(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施例1)
ステータコアの端面から突出されたコイルエンドの長さを短くするという目的を、先にスロットに挿入されたコイルの上端部となる曲線部を押し倒し手段によりステータコア軸心から離間する方向に押し倒して、前記先に挿入されたコイルの曲線部の内側の空間を、後からスロットに挿入されたコイルの上端部となる曲線部の外側が競合しない空間とした。
【0017】
図1は本発明のコイル挿入装置に備えられるコイル挿入機構10を縦断面により説明する図であり、
図2は本発明のコイル挿入機構10の斜視図であり、
図3はステータコア30の斜視図である。コイル挿入機構10の斜視図は、全体の理解を容易にするため、ストリッパ120を上方に延伸させた状態を示している。
図4はコイル挿入機構の水平方向断面図である。
【0018】
図3に示すように、ステータコア30は、その内側にコイルを挿入する複数のスロット31が形成されている。コイル電線とステータコアの絶縁のために、各スロット31内部の外径側には樹脂製のスロット絶縁紙33(
図3−A図参照)が、予めはめ込まれている。コイルが挿入された状態では、スロット開口32をふさぐウェッジ35(
図3−B図参照)がコイルとスロット開口32との間に挟まれる。ステータコア30は、コイル挿入装置の上方でステータコア保持機構20(
図1参照)に保持されて、その内部開口34にブレード130が差し込まれる。
【0019】
図1に示すように、コイル挿入機構10はベース110に支持され、内側からストリッパ120、ブレード130、ウェッジガイド140の順に配列され、ストリッパ120の頂部には補助ストリッパ150が固定される。ベース110の下方には、前記ウェッジを挿入して送り出すウェッジ差し込み口170が形成されている。
【0020】
また、ブレードを構成する棒状体131とウェッジガイドを構成する棒状体141とは整合して配列され、縦方向に延びる間隙が形成される。前記間隙に差込まれるストリッパ120の外歯121の下端部近傍には、ウェッジホルダ160が形成される。ウェッジホルダ160には、コイルの樹脂性の絶縁シートであるウェッジ35(
図2参照)を挟持する溝が斜め上方に開口したウェッジホルダ爪部161が、ストリッパの外歯121面とほぼ同一面となるようにスロット開口32に突出して形成される。
【0021】
ウェッジ35は、コイル挿入機構の下方のウェッジ挿入口170から挿入され、所定の位置に移動され、前記ウェッジホルダ爪部161に挟持される。これによって、前記ステータ30を上方に持上げてウェッジガイド140の先端から離間した状態にしても、ウェッジ35が折れ曲がり、または、ずれることがなくなる。
【0022】
また、ウェッジホルダ爪部161が、ストリッパ120の外歯面121とほぼ同一面となるようにスロット内に突出して形成されるため、コイル挿入装置の下方からウェッジ35を挿入して所定の位置に送り出す場合であっても、ウェッジ35がウェッジホルダ160に引っかからず挿入される。ウェッジホルダ160を乗り越えたウェッジ35は、ストリッパ120の上方への移動により前記ウェッジホルダ爪部161の溝に引っかかり、ストリッパ120と同期して移動される。
【0023】
説明のため、
図1において、図上左側のウェッジ35は差し込み口に差込む状態を説明し、右側のウェッジ35はストリッパ120とともに移動している状態を示している。ウェッジガイド140は、ベース110に図示しない固定手段で固定され、このウェッジガイド140の内側にウェッジガイドと整合するようにブレード130が固定されている。このブレード130に沿ってストリッパ120がステータコア30の内部開口34(
図3参照)に延伸される。
【0024】
図2に示すように、ストリッパ120は、前記ステータコア30のスロット開口32(
図3参照)に整合した位置に外歯121を備えて、外歯と外歯の間は窪んだ状態122とされている。外歯121上面は、コイルをスロット開口32に向かって滑らかに傾斜して形成されている。ストリッパ120は、その下方を延伸手段180により支持され(
図1参照)、延伸手段180は、図示しないサーボモータにより駆動されて、延伸可能とされている。ストリッパ120の上方には、補助ストリッパ150が固定されている。補助ストリッパ150の詳細は後述する。
【0025】
ストリッパ120の下端部近傍にはウェッジホルダ160が形成されている(
図1参照)。ウェッジホルダは、そのスロット開口32への突出部がわずかに前記スロット開口32内に突出し、前記突入部下方はスロット開口32から外となるように形成されている。また、ウェッジホルダには斜め上方に開口した溝を備えたウェッジホルダ爪部161が形成されている。これにより、前記ウェッジ差し込み口170から差し込まれて送り出されたウェッジは、ウェッジホルダのウェッジホルダ爪部161を下方から乗り越えてから前記溝に挟持されて、ストリッパ120の延伸とともにスロット開口32に向かって移動して、コイルと前記開口32の間に差し込まれる。
【0026】
図2、
図4に示すように、ブレード130は、環状に配列された複数の棒状体131が前記ベース110に図示しない固定方法により固定されて形成されている。各棒状体131のストリッパに面する側の形状は、前記ストリッパの窪み122に整合する断面形状とされている。外部側すなわちステータコアを支える側の形状は、ステータコアの内部開口34の形状に整合する断面形状となっている。また、ストリッパ外歯121に接する端部には、前記スロット開口32に突出する突起132が筋状に形成されている。すなわち、各スロット開口32には、中央のストリッパの外歯と、その両側のブレードの突起132,132がはめ込まれて突出することになる。
【0027】
次に、ウェッジガイド140は、ブレードと同数の棒状体141からなり、その内面の形状は、ブレードを構成する棒状体131の外面の形状と整合する形状とされている。ウェッジガイド140は、その上端でステータコアに当接してステータコア30を支承する。ウェッジガイドを構成する棒状体141の先端の両側は滑らかに傾斜して形成され、コイル挿入の際にコイル束の抵抗が小さくなるようにされている。更に、前記棒状体141の上方144は、下方145よりも狭く形成されている。これにより、隣り合うウェッジガイド外側の間の巾は、下方よりも上方が広く形成され、挿入されたコイルの収納場所を広くしている。
【0028】
前記したウェッジガイド140がなすガイド溝146に、ベース下方の差し込み口170から差込まれたウェッジ35が誘導される。ウェッジはコ字状断面をなし、つなぎ部であるウェブ部分がウェッジホルダのウェッジホルダ爪部161の溝に係止されて、ガイド溝をストリッパ120とともに移動して、前記スロット31内に挿入される。
【0029】
次に、コイル挿入装置の概要を、
図5を参照して説明する。
図5−A図はコイル挿入装置の正面を示し、
図5−B図はコイル挿入装置の側面の概要を示す説明図である。ここで説明するコイル挿入装置は、説明のための例示であり、多くの場合には、コイル製造ラインに組み込まれてコイル挿入装置が構成される。
【0030】
コイル挿入装置の各機構は、図示しないサーボモータにより駆動される。コイル挿入装置1は、その上方にステータコア保持機構20を備え、下方にコイル挿入機構10を備え、それらがつなぎ枠40で一体に構成されている。コイル挿入機構10が本体前面11から本体所定位置12まで移動可能とされ、ステータコアの種類に応じて、コイル挿入機構10の交換が本体前面で可能となっている。
【0031】
次に、
図6を参照して、前記のコイル挿入装置1により、コイル挿入装置の作用を説明する。ステータコア保持機構20は、ステータコア30を上下から挟み込んで保持する下部保持部21と上部保持部23とからなるステータコア保持部と、該保持部の上方に形成されたコイル押し倒し機構部22とを備えている。まず、ステータコア30は下部保持部21にセットされる(A図)。次に、下部保持部21が上昇してステータコア30は上部保持部23との間に挟み込まれ保持される(B図)。
【0032】
更に、上方から棒状のアライメントツール24が下降してステータ保持機構が一体となる(C図)。一体化に際して、棒状のアライメントツールにより、ステータコアとコイル束押し倒し機構部22の軸心が確認保持される。
【0033】
更に、ステータコア保持機構20が下降して、コイル挿入機構10に形成されているブレードにステータコアを差し込む(D図)。その際にアライメントツール24は、下方のステータコア保持部21のブレード開口に、ステータコアを精度良く誘導する。そして、コイル挿入装置によってコイル束が挿入される。なお、
図1はその状態の断面を説明する図面である。コイル束押し倒し機構の作用と、ステータコアを持ち上げるステータ保持機構によるステータコアのウェッジガイドからの離間作用については、次に詳述する。
【0034】
次に、
図7〜
図10を参照して、コイル挿入工程を説明しつつ前記作用を詳述する。まず、ブレード130にコイル310,320が引っかけられた状態を、
図7を参照して説明する。
図7では、ステータコア30を一転鎖線で示し、ウェッジ絶縁紙33とウェッジ35を破線で示し、ブレード130に先に引っかけられるコイル310を2点鎖線で示し、隣り合う前記コイル310の上に乗ってブレード130に引っかけられるコイル320を実線で示す。なお、
図7は、理解を容易にするため6つのコイルのうち4つを示して、2つのコイルを省略してあらわしている。
【0035】
図7は、12個のスロットを有するステータコアに上方のコイルが下方のコイルに乗り上げた状態で引っかけられた状態を示している。ストリッパの上方には、補助ストリッパが固定されている。ここで、補助ストリッパを、
図8を参照して説明する。
図8−A図は補助ストリッパの平面図であり、
図8−B図は
図8−A図におけるa−a’位置の断面図である。補助ストリッパ150は、3つの方向に放射状に形成されたコイル押上げ部151を有し、コイル押上げ部の間は窪んだ状態となっている。該コイル押し上げ部151は中央から周辺に向けて低くなるように段部152が形成されている。各段部152はその隅部が滑らかに構成されている。
【0036】
これにより、補助ストリッパ150に引っかかった上方コイル320は、窪んだ位置に差込まれている下方コイルより高い位置に保持される。また、上方コイル320は、前記段部152により分散されて押し上げられる。これにより一部のコイルに集中して力が加わることがなく、コイルの巻線を破損することが無い。また、上方に乗ったコイル320が下方のコイル310より先行して、スロット開口32(
図3参照)から挿入される。これにより、挿入の際の抵抗が減少して、図のように複相のコイルを重ねて挿入する場合であっても、上方のコイルに下方のコイルが滑らかに追随してスロット31内に挿入される。
【0037】
ストリッパの周囲には前記スロットに整合する位置に外歯121(
図2参照)が形成され、該外歯がスロットの内径方向の開口32(
図3参照)に沿って延伸される。隣り合うブレードがなす間隙には、巻回されてコイルをなす巻線が引っかけられる。前記ストリッパの延伸により、前記巻線はストリッパの頂部にあたった状態で押し上げられて、前記コイルをなす巻線は前記間隙に沿って前記スロット開口32から挿入される。また、コイルの挿入に追随してストリッパ下方に形成されたウェッジホルダの溝を備えたウェッジホルダ爪部161に挟持されたスロット開口を塞ぐウェッジ35も挿入される。
【0038】
次に、
図9および
図10を参照して、コイル挿入工程を分けて説明する。
図9−A図は、ブレード130にコイル300が引っかけられて、ステータコア30がセットされた状態を示している。
図9−B図は、下方からストリッパ120が上昇している状態を示している。
図9−C図は、コイルがステータコアのスロットにほぼ挿入された状態を示している。
図9−D図は、コイル押し倒し機構のスライド棒230が上方コイルの内側にセットされた状態を示している。
図9−E図は、コイル押し倒し機構に備えられたスライド棒の軸体220が周囲に向けて移動してコイルを押し倒した状態を示している。
【0039】
図9−F図は、ステータコア離間手段によりステータコア30がブレード先端から離間された状態を示している。
図10−G図は、ステータコア30がブレード先端から離間されて、空間が空いた状態で、ストリッパが上昇してコイルを押し上げている状態を示している。空間が空いているため下方のコイルがウェッジガイドと競合せず、ストリッパが更に上昇してコイルエンドが短い状態となるまで押し込むことができる。
図10−Hは、ステータコア保持機構が上昇して、ステータコアをコイル挿入機構から離間させた状態を示している。
【0040】
まず概略を説明すると、コイルがストリッパによって押し上げられてステータコアに挿入され、コイルの上方端部がステータコア上端面から突出した状態で、コイル押し倒し機構に備えられたスライド棒先端から下方に延びる軸体220がコイルの上方端部を周囲に向けて押し倒している。上方のコイルと一体に下方のコイルを挿入するように、複相のコイルを挿入する場合であっても、上方のコイルの端部が外方に向けて押し倒されているため、下方のコイルがステータコア上端面から上方に押し出されるにあたっても、下方のコイルが上方のコイルに競合することがない状態とされる。
【0041】
更に、ステータコア離間手段によりステータコアがブレード先端から離間されて、ステータコア下端部とブレード先端部との間に空間を形成させ、次いで、ストリッパを上昇させることにより最後までコイルを挿入し、コイルを挿入したステータをコイル挿入装置から離脱させる。
【0042】
以下、詳細に説明する。
図9−A図では、ウェッジ35が、予めウェッジ差し込み口170から差込まれ、ウェッジガイドにガイドされて、ウェッジホルダ160のウェッジホルダ爪部161の溝に挟み保持された状態を示している(
図1参照)。この状態から、図示しない駆動手段により、ストリッパ延伸手段180を上昇させ、コイル300を補助ストリッパ150の段部151またはストリッパ120の頂部に当接させ、更に前記延伸手段180を延伸させて、ストリッパ(以下、明記ない場合には「補助ストリッパ」を含む。)を上昇させて、コイル300をステータコアに当接させる(
図9−B図)。
【0043】
ストリッパ120を更に上昇させるとコイル300を構成する各巻線が、スロット開口32に近い巻線から順にスロット内に挿入される(
図9−C図)。複相のコイルを挿入する場合であっても、
図7に示したように、上方のコイル320が補助ストリッパ150によって先行して挿入されるため、下方のコイル310がストリッパ120によって挿入される際にも抵抗が少なくなり、スムーズに上方コイル320と下方コイルが挿入されていく。
【0044】
しかし、コイルの挿入が完了する前の状態では、挿入されてステータコア130の上に突出した上方コイル320の曲線部の内側に、下方から突出したコイル310の曲線部の外側があたり挿入抵抗が増し、滑らかに挿入することができなくなる。そこで、全てのコイルが押し出される前に、前記上方コイル320の上方にステータコア30の軸心と上方コイルの曲線部との間に、曲線部スライド棒の軸体220をセットする(
図9−D図,
図11参照)。
【0045】
そして、スライド棒の軸体220を軸心から離間する方向に移動させることにより(
図11参照)、コイル曲線部をコイル軸心から離間する方向に斜めに押し倒してコイル曲線部の内側を拡大する(
図9−E図)。これにより、上方コイル320の曲線部の内側に、下方から突出した下方コイル310の曲線部の外側があたらなくなり、下方コイル310が滑らかに挿入される。
【0046】
更に、ストリッパ120を上昇させると、挿入されていないコイルの残部の束が、ウェッジガイドの先端部142(
図2参照)と競合し抵抗が増す。このままでは、所定長の残余部分330を挿入しにくくなるが、本実施例では、ここでステータコア保持部によりステータコアを保持させた状態で、ステータコア保持機構を上昇させる離間手段により、ステータコア30をウェッジガイド140から軸方向に離間させ、ステータコア30とウェッジガイドを構成する棒体の先端142(
図2参照)の間に空間(α)を空けている(
図9−F図)。
【0047】
前記空間(α)は、コイル量によって可変とされるが、約10mmの高さである。こうして、挿入されていないコイルの残部の束とウェッジガイドとの競合を回避させた状態として、更にストリッパを延伸させている。
【0048】
前記のようにステータコアを持上げて、ステータコアをウェッジガイドから離間させて空間を空けることに先立って、本実施例ではコイル曲線部を押し倒すことにより円滑にコイル挿入を可能として、従来技術では挿入しにくかった所定長の残余部分330を小さくして、コイルエンドが短い状態にコイルを挿入できるようにした(
図10−G図)。そして、コイル挿入が完了した時点で、ステータコア保持機構20が上方に移動され、ステータコアが取り外される(
図10−H図)。
【0049】
ここで、
図11を参照してコイル押し倒し機構を詳細に説明する。
図11−A図はコイル押し倒し機構の平面説明図であり、
図11−B図は円盤を回転させた状態を示し、
図11−C図はコイル押し倒し機構の断面方向の説明図である。コイル押し倒し機構200は、ステータコア保持機構20に装着されている。コイル押し倒し機構200は、基盤201と、基盤201に設けられると共に図示しない駆動機構により伸縮される2本の伸縮アーム210,211と、前記伸縮アーム先端に架け渡されて、その端部を前記伸縮アーム先端に軸支された円盤回転アーム213と、基盤201に平行に配置された円盤214を備えている。
【0050】
円盤回転アーム213には、ステータコア30の軸心と円盤214の軸心が一致するように円盤214が保持されている。前記2本の伸縮アーム210,211が反対方向に伸縮することにより、この円盤214が回転される。(
図11−B図参照)
【0051】
また、基盤201と円盤214の間には、下方に延びる軸体220を固定したスライド棒230が6セット挟まれている。スライド棒230には上部に凸部226が形成されている。円盤214の下側には、その回転に伴い前記凸部226を円盤の軸心から離間させ、または接近させるように、凸部226がすり動く溝241が形成されている。前記スライド棒230は、基台201に固定されてスライド棒をすり動かせる溝を形成する支持体202に挟まれてスライドする。
【0052】
すなわち、伸縮アーム210の延伸と、伸縮アーム211の収縮によって円盤が回転し、円盤の回転によってスライド棒が円盤の軸心から離間して、スライド棒230の円盤軸心近傍にて下方に延びる軸体220が軸心から遠ざかることによって、ステータコア30の上方から突出されたコイルが外方に押し倒される。
【0053】
(実施例2)
本実施例2は、実施例1のコイル押し倒し機構に替えて、ステータコア上方に押し出されたコイル曲線部とあたる部分が曲面に形成されると共に、その上部がステータコア軸心から離間するように傾斜されている押し倒し誘導部250を装着させたコイル押し倒し機構としている。ステータコア上方から押し出されてコイルをなす巻線を前記曲面に形成された押し倒し誘導部250に沿って押し出させて、巻線をステータコアの軸心から外方へ押し倒している。
【0054】
図12は、コイル押し倒し機構を装着させたステータコア保持機構の要部を断面により説明する説明図である。ステータコア30は、下部保持部21と上部保持部23とからなるステータコア保持部に挟持されている。該上部保持部23には、複相のコイルのうち上方に乗ってひっかけられているコイルの上部の位置にのみ、押し出されたコイルがあたる曲面をなす押し倒し誘導部250が図示しないボルトにより装着されている。コイルのステータコアへの挿入にともない、ステータコアから押し出されたコイルをなす巻線は、押し出された巻線から順に外方に押し倒される。これにより挿入抵抗を増加させることなく、コイルを押し倒すことができる。
【0055】
(その他の実施例)
・実施例1では、押し倒し手段によりコイルの頂部を押し倒してからステータコアを離間させる工程としたが、複相のコイルをステータコアのスロットに押し込む過程で、
図9−F図に示したステータコア30をウェッジガイド140から軸方向に離間させる離間工程を省略して、
図9−D図、
図9−E図で示したステータコア上端部からのコイルの押し倒し工程のみを実施してもよい。
・また、実施例1とは工程を異にして、
図9−F図に示したステータコア30をウェッジガイド140から軸方向に離間させる離間工程を先行させ、その後に
図9−D図、
図9−E図で示したステータコア上端部でのコイルの押し倒し工程を実施してもよい。
【0056】
・実施例1では、ステータコアの軸を立ててセットする例を説明したが、ステータコアをセットする向きに限定があるわけではなく、軸を横方向にしてコイルを挿入することとしてもよい。
・上記の実施例はコイル挿入装置単体で説明したが、本発明の要旨を含んだコイル挿入機を一連の製造ラインに含む機構としてもよい。
【0057】
なお上述した実施例は、単なる例示に過ぎず、本発明をなんら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。