特許第5795300号(P5795300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムアースEVエナジー株式会社の特許一覧

特許5795300電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置
<>
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000002
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000003
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000004
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000005
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000006
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000007
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000008
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000009
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000010
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000011
  • 特許5795300-電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795300
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 31/00 20060101AFI20150928BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20150928BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B23K31/00 K
   B23K20/10
   H01M4/04 Z
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-260253(P2012-260253)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-104493(P2014-104493A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2014年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】平原 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 勝
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 貴敏
(72)【発明者】
【氏名】島津 公一
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−207837(JP,A)
【文献】 特開2001−297747(JP,A)
【文献】 特開平06−339859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
B23K 20/10
H01M 4/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の工具と第2の工具との間に超音波振動を生じさせて前記第1の工具の加工面と前記第2の工具の加工面との間に挟み込まれた多孔体からなる電池用極板の基板と該電池用極板の基板に配置された当該基板よりも機械的強度の高いリードとを超音波接合する、前記第1の工具及び前記第2の工具が設けられた電池用極板製造装置の検査方法であって、
前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面の少なくとも一方は、その幅が前記リードの幅よりも広く、
前記リードの幅よりも広い幅を有する加工面について前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出する検出工程と、
前記検出された摩耗量が前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定する判定工程とを備える
ことを特徴とする電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項2】
前記第1の工具の加工面の幅及び前記第2の工具の加工面の幅はそれぞれ前記リードの幅よりも広く、
前記検出工程では、前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面のそれぞれについて前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出し、
前記判定工程では、前記第1の工具の加工面の摩耗量と前記第2の工具の加工面の摩耗量との合計量が、前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定する
請求項1に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項3】
前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が平面であり、
前記検出工程では、前記平面である加工面の摩耗量がその平面である加工面の摩耗量の平均値に基づいて算出される
請求項1又は2に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項4】
前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が複数の突起を有しており、
前記検出工程では、前記複数の突起を有している加工面の摩耗量がその加工面の前記中央部の突起の摩耗量に基づいて算出される
請求項1又は2に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項5】
前記検出工程では、前記平面である加工面の摩耗量が、前記平面である加工面の幅方向端部の面から前記平面である加工面の幅方向中央部の面までの深さに基づいて算出される
請求項3に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項6】
前記検出工程では、前記平面である加工面の幅方向端部の面から前記平面である加工面の幅方向中央部の面までの深さが前記平面である加工面の幅方向の範囲で測定可能な二次元センサで測定される
請求項に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項7】
前記検出工程では、前記複数の突起を有している加工面の摩耗量が、前記複数の突起を有している加工面の幅方向中央部の突起の摩耗する前の高さからその都度の高さまでの距離の平均値として算出される
請求項4に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項8】
前記検出工程では、前記複数の突起を有している加工面の幅方向中央部の突起のその都度の高さが同突起の摩耗する前の高さを基準としてそれら高さ方向の距離を測定可能な一次元センサによって測定される
請求項に記載の電池用極板製造装置の検査方法。
【請求項9】
第1の工具と第2の工具との間に超音波振動を生じさせて前記第1の工具の加工面と前記第2の工具の加工面との間に挟み込まれた多孔体からなる電池用極板の基板と該電池用極板の基板に配置された当該基板よりも機械的強度の高いリードとを超音波接合する、前記第1の工具及び前記第2の工具が設けられた電池用極板製造装置の検査装置であって、
前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面の少なくとも一方は、その幅が前記リードの幅よりも広く、
前記リードの幅よりも広い幅を有する加工面について前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出する検出部と、
前記検出された摩耗量が前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定する判定部とを備える
ことを特徴とする電池用極板製造装置の検査装置。
【請求項10】
前記第1の工具の加工面の幅及び前記第2の工具の加工面の幅はそれぞれ前記リードの幅よりも広く、
前記検出部は、前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面のそれぞれについて前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出し、
前記判定部は、前記第1の工具の加工面の摩耗量と前記第2の工具の加工面の摩耗量との合計量が、前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定する
請求項に記載の電池用極板製造装置の検査装置。
【請求項11】
前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が平面であり、
前記検出部は、前記平面である加工面の摩耗量をその加工面の摩耗量の平均値に基づいて算出する
請求項又は10に記載の電池用極板製造装置の検査装置。
【請求項12】
前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が複数の突起を有しており、
前記検出部は、前記複数の突起を有している加工面の摩耗量をその加工面の前記中央部の突起の摩耗量に基づいて算出する
請求項又は10に記載の電池用極板製造装置の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用極板にリードを超音波接合させる電池用極板製造装置を検査する電池用極板製造装置の検査方法、及び当該検査方法が用いられる検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、上述のような電池用極板製造装置では、電池用極板を構成する基板とリードとを接合するために、超音波振動するホーンとそのホーンに押し付けられるアンビルとの間に基板とリードとを重ねて挟み込ませ、その状態でホーンを駆動して超音波接合している。ただし、このような超音波振動は、基板やリードに押し付けられるホーンやアンビルの当接面(加工面)に摩耗が生じることが避けられない。このため従来より、ホーンやアンビルの面に生じた摩耗を適切に把握するための技術が提案されており、そうした技術の一例として特許文献1に記載の装置がある。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、超音波接合工具を構成するアンビルのローレット面、すなわちワークと接触する面を撮影するカメラと、超音波接合工具を構成するホーンのローレット面を撮影するカメラと、それら撮影された画像の画像解析を行う工具検査用コンピューターとを備える。アンビル及びホーンのローレット面にはそれぞれ、四角錐形状の突起が複数並んでいる。そして工具検査用コンピューターは、撮像された画像を解析して、アンビルとホーンのそれぞれのローレット面の突起の先端の幅を求め、その求めた先端の幅に基づいてアンビルやホーンの交換時期を判定する。これにより、超音波接合工具の交換時期を適切に見極めることのできるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−207837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の装置によれば、ローレット面に四角錐形状の突起を有するアンビルやホーンについて、それらの交換時期を判定することができる。しかしながら、アンビルやホーンのローレット面には四角錐形状の突起が設けられていない場合、特許文献1に記載の装置では交換時期を適切に判定することができない。また、超音波接合工具のローレット面に生じる摩耗は、ローレット面と超音波溶接される部材との当接態様に基づいて様々であるため、超音波接合工具の交換時期の判定には、判定しようとするローレット面に生じる摩耗に対応した判定を行う必要がある。そして、検査の対象が上述した電池用極板製造装置であっても、このような課題は概ね共通したものとなっている。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電池用極板製造装置の超音波接合工具において交換時期をより適切に判定することのできる電池用極板製造装置の検査方法、及び当該検査方法が用いられる検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する電池用極板製造装置の検査方法は、第1の工具と第2の工具との間に超音波振動を生じさせて前記第1の工具の加工面と前記第2の工具の加工面との間に挟み込まれた多孔体からなる電池用極板の基板と該電池用極板の基板に配置された当該基板よりも機械的強度の高いリードとを超音波接合する、前記第1の工具及び前記第2の工具が設けられた電池用極板製造装置の検査方法であって、前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面の少なくとも一方は、その幅が前記リードの幅よりも広く、前記リードの幅よりも広い幅を有する加工面について前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出する検出工程と、前記検出された摩耗量が前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定する判定工程とを備えることを要旨とする。
【0008】
上記課題を解決する電池用極板製造装置の検査装置は第1の工具と第2の工具との間に超音波振動を生じさせて前記第1の工具の加工面と前記第2の工具の加工面との間に挟み込まれた多孔体からなる電池用極板の基板と該電池用極板の基板に配置された当該基板よりも機械的強度の高いリードとを超音波接合する、前記第1の工具及び前記第2の工具が設けられた電池用極板製造装置の検査装置であって、前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面の少なくとも一方は、その幅が前記リードの幅よりも広く、前記リードの幅よりも広い幅を有する加工面について前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出する検出部と、前記検出された摩耗量が前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定する判定部とを備えることを要旨とする。
【0009】
いわゆる超音波接合に用いられる第1の工具や第2の工具は、それらの加工面の摩耗が多くなると、電池用極板の基板とリードとの超音波接合の接合性を低下させたり、摩耗により加工面に生じた変形が基板等に凹部を形成したり、傷を付けたりするおそれがある。
【0010】
そこでこのような方法もしくは構成によれば、リード幅より広い加工面は、幅方向端部には摩耗しない面と、幅方向中央部の摩耗する面とが生じるため、これらの摩耗しない面と摩耗する面との間の段差に基づいて摩耗量が算出される。つまり、第1の工具の加工面の摩耗量や第2の工具の加工面の摩耗量が適切に算出されるようになる。こうして算出された、第1の工具の加工面の摩耗量や第2の工具の加工面の摩耗量に基づいて、それら工具の交換時期を判定することによって、第1の工具の加工面に生じた段差や第2の工具の加工面に生じた段差が電池用極板の基板に形成する凹部や傷を好適に管理できるようになる。
【0011】
また、第1の工具や第2の工具の交換時期が工具の加工面形状によることなく、より適切に判定されるようになる。
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記第1の工具の加工面の幅及び前記第2の工具の加工面の幅はそれぞれ前記リードの幅よりも広く、前記検出工程では、前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面のそれぞれについて前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出し、前記判定工程では、前記第1の工具の加工面の摩耗量と前記第2の工具の加工面の摩耗量との合計量が、前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定することが好ましい。
【0012】
上記電池用極板製造装置の検査装置について、前記第1の工具の加工面の幅及び前記第2の工具の加工面の幅はそれぞれ前記リードの幅よりも広く、前記検出部は、前記第1の工具の加工面及び前記第2の工具の加工面のそれぞれについて前記リードの位置に対応する中央部と前記リードの位置に対応しない端部との間の段差を摩耗量として検出し、前記判定部は、前記第1の工具の加工面の摩耗量と前記第2の工具の加工面の摩耗量との合計量が、前記多孔体からなる電池用極板の基板の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値よりも大きいとき、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方の交換時期を判定することが好ましい。
【0013】
基板を挟む第1の工具や第2の工具は、それらの加工面の段差が基板の両面に凹部や傷を生成するようになると、特に、第1の工具が形成した凹部と第2の工具が形成した凹部が重なる部分は電池用極板の基板の厚みが薄くなり、該基板の強度を低下させるおそれがある。
【0014】
このような方法もしくは構成によれば、第1の工具や第2の工具の交換時期がそれらの摩耗量の合計量に基づいて判定される。第1の工具と第2の工具との摩耗量の合計量に基づいて交換時期が判定されることで、第1の工具と第2の工具とがそれぞれ形成する凹部が薄くする基板の厚さを適切な厚みに維持できるように交換時期を判定することができるようになる。これにより、第1の工具や第2の工具の交換時期が、基板の両面に生じる凹部などを考慮して、さらに適切に判定されようになる。
さらに、このような方法もしくは構成によれば、第1の工具や第2の工具の交換時期がそれらの摩耗量の合計量をその合計量に対応する値と比較することにより判定できる。これにより交換時期が容易に判定されるようになる。つまり、摩耗により第1の工具の加工面と第2の工具の加工面とにおけるそれぞれの中央部と端部との間の段差によって基板の切れが生じる前段階で、第1の工具や第2の工具を適切に交換することができる。
【0015】
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が平面であり、前記検出工程では、前記平面である加工面の摩耗量がその平面である加工面の摩耗量の平均値に基づいて算出されることが好ましい。
【0016】
上記電池用極板製造装置の検査装置について、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が平面であり、前記検出部は、前記平面である加工面の摩耗量をその加工面の摩耗量の平均値に基づいて算出することが好ましい。
【0017】
このような方法もしくは構成によれば、加工面が平面である工具について、加工面に生じる部分的な摩耗量の変動などの影響を低減させて、加工面の全体的な摩耗傾向に基づいて工具の交換時期を判定することができるようになる。また、突起が設けられていない工具や、ナーリング加工がされていない工具の加工面についてもその交換時期を判定することができるようになる。
【0018】
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が複数の突起を有しており、前記検出工程では、前記複数の突起を有している加工面の摩耗量がその加工面の前記中央部の突起の摩耗量に基づいて算出されることが好ましい。
【0019】
上記電池用極板製造装置の検査装置について、前記第1の工具及び前記第2の工具の少なくとも一方は、前記加工面が複数の突起を有しており、前記検出部は、前記複数の突起を有している加工面の摩耗量をその加工面の前記中央部の突起の摩耗量に基づいて算出することが好ましい。
【0020】
このような方法によれば、加工面が複数の突起を有していたとしても、複数の突起を有している加工面の摩耗量を突起の摩耗量から得ることができる。これにより、突起が設けられた加工面を有している工具であっても、その交換時期が適切に判定されるようになる。また、加工面の中央部の突起から摩耗量を算出することで、摩耗量としても適切な値を得ることができるようになる。
【0023】
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記検出工程では、前記平面である加工面の摩耗量が、前記平面である加工面の幅方向端部の面から前記平面である加工面の幅方向中央部の面までの深さに基づいて算出されることが好ましい。
【0024】
このような方法によれば、加工面の幅方向端部の摩耗しない面から加工面の幅方向中央部の摩耗する面までの距離の差(段差)、いわゆる深さに基づいて摩耗量が算出される。これにより、平面である加工面の摩耗量が適切に算出されるようになる。
【0025】
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記検出工程では、前記平面である加工面の幅方向端部の面から前記平面である加工面の幅方向中央部の面までの深さが前記平面である加工面の幅方向の範囲で測定可能な二次元センサで測定されることが好ましい。
【0026】
このような方法によれば、平面である加工面の幅方向端部の面(摩耗しない面)とホーンの加工面の幅方向中央部の面(摩耗する面)とが一つのセンサで測定されるため、摩耗量の算出を適時の測定値に基づいて容易かつ迅速に行うことができるようになる。
【0027】
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記複数の突起を有している加工面の摩耗量が、前記複数の突起を有している加工面の幅方向中央部の突起の摩耗する前の高さからその都度の高さまでの距離の平均値として算出されることが好ましい。
【0028】
このような方法によれば、複数の突起を有している加工面の摩耗する前の突起の高さとその都度の突起の高さとの差の平均値に基づいて摩耗量が算出される。つまり、加工面が複数の突起を有している工具について、加工面の突起の各々に生じる摩耗量の変化や一部の変動などの影響を低減させて、加工面の全体的な摩耗傾向に基づいて工具の交換時期を判定することができるようになる。これにより、突起を有している工具、例えば、ナーリング加工がされている工具の加工面について、その交換時期を判定することができるようになる。
【0029】
上記電池用極板製造装置の検査方法について、前記検出工程では、前記複数の突起を有している加工面の幅方向中央部の突起のその都度の高さが同突起の摩耗する前の高さを基準としてそれら高さ方向の距離を測定可能な一次元センサによって測定されることが好ましい。
【0030】
このような方法によれば、複数の突起を有している加工面の幅方向中央部の突起(摩耗する突起)がセンサで測定されるため、摩耗量の算出を適時の測定値に基づいて行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0031】
この電池用極板製造装置の検査方法、及び当該検査装置によれば、電池用極板製造装置の超音波接合工具において交換時期をより適切に判定することのできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本実施形態に係る電池用極板製造装置の検査装置を具体化した一実施形態について、その検査装置の概要を示す模式図。
図2】同実施形態において、電池用極板製造装置の斜視構造を模式的に示す模式図。
図3】同実施形態において、超音波接合工具が初期の状態であるときの断面構造を示す断面図。
図4】同実施形態において、超音波接合工具が摩耗した状態であるときの断面構造を示す断面図。
図5】同実施形態において、摩耗した超音波接合工具により製造された電池用極板の一例についてその断面構造を示す断面図。
図6】同実施形態において、超音波接合工具のホーンの加工面の摩耗状態を模式的に示す断面図。
図7】同実施形態において、超音波接合工具のアンビルの加工面の摩耗状態を模式的に示す模式図。
図8】同実施形態において、アンビルの加工面の摩耗量とホーンの加工面の摩耗量とに基づいて交換時期を判定するときの条件を示すグラフ。
図9】同実施形態において、ホーンの加工面の摩耗量と、ホーンの走行距離との関係を示すグラフ。
図10】本実施形態に係る電池用極板製造装置を具体化したその他の実施形態について、その製造装置の超音波接合工具が初期の状態であるときの断面構造を示す断面図。
図11】同実施形態において、超音波接合工具が摩耗した状態であるときの断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明にかかる電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置を具体化した一実施形態について、図1図9を参照して説明する。
本実施形態では、電池用極板として、ニッケル水素蓄電池の正極板を製造する場合について例示する。このニッケル水素蓄電池は、密閉型電池であり、電気自動車やハイブリッド自動車の電源として用いられる電池である。このニッケル水素蓄電池は、例えば、水素吸蔵合金を含む所定枚数の負極板と、水酸化ニッケル(Ni(OH))を含む所定枚数の正極板とを、耐アルカリ性樹脂の不織布から構成されるセパレータを介して積層した電極群を備えている。負極板は、パンチングメタルなどからなる基板としての電極支持体に水素吸蔵合金粉末を塗布して製作される。正極板は、金属多孔体である発泡ニッケル基板からなる基板10に水酸化ニッケル粒子を含む活物質を充填して製作される。そして、ニッケル水素蓄電池は、電極群の正極を正極側の集電板に接続させ、電極群の負極を負極側の集電板に接続させ、電解液とともに樹脂製の電槽内に収容して構成される。
【0034】
ところで正極板は、基板10が金属多孔体からなる多孔質であるため機械的な強度が低く、その端部(辺部)に集電板を直接取り付けることが難しい。そのため、正極板は、その基板10の表面のうち集電板が接続される辺に近い表面に、ニッケル板やニッケルめっき板などからなり帯状に延びる金属板であるリード15が溶接され、その溶接されたリード15に集電板が取り付けられる。つまり、正極板は、リード15を介して集電板が取り付けられる。
【0035】
まず、ニッケル水素蓄電池の正極板の製造装置について説明する。
図1〜3に示すように、正極板の製造装置は、超音波振動する第1の工具又は第2の工具としてのホーン20と、ホーンに対向する位置に配置される第2の工具又は第1の工具としてのアンビル30とを備える。ホーン20とアンビル30は、いわゆる超音波接合工具であり、ホーン20とアンビル30との間に重ね合わされた基板10とリード15とを挟み込む。ホーン20は、アンビル30との間に挟み込まれた基板10とリード15とに超音波振動を印加することで、基板10とリード15との接触面を超音波接合させる。この超音波接合は、いわゆる固相接合である。また、ホーン20とアンビル30とは円柱形状の回転ロールであり、基板10とリード15とを進行方向Fに移動させることができるように回転する。なお、ホーン20やアンビル30は回転駆動されてもよいし、基板10やリード15に連れ動かされてもよい。また、リード15は、進行方向Fに沿う方向の長さをリード長、進行方向Fに直交する方向の長さをリード幅とする。
【0036】
ホーン20は、円柱形状の柱面であるロールの外周に、基板10のリード15が載置される面である表面に当接する平面である加工面21を備えている。ホーン20は、リード15に当接する加工面21が進行方向Fへ向けて移動するように回転方向R1へ回転される。これによりホーン20は、加工面21がリード15とともに進行方向Fへ移動するとともに、加工面21からリード15へ超音波振動を伝達させる。
【0037】
アンビル30は、円柱形状の柱面であるロールの外周に、基板10のリード15の載置されない面である裏面に対向する加工面31を備えている。加工面31は、複数の突起32を備えている。つまり、加工面31は、複数の突起32を有している加工面である。突起32はその先端が基板10の裏面に当接される。つまり、アンビル30は、加工面31の突起32により基板10の裏面との間に高い摩擦力を確保している。なお、突起32の形状は、アンビル30と基板10の裏面との間に超音波接合に必要な摩擦力を確保することができるのであれば、円錐形状や角錐形状、円柱形状、角柱形状でもよいし、溝などでもよい。
【0038】
アンビル30は、基板10の裏面に対向する加工面31が進行方向Fへ向けて移動するように回転方向R2へ回転される。また、アンビル30は、図示しない押圧装置によりホーン20の方向に押圧される。これによりアンビル30は、加工面31が基板10とともに進行方向Fへ移動するとともに、加工面31の突起32を介して基板10をホーン20の方向に押圧する。
【0039】
そして、アンビル30が高い摩擦力で基板10を保持するとともに、その保持された基板10のリード配置部11に載置されたリード15にホーン20の加工面21から超音波振動を印加させる。これにより、基板10(リード配置部11)とリード15との間に超音波振動による振動が生じ、基板10とリード15との当接面が超音波接合されるようになる。本実施形態では、アンビル30とホーン20の幅は、リード15の幅よりも大きく設定されているため、こうしたアンビル30とホーン20とに挟まれる基板10とリード15とはそれらの当接面のすべてを確実に溶接されるようになる。
【0040】
ところで、図3に示すように、ホーン20とアンビル30との間に基板10とリード15とを挟んで基板10とリード15との超音波接合を行うとき、基板10やリード15がホーン20やアンビル30との摩擦によって受ける摩耗は接合時のみであるため、その摩耗は無視できる。一方、回転するホーン20やアンビル30の各加工面21,31は繰り返し基板10やリード15に接するため、それぞれに摩擦が生じる都度、徐々に摩耗が進行する。そして、こうした摩耗の量(摩耗量)が多くなると、基板10やリード15への対応する加工面21,31の当接状態が適切ではなくなり、超音波接合の接合強度が適切ではなくなったり、摩耗した加工面21,31表面が基板10に不要な加工を施したり(傷付けたり)するおそれがある。
【0041】
図4に示すように、超音波接合を繰り返し行ったホーン20の加工面21は、幅方向中央部22(リード15の位置に対応する部分)がリード15との摩耗によってすり減り、摩耗しない幅方向端部23(リード15の位置に対応しない部分)よりもホーン20の中心方向へ距離D1だけ低くなる(深くなる)。つまり、ホーン20の加工面21において、幅方向端部23が相対的に距離D1だけ外方向へ突出する。そのため、摩耗量が多くなって幅方向端部23の先端が基板10の表面に達してしまうと、基板10の表面に凹部を形成する、いわゆる傷を付けてしまうことになる。
【0042】
図5に示すように、幅方向端部23の先端が基板10に到達したホーン20によって超音波接合された基板10は、リード配置部11の表面にリード15に沿う凹部12が形成されることとなる。つまり、基板10は、その表面に形成されたリード15の表面から距離D1の深さの凹部12により機械的強度が低下するおそれがある。
【0043】
図4に示すように、ホーン20側に基板10を繰り返し押し付けたアンビル30の加工面31では、幅方向中央部が基板10のリード15の位置に対応する部分に接し、幅方向の両端部が基板10のリード15の位置に対応しない部分に接する。リード15は多孔体である基板10よりも機械的強度が高いため、アンビル30の加工面31(突起32)は、リード15の位置に対応する幅方向中央部の摩耗量が、リード15の位置に対応しない部分の摩耗量よりも多くなる。そのため、幅方向中央部にある突起32が摩耗によってすり減り、摩耗が少ない幅方向端部にある突起32よりもアンビル30の中心方向へ距離D2だけ高さが低くなる。つまり、アンビル30の加工面31において、幅方向端部の突起32が相対的に距離D2だけ外方向へ突出する。そのため、幅方向端部の突起32が基板10の裏面に刺さるようになり、基板10の裏面に穴を形成する、いわゆる傷を付けて(凹部を形成して)しまうことになる。
【0044】
なお通常、アンビル30の加工面31が摩耗した場合、基板10とリード15との間の接合強度が弱くなる傾向にあるため、こうした場合、ホーン20側への加圧力を高くして接合強度を保つことが一般的に行われる。しかし、アンビル30の加工面31(突起32)に段差があった場合、ホーン20側への加圧力を高くしまうと、上記した傷がより生じやすくなり、基板10の強度を低下させてしまうことが懸念される。
【0045】
図5に示すように、幅方向端部の突起32が相対的に突出したアンビル30によって超音波接合された基板10は、基板10の表面のリード15に沿うように基板10の裏面に穴13が形成されることとなる。つまり、基板10は、その裏面に形成された該裏面から距離D2の深さの穴13により機械的強度が低下するおそれがある。
【0046】
特に、基板10を挟むホーン20の加工面21の段差とアンビル30の加工面31の段差は、基板10の両面に凹部や傷を生成するため、特に、ホーン20が形成した凹部とアンビル30が形成した凹部が重なる部分は電池用極板の基板10の厚みが薄くなり、該基板10の強度を低下させるおそれがある。
【0047】
そのため、超音波接合をする際、ホーン20の加工面21に生じた段差の距離D1、いわゆる摩耗量や、アンビル30の加工面31に生じた段差の距離D2、いわゆる摩耗量を適切に管理する必要がある。
【0048】
そこで続いて、ホーン20やアンビル30の各加工面21,31の摩耗量を適切に管理することができるニッケル水素蓄電池の正極板の製造装置の検査装置の構成及びその方法について説明する。
【0049】
図1に示すように、ニッケル水素蓄電池の正極板の製造装置の検査装置は、ホーン20の加工面21までの距離を測定する検出部としてのホーンセンサ50と、アンビル30の加工面31までの距離を測定する検出部としてのアンビルセンサ51とを備える。またこの検査装置は、ホーンセンサ50の測定結果及びアンビルセンサ51の測定結果がそれぞれ入力される判定部としての制御装置40を備える。
【0050】
図6に示すように、ホーンセンサ50は、ホーン20の加工面21までの距離を測定することができるレーザセンサである。詳述すると、ホーンセンサ50は、二次元レーザセンサであって、ホーン20の加工面21までの距離を、ホーン20の加工面21において進行方向Fに直交する方向である幅方向の全範囲W1について測定する(検出工程)。ホーン20の加工面21の幅はリード15の幅よりも広いため、ホーン20の加工面21は、幅方向中央部22を含むリード15に当接する範囲の摩耗量が多い一方、幅方向端部23を含むリード15に当接しない範囲は略摩耗しない。つまり、ホーンセンサ50は、摩耗したホーン20の加工面21について、ホーン20の加工面21において幅方向中央部22までの距離L11と、距離L11よりも短い幅方向端部23までの距離L12とをそれぞれ測定する。なお距離L12は、未使用のホーン20の加工面21までの距離と略同じ距離である。
【0051】
図7に示すように、アンビルセンサ51は、アンビル30の加工面31や突起32までの距離を測定することができるレーザセンサである。詳述すると、アンビルセンサ51は、一次元レーザセンサであって、アンビル30の加工面31や突起32までの距離を、アンビル30において進行方向Fに直交する方向である幅方向の特定の位置について測定する(検出工程)。アンビル30の加工面31の幅はリード15の幅よりも広いため、アンビル30は、リード15に対向する範囲に含まれる幅方向中央部にある突起32の摩耗は多い一方、基板10には当接するもののリード15に直接対向しない範囲に含まれる幅方向端部にある突起32の摩耗は少ない。つまり、アンビルセンサ51は、摩耗した突起32がある幅方向特定の位置において、加工面31までの距離L21、及び摩耗した突起32までの距離L22をそれぞれ測定する。なお、アンビルセンサ51は、未使用のアンビル30においては突起32まで、距離L2を測定する。
【0052】
制御装置40は、ホーンセンサ50が測定した距離やアンビルセンサ51の測定した距離に基づいてホーン20やアンビル30の交換時期を判定する(判定工程)。
制御装置40は、演算装置(CPU)と、ROMやRAMなどの不揮発性や揮発性の記憶装置等とを有するマイクロコンピュータを含み構成されている。マイクロコンピュータの不揮発性の記憶装置には、各種処理を行う制御プログラム及び、各種処理に用いられる各種パラメータが保持されている。演算装置は、記憶装置に保持されている制御プログラムを必要に応じて実行するとともに、制御プログラムの実行処理時には必要に応じて各種パラメータを参照する。なお本実施形態では、記憶装置には、ホーンセンサ50が測定した距離に基づいてホーン20の交換時期を判定するプログラムと、そのプログラムの処理において交換時期の判定に用いられる予報値E20や交換値E21を含むパラメータが記憶されている。また、記憶装置には、アンビルセンサ51が測定した距離に基づいてアンビル30の交換時期を判定するプログラムと、そのプログラムの処理において交換時期の判定に用いられる予報値E30や交換値E31を含むパラメータが含まれている。さらに、記憶装置には、ホーンセンサ50が測定した距離とアンビルセンサ51が測定した距離とに基づいてホーン20やアンビル30の交換時期を判定するプログラムと、そのプログラムの処理において交換時期の判定に用いられる予報値E40や交換値E41を含むパラメータが含まれている。つまり、各予報値E20,E30,E40や各交換値E21,E31,E41は交換時期を示す値として利用可能に設定されている。
【0053】
本実施形態では、制御装置40は、ホーン20の摩耗量を、ホーンセンサ50が測定した幅方向中央部22までの距離L11と幅方向端部23までの距離L12とに基づいて算出する。例えば、制御装置40は、幅方向中央部22までの距離L11と幅方向端部23までの距離L12との差の距離D1(D1=L11−L12)を摩耗量とする。
【0054】
また、制御装置40は、アンビル30の摩耗量を、アンビルセンサ51が測定した幅方向中央部の突起32までの距離L22と未使用のアンビル30の突起32までの距離L2とに基づいて算出する。例えば、制御装置40は、幅方向中央部の突起32までの距離L22と未使用のアンビル30の突起32までの距離L2との差の距離D2(D2=L2−L22)を摩耗量とする。なお、未使用のアンビル30の突起32までの距離L2は、アンビル30を交換した直後に測定した値、もしくは、初期設定された値として記憶装置に記憶されている。
【0055】
上述するように本実施形態では、距離L2として未使用のアンビル30を測定した値を用いる。なお、ホーン20の場合と同様に、摩耗量を算出する都度、計測される加工面31までの距離から端部の突起32までの距離のみを抽出することで突起32までの距離を計測してもよい。但し、その場合、加工面31のうちから突起32のみを抽出する必要があるため、本実施形態のように未使用のアンビル30で測定した値を用いるほうが容易である。
【0056】
ところで、アンビル30は加工面31に複数の突起32が別々に設けられているため、制御装置40は、アンビルセンサ51から突起32までの距離L22と加工面31までの距離L21が入力される。そこで、制御装置40は、変化しない加工面31までの距離L21の近傍に、突起32までの距離L22のみを抽出するための閾値を設け、当該閾値よりも短い距離を突起32までの距離L22として抽出する。また、複数の突起32のそれぞれの距離L22が繰り返し測定されるため、制御装置40は、所定の時間や、所定の回数測定した距離L22を測定した回数で除して得られる平均値からなる距離L22を、アンビル30の摩耗量としての距離D2の算出に用いるようにしている。なお、平均値の算出などは必要の都度行われる。また、測定された距離L22をそのまま利用したり、平均値以外の処理を行った距離L22を利用して距離D2を算出してもよい。
【0057】
また、制御装置40は、幅方向中央部22までの距離L11や幅方向端部23までの距離L12についても、それぞれの平均値を算出して、ホーン20の摩耗量としての距離D1の算出に用いるようにしている。なお、測定された距離L11や距離L12をそのまま利用したり、平均値以外の処理を行った距離L11や距離L12を利用して距離D1を算出してもよい。
【0058】
図8に示すように、ホーン20の予報値E20はホーン20の加工面21における所定の摩耗量であって、ホーン20の加工面21の摩耗量がホーン20を交換することが好ましい状態になったことを示す値である。ホーン20の交換値E21は、予報値E20以上の摩耗量であって、ホーン20の加工面21の摩耗量が基板10の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値である。なお、予報値E20や交換値E21は、実際に製造される基板10の状態に基づいて得られた値が設定されることが好ましいが、その他の経験値や実験値、仕様から計算される値などであってもよい。
【0059】
本実施形態では、例えば、ホーン20の予報値E20と交換値E21とを25μm(マイクロメートル)に設定することができる。ホーン20は摩耗しづらいため、予報を出したとしても煩わしく、交換値E21に到達してからでも交換する走行距離や使用時間に余裕が確保できるため、予報値E20と交換値E21とを同じ値にしている。しかしながら、ホーン20の摩耗のしやすさに応じて、予報値E20と交換値E21とに異なる値を設定してもよい。
【0060】
また、アンビル30の予報値E30はアンビル30の加工面31における所定の摩耗量であって、アンビル30の加工面31の摩耗量がアンビル30を交換することが好ましい状態になったことを示す値である。アンビル30の交換値E31は、予報値E30以上の摩耗量であって、アンビル30の加工面31の摩耗量が基板10の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値である。なお、予報値E30や交換値E31は、実際に製造される基板10の状態に基づいて得られた値が設定されることが好ましいが、その他の経験値や実験値、仕様から計算される値などであってもよい。
【0061】
本実施形態では、例えば、アンビル30の予報値E30を65μmに設定し、交換値E31を70μmに設定することができる。アンビル30は摩耗しやすいため交換値E31に到達してからでは交換するまでの走行距離や使用時間に余裕を確保できないため、予報を出して交換のための準備をする余裕を確保することが好適である。そのため、予報値E30に交換値E31よりも小さい値を設定している。しかしながら、アンビル30の摩耗のしにくさに応じて、予報値E30と交換値E31との差を変更したり、予報値E30と交換値E31とを同じ値にしたりしてもよい。
【0062】
さらに、摩耗量の合計値と比較される予報値E40は所定の摩耗量であって、ホーン20の加工面21の摩耗量とアンビル30の加工面31の摩耗量との関係がホーン20及びアンビル30の少なくとも一方を交換することが好ましい状態になったことを示す値である。摩耗量の合計値と比較される交換値E41は、予報値E40以上の摩耗量であって、アンビル30の加工面31の摩耗量とアンビル30の加工面31の摩耗量との関係が基板10の機械的強度に影響を及ぼす可能性のある状態になったことを示す値である。なお、予報値E40や交換値E41は、実際に製造される基板10の状態に基づいて得られた値が設定されることが好ましいが、その他の経験値や実験値、仕様から計算される値などであってもよい。
【0063】
本実施形態では、リード15の幅が、ホーン20やアンビル30の幅よりも狭い。そのため、ホーン20の加工面21やアンビル30の加工面31は、中央部と端部との間に段差が生じ、その生じた段差が基板10の両面に切れを生じさせる可能性がある。そこで、摩耗量の合計値でホーン20やアンビル30の交換時期を決めることにより、ホーン20やアンビル30を、それらの加工面21,31に生じた段差が問題となる深さの凹部を基板10の両面に生じる前段階で適切に交換することができる。
【0064】
本実施形態では、例えば、合計量の予報値E40を75μmに設定し、交換値E41を80μmに設定することができる。合計値はホーン20の加工面21の摩耗量とアンビル30の加工面31の摩耗量との相互関係に基づく値であるため、摩耗しやすいアンビル30に合わせ、交換のための準備をする余裕を確保できる予報を出すため、予報値E40に交換値E41よりも小さい値を設定している。しかしながら、アンビル30の摩耗のしにくさに応じて、予報値E40と交換値E41との差を変更したり、予報値E40と交換値E41とを同じ値にしたりしてもよい。
【0065】
なお、本実施形態では、合計値が95μmになるとリード15の接合されたリード配置部11が基板10から切断されるおそれが高くなる。また、アンビル30の加工面31の摩耗量の算出結果には測定誤差を含め±10μmの誤差があり、ホーン20の加工面21の摩耗量の算出結果には測定誤差を含め±3μmの誤差があることを見込み、合計量と比較する交換値E41を80μmに設定している。
【0066】
作用について説明する。
これらの設定に基づいて、制御装置40は、ホーン20の加工面21の摩耗量やアンビル30の加工面31の摩耗量に基づいてホーン20やアンビル30の交換時期を判定することができるようになる。詳述すると、制御装置40は、ホーン20の加工面21の摩耗量とアンビル30の加工面31の摩耗量との関係が、図8に示される、通常領域A1にあるのか、予報領域A2にあるのか、交換領域A3にあるのかを判断する。そして、制御装置40は、ホーン20の加工面21の摩耗量とアンビル30の加工面31の摩耗量との関係が、通常領域A1にある場合、交換時期ではないと判定し、予報領域A2にある場合、交換時期を予報すると判定し、交換領域A3にある場合、交換時期であると判定する。
【0067】
例えば、制御装置40は、ホーン20の加工面21の摩耗量が予報値E20よりも大きいとき、ホーン20は交換時期に近いことを、図示しない表示装置や警報装置を介して外部に通知し、交換値E21よりも大きいとき、ホーン20が交換時期であることを表示装置や警報装置を介して通知する。また制御装置40は、アンビル30の加工面31の摩耗量が予報値E30よりも大きいとき、アンビル30は交換時期に近いことを表示装置や警報装置を介して通知し、交換値E31よりも大きいとき、アンビル30が交換時期であることを表示装置や警報装置を介して外部に通知する。さらに制御装置40は、ホーン20の加工面21の摩耗量とアンビル30の加工面31の摩耗量との合計値が予報値E40よりも大きいとき、ホーン20とアンビル30が交換時期に近いことを表示装置等を介して通知し、交換値E41よりも大きいとき、ホーン20とアンビル30が交換時期であることを表示装置等を介して外部に通知する。なお、ホーン20とアンビル30のうち摩耗率の高い方を選択して交換時期に近いことや交換時期であることを表示装置や警報装置を介して通知するようにしてもよい。
【0068】
効果について説明する。
図9を参照して、ホーン20を走行距離で管理した場合と、本実施形態の場合とについて説明する。なお、ここではホーン20について説明するが、アンビル30についても同様であるのでその説明は割愛する。
【0069】
ホーン20の交換時期を走行距離で管理する場合、管理位置として適切と考えられる距離が管理距離M2として設定される。そして、ホーン20の走行距離が管理距離M2に達したことを条件にホーン20の交換が行われる。ところが、ホーン20の摩耗量はリード15との間の摩擦状態などによって変動するため、ホーン20が管理距離M2だけ走行したからといって該ホーン20の摩耗量、つまり加工面21の段差の距離D1がいつも略同じであるとは限らない。
【0070】
例えば、基板10が通常より硬いことの影響などを受けてリード15とホーン20との間の摩擦が大きいときにはホーン20の摩耗が早く進むため(図9のグラフFL1)、走行距離M1で摩耗量が交換値E21に達することもある。この場合、管理距離M2から走行距離M1までの範囲B1では、ホーン20の摩耗量が交換値E21以上であるため、基板10に強度に問題を常時させるような深さの凹部が形成されるなど、良好ではない製品が製造されるおそれがある。
【0071】
また例えば、基板10が通常より柔らかいことの影響などを受けてリード15とホーン20との間の摩擦が小さいときにはホーン20の摩耗の進行が遅くなるため(図9のグラフFL2)、管理距離M2では摩耗量が交換値E21に達しないこともある。この場合、まだ使用することが可能なホーン20が交換されることとなるため無駄が生じる。つまり、このホーン20の摩耗量が交換値E21になる距離が管理距離M2よりも長い走行距離M3であるとすると、管理距離M2から走行距離M3までの範囲B2を無駄にすることになるためホーン20の管理にかかるコストを上昇させてしまう。
【0072】
そこで、本実施形態のように、ホーン20の加工面21の摩耗量を交換値E21で管理することで、ホーン20の走行距離にかかわらず交換が必要な摩耗量、つまり加工面21の段差の距離D1がいつも略同じになると交換時期として判定される。
【0073】
つまり、ホーン20の摩耗量が多いとき(図9のグラフFL1)、ホーン20が短い走行距離M1であっても、摩耗量が交換値E21に達することで交換時期として判定される。これにより、走行距離M1以降に、ホーン20の摩耗量が交換値E21以上であるにもかかわらず製造を続けて、強度上問題となるような凹部の形成された良好ではない基板10を製造してしまうおそれが防止される。
【0074】
また、ホーン20の摩耗が少ないとき(図9のグラフFL2)、ホーン20が長い走行距離M3であっても、摩耗量が交換値E21に達することで交換時期として判定される。これにより、管理距離M2において、ホーン20の摩耗量が交換値E21未満で使用可能であるにもかかわらずホーン20を交換してしまう無駄を防ぐことができる。これにより、ホーン20の管理にかかるコストを抑えることができるようになる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の電池用極板製造装置の検査方法及び検査装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)いわゆる超音波接合工具を構成するホーン20やアンビル30は、それらの加工面21,31の摩耗が多くなると、電池用極板の基板10とリード15との超音波接合の接合性を低下させたり、摩耗により加工面21,31に生じた変形が基板10等に凹部を形成したり、傷を付けたりするおそれがある。
【0076】
リード15の幅より広い加工面21,31は、幅方向端部には摩耗しない面(23)と、幅方向中央部の摩耗する面(22)とが生じるため、これらの摩耗しない面(23)と摩耗する面(22)との間の段差を形成する距離D1,D2に基づいて摩耗量が算出される。つまり、ホーン20の加工面21の摩耗量やアンビル30の加工面31の摩耗量が適切に算出されるようになる。こうして算出された、ホーン20の加工面21の摩耗量やアンビル30の加工面31の摩耗量に基づいて、それら工具の交換時期を判定することによって、ホーン20の加工面21に生じた段差やアンビル30の加工面31に生じた段差が電池用極板の基板10に形成する凹部や傷を好適に管理できるようになる。
【0077】
また、ホーン20やアンビル30の交換時期が工具の加工面形状によることなく、より適切に判定されるようになる。
(2)基板10を挟むホーン20やアンビル30は、それらの加工面21,31の段差が基板10の両面に凹部や傷を生成するため、特に、ホーン20が形成した凹部とアンビル30が形成した凹部が重なる部分は電池用極板の基板10の厚みが薄くなり、該基板10の強度を低下させるおそれがある。
【0078】
本実施形態では、ホーン20やアンビル30の交換時期がそれらの摩耗量の合計量に基づいて判定される。つまり、ホーン20とアンビル30との摩耗量の合計量に基づいて交換時期が判定されることで、ホーン20とアンビル30とがそれぞれ形成する凹部が薄くする基板10の厚さを適切な厚みに維持できるように交換時期が判定できる。これにより、ホーン20やアンビル30の交換時期が、基板10の両面に生じる凹部などを考慮して、さらに適切に判定されようになる。
【0079】
(3)ホーン20の摩耗量を距離L11や距離L12の平均値から算出するようにした。これにより、加工面21が平面であるホーン20について、加工面21に生じる部分的な摩耗量の変動などの影響を低減させて、加工面21の全体的な摩耗傾向に基づいてホーン20の交換時期を判定することができるようになる。つまり、突起が設けられていない工具や、ナーリング加工がされていない工具の加工面について、その交換時期を判定することができるようになる。
【0080】
(4)アンビル30の加工面31が複数の突起32を有していたとしても、複数の突起32を有している加工面31の摩耗量を突起32の摩耗量から得ることができる。これにより、突起32が設けられた加工面31を有しているアンビル30であっても、その交換時期が適切に判定されるようになる。また、加工面31の中央部の突起32から摩耗量を算出することで、摩耗量としても適切な値を得ることができるようになる。
【0081】
(5)ホーン20やアンビル30の交換時期がそれらの摩耗量の合計量をその合計量に対応する予報値E40や交換値E41と比較することにより判定できる。これにより交換時期が容易に判定されるようになる。つまり、摩耗によりホーン20の加工面21とアンビル30の加工面31とにおけるそれぞれの中央部と端部との間の段差によって基板10の両面に切れが生じる前段階で、ホーン20やアンビル30を適切に交換することができる。
【0082】
(6)ホーン20やアンビル30の幅がリード15幅より広いことで、各加工面21,31の幅方向端部には摩耗しない面が生じるので、この摩耗しない面と各加工面21,31の幅方向中央部の摩耗する面との間の距離の差(段差)、いわゆる深さに基づいて摩耗量が算出される。これにより、加工面21,31の摩耗量が適切に算出されるようになる。
【0083】
(7)平面であるホーン20の加工面21の幅方向端部23の面(摩耗しない面)とホーン20の加工面21の幅方向中央部22の面(摩耗する面)とが一つのホーンセンサ50で測定されるため、摩耗量の算出を適時の測定値に基づいて容易かつ迅速に行うことができるようになる。
【0084】
(8)複数の突起32を有しているアンビル30の加工面31の摩耗する前の突起32の高さとその都度の突起32の高さとの差の平均値に基づいて摩耗量が算出される。これにより、アンビル30の加工面31の摩耗量が適切に算出されるようになる。なお、アンビル30の加工面31の摩耗する前の突起32の高さは、アンビル30を交換したときに測定した突起32の高さの値や、設計値などから算出された設定値などを使うようにしている。
【0085】
(9)複数の突起32を有しているアンビル30の加工面31の幅方向中央部の突起32(摩耗する突起)がアンビルセンサ51で測定されるため、摩耗量の算出を適時の測定値に基づいて行うことができるようになる。
【0086】
(その他の実施形態)
なお上記実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記実施形態では、アンビル30の突起32に摩耗量に応じた高さの違いが生じる場合について例示した。しかしこれに限らず、アンビル30の突起32に摩耗量に応じた高さの違いが生じないようにしてもよい。
【0087】
図10に示すように、アンビル30Aの幅をリード15の幅と同じ又はそれ以下にしてもよい。アンビル30Aとリード15が載置されている部分に対応する基板10との間には略均一な押圧力が印加されるため、アンビル30Aの幅をリード15の幅とし、基板10のリード15に対応する位置に当接させれば、アンビル30Aに形成された複数の突起32に生じる摩擦力も均一化される。
【0088】
図11に示すように、複数の突起32に生じる摩耗量が同様であれば、各突起32が摩耗したとしても各突起32の位置に差が生じないため、突起32が基板10に凹部を形成することが防止される。
【0089】
つまり、アンビル30Aの加工面31の幅方向端部と、同加工面31の幅方向中央部との摩擦量が平準化され、摩耗量も均一化される。このため、アンビル30Aの加工面31に大きな段差が生じなくなり、アンビル30の交換時期に至るまでの間や、交換時期を多少過ぎたとしてもアンビル30Aが基板10に問題を生じさせるような穴を形成するおそれが低減される。
【0090】
よって、アンビル30Aの加工面31の突起32の高さを好適に維持しつつ、アンビル30Aの交換時期の管理を容易にすることができるようになるため、電池用極板製造装置の検査装置の適用範囲の拡大を図ることができるようになる。
【0091】
但し、この場合でも、ホーンの加工面には段差が生じるため、同加工面の中央部と端部との間の差を摩耗量として検出する本検査方法や検査装置は有用である。
また、アンビルではなく、ホーンの幅をリードの幅と同じ又はそれ以下にしてもよい。ところで、ホーンやアンビルをリードの幅と同じ又はそれ以下とする場合、ホーン(又はアンビル)とリードとの位置関係を高い精度で所定の関係に維持させる必要があるものの、こうした位置関係の維持は設備上困難な場合もある。そのような場合、ホーンやアンビルの幅をリードの幅より広くせざるおえないため、本検査方法や検査装置は有用である。
【0092】
・上記実施形態では、ホーンセンサ50は二次元レーザセンサである場合について例示した。しかしこれに限らず、ホーンセンサは、ホーンの表面の必要な位置を測定可能であれば、一次元センサであってもよい。
【0093】
例えば、一次元センサを用いる場合、幅方向端部を測定するセンサと、幅方向中央部を測定するセンサとを設けることでその2つのセンサの距離の差から摩耗量を算出することができる。
【0094】
また、摩耗する前のホーンの加工面の位置を記憶しておき、幅方向中央部を測定するセンサが測定した位置と、記憶された加工面の位置とからホーンの摩耗量を算出してもよい。
【0095】
これにより、電池用極板製造装置の検査装置の構成自由度の向上が図られるようになる。
・上記実施形態では、ホーンセンサ50やアンビルセンサ51はレーザセンサである場合について例示した。しかしこれに限らずホーンセンサやアンビルセンサは、ホーンやアンビルの表面までの距離を測定可能であれば、画像認識など、レーザセンサ以外の測定方法を適用してもよい。これにより電池用極板製造装置の検査装置の構成自由度の向上が図られるようになる。
【0096】
・上記実施形態では、制御装置40は、ホーンセンサ50やアンビルセンサ51の測定結果をそのまま使用する場合について例示した。しかしこれに限らず、制御装置は、測定対象(ホーンやアンビル)の膨張率や反射率に基づいて各センサからの測定値を補正してもよい。また、膨張率や反射率による補正が可能なセンサを用い、センサが補正した検出結果を出力してもよい。これにより、摩耗量の測定精度が向上し、交換時期をより好適に判定することができるようになる。
【0097】
・上記実施形態では、アンビル30の加工面31には突起32が形成されている場合について例示した。しかしこれに限らず、アンビル30の加工面が平面であったり、ナーリング加工されていてもよい。これにより、電池用極板製造装置の検査装置の適用可能性の拡大が図られるようになる。
【0098】
・上記実施形態では、ホーン20の加工面21は平面である場合について例示した。しかしこれに限らず、ホーンの加工面が突起を有したり、ナーリング加工されていてもよい。これにより、電池用極板製造装置の検査装置の適用可能性の拡大が図られるようになる。
【0099】
・上記実施形態では、ホーン20とアンビル30について、各摩耗量に基づいてそれぞれの交換時期を判定する場合について例示した。しかしこれに限らず、ホーンの摩耗量のみを測定しホーンの交換時期のみを判定してもよいし、アンビルの摩耗量のみを測定しアンビルの交換時期のみを判定たりしてもよい。また、ホーンの摩耗量とアンビルの摩耗量の関係から、ホーンの摩耗量からアンビルの摩耗量を推定してアンビルの交換時期を判定したり、アンビルの摩耗量からホーンの摩耗量を推定してホーンの交換時期を判定したりしてもよい。例えば、ホーンの摩耗量が大きくなれば振動の伝達量が増えてアンビルの摩耗量の進行が早くなる関係があることが考えられる。また例えば、アンビルの摩耗量が増えると摩擦力が低下して、ホーンの摩耗量も低下する関係があることが考えられる。これによっても、ホーン又はアンビルに対して摩耗量に基づいて交換時期を適切に判定することができるようになる。
【0100】
・上記実施形態では、検査方法を正極板の製造装置に適用する場合について例示した。しかしこれに限らず、検査方法を負極板の製造装置に適用してもよい。これにより、電池用極板製造装置の検査方法を用いて負極板を好適に製造することができるようになるため、このような電池用極板製造装置の検査方法の適用範囲の拡大が図られるようになる。
【0101】
・上記実施形態では、電池がニッケル水素蓄電池である場合について例示したが、これに限らず、リードを極板に超音波接合させる工程を有する蓄電池の製造装置の有する超音波接合工具に、この電池用極板製造装置の検査方法を適用することができる。
【0102】
・上記実施形態では、電池が二次電池である場合について例示したが、これに限らず、電池は一次電池でもよい。これにより、電池用極板製造装置の検査方法の適用範囲の拡大が図られるようになる。
【符号の説明】
【0103】
10…基板、11…リード配置部、12…凹部、13…穴、15…リード、20…ホーン、21…加工面、22…幅方向中央部、23…幅方向端部、30,30A…アンビル、31…加工面、32…突起、40…制御装置、50…ホーンセンサ、51…アンビルセンサ、D1,D2…距離、L11,L12,L2,L21,L22…距離、E20,E30,E40…予報値、E21,E31,E41…交換値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11