(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795265
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】ローカルブレイクアウト用のリンク層スイッチング
(51)【国際特許分類】
H04W 76/02 20090101AFI20150928BHJP
H04W 80/04 20090101ALI20150928BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20150928BHJP
H04W 92/08 20090101ALI20150928BHJP
【FI】
H04W76/02
H04W80/04
H04W84/10
H04W92/08 110
【請求項の数】20
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-548533(P2011-548533)
(86)(22)【出願日】2009年2月9日
(65)【公表番号】特表2012-517721(P2012-517721A)
(43)【公表日】2012年8月2日
(86)【国際出願番号】EP2009000885
(87)【国際公開番号】WO2010088926
(87)【国際公開日】20100812
【審査請求日】2011年10月7日
【審判番号】不服2014-151(P2014-151/J1)
【審判請求日】2014年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】513311642
【氏名又は名称】ノキア ソリューションズ アンド ネットワークス オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴェステリネン セッポ イルマリ
【合議体】
【審判長】
水野 恵雄
【審判官】
加藤 恵一
【審判官】
▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/132163(WO,A1)
【文献】
国際公開第2006/132503(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/125729(WO,A1)
【文献】
特開2006−333406(JP,A)
【文献】
特開2007−135076(JP,A)
【文献】
3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Services and System Aspects; General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E−UTRAN) access (Release 8),3GPP TS 23.401 V8.3.0 (2008−09),3GPP,2008年 9月
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
・端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクを設けて、ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)にアクセスできるようにするための無線インターフェイス手段(202)と、
・前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクをリンク層レベルでパケット交換ネットワークにスイッチして、前記アクセスのための接続点が前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)内に位置するようにするためのリンク層処理手段(204)と、
・前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)のための端末固有の終端点を提供するためのネットワークインターフェイス手段(206)と、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記リンク層処理手段(204)が、ハンドオーバ関連のセッション継続性を前記リンク層レベルで処理するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ユーザのダウンリンクトラフィックを、前記無線インターフェイス手段(202)を介して対応する端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクに転送するためにプロトコルルックアップを実行するためのネットワーク層処理手段(207)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記リンク層処理手段(204)が、ユーザのダウンリンクトラフィックを前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)から対応する端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクへ転送する決定を、割り当てられた端末固有のリンク層アドレスから導出するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、受信したアクセストラフィックを、前記ネットワークインターフェイス手段(205)を介して前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)に直接転送するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記無線インターフェイス手段(202)が、リンク層のフレーム情報を使用して無線送信をスケジュールするように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記リンク層処理手段(204)のためのスイッチング情報を、受信したリンク層ヘッダに基づいて導出するためのヘッダ処理手段(205)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ネットワークインターフェイス手段(206)が、前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)への端末固有のイーサネット(登録商標)インターフェイスをエミュレートするように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記リンク層処理手段(204)が、前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクへのユーザトラフィックのマッピングを前記リンク層レベルでリンク層アドレスに基づいて実行するように構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
マークの付いたユーザパケットを対応するリンク層サービスにマッピングすること、及びアプリケーション層のヘッダ圧縮及び暗号化を実行することの少なくとも一方を行うためのネットワーク層処理手段(207)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ネットワーク層処理手段(207)が、アプリケーション層アドレスをリンク層アドレスにマッピングすることに基づいて、前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクにトラフィックを転送するための決定を導出するように構成される、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
・端末装置(10)とセルラ基地局装置(20)との間に端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクを設けて、前記セルラ基地局装置(20)が位置しているローカルパケット交換ネットワーク(300、500)にアクセスできるようにするステップと、
・前記セルラ基地局装置(20)において前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクをリンク層レベルで前記ローカルパケット交換ネットワークにスイッチして、前記端末装置(10)のための接続点が前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)内に位置するようにするステップと、
・前記パケット交換ネットワーク(300、500)のための端末固有の終端点を前記ローカルセルラ基地局装置(20)に提供するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
アプリケーション層のルータ機能を、前記基地局装置(20)から前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)の外部ノードに分離するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ハンドオーバ関連のセッション継続性を前記リンク層レベルで処理するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ユーザのダウンリンクトラフィックを対応する端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクに転送するために、アプリケーション層プロトコルルックアップを実行するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記基地局装置(20)において端末固有のリンク層アドレスを割り当て、前記割り当てた端末固有のリンク層アドレスから、ユーザのダウンリンクトラフィックを転送する決定を導出するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記基地局装置(20)において、前記ローカルパケット交換ネットワーク(300、500)への端末固有のイーサネット(登録商標)インターフェイスをエミュレートするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基地局装置(20)において、前記リンク層レベルでリンク層アドレスに基づいて、前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクにユーザトラフィックをマッピングするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記基地局装置(20)において、マークの付いたアプリケーション層ユーザパケットを対応するリンク層サービスにマッピングするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項12から請求項18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータ装置上で実行された場合、請求項12から請求項19のいずれか1項に記載のステップを引き起こすためのコードを含む、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に限定されるわけではないが、ユニバーサル・モバイル・コミュニケーションズ・システム(UMTS)又はロングターム・エボリューション(LTE)又はローカルエリアネットワーク(LAN)ネットワークなどのパケット交換ネットワークにセルラアクセスネットワークを介してアクセスできるようにするための方法、装置、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)内、並びに通信事業者及びメーカー団体では、ホーム基地局、ホームNodeB、フェムトeNodeB(eNB)、又はその他のあらゆる種類のホームアクセス装置(以下、「HNB」と呼ぶ)の話題が広く議論されるようになってきた。HNBを自宅及びオフィスに導入すると、加入者が建物内で自身の既存のハンドセットを使用したときにカバレッジが大幅に改善され、ブロードバンド無線性能が大幅に増す。さらに、インターネットプロトコル(IP)ベースのアーキテクチャにより、事実上あらゆる環境においてブロードバンドインターネットサービスを展開して管理できるようになる。
【0003】
現在の標準化活動では、3G及びLTEを背景とするフェムト基地局の展開シナリオが、メーカー及び通信事業者の大きな関心を集めている。3GPP標準化活動の現状では、いくつかの作業部会によってHNBの展開が認められ、このようなHNBの展開に関する要件を掌握するための公式文書が起草されている。
【0004】
3GPP仕様書TS 22.220には、ホームベースのネットワークにおけるローカルIPアクセスについての記載があり、通信事業者のコアネットワークを介した通常のIPベースのサービスに加え、HNBからホームベースのネットワークへの又はインターネットへのローカルIPブレイクアウト(LBO)が提案されている。IPトラフィックのローカルブレイクアウト(「経路最適化」とも呼ばれる)を可能にすることで、エンドツーエンドの経路を短縮すること、及び(もともと高品質のサービスを提供している)比較的高価なIP基幹回線上の負荷を低減することの両方が可能になる。
【0005】
ローカルIPアクセスは、HNB内でユーザのローカルIPトラフィックを差別化することを目的としており、このためホームベースのネットワークに接続されたIP装置へ/からのローカルIPトラフィックが最短経路で転送されて、ホームベースのネットワークの外部を通過しない(すなわち、イントラネットトラフィックのままである)ようになる。さらに、インターネットへのローカルIPアクセストラフィックは、必ずしも通信事業者の進化型パケットコア(EPC)を通過するとは限らず、すなわちインターネットトラフィックは、基地局にとってローカルなゲートウェイを介してインターネットとの間で転送又は受信され、通信事業者のコアノードを通過する必要はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在の3GPP仕様及び寄稿書では、ホームベースのネットワーク又はインターネットへのローカルブレイクアウトを実施するために、汎用パケット無線サービス(GPRS)ゲートウェイサポートノード(GGSN)又は別の種類のゲートウェイ機能をHNBに統合することを提案している。しかしながら、ローカルIPアクセスのためのローカルゲートウェイをHNBに実装するには、(トンネリング、課金、ホームエージェントなどの)多くのゲートウェイ機能を組み込む必要があるため、複雑性及び処理負荷が増し、無線アクセスネットワーク(RAN)とコアネットワークとの間の合意済みの分割が反故になる。さらに、ゲートウェイ装置は、3GPPが規定するベアラサービスに/からユーザトラフィックをルーティングするためにIPルックアップを実行するIPルータとしてモデル化されている。従って、HNB内のGGSN様のIPルータ機能でローカルブレイクアウトを行った場合、あらゆる種類のHNB間ハンドオーバによってGGSNが変更され、従ってセル再選択手順を使用する必要があるという不都合が生じる。言換すれば、HNB内のローカルゲートウェイ機能をIPルータとしてモデル化すると、サービスを受ける側の(ユーザ装置(UE)などの)端末装置を現在のHNBに接続したときにしかIPモビリティ及びセッション継続性が機能しないように制限されるようになる。これにより、例えばローカルエリア内の複数のセル又は基地局を通じてローカルIPアクセスを行うことができるオフィス又はキャンパス内などのローカルエリアのシナリオでは深刻な制限が生じるようになる。
【0007】
とりわけ、基地局装置内に単純化したゲートウェイ機能を提供し、インターフェイスの変更を最小限に抑えてゲートウェイ管理をローカルに処理できるようにすることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、
・端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクを設けて、セルラアクセスネットワークを介してパケット交換ネットワークにアクセスできるようにするための無線インターフェイス手段と、
・前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクをリンク層レベルでパケット交換ネットワークにスイッチして、前記アクセスのための接続点が前記パケット交換ネットワーク内に位置するようにするためのリンク層処理手段と、
・前記パケット交換ネットワークのための端末固有の終端点を提供するためのネットワークインターフェイス手段と、
を含む装置により達成される。
【0009】
さらに、上記目的は、
・端末装置とセルラ基地局装置との間に端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクを設けて、セルラアクセスネットワークを介してパケット交換ネットワークにアクセスできるようにするステップと、
・前記セルラ基地局装置における前記端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクをリンク層レベルで前記パケット交換ネットワークにスイッチして、前記端末装置のための接続点が前記パケット交換ネットワーク内に位置するようにするステップと、
・前記パケット交換ネットワークのための端末固有の終端点を前記セルラ基地局装置に提供するステップと、
を含む方法により達成される。
【0010】
また、上記目的は、いずれのソフトウェア制御の装置であってもよいコンピュータ装置上で実行されたときに上記方法ステップを引き起こすためのコード手段を含むコンピュータプログラム製品により達成される。このコンピュータプログラム製品は、ネットワークシステムからダウンロードできる、又はコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されるソフトウェアルーチンとすることができる。
【0011】
従って、(HNBなどの)基地局装置に(L2スイッチなどの)リンク層スイッチ手段又は機能を設けた場合、このアーキテクチャでは、ルーティングプロトコルを実行したりルータ通知などを行ったりする必要が全くないので、ゲートウェイ又はルータ機能と比較してアーキテクチャを大幅に単純化することができる。アップリンク方向では、基地局装置は、(ローカルアクセスネットワークなどの)パケット交換ネットワーク内の基地局装置のネットワークインターフェイスにローカルアクセストラフィックを直接転送するだけである。基地局装置では、トンネリングプロトコルもその他の種類のトンネリング手順も全く必要ない。提案するスイッチ手段又は機能はリンク層のブリッジ機能とみなすことができるため、物理的な基地局装置からルーティング又はルータ機能を分離して外部ノードへ移せるようになるとともに、(LANなどの)同じパケット交換ネットワークに複数の基地局装置を接続できるようになる。端末装置は、同じサブネットに接続された全ての基地局装置のローカルアクセスサービスに同じネットワークアドレスを使用することができる。このことは、同じサブネット内で基地局間ハンドオーバを行う際に、セッション継続性のあるモビリティを単純にリンク層で処理できることを意味する。
【0012】
提案するパケット交換ネットワークへのアクセスリンクとポイントツーポイント無線リンクとの間の単純なリンク層スイッチ又はブリッジ機能により、基地局装置での(L3処理などの)ネットワーク層の処理を省略することができるので、基地局装置で必要とされる処理能力が少なくて済む。
【0013】
リンク層処理手段は、ハンドオーバに関連するセッション継続性をリンク層レベルで処理するように構成することができる。
【0014】
さらに、ユーザのダウンリンクトラフィックを、対応する端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクへ無線インターフェイス手段を介して転送するためにネットワーク層プロトコルルックアップを行うためのネットワーク層処理手段を提供することができる。
【0015】
これに加えて、或いはこれとは別に、ユーザのダウンリンクトラフィックをパケット交換ネットワークから対応する端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクへ転送する決定を、割り当てられた端末固有のリンク層アドレスから導出するようにリンク層処理手段を構成することができる。
【0016】
装置は、受信したアクセストラフィックを、ネットワークインターフェイス手段を介してパケット交換ネットワークへ直接転送するようにさらに構成することができる。
【0017】
無線送信のスケジューリングは、リンク層のフレーム情報を使用することにより無線インターフェイス手段によって行うことができる。
【0018】
また、受信したリンク層ヘッダに基づいてリンク層処理手段のためのスイッチング情報を導出するためのヘッダ処理手段を提供することもできる。
【0019】
特定の例では、ネットワークインターフェイス手段を、パケット交換ネットワークへの端末固有のイーサネット(登録商標)インターフェイスをエミュレートするように構成することができる。
【0020】
リンク層処理手段は、リンク層レベルでリンク層アドレスに基づいて、ユーザトラフィックの端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクへのマッピングを行うようにさらに構成することができる。
【0021】
また、マークの付いたネットワーク層ユーザパケットを対応するリンク層サービスにマッピングすること、及びアプリケーション層のヘッダ圧縮及び暗号化を実行することの少なくとも一方のためにネットワーク層処理手段を提供することができる。より具体的には、ネットワーク層処理手段を、アプリケーション層アドレスをリンク層アドレスにマッピングすることに基づいて、端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクにトラフィックを転送するための決定を導出するように構成することができる。
【0022】
その他の有利な変更点については従属クレームで定義する。
【0023】
添付図面を参照しながら、本発明を実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】いくつかの実施形態による、リンク層スイッチ機能を含むHNBを有する概略的なネットワークアーキテクチャを示す図である。
【
図2】第1の実施形態による、関連するネットワーク要素のより詳細なアーキテクチャを示す図である。
【
図3】第2の実施形態による、関連するネットワーク要素のより詳細なアーキテクチャを示す図である。
【
図4】第1の実施形態による、ブリッジ機能の概略ブロック図である。
【
図5】第2の実施形態による、ブリッジ機能の概略ブロック図である。
【
図6】第3の実施形態による、ソフトウェアベースの実施構成の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、限定的ではなく例示的なLTEネットワークアーキテクチャに基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0026】
図1は、建物内などの加入者の家庭環境においてゲートウェイ機能を低減し、通信事業者のコアネットワーク(CN)600、IPネットワーク500、及びアクセスルータ(AR)30を含むホームベースのLAN300に接続された少なくとも1つのHNB20を含む概略的なネットワークアーキテクチャを示している。HNB20は、IPトラフィックを、CN600を介さずにIPネットワーク500又はLAN300に直接スイッチするためのIPスイッチ(IP−SW)220を含む。従って、IPスイッチ220は、ローカルIPトラフィック(L−IP−T)とその他のIPトラフィック(IP−T)とのLBOのためのゲートウェイ機能を提供するように機能する。IPトラフィックは、無線インターフェイスを介してHNB20に無線接続されたUE10で発生し又は終了することができる。
【0027】
HNB20内の3GPP仕様の無線インターフェイスは、UE固有のコネクション型ポイントツーポイントリンク(すなわち、ベアラサービス)に基づいてユーザプレーンに作用し、すなわちUE10とHNB20の間の無線リンクは、同報送信に対応することができない。
【0028】
無線インターフェイスを介したコネクション型ポイントツーポイントリンクにより、UE10の制御下で近隣探索機能を実行することはできない。このため、UE10のサービングHNB20が、LAN300及びIPネットワーク500へのインターフェイスを含み、これがLAN300及びIPネットワーク500からのUE10の終端点を提供する。
【0029】
従って、いくつかの実施形態によれば、従来のゲートウェイソリューションの場合のように、ローカルIPアクセス(又はLBO)サービスのためにHNB20内に完全なIPルータ機能を実現する代わりに、HNB20のゲートウェイ機能を単純化して、LAN300(ホームベースのネットワーク)又はIPネットワーク500と、無線インターフェイスを介したUE固有のポイントツーポイントリンク(ベアラサービス)との間のユーザIPトラフィックのスイッチ又はブリッジ機能として動作するようにすることができる。このスイッチ又はブリッジ機能は、IP認識機能とすることができ、すなわち、このIPスイッチ220により提供される機能が、LAN300及びIPネットワーク500への「UEプロキシ」として振る舞うことにより、UE10がIPアドレスを割り当てるのを支援して近隣探索機能をサポートするだけでなく、UE10に対するリンク層モビリティを透過的に実行してローカルIPアクセスサービスエリア内で何らかのIPモビリティ機構を使用する必要性を排除すべく機能するようにすることもできる。
【0030】
開放型システム間相互接続参照モデル(OSIモデル)によれば、ネットワークアーキテクチャは7つの層に分割され、上位から下位へ、アプリケーション層、プレゼンテーション層、セッション層、トランスポート層、ネットワーク層、リンク層(又はデータリンク層)、及び物理層というように指定されている。層とは、上位の層にサービスを提供して下位の層からサービスを受ける概念上同様の機能の集合とみなすことができる。例えば、ネットワークを越えてエラーのない通信を提供する層は、その上位のアプリケーションが必要とするパスを提供する一方で、次の下位層を呼び出して、パスの内容を構成するパケットを送受信する。
【0031】
本実施形態では、リンク層(「L2」とも呼ぶ)レベルとネットワーク層(「L3」とも呼ぶ)レベルを区別する。ネットワーク層は、送信元から宛先へ1又はそれ以上のネットワークを介して可変長のデータシーケンスを転送する機能的及び手順的手段を提供する一方で、トランスポート層により要求されるサービス品質を維持する。ネットワーク層は、ネットワークルーティング機能を実行するとともに、断片化及び再構築を実行して配信エラーを報告することもできる。ルータはこの層で動作し、拡張されたネットワークを通じてデータを送信してインターネットを可能にする。ネットワーク層プロトコルすなわちL3プロトコルの周知例にはインターネットプロトコル(IP)がある。このプロトコルは、エンドシステムから入口ルータへ、ルータからルータへ、及び出口ルータから宛先エンドシステムへ一度に1ホップずつデータのコネクションレス型転送を行うことを管理する。このプロトコルは、ネクストホップへの信頼性の高い配信に関与することはなく、エラーのあるパケットを検出してこれらを破棄又は訂正できるようにすることにのみ関与する。ネクストホップの媒体がパケットを現在の長さで受け入れることができない場合、IPが、媒体が受け入れできる十分に小さなパケットにパケットを断片化する役割を担う。
【0032】
(データ)リンク層(L2)は、ネットワークエンティティ間でデータを転送するための、及び物理層(「L1」とも呼ばれる)で発生し得るエラーを検出して、可能な場合これを訂正するための機能的及び手順的手段を提供する。元来、この層は、電話システムの広域媒体に典型的なポイントツーポイント媒体及びポイントツーマルチポイント媒体を対象としていた。コネクション型広域ネットワーク(WAN)のデータリンクプロトコルは、フレーミングに加え、エラーを検出して訂正することができる。これらのプロトコルは、送信レートを制御することもできる。さらに、LANは、フレームベースのコンピュータネットワーキング技術群であるイーサネット(登録商標)仕様に基づく。この名前は、「エーテル」の物理的概念に由来する。イーサネット(登録商標)では、媒体アクセス制御(MAC)層におけるネットワークアクセス手段を通じて、OSIネットワーキングモデルの物理層のための数多くのワイヤリング及びシグナリング規格が定められるとともに、共通アドレッシングフォーマットが定められる。イーサネット(登録商標)は、IEEE 802.3として標準化されている。
【0033】
提案するIPスイッチ220をHNB20のユーザプレーンインターフェイス内に提供し、LAN300及びIPネットワーク500の立場から見た(L2スイッチなどの)リンク層スイッチとして実現することができる。このことは、UE10又はHNB20の立場からすれば、これらのローカルIP接続点が、HNB20から見た外部ネクストホップルータ内に配置されることを意味する。ホーム又はローカルエリアネットワーク(オフィス、キャンパスなど)としてのLAN300では、このネクストホップルータを、別個のデジタル加入者回線(DSL)ルータボックス内などに設けられた、外部ネットワークへのデフォルトゲートウェイとすることができる。或いは、IPネットワーク500の場合、これをインターネットサービスプロバイダ(ISP)ネットワーク内の最も近いIPルータとすることができる。
【0034】
IP認識ブリッジ又はスイッチ機能をIPスイッチ220内で実現する場合、HNB20は、無線インターフェイスを介して対応するUE固有のベアラサービス(すなわち、ポイントツーポイントリンク)へユーザのダウンリンクトラフィックを転送するためにIPルックアップを実行することができる。IP認識ブリッジ又はスイッチ機能を実現するための別の代替例として、IPスイッチ220を無線L2スイッチとしてモデル化することができる。この場合、以下で説明するように、ユーザのローカルIPトラフィックをLAN300又はIPネットワーク500から対応するUE固有のベアラサービスへ転送する決定を、(イーサネット(登録商標)MACアドレスなどの)UE固有のリンク層アドレスに基づいて行うことができる。
【0035】
従って、提案するHNB20内のIPスイッチ220は、IPルーティングプロトコルを実行したりルータ通知などを行ったりする必要がないという利点をもたらす。アップリンク方向では、HNB20は、LAN300又はIPネットワーク500内の自己のネットワークインターフェイスへローカルIPアクセストラフィックを単純に直接転送し、いずれのトンネリングプロトコル又はその他のIPトンネリングも必要としない。
【0036】
LAN300又はIPネットワーク500内に(プロキシモバイルIP内のホームエージェントなどの)いずれのモビリティエージェントノードも必要とすることなく、同じローカルエリアに接続された複数のHNB又はその他の種類の基地局間のIPセッション継続性をサポートするローカルIPアクセスサービスから、IPスイッチ220を含む提案するHNB20の利点を認識することができる。
【0037】
図2は、ホームベースのLAN300又はIPネットワーク500へのLBO動作に関与するネットワーク要素のプロトコル関連アーキテクチャの概略ブロック図である。
図2のブロック図は、上記OSIモデルに基づくものであり、上位のプロトコル層に関する構成要素を下位のプロトコルレベルに関する構成要素の上に示している。
【0038】
図2の処理ブロック間の関係から推測できるように、UE10、及びLAN300又はIPネットワーク500又はこれらの背後にあるコレスポンデントノード(CoN)40は、最上位のプロトコルレベル(アプリケーションプロトコル)で互いに直接通信し、下位のプロトコルレベルは、この直接通信のための様々なレベル及び種類のサポートを提供する。関連するその他のネットワーク要素、すなわちHNB20及びアクセスルータ30への及びこれらの間の下位レベルの通信が存在する。HNB20とUE10の間にはポイントツーポイント無線リンクが提供され、HNB20とアクセスルータ30の間には同報アクセスリンクが確立される。
【0039】
UE10におけるプロトコルスタックは、上位から下位へ、エンドツーエンドアプリケーション12、端末制御機能14、無線リソース制御(RRC)機能15、IPバージョン4(IPv4)及び/又はIPバージョン6(IPv6)機能16、パケットデータ制御プロトコル(PDCP)機能11、無線リンク制御(RLC)及び/又はMAC機能17、及び無線(L1)機能18を含む。
【0040】
HNB20は、上位から下位へ、分離した基地局無線インターフェイス部分と基地局ネットワークインターフェイス部分とを接続する基地局制御機能22を含む。基地局無線インターフェイス部分は、上位から下位へ、RRC機能25、ブリッジ機能223、PDCP機能21、RLC/MAC機能27、及び無線L1機能28を含む。基地局ネットワークインターフェイス部分は、上位から下位へ、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)及び/又は送信制御プロトコル(TCP)及び/又はシンプルコンピュータテレフォニープロトコル(SCTP)機能24を含む。
【0041】
第1の実施形態によれば、ブリッジ機能234が、リンク層スイッチ又はブリッジ機能を提供することにより、基地局無線インターフェイス部分と基地局ネットワークインターフェイス部分とをブリッジする。また、基地局ネットワークインターフェイス部分は、IPv4/IPv6及び/又はインターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)機能26、データリンク層機能29、及び物理層機能210も含む。アクセスルータ30におけるプロトコルスタックは、アクセスルータ制御機能32、UDP/TCP/SCTP機能34、IPv4/IPv6/ICMP機能33、IPルーティング及び転送機能36、及び両インターフェイス側にそれぞれのデータリンク層及び物理層機能39、38、及び35、310を含む。
【0042】
最後に、コレスポンデントノード40は、UE10におけるそれぞれのエンドツーエンドアプリケーション機能12と通信するエンドツーエンドアプリケーション機能42、IPv4/IPv6機能46、データリンク層機能49、及び物理層機能48を含む。
【0043】
説明を簡潔にするために、上記の全てのプロトコル機能の処理及び目的の詳細については省略する。
【0044】
図2の第1の実施形態では、ポイントツーポイント無線リンクの無線インターフェイスが、IPサービスの途切れないモビリティ及びサービス品質を最小限の待ち時間でサポートするように設計された進化型パケットシステム(EPS)ベアラモデルに従うと仮定する。かつてのネットワークアーキテクチャと比較すると、無線ネットワークコントローラ(RNC)がデータパスから削除され、この機能がHNB20内に組み込まれて、遅延を低減しネットワーク性能を最適化する。
【0045】
HNB20は、同報通信対応媒体としてLAN300又はIPネットワーク500に物理的に接続する。無線インターフェイス部分の無線リンクとネットワークインターフェイス部分のアクセスリンクとの間のブリッジ機能232は、サービスを受ける側のUEにローカルIPアクセスサービスを提供するための最低限の3GPP標準ゲートウェイ機能セットを実装するように構成することができる。ローカルIPアクセスサービスのためのEPSベアラ処理は、UEが要求する修正済みのパケットデータネットワーク接続手順を用いてアクセスポイントプロトコルを介して処理できるので、これらのローカルゲートウェイ機能は、HNB20内の仮想ゲートウェイ機能とみなすことができる。
【0046】
従って、第1の実施形態では、無線インターフェイスを介してポイントツーポイント無線リンクを使用する点を除き、HNB20内のローカルゲートウェイ機能を、単純な無線LAN(WLAN)アクセスポイントに類似する無線L2スイッチとして実現することができる。従って、ローカルゲートウェイ機能をリンク層すなわちL2装置として実現して、1又はそれ以上のHNBを、ホームイーサネット(登録商標)LANなどのL2スイッチされたネットワークで構成される1つのIPサブネットに接続できるようにすることができる。
【0047】
HNB20内の仮想ローカルゲートウェイは、アクセスルータ30へのアクセスリンクとUE10へのポイントツーポイント無線リンクとの間の単純なリンク層すなわちL2ブリッジ又はスイッチ機能を提供する。従って、ブリッジ機能232内のネットワーク層すなわちL3処理を省略することができるので、ブリッジ機能232がHNB20内で必要とする処理能力が少なくて済む。このソリューションにより、ローカルIPアクセスに専用EPSベアラを使用してUE10内で通常の3GPP IPスタックを実現できるようになる。さらに、提案するHNB20をLAN300に接続するために「市販の」アクセスルータ30を修正する必要はない。デフォルトゲートウェイとしてのアクセスルータ30は、LAN300内でパケットルーティング及び近隣探索を行うための標準アクセスルータとして振る舞う。
【0048】
提案する縮小したローカルゲートウェイ機能では、1つのアクセスルータが、同じリンクに接続された複数のHNBにサービスを提供することができる。現在では、これらのHNB間のHNB間ハンドオーバをリンク層(L2)で処理することができ、伝送問題には安価なL2スイッチを使用することができる。これには、既存のアーキテクチャを使用できるという理由で利点がある。ブリッジ機能232を使用して、UE10、HNB20、及びアクセスルータ30の間の無線リンク及びアクセスリンクをともに接続し、WLANアクセスポイントに類似するアクセスルータ30へのイーサネット(登録商標)接続をエミュレートすることができる。
【0049】
一例として、Open Base Station Architecture Initiative(OBSAI)対応製品を使用してHNB20を実現することができる。関与する基地局は、提案するブリッジ機能232、234を実現できるようにするためのリンク層(L2)スイッチ伝送インターフェイスを含むだけでよい。
【0050】
図3は、第2の実施形態による、
図2と同様のプロトコルアーキテクチャの概略ブロック図である。ここでは、HNB20のローカルゲートウェイを無線IP認識L2スイッチとして構成して、上位層におけるユーザトラフィックを認知するより知的なL2装置を提供する。しかしながら、別個のアクセスルータ30におけるネットワーク層(L3)とリンク層(L2)との間の機能分割を明確にすることで、L2スイッチされたネットワークで構成される1つのIPサブネットに(HNBなどの)1又はそれ以上のアクセスポイントを接続することが依然として可能となる。
【0051】
図3から推測できるように、現在、ブリッジ機能234はIPv4/IPv6/ICMP機能26に接続しており、これが次にリンク層のデータリンク層機能29に接続する。これにより、上位層におけるユーザトラフィックを認知できるようになる。
【0052】
ここでも、HNB20をLAN300に接続するために「市販の」アクセスルータ30を修正する必要はない。UE10がポイントツーポイント無線リンクを介して近隣探索手順を実行する必要がない場合、HNB20は、UE10のアクセスルータ30へのイーサネット(登録商標)接続をプロキシすることができる。無線リンク及びアクセスリンクは、異なるリンク層アドレス指定スキームを使用することができ、これにより無線リンクを介してイーサネット(登録商標)フレームを送信する必要がないという利点が得られる。さらに、HNB20のイーサネット(登録商標)MACアドレスにマップされるUE固有のIPアドレスに基づいて、アクセスリンクから無線リンクへ転送を行う決定を制御できることにより、中間にあるL2スイッチで必要とされる転送テーブルの入力が少なくて済む。
【0053】
この場合も、OBSAI対応製品を使用して、第2の実施形態によるHNB20を実現することができる。対応する基地局は、基地局のアクセスリンクに統合されたL2スイッチ伝送インターフェイスを含むことができる。
【0054】
以下、
図4及び
図5に基づき、第1及び第2の実施形態のブリッジ機能についてより詳細に説明する。
【0055】
図4は、第1の実施形態によるHNB20のブリッジ機能232により提供される機能の概略ブロック図である。図示の無線インターフェイス(RI)機能202及びネットワークインターフェイス(NI)機能206は、HNB20の基地局無線インターフェイス部分及び基地局ネットワークインターフェイス部分を相互接続するブリッジ機能232の同じ部分に対応する。また、ブリッジ機能232は、リンク層すなわちL2処理機能(L2−P)204及びリンク層すなわちL2ヘッダ処理機能(L2−HP)205を含む。無線インターフェイス機能202は、L2パケットの境界(リンク層フレーム)を検出するように構成され、従って無線インターフェイスを介して送信を行うためにスケジューリングアルゴリズム内でこの情報を使用することができる。
【0056】
ブリッジ又はスイッチ機能を実現するために、L2ヘッダ処理機能205は、L2ヘッダを抽出して、ブリッジングに無線L2スイッチ機能を提供するように処理する。ネットワークインターフェイス機能206は、LAN300へのUEイーサネット(登録商標)インターフェイスをエミュレートするように機能するのに対し、無線インターフェイス機能202は、ポイントツーポイント無線リンクを介してイーサネット(登録商標)フレームを除去することができる。レイヤ2処理機能204は、L2ヘッダ処理機能205によって提供されたリンク層アドレスに基づいて、LBOのためにユーザトラフィックをEPSベアラサービスにマッピングする。また、HNB20のUE10へのプロキシ機能を、L2処理機能204がイーサネット(登録商標)MACアドレスなどのUE固有のリンク層アドレス(LLA)をネットワークインターフェイス機能206に割り当てることによって実現できるため、L2処理機能204でのブリッジ決定においてIPルックアップを行う必要がない。
【0057】
また、無線インターフェイス機能202又はL2処理機能204を、UE近隣探索手順を同報通信機能でフィルタ処理するように構成することができる。同様に、ポイントツーポイント無線リンクを介してICMP同報メッセージをフィルタ処理することができる。
【0058】
HNB20及びUE10から見たネクストホップルータが複数のルータホップの背後に位置する場合、提案するブリッジ機能232の導入による変更では、ネットワーク制御による高速/シームレスなハンドオーバにおけるL2からL3への相互作用(現在のICMPv6に対するNETLMM拡張など)に新規のローカルIPモビリティプロトコルが必要となる場合がある。
【0059】
図5は、第2の実施形態によるブリッジ機能234において提供される個々の機能の概略ブロック図である。
【0060】
図4に関連して説明した機能に加え、ネットワーク層(L3)処理機能(L3−P)207が提供されるとともに、ヘッダ処理機能がL2及びL3ヘッダ処理機能(L2/3−HP)208に拡張されている。
【0061】
強化されたヘッダ処理機能208及びL3処理機能207は、ブリッジ機能におけるL3認知を可能にして、ユーザのDiffserv(すなわち、差別化したサービス)マークが付いたパケットを無線インターフェイス内の対応するリンク層サービス(EPSベアラなど)にマップし、及び/又はPDCPプロトコルに基づいてIPヘッダの圧縮及び暗号化を行うように提供される。さらに、PDCP機能21、及びHNB20の無線リンク関連スタックのRLC/MAC機能27にIPパケットの境界を認識させることができ、無線インターフェイスを介して送信を行うために、(ボイス・オーバーIP(VoIP)の検出などの)サービスフローが、この情報をスケジューリングアルゴリズム内で使用することができる。
【0062】
第2の実施形態によるHNB20は、(NETLMMなどのための)ローカルIPモビリティの拡張を実現することができ、これをUE10から隠すことができる。HNB20は、L3処理機能207及び/又はL2/3ヘッダ処理機能208における対応する機能によりIPv4/v6の相互作用をさらに実現することができる。これにより、ローカルIPアドレスがUE10に見えるので、UE10におけるIPスタックに標準EPSベアラモデルを使用できるという利点が得られる。
【0063】
強化されたL2/3ヘッダ処理機能208を提供して、UE10とアクセスルータ30との間でヘッダ圧縮を実施することができる。
【0064】
LAN300では、アクセスリンクにおいて(イーサネット(登録商標)MACアドレスなどの)LLAを使用してユーザのIPトラフィックを伝送すると考えられるので、L2処理機能204によるアクセスリンクから無線ポイントツーポイントリンクへの転送の決定をIPルックアップに基づいて行うことができるが、これにはHNB20における部分的IPルータスタックの実現が必要となる場合がある。
【0065】
この場合も、HNB20及びUE10から見たネクストホップルータが複数のルータホップの背後に位置する場合、ネットワーク制御による高速/シームレスなハンドオーバにおけるL2からL3への相互作用に新規のローカルIPモビリティプロトコルが必要となる場合がある。
【0066】
図6は、第3の実施形態による代替のソフトウェアベースの実施構成の概略ブロック図である。処理ユニット410を含むあらゆる基地局タイプのネットワークエンティティ400において必要な機能を実現することができ、この処理ユニット410は、メモリ412に記憶された制御プログラムのソフトウェアルーチンに基づいて制御を行う制御ユニットを含むいずれのプロセッサ又はコンピュータ装置であってもよい。制御プログラムは、コンピュータ可読媒体上に個別に記憶することもできる。
図2〜
図5に関して説明した、上述したソフトウェアルーチンとして実現できる装置固有の機能の処理ステップを実行するために、メモリ412からプログラムコード命令をフェッチして、これを処理ユニット410の制御ユニットにロードする。これらの処理ステップは入力データDIに基づいて実行することができ、またこれらの処理ステップにより出力データDOを生成することができる。HNB20を介したアップリンクトラフィックの場合、入力データDIは、UE10からポイントツーポイント無線リンクを介して受信するIPトラフィックに対応し、出力データDOは、同報アクセスリンクを介して送信されるLBO IPトラフィックに対応することができる。ダウンリンクトラフィックでは状況が逆になる。
【0067】
従って、HNB20の上記第1及び第2の実施形態の機能をHNB20又はその他の対応する基地局のそれぞれのエンティティ又はアクセス装置エンティティのコンピュータ装置又はデータプロセッサ上で実行した場合、これらの機能を、それぞれのエンティティ又は機能の処理及び/又はシグナリング手順の各個々のステップを引き起こすためのコード手段を含むコンピュータプログラム製品として実現することができる。
【0068】
要約すれば、本発明は、セルラアクセスネットワークを介してパケット交換ネットワークにアクセスできるようにするための方法、装置、及びコンピュータプログラム製品に関し、(UEなどの)端末装置と(HNB20などの)セルラ基地局装置との間に端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクを設け、セルラ基地局装置において端末固有のコネクション型ポイントツーポイントリンクをリンク層レベルでパケット交換ネットワークにスイッチして、端末装置のための接続点がパケット交換ネットワーク内に位置するようにする。さらに、パケット交換ネットワークのための端末固有の終端点をセルラ基地局装置に提供する。
【0069】
本発明をあらゆるサービス及びネットワーク環境に容易に拡張して、端末装置からパケット交換ネットワークの同報アクセスリンクへの無線リンクのブリッジに基地局タイプの装置又はアクセス装置を使用できるようになることが明らかである。提案する実施形態は、無線ネットワーク内に展開されるあらゆる基地局装置に関連して実施することができる。従って、添付の特許請求の範囲内で実施形態を変更することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 ユーザ装置(UE)
20 ホーム基地局(HNB)
30 アクセスルータ
220 IPスイッチ
300 ローカルエリアネットワーク(LAN)
500 IPネットワーク
600 コアネットワーク(CN)