特許第5795275号(P5795275)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5795275-温水暖房装置 図000002
  • 特許5795275-温水暖房装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795275
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】温水暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   F24D3/00 J
   F24D3/00 Q
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-38062(P2012-38062)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-174373(P2013-174373A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】白井 瑛一
(72)【発明者】
【氏名】山口 正巳
(72)【発明者】
【氏名】内山 直幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貢也
【審査官】 正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−019283(JP,A)
【文献】 特開2007−322077(JP,A)
【文献】 特開2009−287897(JP,A)
【文献】 特開2011−153790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、熱交換器と、循環ポンプと、放熱器と、温水の温度を検出する温水温度検出手段と、温水の温度を設定する温水温度設定スイッチを有する操作部と、外気温を検知する外気温センサーと、制御部とを備え、前記熱交換器にて前記熱源機と熱交換して加熱された熱流体を前記循環ポンプにて前記放熱器へ循環させる温水暖房装置に於いて、前記制御部は温水温度と温水の設定温度との差により前記熱源機の出力を設定すると共に、この熱源機の出力と、前記外気温センサーで検知した外気温とにより暖房負荷を推定し、その推定した暖房負荷に対応して前記循環ポンプの回転数を設定することを特徴とする温水暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱源と熱交換することにより熱流体を加熱して循環させる温水暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、熱源機に内蔵され、バーナにて加熱される熱交換器と、循環ポンプと、熱媒体供給弁及び放熱器を有する複数の分岐路とを環状に接続して熱媒体循環路を形成し、放熱器側の運転信号によってバーナ及び循環ポンプを運転させるとともに、熱媒体供給弁を開放させ、熱交換器の熱媒体(水または不凍液等)を放熱器に供給して室内の暖房を行うもので、室内に設置されている放熱器に内蔵されている室温サーミスタにより検知された室温と、リモコンにより設定された設定室温とを比較し、その温度差により熱源機の出力と循環ポンプの回転数を制御するものがあった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−213619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの従来のものでは、室温を室内に設置されている放熱器に内蔵されている室温サーミスタにより検知しているが、放熱器の設置されている位置によっては正確な室温が検知できず、室温サーミスタにより検知した室温が設定室温まで上昇しても放熱器の周辺だけ温かく感じる状態や、逆に放熱器の周辺が温か過ぎるように感じるということがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、熱源機と、熱交換器と、循環ポンプと、放熱器と、温水の温度を検出する温水温度検出手段と、温水の温度を設定する温水温度設定スイッチを有する操作部と、外気温を検知する外気温センサーと、制御部とを備え、前記熱交換器にて前記熱源機と熱交換して加熱された熱流体を前記循環ポンプにて前記放熱器へ循環させる温水暖房装置に於いて、前記制御部は温水温度と温水の設定温度との差により前記熱源機の出力を設定すると共に、この熱源機の出力と、前記外気温センサーで検知した外気温とにより暖房負荷を推定し、その推定した暖房負荷に対応して前記循環ポンプの回転数を設定するものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、温水温度と温水の設定温度との差により設定される熱源機の出力と、外気温とにより暖房負荷を推定し、その推定した暖房負荷に対応して循環ポンプの回転数を設定するので、外気温が高くても熱源機の出力が大ならば暖房負荷は大きいと判断して循環ポンプの回転数を高く設定し、逆に外気温が低くても熱源機の出力が小ならば暖房負荷は小さいと判断して循環ポンプの回転数を低く設定し、それにより暖房負荷に応じて循環ポンプの回転数を制御して、循環ポンプの無駄な電力の消費を抑えることができるものである。
【0007】
また、温水循環回路が多数の系統数より構成されていても、暖房負荷に応じた循環ポンプの回転数制御ができ、温水循環回路の系統数に関係なく循環ポンプの無駄な電力の消費を抑えることができるものである。
【0008】
また、室内の温度を検知する室温サーミスタが不要となり、室温サーミスタの設置が不適切な位置のために室温サーミスタにより検知した室温が設定室温まで上昇しても放熱器の周辺だけ温かく感じる状態や、逆に放熱器の周辺が温か過ぎるように感じるということがないものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態の温水暖房装置の概略構成図。
図2】同暖房運転時のフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次にこの発明の一実施形態の温水暖房装置を図1に基づき説明する。
1は本実施形態に於ける温水暖房装置本体で室外に設置され、この温水暖房装置本体1で熱交換して加熱した温水を、往き管2から床暖房パネルやパネルヒータ等の放熱器3を通過させて放熱させた後、戻り管4から温水暖房装置本体1に戻す温水循環回路5を形成するものである。
【0011】
前記温水暖房装置本体1は、燃焼用空気を送風する送風機6と、灯油を常に一定量貯めている定油面器7と、この定油面器7の灯油を供給する燃料ポンプ8と、送風機6により送風された燃焼用空気と燃料ポンプ8により供給された灯油とによって燃焼を行うバーナからなる熱源機9と、温水循環回路5を循環する温水を貯湯する缶体10と、往き管2側の缶体10内の温水の温度tを検出する温水温度検出手段としての温水サーミスタ11と、缶体10内に設けられ、熱源機9の燃焼炎及び熱源機9の燃焼により発生した燃焼排ガスにより加熱されて缶体10内の温水と熱交換する熱交換器12と、熱交換器12を通過した燃焼排ガスを温水暖房装置本体1の外部へと導く排気筒等の排気経路13と、缶体10内の温水を温水循環回路5に循環させる循環ポンプ14と、該循環ポンプ14と缶体10との間に設けられ、温水中の空気を温水と分離する気水分離器15とが内蔵されているものである。
【0012】
16は温水暖房装置本体1を遠隔操作するリモコンで、リモコン16には、熱源機9の燃焼により熱交換器12を加熱し缶体10内の温水を加熱すると共に、缶体10内の温水を放熱器3に循環させて室内等の被空調空間の暖房を行わせる暖房運転の開始または停止を指示する運転スイッチ17と、熱交換器12で加熱する缶体10内の温水の温度を設定する温水温度設定手段としての温水温度設定スイッチ18と、温水温度設定スイッチ18で設定した温度Tを表示する表示部19とを備えているものである。
なお、この実施形態では温水の設定温度Tは、温水温度設定スイッチ18で20℃〜80℃の間で設定することができるものである。
また、20は温水暖房装置本体1に設けられた操作部で、前記リモコン16と同様、運転スイッチ、温水温度設定スイッチ、表示部を備えているものである。
【0013】
21はマイクロコンピュータを主体としてこの温水暖房装置本体1の制御を行う制御部で、リモコン16または操作部20の各種スイッチの信号や温水サーミスタ11からの信号を受け、送風機6、燃料ポンプ8、循環ポンプ14の制御を行うものである。
22は温水暖房装置本体1に設けられた外気温センサーで、検知した外気温を信号として制御部21に出力するものである。
【0014】
前記制御部21は、送風機6及び燃料ポンプ8をそれぞれ能力制御して、予め設定された小燃焼量以上且つ大燃焼量以下の範囲内で燃焼量を可変できるものであり、前記暖房運転の際は、温水サーミスタ11の検出する缶体10内の温水温度tがリモコン16の温水温度設定スイッチ18で設定された設定温度T付近の温度になるよう燃焼量を制御するものであり、前記暖房運転開始時は、缶体10内の温水温度tが温水温度設定スイッチ18で設定された設定温度Tに素早く上昇するように、熱源機9の燃焼量を大燃焼量にし、その後、缶体10内の温水温度tが設定温度Tに近づいてきたら熱源機9の燃焼量を徐々に下げていき、缶体10内の温水温度tを設定温度Tに維持するのが可能であれば予め設定された小燃焼量まで燃焼量を下げて燃焼を行い、缶体10内の温水温度tが設定温度Tより所定温度a高い温度に達したら、熱源機9の燃焼を停止し、缶体10内の温水温度tが設定温度Tより所定温度a低い温度に達したら、熱源機9の燃焼を開始させ、缶体10内の温水温度tを設定温度Tに近づけるべく燃焼量を適宜制御するものである。
【0015】
次に、暖房運転の作動について説明する。
図2に示すように、まず、運転スイッチ17をオンすると(S1)、制御部21は温水温度設定スイッチ18で設定された設定温度Tと、缶体10内の温水温度tとを比較し(S2)、缶体10内の温水温度tが設定温度T+所定温度aより低ければ、熱源機9の出力を大にして動作させ(S3)、それから(S2)に戻り、(S2)で缶体10内の温水温度tが設定温度T+所定温度a以上であれば、熱源機を停止して(S4)、循環ポンプ14の回転数を大にして動作させる。(S5)
【0016】
そしてその状態で所定時間経過した後(S6)、制御部21は温水温度tと設定温度Tとを比較し(S7)、缶体10内の温水温度tが設定温度T以上であると判断すると、次に缶体10内の温水温度tが設定温度T+所定温度a以上であるか判断し(S8)、缶体10内の温水温度tが設定温度T+所定温度a以上であれば、熱源機9を停止し(S9)、(S8)で缶体10内の温水温度tが設定温度T+所定温度aより低ければ、熱源機9の出力を小で動作させるものである。(S10)
【0017】
又、(S7)で缶体10内の温水温度tが設定温度Tより低いと判断すると、次に、制御部21は缶体10内の温水温度tと設定温度Tとの温度差を判定し(S11)、温度差が小と判断すると熱源機9の出力を小で動作させ(S10)、温度差が中と判断すると熱源機9の出力を中で動作させ(S12)、温度差が大と判断すると熱源機9の出力を大で動作させるものである。(S13)
尚、本実施例では缶体10内の温水温度tと設定温度Tとの温度差が10℃未満を温度差が小と判断し、温水温度tと設定温度Tとの温度差が10℃以上20℃未満を温度差が中と判断し、温水温度tと設定温度Tとの温度差が20℃以上を温度差が大と判断するものである。
【0018】
次に制御部21は外気温センサー22で検知した外気温により循環ポンプ14の回転数を設定するもので、熱源機9を停止(S9)又は熱源機9の出力を小で動作させた(S10)場合は、外気温が高い又は中間と判断した時は(S14)、循環ポンプ14の回転数を小に設定し(S15)、外気温が低いと判断した時は循環ポンプ14の回転数を中に設定するものである。(S16)
【0019】
又、熱源機9の出力を中で動作させた(S12)場合は、外気温が高いと判断した時は(S17)、循環ポンプ14の回転数を小に設定し(S1)、外気温が中間と判断した時は循環ポンプ14の回転数を中に設定し(S16)、外気温が低いと判断した時は循環ポンプ14の回転数を大に設定するものである。(S18)
【0020】
又、熱源機9の出力を大で動作させた(S13)場合は、外気温が高いと判断した時は(S19)、循環ポンプ14の回転数を中に設定し(S16)、外気温が中間と判断した時は循環ポンプ14の回転数を大に設定し(S18)、外気温が低いと判断した時は循環ポンプ14の回転数を最大に設定するものである。(S20)
【0021】
尚、本実施例では外気温が5℃より高いと外気温が高いと判断し、外気温が5℃以下−5℃以上だと外気温が中間と判断し、外気温が−5℃未満だと外気温が低いと判断するものである。
【0022】
そして 熱源機9の出力と循環ポンプ14の回転数を設定した後に、運転スイッチ17がオフ操作されると(S21)、制御部21は熱源機9と循環ポンプ14を停止して暖房運転を終了し(S22)、熱源機9の出力と循環ポンプ14の回転数を設定した後に、運転スイッチ17がオフ操作されなければ(S7)に戻るものである。
【0023】
以上のように暖房負荷を熱源機9の出力と外気温とにより推定し、それに基づいて循環ポンプ14の回転数を設定するので、外気温が高くても熱源機9の出力が大ならば暖房負荷は大きいと判断して循環ポンプ14の回転数を高く設定し、逆に外気温が低くても熱源機9の出力が小ならば暖房負荷は小さいと判断して循環ポンプ14の回転数を低く設定し、それにより暖房負荷に応じて循環ポンプ14の回転数を制御して、循環ポンプ14の無駄な電力の消費を抑えることができるものである。
【0024】
又、温水循環回路5が多数の系統数より構成されていても、暖房負荷に応じた循環ポンプ14の回転数制御ができ、温水循環回路5の系統数に関係なく循環ポンプ14の無駄な電力の消費を抑えることができるものである。
【0025】
又、室内の温度を検知する室温サーミスタが不要であるので、室内での室温サーミスタの設置されている位置による不正確な室温検知がなく、室温サーミスタにより検知した室温が設定室温まで上昇しても放熱器の周辺だけ温かく感じる状態や、逆に放熱器の周辺が温か過ぎるように感じるということがないものである。
【0026】
尚、本実施例では熱源機9を燃焼を行うバーナとしたがこれに限定されず、ヒートポンプユニットや電気ヒータによる温水装置でもいいものである。
【符号の説明】
【0027】
9 熱源機
12 熱交換器
14 循環ポンプ
11 温水温度検出手段
18 温水温度設定スイッチ
20 操作部
21 制御部
22 外気温センサー
図1
図2