【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、課題の解決手段として、
ガス排出口を有するディフューザシェルとクロージャシェルからなるハウジングを有しており、
ハウジング内には、点火手段が収容された点火手段室とガス発生剤が収容された燃焼室が形成されており、
点火手段室がハウジング内に配置された内筒の内側に形成され、燃焼室が内筒の外側に形成されており、
内筒が、
両端開口部がハウジング底面と天井面に固定されたものであり、
周壁部において、点火手段室と燃焼室を連通する伝火孔を有しており、
伝火孔とハウジング天井面までの間の周壁部に脆弱部を有しているものである、人員拘束装置用ガス発生器を提供する。
【0010】
ガス発生器をエアバッグ装置に組み込むとき、ガス排出口を有するディフューザシェル側にエアバッグが配置され、ガス排出口から噴出されたガスにより膨張するようにされる。
よって、本発明のガス発生器では、ガス排出口を有するディフューザシェル側が天井面となり、天井面と正対するクロージャシェル側が底面となる。そして、天井面側が乗員側になる。
【0011】
本発明のガス発生器は、点火手段室を形成する内筒の伝火孔とハウジング天井面までの間の周壁部において脆弱部が形成されているものである。
異常燃焼時には前記脆弱部において内筒が切断されて内部容積を増加させることで、ハウジングが破損することを防止する。
また、内筒が切断されるときでも、ハウジング天井面に近い位置において切断されるため、ハウジング天井面に固着した状態で残存する内筒はごく一部となる。ハウジング天井面に残る内筒の残部が大きいと、ハウジング天井面が変形したとき、内筒の残部により天井面にさらに荷重が加えられ、天井面が破壊されることが考えられる。しかし、本発明であればハウジング天井面が破壊されることが防止される。
脆弱部は、ガス発生器が正常に作動するときの圧力には十分に耐えることができるが、異常燃焼したときの過剰圧によって、破壊(切断や開裂等)する部分である。
なお、異常燃焼は、燃焼室内のガス発生剤や点火手段室の点火薬が異常燃焼することであるから、脆弱部は過剰圧で破壊されることになる。
【0012】
点火手段室と燃焼室を連通するための伝火孔は、4〜10個と数が少ないため、穿孔作業も容易になり、伝火孔が形成された内筒周壁部の強度も維持することができる。
さらに伝火孔は脆弱部よりも高さ方向中央よりに形成できるため、燃焼室内のガス発生剤の着火性も損なわれることがない。
【0013】
本発明のガス発生器では、脆弱部の形成位置は、伝火孔とハウジング天井面までの間の周壁部であればよいが、ハウジング底面から天井面までの高さの80%超える高さの天井面側の周壁部であることが好ましい。
【0014】
本発明のガス発生器では、伝火孔は、ハウジング底面から天井面までの高さの50%を超える高さの天井面側の周壁部において、点火手段室と燃焼室を連通するため、周方向に1列当たり4〜8個が形成され(1列又は異なる高さ位置に2例以上形成することができる)、脆弱部は、ハウジング底面から天井面までの高さの80%超える高さの天井面側の周壁部に形成されているものにすることができる。
【0015】
脆弱部は、異常燃焼による過剰圧が加えられたときに優先的に破壊される部分であり、次のいずれかにすることができる。
(I)脆弱部が形成されていない周壁部よりも肉厚の薄い部分であり、内筒の周壁部の燃焼室側のみが薄くなっているもの。
(II)脆弱部が形成されていない周壁部よりも肉厚の薄い部分であり、内筒の周壁部の点火手段室側のみが薄くなっているもの。
(III)脆弱部が形成されていない周壁部よりも肉厚の薄い部分であり、内筒の周壁部の燃焼室側と点火手段室側の両方が薄くなっているもの。
(IV)(I)〜(III)のいずれかの薄肉部にすることで、前記薄肉部とハウジング天井面とを溶接するときの接触面積が小さくなり、溶接強度が低下された溶接部。
なお、周壁部の肉厚を薄くする方法としては、例えば切削加工を適用することができる。
【0016】
本発明のガス発生器は、内筒の形状とハウジング天井面との構造を組み合わせることで脆弱部を形成することもできる。
その1つとして、
内筒が、一端開口部側の端縁部において、軸方向に形成され、かつ周方向に交互に配列された複数の凹凸を有しているものであり、
ハウジング天井面が内側に突き出された円柱状凸部を有しており、
ハウジング天井面の円柱状凸部に内筒の凹凸を有する開口部が嵌め込まれ、内筒の凹部が円柱状凸部の外周面で閉塞されているものにすることができる。
この構造のガス発生器では、内筒の凸部はハウジング天井面に溶接固定されているが、内筒の凹部はハウジング天井面とは接触していないため、接触面積が小さいことから脆弱部となる。
【0017】
この構造のガス発生器では、正常な作動時においては、点火手段室で発生させた火炎等が伝火孔のみから放出される。
そして、異常作動時においては、内筒の凹凸の凸部がハウジング天井面から外れて、凹部と円柱状凸部との間に隙間が生じることで内部容積が増加される。
【0018】
また、他の1つとして、
内筒が、一端開口部側の端縁部において、軸方向に形成され、かつ周方向に交互に配列された複数の凹凸を有しているものであり、
ハウジング天井面が外側に突き出された円柱状凸部を有しており、
ハウジング天井面の円柱状凸部に内筒の凹凸を有する開口部が嵌め込まれ、内筒の凹部が円柱状凸部の内周面で閉塞されているものにすることができる。
この構造のガス発生器では、内筒の凸部はハウジング天井面に溶接固定されているが、内筒の凹部はハウジング天井面とは接触していないため、接触面積が小さいことから脆弱部となる。
【0019】
この構造のガス発生器では、正常な作動時においては、点火手段室で発生させた火炎等が伝火孔のみから放出される。
そして、異常作動時においては、内筒の凹凸の凸部がハウジング天井面から外れて、凹部と円柱状凸部との間に隙間が生じることで内部容積が増加される。