【実施例】
【0038】
(実施例1)
図示される一実施形態では、80%の特定の検出力(妥当性に典型的に使用される標準レベル)を使用して、β=1−80/100=0.2の値を得、これは、適当な標準統計表又は関数から値z
β=0.8416を生成する。更に、α=5%(即ち、5%有意性)の100α%の片側検定において、同じく統計表からz
α/2=1.6449を得た。したがって、上に提示する「K」の等式に従うと、この例は、
【数17】
の定値をもたらす。
【0039】
特定の有意水準で、特定の検出力を有する事前設定された閾値Δを検出するために、統計的試験の試料規模「m」は、したがって、少なくとも、
【数18】
であり得る。
一般に、これは整数ではないため、より一般的な使用は、工程218:
【数19】
である。
【0040】
本実施例を続けると、工程218でたった今計算した定数「K」を得て、標準偏差(SD)の半分であるΔの閾値を検出するために必要な最小試料規模「m」は、
【数20】
として計算され得る。
【0041】
特定の食事事象(例えば、昼食)におけるいくつかの食事前と食事後の測定値のN対が、値m以上である場合、適当な確実性のレベルで閾値を超えたかどうかを確認するために、適切な統計的試験(例えば、片側検定)が使用され得る(工程220)。
【0042】
図3Aは、
図2Bに関して説明されるように、既定の有意水準α及び統計的検出力(1−β)にも合致しつつ、少なくとも既定の閾値Δの差を検出することができるために必要とされる試料規模「N」の判定に関与する工程を図示する。
【0043】
最初に、特定の食事、例えば昼食等の、対形成された食事前と食事後のグルコース濃度測定値が、患者によって取得され、彼らの測定器のメモリ内に保存される(工程302及び304)。次に、食事前と食事後の測定値の平均差値
【数21】
及び標準偏差「s」が、工程306で計算される。
【0044】
有意差が2つの平均値間で存在するかどうかを検出するために典型的に使用される統計的試験は、片側t検定であり得る。これは、通常、一例示的実施形態において、工程310(又は
図3Bの工程308’)で推定され得る、平均の食事前/食事後差
【数22】
が閾値Δ未満又はそれに等しい帰無仮説H
0、及び平均差
【数23】
が閾値Δ(工程312(又は
図3Bの工程309’))より大きい対立仮説H
1として示される。片側検定が利用され得るかを判定するために、工程307の論理演算子は、試料規模N及び有利水準αが既知であるかを判定する。真であれば、論理は工程307から工程308に流れる。
【0045】
その後、平均
【数24】
標準偏差「s」、及び閾値Δを使用して、片側t検定が工程308で実行され得る。例えば、試験量Tは、
【数25】
として計算され得、
式中、
【数26】
は、工程306で計算された、試料の平均の食事後−食事前の差である。次いで、得られたTの値は、t検定の適当な統計表から導き出された臨界値t
α,N−1と比較される。表1は、t検定の適当な統計表の例を示す。
【表1】
【0046】
典型的に、Tが有意水準α及び試料規模Nによって設定されたt分布の臨界値t
α,N−1を超える場合、帰無仮説H
0は、Δが超えた対立仮説を選択して拒絶される。本発明の例示的実施形態によると、有意水準αは、既定されてもよいが、試料規模「N」は、例えば製造時に既定又は固定されなくてもよく、したがって、既知ではないため、計算に使用することができない。前述のように、本計算は、適当なt分布表を調べることができるために、予め有意水準α及び試料規模「N」の両方が既知であることに依存している。
【0047】
一例示的実施形態では、α及びNが両方とも既知であると仮定すると、得られた「T」の値は、工程310で、臨界値t
α,N−1と比較され、Tが臨界値t
α,N−1を超えない場合、帰無仮説H
0は、対立仮説H
1を選択して拒絶され(工程312)、適当なメッセージが、工程314で、ユーザーに表示され得る。ユーザーに表示されるメッセージの例は、
図5に関して示され、説明される。しかしながら、Tが工程310で臨界値t
α,N−1を超えない場合、以前に値Δを超えたかを判定するために、工程316でクエリーが作製される。工程316で真の場合、論理は、仮説H1を受け入れ、適当なメッセージ表示が、工程320で、ユーザーに表示され得る。工程316で真ではない、即ち、以前に値Δを超えていない場合、帰無仮説H
0が受け入れられ、論理は302に戻る。
【0048】
しかしながら、代替的に、試料規模「N」は、既知又は既定されていなくてもよい。試料規模を含む測定結果の数は、少なくとも閾値Δの差が、必要とされる信頼区間で食事前と食事後のグルコース測定値の間の差の標準偏差から検出され得ることを確実にするために、可変である。そのような場合、工程307の論理の流れは、これが上述の臨界値t
α,N−1をどのように得るかの問題を未解決のまま残すことを意味する偽を返す。これを達成するための多くの方式があり、問題の修正再表示を利用するその例をここに示す。Tを臨界値t
α,N−1と比較することは、量P及び臨界値Q
α,Nを比較することと同等であり、これは、以下の
【数27】
臨界値
【数28】
のように判定される。
【0049】
工程309でα=5%の場合、推定される臨界値Q
α,Nは、非常に大きい値のNに対しても、
図4においてここに示される単純な関数:
【数29】
によって良好に近似され、
関数は、
図4に示される。
図4において、線402は、Q
0.05,Nのいくつかの値がt
0.05,N及びNの関数として計算される等式8を使用して生成される。線402の形状に基づき、出願者は、線402を近似するために、経験的なフレームワークとして関数Y=a×N
−bを選択する。最小化ソフトウェアルーチンを経験的関数Y=a×N
−bに適用した後、a及びbの関連する定数を有する等式10が導かれる。P及びQ
0.05,Nの使用には、計算的であり、かつ/又は携帯用装置内のメモリ集中型プロセスである、メモリに保存されるt表又はt表の計算を必要としないことに留意する。よって、P及びQ
0.05,Nの使用は、T及びt
0.05,Nの使用よりも計算的により単純であり、それ故に、マイクロプロセッシングの出力及びメモリの量を低減する。
【0050】
以下は、tの値を推定するのに必要な計算的に集中的な計算の例を示す。等式10において、f
n(t)は、スチューデントt変量の確率密度関数であり、n−1の自由度である。
【数30】
【0051】
用語
【数31】
は、ガンマ関数である。Xは、有意水準100α%の片側有意試験において所望の臨界値であってもよく、Xは、積分方程式
【数32】
の解である。関数F
n(t)は、t変量の累積分布関数であり、I
x(a,b)が不完全ベータ関数である、関係
【数33】
を使用して計算され得る。参考までに、不完全ベータ関数を数値的に評価するためのコンピュータコードは、t計算の複雑さを図示する「Numerical Recipes in C」の本のオンラインバージョンの一部である、http://www.fizyka.umk.pl/nrbook/c6−4.pdfで見ることができる。
【0052】
図2Bを参照に先に述べたように、標準偏差(SD)が最初に計算され、次に、最小試料規模「m」、その後、食事前と食事後のm対の読み取りが行われるまで待ち、試験の検出力が制御される。固定の統計的検出力(1−β)を維持するために、この方式で試料規模「m」を変動させることにより、患者に表示される偽陰性の確率を最小にすることができる。その後、
図3Aを参照すると、本方法は、量Pを計算し、工程309で(等式8〜9より)同等の臨界値Q
0.05,Nを得る。
【0053】
本明細書で説明される方法は、個々の読み取りがどれだけ可変であり得るか(SDがどれだけ大きいか)に関わらず、統計的検出力を制御するために使用され得る。患者が時間とともに彼らの状態を制御できるようになると、検出される食事前/食事後の平均のグルコース変化の規模は、減少するが、統計的検出力、即ち偽陰性の制御は、それでも、試料規模「m」を含む測定結果の数を修正することによって維持され得る。試料規模「m」の規模は、検出される既定の閾値Δの相対的規模に関して変動してもよい、即ち、より小さい食事前/食事後の平均のグルコース変化は、必要とされる信頼区間と合致しつつも、差を検出するためにより小さい試料規模「N」を必要とする場合があると思われる。
【0054】
図4は、等式9から生成した単純な近似と比較した、Q
α、N 402の真の関数の比較を示すプロット400である。
【0055】
図4は、単純な近似404が5%の有意水準αで、臨界値関数402の真の関数にいかに近接して合致するかを示す。単純な近似404は、非常に小さい試料規模並びに非常に大きい試料規模を含む、広範な試料規模「N」にわたって、真の関数402に対して得た曲線と近接して合致する。本明細書に記載する目的において、単純な近似404が真の関数402と等しく、したがって、試料規模「N」の値が計算され得ると仮定することは、妥当である。
【0056】
最終工程は、
図3Aに関する説明に概説されるどの仮説が試験によって支持されているかを利用すること、そして
図5に関して説明されるように、それに応じて適当なメッセージ表示を選択することである。310での論理演算が、Tが臨界値t
α、N−1より大きいと判定した場合、閾値Δを超えた(そして対立仮説H
1が選択される)という結論が工程312で出され、
図5の510等のメッセージが表示される。一方、工程310で、Tが臨界値t
α、N−1未満、又はそれと等しい場合、閾値Δを超えなかった(よって、帰無仮説が選択される)という判定が工程316で出される。
【0057】
図3Aの単純化されたアルゴリズムが意図される代替的な実施形態では、
図3Bのプロセスの流れが、一定期間にわたって、各食事事象に利用され得る。最初に、特定の食事、例えば昼食等の、対形成された食事前と食事後のグルコース濃度測定値が、患者によって取得され、彼らの測定器のメモリ内に保存される(工程302’及び304’)。次に、食事前と食事後の測定値の平均差値
【数34】
及び標準偏差「s」が、工程306’で計算される。これは、通常、一例示的実施形態において、平均の食事前/食事後の差
【数35】
が、閾値Δ未満又はそれに等しい帰無仮説H
0(工程308’)、及び平均差
【数36】
が工程312’で閾値Δより大きい対立仮説H
1(工程309’)として示される。308’で論理演算が、食事前/食事後差
【数37】
が閾値Δ未満又はそれと等しいと判定する場合、以前に閾値Δを超えたかどうかについて、クエリーが工程316’で作製される。工程316’より前に閾値を超えた場合、帰無仮説がさもなければ選択され、適当なメッセージが工程320’で表示される。そうでなければ、以前に閾値を超えなかった場合、論理は工程302’に戻る。工程308’が「いいえ」を返す場合、判定は、
【数38】
が工程312’で閾値Δより大きいかどうかについての判定が行われる。真の場合、閾値Δを超えた(そして対立仮説H
1が選択される)という結論が工程312で出され、
図5の510等のメッセージが表示される。
【0058】
図3A又は3Bのフローチャートは、本発明のソフトウェアアルゴリズムの実施形態内で行われてもよい主なプロセス工程を概説する。前述のように、出願者は、装置のメモリに保持される食事前/食事後の測定結果の数、即ち食事前/食事後の差の試料規模が変動することを可能にし、それによって、統計的試験の有意水準及び統計的検出力を予め定める、即ち製造中に固定することが可能になることを目的とする。統計的試験の有意水準及び検出力の固定は、食事前/食事後の差の標準偏差と既定閾値Δとの間の比較が妥当な信頼性、即ち必要な信頼区間内で検出され得ることを確実にする。統計的検出力の制御は、ユーザーに表示される、ユーザーの糖尿病管理レジメンに関して不適切な行動を彼らに取らせる可能性がある偽陰性結果の数も最小にしてもよい。
【0059】
試験に関連するタイプ1(偽陽性結果)及びタイプ2(偽陰性結果)の誤差率は、十分に大きい試料規模が標準偏差の安定した推定値をもたらし、かつ食事の都度、食事前と食事後の間の許容可能な閾値平均差Δを超えたかどうかを判定するためのt検定において、適切な検出力を提供するように両方に使用されることを確実にすることにより、DMU 10内で制御され得る。
【0060】
(実施例2)
表2に図示されるように、食事前と食事後の血糖測定値(1デシリットル当りミリグラムの単位)が、20日間の周期にわたり、ユーザーにより収集された。表の本体の列「日」、「前」、及び「後」は、それぞれ、日を数え、食事前と食事後の測定値を列挙する。
【表2】
【0061】
以下は、食事前と食事後のグルコース測定値の間の平均差が所与の日で有意であるかを判定するための計算を説明する。食事前と食事後のグルコース測定値の間に有意な平均差がある場合、
図5に図示されるように、ディスプレイ装置500等のグルコース測定器スクリーン上に指示が表示され得る。表2のデータが食事の種類(例えば、朝食、昼食、又は夕食)のうちの1種類のみを有することに対応する場合、表2の結果は、
図5のグラフ棒(502、504、又は506)のうちの1つを生成するために使用され得る。
【0062】
計算の初期部分として、値Kは、6.186に設定され、DELTA(Δ)は、7.5mg/dLに設定される。表2の最上段に示される値Kは、5%の有意性(α)及び80%の検出力(β)のt検定において、式2を用いて計算される。表2の2番目の段は、有意差を判定するための食事前と食事後の平均レベル間の最小レベルの差であるDELTA(Δ)の値をもたらす。列「D」は、1デシリットル当りミリグラムの単位での、各日にちの食事前と食事後の測定値間の差を含む(工程206で説明される)。列「s」は、特定の段の日までを含む全てのD値の標準偏差(SD)を含む。SDを計算するためには最低2つの値を必要とするため、最初の段はSD値を持たないことに留意する。列「m」は、特定のK、s、及びΔの等式4を使用する、その日の有意な試験に必要な計算された試料規模mを含む。列「N」は、その日の実際の試料規模Nを含む。表2において、Nは、日数と相関することに留意する。しかしながら、他の場合において、1日当り1つの食事前/食事後の測定値の対組が収集され得ることにほかならない。
【0063】
Nの値がmの計算値(表2の10日目に初めて起こる)を超えると、t検定相当が既定の有意性及び検出力で実施され得る。「ready」列は、Nがm未満である「偽」、及びNがmより大きい又はそれと等しい「真」を含む。
【0064】
十分な数の食事前と食事後の測定値(即ち、Nがより大きい又はそれと等しい日(即ち、N≧m))が存在することを確立した後、表2の以下の列は、食事前と食事後の測定値の平均差が有意であるかどうかを示す。列「Dbar」は、その特定の段の日までを含む平均差Dの計算値を含む。列「P」及び「Q」は、それぞれ、等式7及び9に定義されるように、それらの量の計算値を示す。列「有意?」は、P>Qであるかを尋ねる。そうである場合、試験は、(既定の有意性及び検出力の)平均の食事前と食事後のグルコースにおける統計的な有意差を明らかにした。この例において、平均差は、10日目から有意であるため、「有意?」は、10〜20日目を通して真である。平均差が有意であるという警告指示は、以下に説明される(
図5を参照)ディスプレイ装置500上に示され得る。
【0065】
図5は、適切なポータブルの糖尿病管理ディスプレイ装置500を用いて、患者に表示されるメッセージの例示的実施形態を示す。ディスプレイ装置500は、各食事時間にわたる患者のグルコースレベルの変化の基準である、測定され、マイクロプロセッサのメモリに保存される食事前/食事後の差のグラフ指示を含む。
【0066】
図5に示される例示的実施形態では、結果は、特定の食事時間、例えば、朝食前と朝食後502、昼食前と昼食後504、及び夕食前と夕食後506により分類され得る。破線508は、
図5に示されるように、標的又は閾値食事前/食事後差値を示すために使用され得、この場合、およそ75mg/dLの1つの標的差値が与えられる。1つ以上の標的差値が、例えば、異なる食事時間により使用され得る。代替的に、異なる色の使用が、ユーザー(及び/又はHCP)に、測定結果がユーザーのHCPによって定義されるもの等の閾値標的値に近いかどうかをより容易にかつ迅速に示すために使用され得る。別の実施形態では、異なる色の使用は、ユーザー(及び/又はHCP)に、異なる値が等式7及び9に基づき統計的に有意であるかどうかをより容易にかつ迅速に示すために使用され得る。例えば、緑色は、結果が閾値内であることを示すために使用され得、一方、例えば赤色は、閾値と有意に異なる結果を示すために使用され得る。患者及び/又はHCPにとって、この種類のメッセージを見て、患者の糖尿病の制御レベルの認識を得ることは非常に容易であろう。ユーザーに表示されるグラフ出力における色の使用は、定義された閾値に対して測定結果を比較し、かつ/又は計算的により単純な様式で統計的有意性を示す1つの迅速かつ理解しやすい方式である。情報を表示する代替的形態が可能であり、本明細書に含まれることが意図される。
【0067】
図5は、朝食502、昼食504、及び夕食506付近の患者のグルコース差の測定値を表す例示的データを示す。朝食及び昼食付近の差の測定値は、この例示において非常に可変であることが示され、一実施形態では、これはある程度の注意を必要とする領域であり得ることを患者及び/HCPに迅速かつ容易に識別させるために赤で表示され得る。夕食時間506付近の測定された食事前/食事後のグルコース差を表すために示される例示的データは、標的値508を非常に下回り、したがって、患者の測定レジメンのこの特定の構成要素は、良好に制御されていることを示すために、例えば、緑で表示され得る。
【0068】
更に、ディスプレイ装置500は、これらに限定されないが、例えば、薬物、運動、及び/又は炭水化物の摂取を含む、患者に対する提案510、512を含んでもよい。
図5において、提案510は、朝食502及び昼食504付近の測定データを指し、したがって、特定の提案は、患者のグルコース変化を、定義された標的値508に近づける、即ち、患者を良好に制御する可能性がある。提案512は、この例示的実施形態では、良好であることに対して患者をほめてもよい。
【0069】
先に述べたように、マイクロプロセッサは、本明細書に記載の様々なプロセスのステップを一般的に実施するようにプログラムされてもよい。このマイクロプロセッサは、例えば、血糖値計、インスリンペン、インスリンポンプ、サーバ、携帯電話、パーソナルコンピュータ、又は移動携帯型装置などの特定の装置の一部であってよい。更に、本明細書で述べた様々な方法を用い、例えば、C、C+、C++、C−Sharp、Visual Studio 6.0、Windows 2000 Server及びSQL Server 2000などの既存のソフトウェア開発ツールを使用することによってソフトウェアコードを生成することができる。しかしながら、これらの方法は、こうした方法をコードするための新しいソフトウェア言語の必要条件及び入手可能性に応じて、他のソフトウェア言語に変換することもできる。更に、本明細書で述べた様々な方法は、適当なソフトウェアコードに一旦変換されれば、適当なマイクロプロセッサ又はコンピュータによって実行される際に、これらの方法において述べられた工程をあらゆる他の必要な工程とともに実行するように動作する、任意のコンピュータ読みだし可能な記憶媒体として実施することができる。
【0070】
本発明の利点は、患者が偽陰性結果を提供される、即ち、患者の食事前と食事後のグルコース濃度の平均の間に有意差があるが、患者に提供されるメッセージがそうではないと患者に伝える可能性を低減する工程を含む。患者が提供された結果により指導された行動を取る場合、そのような結果は、患者に判断を誤らせ、患者に危険な可能性がある。したがって、本発明は、必要とされる信頼区間内の既定の閾値Δから有意差を検出するために、統計的計算(即ち試料規模)により考慮される食事前/食事後のグルコース測定値の数を変動させながら、有意値α及び統計的検出力(1−β)を制御することにより生じるそのような事象の危険性を最小にする。
【0071】
本発明を特定の変形例及び説明図に関して述べたが、当業者には本発明が上述された変形例又は図に限定されないことが認識されよう。更に、上述の方法及び工程が特定の順序で起こる特定の事象を示している場合、当業者には特定の工程の順序が変更可能であり、そうした変更は本発明の変形例に従うものである点が認識されよう。更に、こうした工程のうちのあるものは、上述のように順次行われるが、場合に応じて並行したプロセスで同時に行われてもよい。したがって、開示の趣旨及び本発明の同等物の範囲内にある本発明の変形が存在する範囲では、本特許請求がこうした変形例をも包含することが意図されるところである。
【0072】
〔実施の態様〕
(1) ユーザーに、食事事象付近の前記ユーザーの血糖データが所定の弁別閾値を超えたことを糖尿病管理装置を用いて警告する方法であって、
前記糖尿病管理装置を用いて、特定の食事事象についての複数の食事前−食事後対(N)のグルコース濃度測定値(a plurality of pre and post-prandial pairs (N) of glucose concentration measurements)を収集する工程と、
前記糖尿病管理装置のマイクロプロセッサを用いて、前記特定の食事事象についての前記収集した複数の食事前−食事後対のグルコース濃度間の差に基づき、複数の
差値(D)を計算する工程と、
前記特定の食事事象における前記食事前−食事後測定値のN対の数が、計算された試料規模(m)以上であることを、前記事象において、前記マイクロプロセッサを用いて判定する工程と、
許容可能な確実性レベルで閾値(Δ)を超えているかどうかに関して、少なくとも1つの統計的試験を用いて確認する工程と、
許容可能な確実性レベルで前記閾値(Δ)を超えているという前記確認により、前記特定の食事について、前記グルコース測定値の対の数における前記
差値Dが前記閾値(Δ)を超えていることを前記ユーザーに出力する工程と、を含む、方法。
(2) 前記判定が、等式:
【数39】
を用いて、前記計算された試料規模mを計算する工程を含み、
式中、mが、前記許容可能な確実性の試料規模の値であり、
Kが、以下の等式:
【数40】
から得られる定数であり、
式中、z値が、特定の検出力(specified power)に依存する統計表からの標準変量の値と対応し、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値である、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記確認が、式:
【数41】
の前記統計的試験の適用を含み、
式中、
【数42】
が、前記試料の平均の食事後−食事前の差であり、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値であり、
Nが、食事前と食事後の測定値の対の前記試料規模である、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記確認が、以下のそれぞれの式:
【数43】
の量P及び臨界値Qを計算する工程を含み、
式中、
【数44】
が、前記試料の平均の食事後−食事前の差であり、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値であり、
Nが、食事前と食事後の測定値の対の前記試料規模であり、
t
αN−1が、有意水準及び自由度に基づく統計表からの臨界値である、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記確認が、以下のそれぞれの式:
【数45】
の量P及び臨界値Qを計算する工程を含み、
式中、
【数46】
が、前記試料の平均の食事後−食事前の差であり、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値であり、
Nが、食事前と食事後の測定値の対の前記試料規模である、実施態様2に記載の方法。
(6) ユーザーに、食事事象付近の前記ユーザーの血糖データが所定の弁別閾値を超えたことを糖尿病管理装置を用いて警告する方法であって、
流体試料中のグルコースを酵素的副産物に物理的に変換させ、前記流体試料のグルコース濃度に比例したある量の還元型の介在物質(例、フェロシアニド)を生成するように、複数のグルコース濃度測定を実施する工程と、
前記実施工程で得た前記複数のグルコース濃度測定から特定の食事事象についての複数の食事前−食事後対(N)のグルコース濃度測定値を収集する工程と、
前記特定の食事事象についての前記収集した複数の食事前−食事後対のグルコース濃度間の差に基づき、複数の
差値(D)を計算する工程と、
前記特定の食事事象における前記食事前−食事後測定値のN対の数が、計算された試料規模(m)以上であることを、前記事象において判定する工程と、
許容可能な確実性レベルで閾値(Δ)を超えているかどうかに関して、少なくとも1つの統計的試験を用いて確認する工程と、
許容可能な確実性レベルで前記閾値(Δ)を超えているという前記確認により、前記特定の食事について、前記グルコース測定値の対の数における前記
差値Dが前記閾値(Δ)を超えていることを前記ユーザーに出力する工程と、を含む、方法。
(7) 前記判定が、等式:
【数47】
を用いて、前記計算された試料規模mを計算する工程を含み、
式中、mは、前記許容可能な確実性の試料規模の値であり、
Kが、以下の等式:
【数48】
から得られる定数であり、
式中、z値が、特定の検出力に依存する統計表からの標準変量の値と対応し、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値である、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記確認が、式:
【数49】
の前記統計的試験の適用を含み、
式中、
【数50】
が、前記試料の平均の食事後−食事前の差であり、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値であり、
Nが、食事前と食事後の測定値の対の前記試料規模である、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記確認が、以下のそれぞれの式:
【数51】
の量P及び臨界値Qを計算する工程を含み、
式中、
【数52】
が、前記試料の平均の食事後−食事前の差であり、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値であり、
Nが、食事前と食事後の測定値の対の前記試料規模であり、
t
αN−1が、有意水準及び自由度に基づく統計表からの臨界値である、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記確認が、以下のそれぞれの式:
【数53】
の量P及び臨界値Qを計算する工程を含み、
式中、
【数54】
が、前記試料の平均の食事後−食事前の差であり、
sが、食事前と食事後の測定値の標準偏差であり、
Δが、既定閾値であり、
Nが、食事前と食事後の測定値の対の前記試料規模である、実施態様6に記載の方法。