(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記静電容量部は、前記基板の四隅の近傍の領域及び前記駆動回路が配置されている辺に直交する辺に沿った領域の少なくとも一箇所に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の表示装置。
前記補助配線は、前記基板の表面に直交する方向において、走査線を形成する層と、信号線を形成する層との両方に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(表示装置)
1−1.第1実施形態
1−2.第2実施形態
1−3.第3実施形態
1−4.第4実施形態
1−5.計測結果
2.適用例(電子機器)
上記実施の形態に係る表示装置が電子機器に適用されている例
【0012】
<1−1.第1実施形態>
[構成]
図1は、本技術による第1実施形態に係る表示装置の構成の一例を表す説明図である。
図1は模式的に表したものであり、実際の寸法、形状と同一とは限らない。なお、表示装置1が本技術の「表示装置」の一具体例に相当する。
【0013】
表示装置1は、表示エリア部21を備える表示パネル2と、ドライバIC3と、フレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuits))50と、を備えている。フレキシブルプリント基板50は、ドライバIC3への外部信号またはドライバIC3を駆動する駆動電力を伝送する。表示エリア部21は、液晶セルを含む画素がマトリクス状(行列状)に多数配置されており、画像を表示する。
【0014】
(表示装置のシステム構成例)
図2は、
図1の表示装置のシステム構成例を表すブロック図である。表示パネル2は、透明基板上に、表示エリア部21と、インターフェース(I/F)及びタイミングジェネレータの機能を備えるドライバIC3と、垂直駆動回路22A、22B及び水平駆動回路23と、保護機構60と、を有する。垂直駆動回路22A、22Bは、それぞれ垂直ドライバ221A、221Bを有する。水平駆動回路23は、水平ドライバ231及びバッファ回路232を有している。表示装置1は、表示エリア部21にアモルファスシリコンTFTを使用した場合、水平ドライバ231をICで作成し、ガラス(透明基板)上に圧着する。また、表示装置1は、小型高精細パネルの場合、垂直ドライバ221A、221Bの回路をTFTで作成することが多い。また、表示装置1は、水平ドライバ231及び垂直ドライバ221A、221Bの少なくとも一方とドライバIC3とを1つのIC内に作成する場合もある。
【0015】
表示エリア部21は、後述する液晶層を含む画素4が、表示上の1画素を構成するユニットがm行×n列に配置されたマトリクス(行列状)構造を有している。なお、この明細書において、行とは、一方向に配列されるn個の画素4を有する画素行をいう。また、列とは、行が配列される方向と直交する方向に配列されるm個の画素4を有する画素列をいう。そして、mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて定まる。表示エリア部21は、画素4のm行n列の配列に対して行ごとに走査線(ゲート線)24
1、24
2、24
3・・・24
mが配線され、列ごとに信号線(シグナル線)25
1、25
2、25
3・・・25
nが配線されている。以後、実施の形態においては、走査線24
1、24
2、24
3・・・24
mを代表して走査線24と表記し、信号線25
1、25
2、25
3・・・25
nを代表して信号線25と表記することがある。
【0016】
表示パネル2には、外部から外部信号である、マスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号が入力され、ドライバIC3に与えられる。ドライバIC3は、外部電源の電圧振幅のマスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号を、液晶の駆動に必要な内部電源の電圧振幅にレベル変換(昇圧)し、マスタークロック、水平同期信号及び垂直同期信号としてタイミングジェネレータを通し、垂直スタートパルス、垂直クロックパルス、水平スタートパルス及び水平クロックパルスを生成する。ドライバIC3は、垂直スタートパルス、垂直クロックパルスを垂直駆動回路22A、22Bに与えるとともに、水平スタートパルス及び水平クロックパルスを水平駆動回路23に与える。ドライバIC3は、画素4毎の画素電極に対して各画素共通に与えるコモン電位(対向電極電位)と、このコモン電位と同相の制御パルス及び逆相の制御パルスを生成して表示エリア部21に与える。具体的には、ドライバIC3は、共通配線31が接続されており、共通配線にコモン電位(対向電極電位)を与える。共通配線31は、表示パネル2の外縁に沿って配置されており、表示エリア部21と、垂直駆動回路22A、22B及び水平駆動回路23とが配置されている領域の周囲を囲んでいる。
【0017】
垂直駆動回路22A、22Bは、表示エリア部21を挟むように配置されている。なお、垂直駆動回路22A、22Bは、表示エリア部21の一辺側に寄せて配置されていてもよい。垂直駆動回路22A、22Bは、シフトレジスタ、垂直ドライバ221A、221B等から構成される。垂直駆動回路22A、22Bは、上述した垂直スタートパルスが与えられることで、走査を開始し、垂直クロックパルスに同期して、上から、または下から順に走査線に走査信号を出力し、走査線につながる画素4のトランジスタをONし、画素電圧が書き込まれるようにする。
【0018】
水平駆動回路23には、例えば6ビットのR(赤)、G(緑)、B(青)のデジタル映像データが与えられる。水平駆動回路23は、垂直駆動回路22による垂直走査によって選択された行の各画素4に対して、画素ごとに、もしくは複数画素ごとに、あるいは全画素一斉に、信号線25
1、25
2、25
3・・・25
nを介して表示データを書き込む。
【0019】
保護機構60は、補助配線61と抵抗62とコンデンサ63とを有するユニットを2つ備える。1つのユニットの補助配線61は、垂直ドライバ221Aと共通配線31との間に配置されている。補助配線61は、垂直ドライバ221Aの延在方向において、垂直ドライバ221Aが配置されている領域の全域に配置されている。抵抗62は、一方が補助配線61と接続され、他方が接地(アース)されている。コンデンサ63は、一方が補助配線61と接続され、他方が接地(アース)されている。抵抗62及びコンデンサ63は、表示パネル2の表面において、補助配線61が設けられている辺と、ドライバIC3が設けられている辺との交点となる隅の近傍に配置されている。また、もう1つのユニットの補助配線61は、垂直ドライバ221Bと共通配線31との間に配置されている。補助配線61は、垂直ドライバ221Bの延在方向において、垂直ドライバ221Bが配置されている領域の全域に配置されている。また、抵抗62は、一方が補助配線61と接続され、他方が接地(アース)されている。コンデンサ63は、一方が補助配線61と接続され、他方が接地(アース)されている。もう1つのユニットの抵抗62及びコンデンサ63も、表示パネル2の表面において、補助配線61が設けられている辺と、ドライバIC3が設けられている辺との交点となる隅の近傍に配置されている。保護機構60の作用については、後述する。
【0020】
次に、表示エリア部21の構成例を詳細に説明する。
図3は、第1実施形態に係る表示装置の概略断面構造を表す断面図である。
図4は、第1実施形態に係る表示装置の画素配列を表す回路図である。
図3に示すように、表示装置1の表示エリア部21は、画素基板21Aと、この画素基板21Aの表面に垂直な方向に対向して配置された対向基板21Bと、画素基板21Aと対向基板21Bとの間に挿設された液晶層21Cとを備えている。
【0021】
液晶層21Cは、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(Twisted Nematic:ツイステッドネマティック)、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、ECB(Electrically Controlled Birefringence:電界制御複屈折)、FFS(Fringe Field Switching)等の各種モードの液晶が用いられる。なお、
図3に示す液晶層21Cと画素基板21Aとの間、及び液晶層21Cと対向基板21Bとの間には、それぞれ配向膜が配設されてもよい。
【0022】
対向基板21Bは、ガラス基板75と、このガラス基板75の一方の面に形成されたカラーフィルタ76と、を含む。ガラス基板75の他方の面には、偏光板73Aが配設されている。カラーフィルタ76は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色された色領域を含む。カラーフィルタ76は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色に着色されたカラーフィルタの色領域を周期的に配列して、上述した
図4に示す各画素VpixにR、G、Bの3色の色領域が1組として画素Pixとして対応付けられている。カラーフィルタ52は、TFT基板71と垂直な方向において、液晶層21Cと対向する。なお、カラーフィルタ76は、異なる色に着色されていれば、他の色の組み合わせであってもよい。一般に、カラーフィルタ76は、緑(G)の色領域の輝度が、赤(R)の色領域及び青(B)の色領域の輝度よりも高い。また、コモン電極COMLは、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料(透明導電酸化物)で形成される透明電極である。
【0023】
画素基板21Aは、回路基板としてのTFT基板71と、このTFT基板71上にマトリックス状に配設された複数の画素電極72と、TFT基板71及び画素電極72の間に形成されたコモン電極COMLと、画素電極72とコモン電極COMLとを絶縁する絶縁層74と、TFT基板71の下面側には入射側の偏光板73Bとを含む。
【0024】
TFT基板71には、
図4に示す各画素Vpixの薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)素子Tr、各画素電極72に画素信号を供給する信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3、TFT素子Trを駆動する走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3等の配線が形成されている。このように、信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3は、TFT基板71の表面と平行な平面に延在し、画素に画像を表示するための画素信号を供給する。信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3、は、GNDには接続されず、フローティング状態にある。
図4に示す表示エリア部21は、マトリックス状に配列した複数の画素Vpixを有している。画素Vpixは、TFT素子Tr及び液晶素子LCを備えている。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは、信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3に接続され、ゲートは走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3に接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端がコモン電極COMLに接続されている。
【0025】
画素Vpixは、走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3により、表示エリア部21の同じ行に属する他の画素Vpixと互いに接続されている。例えば、走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3のうち奇数の走査線24
m+1、24
m+3は、垂直ドライバ221Aと接続され、垂直ドライバ221Aから後述する走査信号が供給される。走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3のうち偶数の走査線24
m+2、24
m+4は、垂直ドライバ221Bと接続され、垂直ドライバ221Bから、走査信号が供給される。このように、垂直ドライバ221A、垂直ドライバ221Bは、走査方向の走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3に交互に垂直走査パルスを印加する。また、画素Vpixは、信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3により、表示エリア部21の同じ列に属する他の画素Vpixと互いに接続されている。信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3は、水平ドライバ231と接続され、水平ドライバ231より画素信号が供給される。さらに、画素Vpixは、コモン電極COMLにより、表示エリア部21の同じ列に属する他の画素Vpixと互いに接続されている。コモン電極COMLは、共通配線31を介してドライバIC3と接続され、ドライバIC3より駆動信号が供給される。
【0026】
図2に示す垂直ドライバ221A、221Bは、垂直走査パルスを、
図3に示す信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3を介して、画素VpixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、表示エリア部21にマトリックス状に形成されている画素Vpixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択する。
図2に示す水平ドライバ231は、画素信号を、
図4に示す信号線25
n+1、25
n+2、25
n+3を介して、垂直ドライバ221A、221Bにより順次選択される1水平ラインを含む各画素Vpixにそれぞれ供給する。そして、これらの画素Vpixでは、供給される画素信号に応じて、1水平ラインの表示が行われるようになっている。ドライバIC3は、コモン信号Vcomを印加する。
【0027】
上述したように、表示装置1は、垂直ドライバ(ゲートドライバ)221A、221Bが走査線24
m+1、24
m+2、24
m+3を順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択される。また、表示装置1は、1水平ラインに属する画素Vpixに対して、水平ドライバ231が画素信号を供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われる。
【0028】
表示装置1は、液晶素子LCに同極性の直流電圧が印加され続けることによって液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等が劣化する可能性がある。表示装置1は、液晶の比抵抗(物質固有の抵抗値)等の劣化を防ぐため、駆動信号のコモン電位を基準として映像信号の極性を所定の周期で反転させる駆動方式が採られる。
【0029】
この表示パネルの駆動方式として、ライン反転、ドット反転、フレーム反転などの駆動方式が知られている。ライン反転は、1ライン(1画素行)に相当する1H(Hは水平期間)の時間周期で映像信号の極性を反転させる駆動方式である。ドット反転は、互いに隣接する上下左右の画素毎に映像信号の極性を交互に反転させる駆動方式である。フレーム反転は、1画面に相当する1フレーム毎に全画素に書き込む映像信号を一度に同じ極性で反転させる駆動方式である。表示装置1は、上記の各駆動方式のいずれを採用することも可能である。
【0030】
(保護機構の機能)
図5は、第1実施形態に係る表示装置の保護機構の機能を示す模式図である。
図5は、2つのユニットのうち、垂直ドライバ221Aと共通配線31との間に補助配線61が配置されたユニットのみを示す。なお、垂直ドライバ221Bと共通配線31との間に補助配線61が配置されたユニットも同様の機能を備える。
【0031】
垂直ドライバ221Aは、ゲート線駆動回路80と、走査線(ゲート線)24のそれぞれに信号を送る複数の信号線82と、ゲート線駆動回路80とゲート線駆動回路80の信号線82に対応する回路とを繋げる信号引き出し線84と、を有する。ここで、
図5では、信号引き出し線84を1つのみ示したが、信号線82と走査線24との組み合わせに対応して複数配置されている。
【0032】
ゲート線駆動回路80は、信号線82から送られる信号を処理して走査線24に所定の信号を送る。具体的には、対応する走査線24に信号線82から送られる信号に基づいた電圧を印加する。複数の信号線82は、ドライバIC3と接続された配線であり、信号引き出し線84を介してゲート線駆動回路80と連結されている。複数の信号線82は、ゲート線駆動回路80との延在方向に沿って、配置されており、延在方向に直交する方向に並んでいる。信号線82は、ゲート線駆動回路80よりも基板の外側、つまり補助配線61側に配置されている。信号引き出し線84は、信号線82とゲート線駆動回路80とを接続している。
【0033】
ここで、保護機構60は、上述したように、補助配線61が、ゲート線駆動回路80と共通配線31との間に配置されている。したがって、表示パネル2は、ゲート線駆動回路80よりも基板の端部側に補助配線61が配置される。また、補助配線61は、上述したように、抵抗62とコンデンサ63とに接続されている。
【0034】
表示装置1は、保護機構60を設けることで、
図5の矢印90に示すように、表示パネル2の外から静電気が共通配線31に流入し、共通配線31に流入した静電気が矢印92に示すように表示パネル2の内側、つまり、垂直ドライバ221Aに向かった場合、矢印92に示す静電気は、補助配線61に流入する。補助配線61には、コンデンサ63が配置されているため、流入した静電気は、コンデンサ63に蓄積され、補助配線の電圧は上昇しにくくなる。これにより、表示パネル2に流入した静電気は、補助配線61に到達した時点で、補助配線61から補助配線61に隣接している信号線82に流入可能な電圧になりにくい状態となる。また、保護機構60は、コンデンサ63に蓄積した静電気を抵抗62で徐々に消費することができ、一定時間経過後は、コンデンサ63が静電気を蓄積していない状態とすることができる。
【0035】
このように、表示装置1は、表示パネル2の基板の垂直ドライバ221A、221Bよりも端部側に保護機構60を設け、表示パネル2の外部から流入してくる静電気を補助配線61で受け、コンデンサ63で蓄積することで、信号線82に静電気が流れ、信号線82に流れた静電気が信号引き出し線84を介してゲート線駆動回路80に流入してしまうことを抑制することができる。これにより、静電気が表示パネル2に悪影響を及ぼす恐れを低減することができる。
【0036】
また、保護機構60は、補助配線61をコンデンサ63と抵抗62に接続させ、静電気をコンデンサ63に一旦蓄積させ、その後抵抗62で消費させることで、補助配線61が接続しているアース(GND)に静電気が流入し、表示装置1のアースの電位が変化し、表示装置1内の他の機器、素子に影響を及ぼす恐れを低減することができる。
【0037】
また、表示装置1は、保護機構60を設け、外部から流入した静電気が垂直ドライバ221A、221Bに悪影響を与える恐れを低減できることで、垂直ドライバ221A、221Bから表示パネル2の基板の縁までの距離を短くしても、静電気が垂直ドライバ221A、221Bに悪影響を与える恐れを低減できる。これにより、静電気の影響を抑えるために設ける基板の縁と垂直ドライバ221Aとの距離や、配線と配線との距離を短くすることができ、基板を小型化することができる。
【0038】
これにより、表示装置1は、外部からの静電気による放電が垂直ドライバ221A、221B(駆動回路)に到達することを抑制することができ、かつ、額縁を細くして全体を小型化することができる。
【0039】
ここで、保護機構60は、補助配線61に接続するコンデンサ63、つまり静電気を蓄積する静電容量部の容量Cが大きいことが好ましい。具体的には、保護機構60は、静電容量部の静電容量を100nF以上とすることが好ましく、10μF以上とすることがより好ましい。静電容量を100nF以上、好ましくは10μF以上とすることで、流入した静電気の電圧のピーク(最大値)を好適に低下することができ、保護機構60よりも表示パネル2の内部側に静電気が流入することを抑制できる。また、仮に流入した場合も電圧を低下できるため、表示パネル2の内部側の回路等に悪影響を及ぼす恐れを低減することができる。例えば、150pF、20kVの放電源から3μCの電荷が流入した場合も静電容量63を前述のように大きくとることで、適切に電荷を蓄積することができる。
【0040】
なお、本実施形態の表示装置1は、いずれも抵抗62及びコンデンサ63の補助配線61との接続部と反対側の端部をアースに接続した等電位部であればよい。
【0041】
保護機構60は、補助配線61に接続する抵抗62、つまりコンデンサ63に蓄積された電荷を消費する機器の抵抗値を高くすることが好ましい。具体的には、保護機構60は、補助配線61に接続する抵抗の抵抗値を、補助配線61の配線の抵抗の100倍以上とすることが好ましい。これにより、コンデンサ63の電荷を抵抗62で徐々に消費させることができ、アース、等電位部に電荷が多く流入し、悪影響を与える恐れを低減できる。
【0042】
また、表示パネル2は、共通配線31を表示パネル2の基板の外縁に沿って配置し、両端がドライバIC3に接続した構造とすることで、配線の一箇所が断線しても、コモン電極にコモン信号Vcomを印加することができる。
【0043】
ここで、表示パネル2は、補助配線61を走査線24に使用するメタル層と信号線25に使用するメタル層との両方を積層した構造にすることが好ましい。これにより、補助配線61を実質的に厚くすることができるため、配線の抵抗を低下させることができ、電気を流れやすくすることができる。電気を流れやすくすることで、より迅速にコンデンサ63に電気を蓄積させることができ、電圧のピークを低下させることができる。
【0044】
また、補助配線61は、共通配線31の抵抗は一般に、数十Ω〜1kΩであるので、補助配線61は、配線の抵抗を、300Ω以下とすることが好ましい。これにより、補助配線61に電気を流れやすくすることができる。
【0045】
ここで、補助配線は、共通配線に近接させることが好ましい。これにより補助配線と共通配線との間で放電が発生しやすくなり、共通配線に流入する静電気量を抑制できる。
【0046】
(変形例)
図6は、第1実施形態に係る表示装置の変形例の保護機構の概略構成を示す模式図である。
図6に示す表示装置1aは、共通配線31よりも基板の縁側、つまり、垂直ドライバ221Aよりも遠い位置に補助配線61を配置している。表示装置1aは、補助配線61を共通配線31よりも基板の端部側に設けることで、矢印90に示すように、外側から流入する静電気が補助配線61に流入する。その後、静電気の強さによっては、矢印92に示すように、補助配線61から共通配線31に流入する。
【0047】
表示装置1aは、補助配線61を、垂直ドライバ221A(保護対象の駆動回路)よりも基板の縁側に配置すれはよく、共通配線31よりも基板の縁側に補助配線61を配置してもよい。表示装置1aは、垂直ドライバ221A(保護対象の駆動回路)よりも基板の縁側に補助配線61を配置することで、基板の外側から垂直ドライバ221Aに向かう静電気を、垂直ドライバ221Aに到達する前に補助配線61に流入させることができる。これにより、静電気が垂直ドライバ221aに悪影響を与える恐れを低減することができる。
【0048】
また、表示装置1aは、共通配線31よりも基板の縁側に補助配線61を配置することで、表示パネル2に流入した静電気を、共通配線31に流入する前に補助配線61に流入させることができる。これにより、静電気が共通配線31に悪影響を与える可能性も低減することができる。さらに、補助配線61よりも内側に静電気が流入した場合でも、共通配線31に流入させることができ、表示装置1aに悪影響が及ぶ恐れを低減することができる。
【0049】
また、補助配線61は、基板の表面に直交する方向から見た場合、共通配線31と重なる位置に配置してもよい。重なる位置に配置しても、静電気を垂直ドライバ221A、221Bに流入する前に補助配線61に流入させることができ、同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施形態では、表示装置1の駆動回路の保護機構60としたがこれに限定されない。保護機構60は、駆動回路を供える各種機器の保護機構として用いることができる。例えば、タッチパネル(タッチセンサ)の保護回路として用いることができる。
【0051】
<1−2.第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る表示装置のシステム構成例を表すブロック図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0052】
図7に示す表示装置1bは、2つのユニットの補助配線61が、配線120で接続されている。これにより、2つのユニットの補助配線61が、電気的に繋がった状態となる。また、配線120も補助配線61と同様に抵抗62及びコンデンサ63に接続された状態となる。表示装置1bは、抵抗62及びコンデンサ63に接続された配線を、表示パネル2の外縁の3辺、具体的には、ドライバIC3が設けられている辺以外の辺に配置している。
【0053】
これにより、表示装置1bは、配線120が配置されている辺についても外側から流入した静電気を配線120及びコンデンサ63で蓄積できる。これにより、配線120が配置されている辺の外側から流入した静電気の電圧を低減することができ、当該静電気が表示パネル2に悪影響を与える恐れを低減することができる。また、表示装置1bは、2つの補助配線61及び配線120が繋がっている。流入した静電気を2つのコンデンサ63で蓄積することができる。これにより、設置したコンデンサ63を有効に活用することができ、静電気を蓄積する静電容量部の容量をより大きくすることができる。
【0054】
また、表示装置1bは、表示パネル2の四隅の領域A1のうち、2つの領域A1に抵抗62及びコンデンサ63を設けたが、配置位置は特に限定されない。また、1つの保護線に接続するコンデンサ63の数も1つに限定されない。表示装置1bは、表示パネル2の基板の空いている領域に補助配線61と接続したコンデンサ63を配置することが好ましい。例えば、四隅の領域A1の全て、つまり4箇所にコンデンサ63を配置してもよい。また、表示エリア部21の水平ドライバ231側とは反対側の辺と表示パネル2の隅との間の領域A2にコンデンサ63を配置してもよい。表示装置1bは、基板の空いている領域にそれぞれコンデンサ63を配置することで、補助配線61に接続しているコンデンサ63の静電容量の総量をより大きくすることができる。なお、表示装置1bは、領域A1、A2にコンデンサ63を作る場合、TFT作成時に2つの導電層が絶縁層を挟むパターンを設けることで作成できる。つまり、保護機構60は、コンデンサ63の集合体の静電容量部でより多くの電荷を蓄積することができる。
【0055】
<1−3.第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る表示装置のシステム構成例を表すブロック図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
図8に示す表示装置1cは、一つのユニットの補助配線61の垂直ドライバ221Aと共通配線31で挟まれた領域に多数のコンデンサ130が接続され、もう1つのユニットの補助配線61の垂直ドライバ221Bと共通配線31で挟まれた領域に多数のコンデンサ130が接続されている。コンデンサ130は、コンデンサ63と同様にアースに接続されている。
【0057】
表示装置1cは、垂直ドライバ221A、221Bと共通配線31で挟まれた領域に補助配線61と接続するコンデンサ130を設けることで、補助配線61に流入した静電気の電荷をすぐにコンデンサ130に蓄積することができる。これにより、流入した静電気の電圧のピークを下げることができ補助配線61よりも表示パネル2の内側に静電気が流入する恐れを低減することができ、仮に流入した場合も流入した静電気が他の機器に悪影響を与える恐れを低減することができる。
【0058】
また、表示装置1cは、コンデンサ130を多数設けることで、1つ1つのコンデンサ130の容量が小さくても全体の静電容量を大きくすることができる。これにより、垂直ドライバ221A、221Bと共通配線31で挟まれた領域の幅を狭く維持しつつ(コンデンサ130を配置する領域の幅を小さくしつつ)、静電容量を大きくすることができる。また、垂直ドライバ221A、221Bと共通配線31で挟まれた領域にコンデンサ130を列状に配置することで、垂直ドライバ221A、221Bの延在方向に一定の間隔でコンデンサ130を設けることができる。これにより、垂直ドライバ221A、221Bの延在方向のどの位置から補助配線61に静電気が流入しても、流入した位置の近傍のコンデンサ130で電荷を蓄積することができる。これにより、流入した静電気の電圧のピークを下げることができ、補助配線61よりも表示パネル2の内側に静電気が流入する恐れを低減することができ、仮に流入した場合も流入した静電気が他の機器に悪影響を与える恐れを低減することができる。
【0059】
<1−4.第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る表示装置のシステム構成例を表すブロック図である。なお、上述した第1実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0060】
図9に示す表示装置1dは、保護機構として、補助配線61と、配線141と、抵抗142と、コンデンサ143とを含むユニットを2つ備える。2つのユニットは、垂直ドライバ221A、221Bに対応して配置されている。表示装置1dは、基板150が、フレキシブルプリント基板50を介して表示パネル2と接続されている。
【0061】
補助配線61は、配線141を介して抵抗142及びコンデンサ143と接続されている。配線141は、一方の端部が表示パネル2の補助配線61と接続し、他方の端部が基板150の抵抗142及びコンデンサ143と接続している。配線141は、表示パネル2の基板、フレキシブルプリント基板50、基板150に配置されている。抵抗142及びコンデンサ143は、基板150に配置されている。ここで、配線141は、一部の配線が共通配線31と重なる部分を、表示パネル2の共通配線31と異なる層に形成することで、配線を分離している。
【0062】
表示装置1dは、抵抗142及びコンデンサ143を表示パネル2とは異なる基板150に配置することで、コンデンサ143を配置可能な領域をより大きくすることができる。これにより、容量の大きいコンデンサ143を配置することが可能となる。このように、表示装置1dは、抵抗142及びコンデンサ143を表示パネル2の外に設けることで、蓄積できる電荷を大きくすることができ、単位時間当たりに蓄積できる電荷の量を大きくすることができる。これにより、補助配線61に流入した静電気のピークの電圧を低下させることができる。
【0063】
<1−5.計測結果>
図10は、表示装置の保護機構の構成を模式的に示すブロック図である。
図11は、表示装置の保護機構で検出される電圧の計測結果を示すグラフである。
図12は、表示装置の保護機構で検出される電圧の計測結果を示すグラフである。
図13は、表示装置の保護機構で検出される電圧の計測結果を示すグラフである。
【0064】
図10は、第1実施形態と同様の構成の表示装置の補助配線61と共通配線31と放電源102との抵抗と容量の関係を示している。放電源102は、外部から流入する静電気を想定したものであり、一般的な家電製品の放電試験に用いる抵抗と容量を備え、所定の電圧を印加している。抵抗104は、共通配線31の配線の抵抗である。ショート部106は、共通配線31と補助配線61の間でショート、つまり電流が流れたと仮定した部分である。ショート部106は、共通配線31と補助配線61との間で電流が流れる際の抵抗が抵抗106aとなる。抵抗108は、補助配線61の配線の抵抗である。コンデンサ63は、補助配線61の端部に配置された容量である。コンデンサ110は、補助配線61の途中、つまり共通配線31と垂直ドライバ221A、221Bとの間に配置された容量である。表示装置1は、共通配線31と補助配線61の間でショートが発生した場合、模式的に
図10に示す抵抗とコンデンサの構成とみなすことができる。本実施例では、共通配線31の抵抗104の合計の抵抗を600Ωとした。
【0065】
上記条件に基づいて、コンデンサ63の容量を10μF、コンデンサ110の合計の容量を0とし、パラメータとして補助配線61の抵抗値を種々の値とした場合のショート部106での電圧の変動を計測した。計測結果を
図11に示す。なお、tran1.V(c4)は抵抗108を無限大とし、tran2.V(h4)は抵抗108の合計を600Ωとし、tran3.V(h4)は抵抗108の合計を300Ωとし、tran4.V(h4)は抵抗108の合計を150Ωとした。
【0066】
図11に示すように保護機構は、補助配線61の抵抗値を低くするほど、流れる電圧のピークを低下できることがわかる。また保護機構は、補助配線61の抵抗値を、共通配線31の配線の抵抗値以下とすることで、電圧のピークをより確実に低下できることがわかる。
【0067】
なお、表示装置1は、外部の放電源102と共通配線31とのショートと、共通配線31と補助配線61とのショートにタイムラグが生じる。したがって、実際に補助配線に生じる電圧は、
図10のショート部の電流よりも低くなる。
【0068】
次に、コンデンサ63の容量を10μF、補助配線61の抵抗値を300Ωとし、パラメータとしてコンデンサ110の合計の容量を種々の値とした場合のショート部106での電圧の変動を計測した。計測結果を
図12に示す。なお、コンデンサ110の容量は、tran1.V(C4)の容量を0とし、tran2.V(C4)は容量を0.1nFとし、tran3.V(C4)は容量を1nFし、tran4.V(C4)は容量を10nFとした。
【0069】
図12に示すように保護機構は、コンデンサ6110の容量を大きくするほど発生する電圧のピークを低下でき、さらに、蓄積した電荷を消費する時間も短くすることができる。なお、
図12に示す例では、コンデンサ110の容量を1nFとすることで、コンデンサ110にかかる電圧を100V以下とすることができる。また、
図12に示す例では、図示していないがコンデンサ110の反対側配線の抵抗も考慮したものである。
【0070】
次に、コンデンサ63の容量を10μF、コンデンサ110の合計の容量を0とし、補助配線61の抵抗値を無限大として、共通配線31に電荷が流入してから、共通配線31と補助配線61との間でショートが発生するまでの時間に20ns係る設定で計測を行った、計測結果を
図13に示す。tran2.V(h4)が共通配線31と補助配線61との間でショートが発生するまでの時間に20ns係る設定の計測結果である。
図13に示すように放電までにタイムラグが発生することで、ピークの電圧を下げることができる。
【0071】
<2.適用例>
次に、
図14〜
図25を参照して、実施形態で説明した表示装置1の適用例について説明する。
図14〜
図25は、本実施形態に係る表示装置を適用する電子機器の一例を示す図である。本実施形態に係る表示装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、本実施形態に係る表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0072】
(適用例1)
図14に示す電子機器は、本実施形態に係る表示装置1が適用されるテレビジョン装置である。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511及びフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、本実施形態に係る表示装置である。
【0073】
(適用例2)
図15及び
図16に示す電子機器は、本実施形態に係る表示装置1が適用されるデジタルカメラである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523及びシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、本実施形態に係る表示装置である。
【0074】
(適用例3)
図17に示す電子機器は、本実施形態に係る表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部531、この本体部531の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ532、撮影時のスタート/ストップスイッチ533及び表示部534を有している。そして、表示部534は、本実施形態に係る表示装置である。
【0075】
(適用例4)
図18に示す電子機器は、本実施形態に係る表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体541、文字等の入力操作のためのキーボード542及び画像を表示する表示部543を有しており、表示部543は、本実施形態に係る表示装置である。
【0076】
(適用例5)
図19〜
図25に示す電子機器は、本実施形態に係る表示装置1が適用される携帯電話機である。この携帯電話機は、例えば、上側筐体551と下側筐体552とを連結部(ヒンジ部)553で連結したものであり、ディスプレイ554、サブディスプレイ555、ピクチャーライト556及びカメラ557を有している。そのディスプレイ554またはサブディスプレイ555は、本実施形態に係る表示装置により構成されている。
【0077】
また、本技術は、以下の構成をとることもできる。
(1)
基板と、
前記基板上に配置された駆動回路と、
前記基板上の前記駆動回路よりも外側に配置された共通配線と、
前記基板上の前記駆動回路よりも外側で、かつ、前記駆動回路の延在方向において、前記駆動回路が配置されている領域の全域に配置された補助配線と、
前記補助配線及び等電位部に接続された抵抗と、
前記補助配線及び前記等電位部に接続された静電容量部と、を有することを特徴とする表示装置。
(2)
前記補助配線は、前記共通配線よりも外側に配置されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(3)
前記補助配線は、前記共通配線よりも内側に配置されていることを特徴とする(1)に記載の表示装置。
(4)
前記静電容量部は、容量が100nF以上であることを特徴とする(1)から(3)のいずれか一つに記載の表示装置。
(5)
前記静電容量部は、複数のコンデンサを含むことを特徴とする(1)から(4)のいずれか一つに記載の表示装置。
(6)
前記静電容量部は、前記基板の四隅の近傍の領域及び前記駆動回路が配置されている辺に直交する辺に沿った領域の少なくとも一箇所に配置されていることを特徴とする(1)から(5)のいずれか一つに記載の表示装置。
(7)
前記補助配線は、前記基板の表面に直交する方向において、走査線を形成する層と、信号線を形成する層との両方に配置されていること特徴とする(1)から(6)のいずれか一つに記載の表示装置。
(8)
(1)から(7)のいずれか一つに記載の表示装置と、前記表示装置に映像信号を供給する制御装置と、を有する電子機器。