特許第5795397号(P5795397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795397
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】電気的手動解除シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/12 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   B60N2/12
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-41790(P2014-41790)
(22)【出願日】2014年3月4日
(65)【公開番号】特開2014-201306(P2014-201306A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2014年4月1日
(31)【優先権主張番号】13/856,270
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512221393
【氏名又は名称】アイシン テクニカル センター オブ アメリカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】水野 量介
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ミクソン
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−184734(JP,U)
【文献】 特開2006−335148(JP,A)
【文献】 米国特許第05683140(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向と第2の方向との両方に動作する2方向型モーションアクチュエータと、
前記第1の方向に動作する前記2方向型モーションアクチュエータに応答してシートのリクライニングを解除するリクライニング解除機構と、
前記第2の方向に動作する前記2方向型モーションアクチュエータに応答してシートのスライド機構を解除するスライド解除機構とを具備し、
前記2方向型モーションアクチュエータが前記第1の方向に動作する際に前記スライド機構を動作しないようにする第1の非意図的動作防止装置と、
前記2方向型モーションアクチュエータが前記第2の方向に動作する際に前記リクライニングを動作しないようにする第2の非意図的動作防止装置とをさらに具備し、
前記第1の非意図的動作防止装置及び前記第2の非意図的動作防止装置は、スロット孔であるシートの解除機構。
【請求項2】
前記2方向型モーションアクチュエータは、モータであり、
前記第1の方向は、前記モータの第1の回転方向であり、
前記第2の方向は、前記モータの第2の回転方向である請求項1に記載のシートの解除機構。
【請求項3】
前記2方向型モーションアクチュエータから回転リンクに延び、この回転リンクは、
前記2方向型モーションアクチュエータによる動作に応答して回転するプッシュプルリンクと、
前記回転リンクから延びたハーフチューブによって前記回転リンクに接続される回転センタリンクとをさらに有する請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項4】
前記リクライニング解除機構は、
前記シートのリクライニングを解除するリクライニング解除レバーと、
第1のリベットによって前記回転センタリンクに接続され、第2のリベットによって前記リクライニング解除レバーに接続されるリクライニングプルリンクとを有する請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項5】
前記リクライニングプルリンクは、前記第2のリベットが摺動するように構成された第1のスロット孔を含む請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項6】
前記第1の非意図的動作防止装置は、前記第1のスロット孔であり、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第1の方向に動作すると、前記第2のリベットが前記第1のスロット孔の端部に接して前記リクライニングプルリンクは前記リクライニング解除レバーを動作させ、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第2の方向に動作すると、前記第2のリベットが前記第1のスロット孔内を摺動し、前記リクライニング解除レバーが前記回転センタリンクによって動作しなくなる請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項7】
前記スライド解除機構は、前記シートのスライド機構を解除するスライド解除レバーを含み、
前記スライド解除レバーは、前記回転センタリンクから延びたスライドピンによって前記回転センタリンクに接続される請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項8】
前記スライド解除レバーは、前記スライドピンが摺動するように構成された第2のスロット孔を含む請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項9】
前記第2の非意図的動作防止装置は、前記第2のスロット孔であり、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第2の方向に動作すると、前記スライドピンが前記第2のスロット孔の端部に接して前記スライド解除レバーが動作して前記スライド機構を解除し、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第1の方向に動作すると、前記スライドピンが前記第2のスロット孔内を摺動し、前記スライド解除レバーが前記回転センタリンクによって動作しなくなる請求項に記載のシートの解除機構。
【請求項10】
前記2方向型モーションアクチュエータの電源が切られると、前記リクライニング解除機構及び前記スライド解除機構がそれぞれロックされた状態となる請求項1に記載のシートの解除機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的態様は、車両シートのリクライニング機構及びスライド機構のロック及び解除に関し、特に、これらの機構の解除を電気的に駆動させることに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両のシートには、背もたれが底部で旋回できるリクライニング機構が設けられることができる。このリクライニング機構は、中間位置、直立位置、最後部位置及び最前部位置を含むいくつかの規定された位置をとることが可能である。
【0003】
また、自動車等の車両のシートには、シートが車両の前後方向に進行できるスライド機構が設けられることができる。このスライド移動によって、乗員は最適なシートの位置を得ることができる。例えば、乗員は、車両の運転者であることができ、スライド機構は、運転者が車両制御を全て行えるように適切な位置を確実にするために使用される。
【0004】
リクライニング機構及びスライド機構との両方が、通常車両シートに配置されている個々の手動レバーを使用して操作されることが可能である。また、リクライニング機構及びスライド機構は、ユーザが力を加えなくてもスライド機能及びリクライニング機能を実施するアクチュエータに置き換えられることができる。このような特徴を備えているシートは、代表的には、電動シート又は電動アシストシートと呼ばれている。
【0005】
上記のアクチュエータは、上に記載される手動レバーと比較して利便性があり、高級感を与える。しかしながら、それらの解除を行う個々のアクチュエータ及びその関連機構は、複雑で、規模が大きい。
【発明の概要】
【0006】
第1の方向と第2の方向との両方に動作する2方向型モーションアクチュエータと、前記第1の方向に動作する前記2方向型モーションアクチュエータに応答してシートのリクライニングを解除するリクライニング解除機構と、前記第2の方向に動作する前記2方向型モーションアクチュエータに応答してシートのスライド機構を解除するスライド解除機構とを具備するシートの解除機構である。
【0007】
本発明の全体の理解及び本発明の多くの利点が、添付図面に関連付けて考えられ、以下の詳細な説明を参照してよく理解されることから容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の例示的態様による車両シートのリクライニング機構及びスライド機構を示す図である。
図2図2は、代表的なアクチュエータを示す図である。
図3図3は、本開示の例示的態様によるリクライニング機構を示す図である。
図4図4は、本開示の例示的態様によるリクライニング機構を示す図である。
図5図5は、本開示の例示的態様によるリクライニング機構を示す図である。
図6図6は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図7図7は、本開示の例示的態様によるリクライニング機構を示す図である。
図8図8は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図9図9は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図10図10は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図11図11は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図12図12は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図13図13は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
図14図14は、本開示の例示的態様によるスライド機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、複数の図面にわたる同一又は対応する要素は同じ符号で示される。さらに、本明細書に使用される「1つの」(英語のa及びan)等は、特記しない限り、「1つの、又は複数の」を意味する。
【0010】
図1ないし図14は、車両シートのリクライニング機構及びスライド機構のさまざまな態様を示す図である。本明細書では、車両は、自動車等の陸上車を参照している。しかしながら、本開示は、これらに限定されないが、スポーツ多目的車、小型トラック、商用車等の同じような種類のあらゆる車両にも適用可能である。
【0011】
図1は、本開示による車両のリクライニング機構及びスライド機構を概略的に示す。部分的に図示されるシートは、取付板21に取り付けられた2方向型モーションアクチュエータ10を有する。取付板21は、フロントトーションチューブ22に取り付けられ、フロントトーションチューブは、シートフレーム(図示されない)に取り付けられる。
【0012】
シートは、車両の前後方向に延びたアッパーレール24及び26を含む。アッパーレール24及び26は、ロアーレール(図示せず)に対して前後方向に摺動する。2方向型モーションアクチュエータ10は、アッパーレール24の内側に配置される。
【0013】
図2は、2方向型モーションアクチュエータ10の例示的な実施の形態を示す。2方向型モーションアクチュエータ10は、時計回り及び反時計回り(逆時計回り)の方向に回転するモータである。2方向型モーションアクチュエータ10は、本明細書では電気モータとして記載するが、ピストン又はソレノイド等の他のタイプの多点位置決め電動アクチュエータであってもよい。2方向型モーションアクチュエータ10は、2方向のみの動作に限らず、むしろ少なくとも2方向の動作を含む。
【0014】
プッシュプルリンク11は、図3に示されるようにアクチュエータ10に取り付けられる。2方向型モーションアクチュエータ10が第1の方向(図3に反時計回りとして示される)に動作すると、プッシュプルリンク11が2方向型モーションアクチュエータ10から離れる。プッシュプルリンク11の破線で示される輪郭は、2方向型モーションアクチュエータ10が反時計回りの方向に回転した後のプッシュプルリンク11の動作を示す。
【0015】
図4は、2方向型モーションアクチュエータ10に取り付けられていないプッシュプルリンク11のもう一方の端部が、その下部で回転リンク12に取り付けられていることを示す。回転リンク12は、図4に示される略三角形であるが、回転リンク12の特定の形態は、さまざまな形状に合うように変えられることができる。
【0016】
図4は、プッシュプルリンク11による回転リンク12の動作を示す。特に、2方向型モーションアクチュエータ10が第1の位置から第2の位置まで動作すると、プッシュプルリンク11は、第1の位置から図4に破線で示される第2の位置まで回転リンク12を動かす。図4に示されるように、回転リンクは、2方向型モーションアクチュエータ10の動作によって図4の右方向に動作する。
【0017】
ハーフチューブ13は、回転リンク12の上側部分に取り付けられる。ハーフチューブ13は、押出成型された空洞の半円形であることができる。ハーフチューブ13は、本質的には、軸方向に沿って半分に切断された管形状である。
【0018】
ハーフチューブ13の端部は、図5に示されるように、軸方向で、回転センタリンク14の内側に接続されている。回転センタリンク14の上側部分は、リクライニングプルリンク16に回転センタリンク14を回転可能に取り付けるリベット15を含む。
【0019】
リクライニングプルリンク16は、回転センタリンク14とリクライニング解除レバー19との間に延びている。リクライニングプルリンク16は、車両の前後方向に実質的に延びている。上に記載されるように、リクライニングプルリンク16は、リベット15によって回転センタリンク14に取り付けられる。回転センタリンク14が(プッシュプルリンク11、回転リンク12及びハーフチューブ13を介して)2方向型モーションアクチュエータ10によって動作されると、リクライニングプルリンク16が動作される。リクライニングプルリンク16は、図5に破線で示されように、左方向に動作される。
【0020】
リクライニングプルリンク16は、回転センタリンク14が取り付けられた端部の反対側のリクライニングプルリンク16の端部に配置されるスロット孔17を含む。スロット孔17は、リクライニングリンク16と実質的に同じ長さ方向に形成されている。スロット孔17には、スロット孔17の全長にわたって摺動可能なリベット18が設けられている。即ち、リベット18は、リクライニングプルリンク16の動作に応じてスロット孔17の全長にわたって進行することができる。
【0021】
リベット18は、図1並びに図7に示されるようにリクライニング解除レバー19に取り付けられている。リクライニング解除レバー19は、略三角形であり、その底部にはリベット18が配置されている。しかしながら、リクライニング解除レバーの形状は、シート装置の形状に対して必要に応じて変更されることができる。リクライニング解除レバーは、リクライニング接続チューブ20に接続される。リクライニング接続チューブ20は、ロックされた状態からリクライニングを解除するために、リクライニング機構(図示されない)に接続される。
【0022】
図1図7に示されるように、2方向型モーションアクチュエータ10は、上に記載される機構によってリクライニングをロックされた状態から解除する。特に、2方向型モーションアクチュエータ10は、第1の方向に動作してプッシュプルリンク11を押す。プッシュプルリンク11は、回転リンク12を動作させ、ハーフチューブ13を介して回転センタリンク14を動かす。回転センタリンク14は、リベット15を介してリクライニングプルリンク16を引き寄せる。動作方向は、図5に示されるように左方向である。リクライニングプルリンク16は、回転リンク14によって引き寄せられるとリベット18に作用し始め、十分な距離に引き寄せられると、リベット18は、スロット孔17の端部に到達する。リベット18が回転センタリンク14の反対側にあるスロット孔17の端部に接すると、リクライニングプルリンク16はさらに動作し、リベット18を介してリクライニング解除板19を引き寄せるようになる。従って、リクライニングは、第1の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータ10の動きによってロックされた状態から解除される。リクライニングがロックされた状態から解除されると、ユーザはリクライニング角度を手動で調節することができる。
【0023】
主に図8〜14を参照してスライド解除機構が説明される。図8は、図3に示されるのと同じ2方向型モーションアクチュエータ10の図である。ただし、図8は、破線で示されるような第2の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータ10を示している。第2の方向は、2方向型モーションアクチュエータの時計回りに相当し、それに応じて2方向型モーションアクチュエータが図8の主に左方向にプッシュプルリンク11を引き寄せる。上に記載されるように、2方向型モーションアクチュエータは回転動作に限定されず、第1及び第2の方向は時計回り及び反時計回りの動作に限定されない。
【0024】
2方向型モーションアクチュエータ10が第2の方向への動作が、図9に示されるように、回転リンク12及びハーフチューブ13を引き寄せる。図9の破線は、回転リンク12のこの動作を示す。図9に示されるように、回転リンク12は、2方向型モーションアクチュエータ10が第2の方向に動作するため、図9の主に左方向に動作する。それに対して、図4は、2方向型モーションアクチュエータが第1の方向に作動する際に、プッシュプルリンク11が押されることによって回転リンク12が主に右方向に動作することを示す。
【0025】
図10は、回転リンク12が動作することによって、回転センタリンク14が回転リンク12と回転センタリンク14との間のハーフチューブ13の接続を介して回転することを示す。この回転を図10の破線で示す。図10図5に示すセンタリンク14の回転と比較することができる。図5では、回転センタリンク14は第1の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータ10の動きによって反時計回りの位置に回転する。その一方で図10は、回転センタリンク14が第2の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータ10の動きによって時計回りの位置に回転することを示す。
【0026】
スライドピン31が、回転センタリンク14から延びている。スライドピン31は、スライド解除レバー30に設けたスロット孔38を通って延びている。これらの特徴は、図1図11図13並びに図14に見られることができる。スロット孔38は円弧状に示されている。ただし、スロット孔38は、このような形状に限定されない。
【0027】
図11は、回転センタリンクの回転が、破線で示す第2の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータによって引き起こされることを示す(図10も参照されたい)。図11では、スライドピン31は、上に記載される回転センタリンク14の動作(回転)によってほぼ下方向に移動する。スライドピン31が移動するとき、このスライドピン31は、スライド解除レバー30に設けられたスロット孔38内を進行する。スライドピン31は、スロット孔38内で十分な距離を進行すると、図11の下方向に位置されたスロット孔38の端部と接するようになる。この点では、回転センタリンク14の回転によってスライドピン31がさらに移動することから、スライド解除レバー30は回転するようになる。回転軸線は、図1に示されるセンターコーキングピン32である。
【0028】
スライドピン31によって引き起こされるスライド解除レバー30の動作は、図11に破線で示される。スライド解除レバー30は、図11に示されるように、下方向に動作する。図13は、この動作を示す他の図である。
【0029】
図13は、スライド解除レバーが十分な距離を移動すると、スライド解除レバー30の端部に配置されるロックピン37がロックレバー36から解除されることを示す。ロックレバーピン37は、図1に部分的に示されるように、内側に延びている。ロックレバーピン37がロックレバー36から解除されると、トラックスライド(図示されない)が移動することができる。
【0030】
図14は、回転センターチューブ33によってスライド解除レバー30に接続される第2のスライド解除レバー35を示す。コーキングピン32は、スライド解除レバー30を回転センターチューブ33に取り付ける。同様に、コーキングピン34は、スライド解除レバー35を回転センターチューブ33に取り付ける。スライド解除レバー30及びスライド解除レバー35は、それぞれ、第1のスライド解除レバー及び第2のスライド解除レバーと称されることができる。
【0031】
従って、スライドピン31によってどんな動作がスライド解除レバー30に伝わっても、回転センターチューブ33を介してスライド解除レバー35が動作する。スライド解除レバー35は、図1に示されるように内側に延びたロックレバーピン(参照符号なし)を含む。スライド解除レバー35が十分な距離を移動すると、ロックレバーピンは関連するロックレバー(図示されない)から解除される。従って、シートの両側のトラックスライドは解除され、シートは前後方向に自由に摺動することができる。スライド機構がロックされた状態から解除されると、ユーザはシートの位置を前後方向に手動で調節することができる。
【0032】
上に記載されるように、2方向型モーションアクチュエータ10は、ロックされた状態からスライド機構を解除する。特に、2方向型モーションアクチュエータ10は、第2の方向に動作してプッシュプルリンク11を引き寄せる。プッシュプルリンク11は、ハーフチューブ13を介して回転センタリンク14を動かす回転リンク12を動作させる。回転センタリンク14は、解除レバー30のスロット孔38内を移動するスライドピン31を含む。従って、スライドピン31がスロット孔38の端部に到達すると、回転センタリンク14の動作によって、図11に示されるようにスライド解除レバー30を下向きに押す。スライド解除レバー30は十分な距離を移動し、ロックレバー36からレバーピン37を解除する。同時に、スライド解除レバー35は、反対のロックレバーから関連するロックレバーピン37を解除する。従って、スライド機構は、第2の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータ10の動きによって、ロックされた状態から解除される。
【0033】
上に記載されるように、2方向型モーションアクチュエータ10は、第1の方向又は第2の方向に動作するかによってリクライニング機構及びスライド機構を解除することができる。図6並びに図12を用い、スライド機構及びリクライニング機構は、それぞれ互いの機構が解除される際に、どのようにして非意図的に(故意でなく)解除されないようにするかを説明する。
【0034】
図6は、2方向型モーションアクチュエータが第1の方向に動作してリクライニング機構を解除する際の回転センタリンク14の動作を示す(図5も参照されたい)。図6に示されるように、回転センタリンク14は、第1の方向に動作する2方向型モーションアクチュエータ10によって破線で示す左方向に動作する。回転センタリンク14の動作によって、スライドピン31は解除レバー30のスロット孔38内を移動する。このとき、スライドピン31は、スロット孔38内を主に上方向に移動する。従って、スライド解除レバーは、図11に示されるようには下方向に動作せず、スライド機構を解除しない。即ち、スライドピン31がスロット孔38の下方向端部に進行しないことから、スライド解除レバー30は下方向に押されず、スライド機構は解除されない。従って、2方向型モーションアクチュエータ10が第1の方向に動作してリクライニング機構を解除する際、スライドピン31及びスロット孔38の配置によってスライド機構は非意図的には解除されない。即ち、スライド機構は、スライドピン31及びスロット孔38の上記の配置によって動作しなくなる。スロット孔38とリクライニング機構の他の部分とを組み合わせて第1の非意図的動作防止装置と呼ばれることができる。
【0035】
回転センターチューブを介してスライド解除レバー30にスライド解除レバー35を接続することによって、2方向型モーションアクチュエータ10が第1の方向に動作してリクライニング機構を解除する際は、スライド解除レバー35は同じように非意図的には解除されない。
【0036】
図12は、2方向型モーションアクチュエータ10が第2の方向に動作する際のリクライニングプルリンク16の動作を示す。上に記載されるように、2方向型モーションアクチュエータ10が第2の方向に動作すると、回転センタリンクは、図11に示されるように時計方向に回転して下方向に動作する。図12は、回転センタリンク14が時計方向に回転すると、リクライニングプルリンク16が破線で示されるように右方向に押されることを示している。リクライニングプルリンク16が右方向に動作することによって、リベット18はスロット孔17の左端部に向かってスロット孔17内を摺動する(図12に示す通り)。従って、リクライニングプルリンクは、図7に示されるようにはリベット19を介してリクライニング解除レバー19を引き寄せず、リクライニング機構を解除しない。従って、2方向型モーションアクチュエータ10が第2の方向に動作してリクライニング機構を解除する際、リベット18及びスロット孔17の配置によってリクライニング機構は非意図的には解除されない。即ち、リクライニング機構は、リベット18及びスロット孔17の上記の配置によって動作しなくなる。スロット孔17とリクライニング機構の他の部分とを組み合わせて第2の非意図的動作防止装置と呼ばれることができる。
【0037】
従って、上に詳細に記載される機構は、単一のアクチュエータを使用してスライド機構及びリクライニング機構を解除することができる。さらに、ユーザがリクライニングを解除しようとする際、スライド機構は非意図的には解除されない。同じように、ユーザがスライドを解除しようとする際、リクライニング機構は非意図的には解除されない。
【0038】
さらに、上に記載される機構は他の安全機能を有する。即ち、2方向型モーションアクチュエータの電源が切られると、リクライニング解除機構及びスライド解除機構はそれぞれロックされた状態となる。この機能は、リクライニング及びスライドのロック機構がばねを用い、上に記載されるようにそれぞれのロック機構を解除しないロックされた状態にすることから可能となる。従って、ばね力は、それぞれのアクチュエータを初期位置に保持するのに用いられる。
【0039】
2方向型モーションアクチュエータ10は、スライド機構を解除する際にばねを含むスライドロック機構を押してシートをロック解除する。この動作中に2方向型モーションアクチュエータの電源が切られると、ばね力によってシートスライドをロックすると同時にアクチュエータを初期状態に押し戻す。
【0040】
2方向型モーションアクチュエータ10は、リクライニング機構を解除する際にばねを含むリクライニングロック機構を押してシートをロック解除する。この動作中に2方向型モーションアクチュエータ10の電源が切られると、ばね力によってシートリクライニングをロックすると同時にアクチュエータを初期状態に押し戻す。
【0041】
従って、費用対効果が良く、規模が小さい単一の機構が、車両シートのリクライニング機構及びスライド機構を安全に解除することができる。このようなシステムは、全パワーシートに比して費用対効果が良いようにして、全手動の機構よりも高級感を与える。さらに、このシステムは、シートの電源が切られた場合に他の安全性の利点を与える。
【0042】
上記の教示を踏まえれば、本発明の多くの変更例及び変形例が可能であることは明らかである。従って、本願の特許請求の範囲内であれば、本願明細書に明記した以外にも本発明が実施可能であることが理解される。
出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を以下に付記する。
[1]第1の方向と第2の方向との両方に動作する2方向型モーションアクチュエータと、前記第1の方向に動作する前記2方向型モーションアクチュエータに応答してシートのリクライニングを解除するリクライニング解除機構と、前記第2の方向に動作する前記2方向型モーションアクチュエータに応答してシートのスライド機構を解除するスライド解除機構とを具備するシートの解除機構。
[2]前記2方向型モーションアクチュエータが前記第1の方向に動作する際に前記スライド機構を動作しないようにする第1の非意図的動作防止装置と、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第2の方向に動作する際に前記リクライニングを動作しないようにする第2の非意図的動作防止装置とをさらに具備する[1]に記載のシートの解除機構。
[3]前記2方向型モーションアクチュエータは、モータであり、前記第1の方向は、前記モータの第1の回転方向であり、前記第2の方向は、前記モータの第2の回転方向である[1]に記載のシートの解除機構。
[4]前記第1の非意図的動作防止装置及び前記第2の非意図的動作防止装置は、スロット孔である[2]に記載のシートの解除機構。
[5]前記2方向型モーションアクチュエータから回転リンクに延び、この回転リンクは、前記2方向型モーションアクチュエータによる動作に応答して回転するプッシュプルリンクと、前記回転リンクから延びたハーフチューブによって前記回転リンクに接続される回転センタリンクとをさらに有する[2]に記載のシートの解除機構。
[6]前記リクライニング解除機構は、前記シートのリクライニングを解除するリクライニング解除レバーと、第1のリベットによって前記回転センタリンクに接続され、第2のリベットによって前記リクライニング解除レバーに接続されるリクライニングプルリンクとを有する[5]に記載のシートの解除機構。
[7]前記リクライニングプルリンクは、前記第2のリベットが摺動するように構成された第1のスロット孔を含む[6]に記載のシートの解除機構。
[8]前記第1の非意図的動作防止装置は、前記第1のスロット孔であり、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第1の方向に動作すると、前記第2のリベットが前記第1のスロット孔の端部に接して前記リクライニングプルリンクは前記リクライニング解除レバーを動作させ、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第2の方向に動作すると、前記第2のリベットが前記第1のスロット孔内を摺動し、前記リクライニング解除レバーが前記回転センタリンクによって動作しなくなる[6]に記載のシートの解除機構。
[9]前記スライド解除機構は、前記シートのスライド機構を解除するスライド解除レバーを含み、前記スライド解除レバーは、前記回転センタリンクから延びたスライドピンによって前記回転センタリンクに接続される[5]に記載のシートの解除機構。
[10]前記スライド解除レバーは、前記スライドピンが摺動するように構成された第2のスロット孔を含む[9]に記載のシートの解除機構。
[11]前記第2の非意図的動作防止装置は、前記第2のスロット孔であり、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第2の方向に動作すると、前記スライドピンが前記第2のスロット孔の端部に接して前記スライド解除レバーが動作して前記スライド機構を解除し、前記2方向型モーションアクチュエータが前記第1の方向に動作すると、前記スライドピンが前記第2のスロット孔内を摺動し、前記スライド解除レバーが前記回転センタリンクによって動作しなくなる[10]に記載のシートの解除機構。
[12]前記2方向型モーションアクチュエータの電源が切られると、前記リクライニング解除機構及び前記スライド解除機構がそれぞれロックされた状態となる[1]に記載のシートの解除機構。
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