(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、
図1を用いて、本発明の実施の一形態に係る電力供給システム1の構成について説明する。
【0018】
電力供給システム1は、住宅等に設けられ、商用電源90からの電力及び自然エネルギーにより発電された電力を特定の負荷へと供給するものである。電力供給システム1は、主として発電部10、パワーコンディショナ20、分電盤30、蓄電装置40、負荷50(特定の負荷)、その他の負荷80、ホームサーバ60及び携帯型端末70等を具備する。
【0019】
発電部10は、太陽光を利用して発電する装置であり、太陽電池パネル等により構成される。発電部10は、例えば、住宅の屋根の上に設置される。
【0020】
パワーコンディショナ20は、発電部10において発電された直流電力を交流電力に変換し、商用電源90の電圧、周波数、位相に合わせる機能を有するものである。パワーコンディショナ20は、発電部10に接続される。
パワーコンディショナ20には、停電時(商用電源90からの電力が供給不能な場合)における「自立運転モード」のONとOFFとを切り換えるための運転切換スイッチ20aが設けられる。
また、パワーコンディショナ20には、停電時(非常時)において発電部10からの電力を取り出すための非常用コンセント21が接続される。
【0021】
分電盤30は、漏電遮断器、配線遮断器及び制御ユニット等をまとめたものである。分電盤30は、パワーコンディショナ20及び商用電源90に接続される。
分電盤30には、後述する蓄電装置40が充電、放電及び情報(データ)のやり取りを行うための充放電用コンセント群31(より詳細には、充放電用コンセント群31のうち後述する充電用コンセント32及びLAN用コンセント33のみ)が接続される。
【0022】
充放電用コンセント群31は、充電用コンセント32、LAN用コンセント33及び放電用コンセント34を具備する。
【0023】
蓄電装置40は、電力を充電するとともに、当該充電した電力を放電するものである。本実施形態に係る蓄電装置40は、電力を充放電可能なリチウムイオン電池及び当該リチウムイオン電池からの直流電力を交流電力に変換するインバータ等を具備する。
蓄電装置40は、停電時(非常時)における充電用のケーブル41を介して非常用コンセント21に接続される。
また、蓄電装置40は、通常時における充電用のケーブル42を介して充放電用コンセント群31の充電用コンセント32に、放電用のケーブル43を介して充放電用コンセント群31の放電用コンセント34に、それぞれ接続される。
また、蓄電装置40は、LANケーブル44を介して充放電用コンセント群31のLAN用コンセント33に接続される。
【0024】
負荷50は、住宅内において電力が消費される電化製品等であり、特に、停電時(非常時)においても電力を供給する必要がある「特定の負荷」である。
本実施形態においては、負荷50(特定の負荷)として、リビングに設けられるリビングコンセント51、冷蔵庫52、及びリビングに設けられるリビング照明53を用いるものとする。また、リビングコンセント51には、テレビ51aが接続されるものとする。
負荷50は、それぞれ間接的に(本実施形態においては、充放電用コンセント群31の放電用コンセント34及び図示しない漏電遮断器等を介して)蓄電装置40に接続される。
【0025】
その他の負荷80は、住宅内において電力が消費される電化製品等であり、前述の負荷50(特定の負荷)とは異なり、停電時(非常時)においては電力を供給する必要がない(非常時に電力を供給する必要性が低い)負荷である。その他の負荷80としては、例えば、リビング以外に設けられるコンセントや照明等が挙げられる。
その他の負荷80は、分電盤30に接続される。
【0026】
ホームサーバ60は、電力供給システム1内の情報を管理する制御手段である。
ホームサーバ60は、分電盤30に接続される。ホームサーバ60は、パワーコンディショナ20及び蓄電装置40等と情報のやり取りが可能とされ、当該パワーコンディショナ20及び蓄電装置40等の運転を制御することができる。
【0027】
携帯型端末70は、住宅の居住者が電力供給システム1の状態を確認したり、当該電力供給システム1の運転状態を変更するための操作をしたりするためのものである。携帯型端末70としては、表示装置と入力装置を組み合わせたタッチパネル等を用いることができる。
携帯型端末70は、無線によりホームサーバ60と情報のやり取りをすることができる。
【0028】
次に、
図1を用いて、上述の如く構成された電力供給システム1において、商用電源90からの電力が問題なく供給される場合の電力の供給態様について説明する。
【0029】
通常、すなわち商用電源90からの電力が問題なく供給可能な場合、パワーコンディショナ20の運転切換スイッチ20aは居住者によってOFFに切り換えられている。この場合、パワーコンディショナ20の自立運転モードはOFFとされ、当該パワーコンディショナ20の非常用コンセント21からの電力の取り出しはできない。
【0030】
この状態においては、発電部10において発電された直流電力は、パワーコンディショナ20において交流電力に変換され、分電盤30に供給される。また、商用電源90からの交流電力も分電盤30に供給される。
【0031】
当該発電部10及び商用電源90から分電盤30に供給された電力は、適宜の時間帯にケーブル42を介して蓄電装置40に充電される。当該充電する時間帯は、携帯型端末70を用いて任意に設定することができる。例えば深夜に充電するように設定すれば、料金の安い深夜電力を蓄電装置40に充電することができる。また、昼間の太陽光が十分に照射される時間帯に発電部10からの電力を充電するように設定すれば、当該発電部10において自然エネルギー(太陽光)を利用して発電された電力を蓄電装置40に充電することができる。
なお、この場合(通常時)においては、発電部10及び商用電源90からの電力を蓄電装置40に充電する際、同時に当該蓄電装置40からその他の負荷80へと電力が供給(放電)されることはない。このように、充電と放電とを同時に行わないようにすることによって、蓄電装置40(より詳細には、当該蓄電装置40内の蓄電池(リチウムイオン電池))の劣化を防止することができる。
【0032】
また、発電部10及び商用電源90から分電盤30に供給された電力は、その他の負荷80に供給される。すなわち、居住者は、発電部10及び商用電源90からの電力によって、リビング以外に設けられるコンセントに接続された機器を利用したり、リビング以外の照明等を点灯させたりすることができる。
【0033】
また、その他の負荷80で消費する電力が、発電部10からの電力だけで十分まかなえる場合は、商用電源90からの電力を用いないようにすることも可能である。これによって、電力料金を節約することができる。
【0034】
さらに、蓄電装置40に充電された電力を、ケーブル43を介して負荷50に供給することも可能である。当該蓄電装置40から負荷50に電力を供給する時間帯は、携帯型端末70を用いて任意に設定することができる。例えば深夜に充電した電力を昼間に負荷50に供給するように設定することで、電力料金を節約することができる。
なお、通常時においては、蓄電装置40から負荷50に電力を供給(放電)する際、同時に発電部10及び商用電源90からの電力が蓄電装置40に充電されることはない。このように、充電と放電とを同時に行わないようにすることによって、蓄電装置40(より詳細には、当該蓄電装置40内の蓄電池(リチウムイオン電池))の劣化を防止することができる。
【0035】
上述の如く発電部10、商用電源90及び蓄電装置40からの電力を適宜負荷50及びその他の負荷80に供給するための制御は、ホームサーバ60に記憶された制御プログラムに基づいてなされる。
また、上述の如き電力の供給状態は携帯型端末70の表示装置に表示され、居住者は当該携帯型端末70により電力の供給状態を確認することができる。
【0036】
次に、停電時(商用電源90からの電力が供給不能な場合)における電力の供給態様について説明する。
【0037】
停電時(非常時)においては、電力会社の電力復旧作業を妨げないように、商用電源90から分電盤30への電力系統及びパワーコンディショナ20から分電盤30への電力系統(分電盤30を介する電力系統)に電力が流されることがない。従って、発電部10および商用電源90からの電力が分電盤30を介して蓄電装置40に充電されることはない。一方、蓄電装置40に充電されている電力は、ケーブル43を介して負荷50に供給(放電)することが可能である。すなわち、停電した場合であっても、負荷50のスイッチがONにされた場合、蓄電装置40に充電された電力を用いて負荷50(テレビ51a等)を使用することが可能である。
【0038】
また、この停電時(非常時)においては、居住者は、パワーコンディショナ20の運転切換スイッチ20aをONに切り換える。これによって、パワーコンディショナ20の自立運転モードがONとされ、当該パワーコンディショナ20の非常用コンセント21からの電力の取り出しが可能となる。
但し、運転切換スイッチ20aは、分電盤30において停電であることが検知された情報をパワーコンディショナ20に送信し、自動的にONに切り換えられるように構成することも可能である。
【0039】
この状態においては、発電部10において発電された電力は、パワーコンディショナ20、非常用コンセント21及びケーブル41を介して蓄電装置40に充電される。
【0040】
また、蓄電装置40が充電中であっても、負荷50のスイッチがONにされた場合、蓄電装置40に充電された電力(通常時においてあらかじめ充電されていた電力及び非常時において発電部10から供給された電力)は、ケーブル43を介して負荷50に供給される。なお、停電時において電力を供給するのは必要最低限の負荷(負荷50)のみであり、その他の負荷80には電力は供給されない。
【0041】
上述の如く、停電時においては、発電部10からの電力を蓄電装置40に充電しながら、同時に当該蓄電装置40の電力を負荷50に供給することができる。このように、蓄電装置40の電力を放電するだけでなく、並行して充電も行うことで、あらかじめ蓄電装置40に充電された電力及び発電部10において新たに発電された電力を効率良く負荷50へ供給することができる。また、このように蓄電装置40の充電と放電とを同時に行うことで当該蓄電装置40(より詳細には、当該蓄電装置40内の蓄電池(リチウムイオン電池))の劣化が懸念されるが、充電と放電とを同時に行うのは停電時(非常時)のみであるため、当該蓄電装置40の劣化を最小限に抑えつつ、非常時には電力を効率良く負荷50へと供給することができる。
【0042】
次に、
図1を用いて、非常用コンセント21、充放電用コンセント群31、及びこれらに接続されるケーブル(ケーブル41、ケーブル42、ケーブル43及びLANケーブル44)について詳細に説明する。
【0043】
図1に示すように、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31(充電用コンセント32、LAN用コンセント33及び放電用コンセント34)の形状は、互いに異なる形状となるように形成されている。
より詳細には、非常用コンセント21は2極のコンセント(通称A型)、充電用コンセント32は接地極が付けられた2極のコンセント(通称B型)、LAN用コンセント33は所定の規格に従った略長方形断面のコンセント、放電用コンセント34は3極のコンセント(特殊型)となるように、それぞれ形成されている。
【0044】
また、非常用コンセント21に差し込まれるケーブル41のプラグ41a、充電用コンセント32に差し込まれるケーブル42のプラグ42a、LAN用コンセント33に差し込まれるLANケーブル44のプラグ、及び放電用コンセント34に差し込まれるケーブル43のプラグ43aは、それぞれ対応するコンセントの形状に合わせた(対応するコンセントに差し込み可能な)形状となるように形成されている。
【0045】
このように構成することにより、各組のコンセントとケーブル(非常用コンセント21とケーブル41、充電用コンセント32とケーブル42、LAN用コンセント33とLANケーブル44、及び放電用コンセント34とケーブル43)は接続可能であるが、異なる組み合わせのコンセントとケーブル(例えば、非常用コンセント21とケーブル42、放電用コンセント34とケーブル41等)は接続不能となる。これによって、蓄電装置40を各コンセントに接続する際における、ケーブルの差し間違いを防止することができる。
【0046】
また、非常用コンセント21、充電用コンセント32、LAN用コンセント33及び放電用コンセント34は、互いに近接する位置に配置される。このように配置することによって、作業者が各組のコンセントとケーブルとを接続する際の作業効率を向上させることができる。
【0047】
次に、
図2を用いて、住宅等の内部における蓄電装置40の配置の様子について説明する。
なお、
図2においては、便宜上、図中の矢印で示す方向を前方及び後方とそれぞれ定義して説明を行う。
【0048】
図2に示すように、蓄電装置40は、当該蓄電装置40を収納するために設けられた蓄電装置収納空間110に配置される。蓄電装置収納空間110は、側壁111と、上部仕切壁112と、防音扉113と、外壁100aと、により仕切られた空間である。
【0049】
側壁111は、蓄電装置収納空間110の左右両側方において、当該蓄電装置収納空間110と他の空間とを仕切るものである。なお、
図2においては、左方(紙面手前側)の側壁111の図示は省略している。
上部仕切壁112は、蓄電装置収納空間110の上方において、当該蓄電装置収納空間110と他の空間とを仕切り、蓄電装置収納空間110の天井となるものである。
側壁111及び上部仕切壁112の蓄電装置収納空間110側の壁面(内側面)には、防音材114が設けられる。
また、右方に配置される側壁111の後上部には、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31(充電用コンセント32、LAN用コンセント33及び放電用コンセント34)が互いに近接するように一箇所に集中して配置される。
【0050】
蓄電装置収納空間110の後部には、後方から開閉可能な防音扉113が設けられ、当該蓄電装置収納空間110と他の空間とが仕切られる。防音扉113は、適宜防音材が設けられた(又は、防音効果のある材料を用いて形成された)扉である。
【0051】
住宅の外壁100aのうち、蓄電装置収納空間110と対向する部分には、当該蓄電装置収納空間110と住宅の外部とを連通する貫通孔115・115が形成される。
本実施形態においては、上下に並ぶように2つの貫通孔115・115が形成されるものとするが、本発明はその数及び位置を限定するものではない。
【0052】
貫通孔115・115の外側端部には、防音カバー116・116がそれぞれ設けられる。また、上方に配置された防音カバー116内には、送風機117が設けられる。当該送風機117を駆動させることにより、下方に配置された貫通孔115から外気を蓄電装置収納空間110内へと取り込むとともに、上方に配置された貫通孔115から蓄電装置収納空間110内の空気を外部へと排出して、当該蓄電装置収納空間110内の空気を換気することができる。
【0053】
このように構成された蓄電装置収納空間110内に蓄電装置40が配置され、ケーブル41・42・43及びLANケーブル44を介して非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31と接続される(
図1参照)。蓄電装置40の上部には、当該蓄電装置40を移動させる際等に把持することが可能なハンドル40aが形成される。
【0054】
蓄電装置40のハンドル40aと上部仕切壁112とは、連結部材としての取付金具119及びワイヤー120を介して連結される。
より詳細には、上部仕切壁112の蓄電装置収納空間110側の壁面(内側面)には、前後方向に亘って図示せぬ桟が設けられ、当該桟に取付金具119が固定される。取付金具119は防音材114の下面に配置され、釘等の取付部材によって前記桟に対して固定される。当該取付金具119と蓄電装置40のハンドル40aとを連結するようにワイヤー120が設けられる。この際、ワイヤー120は弛みがない状態で取付金具119とハンドル40aとを連結する。
【0055】
上述の如く構成された蓄電装置収納空間110に蓄電装置40を配置することにより、当該蓄電装置収納空間110内の空気を外気と換気することで蓄電装置40が高温になるのを防止することができるとともに、当該蓄電装置40が発する騒音が他の空間に聞こえ難くなり、居住者に不快感を与えるのを防止することができる。
さらに、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31を、側壁111の後上部(防音扉113の近傍)に、互いに近接するように一箇所に集中して配置することで、防音扉113を開いた状態での当該非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31に各ケーブルを接続する作業を行い易くすることができる。
【0056】
次に、
図3及び
図4を用いて、ケーブル43及び放電用コンセント34の形状について詳細に説明する。
【0057】
図3に示すように、ケーブル43の両端には、放電用コンセント34に接続するためのプラグ43a及び蓄電装置40に接続するためのプラグ43cが設けられる。プラグ43cは、蓄電装置40側に設けられた差し込み口の形状に合わせて形成された2極のプラグである。プラグ43cは、一般家庭で最も多く使用されている差し込みプラグであり、A型と呼ばれ、平行ピンを有し、ケーブル側にアース端子を延出している。
【0058】
プラグ43aは、略円柱状に形成された絶縁体である。プラグ43aの端部(端面)には、同心円上に形成された3つの円弧状の穴であるメス部43b・43b・43dが形成される。メス部43b・43b・43dには、所定の端子が配置され、極性を間違わないようにメス部43dの円弧長は他のメス部43b・43bの円弧長よりも長く形成している。なお、プラグ43aは、一部の工業製品で用いられる特殊形状としているが、一般家庭で通常用いらないプラグであれば、通称C型、D型、E型、F型、G型、H型、I型、J型、K型等を用いることも可能である。
【0059】
図4に示すように、放電用コンセント34は住宅の壁面(側壁111)に配置される。放電用コンセント34には、壁面に対して窪んだ形状となるように、円形断面を有する凹部34aが形成される。凹部34aの直径は、プラグ43aの直径と略同一となるように形成される。
【0060】
凹部34a内には、当該凹部34aの軸線方向から見て同心円上に形成された3つの端子であるオス部34b・34b・34cが設けられる。オス部34b・34b・34cは、その先端が前記壁面から突出しないように形成される。オス部34b・34b・34cは、プラグ43aに形成されたメス部43b・43b・43dの位置と対応する位置にそれぞれ配置される。
【0061】
このように構成されたケーブル43を放電用コンセント34に接続する場合、作業者(居住者等)は、ケーブル43のプラグ43a(絶縁部)を持って、当該プラグ43aを放電用コンセント34の凹部34aに差し込む。この際、放電用コンセント34のオス部34b・34b・34cの位置とプラグ43aのメス部43b・43b・43d(
図3参照)の位置とをそれぞれ合わせることで、当該メス部43b・43b・43dにオス部34b・34b・34cが差し込まれ、ケーブル43と放電用コンセント34とが電気的に接続される。
【0062】
本実施形態に係るプラグ43a及び放電用コンセント34においては、作業者が直接触って作業するプラグ43a側(ケーブル43側)にメス部43b・43b・43dが形成されるとともに、作業者が直接触れることのない放電用コンセント34側にオス部34b・34b・34cが形成されている。また、プラグ43a側の端子は、当該メス部43b・43b・43d内に配置されている。従って、作業者が誤ってプラグ43a側の端子に触れるようなことがなく、プラグ43cを蓄電装置40側の差し込み口に差し込んだ状態で電力供給が可能な状態であっても、感電を防止することができる。
【0063】
さらに、本実施形態に係るプラグ43a及び放電用コンセント34においては、電力(電気)が流れる端子は、作業者から触れ難い位置に配置されている。すなわち、プラグ43a側の端子は当該プラグ43aのメス部43b・43b・43d内に配置され、放電用コンセント34側の端子は凹部34a内において、壁面から突出しないように配置されている。従って、作業者が誤って端子に触れることをより効果的に防止し、ひいては感電を防止することができる。さらに、収納物等がオス部34b・34b・34cに接触し、当該オス部34b・34b・34cを変形させることもない。また、放電用コンセント34は通常一般家庭では設置されていないため、誤って通常(A型)のプラグを差し込むこともない。
【0064】
次に、
図5を用いて、蓄電装置40を用いない場合の電力供給システム1について説明する。
【0065】
コストの削減等を目的として蓄電装置40を用いない場合、非常用コンセント21及び充放電用コンセント群31と各ケーブル(ケーブル41、ケーブル42、ケーブル43及びLANケーブル44)との接続を解除する。この状態においては、発電部10及び商用電源90と負荷50とは電気的に接続されていないため、当該負荷50に電力を供給することができない。
【0066】
そこで、蓄電装置40を用いない場合は、充放電用コンセント群31の充電用コンセント32と放電用コンセント34とをケーブル43で接続する。ケーブル43は蓄電装置40側の差し込み口から抜いて充電用コンセント32に差し替えるだけでそのまま利用できる。充電用コンセント32と放電用コンセント34とは、前述の如く互いに近接する位置に配置されているため、ケーブル43を用いて容易に接続することができる。
【0067】
このように構成することで、発電部10及び商用電源90から分電盤30に供給された電力を、充電用コンセント32、ケーブル43及び放電用コンセント34を介して負荷50に供給することができる。したがって、蓄電装置40を用いない(取り外した)場合であっても、発電部10や商用電源90からの電力を負荷50に供給し、テレビ51aや冷蔵庫52等を使用することができる。
【0068】
なお、充電用コンセント32と放電用コンセント34とを接続するケーブルはケーブル43に限るものではなく、各コンセントに合う形状のプラグを有するケーブルを別途使用することも可能である。
また、充電用コンセント32のメス部は、一般家庭に設けられているコンセントと同じ形状であるため、ケーブル43や放電用コンセント34等が故障した場合であっても、市販されている延長ケーブル(A型)のオス部を差し込んで、他端のメス部(またはコンセント)に負荷50のプラグを差し込むことで、当該負荷50に電力を供給することができる。
【0069】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部10と、商用電源90及び発電部10にそれぞれ接続され、商用電源90及び発電部10からの電力を充電可能であるとともに、充電された電力を特定の負荷50へと放電可能な蓄電装置40と、を具備する電力供給システム1であって、発電部10、商用電源90及び特定の負荷50にそれぞれ接続される複数のコンセント(非常用コンセント21、充電用コンセント32及び放電用コンセント34)と、前記複数のコンセントと蓄電装置40とをそれぞれ接続する複数のケーブル(ケーブル41、ケーブル42及びケーブル43)と、を具備し、各組のコンセントとケーブルとの差し込み形状が互いに異なる形状となるように形成されるものである。
【0070】
このように構成することにより、複数組のコンセント及びケーブルの差し込み形状が全て異なるため、ケーブルの差し間違いを防止することができる。特に、停電時(非常時)等の手元が見え難い状況であっても、ケーブルの差し間違いを防止することができる。
【0071】
また、前記複数組のコンセント及びケーブルのうち、1組のコンセント及びケーブル(放電用コンセント34及びケーブル43)は、ケーブル43側にメス部43bが形成されるとともに、放電用コンセント34側に、ケーブル43側のメス部43bに差し込まれるオス部34bが形成されるものである。
【0072】
このように、作業者(居住者等)が持つ側(ケーブル43側)にメス部43bを形成することで、作業者がケーブル43の端子に誤って触れてしまうことを防止し、ひいては感電を防止することができる。
【0073】
なお、本実施形態においては、1組のコンセント及びケーブル(放電用コンセント34及びケーブル43)のみについて、ケーブル側にメス部を形成し、コンセント側にオス部を形成する構成を適用したが、本発明はこれに限るものではなく、2組以上や全ての組のコンセント及びケーブルについて当該構成を適用することも可能である。
【0074】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、商用電源90に対応するコンセント(充電用コンセント32)と、特定の負荷50に対応するコンセント(放電用コンセント34)と、を互いに近接する位置に配置してケーブル(接続ケーブル45)により接続可能としたものである。
【0075】
このように構成することにより、蓄電装置40を用いない場合は、商用電源90に対応するコンセントと、特定の負荷50に対応するコンセントと、を接続することにより、当該特定の負荷50に商用電源90からの電力を供給することができる。これによって、居住者の要望に応じた電力供給システム1(蓄電装置40を有する電力供給システム1又は蓄電装置40を有しない電力供給システム1)を容易に提供することができる。