(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
“ポリマー”なる表現は、本発明によれば、上記の化合物と反応し得る少なくとも1個の不飽和または二重結合を含有する任意のポリマーを意味するものと理解されたい。
好ましくは、本発明のポリマーは、ジエンエラストマーである。
【0013】
これらのジエンエラストマーは、知られている通り、2つのカテゴリー、即ち、“本質的に不飽和”と称するジエンエラストマーおよび“本質的に飽和”と称するジエンエラストマーに分類し得る。これら2つの2つのカテゴリーのジエンエラストマーを、本発明の関連において想定し得る。
【0014】
本質的に飽和のジエンエラストマーは、常に15%(モル%)よりも少ない低いまたは極めて低いジエン起原(共役ジエン)のモチーフまたは単位量を有する。従って、例えば、ブチルゴムまたはEPDMタイプのジエンとα‐オレフィンとのコポリマーは、上記の本質的に飽和のジエンエラストマーの定義に属する。
【0015】
対照的に、“本質的に不飽和のジエンエラストマー”なる表現は、15%(モル%)よりも多いジエン起原(共役ジエン)のモチーフまたは単位量を有する、共役ジエンモノマーに少なくとも一部由来するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。“本質的に不飽和”のジエンエラストマーのカテゴリーにおいては、“高不飽和”のジエンエラストマーなる表現は、特に、50%よりも多いジエン起原(共役ジエン)の単位量を有するジエンエラストマーを意味するものと理解されたい。
【0016】
“本発明において使用することのできるジエンエラストマー”なる表現は、さらに詳細には、以下を意味するものと理解されたい:
(a) 4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーを重合させることによって得られる任意のホモポリマー;
(b) 1種以上の共役ジエンを相互にまたは8〜20個の炭素原子を有する1種以上のビニル芳香族化合物と共重合させることによって得られる任意のコポリマー;
(c) エチレンおよび3〜6個の炭素原子を含有するα‐オレフィンを、6〜12個の炭素原子を含有する非共役ジエンモノマーと共重合させることによって得られる3成分コポリマー、例えば、上記タイプの非共役ジエンモノマー、例えば、特に、ヘキサジエン‐1,4、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンと一緒のエチレン、プロピレンから得られるエラストマー;そのようなポリマーは、特に、文献WO 2004/035639A1およびUS 2005/0239639A1に記載されている;
(d) イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、並びに、このタイプのコポリマーのハロゲン化形、特に、塩素化または臭素化形。
上記の表現は任意のタイプのジエンエラストマーに当てはまるけれども、高不飽和タイプ、特に、上記の(a)または(b)タイプの少なくとも1種のジエンエラストマーの使用が好ましい。
【0017】
共役ジエンとしては、ブタジエン‐1,3;2‐メチル‐1,3‐ブタジエン;例えば、2,3‐ジメチル‐1,3-ブタジエン、2,3‐ジエチル‐1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐3‐エチル‐1,3‐ブタジエンまたは2‐メチル‐3‐イソプロピル‐1,3‐ブタジエンのような2,3‐ジ(C
1〜C
5アルキル)‐1,3‐ブタジエン;アリール‐1,3‐ブタジエン、1,3‐ペンタジエン、2,4‐ヘキサジエンが、特に適している。ビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン;オルソ‐、メタ‐またはパラ‐メチルスチレン;“ビニル‐トルエン”市販混合物;パラ‐tert‐ブチルスチレン;メトキシスチレン;クロロスチレン;ビニルメシチレン;ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレンが適している。
【0018】
上記コポリマーは、99質量%と20質量%の間の量のジエン単位と1質量%と80質量%の間の量のビニル芳香族単位を含み得る。これらのエラストマーは、使用する重合条件、特に、変性剤および/またはランダム化剤の存在または不存在並びに使用する変性剤および/またはランダム化剤の量に依存する任意のミクロ構造を有し得る。上記エラストマーは、例えば、ブロック、ランダム、序列または微細序列エラストマーであり得、分散液、エマルジョンまたは溶液として調製し得る;これらのエラストマーは、カップリング剤および/または星型化剤(starring agent)或いは官能化剤によってカップリングし得および/または星型化し得或いは官能化し得る。
【0019】
ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらエラストマーの混合物からなる群から選ばれるジエンエラストマーは、特に適している。そのようなコポリマーは、さらに好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)およびそのようなコポリマーの混合物からなる群から選択する。
【0020】
本発明によれば、少なくとも1個の不飽和または二重結合を有する上記ポリマーは、変性剤とも称し、少なくとも、また、好ましくは、1個の“スペーサー”基Spによって一緒に結合させた少なくとも1個の基Qと少なくとも1個の基Aを含む化合物をグラフトさせることによって変性する;上記において、
Qは、少なくとも、また、好ましくは、1個の窒素原子を含有する双極子を含む;
Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む会合性基を含む;
Spは、QとA間の結合を形成する原子または複数の原子の基である。
【0021】
“双極子”なる表現は、不飽和炭素‐炭素結合への1,3‐双極子付加を形成することのできる官能基を意味するものと理解されたい。
“会合性基(associative group)”なる表現は、水素結合、イオン結合および/または疎水結合によって互いに結合することのできる基を意味するものと理解されたい。本発明の好ましい実施態様によれば、これらの基は、水素結合によって結合することのできる基である。
【0022】
上記会合性基が水素結合により結合し得る場合、各会合性基は、2個の同一の会合性基が、自己補足性であり、互いに結合して、少なくとも2個の水素結合を形成し得るように、水素結合に関連する少なくとも1個の供与体“部位”と1個の受容体部位を含む。
また、本発明に従う会合性基は、充填剤上に存在する官能基と水素結合、イオン結合および/または疎水結合によって結合し得る。
【0023】
1個の基Qおよび1個の“スペーサー”基および1個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ia)によって示し得る:
A − Sp − Q(Ia)
【0024】
1個の基Q、1個の“スペーサー”基および2個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ib)によって示し得る:
【化2】
【0025】
同様に、2個の基Q、1個の“スペーサー”基および1個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Ic)によって示し得る:
【化3】
【0026】
同じ原理によれば、2個の基Q、1個の“スペーサー”基および2個の会合性基を含む本発明に従う化合物は、例えば、下記の式(Id)によって示し得る:
【化4】
【0027】
好ましくは、上記会合性基は、イミダゾリジニル、ウレイル、ビス‐ウレイル、ウレイド‐ピリミジル、トリアゾリル基から選ばれる。
好ましくは、基Aは、下記の式(II)〜(VI)の1つに相応する:
【化5】
(式中、Rは、必要に応じてヘテロ原子を含有し得る炭化水素基を示し;
Xは、酸素もしくはイオウ原子または基‐NH、好ましくは酸素原子を示す)。
【0028】
好ましくは、基Aは、少なくとも1個のカルボニル官能基を含む5員または6員のジまたはトリ窒素含有の、好ましくはジ窒素含有の複素環を含む。
同様に、さらに好ましくは、基Aは、式(II)のイミダゾリジニル基を含む。
【0029】
基Qは、少なくとも1個の不飽和または二重結合を含むポリマー鎖に共有結合によって結合(グラフト)し得る。好ましくは、基Qは、少なくとも1個の不飽和を担持するポリマーに[3+2]タイプの付加環化によって結合し得るニトリルオキシド、ニトロンまたはニトリルイミン官能基を含む。
【0030】
好ましくは、基Qは、下記の式(VII)、(VIII)または(IX)の基である:
【化6】
[式中、R1〜R6は、個々に、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X)の基から選ばれる:
【化7】
(X)
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し、各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキル基またはハライドを示す)]。
【0031】
“スペーサー”基Spは、少なくとも1個の基Qおよび/または少なくとも1個の会合性基を結合させることを可能にし、従って、それ自体既知の任意のタイプであり得る。にもかかわらず、上記“スペーサー”基は、全くまたは如何なる程度も、本発明に従う化合物の基Qおよび会合性基を干渉すべきではない。
【0032】
従って、上記“スペーサー”基は、基Qに対しては不活性基としてみなされる。上記“スペーサー”基は、好ましくは、線状、枝分れまたは環状の炭化水素鎖であり、1個以上の芳香族基および/または1個以上のヘテロ原子を含み得る。上記鎖は、置換基が基Qに対して不活性である限り、必要に応じて置換し得る。
好ましい実施態様によれば、上記“スペーサー”基は、窒素、イオウ、ケイ素または酸素原子から選ばれる1個以上のヘテロ原子を必要に応じて含む線状または枝分れのC1〜C24、好ましくはC1〜C10アルキル鎖、さらに好ましくは線状のC1〜C6アルキル鎖である。
【0033】
本発明の1つの実施態様によれば、基Qは、好ましくは、下記の式(XIa)または(XIb):
【化8】
(式中、R7およびR8は、個々に、C1〜C5アルキル基、アルコキシルまたはハライドを示し、好ましくは、R7およびR8は、個々に、アルキル基またはハライドを示し、さらに好ましくは、R7およびR8は、個々に、メチル基または塩素原子を示し;R3は、上記で定義したとおりである)
の基であり;そして、基Aは、下記の式(XII):
【化9】
(XII)
の基である。
【0034】
好ましくは、本発明に従うポリマーをグラフト化することを意図する上記化合物は、その場合、下記の式(XIII)〜(XXI)の化合物から選択する:
【化10】
(式中、R3は、上記で定義したとおりである)
【0036】
本発明のもう1つの実施態様によれば、本発明に従うポリマーをグラフト化することを意図する化合物は、下記の式(XXII)〜(XXIII)の化合物から選択する:
【化12】
[式中、Rは、スペーサー基Sp、水素原子、線状または枝分れのC1〜C20アルキル基、線状または枝分れのC3〜C20シクロアルキル基、線状または枝分れのC6〜C20アリール基、および下記の式(X)の基から選ばれる:
【化13】
(X)
(式中、nは、1、2、3、4または5を示し、各Yは、個々に、スペーサー基Sp、アルキル基またはハライドを示す)]。
【0037】
好ましい実施態様によれば、変性剤の量は、0.01〜50モル%、好ましくは0.01〜5モル%の範囲にある。
【0038】
また、本発明の主題は、上記のグラフトエラストマーの製造方法でもある。
上記ポリマーのグラフト化は、上記ポリマーを上記変性剤が担持する反応基(1個以上)と反応させることによって実施する。この反応中に、このまたはこれらの反応基は、ポリマー鎖との共有結合を形成する。グラフト収率は、特に高く、好ましくは60%よりも高く、さらにより好ましくは80%よりも高い。
【0039】
上記変性剤のグラフト反応は、上記変性剤の反応基(1個以上)と上記ポリマー鎖の1個以上の二重結合の[3+2]付加環化によって実施する。上記付加環化のメカニズムは、下記の等式によって説明し得る:
・上記ポリマー(この場合は、ポリイソプレン)の不飽和または二重結合上でのニトリルオキシドの付加環化:
【化14】
【0040】
・上記ポリマー(この場合は、ポリイソプレン)の不飽和または二重結合上でのニトロンの付加環化:
【化15】
【0041】
・上記ポリマー(この場合は、ポリイソプレン)の不飽和または二重結合上でのニトリルイミンの付加環化:
【化16】
各置換基Rは、上記で説明したとおりである。
【0042】
上記変性剤のグラフト反応は、塊状で、例えば、密閉ミルまたはオープンミルのような開放ミル内で、或いは溶液中で実施し得る。グラフト過程は、溶液中で、連続してまたはバッチ方式で実施し得る。そのようにして変性したポリマーは、その溶液から、当業者にとって既知の任意の手段によって、特に、水蒸気ストリッピング操作によって分離し得る。
本発明およびその利点は、以下の実施例に照らせば容易に理解し得るであろう。
【0043】
実施例
合成分子の構造分析およびモル純度測定は、NMR分析によって実施する。スペクトルは、“ブロードバンド”プローブBBIzグラッド5mmを備えたBruker Avance 500 MHz分光計において獲得する。定量的1H NMR試験は、30°単一パルスシーケンスおよび64回の獲得毎の3秒間の繰返し遅延を使用する。サンプルは、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解する。また、この溶媒は、ロックシグナルにおいても使用する。較正は、重水素化DMSOのプロトンの2.44ppmでのシグナルについて、0ppmでのTMS参照と対比して実施する。2D 1H/13C HSQCおよび1H/13C HMBC試験値と一緒の1H NMRスペクトルは、分子の構造判定を可能にする(帰属表参照)。モル定量化は、定量的1D 1H NMRスペクトルによって出発して実施する。
【0044】
赤外線測定は、芳香族化合物が担持するニトリルオキシド基の存在を検証することを可能にする。スペクトルは、DTGS検出器を備えたFourier変換分光計VERTEX 70において獲得する。スペクトルは、400cm
-1と400 cm
-1の間での32回の走査において、2 cm
-1の解像力によって獲得する。サンプルは、KBrペレットの形で調製する。芳香族化合物が担持するニトリルオキシド官能基は、2295 cm
-1におけるバンドによって特性決定する。
【0045】
質量分析による分析は、エレクトロスプレーイオン化モード(DI/ESI)による直接注入によって実施する。分析は、Bruker HCT分光計において実施した(流量 600μL/分、噴霧器ガス圧 68.95kPa (10psi)、噴霧器ガス流量 4L/分)。
【0046】
グラフトさせたニトリルオキシド化合物のモル量の測定は、NMR分析によって実施する。スペクトルは、“ブロードバンド”プローブBBIzグラッド5mmを備えたBRUKER 500 MHz分光計において獲得する。定量的
1H NMR試験は、30°単一パルスシーケンスおよび獲得毎の3秒間の繰返し遅延を使用する。サンプルは、硫化炭素(CS
2)中に溶解する。100μLの重水素化シクロヘキサン(C
6D
12)を、ロックシグナルにおいては添加する。
【0047】
1H NMRスペクトルは、グラフトさせたニトリルオキシド単位を定量することを、δ= 3.1〜3.8ppm間の化学シフトにおいて現れるCH
2NおよびCH
2Oプロトンのシグナル特性の集積によって可能にする。
2D
1H-
13C HSQC NMRスペクトルは、グラフトさせた単位の性質を検証することを、炭素およびプロトン原子の化学シフトによって可能にする。
【実施例1】
【0048】
2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシドをグラフトさせることによるSBRの変性
1.1‐変性剤の調製:
a) 1‐(2‐(3’‐ニトリルオキシメシチル‐1’‐オキシ)エチル)イミダゾリジン‐2‐オンの調製
【化17】
【0049】
この化合物は、下記の合成スキームに従い、ヒドロキシエチルイミダゾリドンメシトールから調製し得る。
【化18】
【0050】
b) 3‐ヒドロキシ‐2,4,6‐トリメチルベンズアルデヒドの調製
【化19】
【0051】
この化合物は、以下の論文に記載されている手順に従って得ることができる:Yakubov, A. P.; Tsyganov, D. V.; Belen’kii, L. I.; Krayushkin, M. M.; Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR, Division of Chemical Science (English Translation); vol. 40; nb. 7.2; (1991); p. 1427 - 1432;Izvestiya Akademii Nauk SSSR, Seriya Khimicheskaya; nb. 7; (1991); p. 1609 - 1615。
【0052】
c) 1‐(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オンの調製
【化20】
【0053】
この生成物は、論文Nagarajan K., Arya V. P., Shah R. K.; Indian Journal of Chemistry, Section B: Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry; 21; 10; 1982; 928‐940に記載されている。
【0054】
ジクロロメタン(250mL)中の1‐(2‐ヒドロキシエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(50.0g、0.39モル)の溶液に、室温で、塩化チオニル(34mL、0.47モル)を35分間に亘って滴下によって添加する。添加終了時において、反応媒体の温度は、35℃である。反応媒体を、35〜40℃の温度に2.5時間保つ。減圧(T
浴35℃、15〜17ミリバール)下での蒸留後に、粗生成物を得る(67g)。この粗生成物をアセトンと石油エーテルの混合物から結晶化する(−24℃、10〜15時間において、950mLのアセトンと820mLの石油エーテル当り35mg)。結晶を濾過し、石油エーテルで洗浄し(40mLで2回)、その後、大気圧下に室温で10〜15時間乾燥させる。
93℃の融点を有する白色固形物(33.3g、収率66%)を得る。
モル純度は、97%よりも高い(
1H NMR)。
【0055】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表1に示している。
【化21】
【0056】
表1
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)
【0057】
d) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ベンズアルデヒドの調製
【化22】
【0058】
メタノール(60mL)中のナトリウム(1.63g、0.071モル)の溶液に、無水トルエン(300mL)中の3‐ヒドロキシ‐2,4,6‐トリメチルベンズアルデヒド(11.90g、0.073モル)を滴下により添加する。混合物を還流下に加熱し、その後、メタノールを留出させる(集めた共沸混合物の容量 80〜90mL)。80〜90℃に戻した後、(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(10.45g、0.070モル)を、一度に、反応媒体に添加する。還流下に7時間加熱した後、溶媒を減圧(T
浴35℃、25ミリバール)下に蒸発させる。ジクロロメタン(150mL)と水(30mL)を、得られた混合物に添加する。その後、有機相を水(20mL)で2回洗浄する。Na
2SO
4上で乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧(T
浴35℃、33ミリバール)下に蒸発させる。石油エーテル(50mL、3回)と水(50mL)を、得られた混合物(24g)に加え、得られた沈降物を濾過し、フィルター上で、水(15mL)と石油エーテル(15mL、2回)で洗浄する。
【0059】
得られた生成物を、ジクロロメタン(80mL)中溶液中の生成物を水中4%NaOH溶液(60mL、3回)で洗浄することによって再精製する。減圧下で溶媒を蒸発させた後、生成物を石油エーテルから沈降させる。沈降物を濾過し、大気圧下に室温で15〜20時間乾燥させる。
139℃の融点を有する白色固形物(8.55g、収率44%)を得る。
モル純度は、94%よりも高い(
1H NMR)。
【0060】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表2に示している。
【化23】
【0061】
表2
* 131.4/133.5/136.6/136.7ppm:芳香環の
13Cにおける化学シフトは、属していない。
使用溶媒:CDCl
3 (
1Hについては7.2ppm、
13Cについては77ppmにおいてクロロホルムシグナルに対して較正)。
【0062】
e) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ベンズアルデヒドオキシムの調製
【化24】
【0063】
45℃の温度に保ったエタノール(70mL)中の2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ベンズアルデヒド(7.90g、0.029モル)の溶液に、エタノール(10mL)中のヒドロキシルアミン水溶液(2.83g、0.043モル、水中50%)を添加する。その後、反応媒体を、50℃と55℃の間の温度で2.5時間撹拌する。溶媒を減圧(T
浴37℃、35ミリバール)下に蒸発させる。石油エーテル(80mL)を、得られた粗生成物に添加する。得られた沈降物を濾過し、石油エーテルで洗浄し(20mLで2回)、大気圧下に室温で15〜20時間乾燥させる。
【0064】
165℃の融点を有する白色固形物(7.82g、収率94%)を得る。
モル純度は、
1H NMRによれば、84%よりも高い(残りの16%は、特に、7モル%のEtOHを含む)。
【0065】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表3に示している。
【化25】
【0066】
表3
*129.3/129.5/131.9ppm:芳香環の
13Cの化学シフトは属していない、3つのシグナルが検出されている(おそらくは、1つの、また、同じシグナルとしての2つの炭素)。
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)。
【0067】
f) 2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシド即ち、本発明に従う化合物の調製
【化26】
【0068】
ジクロロメタン(250mL)中で、2℃の温度で前以って調製したオキシム溶液(6.00g、0.021モル)に、NaOCl水溶液(4%の活性塩素、52mL)を5〜7分に亘って滴下により添加した。反応媒体の温度を0℃と−4℃の間の温度に保つ。その後、反応媒体を、0℃と5℃の間の温度で3時間撹拌する。その後、有機相を分離する。水性相をジクロロメタンで抽出する(15mLで2回)。有機相を混ぜ合せ、次いで、水洗し(20mLで2回)、Na
2SO
4で乾燥させる。溶媒の容量を、減圧(T
浴22℃、220ミリバール)下での蒸発によって、50〜60mLに減じる。その後、石油エーテル(75mL)を添加し、溶液を、−18℃で10〜15時間放置する。得られた沈降物を濾過し、酢酸エチル/石油エーテル混合物(2/1) (10mL)で洗浄し、最後に、大気圧下に室温で10〜15時間乾燥させる。
156℃の融点を有する白色固形物(4.70g、収率79%)を得る。
モル純度は、85%よりも高い(
1H NMR)。
【0069】
1Hおよび
13C NMR特性決定値は、下記の表4に示している。
【化27】
【0070】
表4
*芳香族炭素8, 12および15は、属していない。2つのシグナルが
13C NMRによって観察されている、おそらくは、同じシグナルとして出てくる2個の炭素が存在する。
【0071】
官能基‐C≡N→Oは、2295 cm
-1において特徴的IRバンドを示す。
使用溶媒:CDCl
3 (
1Hについては7.2ppm、
13Cについては77ppmにおいてクロロホルムシグナルに対して較正)。
【0072】
1.2‐塊状のSBR上への変性剤のグラフト化
前以って取得した変性剤を使用する。
86モル%のNMR純度を有する2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトロキシド(2.72g、9.4ミリモル)を、円筒状器具(30℃の開放ミル)上の30gのSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%のブタジエン‐1,2単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびV
p = 1.15を有する)中に混入する。混合物を15回の通過で均質化する。
この混合段階の後、10バールの圧力のプレス内での加熱処理が続く。
この第2段階の時間および温度を調整した。
【0073】
1H NMR分析は、モル量およびグラフトのモル収率の測定を可能にしていた;これらの値を下記の表に報告する:
表5
【0074】
1.3‐溶液中のSBR上への変性剤のグラフト化
2gのSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%のブタジエン‐1,2単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびV
p = 1.15を有する)を、50mLのジクロロメタン中溶液中に溶解する。5mLのジクロロメタン中の60mg (0.2ミリモル)の2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシドの溶液を上記ポリマー溶液に添加し、反応媒体をジクロロメタンの還流温度で24時間撹拌する。
【0075】
その後、ポリマーを、アセトン/メタノール混合物中で凝縮させる。ポリマーをトルエン中に溶解し、0.2phrの4,4’‐メチレン‐ビス‐2,6‐tert‐ブチルフェノールおよび0.2phrのN‐(1,3‐ジメチルブチル)‐N’‐フェニル‐p‐フェニレンジアミンの添加による酸化防止処理に供する。ポリマーを、真空下に、60℃で48時間乾燥させる。
1H NMR分析は、ポリマーが1モル%の量で変性されていたことを証明している;この量は、67%のグラフトモル収率と依然として等価である。
【実施例2】
【0076】
2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシドをグラフトさせることによるポリイソプレンの塊状での変性
2.1‐ポリイソプレンNatsyn 2200 (Goodyear社)上への上記変性剤のグラフト化
実施例1において前以って取得した変性剤と同じ変性剤を使用する。
86モル%のNMR純度を有する2.85gの2,4,6‐トリメチル‐3‐(2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ)ニトリルオキシドを、円筒状器具(30℃の開放ミル)上の30gのポリイソプレンNatsyn 2200 (ML(1+4) 100℃ = 79、単位3,4 = 0.5%、単位トランス1,4 = 1.9%、単位シス1,4 = 97.6%、Mw = 1044.10
3、Vp = 3.6)中に混入する。混合物を15回の通過で均質化する。
この混合段階の後、10バールの圧力のプレス内での加熱処理が続く。
この第2段階の時間および温度を調整した。
【0077】
1H NMR分析は、グラフトのモル量およびグラフトのモル収率の測定を可能にしていた;これらの値を下記の表に報告する:
表6
【実施例3】
【0078】
3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドをグラフトさせることによるSBRの変性
1.1‐上記変性剤の調製
a)
3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【化28】
【0079】
この化合物は、バニリンと2‐クロロエチルイミダゾリドンから、下記の合成スキームに従って調製し得る:
【化29】
【0080】
b)
3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
【化30】
【0081】
経路A
DMF (200mL)中のバニリン(30.0g、0.197モル)とK
2CO
3 (95.4g、0.690モル)の懸濁液を、50℃で15分間加熱する。この懸濁液に、DMF (30mL)中の1‐(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(44.0g、0.296モル、純度 > 90%;その調製は実施例1で説明している)を1度に添加する。反応媒体を90℃ (T
浴)に加熱し、この温度を約4時間維持する。反応媒体を室温にし、その後、水(1.25L)を加える。生成物をCH
2Cl
2 (400mL、100 mLで4回)で抽出する。混ぜ合せた有機相を水(60mL)で洗浄し、減圧(14ミリバール、40℃)下に濃縮する。粗反応生成物をEt
2O (100mL)で希釈し、懸濁液を室温で15〜20分間撹拌する。得られた沈降物を濾過し、Et
2Oで洗浄し(15mLで3回)、室温で乾燥させる。
130℃の融点を有する固形物(31.2g、収率60%)を得る。
モル純度は、93%よりも高い(
1H NMR)。
【0082】
経路B
CH
3OH (60mL)中ナトリウム(1.51g、0.066モル)の溶液に、無水トルエン(250mL)中のバニリン(10.0g、0.066モル)を添加する。反応媒体を、不活性雰囲気で、還流下に加熱し、その後、残留メタノールを留出させる。80〜90℃に戻した後、トルエン(50mL)中の1‐(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(9.28g、0.064モル、純度 > 95%)の懸濁液を1度で反応媒体に添加する。25時間の反応後に、反応媒体を、減圧(T
浴 50℃、30ミリバール)下に濃縮する。粗反応生成物を、CH
2Cl
2 (150mL)中に溶解する。未反応バニリンを、7% NaOH水溶液による抽出(30mLで5回)によって除去する。混ぜ合せた有機相を水洗し(50mLで4回)、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧(Т
浴27℃、20ミリバール)下に蒸発させる。粗反応生成物(4.81g)を石油エーテルとEtOAcの混合物で希釈し、得られた沈降物を濾過する。
127℃の融点を有する固形物(0.91g、収率6%)を得る。
モル純度は、81%よりも高い(
1H NMR)。
【0083】
経路C
光延反応における手順は、例えば、以下の文献に記載されている:Mitsunobu, O.; Yamada, Y. Bull. Chem. Soc. Japan 1967, 40, 2380‐2382;The Use of Diethyl Azodicarboxylate and Triphenylphosphine in Synthesis and Transformation of Natural Products Mitsunobu, O. Synthesis 1981, 1‐28;特許ЕР1149092 В1号、2003年。
【0084】
2℃の無水THF (300mL)中のバニリン(5.02g、0.033モル)、無水1‐(2‐ヒドロキシエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(6.38g、0.049モル;Aldrich社)およびPPh
3 (13.1g、0.050モル)の溶液に、20分に亘って、無水THF (150mL)中のジイソプロピルアゾジカルボキシレート溶液(10.1g、0.050モル;Aldrich社)を滴下により添加する。反応媒体を室温で14時間撹拌し、その後、水(150mL)で希釈する。反応媒体を、減圧(45ミリバール、T
浴28℃)下に濃縮する。水性相をEtOAcで抽出する(200mLで3回)。混ぜ合せた有機相を飽和NaCl水溶液で洗浄し、その後、減圧下に濃縮して150mLの溶液を得る。溶液中の粗反応生成物を、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、溶離剤1: EtOAc、溶離剤2:EtOAc/EtOH = 4/1、EtOAc:EtOH = 5:1における生成物のRf 0.36、Ph
3POのRf 0.71)によって精製する。
130℃の融点を有する固形物(6.59g、収率76%)を得る。
モル純度は、88%よりも高い(
1H NMR)。
【0085】
得られた3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドは、さらに精製することなく、次の段階において直接使用する。
【0086】
1Hおよび13C NMR特性決定
【化31】
【0087】
表7
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)
【0088】
c) 3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシムの調製
【化32】
【0089】
52℃のEtOH (250mL)中3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒド(25.6g、0.097モル)の溶液に、EtOH (20mL)中のヒドロキシルアミン(10.2g、0.155モル、水中50%;Aldrich社)の溶液を添加する。その後、反応媒体を50℃と60℃の間の温度で4.5時間撹拌する。その後、反応媒体を減圧(Т
浴 = 42℃、60ミリバール)下に濃縮して70〜80mLの残留物を得る。得られた沈降物を濾過し、EtOH/水混合物で洗浄し(5mL/15mLで2回)、大気圧下に室温で乾燥させる。
189℃の融点を有する白色固形物(22.14g、収率82%)を得る。
モル純度は、89%よりも高い(
1H NMR)。
【0090】
1Hおよび13C NMR特性決定
【化33】
【0091】
表8
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)
【0092】
d)
3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【化34】
【0093】
−3℃のCH
2Cl
2 (950mL)中の3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシム(21.7g、0.078モル)の懸濁液に、水中NaOCl水溶液(Aldrich社;> 4%の活性塩素) (161mL)を10分間に亘って滴下により添加する。その後、反応媒体を0℃で20分間撹拌する。有機相を分離し、水性相をCH
2Cl
2で抽出する(100mLで4回)。混ぜ合せた有機相を水洗し(100mLで3回)、Na
2SO
4上で乾燥させ、次いで、減圧(T
浴、22℃)下に200〜220mLに濃縮する。得られた沈降物を濾過し、CH
2Cl
2で洗浄し(10mLで2回)、大気圧下に室温で乾燥させる。
分解を伴う109〜111℃の融点を有する固形物(9.13g、収率42%)を得る。
モル純度は、80%よりも高い(
1H NMR)。EtOHから再結晶化すれば、化合物の純度は、90質量%よりも高い。
【0094】
1Hおよび13C NMR特性決定
【化35】
【0095】
表9
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)。
【0096】
赤外線特性決定(KBrペレット)
ν(cm
-1):2305 (官能基Ar-C≡N→O)
質量分析による特性決定
C
13H
15N
3O
4、Mw = 277.27 g/モル。
サンプルを、エレクトロスプレーイオン化方式を使用しての質量分析器への直接導入(DI/ESI)によって分析した。
サンプルの調製
約20gのサンプルを25mLのメタノールに溶解し、次いで、DI/ESI分析用に1/100に希釈した。
ポジティブモード
m/z:300 ([[M+Na]
+)、577 ([2M+Na]
+)。
【0097】
1.2‐塊状のSBR上への変性剤のグラフト化
前以って取得した変性剤を使用する。
90モル%のNMR純度を有する3‐メトキシ‐4‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシド(1.24g、4.5ミリモル)を、円筒状器具(30℃の開放ミル)上の30gのSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%のブタジエン‐1,2単位を含有し且つMn = 162 900 g/モルおよびV
p = 1.15を有する)中に混入する。混合物を15回の通過で均質化する。
1H NMR分析は、グラフトのモル量(0.78モル%)およびグラフトのモル収率(87%)の測定を可能にしていた。
【実施例4】
【0098】
2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドをグラフトさせることによるSBRの変性
1.1‐変性剤の調製
a) 2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【化36】
【0099】
この化合物は、サリチルアルデヒドと2‐クロロエチルイミダゾリドンから、下記の合成スキームに従って調製し得る:
【化37】
【0100】
b) 2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
【化38】
【0101】
DMF (100mL)中のサリチルアルデヒド(22.0g、0.180モル)の溶液に、K
2CO
3 (87.1g、0.631モル)を添加する。混合物を52℃で撹拌する。この温度で10分後に、1‐(2‐クロロエチル)イミダゾリジン‐2‐オン(40.0g、0.270モル、純度 > 90%;その調製は、実施例1において説明している)を1度に添加する。混合物の温度を1時間に亘って90°C (T
浴) とし、この温度を5時間維持する。室温に戻した後、混合物を水(1.3L)で希釈し、生成物をCH
2Cl
2で抽出する(500mL、100mLで5回)。有機相を混ぜ合せ、その後、水洗し(50mLで2回)、70〜80gの粗反応生成物が得られるまで蒸発させる(濃密懸濁液) (T
浴 = 40°C)。粗反応生成物をEt
2O (120mL)に溶解し、懸濁液を室温で20分間撹拌する。得られた沈降物を濾過し、DMF/Et
2O/H
2O混合物(5mL/20mL/15mL)で、次いで、Et
2O (10mLで2回)で洗浄する。得られた固形物を室温で乾燥させる。
150℃の融点を有する固形物(30.6g、収率73%)を得る。モル純度は、84%よりも高い(
1H NMR)。
得られた2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドは、さらに精製することなく、次の工程において直接使用する。
【0102】
1Hおよび13C NMR特性決定
【化39】
【0103】
表10
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)。
【0104】
c) 2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシムの調製
【化40】
【0105】
EtOH (100mL)中の2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒド(10.0g、0.043モル)の溶液を50℃に加熱する。この温度で、EtOH (10mL)中のヒドロキシアミン溶液(4.5g、0.068モル、水中50%;Aldrich社)を添加する。その後、反応媒体を50℃と70℃の間の温度で6時間撹拌する。反応倍体を、減圧(T
浴45℃、65〜70ミリバール)下に、懸濁液が得られるまで蒸発させる。その後、粗反応生成物を水(5mL)に溶解する。得られた溶液を5℃に冷却し、この温度に15時間維持する。得られた沈降物を濾過し、フィルター上で、EtOH/水混合物(2mL/2mL)、次いで、EtOH/石油エーテル混合物(1mL/4mL)、その後、石油エーテル(2*10mL)で洗浄する。その後、固形物を大気圧下に室温で乾燥させる。
88℃の融点を有する白色固形物(9.25g、収率87%)を得る。
モル純度は、99%よりも高い(
1H NMR)。
【0106】
1Hおよび13C NMR特性決定
【化41】
【0107】
表11
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)。
【0108】
d) 2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【化42】
【0109】
−1℃のCH
2Cl
2 (400mL)中の2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシム(20.2g、0.081モル)の懸濁液に、水中NaOCl水溶液(157mL;Aldrich社、> 4%の活性塩素)を、滴下により、10分間に亘って添加する。その後、反応媒体を20分間撹拌する。水性相と有機相を分離し、水性相をCH
2Cl
2で抽出する(75mLで2回)。混ぜ合せた有機相を水洗し(10mLで3回)、Na
2SO
4上で乾燥させる。その相を、減圧下に室温で、100mLまで濃縮する。50mLの石油エーテルを添加する。溶液を−18℃に冷却する(3時間)。沈降物を濾過し、CH
2Cl
2/石油エーテル(5mL/10mL、次いで5mL/20mL、さらに0mL/20mL)で洗浄し、その後、大気圧下に室温で乾燥させる。
生成物の分解を伴う109〜110℃の融点を有する固形物(11.32g、収率57%)を得る。
モル純度は、94%よりも高い(
1H NMR)。
【0110】
1Hおよび
13C NMR特性決定
【化43】
【0111】
表12
使用溶媒:DMSO (
1Hについては2.44ppm、
13Cについては39.5ppmにおいてDMSOシグナルに対して較正)。
【0112】
赤外線特性決定(KBrペレット)
ν(cm
-1):2295 (官能基Ar-C≡N→O)
質量分析による特性決定
C
12H
13N
3O
3、Mw = 247.25g/モル。
サンプルを、エレクトロスプレーイオン化方式を使用しての質量分析器への直接導入(DI/ESI)によって分析した。
サンプルの調製
20mgのサンプルを2mLのアセトニトリルに溶解する。
m/z:270 ([[M+Na]
+)、517 ([2M+Na]
+)。
【0113】
1.2‐塊状のSBR上への変性剤のグラフト化
前以って取得した変性剤を使用する。
95モル%のNMR純度を有する2‐[2‐(2‐オキソイミダゾリジン‐1‐イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシド(0.55g、2.24ミリモル)を、円筒状器具(30℃の開放ミル)上の30gのSBR (26質量%のスチレンおよび24質量%のブタジエン‐1,2単位を含有し且つMn = 162 900g/モルおよびV
p = 1.15を有する)中に混入する。混合物を15回の通過で均質化する。
この混合段階の後、10バールの圧力のプレス内での加熱処理(110℃で10分間)が続く。
1H NMR分析は、グラフトのモル量(0.34モル%)およびグラフトのモル収率(71%)の測定を可能にしていた。