(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795369
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】静電容量センサの改善
(51)【国際特許分類】
G01L 13/00 20060101AFI20150928BHJP
G01L 13/06 20060101ALI20150928BHJP
G01L 9/12 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
G01L13/00 A
G01L13/06 C
G01L9/12
【請求項の数】22
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-518464(P2013-518464)
(86)(22)【出願日】2011年6月21日
(65)【公表番号】特表2013-533974(P2013-533974A)
(43)【公表日】2013年8月29日
(86)【国際出願番号】US2011041211
(87)【国際公開番号】WO2012003110
(87)【国際公開日】20120105
【審査請求日】2013年2月25日
(31)【優先権主張番号】12/828,518
(32)【優先日】2010年7月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】グルヂェィン,クリシー
【審査官】
續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−032451(JP,A)
【文献】
実開昭60−031645(JP,U)
【文献】
実開昭60−088247(JP,U)
【文献】
特開2009−258109(JP,A)
【文献】
特開2009−162751(JP,A)
【文献】
実開平03−014443(JP,U)
【文献】
実開平05−019934(JP,U)
【文献】
特開平11−108783(JP,A)
【文献】
実開昭62−049743(JP,U)
【文献】
特開平10−148593(JP,A)
【文献】
特開2001−267588(JP,A)
【文献】
特開平10−332511(JP,A)
【文献】
実開昭61−176432(JP,U)
【文献】
実開平02−095832(JP,U)
【文献】
特開平07−128170(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0266172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 13/00
G01L 9/12
G01L 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を基準圧力に対して測定するように配設されている静電容量センサ組立体において、
筺体組立体であって、長手方向軸から半径に沿ってのびて前記筺体組立体内に空間を画定する半径方向内方壁を有する開口部を含むとともに、溶接点において溶接された測定側副組立体と基準側副組立体とを含む筺体組立体と、
前記筺体組立体に対して定着的に固定されている電極配列と、
可撓性のダイヤフラムであって、(a)活動部分と(b)前記溶接点と同一平面上の1つ又はそれ以上の箇所で前記筺体組立体に対して定着されている定着部分とを有する、ダイヤフラムと、を備えており、
前記筺体組立体は、前記ダイヤフラムと前記電極配列を互いに離間関係に、前記ダイヤフラムの前記活動部分が前記電極配列に対し当該ダイヤフラムの当該活動部分の互いに反対側の面に掛かる差圧に応えて撓むように支持しており、
前記ダイヤフラムは前記ダイヤフラムと前記筺体組立体の前記半径方向内方壁との間に1つの溝を提供するよう構成されており、前記ダイヤフラムは前記1つの溝の半径方向内側部分において前記筺体組立体の前記半径方向内方壁に対して接続されており、前記1つの溝は前記ダイヤフラムの前記活動部分への前記溶接による何らかの応力を逃がすよう作用する、静電容量センサ組立体。
【請求項2】
前記溝は、前記ダイヤフラムの前記活動部分の一方の面と流体連通している、請求項1に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項3】
前記筺体組立体は、前記ダイヤフラムの前記活動部分の一方の面側に基準気体を受け入れるための基準室を、そして前記活動部分の他方の面側に圧力を前記基準気体に対して測定される気体を受け入れるための測定室を、含むように構成されている、請求項2に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項4】
前記基準気体は周囲圧力にあり、前記静電容量センサ組立体は、周囲圧力の気体を前記基準室の中へ導入するための入口を更に含んでいる、請求項3に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項5】
前記基準気体は所定圧力にあり、前記静電容量センサ組立体は、基準圧力の気体を前記基準室の中へ導入するための入口を更に含んでいる、請求項3に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項6】
前記基準室と前記測定室は互いからシールされている、請求項3に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項7】
前記電極配列は前記基準室内に固定されている、請求項6に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項8】
前記電極配列は、リング電極と中心電極であって、前記ダイヤフラムの前記活動部分に対して所定距離だけ各々離間されている、リング電極と中心電極を含んでいる、請求項7に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項9】
前記溝は前記基準室と流体連通している、請求項3に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項10】
前記ダイヤフラムの前記活動部分が前記電極配列に対して当該活動部分の互いに反対側の面に掛かる差圧の所定範囲一杯に撓むように前記ダイヤフラムと前記電極配列の間のスペーシングを所定距離に維持するため、前記ダイヤフラムと前記電極配列に対して固定されているスペーサリングを更に備えている、請求項1に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項11】
前記スペーサリングは、前記1つの溝の少なくとも一部分を当該ダイヤフラムの前記活動部分の一方の面と流体連通させられるように形成されている、請求項10に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項12】
前記1つの溝と当該ダイヤフラムの前記活動部分の前記一方の面は基準気体を受け入れる、請求項11に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項13】
前記基準気体は周囲圧力にある、請求項12に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項14】
前記基準気体は基準圧力にある、請求項12に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項15】
前記スペーサリングは、複数の溝であって、それぞれが前記1つの溝と前記ダイヤフラムの一方の側との間に流体連通が許容されるように前記1つの溝と整列している、複数の溝を含んでいる、請求項11に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項16】
前記ダイヤフラムは当該ダイヤフラムの前記定着部分の全周に亘って前記筺体組立体へ固定されており、前記1つの溝は環状溝である、請求項1に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項17】
前記静電容量センサ組立体は、前記ダイヤフラムの前記活動部分が前記電極配列に対して当該活動部分の互いに反対側の面に掛かる差圧の所定範囲一杯に撓むように前記ダイヤフラムと前記電極組立体の間のスペーシングを既定距離に維持するため、前記ダイヤフラムと前記電極配列に対して固定されているスペーサリングを更に含んでおり、前記スペーサリングは、複数の溝であって、それぞれが前記環状溝を前記ダイヤフラムの前記活動部分の一方の面と流体連通に維持するように前記環状溝と整列している、複数の溝を含んでいる、請求項16に記載の静電容量センサ組立体。
【請求項18】
筺体組立体であって、長手方向軸から半径に沿ってのびて前記筺体組立体内に空間を画定する半径方向内方壁を有する開口部を含む筺体組立体と、電極配列と、ダイヤフラムであって前記筺体組立体へ固定されている定着部分と前記ダイヤフラムの互いに反対側の面に掛かる差圧に応えて前記電極配列に対し動く活動部分とを有するダイヤフラムと、を含んでいる型式のセンサ組立体を構成する方法において、
溶接点において測定側副組立体と基準側副組立体とを溶接する工程と、
前記ダイヤフラムの前記定着部分を前記溶接点と同一平面上の1つ又はそれ以上の箇所で前記筺体組立体の少なくとも一部分に対して固定する工程と、
前記ダイヤフラムと前記筺体組立体の前記半径方向内方壁との間に1つの溝を形成する工程であって、前記1つの溝は前記ダイヤフラムの前記活動部分への前記溶接による何らかの応力を逃がすよう作用し、前記ダイヤフラムは前記1つの溝の半径方向内側部分において前記筺体組立体の前記半径方向内方壁に対して接続されている、1つの溝を形成する工程と、を備えている方法。
【請求項19】
前記ダイヤフラムの前記定着部分を固定する工程は、前記ダイヤフラムの前記定着部分を前記筺体組立体の一部分へ溶接する工程を含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1つの溝を形成する工程は、前記ダイヤフラムが所定場所に固定された後に、前記1つの溝を前記ダイヤフラムの前記定着部分に放電機械加工する工程を含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記電極配列と前記ダイヤフラムの間に、当該ダイヤフラムの前記活動部分と当該電極配列の間のギャップスペーシングを確定するためのスペーサリングを固定する工程を更に含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1つの溝を前記スペーサリングに形成する工程であって、前記1つの溝が前記ダイヤフラムの一方の側と流体連通するよう前記スペーサリングの前記少なくとも1つの溝が前記1つの溝と整列するように、少なくとも1つの溝を前記スペーサリングに形成する工程を更に含んでいる、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、静電容量センサに関しており、より厳密には、ダイヤフラムを含んでいる低圧キャパシタンスマノメータであって、ダイヤフラムを、溶接時の座屈を無くし溶接によって引き起こされる歪みからダイヤフラムが絶縁されるように、マノメータ筺体内に固定するように構成されている低圧キャパシタンスマノメータに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]静電容量センサは、普通、圧力を測定される気体又は蒸気を受け入れるための第1の室と基準圧力の気体を受け入れるための第2の室の2室を含む筺体を含んでいる。基準圧力は、典型的には、基準源か又は周囲条件を反映している周囲気体かの何れかから求められる。2つの室はそれらの間に配置されている可撓性のダイヤフラムによって隔てられている。ダイヤフラムは、一方の室を他方の室からシールするように周囲が定着されていて、測定圧力と基準圧力の間の差の関数として撓む活動部分を有している。キャパシタンスマノメータでは、ダイヤフラムは、2つの電極、即ち典型的には一方がリング電極、他方が中心電極であって、どちらも軸方向にダイヤフラムの活動部分の中心軸と整列している2つの電極から、離間されている。電極は、一方の室、普通は基準気体を収容している室、に配置されている。差圧がダイヤフラムに掛かると、ダイヤフラムは2つの電極に対して撓む。ダイヤフラムを電気的に接続し、それも同様に電極として機能させることによって、差圧はダイヤフラムと中心電極の間の静電容量及びダイヤフラムとリング電極の間の静電容量における差の関数として測定できるようになる。基準圧力が既知であれば、測定された圧力は静電容量測定値から簡単に求めることができる。
【0003】
[0003]キャパシタンスマノメータの圧力測定範囲は、一部には、ダイヤフラムとリング電極及び中心電極の間のスペーシングによって求められる。ゼロ位置では、ダイヤフラムの表面は、平坦であってリング電極及び中心電極と可能な限り平行になっていなくてはならない。従って、測定しようとする差圧における値が低ければ低いほど、ダイヤフラムは、問題の圧力範囲について最大信号動的範囲を提供するべく、センサ筺体内でリング電極及び中心電極により近付けて固定されることが必要である。このことが結果的に平行度の要件をいっそう厳しくすることになる。結果として、ダイヤフラムを筺体内に固定するのに先立って、ダイヤフラムの表面をそれらが可能な限り平らになるようにラップ仕上げするべく細心の注意が払われている。更に、ダイヤフラムをハウジング内で固定するのにも、ダイヤフラムのリング電極及び中心電極に対する正しい配置と平行度が確保されるように注意が払われなくてはならない。ダイヤフラムは、普通、センサの圧力測定側副組立体の一部として形成され、その後、リング電極及び中心電極を収容している基準側副組立体へ溶接されている。しかしながら、ダイヤフラムの所定場所への溶接は、ダイヤフラムを座屈させかねず、それにより溶接部の応力のせいでギャップが変化しないとも限らない。而して、座屈があれば、ダイヤフラムがもはや完全に平らというわけにはいかないことから、或る程度の非平行性が持ち込まれる。このことは、比較的低い差圧を測定するのに使用されるセンサについては、ダイヤフラムとリング電極及び中心電極の間に極めて狭いギャップが要求されることから、とりわけ重大である。
【0004】
[0004]応力を低減した溶接を提供するものとして電子ビーム溶接やレーザー溶接の様な各種技法が知られているが、その様な技法は実施するのに比較的費用が高い。ガスタングステンアーク溶接(GTAW)又はプラズマ溶接の様な比較的安価な技法の使用は結果的にダイヤフラムへの応力をより大きくしてしまう。同様に、低い圧力に対応するべくダイヤフラムの厚さを削減することも、ダイヤフラムを筺体に対してダイヤフラムを歪ませることなく固定するのが難しいために困難である。従って、ダイヤフラムをセンサ筺体内に固定するに当たり、ダイヤフラムの平坦性と、ダイヤフラムとリング電極及び中心電極それぞれとの間のギャップスペーシングとが、センサが組み立てられた後も満足に維持されるやり方で固定されるように、センサを構成するのが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
[0005]1つの態様によれば、センサ組立体は、筺体組立体と、電極配列と、ダイヤフラムであって、筺体組立体へ固定されている定着部分と、ダイヤフラムの互いに反対側の面に掛かる差圧に応えて電極配列に対し動く活動部分と、を有するダイヤフラムと、を備えている。ダイヤフラムの定着部分は1つ又はそれ以上の箇所で筺体組立体の少なくとも一部分に対して固定されており、ダイヤフラムの定着部分には、ダイヤフラムが筺体組立体に対して定着されている箇所と活動部分との間に、ダイヤフラムの活動部分への何らかの応力を逃がすための少なくとも1つの溝が形成されている。
【0006】
[0006]別の態様によれば、静電容量センサ組立体が、圧力を基準圧力に対して測定するように配設されている。静電容量センサ組立体は、筺体組立体と、筺体組立体に対して定着的に固定されている電極配列と、可撓性のダイヤフラムであって、(a)活動部分と(b)1つ又はそれ以上の箇所で筺体組立体に対して定着されている定着部分とを有するダイヤフラムと、を備えている。筺体組立体は、ダイヤフラムと電極配列を互いに離間関係に、ダイヤフラムの活動部分が電極配列に対し当該ダイヤフラムの活動部分の互いに反対側の面に掛かる差圧に応えて撓むように支持している。ダイヤフラムは、可撓性のダイヤフラムが筺体組立体に対して定着されている箇所と活動部分との間に、ダイヤフラムの活動部分への何らかの応力を逃がすための少なくとも1つの溝を含んでいる。
【0007】
[0007]別の態様によれば、筺体組立体と、電極配列と、ダイヤフラムであって、筺体組立体へ固定されている定着部分と、ダイヤフラムの互いに反対側の面に掛かる差圧に応えて電極配列に対し動く活動部分と、を有するダイヤフラムと、を含んでいる型式のセンサ組立体を構成する方法が提供されている。方法は、ダイヤフラムの定着部分を1つ又はそれ以上の箇所で筺体組立体の少なくとも一部分に対して固定する工程と、ダイヤフラムの定着部分の、ダイヤフラムが筺体組立体に対して定着されている箇所と活動部分との間に、ダイヤフラムの活動部分への何らかの応力を逃がすための少なくとも1つの溝を形成する工程と、を備えている。
【0008】
[0008]添付図面を参照するが、全図面を通し要素が同じ符号を付されている場合は同様の要素であることを表している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009]改善された構造を組み入れている静電容量センサ組立体の1つの実施形態の断面図である。
【
図2】[0010]
図1の実施形態で利用されているスペーサの1つの実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0011]
図1を参照すると、静電容量センサ組立体10の或る実施形態が、圧力を基準圧力に対して測定するのに使用されている。静電容量センサ組立体10は、筺体組立体12を備えている。筺体組立体12は、測定側副組立体14と基準側副組立体16の少なくとも2つの副組立体を含んでいる。副組立体14は、一端に圧力を測定される気体を受け入れるための開口部20をそして他端にダイヤフラム22を有する円筒部分18を含んでいる。部分18と開口部20とダイヤフラム22とによって画定される空間は、圧力を測定される気体を収容するための測定室24を画定している。第2の基準側副組立体16は、入口管32を受け入れるための第1開口部30と、中心電極36及びリング電極38を含む電極配列を受け入れるための第2開口部34と、ゲッタ(点線で表示)40と、を有するエンドプレート28、を有している円筒部分26を含んでいる。円筒部分26及びエンドプレート28が第1の筺体組立体へ固定されると、反対側の端をダイヤフラム22によって閉じられた基準気体室42が形成される。入口管32は、気体が当該管を通って基準気体室38の中へ導入されること又は基準気体室38から除去されることが可能になるように、エンドプレート28内にシールされている。基準気体は、既定の基準圧力にあってもよく、その場合、管は、ひとたび基準圧力が確立されたらシール閉鎖されることになる。代わりに、管が開きっぱなしにされている事例では、基準気体は周囲圧力となる。電極36及び38は、それらがダイヤフラムの活動部分に対し且つ互いに対して正しく位置付けられるように、適切な電気絶縁性シール材料44(ガラス、セラミック、など)を用いて所定場所にシールされることになる。スペーサ要素46は、典型的には、電極36と38がそれぞれダイヤフラム22の一方の面から既定距離だけ離間されるようにダイヤフラムと両電極の間に配置されるリングの形態をしている。
【0011】
[0012]ダイヤフラム22は、測定気体室24と基準気体室42が互いからシールされるように所定場所に固定されている。また、ダイヤフラム22の外側部分は、筺体組立体14に対して定着されており、一方、電極に対向するダイヤフラム22の中央部分48は、ダイヤフラム22の互いに反対側に掛かる差圧の関数としての量だけ撓む活動部分になっている。
【0012】
[0013]作動時、ダイヤフラムに掛かる差圧は、ダイヤフラム22の活動部分48と中心電極36の間の静電容量及びダイヤフラム22とリング電極38の間の静電容量における差の関数として測定されることになる。この理由から、ダイヤフラムの活動領域48と中心電極36とリング電極38は、それらが同軸に互いに整列するように固定されていなくてはならず、ダイヤフラム22は、2つの電極に対しての正確な静電容量測定が提供されるように可能な限り平坦であることが必要である。
【0013】
[0014]組み立て中、ダイヤフラム22は、ダイヤフラムがその周辺縁50に沿って所定場所に固定されるように、溶接の様な何らかの適した手段によって筺体組立体12へ固定される。同じ溶接を、スペーサ要素46と2つの副組立体14及び16を固定するのに使用することができる。ダイヤフラム22は、測定気体室24と基準気体室42が互いから独立した圧力に維持されるよう、測定気体室24と基準気体室42が互いから絶縁されることが保証されるやり方で取り付けられねばならない。溶接プロセス中、大抵はダイヤフラムに機械的応力が引き起こされ、それが起因となってダイヤフラム22の活動部分48がその平坦度に幾分歪みを来たす。これは、当然ながら、静電容量測定に、ひいては圧力測定に誤差を引き起こすことになる。
【0014】
[0015]従って、ダイヤフラム22が筺体組立体12に対して固定された後もその平坦度を保持するようにセンサ組立体10を構成するのが望ましい。具体的には、センサ組立体を、ダイヤフラム22が所定場所に溶接された後にその活動部分48の機械的圧力を逃がすための構造を含むように構成する。示されている実施形態では、ダイヤフラム22の、当該ダイヤフラムが筺体組立体10に対して定着されている箇所とダイヤフラム22の活動部分48の間に溝52を形成することによって機械的応力を逃がす。記載の実施形態では、溝52がダイヤフラム全体を廻って環状になるようにダイヤフラムの周辺部全周が定着されている。溝の深さは、何らの応力もダイヤフラムの活動部分に作用すること無く溝によって吸収されることを確約するのに十分でなくてはならない。溝の深さ対幅のアスペクト比が少なくとも(大凡)5:1であれば最良の結果がもたらされることが実験から求められているが、これは変わることもある。溝52は、一方の室と流体連通しており、図示の実施形態では、溝は基準気体室42と流体連通であることが示されている。これによりダイヤフラム22の互いに反対側の面で差圧が存在しているときに溝52の気体と測定室24の気体の間に差圧が生じる。従って、溝52と測定気体室
24の間の壁54は、差圧がセンサの設計が対象としている差圧範囲の最大値になったときも堅いままでいられるように十分に厚くなくてはならない。
【0015】
[0016]リングとして示されているスペーシング要素46は、溝52と基準気体室42の間の流体連通を確保するように設計されている。これは、リングの内径を溝の直径より大きくするか又は
図2に描かれている様にリングに環状溝の1つ又はそれ以上の部分と整列する開口又は溝56を形成するかのどちらかによって達成することができ、
図2では、スペーサはリングの内側部分に形成されている溝56を有するものとして示されている。
【0016】
[0017]ダイヤフラムへの機械的応力を逃がすように静電容量センサを形成することにより、どれ程の応力が初期に発生するかに関わらず、幾つもの数の技法に従ってダイヤフラムをハウジングに対して固定することができるようになる、ということが理解されるはずである。従って、センサの製造費用が下がるようにGTWA又はプラズマ溶接の様な費用の低い技法を採用することができる。
【0017】
[0018]ここに開示されている本開示の新規な改善された静電容量センサ組立体及び方法並びにそのあらゆる要素は、付随の特許請求の範囲による請求項の少なくとも1つの範囲内に含まれている。本開示によるシステム及び方法の要素は、何れも権利を放棄するつもりはなく、またそれら要素は必ずしも請求項の解釈を制限することを意図するものでもない。これらの請求項では、要素が単数形で言及されている場合、それは、厳密にそう述べられていない限り「1つ又は1つだけ」を指すことを意図しているわけではなく、むしろ「1つ又はそれ以上」を意味する。本開示全体を通して記載されている様々な実施形態の要素に匹敵する全ての構造及び機能等価物は、当業者に既知であるものも、これから先に既知となるものも、言及することによって明白にここに組み入れられ、特許請求の範囲によって網羅されるものとする。また、ここに開示されているものは何れも、その様な開示が特許請求の範囲の中に明示的に示されているかどうかに関わりなく、公衆に献呈されることを意図するものではない。請求項の要素については、要素が明白に、「〜のための手段」という語句を使用して示されていない限り、或いは方法の請求項の場合には「〜のための工程」という語句を使用して示されていない限り、何れの要素も35U.S.C.第112条の規定事項の下に解釈されてはならない。
【符号の説明】
【0018】
10 静電容量センサ組立体
12 筺体組立体
14 測定側副組立体
16 基準側副組立体
18 円筒部分
20 開口部
22 ダイヤフラム
24 測定室、測定気体室
26 円筒部分
28 エンドプレート
30 第1開口部
32 入口管
34 第2開口部
36 中心電極
38 リング電極
40 ゲッタ
42 基準気体室
44 電気絶縁性シール材料
46 スペーサ要素
48 ダイヤフラムの活動部分
50 ダイヤフラムの周辺縁
52 溝
54 壁
56 スペーサの溝