特許第5795272号(P5795272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795272
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】セラミックス素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/12 20060101AFI20150928BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20150928BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H01G4/12 364
   H01G13/00 351B
   H01G13/00 351A
   H01G4/30 311F
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-23262(P2012-23262)
(22)【出願日】2012年2月6日
(65)【公開番号】特開2013-161971(P2013-161971A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植谷 政之
(72)【発明者】
【氏名】賀來 健
(72)【発明者】
【氏名】大西 孝生
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−118755(JP,A)
【文献】 特開2007−103757(JP,A)
【文献】 特開平04−291712(JP,A)
【文献】 特開2005−347508(JP,A)
【文献】 特開2007−180383(JP,A)
【文献】 特開2008−166493(JP,A)
【文献】 特開2010−147402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/12
H01G 4/30
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス素子の製造方法であって、
複数の貫通孔が形成されているとともに加熱によって粘着力が低下する第1粘着シートに対して各貫通孔を塞ぐように貼り付けられた複数のセラミックス基板を、各貫通孔を介して吸引しながら、第1粘着シートを加熱する加熱ステップと、
加熱ステップから継続して各貫通孔を介して各セラミックス基板を吸引しながら、各セラミックス基板の第1粘着シートに対して反対側の表面に、第2粘着シートを貼り付ける貼付ステップと、
各セラミックス基板の吸引を停止した後に、第1粘着シートを各セラミックス基板から剥離する剥離ステップ、
を有する製造方法。
【請求項2】
第1粘着シートに貼り付けられた状態の1つのセラミックス基板を第1粘着シートに対して垂直に見た場合に、そのセラミックス基板の面積に対するそのセラミックス基板に塞がれている貫通孔の面積の割合が、15%以上であり、かつ、50%以下である請求項1の製造方法。
【請求項3】
セラミックス基板の最も薄い部分の厚みが、0.2mm以下である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
加熱ステップ及び貼付ステップでは、多孔質の吸着パッドを複数の貫通孔を覆うように第1粘着シートに接触させ、吸着パッドの内部の空孔を介して各セラミックス基板を吸引する請求項1〜3の何れか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、セラミックス素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子等のセラミックス素子の製造工程において、複数のセラミックス基板を粘着シートに貼り付けて扱うことが一般的に知られている。また、複数のセラミックス基板を、粘着シートから別の粘着シートに転写することがある。例えば、特許文献1には、電子部品を、粘着シートから別の粘着シートに転写する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−088068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セラミックス基板を粘着シート(以下、第1粘着シートという)から別の粘着シート(以下、第2粘着シートという)に転写する従来の技術では、以下のように転写が行われる。従来の技術では、第1粘着シートに、熱発泡シート等のように加熱により粘着力が低下する粘着シートが用いられる。第2粘着シートには、種々の粘着シートが用いられる。第2粘着シートが、第1粘着シートと同様に、加熱により粘着力が低下する粘着シートであってもよい。従来の技術では、第1粘着シートに貼り付けられている複数のセラミックス基板の第1粘着シートに対して反対側の表面に、第2粘着シートを貼り付ける。そして、第1粘着シートを加熱する。これによって、第1粘着シートの粘着力を低下させる。その後、第1粘着シートをセラミックス基板から剥離する。これによって、第1粘着シートから第2粘着シートへ複数のセラミックス基板が転写される。
【0005】
しかしながら、近年においては、セラミックス基板が極めて薄くなってきている。上述した従来の技術によって薄いセラミックス基板を第1粘着シートから第2粘着シート転写しようとすると、セラミックス基板が薄いために、第1粘着シートを加熱する際に第2粘着シートにまで熱が伝わる。その結果、第2粘着シートが熱変形してしまい、複数のセラミックス基板を精度よく第2粘着シートに転写することができない。すなわち、転写の前後で、複数のセラミックス基板の配列(ピッチ等)が変化してしまう。
【0006】
また、加熱により粘着力が低下する粘着シートに代えて、紫外線の照射により粘着力が低下する粘着シートを第1粘着シートとして用いる転写方法も存在する。しかしながら、このタイプの粘着シートは、紫外線を照射した後でも粘着力が無くなることは無く、ある程度の粘着力が残る。このため、第1粘着シートを剥離するときに、第1粘着シート側からセラミックス基板を突き上げピンで突き上げることで、第1粘着シートとセラミックス基板の接触面積を小さくした状態で、第1粘着シートからセラミックス基板を剥離する。この時、突き上げピンによって第2粘着シートまで変形してしまい、転写の前後で、複数のセラミックス基板の配列が変化してしまう。また、セラミックス基板にクラックが入るという問題がある。薄いセラミックス基板を用いる場合には、紫外線の照射により粘着力が低下する粘着シートを第1粘着シートとして用いることは難しい。
【0007】
したがって、本明細書では、加熱により粘着力が低下する粘着シートを用いて、精度よく複数のセラミックス基板を転写することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書が開示するセラミックス素子の製造方法は、加熱ステップと、貼付ステップと、剥離ステップを有する。加熱ステップでは、複数の貫通孔が形成されているとともに加熱によって粘着力が低下する第1粘着シートに対して各貫通孔を塞ぐように貼り付けられた複数のセラミックス基板を、各貫通孔を介して吸引しながら、第1粘着シートを加熱する。貼付ステップでは、加熱ステップから継続して各貫通孔を介して各セラミックス基板を吸引しながら、各セラミックス基板の第1粘着シートに対して反対側の表面に、第2粘着シートを貼り付ける。剥離ステップでは、各セラミックス基板の吸引を停止した後に、第1粘着シートを各セラミックス基板から剥離する。
【0009】
なお、セラミックス基板は、セラミックス製の基材を有する基板を意味する。したがって、セラミックス基板が、セラミックス製の基材のみによって構成されたものであってもよいし、セラミックス製の基材に他の材料の部材(例えば、電極、保護膜等)が付加されたものであってもよい。また、セラミックス基板が、セラミックス素子そのものであってもよい。
【0010】
この製造方法では、加熱ステップにおいて、各貫通孔を介して各セラミックス基板を吸引しながら、第1粘着シートを加熱する。加熱によって第1粘着シートの粘着力が低下するが、各貫通孔を介した吸引によって各セラミックス基板が固定されるので、加熱ステップでは第1粘着シートからセラミックス基板は剥離しない。貼付ステップでは、加熱ステップから継続して各貫通孔を介して各セラミックス基板を吸引しながら(すなわち、各セラミックス基板を固定した状態を維持しながら)、各セラミックス基板の第1粘着シートに対して反対側の表面に、第2粘着シートを貼り付ける。その後、各セラミックス基板の吸引を停止して、第1粘着シートを各セラミックス基板から剥離する。これによって、第1粘着シートから第2粘着シートに各セラミックス基板が転写される。この方法では、第1粘着シートの加熱時に第2粘着シートがセラミックス基板に貼り付けられていない。したがって、第2粘着シートが熱変形することが防止される。このため、この方法によれば、第1粘着シートから第2粘着シートに複数のセラミックス基板の配列(ピッチ等)を維持した状態で、一括で精度よく転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1粘着シート10に貼り付けられたセラミックス素子20の断面図。
図2】第1粘着シート10に貼り付けられたセラミックス素子20の上面図。
図3】転写工程を示すフローチャート。
図4】吸引処理の説明図。
図5】第2粘着シート40を貼り付ける処理の説明図。
図6】第2粘着シート40に貼り付けられたセラミックス素子20の断面図。
図7】面積比率A2/A1と転写の位置精度との関係を示すグラフ。
図8】素子B1〜B4の寸法を示す図。
図9】寸法L、W及びHの説明図。
図10】変形例のセラミックス素子の縦断面図。
図11】変形例のセラミックス素子の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最初に、以下に説明する実施例の特徴を列記する。なお、ここに列記する特徴は、何れも独立して有効なものである。
【0013】
(特徴1) 第1粘着シートに貼り付けられた状態の1つのセラミックス基板を第1粘着シートに対して垂直に見た場合に、そのセラミックス基板の面積に対するそのセラミックス基板に塞がれている貫通孔の面積の割合が、15%以上であり、かつ、35%以下である。
【0014】
特徴1によれば、より高精度にセラミックス基板の転写を行うことができる。
【0015】
(特徴2) セラミックス基板の最も薄い部分の厚みが、0.2mm以下である。
【0016】
従来技術では、セラミックス基板の厚みが薄い場合に転写時の精度が極めて悪くなる。したがって、特徴2のように薄いセラミックス基板を扱う場合に、実施例の技術は特に有用である。
【0017】
(特徴3)加熱ステップ及び貼付ステップでは、多孔質の吸着パッドを複数の貫通孔を覆うように第1粘着シートに接触させ、吸着パッドの内部の空孔を介して各セラミックス基板を吸引する。
【0018】
特徴3によれば、細かい位置合わせを行うことなく、多孔質の吸着パッドによって複数のセラミックス基板を一度に吸引固定することができる。
【0019】
(特徴4) 第2粘着シートが、加熱によって粘着力が低下する粘着シートである。
【0020】
従来技術では、第1粘着シートを加熱する際に第2粘着シートにも熱が加わる。このため、加熱によって粘着力が低下する粘着シートを第2粘着シートとして用いると、第1粘着シートの加熱時に第2粘着シートの粘着力が低下してしまう。したがって、第1粘着シートを剥離する際に、セラミックス基板が第2粘着シートから脱落してしまうことがある。これに対して、実施例の方法においては、第2粘着シートの加熱を抑制できるので、加熱によって粘着力が低下する粘着シートを第2粘着シートとして用いても、問題は生じない。
【実施例】
【0021】
実施例のセラミックス素子の製造方法は、図1に示す第1粘着シート10から図6に示す第2粘着シート40にセラミックス素子20を転写する工程に特徴を有する。最初に、図1の第1粘着シート10とセラミックス素子20について説明する。
【0022】
図1に示す第1粘着シート10は、接着剤層12と、樹脂フィルム14を有している。接着剤層12は、樹脂フィルム14の一方の表面に形成されている。接着剤層12は、加熱すると発泡して粘着力が極めて低くなる接着剤により構成されている。すなわち、第1粘着シート10は、熱発泡シートである。第1粘着シート10には、その表面と裏面とを連通する貫通孔16が複数個形成されている。
【0023】
セラミックス素子20は、圧電セラミックス製の基板と、その基板の両表面に形成された電極(図示省略)により構成されている。各セラミックス素子20は、第1粘着シート10の接着剤層12に貼り付けられている。図2は、第1粘着シート10に貼り付けられているセラミックス素子20を上側から見た平面図を示している。図示するように、各セラミックス素子20は、各セラミックス素子20が各貫通孔16を塞ぐように、第1粘着シート10に貼り付けられている。すなわち、1つのセラミックス素子20が、対応する1つの貫通孔16を塞いでいる。各セラミックス素子20の重心20aは、第1粘着シート10に対して垂直に見た時に貫通孔16と重複する位置に存在している。
【0024】
第1粘着シート10に複数のセラミックス素子20が貼り付けられている図1の構造は、以下のようにして形成される。まず、セラミックス素子20の材料であるセラミックスウエハを、ガラス板上に固定する。セラミックスウエハは、圧電セラミックスからなるウエハと、その両表面に形成されている電極等により構成されている。次に、ガラス板上においてセラミックスウエハをダイシングする。これによって、セラミックスウエハを、複数のセラミックス素子20に分割する。この段階では、各セラミックス素子20は、ガラス板上に固定されている。次に、各セラミックス素子20のガラス板に対して反対側の表面に、第1粘着シート10を貼り付ける。このとき、第1粘着シート10の各貫通孔16が、各セラミックス素子20によって塞がれるようにする。次に、各セラミックス素子20をガラス板から分離する。これによって、図1に示す構造が得られる。
【0025】
なお、図1に示す構造の形成方法は、上記の方法に限られない。例えば、上記のセラミックスウエハを第1粘着シート10に貼り付け、第1粘着シート10上においてセラミックスウエハをダイシングしてもよい。ダイシングラインが第1粘着シート10の貫通孔16と重複しないようにしてダイシングを行うことで、図1に示すように、分割された各セラミックス素子20を貫通孔16上に配置することができる。
【0026】
次に、セラミックス素子20を第1粘着シート10から第2粘着シート40に転写する方法について説明する。セラミックス素子20の転写は、図3に示すフローチャートに従って実行される。ステップS2では、最初に、図4に示すように吸着パッド30を配置する。吸着パッド30は、多孔質材料からなるプレート32を有している。プレート32の内部には、多数の空孔が形成されている。空孔は互いに繋がっている。このため、プレート32の内部を空気が流通することができる。ここでは、第1粘着シート10のうちの貫通孔16が形成されている領域全体に対してプレート32が接触するように、吸着パッド30をセットする。すなわち、プレート32によって、全ての貫通孔16を覆う。次に、吸着パッド30によって吸引を行う。すなわち、図4の矢印100に示すように、吸着パッド30内の空気を排出する。すると、プレート32の内部の空孔を介して、各貫通孔16内の空気がその外部に排出される。これによって、各貫通孔16内が減圧され、各セラミックス素子20が貫通孔16によって吸引(吸着)される。次に、各セラミックス素子20を吸引した状態を維持しながら、第1粘着シート10を加熱する。ここでは、約120℃に第1粘着シート10を加熱する。第1粘着シート10は、プレート32内に設けた加熱装置により加熱してもよいし、他の加熱装置により加熱してもよい。第1粘着シート10を加熱すると、接着剤層12が粘着力をほぼ失う。なお、各セラミックス素子20は各貫通孔16によって吸引されているので、接着剤層12の粘着力が低下しても、各セラミックス素子20が第1粘着シート10の表面に固定されている状態が維持される。
【0027】
ステップS4では、最初に、加熱装置を停止させる。これによって、各セラミックス素子20を、常温まで冷却する。なお、ステップS4では、ステップS2から継続して吸着パッド30による吸引を実行し続ける。したがって、ステップS4でも、各セラミックス素子20が第1粘着シート10の表面に固定されている状態が維持される。各セラミックス素子20が常温まで冷却されたら、図5に示すように、各セラミックス素子20の表面(第1粘着シート10に対して反対側の表面)に、第2粘着シート40を貼り付ける。第2粘着シート40は、接着剤層42と、樹脂フィルム44を有している。接着剤層42は、樹脂フィルム44の一方の表面に形成されている。接着剤層42は、加熱すると発泡して粘着力が極めて低くなる接着剤により構成されている。すなわち、第2粘着シート40は、熱発泡シートである。ここでは、接着剤層42を各セラミックス素子20と接触させて、第2粘着シート40を各セラミックス素子20に貼り付ける。
【0028】
上記の通り、各セラミックス素子20が常温まで冷却された後に第2粘着シート40を各セラミックス素子20に貼り付けるので、貼り付け時に第2粘着シート40は加熱されない。これによって、第2粘着シート40が熱変形(例えば、熱膨張等)することが防止されるとともに、第2粘着シート40の接着剤層42の粘着力が低下することが防止される。
【0029】
ステップS6では、最初に、吸着パッド30の吸引を停止させる。次に、吸着パッド30を第1粘着シート10から引き離す。次に、第1粘着シート10を、各セラミックス素子20から剥離する。第1粘着シート10の接着剤層12の粘着力はほぼ失われているので、第1粘着シート10を各セラミックス素子20から容易に剥離することができる。これによって、図6に示すように、各セラミックス素子20が第2粘着シート40に貼り付けられた状態が得られる。すなわち、第1粘着シート10から第2粘着シート40へ各セラミックス素子20を転写する工程が完了する。
【0030】
以上に説明したように、この製造方法では、第1粘着シート10に対する加熱を完了した後に、第2粘着シート40を各セラミックス素子20に貼り付ける。したがって、第2粘着シート40に熱が加わらない。このため、第2粘着シート40の熱変形が抑制される。したがって、第1粘着シート10に貼り付けられているときのセラミックス素子20の配列をほぼ維持したまま、これらのセラミックス素子20を第2粘着シート40に転写することができる。すなわち、この方法によれば、高精度な転写が可能である。
【0031】
また、上記のように第2粘着シート40が熱発泡シートであっても、実施例の技術によれば、転写工程において第2粘着シート40の粘着力の低下を防止できる。したがって、第1粘着シート10を剥離するときに、第2粘着シート40からセラミックス素子20が脱落することを防止することができる。
【0032】
なお、上記の実施例では、加熱装置の停止後に、各セラミックス素子20が常温まで冷却されるのを待ってから、各セラミックス素子20に第2粘着シート40を貼り付けた。しかしながら、必ずしも常温まで冷却する必要は無い。第2粘着シートが実質的に熱変形しない温度まで各セラミックス素子20の温度が低下していれば、各セラミックス素子20に対する第2粘着シート40の貼り付けはいつ行ってもよい。
【0033】
なお、転写の精度は、セラミックス素子の面積と、貫通孔の面積との比率に相関することが分かっている。図7の横軸は、第1粘着シート10に貼り付けられた状態のセラミックス素子20を第1粘着シート10に対して垂直に見た場合における、セラミックス素子20の面積A1に対する、貫通孔16の面積A2の比率A2/A1を示している。図7の縦軸は、第2粘着シート40に転写した後の第2粘着シート40上における各セラミックス素子20の位置のばらつきを示している。位置ばらつきは次の様に評価した。工具顕微鏡を用いて、第2粘着シート40に転写した後の複数のセラミックス素子20の中心座標を測定した。次に各セラミックス素子20の中心間のピッチを算出し、算出したピッチとピッチの設計値の差を位置ばらつきとした。図7の実験は、素子B1〜素子B4の4種類のサイズを有するセラミックス素子20を用いて行った。図8は、素子B1〜素子B4のサイズを示している。また、図9は、図8の寸法L、W、Hを示している。なお、図9のセラミックス素子20の下面が第1粘着シート10に貼り付けられる面であり、上面が第2粘着シート40に貼り付けられる面である。図7において、比率A2/A1が0%の場合のデータは、貫通孔16が形成されていない場合の結果を示している。図7に示すように、素子B1を除けば、貫通孔16を形成すれば、比率A2/A1が何れの値であっても、貫通孔16が形成されていない場合よりも位置精度を向上できることが分かった。また、素子B1では、比率A2/A1が65%以下であれば、貫通孔16を形成することで、貫通孔16が形成されていない場合よりも位置精度を向上できることが分かった。なお、何れの素子でも、比率A2/A1を大きくしすぎると、位置精度が悪くなる傾向にある。これは、貫通孔16をセラミックス素子20に対して大きくしすぎると、吸引時にセラミックス素子20が貫通孔16内に嵌ってしまったり、貼り付けステップ時にセラミックス素子20が貫通孔16に掛かる部分で割れる場合があるためである。図7から、比率A2/A1が、5%以上であり、65%以下であれば、位置精度が明らかに向上することが分かる。また、特に、比率A2/A1が、15%以上であり、50%以下であるときに、位置精度が著しく向上することが分かる。
【0034】
なお、上述した実施例では、セラミックス素子を転写する方法を説明したが、セラミックス素子を製造する過程の半製品に対して実施例と同様の転写方法が用いられてもよい。
【0035】
また、上述した実施例では、セラミックス素子(すなわち、セラミックス基板)が略一定の厚みを有していたが、図10、11に示すようにセラミックス素子の厚みが位置によって変化していてもよい。この場合には、セラミックス素子の最も薄い部分の厚みHが、0.2mm以下であることが好ましい。
【0036】
また、上述した実施例では、第2粘着シート40として熱発泡シートを使用したが、第2粘着シートとして別の粘着シート(例えば、紫外線の照射により粘着力が低下する粘着シート)を用いてもよい。
【0037】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
10:粘着シート
12:接着剤層
14:樹脂フィルム
16:貫通孔
20:セラミックス素子
30:吸着パッド
32:プレート
40:粘着シート
42:接着剤層
44:樹脂フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11