特許第5795376号(P5795376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795376
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】遠位アクセス吸引ガイドカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A61M25/00 610
【請求項の数】40
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-531952(P2013-531952)
(86)(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公表番号】特表2014-509201(P2014-509201A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】US2011054600
(87)【国際公開番号】WO2012047803
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2013年4月17日
(31)【優先権主張番号】61/389,688
(32)【優先日】2010年10月4日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】シマダ, リン ミエコ
(72)【発明者】
【氏名】トーレス, セレフィーノ
(72)【発明者】
【氏名】ストラウス, ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】バルコ, ジェフリー
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−190681(JP,A)
【文献】 特表2008−531213(JP,A)
【文献】 特開2007−029736(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/068793(WO,A1)
【文献】 特表2005−525133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル装置であって、該カテーテル装置は、
カテーテル本体
を含み、該カテーテル本体は、
内腔および外表面を有する管状の部材であって、該管状の部材はらせん状の間隙および該らせん状の間隙内に配置された重合材料を有する金属のらせんを含む管状の部材;
該管状の部材の該内腔を通って延び、該カテーテルの内腔を画定する内側の裏地;ならびに
該管状の部材の該外表面上の外側のカバー;
を含み、
ここで該らせん状の間隙内に配置された該重合材料は該内側の裏地および該外側のカバーの材料と異なり、該重合材料は、熱硬化性重合体材料を含み、
ここで該カテーテル本体の遠位部位は、16:1以上の内径対壁厚の比と、約4.42ミリメートル+/−0.2032ミリメートルまたはそれより小さいよじれ半径とを有しているカテーテル装置。
【請求項2】
前記金属のらせんがニッケルチタン合金を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記金属のらせんがニッケルチタン合金リボンを含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記らせん状の間隙が一定の幅のものである請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記金属のらせんの寸法および/または前記らせん状の間隙の幅が変化する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記らせん状の間隙が約25.4マイクロメートルから約63.5マイクロメートルまでの幅を有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記重合材料がエラストマーを含む請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記重合材料がキャストポリウレタンを含む請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記内側の裏地が約6.35マイクロメートルから約25.4マイクロメートルまでの厚さを有する管を含む請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記内側の裏地がフルオロポリマー;PTFE;PFAおよびFEPから成る群より選択される少なくとも一つの材料を含む請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記内側の裏地が約12.7マイクロメートルの厚さを有するPTFEを含む請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記外側のカバーが約12.7マイクロメートルから約50.8マイクロメートルまでの厚さを有する請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記外側のカバーがポリエステルおよびポリオレフィンから成る群より選択される少なくとも一つの材料を含む請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記外側のカバーが約12.7マイクロメートルの厚さを有するポリエステルおよびまたはポリオレフィンを含む請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記カテーテル装置が該カテーテルの長さに沿って複数の部位を有し、ここで前記金属のらせんの寸法および/または前記らせん状の間隙の幅が該複数の部位の間で異なる請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記カテーテル装置が近位部位、中間部位および遠位部位を有する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記近位部位中の前記金属のらせんが約203.2マイクロメートルの幅、約63.5マイクロメートルの厚さおよび約50.8マイクロメートル幅のらせん状の間隙を有し;前記中間部位中の該金属のらせんが約203.2マイクロメートルの幅、約63.5マイクロメートルの厚さおよび約101.6マイクロメートル幅のらせん状の間隙を有しならびに前記遠位部位中の該金属のらせんが約203.2マイクロメートルの幅、約63.5マイクロメートルの厚さおよび約101.6マイクロメートル幅のらせん状の間隙を有する請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記近位部位上の前記外側のカバーが約25.4マイクロメートルの厚さを有するポリエステルを含み;前記中間部位上の該外側のカバーが約12.7マイクロメートルの厚さを有するポリエステルを含み前記遠位部位上の該外側のカバーが約12.7マイクロメートルの厚さを有するポリオレフィンを含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記遠位部位が0.113ニュートン−メートル当たり1200°のたわみより大きい横方向の可撓性を有する請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記カテーテル装置が近位部位、中間部位、第一遠位部位および第二遠位部位を有する請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記近位部位中の前記金属のらせんが約203.2マイクロメートルの幅、約63.5マイクロメートルの厚さおよび約50.8マイクロメートル幅のらせん状の間隙を有し;前記中間部位中の該金属のらせんが約203.2マイクロメートルの幅、約63.5マイクロメートルの厚さおよび約101.6マイクロメートル幅のらせん状の間隙を有しならびに前記第一遠位部位中の該金属のらせんが約203.2マイクロメートルの幅、約63.5マイクロメートルの厚さおよび約101.6マイクロメートル幅のらせん状の間隙を有しならびに前記第二遠位部位中の該金属のらせんが約101.6マイクロメートルの幅、約50.8マイクロメートルの厚さおよび50.8マイクロメートルのらせん状の間隙を有する請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記近位部位上の前記外側のカバーが約25.4マイクロメートルの厚さを有するポリエステルを含み;前記中間部位上の該外側のカバーが約12.7マイクロメートルの厚さを有するポリエステルを含みならびに前記第一および第二遠位部位上の該外側のカバーが約12.7マイクロメートルの厚さを有するポリオレフィンを含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
さらにバルーンを含む請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記バルーンが特定の規格で作られたバルーンを含む請求項23に記載の装置。
【請求項25】
カテーテルを製造する方法であって、該方法は、
カテーテル本体を形成する工程
を含み、該カテーテル本体を形成する工程は、
A)らせん状の間隙を有する金属のらせんを形成または得る工程;
B)重合材料を該重合材料および該金属のらせんの組み合わせで外表面および内腔を有する管状の部材を形成するように該らせん状の間隙内に配置する工程であって、該重合材料は、熱硬化性重合体材料を含む、工程
C)内側の裏地を該管状の部材の該内腔内に配置する工程;ならびに
D)外側のカバーを該管状の部材の該外表面上に配置する工程
を含み、
ここで該カテーテル本体の遠位部位は、16:1以上の内径対壁厚の比と、約4.42ミリメートル+/−0.2032ミリメートルまたはそれより小さいよじれ半径とを有している方法。
【請求項26】
前記らせん状の間隙の幅が一定である請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記らせん状の間隙の幅が変化する請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記内側の裏地を前記管状の部材の前記内腔内に配置する工程は、該内側の裏地を心棒上に配置し、該内側の裏地の表面上に前記金属のらせんの位置を定めることを含む請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記金属のらせんがニッケルチタン合金を含み、内側の裏地を前記管状の部材の前記内腔内に配置する工程は、該内側の裏地の周囲に該ニッケルチタン合金をらせん状に巻き、それから該ニッケルチタン合金を熱硬化することを含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記内側の裏地を前記管状の部材の前記内腔内に配置する工程は、流動可能な重合体を前記らせん状の間隙内にキャストし、該流動可能な重合体を固め、その結果該管状の部材を該管状の部材の中に配置された該内側の裏地とともに形成することを含む請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記重合体が重合体接着剤を含む請求項30に記載の方法。
【請求項32】
放出剤または障壁を前記金属のらせんの一つまたはそれより多くの選択される領域に適用し(apply)、前記重合体が該金属のらせんの該選択される領域に付着することを防ぐまたは妨害することをさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記重合体接着剤が前記管状の部材と前記内側の裏地との間に付着をもたらす請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記管状の部材と前記外側のカバーとの間に付着をもたらすためにある量の重合体接着剤を該管状の部材の前記外表面と該外側のカバーの内表面との間に配置することをさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記外側のカバーが前記管状の部材の外径よりも大きな内径を初めに有する管を含み、ここで該外側のカバーを該管状の部材の前記外表面上に配置することは、該外側のカバーを該管状の部材を覆って進ませ、該外側のカバーを該管状の部材の該外表面上にぴったりと合うように接触させることを含む請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記外側のカバーを前記管状の部材の前記外表面上にぴったりと合うように接触させることは、該外側のカバーを該管状の部材の該外表面上に熱収縮させることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記カテーテル装置上または内に放射線撮影マーカーを配置することをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項38】
親水性の被覆を前記外側のカバーの外表面に適用することをさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項39】
前記カテーテル本体の前記遠位部位は、約16:1〜約24:1の内径対壁厚の比を有している、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項40】
前記カテーテル本体の前記遠位部位は、22ニュートンの最大抗張力を有している、請求項1に記載のカテーテル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2010年10月4日に出願された米国仮特許出願第61/389,688号に対して優先権を主張し、その開示全体は本明細書中において明示的に参考として援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して医療の装置および方法に関連しており、より詳細には、脳の血管のような血管における欠損にアクセスし、診断し、または処置することに使用可能な、カテーテルを基にしたシステムおよび方法に関連している。
【背景技術】
【0003】
37 CFR 1.71(e)に従って、本特許文書は著作権保護受けるべき資料を含む。本著作権者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に現れるとおりに特許文書の全体または特許開示をそのまま複写することに対し異議はないが、それ以外のいかなる著作権も留保する。
【0004】
脳卒中は死および身体障害の一般的な原因である。アメリカ合衆国では、毎年約700,000人の患者が脳卒中を患う。脳卒中は、中枢神経系に病巣があることを反映している、少なくとも24時間は持続する神経学的欠損が急に始まることに特徴づけられる症候群であり、大脳の循環の障害の結果である。脳卒中の発病率は年齢とともに増加する。脳卒中の危険因子は、収縮期または拡張期の高血圧、高コレステロール血症、喫煙、大量のアルコール消費および経口避妊薬の使用を含む。
【0005】
出血性脳卒中は毎年の脳卒中患者数の20%を占める。出血性脳卒中は、動脈瘤の破裂または動静脈奇形(AVM)を原因としてしばしば起こり、脳組織への出血および結果として生じる脳組織の梗塞が生じる。脳卒中の残り80%は、脳組織から酸素を運ぶ血液を奪う、血管の閉塞が原因として生じる虚血によるものである。虚血性脳卒中は、ほかの体の場所または大脳の血管自体から離れて移動して、より遠位にある細い大脳動脈を閉塞した塞栓または血栓組織片によりしばしば引き起こされる。患者が1時間以内に完全に消える神経学的症状および徴候を示すとき、一過性脳虚血発作(TIA)という用語が用いられる。病因学的に、TIAおよび虚血性脳卒中は同じ病態生理学的メカニズムを共有し、したがって症状の存続および虚血傷害の程度に基づいた連続体を表す。
【0006】
塞栓は不規則な心臓の拍動の期間の間に心臓の弁周りまたは左心耳中に時折形成され、離れ、体の遠位の部位への血液の流れに従う。それらの塞栓は脳へ移動することができ塞栓脳卒中の原因となる。以下で議論されるように多くのこのような閉塞は中大脳動脈(MCA)中に生ずるが、塞栓が静止する位置はMCAだけではない。
【0007】
患者が神経学的欠損を示すとき、脳卒中の原因に関する診断上の仮説は、その患者の病歴、脳卒中危険因子の調査および神経学的検査に基づいて導くことができる。虚血性の事象が疑われる場合、臨床医は、その患者が塞栓の心臓性の原因、大動脈の頭蓋外もしくは頭蓋内の疾患、小動脈の実質内の疾患または血液もしくは他の全身性の障害があるかどうかを一時的に評価してもよい。頭部CTスキャンは患者が虚血性または出血性傷害を受けたかどうかを判断するためにしばしば行われる。このCTスキャンにおいて、くも膜下出血、実質内血腫または脳室内出血では血液が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの病変または閉塞に到達するために、マイクロカテーテルおよびマイクロガイドワイヤを用いなければならないが、効果的にそれらの部位を処置するために神経血管系の遠位の区域へと誘導するには、しばしばこれらのマイクロカテーテルの支柱の支持は十分な強度がない。ガイドカテーテルは支持マイクロカテーテルがアクセスするのを助ける導管としての役割でしばしば用いられる。冠状または末梢の用途のために設計された伝統的なガイドカテーテル(5,180,376&5,484,425 Fischell、 5,045,072 Castillo、 5,279,596 Castaneda、 5454795 Samson および5,733,400 Gold)は概して頭蓋底上に位置しておらず、遠位の大脳血管系においてマイクロカテーテルを支持することにおいて、それらの有効性を制限する。早期の型よりもわずかに長く、細く、いくらか可撓性があるが、5,180,376&5,484,425 Fiscell、5,045,072 Castillo、5,279,596 Castaneda、5454795 Samonおよび5,733,400 Goldに記載されているものと同じ製造技術で組み立てられる、より新しい遠位アクセスガイドカテーテルが開発されたが、よじれる問題を解決していない。(Neuron Penumbra Recall−10/02/09)
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの局面に従って、管状の部材、内側の裏地および外側のカバーを含むカテーテル装置が提供される。この管状の部材は内腔および外表面を有する。この管状の部材はらせん状の間隙を有する金属のらせんおよびこのらせん状の間隙内に配置された重合材料を含む。内側の裏地は管状の部材の内腔を通って延び、カテーテルの内腔を画定する。この外側のカバーはこの管状の部材の外表面上に配置される。この金属のらせんの寸法(単数もしくは複数)および/またはこのらせん状の間隙の幅は、カテーテルの長さ全体を通して一定でもよく、あるいは屈曲特性および/またはよじれ耐性において区分けされた違いを提供するために変化させてもよい。いくつかの実施形態では、カテーテル装置の構成要素は、カテーテル装置の遠位の部位が約16:1から約24:1までの内径と壁厚との間の比(いくつかの実施形態では好ましくは約16:1)および以下の特性を有するのようなサイズで作られ、組み立てられてもよい。a)1200°/in−lbより大きい横方向の可撓性および/またはb)約0.174インチ+/−0.008インチもしくはそれより小さいよじれ半径および/または引っ張り強度22Nの抗張力。
【0010】
本発明に従って、A)らせん状の間隙を有する金属のらせんを形成または得る工程;B)重合材料をこの重合材料およびこの金属のらせんの組み合わせで外表面および内腔を有する管状の部材を形成するようにこのらせん状の間隙内に配置させる工程;C)内側の裏地をこの管状の部材の内腔内に配置させる工程;ならびにD)外側のカバーをこの管状の部材の外表面に配置させる工程を含むカテーテルの製造方法がさらに提供される。いくつかの実施形態では、重合材料はポリウレタン接着剤のようなキャストポリウレタン材料でもよい。
【0011】
本発明に従って、ヒトまたは動物の被験体内の障害を処置または診断する方法がなおさらに提供され、この方法はA)被験体の血管系内に本明細書において記載されているタイプのカテーテル装置を挿入する工程ならびにB)カテーテル装置の内腔を通して物質または装置を送達し、物質または装置を使用してその障害を処置または診断する工程を含む。この方法のいくつかの実施形態では、カテーテル装置は被験体の頭蓋内に位置する血管内へ、または血液を脳へもしくは脳から運ぶ血管内へとを進んでもよい。本発明のカテーテル装置が進んでもよい血管の例は、頸動脈、大脳動脈、前大脳動脈、中大脳動脈および後大脳動脈を含む。
【0012】
本発明に従って、ヒトまたは動物の被験体の体内の場所で、治療上または診断上のタスクを遂行することに使用可能なシステムがなおさらに提供され、そのようなシステムはa)近位の部分、遠位の部分、内腔および遠位端の開放部を有する遠位アクセス吸引ガイドカテーテルであって、このカテーテルの遠位の先端は非常によじれ耐性があり、可撓性があり、16より大きい内径とカテーテルの内壁との間の比があり、1200°/in−lbより大きい横方向の剛性(可撓性)がある、遠位アクセス吸引ガイドカテーテルならびにb)カテーテルの内腔を通して(though)およびカテーテルの遠位の開放部から外に進むことができる作業装置であって、治療上または診断上のタスクを遂行することに使用可能である作業装置を含む。このシステムで使用されてもよい作業装置のタイプの例は;i)吸引のために血栓もしくは他の障害物を体の内腔からおよび/もしくはアクセス吸引ガイドカテーテルの遠位の開放部へ取り除くための装置、ii)体の内腔内の障害物を通る(though)もしくは周りの流体の流れを容易にすることに使用可能な流れの修復装置ならびにiii)移植片(たとえば移植可能な閉塞コイルまたは移植可能な塞栓装置)を配置もしくは送達するための装置ならびに/またはiv)一時的に内腔を閉塞する装置を含むがこれらに限られるわけではない。
【0013】
本発明に従って、ヒトまたは動物の被験体の体内の場所で、治療上または診断上のタスクを遂行するための方法がなおさらに提供され、そのような方法は:a)近位の部位、遠位の部位、内腔および遠位端の開放部を有するカテーテルであって、このカテーテルはカテーテルの遠位の先端は非常によじれ耐性があり、可撓性があり、16より大きいカテーテルの内径とカテーテルの内壁との間の比があり、1200°/in−lbより大きい横方向の剛性(可撓性)がある、カテーテルを被験体の体内へと挿入する工程b)望まれた体の内腔内にカテーテルの遠位端の開放部を遠位に置く工程ならびにc)作業装置をカテーテルの内腔を通して(though)およびカテーテルの遠位の開放部から外に進ませる工程;およびこの作業装置を使用し治療上または診断上のタスクを遂行する工程を含む。この方法で使用されてもよい作業装置のタイプの例は;i)吸引のために血栓もしくは他の障害物を体の内腔からおよび/もしくはこの遠位アクセス吸引ガイドカテーテルへ取り除くための装置、ii)体の内腔内の障害物を通る(though)もしくは周りの流体の流れを容易にすることに使用可能な流れの修復装置ならびにiii)移植片(たとえば移植可能な閉塞コイルまたは移植可能な塞栓装置)を配置もしくは送達するための装置ならびに/またはiv)一時的に内腔を閉塞する装置を含むがこれらに限られるわけではない。
【0014】
本発明に従って、体の内腔から障害物を取り除くための方法がなおさらに提供され、そのような方法は:a)近位の部位、遠位の部位、内腔および遠位端の開放部を有する遠位アクセス吸引ガイドカテーテルであって、このカテーテルの遠位の先端は非常によじれ耐性があり、可撓性があり、16より大きい内径とカテーテルの内壁との間の比がある、遠位アクセス吸引ガイドカテーテルならびに;b)このカテーテルの遠位端の開放部が体の内腔内にあるようにこのカテーテルを置く工程;c)遠位端の開放部を通しておよびこのカテーテルの内腔内へと障害物を動かす工程;ならびにd)このカテーテルの内腔内へと動かされた障害物といっしょにこのカテーテルを取り除く工程を含む。いくつかの実施形態では、遠位端の開放部を通しておよびカテーテルの内腔内へと障害物を吸い込むためにこのカテーテルの内腔中に陰圧が印加されてもよい。いくつかの実施形態では、この方法の工程Cは障害物を動かす装置(たとえば塞栓切除装置もしくは血栓摘出装置)をカテーテルから進ませる工程ならびにこの障害物を動かす装置を使用して遠位端の開放部を通しておよびこのカテーテルの内腔内へと障害物を動かす工程を含んでもよい。
【0015】
本発明を要約する目的で、本発明の特定の局面、実施形態、変形物、詳細、要素、実施例、利点および新しい特徴が本明細書中に記載される。そのような利点のすべてが必ずしも本発明のどの特定の実施形態に従っても達成されうるわけではないことが理解される。したがって、たとえば、本明細書において教示されるような一つの利点または一郡の利点を達成する方法で、本明細書において教示されまたは示唆されうるような他の利点を必ずしも達成することなしに、本発明が実施形態を与えられまたは実施されうるということを当業者は認識する。本発明のこれらのおよび他の目的および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明からより明白になる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
カテーテル装置であって、該カテーテル装置は、
内腔および外表面を有する管状の部材であって、該管状の部材はらせん状の間隙および該らせん状の間隙内に配置された重合材料を有する金属のらせんを含む管状の部材;
該管状の部材の該内腔を通って延び、該カテーテルの内腔を画定する内側の裏地;ならびに
該管状の部材の該外表面上の外側のカバー;
を含み、ここで該らせん状の間隙内に配置された該重合材料は該内側の裏地および該外側のカバーの材料と異なるカテーテル装置。
(項目2)
前記金属のらせんがニッケルチタン合金を含む項目1に記載の装置。
(項目3)
前記金属のらせんがニッケルチタン合金リボンを含む項目1に記載の装置。
(項目4)
前記ニッケルチタン合金リボンが約0.003インチから約0.0125インチまでの幅および約0.001インチから約0.005インチまでの厚さを有するニチノール1型を含む項目3に記載の装置。
(項目5)
前記らせん状の間隙が連続的な幅のものである項目1に記載の装置。
(項目6)
前記金属のらせんの寸法(単数もしくは複数)および/または前記らせん状の間隙の幅が変化する項目1に記載の装置。
(項目7)
前記らせん状の間隙が約0.001インチから約0.0025インチまでの幅を有する項目1に記載の装置。
(項目8)
前記重合材料がエラストマーを含む項目1に記載の装置。
(項目9)
前記重合材料がキャストエラストマーを含む項目1に記載の装置。
(項目10)
前記重合材料がキャストポリウレタンを含む項目1に記載の装置。
(項目11)
前記キャストポリウレタンが熱硬化性ポリウレタン接着剤を含む項目10に記載の装置。
(項目12)
前記内側の裏地が約0.00025インチから約0.001インチまでの厚さを有する管を含む項目1に記載の装置。
(項目13)
前記内側の裏地がフルオロポリマー;PTFE;PFAおよびFEPから成る群より選択される少なくとも一つの材料を含む項目1に記載の装置。
(項目14)
前記内側の裏地が約0.0005インチの厚さを有するPTFEを含む項目1に記載の装置。
(項目15)
前記外側のカバーが約0.0005インチから約0.002インチまでの厚さを有する項目1に記載の装置。
(項目16)
前記外側のカバーがポリエステルおよびポリオレフィンから成る群より選択される少なくとも一つの材料を含む項目1に記載の装置。
(項目17)
前記外側のカバーが約0.0005インチの厚さを有するポリエステルおよびまたはポリオレフィンを含む項目1に記載の装置。
(項目18)
前記カテーテル装置が該カテーテルの長さに沿って複数の部位を有し、ここで前記金属のらせんの寸法(単数もしくは複数)および/または前記らせん状の間隙の幅が該複数の部位の間で異なる項目1に記載の装置。
(項目19)
前記カテーテル装置が近位部位、中間部位および遠位部位を有する項目18に記載の装置。
(項目20)
前記近位部位中の前記らせん状の部材が約0.008インチの幅、約0.0025インチの厚さおよび約0.002インチ幅のらせん状の間隙を有し;前記中間部位中の該らせん状の部材が約0.008インチの幅、約0.0025インチの厚さおよび約0.004インチ幅のらせん状の間隙を有しならびに前記遠位部位中の該らせん状の部材が約0.008インチの幅、約0.0025インチの厚さおよび約0.004インチ幅のらせん状の間隙を有する項目19に記載の装置。
(項目21)
前記近位部位上の前記外側のカバーが約0.001インチの厚さを有するポリエステルを含み;前記中間部位上の該外側のカバーが約0.0005インチの厚さを有するポリエステルを含みおよび前記遠位部位上の該外側のカバーが約0.0005インチの厚さを有するポリオレフィンを含む項目20に記載の装置。
(項目22)
前記遠位部位が1200°/in−lbより大きい横方向の可撓性を有する項目21に記載の装置。
(項目23)
前記遠位部位が約0.174インチ+/−0.008インチまたはそれより小さいよじれ半径を有する項目22に記載の装置。
(項目24)
前記カテーテル装置が近位部位、中間部位、第一遠位部位および第二遠位部位を有する項目1に記載の装置。
(項目25)
前記近位部位中の前記らせん状の部材が約0.008インチの幅、約0.0025インチの厚さおよび約0.002インチ幅のらせん状の間隙を有し;前記中間部位中の該らせん状の部材が約0.008インチの幅、約0.0025インチの厚さおよび約0.004インチ幅のらせん状の間隙を有しならびに前記第一遠位部位中の該らせん状の部材が約0.008インチの幅、約0.0025インチの厚さおよび約0.004インチ幅のらせん状の間隙を有しならびに前記第二遠位部位中の該らせん状の部材が約0.004インチの幅、約0.002インチの厚さおよび0.002インチのらせん状の間隙を有する項目24に記載の装置。
(項目26)
前記近位部位上の前記外側のカバーが約0.001インチの厚さを有するポリエステルを含み;前記中間部位上の該外側のカバーが約0.0005インチの厚さを有するポリエステルを含みならびに前記第一および第二遠位部位上の該外側のカバーが約0.0005インチの厚さを有するポリオレフィンを含む項目25に記載の装置。
(項目27)
前記第二遠位部位が1200°/in−lbより大きい横方向の可撓性を有する項目26に記載の装置。
(項目28)
前記第二遠位部位が約0.174インチ+/−0.008インチまたはそれより小さいよじれ半径を有する項目26に記載の装置。
(項目29)
さらにバルーンを含む項目1に記載の装置。
(項目30)
前記バルーンが特定の規格で作られたバルーンを含む項目29に記載の装置。請求項の数を数えること
(項目25)
ヒトまたは動物の被験体内の障害を処置または診断するための方法であって、該方法は、
A)該被験体の血管系内に項目1−30のいずれか一項に記載のカテーテル装置を挿入する工程;および
B)物質または装置を該カテーテル装置の該内腔を通して送達し、該物質または装置を使用し該障害を処置または診断する工程
を含む方法。
(項目26)
前記工程Aが前記カテーテル装置を前記被験体の頭蓋内の位置にある血管内へと進める工程を含む項目25に記載の方法。
(項目27)
前記カテーテル装置が内へと進められる前記血管が頸動脈、大脳動脈、前大脳動脈、中大脳動脈および後大脳動脈から成る群より選択される項目26に記載の方法。
(項目28)
カテーテルを製造する方法であって、該方法は、
A)らせん状の間隙を有する金属のらせんを形成または得る工程;
B)重合材料を該重合材料および該金属のらせんの組み合わせで外表面および内腔を有する管状の部材を形成するように該らせん状の間隙内に配置させる工程;
C)内側の裏地を該管状の部材の該内腔内に配置させる工程;ならびに
D)外側のカバーを該管状の部材の該外表面上に配置させる工程
を含む方法。
(項目29)
前記らせん状の間隙の幅が連続的である項目28に記載の方法。
(項目30)
前記らせん状の間隙の幅が変化する項目28に記載の方法。
(項目31)
前記内側の裏地が心棒上に配置され、それから前記金属のらせんが該内側の裏地の表面上に位置を定められる項目28に記載の方法。
(項目32)
前記金属のらせんが前記内側の裏地の周囲にらせん状に巻かれ、それから熱硬化されるニッケルチタン合金を含む項目31に記載の方法。
(項目33)
流動可能な重合体が前記らせん状の間隙内にキャストされ固まることを可能にされ、その結果前記管状の部材を該管状の部材の中に配置された前記内腔とともに形成する項目31に記載の方法。
(項目34)
前記重合体が重合体接着剤を含む項目28に記載の方法。
(項目35)
放出剤または障壁を前記金属のらせんの一つまたはそれより多くの選択される領域に適用し(apply)、前記重合体が該金属のらせんの該選択される領域に付着することを防ぐまたは妨害することをさらに含む項目34に記載の方法。
(項目36)
前記重合体接着剤が前記管状の部材と前記内側の裏地との間に付着をもたらす項目34に記載の方法。
(項目37)
前記管状の部材と前記外側のカバーとの間に付着をもたらすためにある量の重合体接着剤を該管状の部材の前記外表面と該外側のカバーの内表面との間に配置させる工程をさらに含む項目34に記載の方法。
(項目38)
前記外側のカバーが前記管状の部材の外径よりも大きな内径を初めに有する管を含み、ここで該外側のカバーは該管状の部材を覆って進ませると、該管状の部材の前記外表面上にぴったりと合うように接触する項目28に記載の方法。
(項目39)
前記外側のカバーが前記管状の部材の前記外表面上に熱収縮される項目38に記載の方法。
(項目40)
前記カテーテル装置上または内に放射線撮影マーカーを配置させる工程をさらに含む項目28に記載の方法。
(項目41)
親水性の被覆を前記外側のカバーの外表面に適用することをさらに含む項目28に記載の方法。
(項目42)
ガイドカテーテルセクションであって、該ガイドカテーテルセクションは:
近位端および遠位端を有する細長い管状のカテーテル本体ならびに該近位端と該遠位端との間に延びることで内腔を画定する通路を含み;
該細長い管状のカテーテル本体は第一裏地材料の内側の管状の裏地を含み、該内側の管状の裏地は外側の管状のカバーおよび該内側の裏地と該外側のカバーとの間の管状の部材と同軸の関係であり、該管状の部材は同じ左右像を有する金属のよじれ耐性部材および熱硬化した重合体のよじれ耐性部材を少なくとも含み、ならびに該カテーテルセクションは該遠位端の部位に16:1より大きい壁厚と内径との間の比および1200°/in−lbより大きい横方向の可撓性、および15Nよりも大きい最大抗張力を有するガイドカテーテルセクション。
(項目43)
ガイドカテーテルであって、該ガイドカテーテルは、
近位端および遠位端を有する細長い管状の部材ならびに該近位端と該遠位端との間に延びることで内腔を画定する通路を含み、該細長い管状の部材は:
a)相対的に硬い近位区画を有し、該近位区画は内側の近位の管状の裏地から構成され、該内側の近位の管状の裏地は外側の近位の管状のカバーと同軸の関係である近位の裏地材料を含み、該外側の近位の管状のカバーは近位のカバー材料を含み、該近位のカバー材料は該外側の近位の管状のカバーによって覆われる該内側の近位の管状の裏地上を編まれる1インチ当たり80ピックより多いピック数の金属の編みひも構造であり、ならびに
b)相対的に可撓性のある遠位区画を有し、遠位の該細長い管状の部材は外側の管状のカバーと同軸の関係である第一裏地材料からなる内側の管状の裏地を含み、該外側の管状のカバーは第一カバー材料ならびに金属のおよび熱硬化性重合体のよじれ耐性部材構造を少なくとも含み、該よじれ耐性部材構造は同じ左右像を有し該内側の管状の裏地の外側を巻かれ、該外側の管状のカバーに覆われ、ならびにカテーテルセクションの該遠位端の部位に16:1より大きい壁厚と内径との間の比および1200°/in−lbより大きい横方向の可撓性、および15Nよりも大きい最大抗張力を有し
;ならびに
c)少なくとも一つの中間区画を有し、該中間区画は該相対的に硬い近位区画と該相対的に可撓性のある遠位区画との間の通路を画定し、編まれた補剛構造から金属および熱硬化性重合体のよじれ耐性部材構造への移行部を有する装置。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面および他の付録の簡単な説明
本仮特許出願に付け加えられたおよび一部を形成しているものは以下の資料である:
図1図1は、3つの区画を有する本発明のカテーテル装置の一つの実施形態の側方部分断面図である。
図1A図1Aは、図1に示される実施形態の構成要素の情報および仕様書を含む表である。
図2図2は、4つの区画を有する本発明のカテーテル装置の一つの実施形態の側方部分断面図である。
図2A図2Aは、図2に示される実施形態の構成要素の情報および仕様書を含む表である。
図3図3は、本発明(図1にみられるような)のカテーテル100の横方向の可撓性/剛性を別のガイドカテーテル装置と比較する棒グラフである。
図4図4は、本発明(図1にみられるような)のカテーテル100のよじれ耐性を図示する別のガイドカテーテル装置との絵で表した比較である。
図5図5は、4フレンチから8フレンチまで及ぶサイズにおいて本発明のカテーテル100、100aに関する内径と壁厚との間の比の実施例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明および実施例
以下の詳細な説明および参照する添付の図面はいくつかの、しかし必ずしもすべてではない、本発明の実施例または実施形態を説明する意図がある。説明される実施形態はすべての点で例示としてのみ考慮され制限するものではないものとして考慮されるべきである。本詳細な説明および添付の図面の内容はいかなる様式でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0018】
本明細書において使用されるように、近位および遠位という用語はカテーテルまたは医療器具の長さ方向の軸に沿った方向または位置を表す。近位は操作者により近いカテーテルまたは医療器具の端を表し、一方で遠位は患者により近いカテーテルまたは医療器具の端を表す。たとえば、第一点が第二点よりもカテーテルまたは医療器具の操作者端に近いとき、第一点が第二点に対して近位になる。FrまたはFと略称されるフレンチという測定用語はmmで測定されるような装置の直径の3倍と定義される。したがって、直径3mmのカテーテルは直径9フレンチである。
【0019】
本発明の一つの局面に従って、蛇行性の解剖学的構造を通る血管系の部位にアクセスするための方法が提供される。そのような血管系は大脳血管系を含む。この大脳血管系では、ウィリス氏動脈環およびその先にアクセスすることは頸動脈吸引管または椎骨動脈の解剖学的構造が原因できわめて難しい。この解剖学的構造は外傷を生じさせないことも管をまっすぐにすることもなしにそのような場所に到達するために通り抜けなければならない。この方法は、近位端を有するカテーテルを提供する工程を含み、このカテーテルの遠位端が動脈内に挿入され、支持体が遠位に進められる。血栓塞栓症の材料を遠位の区画内へと取り出すためにカテーテルの近位端または付属の吸引口に陰圧が印加されてもよい。可撓性、よじれ耐性、トルクを与えることができる能力、および支柱の強さが要求される場所へのアクセスを得るために、カテーテルおよび他の器具(作業装置)は遠位アクセス吸引ガイドカテーテルを通して血管系内へ挿入されてもよい。
【0020】
数ある例の中で代表的な動脈は、総頸動脈、内頚動脈、頸動脈吸引管、ウィリス氏動脈環などでもよい。あるいは、この動脈は中大脳動脈または前大脳動脈、または脳内のほかの場所にあるものでもよい。
【0021】
さらにこの方法は、酸素化された媒体を動脈内へと吸引内腔を通して導入する工程または薬学の薬剤を動脈内に吸引内腔を通して注入する工程を含んでもよい。薬学の薬剤はニフェジピンまたはニトロプルシドのような血管拡張薬でもよい。あるいは薬学の薬剤は、t−PAを含んでもよい。血栓塞栓症の材料は脈管内の超音波画像化技術または頸動脈のドップラー画像化技術を使用する位置にあってもよい。
【0022】
本発明の別の局面に従って、頭蓋内の吸引カテーテルが提供される。本発明に従って、血管系の非線形の区分を横切る位置に置かれたカテーテルを通して流路を確立する方法が提供される。
【0023】
特定の実施形態では、マイクロカテーテルの配置のために吸引カテーテルはガイドカテーテルとして使用してもよい。ガイドカテーテルは、血管系を通って操縦および操作を可能にするためのガイドワイヤと協同して目標の部位へと進められる。例示の手順では、ガイドワイヤおよびガイドカテーテルは、大腿動脈または腸骨動脈内の位置で血管系内へ導入される。セルディンガー法または他の経皮の手順を使用して、中空の18ゲージの針が経皮の手順を経て大腿動脈内へと導入されてもよい。つぎに、ガイドワイヤが中空の針を通っておよび動脈の樹枝状分岐内へと進められる。つぎに、中空の針が取り除かれ、導入シースが動脈の樹枝状分岐内へと進められる。つぎに、ガイドカテーテルがカテーテル導入器を通り、同じガイドワイヤまたは大動脈を通り抜けることに適した大きなガイドワイヤのどちらかを通って進められる。ガイドカテーテルは、大動脈弓部を通り、頸動脈内へと、頸動脈吸引管を通りおよびウィリス氏動脈環に最も近い部位内へと進められる。ガイドカテーテルは、その可撓性および高いよじれ耐性があるという理由で頸動脈吸引管または脊椎動脈および頭蓋底動脈を越えて蛇行性の解剖学的構造を通って容易に挿入されてもよい。ガイドカテーテルはひとたび適切に配置されると、他の作業装置の挿入のための大きな導管として利用されてもよい。ガイドカテーテルはその内径が大きいという理由で、多数の装置が挿入されてもよい。ガイドカテーテルは吸引装置としておよび血管系からの破片、血栓もしくは他の材料の救出のためのシールドとして役立ってもよい。
【0024】
このガイドカテーテルは、好ましくは、そのガイドカテーテルの近位端においてルアー弁もしくは止血弁で終端をなしており、そして必要に応じて多数のアクセス口を提供する接合具で終端をなしており、このアクセス口の各々は弁を付けられてもよくもしくはコックの栓などが終端をなしてもよい。
【0025】
本発明の一つの局面に従い、遠位アクセス吸引カテーテル100が開示される。単一の中央の内腔を有する遠位アクセス吸引ガイドカテーテルの文脈内で主として説明されたが、本発明のカテーテルは、本明細書における開示を見ることで当業者が容易に明らかなように、容易に追加の構造を組み込む改変をすることができる。たとえば、常置のもしくは取り外し可能な支柱強度増強心棒、薬もしくは洗浄液を注入することもしくは放射線を送達することを可能にするまたは膨張媒体を膨張性のバルーンに供給するような2もしくはそれより多い内腔、またはそれらの特徴の組み合わせ。加えて、本発明は他の血管内の作業装置に遠位の血管へのアクセスを提供するおよび脳内の遠隔の血管系から障害材料を取り除くことの文脈内で主として説明される。
【0026】
本明細書において開示されるカテーテルは、非常に可撓性があり細い壁のあるカテーテルおよび相対的に大きな吸引径もしくは支持された作業チャネルを提供するよじれ耐性を導入することが所望されうる体中のどの場所の用途にも容易に適合しうる。たとえば、本発明に従うカテーテルシャフトは、冠状および末梢の血管系、胃腸管、尿道、尿管、ファロピウス管ならびに他の内腔ならびになおその上可能性のある内腔の至るところへの用途のために寸法を合わせられてもよい。本発明の内腔構造はまた、最小限に侵襲性の経皮組織路拡張装置、たとえば固形の組織目標(たとえば胸部の生検または切除)に診断上または治療上アクセスするためのものとして使用されてもよい。
【実施例】
【0027】
図1はガイドカテーテル装置100の側方部分切断図を図示する。本例では、ガイドカテーテル100は、近位区画101、中間区画102および遠位区画103を有する細長い本体を含む。内腔104はカテーテル100を通って延びる。カテーテルの細長い本体は、内側の裏地およびスリーブ105、金属のらせん106を含む第一よじれ耐性部材、金属のらせん106のらせん状の間隙内に位置する熱硬化性重合体材料107を含む第二よじれ耐性部材、遠位区画103に配置された遠位の外側のカバー108ならびに近位および中間区画に配置された近位の管状カバー109を含む。ルアーまたはマニホルド110は細長いカテーテル体の近位端に提供される。必要に応じて、一つまたはそれより多い放射線撮影マーカー(単数または複数)112が細長いカテーテル本体の表面または内、たとえば図1の例に示されるような遠位端に位置してもよい。図1に示されるカテーテル100の特定の仕様書および詳細は図1Aの表に示される。
【0028】
近位の管状カバー108および遠位の管状カバー109を含む重合体は、熱収縮製管法もしくは他の圧縮方法ならびに熱、たとえば熱された空気流源、放射熱源、誘導ヒーター、高周波ヒーター等によって生み出される熱を使用する熱硬化である。金属のよじれ耐性補強部材106はリボンまたは平らにされた針金のどちらかの金属の構造である。金属のよじれ耐性部材106の巻き(すなわち、らせん状の回旋)は、分布した可撓性がカテーテルシャフトの長さに沿って生み出されうるように配置される。熱硬化性の硬化重合よじれ耐性部材107に加えて金属の巻き内のらせん状の間隙は、実質上均等に分布または特定の軸に沿って方向づけられる可撓性の原因となりうる。金属のよじれ耐性部材に使用される金属は、ニチノール、ステンレス鋼、コバルト―ニッケル合金、チタン等であってもよい。熱硬化性重合よじれ耐性部材107は熱硬化性ウレタン等であってもよい。
【0029】
よじれ耐性部材106および107は、それらの部材の間隙または太さを変化させることで、補強材が遠位でより可撓性に富んで動くように有益に作られてもよい。そのうえ、可撓性はまた内側のスリーブおよび外側の管状カバーの厚さおよび材料を変化させることにより調節されてもよい。
【0030】
このカテーテルの近位端には、当業者に公知なように一つのまたはそれより多いアクセス口を有するルアーまたはマニホルドがさらに提供されてもよい。概して、マニホルドは、オーバーザワイヤ(over−the−wire)構造のガイドワイヤ口、吸引口およびカテーテル挿入口を提供される。一つまたはそれより多いこれらの特徴は、単一口内に実施形態を与えられてもよい。あるいは、手順が、吸引カテーテルの配置に従うガイドワイヤ口からガイドワイヤを近位に除去およびガイドワイヤ口を通した吸引を含むとき、吸引口は省略されてもよい。追加のアクセス口は、このカテーテルの機能しうる能力次第で必要な場合提供されてもよい。マニホルドは、多種の医療等級プラスチックのどれからでも射出成形されまたは当業者に公知の他の技術に従って形成されてもよい。
【0031】
本体の近位区画は、患者の血管系を通してカテーテルが軸方向に位置することを可能にする十分な支柱強度を示す。このカテーテル本体は、他の構成要素、たとえば放射線不透過の充填物;着色料;補強材料;編みひもおよびらせん状の補強要素のような補強材の層;などをさらに含んでもよい。特に、本体の近位区画は、好ましくはその壁厚および外径を制限しながら、その支柱強度およびトルクを与えることができる能力を高めるために補強されてもよい。
【0032】
存在する場合、必要に応じた放射線撮影マーカー112が少なくともカテーテル100の遠位端に概して供給される。他の放射線不透過マーカーは支持コイルのようなほかの場所に、それがまだ放射線不透過ではないとき、供給されてもよい。使用されてもよい放射線不透過マーカーの一つの実施形態は、本体の近位区画の遠位端内に十分にはめ込まれた金属帯を含む。適したマーカー帯は白金、金およびタングステン/レニウム合金を含む多種の材料から製造されてもよい。好ましくは、放射線不透過の金属帯は本体の近位区画の遠位端に形成された環状のチャネル内にはめ込まれる。
【0033】
好ましい範囲外の直径もまた、その直径の機能しうる結果がカテーテルの意図された目的を受容可能であるとき、使用されてもよい。たとえば、与えられた応用内で管状本体のどの部分に対する直径の下限も、カテーテル内に含まれる流体または他の機能しうる内腔の数値の関数であり、許容できる最小の吸引流量および崩壊耐性もまた同様である。
【0034】
管状の本体は、管状の本体の座屈も望ましくない曲げもなしにカテーテルが遠位の場所に進められることを可能にする十分な構造的完全性(たとえば支柱強度または”押すことのできる能力”)を有しなければならない。本体のトルクを伝える能力もまた、操縦をアシストするために、たとえば回転においてよじれを避けるために所望されうる。管状の本体、特に遠位区画はどんな多種のトルクおよび/または支柱強度増強構造を提供されてもよい。たとえば、軸方向に延びる補剛ワイヤ、らせんに巻きつけられた支持層、編まれもしくは織られた補強繊維は、管状の本体内に作られまたは積層されてもよい。
【0035】
多くの応用では、近位区画は特に低側面または蛇行性の動脈を通り抜けることを要求されない。 たとえば冠状血管での応用のために、近位区画は大部分または全体が相対的に大きな直径のガイドワイヤ内にある。バルーンおよび/または遠位端が処置位置にあるときに、ガイドカテーテルの遠位端にほぼ一致するように移行部が、カテーテルシャフトに配置されてもよい。特定の他の応用、たとえば頭蓋内のカテーテル法のために、遠位区画は好ましくは、約5cmの長さで、3mmもしくは2mmほど小さいまたはそれより小さい血管を通りすぎるのに十分に直径が小さい。本応用のためのカテーテルは、約60cmと約150cmとの間の長さの近位区画および約5cmと約15cmとの間の長さの遠位区画を有してもよく、遠位区画は約3mmの内腔IDよりも小さい血管を通って少なくとも約5cmの蛇行性の経路をたどることができる。
【0036】
区画の数は変えてもよい。たとえば図2は、そのカテーテル100aが第一遠位区画120および第二遠位区画122を有するということを除いて図1のカテーテルについて説明されるものと本質的に同じ構成要素および構造を有するカテーテル装置100aの別の実施形態を示す。金属のらせん106および/または外側のカバー109の寸法(たとえば幅、厚さ)は二つの遠位区画120と122との間で変えることによって、その二つの遠位区画に異なる特性を有させてもよい。本カテーテル100aのためのそれらの寸法および他の仕様書の特定の例は、図2Aの表に示される。
【0037】
図3は本発明(図1にみられるような)のカテーテル100の横方向の可撓性/剛性を別のガイドカテーテル装置と比較する棒グラフである。
【0038】
図4は本発明(図1にみられるような)のカテーテル100のよじれ耐性を別のガイドカテーテル装置と比較する写真およびデータを示す。
【0039】
図5は4フレンチから8フレンチまで及ぶサイズにおいて本発明のカテーテル100、100aに関する内径と壁厚の間の比の実施例を示す表である。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、必要に応じたバルーン、たとえばラテックス、シリコーン(silicon)、Chronoprene、Santopreneまたは他のエラストマーのような材料の特定の規格で形成されたバルーンは細長いカテーテル本体の遠位端にまたは近くに置かれてもよい。そのような必要に応じたバルーンは、カテーテルが置かれる血管を通る流れを、そのような流れの閉塞が所望されるときに閉塞することに有用である得る。
【0041】
少なくともいくつかの実施形態では、近位区画101は半径方向強度を保持するが横方向の可撓性を提供する。そのうえ、その区画は望ましくは、Tinius−Olsen剛性試験器によって、少なくとも1,200°のたわみ/インチ―ポンド(20°―30°のたわみ、0.005lb、0.25”の全長にわたって測定される)、好ましくは2,500°のたわみ/インチ―ポンドと測定されるような横方向の可撓性(剛性)を有する。そのうえ、本発明者らは、この区画の半径方向の圧縮強度は同種のカテーテルの遠位区画にみられる他の遠位区画と比較してかなり高いことを見出した。
【0042】
末梢動脈、たとえば右大腿動脈、左大腿動脈、右橈骨動脈、左橈骨動脈、右上腕動脈、左上腕動脈、右腋窩動脈、左腋窩動脈、右鎖骨下動脈または左鎖骨下動脈での切開を通して従来の技術を使用することで、本発明のカテーテルがアクセスすることは達成されうる。緊急事態において切開はまた、右頸動脈または左頸動脈においてなされてもよい。
【0043】
本明細書において開示される構造は、独立型の装置のようなガイドカテーテルに適している。本構造は高い支柱強度、トルクを与えることができる能力、よじれ耐性および抗張力を有する非常に可撓性のある装置に帰着する。
【0044】
本発明は本発明の特定の実施例または実施形態を参考にして本明細書において説明されたが、種々の追加、削除、交替および改変は、意図された趣旨からも本発明の範囲からも逸脱することなくそれらの実施例および実施形態に対してなされてもよいということが理解される。たとえば、そのようにすることがその実施形態または実施例を意図された使用に不適切であると具体的に言及のない限り、一つの実施形態または実施例のどの要素または性質も別の実施形態および実施例に組み込まれるかまたはそれらととともに使用されてもよい。また、方法またはプロセスの工程が特定の順序で説明されまたは列挙される場合には、特定されたのと異なる方法または特定された方法をしないことで、その方法またはプロセスが意図された目的について実行不可能とならない限り、そのような工程の順序は変えられてもよい。すべての合理的な追加、削除、改変および交替は説明された実施例および実施形態と同等のものと考慮されるべきであり、以下の請求の範囲内に含まれるべきである。
【0045】
いくつかの、しかしすべてではない、潜在的に請求できる本発明の局面をさらに開示し、明記しおよび定義するために以下の請求文は概して特許請求の体裁内に示される。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図4
図5