的に連続する製造操作が行われる。
【0060】
上述したような可塑剤が溶融押出成型マトリクスに含まれていても良い。可塑剤は、好
ましくはマトリクスの約0.1から約30重量%で含まれる。他の医薬上のエクスシピエ
ンツ(excipients)、例えばタルク、モノ又はポリサッカライド(saccharides)、着色
剤、フレーバランツ、滑剤などが、所望により本発明の徐放性マトリクスに含まれていて
も良い。含まれる量は、達成される所望の特性による。
【0061】
押出成型機の開口又は出口ポートの直径を調整して、押出成型されたストランドの厚さ
を変化させることができる。さらに、押出成型機の出口部は丸である必要はなく;楕円や
矩形などであっても良い。出てきたストランドは、ホットワイヤカッタ、ギロチンなどを
用いて粒子に縮小される。
【0062】
溶融押出成型マトリクスマルチ微粒子系は、押出成型機出口の開口部に依存して例えば
顆粒、スフェロイド又はペレットの形でも良い。本発明の目的のために、用語「溶融押出
成型マトリクスマルチ微粒子」及び「溶融押出成型マトリクスマルチ微粒子系」及び「溶
融押出成型マトリクス微粒子」は、好ましくは類似のサイズ及び/又は形の範囲内で、好
ましくはここで記述された疎水性徐放性材料を含む一つ又はそれ以上の活性剤と、一つ又
はそれ以上のエクスシピエンツとを含む複数のユニットを指す。好ましくは、溶融押出成
型マトリクスマルチ微粒子は、約0.1から約12mmの範囲の長さであり、約0.1か
ら約5mmの直径を有する。さらに、溶融押出成型マトリクスマルチ微粒子は、このサイ
ズ範囲内で任意の幾何学的形状でも良いことが分かる。ある実施の形態において、押出成
型機は、簡単に所望の長さに切断し、小球化(spheronization)ステップの必要なしに治
療上の単位服用量の活性剤に分ける。
【0063】
ある好ましい実施の形態において、カプセル内に有効量の溶融押出成型マトリクスマル
チ微粒子を含む経口製剤が調製される。例えば、複数の溶融押出成型マトリクスマルチ微
粒子は、胃腸液に摂取され接触したときに有効な徐放性服用を提供するために、十分な量
のゼラチンカプセルに入れられても良い。
【0064】
別の実施の形態において、有効量のマルチ微粒子押出成型物は、標準技術を用いて従来
の錠剤装置を用いて経口錠剤に圧縮される。錠剤を(圧縮及びモールド)、カプセル(硬
質及び軟質ゼラチン)及びピルを作製するための技術及び組成はまた、Remington's Phar
maceutical Science, (Aethur Osol, editor), 1553-1593 (1980)に記述されている。
【0065】
さらに別の好ましい実施の形態において、押出成型機は、米国特許第4,957,68
1号 (クリメッシュ他(Klimesch et al))に示すようにして錠剤に成型され得る。
【0066】
任意に、徐放性マトリクスマルチ微粒子系、錠剤又はカプセルは、ここで記述した徐放
性コーティングのような徐放性コーティングで被覆され得る。例えば所望の放出速度に依
存してオーバーコートが厚くなるかもしれないが、そのようなコーティングは、好ましく
は約2から約25パーセントの重量ゲインレベルを得るために十分な量の疎水性及び/又
は親水性徐放性材料を含む。
【0067】
本発明の製剤は、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を含有する溶融押出成
型マトリクスマルチ微粒子をさらに含む。さらに、製剤はまた、迅速な治療効果のために
、速放性で治療的に活性になる量のオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を含む
。速放性オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩は、例えばマルチ微粒子を分ける
ようにしてゼラチンカプセル内に入れられても良く、例えば溶融押出成型マトリクスマル
チ微粒子の表面に被覆されても良い。
【0068】
本発明の溶融押出成型配合物の徐放プロファイルは、例えば徐放性材料の量を変えるこ
とにより、他のマトリクス成分に対して可塑剤の量を変えることにより、疎水性材料の量
を変えることにより、追加成分又はエクスシピエンツの導入により、製造方法の変更によ
りなどで変更され得る。
【0069】
本発明の他の実施の形態において、溶融押出成型配合物は、押出成型物のためにその後
に加えられるオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩の導入なしで調製される。そ
のような配合物は典型的には、押出成型されたマトリクス材料とともにブレンドされたオ
キシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を有し、それから混合物は、遅放性配合物を
提供するために錠剤化される。そのような配合物は、例えば配合物に含まれる治療上の活
性剤が疎水性材料及び/又は抑制材料を軟化させるために必要とされる温度に敏感である
ときに有利であり得る。
【0070】
本発明にしたがう使用に好適である典型的な溶融押出成型製造システムは、可変速度及
び定トルク制御、スタート−ストップ制御、並びに電流計を有する好適な押出成型機駆動
モータを含む。さらに、製造システムは、押出成型機の長さにわたっていたるところにあ
る、温度センサ、冷却手段及び温度インジケータを含む温度制御装置を有する。さらに、
製造システムは、出口で開口部あるいは型を有するシリンダ又はバレル内に囲繞された2
つの反転インターメッシングスクリューからなるツイン−スクリュー押出成型機のような
押出成型機を含む。導入材料は、導入ホッパーに入り、スクリューによりバレルを通して
動かされ、連続可動ベルトなどによりその後運ばれるストランドに型を通って押し込まれ
、冷却され、押出成型ロープをマトリクスマルチ微粒子系にするためのペレット化機又は
他の好適なデバイスに向けられる。ペレット化機は、ローラ、固定ナイフ、回転カッター
などからなり得る。好適な器具及びシステムは、サウスハッケンサック、ニュージャージ
ー(South Hackensack, New Jersey)のシー・ダブリュー・ブラベンダーインスツルメン
ツ社(C.W.Brabender Instruments, Inc.)のような販売業者から入手できる。他の好適
な装置は、当業者から明らかであろう。
【0071】
本発明のさらなる態様は、押出成型物に含まれるエアの量を制御する方法で上記に示す
ような溶融押出成型マトリクスマルチ微粒子の調製に関する。押出成型物に含まれるエア
の量を制御することにより、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩の放出速度が
変更され得る。
【0072】
このように、本発明のさらなる態様において、溶融押出成型物は、プロセスの押出成型
フェーズ中に空気を実質的に除く方法で調製される。これは、例えば真空アタッチメント
を有するライストリッツ(Leistritz)成型機を用いることにより達成され得る。真空下
でライストリッツ成型機を用いた本発明により調製された押出成型マトリクスマルチ微粒
子は、異なる物理的特性を有する溶融押出成型物を与える。特に、押出成型物は、例えば
SEM(走査電子顕微鏡写真)を与える走査電子顕微鏡を用いて拡大されたときに、実質的
に非ポーラスである。そのような実質的に非孔質である配合物は、真空下でなく調製され
た同じ配合物に比べて治療上の活性剤の放出をより早くし得る。真空下で押出成型機を用
いて調製されたマトリクスマルチ微粒子のSEMはとてもなめらかに現れ、マルチ微粒子は
、真空下でなく調製されたそれらのマルチ微粒子よりもより頑強になる傾向がある。少な
くともある配合物において、真空下での押出成型の使用は、真空下でなく調製されたその
対照の配合物よりもよりpH依存性である押出成型マトリクスマルチ微粒子生成物を提供
する。
【0073】
あるいは、溶融押出成型物は、ワーナ−プフライダラー(Werner-Pfleiderer)ツイン
スクリュー押出成型機を用いて調製される。
【0074】
ある実施の形態において、スフェロナイジング剤(spheronizig agent)は、顆粒又は
マトリクスマルチ微粒子に加えられ、その後徐放性スフェロイド(spheroids)を生成す
るためにスフェロナイズ(spheronize)される。その後、スフェロイドは、上述のような
方法により徐放性コーティングで任意にオーバーコートされる。
【0075】
本発明のマトリクスマルチ微粒子配合物を調製するために使用され得るスフェロナイジ
ング剤は、任意の既知のスフェロナイジング剤(spheronizing agent)をも含む。セルロ
ース誘導体が好ましく、微結晶セルロースが特に好ましい。好適な微結晶セルロースは、
例えばAvice PH 101(商標、FMC Corporation)として市販されている材料である。小球
化剤は、好ましくはマトリクスマルチ微粒子の約1から約99重量%で含まれる。
【0076】
ある実施の形態において、活性成分及び小球化剤に加えて、スフェロイドはバインダー
を含んでも良い。低粘度、水溶性ポリマーのような好適なバインダーは、医薬分野の当業
者に良く知られている。しかしながら、ヒドロキシプロピルセルロースのような水溶性ヒ
ドロキシ低級アルキルセルロースが好ましい。加えて(又はあるいは)スフェロイドは、
水不溶性ポリマー、特にアクリルポリマー、メタクリル酸−エチルアクリレートコポリマ
ーのようなアクリルコポリマー又はエチルセルロースを含んでも良い。
【0077】
ある実施の形態において、徐放性コーティングは、徐放性スフェロイド、顆粒又はマト
リクスマルチ微粒子に塗布される。そのような実施の形態において、徐放性コーティング
は、(a)ワックス単独もしくは脂肪アルコールとの混合物;又は(b)シェラックもし
くはゼイン、のような水不溶性材料を含んでも良い。これらのコーティングは、好ましく
は疎水性徐放性材料の分散液から誘導される。
【0078】
ある実施の形態において、徐放性配合物を得るために、約2から約50%、例えば約2
から約25%の重量ゲインレベルを得るために、オキシコドン又は医薬上許容できるそれ
らの塩と徐放性キャリアとを含む徐放性スフェロイド、顆粒又はマトリクスマルチ微粒子
を十分な量の分散液、例えばアルキルセルロース又はアクリルポリマーでオーバーコート
する必要がある。オーバーコートは、例えば所望の放出速度、分散液への可塑剤の導入、
及びその導入方法に依存してより少なく又はより多くしても良い。アルキルセルロースを
含むセルロース材料及びポリマーは、本発明に係る徐放性スフェロイド、顆粒又はマトリ
クスマルチ微粒子をコーティングするために良く適する徐放性材料である。単に例として
、ある好ましいアルキルセルロースポリマーは、他のセルロース及び/又はアルキルセル
ロースポリマーが容易に使用され得ることを当業者は認識しているが、本発明に係る疎水
性コーティングの全部又は一部ととして単独で又は任意の組み合わせでのエチルセルロー
スである。
【0079】
一つの市販されているエチルセルロース分散液は、アクアコート(Aquacoat)(登録商
標)(FMC社、フィラデルフィア、ペンシルベニア、米国)である。アクアコート(登録
商標)は、水と混合しない有機溶剤中にエチルセルロースを溶解させ、その後界面活性剤
及び安定剤の存在下で水中でそれを乳濁化させることにより調製される。サブミクロンの
液滴を生成するための均質化の後、有機溶媒は真空下で蒸発して擬ラテックスを形成する
。可塑剤は、製造フェーズ中に擬ラテックスに入れられない。このように、コーティング
として同じものを使用する前に、アクアコート(登録商標)と好適な可塑剤とを使用前に
密に混合することが必要である。
【0080】
エチルセルロースの別の分散液は、シュアリース(Surelease)(登録商標)(カラー
コン(Colorcon)社、ウェストポイント、ペンシルベニア、米国)として市販されている
。この製品は、製造プロセス中に分散液の中に可塑剤を入れることにより調製される。ポ
リマー、可塑剤(ジブチルセバケート)、及び安定剤(オレイン酸)のホットメルトが均
質混合物として調製され、その後徐放性スフェロイド、顆粒又はマトリクスマルチ微粒子
に直接塗布され得る分散液を得るためにアルカリ溶液で希釈される。
【0081】
本発明の他の好ましい実施の形態において、徐放性コーティングを有する徐放性材料は
、制限されないが、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポ
リマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル
酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメ
タクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリ
アクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物
)並びにグリシジルメタクリレートコポリマーを含む医薬上許容できるアクリルポリマー
である。
【0082】
ある実施の形態において、アクリルポリマーは、一つ又はそれ以上のアンモニオメタク
リレートコポリマーを含む。アンモニオメタクリレートコポリマーは当該技術分野におい
て良く知られており、低含有量の第4級アンモニア基を有する十分にポリマー化されたア
クリル及びメタクリル酸エステルのコポリマーとしてNational Formulary (NF) XVIIに記
載されている。所望の溶解プロファイルを得るために、中性(メタ)アクリルエステルに
対する第4級アンモニウム基の異なるモル比のように種々の物理的特性を有する2つ又は
それ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを入れる必要があり得る。
【0083】
あるメタクリル酸エステルタイプのポリマーは、本発明にしたがって使用され得るpH
依存コーティングを調製するために有用である。例えば、ロームゲーエムベーハー(Rohm
GMBH)及びKgダルムスタッド(Darnstadt)、ドイツからオイドラギット(Eudragit)
(登録商標)として市販されているメタクリル酸コポリマーや高分子メタクリレートとし
て知られているジエチルアミノエチルメタクリレート及び他の中性メタクリルエステルか
ら合成されたコポリマーの一群がある。例えば、オイドラギットEは、酸性媒体において
膨潤し溶解するメタクリル酸コポリマーの例である。オイドラギットLは、pH<約5.
7で膨潤せず、pH>約6で可溶性であるメタクリル酸コポリマーである。オイドラギッ
トSは、pH<約6.5で膨潤せず、pH>約7で可溶性である。オイドラギットRL及
びオイドラギットRSは水膨潤性であり、これらのポリマーにより吸収される水の量はp
Hに依存するが、オイドラギットRL及びRSで被覆された製剤はpHに依存しない。
【0084】
ある好ましい実施の形態において、アクリルコーティングは、それぞれ商標名オイドラ
ギット(登録商標)RL30D、オイドラギット(登録商標)RS30Dでロームから市
販されている2つのアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。オイドラギット(登録商標)
RL30D及びオイドラギット(登録商標)RS30Dは、アクリル及びメタクリルエス
テルと低含有量の第4級アンモニウム基とのコポリマーであり、残りの中性(メタ)アク
リルエステルに対するアンモニウム基のモル比は、オイドラギット(登録商標)RL30
Dで1:20、オイドラギット(登録商標)RS30Dで1:40である。平均分子量は
約150000である。コード指定RL(高浸透性)及びRS(低浸透性)は、これらの
試薬の浸透特性に関係する。オイドラギット(登録商標)RL/RS混合物は水に及び消
化液中で不溶性である。しかしながら、これらから形成されたコーティングは、水溶液及
び消化液において膨潤可能であり、浸透可能である。
【0085】
本発明のオイドラギット(登録商標)RL/RS分散液は、所望の溶解プロファイルを
有する徐放性配合物を最後に得るために、任意の所望の比でともに混合され得る。所望の
徐放性配合物は、例えばオイドラギット(登録商標)RL100%、オイドラギット(登
録商標)RL50%及びオイドラギット(登録商標)RS50%、並びにオイドラギット
(登録商標)RL10%及びオイドラギット(登録商標)RS90%から誘導された抑制
コーティングから得られ得る。もちろん、当業者は、例えばオイドラギット(登録商標)
のような他のアクリルポリマーも使用され得ることを認識するであろう。コーティングが
疎水性徐放性材料の分散物を含む本発明の実施の形態において、疎水性材料の分散液中の
有効量の可塑剤の導入により、徐放性コーティングの物理的性質をさらに改良する。例え
ば、エチルセルロースが相対的に高いガラス転移温度を有し、通常のコーティング条件下
でフレキシブルな膜を形成しないので、コーティング材料として同じものを使用する前に
徐放性コーティングを含むエチルセルロースコーティングに可塑剤を入れることが好まし
い。通常、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、フィルム−フォーマー(film-for
mer)の濃度、例えば多くの場合フィルム−フォーマーの約1から約50重量%に基づく
。しかしながら、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液及び塗布方法を用いての慎重
な実験の後に単に適切に決定され得る。
【0086】
エチルセルロース用の好適な可塑剤の例は、他の水不溶性可塑剤(アセチル化モノグリ
セライド、フタレートエステル、ひまし油など)が使用され得るが、ジブチルセバケート
、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート及びトリアセチン
のような水不溶性可塑剤を含む。トリエチルシトレートは、本発明のエチルセルロースの
分散液用の特に好ましい可塑剤である。
【0087】
本発明のアクリルポリマー用の好適な可塑剤の例は、制限されないが、トリエチルシト
レートNF XVI、トリブチルシトレート、ジブチルフタレート及びことによると1,2−プ
ロピレングリコールのようなクエン酸エステルを含む。オイドラギット(登録商標)RL
/RSラッカー溶液のようなアクリルフィルムから形成されるフィルムの弾性を高めるた
めに好適であることがわかっている他の可塑剤は、ポリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ジエチルフタレート、ひまし油及びトリアセチンを含む。トリエチルシトレ
ートは、本発明のエチルセルロースの分散液用の特に好ましい可塑剤である。
【0088】
ある実施の形態において、オキシコドン又はオキシコドン塩を含有する被覆されない/
被覆された徐放性スフェロイド、顆粒又はマトリックスマルチ微粒子は、徐放性スフェロ
イド、顆粒又はマルチ微粒子が安定した溶解を提供するところに終点が達するまで硬化さ
れる。硬化終点は、促進貯蔵条件、例えば温度40℃、相対湿度75%で少なくとも一月
に晒した後、製剤の溶解プロファイル(曲線)に対して硬化直後の製剤の溶解プロファイ
ル(曲線)とを比較することにより決定され得る。硬化配合物は、米国特許第5,273
,760号、第5,286,493号、第5,500,227号、5,580,578号
、5,639,476号、5,681,585号及び第6,024,982号に詳細に記
載されている。本発明にしたがって使用され得る徐放性配合物及びコーティングの他の例
は、米国特許第5,324,351号、第5,356,467号及び第5,472,71
2号を含む。
【0089】
上述の成分に加えて、スフェロイド、顆粒又はマトリックスマルチ微粒子はまた、好適
量の他の材料、例えば所望により配合物の約50重量%までの量で医薬技術分野で慣習的
である希釈剤、滑剤、バインダー、造粒剤、着色剤、フレーバランツ及びグリダンツを含
んでも良い。これらの追加の材料の量は、所望の配合物に所望の効果を与えるために十分
な量である。
【0090】
経口製剤を配合するために使用され得る医薬上許容できるキャリア及びエクスシピエン
ツの具体的な例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical
Association (1986)に記載されている。これは参照によりここに含まれる。
徐放性コーティングへの少量のタルクの付加は、処理中に分散液のくっつく傾向を減少
させ、研磨剤として働くことがわかっている。
【0091】
徐放性浸透投薬
本発明に係る徐放性製剤(sustained release dosage forms)はまた、浸透性投薬配合
物(osmotic dosage formulation)として調製されても良い。当該浸透性製剤(osmotic
dosage forms)は、好ましくは薬剤層と移送及びプッシュ層とを有する二層コアを含む。
この二層コアは、その中に少なくとも一つの通路を任意で有する半浸透性壁により囲繞さ
れる。
【0092】
本発明の目的で使用されるような語句「通路」は、オキシコドン又はオキシコドン塩が
ファイバ、キャピラリー管、多孔質オーバーレイ、多孔質インサート、微孔質部材又は多
孔質組成物を通って注入され、拡散され、又は移動され得る開口、オリフィス、穴、孔、
多孔質エレメントを含む。通路はまた、少なくとも一つの通路を作るために、使用する液
環境において壁を侵食し又は壁から浸出される化合物を含む。通路を形成する代表的な化
合物は、壁において侵食可能なポリ(グリコール)酸又はポリ(乳酸);ゼラチンフィラ
メント;水除去可能なポリ(ビニルアルコール);流体除去可能な孔形成多糖類、酸、塩
又は酸化物のような浸出可能な化合物を含む。通路は、徐放性規模の孔通路を形成するた
めに、ソルビトール、ショ糖、乳糖、麦芽糖又は果糖のような化合物を壁から浸出するこ
とにより形成され得る。通路は、製剤からオキシコドン又はオキシコドン塩を計量して徐
放することを助けるために、丸、三角形、四角形及び楕円のようないかなる形状をも有し
得る。製剤は、製剤の一つ又はそれ以上の表面で離隔関係で一つ又はそれ以上の通路を有
して製造され得る。通路及び通路を形成する装置は、米国特許第3,845,770号、
第3,916,899号、第4,063,064号及び第4,088,864号に開示さ
れている。放出孔の徐放速度を与えるために水浸出することにより形成された放出孔とし
て合わせられ、形作られ、適合される徐放規模を有する通路は、米国特許第4,200,
098号及び第4,285,987号に開示されている。
【0093】
ある実施の形態において、二層コアは、オキシコドン又はそれらの塩を有する薬剤層と
、置換又はプッシュ層とを有する。ある実施の形態において、薬剤層はまた、少なくとも
一つのポリマーハイドロゲルを含んでも良い。ポリマーハイドロゲルは、約500から約
6000000の間の平均分子量を有し得る。ポリマーハイドロゲルの例は、限定はされ
ないが、式(C
6H
12O
5)
n・H
2O(nは3から7,500)を有し、500から1,2
50,000の数平均分子量を有するマルトデキストリンポリマー;例えば50,000
から750,000の重量平均分子量を有する、例えばポリ(エチレンオキサイド)及び
ポリ(プロピレンオキサイド)により代表され、100,000、200,000、30
0,000又は400,000の重量平均分子量の少なくとも一つのポリ(エチレンオキ
サイド)により特に代表されるポリ(アルキレンオキサイド);アルカリがナトリウムや
カリウムであり、アルキルがメチル、エチル、プロピル又はブチルである10,000か
ら175,000の重量平均分子量のアルカリカルボキシアルキルセルロース;並びに1
0,000から500,000の数平均分子量のメタクリル及びエタクリル酸を含むエチ
レン−アクリル酸のコポリマーを含む。
【0094】
本発明のある実施の形態において、移送又はプッシュ層は浸透性ポリマーを含む。浸透
性ポリマーの例は、限定はされないが、ポリアルキレンオキサイド及びカルボキシアルキ
ルセルロースからなる群より選ばれたものを含む。ポリアルキレンオキサイドは、100
0,000から10,000,000の重量平均分子量を持つ。ポリアルキレンオキサイ
ドは、ポリメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、
1,000,000の平均分子量を有するポリエチレンオキサイド、5,000,000
の平均分子量を有するポリエチレンオキサイド、7,000,000の平均分子量を有す
るポリエチレンオキサイド、1,000,000の平均分子量を持つ架橋ポリメチレンオ
キサイド及び1,200,000の平均分子量のポリプロピレンオキサイドからなる群よ
り選ばれたものであり得る。典型的な浸透性ポリマーカルボキシアルキルセルロースは、
アルカリカルボキシアルキルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、カリ
ウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシエチルセルロース、リチウムカ
ルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシエチルセルロース、カルボキシアルキ
ルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カル
ボキシエチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシプロピルセル
ロースからなる群より選ばれたものを含む。置換層のために使用される浸透性ポリマーは
、半浸透性壁を横切って浸透圧傾斜を示す。浸透性ポリマーは液を製剤に吸収させ、それ
により浸透性ハイドロゲル(浸透性ゲルとしても知られる)として膨潤し膨張し、それに
より浸透性製剤からオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を押し出す。
【0095】
プッシュ層はまた、浸透剤として及び浸透効果のある溶質として既知でもある一つ又は
それ以上の浸透効果化合物を含む。それらは、例えば胃腸管からの周囲流体を製剤に吸収
させ、置換層の移送運動に寄与する。浸透活性化合物の例は、浸透性塩及び浸透性炭水化
物からなる群より選ばれたものを含む。特定の浸透剤の例は、限定はされないが、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸リチウム、塩化リチウム、リン酸ナ
トリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、ブドウ糖、果糖及び麦芽糖
からなる群より選ばれたものを含む。
【0096】
プッシュ層は、9,000から450,000の数平均分子量を持つヒドロキシプロピ
ルアルキルセルロースを任意に含んでも良い。ヒドロキシプロピルアルキルセルロースは
、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルイソプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース及びヒドロ
キシプロピルペンチルセルロースからなる群より選ばれたものにより代表される。
【0097】
プッシュ層は、任意に無毒の着色剤や染料を含んでも良い。着色剤や染料の例は、限定
はされないが、FD&C No.1 青染料、FD&C No.4 赤染料、赤酸化鉄、黄酸化鉄、二酸化チタ
ン、カーボンブラック及びインジゴのようなFood and Drug Administration Colorant (F
D&C)を含む。
【0098】
プッシュ層はまた、成分の酸化を抑制するために抗酸化剤を任意で含む。抗酸化剤のい
くつかの例は、限定はされないが、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、ブチル
化ヒドロキシアニソール、2と3のターシャリーブチル−4−ヒドロキシアニソールの混
合物、ブチル化ヒドロキシトルエン、ナトリウムイソアスコルベート、ジハイドログアレ
ティック酸(dihydroguaretic acid)、カリウムソルベート、二硫酸ナトリウム、メタ二
硫酸ナトリウム、ソルビン酸、カリウムアスコルベート、ビタミンE、4−クロロ−2,
6−ジターシャリーブチルフェノール、アルファトコフェロール及びプロピルガレートか
らなる群から選ばれたものを含む。
【0099】
ある別の実施の形態において、製剤は、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩
を含む均質コア、医薬上許容できるポリマー(例えば、ポリエチレンオキサイド)、任意
にディスインテグラント(disintegrant)(例えば、ポリビニルピロリドン)、任意に吸
収増強剤(例えば、脂肪酸、界面活性剤、キレート剤、バイル塩(bile salt)など)を
含む。均質コアは、オキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩の放出のための通路(
上記に規定したように)を有する半浸透性壁により囲繞される。
【0100】
ある実施の形態において、半浸透性壁は、セルロースエステルポリマー、セルロースエ
ーテルポリマー及びセルロースエステル−エーテルポリマーからなる群より選ばれたもの
を含む。代表的な壁ポリマーは、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セル
ローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルロースト
リアセテート、モノ−,ジ−及びトリセルロースアルケニレート並びにモノ−,ジ−及びト
リセルロースアルキニレートからなる群より選ばれたものを含む。本発明のために使用さ
れたポリ(セルロース)は、20,000から7,500,000の数平均分子量を有す
る。
【0101】
本発明の目的のさらなる半浸透性ポリマーは、アセトアルデヒドジメチルセルロースア
セテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカル
バメート、セルロースジアセテート、プロピルカルバメート、セルロースアセテートジエ
チルアミノアセテート;半浸透性ポリアミド;半浸透性ポリウレタン;半浸透性スルホン
化ポリスチレン;米国特許第3,173,876号、第3,276,586号、第3,5
41,005号、第3,541,006号及び第3,546,876号に開示されたよう
なポリアニオン及びポリカチオンの共沈物により形成された半浸透性架橋ポリマー;米国
特許第3,133,132号でローブ(Loeb)及びソーリラジャン(Sourirajan)により
開示された半浸透性ポリマー;半浸透性架橋ポリスチレン;半浸透性架橋ポリ(ナトリウ
ムスチレンスルホネート);半浸透性架橋ポリ(ビニルベンジルトリメチルアンモニウム
クロライド);並びに半浸透性壁にわたる静水圧差又は浸透圧差の雰囲気毎に表現された
2.5×10
-8から2.5×10
-2の(cm
2/hr・atm)流体浸透性を持つ半浸透性ポリ
マーを含む。本発明において有用な他のポリマーは、米国特許第3,845,770号、
第3,916,899号及び4,160,020号;並びにHandbook of Common Polymer
s, Scott, J.R.及びW.J.Roff, 1971, CRC Press, Cleveland, Ohioにおいて従来技術で既
知である。
【0102】
ある実施の形態において、好ましくは半浸透性壁は、無毒で不活性であり、薬剤の投与
ライフ中にその物理的及び化学的に完全な状態を維持する。ある実施の形態において、製
剤はバインダーを含む。バインダーの例は、限定されないが、ポリ−n−ビニルアミド、
ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ−n−ビニルピロリドン,ポリ−n−ビニルカプロ
ラクトン,及びポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドンとして既知であるポリ(
ビニルピロリドン)、並びにビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルクロライド、
ビニルフルオライド、ビニルブチレート、ビニルラウレート及びビニルステアレートから
なる群より選ばれたものを有するポリ−n−ビニル−ピロリドンコポリマーからなる群よ
り選ばれたものにより代表される5,000から350,000の粘度平均分子量を有す
る治療上許容できるビニルポリマーを含む。他のバインダーは、例えば9,200から2
50,000の平均分子量のアカシア(acacia)、でんぷん、ゼラチン及びヒドロキシプ
ロピルアルキルセルロースを含む。
【0103】
ある実施の形態において、製剤は、ダイ壁又はパンチ面に対してくっつくことを防止す
るために製剤の製造中に使用され得る滑剤を含む。滑剤の例は、限定されないが、マグネ
シウムステアレート、ナトリウムステアレート、ステアリン酸、カルシウムステアレート
、マグネシウムオレアート、オレイン酸、カリウムオレアート、カプリル酸、ナトリウム
ステアリルフマレート及びマグネシウムパルミテートを含む。
【0104】
ある好ましい実施の形態において、本発明は、1から640mgのオキシコドン又は
医薬上許容できるそれらの塩、25から500mgの150,000から500,000
の平均分子量を有するポリ(アルキレンオキサイド)、1から50mgの40,000の
平均分子量を有するポリ(ビニルピロリドン)及び0から約7.5mgの滑剤を含む。
【0105】
ある実施の形態において、本発明はまた、生体液に対して浸透可能でありオキシコドン
又は医薬上許容できるそれらの塩を通路に通さない半浸透性壁を有する製剤から投与され
る患者に対して1から640mgのオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を経口
的に導くことにより1から640mgのオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩を
投与する方法を提供する。半浸透性壁は、オキシコドン薬剤組成物及びプッシュ組成物を
含む内部スペースを囲繞する。このオキシコドン薬剤組成物は、1から640mgのオキ
シコドン又は医薬上許容できるそれらの塩、25から500mgの150,000から5
00,000の平均分子量を有するポリ(アルキレンオキサイド)、1から50mgの4
0,000の平均分子量を有するポリ(ビニルピロリドン)及び0から7.5mgの滑剤
を含む。このプッシュ組成物は、15から250mgの3,000,000から7,50
0,000の平均分子量を有するポリ(アルキレンオキサイド)、0から75mgの浸透
剤、1から50mgのヒドロキシアルキルセルロース、0から10mgの酸化鉄、0から
10mgの滑剤及び0から10mgの抗酸化剤を含む。製剤からオキシコドン又は医薬上
許容できるそれらの塩を移送するための半浸透性壁の通路は、半浸透性壁を通して液を製
剤に吸収することにより、オキシコドン又オキシコドン塩組成物を投与可能としプッシュ
組成物を膨張させ、通路を通してオキシコドン又はオキシコドンの塩を押し出させる。そ
れにより、製剤の混合作用を通して、持続時間にわたって制御された速度でオキシコドン
又はオキシコドン塩は治療上効果的な投薬で移送される。
【0106】
本発明の製剤は、任意に、配合物の放出の調整のため又は配合物の保護のために好適な
一つ又はそれ以上のコーティングで被覆され得る。一つの実施の形態において、コーティ
ングは、例えば胃腸液(GI)に晒されるとき、pH−依存又はpH−非依存の放出のい
ずれかを可能とするために与えられる。pH−依存コーティングが望ましいとき、コーテ
ィングは周囲流体、例えばGI管においてpH−変化にかかわらず適切な放出を達成する
ように設計される。他の好ましい実施の形態は、少なくとも約12時間、好ましくは約2
4時間又はそれ以上で患者に対して鎮痛できるような吸収プロファイルを与えるように、
GI管、例えば胃又は小腸の所望の領域でオキシコドン又は医薬上許容できるそれらの塩
を放出するpH−依存コーティングを含む。GI管、例えば胃のある所望の領域における
一部の投薬を解放する及びGI系、例えば小腸の別の領域で残りの投薬を解放する組成物
を配合することも可能である。
【0107】
pH−依存nコーティングを使用する本発明に係る配合物はまた、繰り返し作用効果を
与えても良く、それにより保護されない薬剤が腸コートで被覆され胃で放出され、一方腸
のコーティングにより保護された残りが胃腸管よりさらに下で放出される。pH−依存で
あり、本発明にしたがって使用され得るコーティングは、シェラック、セルロースアセテ
ートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースフタレート及びメタクリル酸エステルポリマー、ゼインなどの
ような徐放性材料を含む。
【0108】
本発明のある実施の形態において、速放形の有効量のオキシコドン又は医薬上許容でき
るそれらの塩が、配合物に含まれる。速放形のオキシコドン又はオキシコドン塩は、Tma
xが減少するように、血液(例えば血漿)でのオキシコドン濃度を最大にする時間を減少
させるために効果的である量で含まれる。単位投薬においてそのような有効量の速放性オ
キシコドン又はオキシコドン塩を含むことにより、患者における相対的に高いレベルの痛
みが軽減され得る。そのような実施の形態において、速放形における有効量のオキシコド
ン又はオキシコドン塩は、本発明の錠剤に被覆されても良い。例えば、配合物からの増量
の放出オキシコドン又はオキシコドン塩が徐放性コーティングによるとき、速放性層は、
徐放性コーティングの上にオーバーコートされる。一方、速放性層は、錠剤の表面上に被
覆されても良く、オキシコドン又はオキシコドン塩が徐放性マトリクスに組み入れられる
。当業者は、速放性オキシコドン又はオキシコドン塩部分を配合物に組み入れるさらに別
の方法を認識するであろう。そのような代替方法は、添付した請求項により包含されると
思われる。
【0109】
さらなる実施の形態において、オキシコドン又はオキシコドン塩に加えて本発明の徐放
性製剤は、さらにオキシコドン又はオキシコドン塩と共同に作用し得る又はし得ない非オ
ピオイド薬剤を含んでも良い。そのような非オピオイド薬剤は、好ましくは、さらなる鎮
痛を与え、例えばアスピリン;アセトアミノフェン;例えばイブプロフェン、ケトプロフ
ェンなどの非ステロイド系抗炎症剤("NSAIDS");N−メチル−D−アスパルテート(NM
DA)拮抗受容体、例えばデキストロメトロフェンもしくはデキストロファンのようなモノ
フィナン、又はケタミン;シクロオキシゲナーゼ−II抑制剤("COX-II抑制剤");及び/
又はグリシン拮抗受容体を含む。
【0110】
本発明のある実施の形態において、本発明は、NSAID又はCOX-2抑制剤のような追加の非
オピオイド鎮痛効果を導入するためにオキシコドン又はオキシコドン塩をより低い投薬で
使用させる。少量のいずれかの薬剤又は両方の薬剤を使用することにより、ヒトにおける
効果的な痛み管理に関連するサイドイッフェクト(side effect)が減少され得る。
【0111】
好適な非ステロイド系抗炎症剤は、イブプロフェン、ジクロフェナック、ナプロクセン
、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプ
ロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラ
モプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェ
ン、チアプロフェニル酸、フルプロフェン、ブクロキシル酸、インドメタシン、サリンダ
ック、トルメチン、ゾメピラック、チオピナック、ジドメタシン、アセメタシン、フェン
チアザック、クリダナック、オキシピナック、メフェナミル酸、メクロフェナミル酸、フ
ルフェナミル酸、ニフルミル酸、トルフェナミル酸、ジフルリザル、フルフェニザル、ピ
ロキシカム、サドキシカム、イソキシカム、それらの医薬上許容できるそれらの塩、それ
らの混合物などを含む。これらの薬剤の有用な投薬は、当業者に良く知られている。
【0112】
N−メチル−D−アスパルテート(NMDA)拮抗受容体は、当該技術において良く知られ
ており、例えばデキストロメトロファンもしくはデキストロファン、ケタミン又は医薬上
許容できるそれらの塩であるモロフィナンスを包含する。本発明のために、用語「NMDA拮
抗」はまた、NMDA−受容体活性、例えばGM
1又はGM
1bのようなガングリオサイド、ト
リフルオペラジンのようなフェノチアジン、N−(6−アミノテキシル)−5−クロロ−
1−ナフタレンスルフォンアミドのようなナフタレンスルフォンアミドの主な細胞内結果
を少なくとも部分的に抑制する薬剤を包含すると思われる。これらの薬剤は、習慣性の薬
剤、例えば米国特許第5,321,012号及び第5,556,838号(ともにMayer
et alによる)におけるモルフィン、コデインなどのような麻酔性鎮痛剤に対する耐久力
及び/又は依存の展開を抑制すること、並びに米国特許第5,502,058号(Mayer
et al)における慢性の痛みを治療することに言及する。NMDA拮抗剤は、単独で、又はこ
れらのMayer et al特許で記載されいているリドカインのような局所麻酔剤と組み合わせ
て含まれても良い。
【0113】
グリシン拮抗受容体の使用及びそのような薬剤の同定(identification)を介しての慢
性の痛みの治療は、米国特許第5,514,680号、ウェーバー(Weber et al)に記
載されている。
【0114】
COX-2抑制剤は当該技術において報告されており、多くの化学的構造がシクロオキシゲ
ナーゼ−2の抑制剤を製造するために知られている。COX-2抑制剤は、例えば米国特許第5
,616,601号;第5,604,260号;第5,593,994号;第5,550
,142号;第5,536,752号;第5,521,213号;第5,475,995
号;第5,639,780号;第5,604,253号;第5,552,422号;第5
,510,368号;第5,436,265号;第5,409,944号及び第5,13
0,311号に記載されている。ある好ましいCOX-2抑制剤は、セレコキシブ(SC-58635
)、DUP-697、フロスリド(CGP-28238)、メロキシカム、6−メトキシ−2−ナフチルア
セチル酸(6−MNA)、MK-966(Vioxxとしても知られている)、ナブメトン(6−MNAの
プロドラッグ)、ニメスリド、NS-398、SC-5766、SC-58215、T-614;又はそれらの組み合
わせを含む。一日に体重のキログラム当たり約0.005mgから約140mgのオーダ
ーでの投薬レベルのCOX-2抑制剤は、オキシコドン又はオキシコドン塩との組み合わせで
治療上有効である。あるいは、一日で患者当たり約0.25mgから約7gのCOX-2抑制
剤がオキシコドン又はオキシコドン塩と組み合わせて投与される。
【0115】
さらなる実施の形態において、非オピオイド薬剤は、例えばアンチチューシブ、去痰薬
、鼻つまり薬、抗ヒスタミン薬、局所麻酔などの鎮痛以外の所望の効果を与えるように含
み得る。
【0116】
追加(非オピオイド)の治療上の活性剤は、徐放性形又は速放性で含まれ得る。追加の
薬剤は、オキシコドン又はオキシコドン塩とともに徐放性マトリクスに組み込まれても良
い、粉末、粒状などとして製剤に組み込まれても良く、又は分離された徐放性層あるいは
速放性層として組み込まれても良い。
【0117】
本発明の徐放性経口固体製剤は、オピオイドなしであり得る。本発明の徐放性経口固体
製剤は、鎮痛効果において著しい違いなしで、従来の速放性製品に比べてかなり少ない日
ごとの投薬で投薬され得る。匹敵する日ごとの投薬で、従来の速放性製品に比べて本発明
の徐放性経口固形製剤の使用でより大きい効き目が得られる。
【0118】
本発明は、添付の例に関してより十分に記載される。しかしながら、以下の記述は例証
のみであり、上記に明示された本発明の概要に制限されるようにいかなる場合にもとられ
るべきではない。