(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る発電システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の発電システムに係る第1の実施形態について、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態の発電システムのブロック図である。
図2は、
図1のスイッチトリラクタンス発電機20およびドライバ32等を示す部分ブロック図で、ドライバ32内の電気回路図等を示している。
図3は、
図1の第2回転子23および第2固定子22の概略横断面図である。
【0012】
先ず、本実施形態の発電システムの構成について説明する。
【0013】
この発電システムは、永久磁石型同期発電機10(
図1では、Permanent Magnet Synchronous Generator を略した「PMSG」と示している。)と、スイッチトリラクタンス発電機20(
図1では、Switched Reluctance Generator を略した「SRG」と示している。)と、を有する。永久磁石型同期発電機10は、表面磁石型や埋め込み磁石型などのいずれでもよい。
【0014】
発電システムは、コンバータ31と、ドライバ32と、直流接続部42と、コンデンサ48と、インバータ40と、を有する。
【0015】
永久磁石型同期発電機10の回転軸(第1回転軸11)の一方(
図1の左方側)の端部は、例えば風車等の駆動入力装置1が機械的に連結されている。この第1回転軸11の駆動入力装置1がある側の反対側(
図1の右方側)の端部には、スイッチトリラクタンス発電機20の回転軸(第2回転軸21)が連結されている。すなわち、第1および第2回転軸11、21は、同軸上で直結されて、共に回転するように構成されている。
【0016】
永久磁石型同期発電機10は、第1回転子13と、第1固定子12と、を有する。
【0017】
第1固定子12には、第1電機子巻線15が巻かれている。第1回転子13は、永久磁石(図示せず)が取り付けられていて、第1回転軸11とともに回転可能に支持されている。
【0018】
コンバータ31は、第1電機子巻線15と電気的に接続されて、永久磁石型同期発電機10から出力された第1の3相交流(第1AC)が入力可能で、且つ入力された第1ACを第1の直流(第1DC)に変換可能である。このコンバータ31は、コンデンサ48を介して、インバータ40に電気的に接続される。また、このコンバータ31は、直流接続部42を介してドライバ32に電気的に接続されている。
【0019】
直流接続部42は、コンバータ31およびドライバ32を電気的に接続する。この直流接続部42は、コンバータ31の第1DCの正極側に接続される正極側配線42aおよび負極側に接続される負極側配線42bからなる。各配線42a、42bは、ドライバ32に電気的に接続される。
【0020】
インバータ40は、コンバータ31から出力される第1DCの少なくとも一部を、出力用AC(第2AC)、すなわち、発電システムの電力に変換して外部に出力可能である。このインバータ40は、系統等の出力部5に電気的に接続され、この出力部5に電力を供給可能である。
【0021】
スイッチトリラクタンス発電機20は、第2回転子23と、第2固定子22と、を有する。
【0022】
第2回転子23は、第2回転軸21の周りに固定された円筒状の部材で、1つの非磁性部材51および4個の磁性部材53を有する(
図3)。
【0023】
非磁性部材51は、例えばアルミニウム合金等により形成されて、第2回転軸21の外周面の一部を半径方向外側から取り囲み、この外周面に固定される。この非磁性部材51は、半径方向外側に突出する非磁性部52が4個所に形成されている。これらの非磁性部52は、周方向に互いに等間隔に形成される。すなわち、隣り合う非磁性部52それぞれにおける半径方向に突出する方向が、互いに垂直になるように形成されている。
【0024】
各磁性部材53は、例えば鉄鋼材料等により形成されて、周方向に隣り合う非磁性部52同士の間に、それぞれ取り付けられている。
【0025】
第2回転子23の外周面には、各磁性部材53の半径方向外端の磁性面53aと、各非磁性部材51にかかる非磁性部52の半径方向外端の非磁性面52aとが、周方向に交互に4箇所ずつ形成されている。すなわち、4箇所の磁性面53aおよび4箇所の非磁性面52aで、合わせて1つの円筒面が形成される。
【0026】
第2固定子22は、第2回転子23を半径方向外側から取り囲むように配置された円環状の部材で、内周側に6個の固定子突極部55が形成されている。これらの固定子突極部55は、周方向に等間隔に配列されて、第2固定子22の内周面から半径方向内側に向かって突出するように形成される。各固定子突極部55の半径方向内側の端部は、第2回転子23の外周面に互いに半径方向空隙54を保つように形成されている。
【0027】
図3では省略するが、これらの固定子突極部55には、第2電機子巻線25が配置されている。この第2電機子巻線25は、3個のコイル、すなわち、第1コイル25a、第2コイル25bおよび第3コイル25cを有する。これらの第1〜第3コイル25a〜25cは、それぞれドライバ32に電気的に接続される。ドライバ32への接続は、後で説明する。
【0028】
ドライバ32は、6個のトランジスタ素子、すなわち、第1トランジスタ素子61、第2トランジスタ素子62、第3トランジスタ素子63、第4トランジスタ素子64、第5トランジスタ素子65および第6トランジスタ素子66と、6個のダイオード素子、すなわち、第1ダイオード素子71、第2ダイオード素子72、第3ダイオード素子73、第4ダイオード素子74、第5ダイオード素子75および第6ダイオード素子76と、を有する電気回路を備えている(
図2)。
【0029】
第1トランジスタ素子61および第1ダイオード素子71は、互いに直列に電気接続される。同様に、第2〜第6トランジスタ素子62〜66それぞれと、第2〜第6ダイオード素子72〜76それぞれとが、互いに直列に電気接続される。
【0030】
また、第1トランジスタ素子61および第1ダイオード素子71は、正極側配線42aが接続される正極側(
図2における右側)から負極側配線42bが接続される負極側(
図2における左側)に、この順に接続される。第3トランジスタ素子63および第3ダイオード素子73、並びに第5トランジスタ素子65および第5ダイオード素子75についても、正極側から負極側にこの順に接続される。
【0031】
一方、第2トランジスタ素子62および第2ダイオード素子72は、負極側から正極側に、この順に接続される。第4トランジスタ素子64および第4ダイオード素子74、並びに第6トランジスタ素子66および第6ダイオード素子76についても、負極側から正極側にこの順に接続される。
【0032】
また、第1トランジスタ素子61および第1ダイオード素子71の間と、第2トランジスタ素子62および第2ダイオード素子72の間と、に第1コイル25aの各端部が電気的に接続される。
【0033】
第3トランジスタ素子63および第3ダイオード素子73の間と、第4トランジスタ素子64および第4ダイオード素子74の間と、に第2コイル25bが電気的に接続される。同様に、第5トランジスタ素子65および第5ダイオード素子75の間と、第6トランジスタ素子66および第6ダイオード素子76の間と、に第3コイル25cが電気的に接続される。
【0034】
第1コイル25aは、第1および第2トランジスタ素子61、62のスイッチを入切することで導通する。第2コイル25bは、第3および第4トランジスタ素子63、64のスイッチを入切することで導通する。同様に、第3コイル25cは、第5および第6トランジスタ素子65、66のスイッチを入切することで導通する。
【0035】
ドライバ32は、第1〜第3コイル25a〜25cに流れる第2DCを、コンデンサ48に出力する機能を備えている。
【0036】
インバータ40は、上述したコンバータ31から供給される第1DCの他に、ドライバ32から供給される第2DCの少なくとも一部を、コンデンサ48を介して取り込んで、第2ACに変換して、発電システムの電力として出力可能である。
【0037】
判定手段45aは、第1回転軸11の回転数等を計測した結果に基づいて、回転数が所定値を超えているか否かを判定する機能を備えている。この判定手段45aは、永久磁石型同期発電機10に入力される回転エネルギが所定値を超えたときに、すなわち、第1回転軸11の回転数が所定値を超えたときに、コンバータ31から供給される第1DCの一部を、ドライバ32に供給するように構成されている。第1DCの供給は、上述した第1〜第6トランジスタ61〜66の入切動作によって行われる。
【0038】
コンデンサ48は、ドライバ32から供給された電荷を一時的に溜め込んで、その後、インバータ40に供給する機能を備えている。
【0039】
インバータ40は、コンバータ31およびドライバ32それぞれから供給される第1DCおよび第2DCを、第2AC、すなわち電力に変換して、上述したように、この電力を当該出力部5に供給する。
【0040】
続いて、本実施形態の発電について説明する。
【0041】
先ず、永久磁石型同期発電機10の発電について説明する。
【0042】
駆動入力装置1により、発電システムに駆動入力があったときに、第1および第2回転軸11、21が共に回転する。すなわち、駆動入力装置1は、発電システムに回転エネルギを入力する。
【0043】
第1回転軸11の回転によって、永久磁石型同期発電機10が発電する。この場合、永久磁石型同期発電機10は、第1固定子12の第1電機子巻線15から第1ACを出力する。
【0044】
第1電機子巻線15から発生する第1ACの出力の一部(大部分)は、コンバータ31によって第1DCに変換されて、その後に、インバータ40によって第2ACに変換されて、出力部5へ供給される。すなわち、当該第1ACは、コンバータ31およびインバータ40等を経て出力部5へ供給される。
【0045】
駆動入力装置1による駆動入力が永久磁石型同期発電機10の予め定められている発電容量よりも小さい場合には、すなわち、第1回転軸11の回転数が所定値よりも小さい場合には、発電システムは、永久磁石型同期発電機10のみで発電する。なお、このときのスイッチトリラクタンス発電機20は、フライホイールとして作用している。
【0046】
駆動入力装置1による駆動入力が永久磁石型同期発電機10の発電容量を超える場合には、発電システムは、永久磁石型同期発電機10およびスイッチトリラクタンス発電機20の両方を用いて発電する。
【0047】
以下に、永久磁石型同期発電機10およびスイッチトリラクタンス発電機20で発電する状態について説明する。
【0048】
判定手段45aが、永久磁石型同期発電機10に入力される回転エネルギが所定値よりも大きくなると判定したとき、すなわち、判定手段45aが、第1回転軸11の回転数が所定値よりも大きくなると判定したときに、ドライバ32は、第1〜第6トランジスタ素子61〜66の少なくとも一つが所定のタイミングで通電するように制御される。このように第1〜第6トランジスタ素子61〜66が制御されることで、第1〜第3コイル25a〜25cに第2DCが流れる。すなわち、スイッチトリラクタンス発電機20は、発電可能な状態、すなわち、第2電機子巻線25から第2DCが出力される状態になる。
【0049】
第2回転軸21が回転すると、第2回転子23の外周面に形成された4箇所の磁性面53aそれぞれが、周方向に沿って移動する。このとき、これらの磁性面53aそれぞれは、第2固定子22の各固定子突極部55の半径方向内側端面に半径方向空隙54を保ち対向した状態で、順次移動する。移動しているときに、一つの磁性面53aに、少なくとも隣り合う二つの固定子突極部55それぞれが、半径方向に互いに重なる状態が保たれる。これにより、磁束が形成される。
【0050】
磁性面53aおよび隣り合う固定子突極部55の相対的な位置の変動により、上述の磁束が変化する。この磁束の変化により、第2回転子23の回転を止めようとする力が作用する。この力が起電力となって、第1〜第3コイル25a〜25cに、第1DCとは異なる(逆向き)の第2DCが流れる。この第2DCは、コンデンサ48を介して、インバータ40に供給される。その後、第2DCの一部は、インバータ40で第2ACに変換される。
【0051】
このときのインバータ40は、第1DCおよび第2DCを、合わせて第2ACに変換して、出力部5に供給する。
【0052】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、駆動入力装置1による駆動入力が大幅に変動する場合においても、高価な永久磁石を用いた永久磁石型同期発電機10を常に有効に活用して発電を継続し、発電システム全体の効率的な活用が可能である。
【0053】
[第2の実施形態]
第2の実施形態の発電機システムについて、
図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態の発電システムのドライバ32の電気回路図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(
図1〜
図3)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0054】
また、本実施形態の発電システムの全体の構成は、第1の実施形態で説明した
図1と同様である。
【0055】
本実施形態のドライバ32の電気回路には、第1パワーモジュール80を用いている。第1パワーモジュール80は、モジュール用トランジスタ素子81と、モジュール用ダイオード素子82とが、並列に配置されてモジュール化された汎用品である。
【0056】
この電気回路(
図4)は、第1の実施形態で説明したドライバ32の電気回路(
図2)に示す第1〜第6トランジスタ素子61〜66それぞれを、6個の第1パワーモジュール80に置き換えている。
【0057】
これにより、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1パワーモジュール80のような汎用品を用いることができるため、電気回路の製造が、第1の実施形態に比べて容易になる。
【0058】
[第3の実施形態]
第3の実施形態の発電機システムについて、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の発電システムのドライバ32の電気回路図である。なお、本実施形態は、第2の実施形態(
図4)の変形例であって、第2の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0059】
本実施形態のドライバ32の電気回路には、第2パワーモジュール90を用いている。第2パワーモジュール90は、第2の実施形態で説明した
図4に示す第1パワーモジュール80が並列に配置されてモジュール化された汎用品である。
【0060】
この電気回路(
図5)は、第2の実施形態で説明したドライバ32の電気回路(
図4)に示す第1ダイオード素子71と、1個の第1パワーモジュール80に相当する部分を、1個の第2パワーモジュール90に置き換えている。
【0061】
同様に、第2〜第6ダイオード素子72〜76それぞれと、5個の第1パワーモジュール80それぞれに相当する部分を、5個の第2パワーモジュール90に置き換えている。
【0062】
これにより、第2の実施形態と同様に効果を得ることが可能になる。
【0063】
[第4の実施形態]
第4の実施形態の発電機システムについて、
図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態の発電システムの第2回転子23および第2固定子22の概略横断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(
図1〜
図3)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0064】
本実施形態の第2回転子23は、第2回転軸21に固定されて、第2回転軸21と共に回転する。この第2回転子23は、放射状に突出した4個の回転子突極部59を有する。隣り合う回転子突極部59は、互いに90度をなすように形成される。また、これらの回転子突極部59は、
図3の磁性部材53に相当し、半径方向外側が固定子突極部55の半径方向内側に半径方向空隙54を形成している。
【0065】
この第2回転子23は、詳細な図示は省略しているが、鉄鋼材料で形成された板材が積層されて形成されている。各板材は、回転子突極部59が形成される。
【0066】
この第2回転子23は、第1の実施形態に比べ、製造が容易である。
【0067】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0068】
第1〜第4の実施形態では、スイッチトリラクタンス発電機20の固定子突極部55を6個で、回転子側の磁性面53aまたは回転子突極部59の数(極数)が4個で構成されているが、これに限らない。例えば、固定子側を12極、回転子側を8極にしてもよい。これは、発電容量等の諸条件に応じて、変形可能である。
【0069】
また、第4の実施形態のスイッチトリラクタンス発電機20に、第2の実施形態(
図4)のドライバ32、または、第3の実施形態(
図5)のドライバ32を用いてもよい。