(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支援対象者の生体に装着され、前記支援対象者の生体から生体情報を収集する収集デバイスと、その収集デバイスで収集された生体情報を無線送信する無線送信部とが組み込まれてなるウエアラブル端末と、
前記無線送信部から無線送信された生体情報を受信する無線受信部と、受信した生体情報を解析してその異常を判断する情報解析部と、前記支援対象者の生体情報を送信するために予め設定された複数の候補端末のうち生体情報を受入れ可能とされる端末を探索する情報送信先探索部とを備え、当該情報送信先探索部により探索された候補端末に前記生体情報を送信可能な在宅通信機器と
から構成され、
前記在宅通信機器の情報送信先探索部は、前記情報解析部が生体情報が異常であると判断した場合に前記支援対象者の生体情報を送信しようとするとき、その情報送信先として最初に第1の候補端末を探索して認識情報を要求する情報を送信し、当該第1の候補端末における認識情報から受入状態が可能であるか不可能であるかを確認し、
当該第1の候補端末における受入状態が可能である情報を受信した場合、生体情報を該第1の候補端末に送信し、
当該第1の候補端末における受入状態が不可能である情報を受信した場合、生体情報は第2の候補端末に送信し、
当該第1の候補端末における受入れ状態が可能である情報も、受入れ状態が不可能である情報も受信しない場合であって、かつ一定時間の経過した場合には、生体情報を第2の候補端末に送信するとともに、
前記生体情報を前記第1の候補端末には送信しない場合には、前記第1の候補端末の表示画面には、支援対象者の生体の異常があったことについて、時間と支援対象者を識別可能な情報である履歴情報を表示し続け、
前記履歴情報が表示された第1の候補端末から生体情報を受信可能である情報を受信した場合には、前記在宅通信機器は、前記第1の候補端末に対して生体情報を送信する
ように構成される在宅医療支援システム。
前記在宅通信機器は、操作情報を送信するとき、前記かかりつけ医院における端末が操作情報を受け入れ可能でないとき、前記地域機関と前記かかりつけ医院における端末と他の医療機関における端末のそれぞれに該操作情報を送信するように構成される請求項4に記載の在宅医療支援システム。
前記ウエアラブル端末は、前記支援対象者の生体に装着されたとき、特定の解錠操作を伴わない限り解錠不能なロック機構によりロックされる請求項1〜請求項5のうちいずれか一項に記載の在宅医療支援システム。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、在宅医療支援システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、在宅医療支援システム1は、支援対象者が手首に装着するリストバンド型のウエアラブル端末2と、自宅60に設けられる在宅通信機器3と、医療機関における端末4との間で行われる情報通信によって構築される。本実施形態では、こうした支援対象者として、例えば、医療支援の必要な高齢者であって、特に独居であったり認知症を発症していたりする高齢者における利便性に長けた在宅医療支援システムを構築している。
【0024】
すなわち、ウエアラブル端末2では、脈拍、血圧、及び酸素飽和度の生体情報(バイタルデータ)Vdの収集が行われ、こうした生体情報Vdが在宅通信機器3との間で情報通信される。また、ウエアラブル端末2では、後述するドクターコール17が押下操作されるとき、こうした押下操作を示す操作情報Bdが在宅通信機器3との間で情報通信される。
【0025】
すなわち、ウエアラブル端末2で収集される生体情報Vdや操作情報Bdは、該ウエアラブル端末2との間で無線通信する受信器5(在宅通信機器3)から、該受信器5との間で有線通信する固定電話機等の通信端末6(在宅通信機器3)に送信される。通信端末6に送信される生体情報Vdや操作情報Bdは、電話回線等の専用の通信回線を介して医療機関におけるパーソナルコンピュータ等の端末4に送信されることで、該端末4を通じて医師によって診断されることとなる。
【0026】
本実施形態では、生体情報Vdや操作情報Bdが送信される端末4(候補端末)として、支援対象者のかかりつけのかかりつけ医院7における端末7a、及びICU(Intensive Care Unit)を設備する24時間体制の病院8における端末8aを対象とする。これらのうちでまずかかりつけ医院7における端末7aが探索されて、該かかりつけ医院7が生体情報Vdや操作情報Bdを受け入れ不可能なとき、病院8における端末8aが探索されて生体情報Vdや操作情報Bdが送信される。以下の説明では、各端末7a,8aを纏めて端末4という場合もある。
【0027】
そして、上記医療機関の医師は、送信されてきた生体情報Vdに基づく各端末7a,8aの表示画面7b,8bの表示内容やスピーカ7c,8cから発せられる警告音等から支援対象者の容体を診断し、該診断を通じて支援対象者への容体の問い合わせ、応急処置の指示、救急車の手配等を判断することとなる。
【0028】
なお、本実施形態では、上述したいずれの医療機関(かかりつけ医院7、病院8)でも生体情報Vdを受け入れ可能でない(不可能である)とき、医師以外の人、例えば、消防機関40が支援対象者への容体の問い合わせ、応急処置の指示、救急車の手配等を判断のバックアップ機能を果たすようにも構成される。
【0029】
また、操作情報Bdについては、支援対象者の住まい周辺における警備会社や民生委員等の地域機関50に送信される。そして、地域機関50は、操作情報Bdが送信されることにより、支援対象者の自宅60の訪問、訪問の結果の医療機関への報告等をすることとなる。
【0030】
次に、ウエアラブル端末2の構成について説明する。
図1及び
図2に示すように、ウエアラブル端末2のバンド本体11には、ウエアラブル端末2の電力を確保するための電源12が装着される。電源12は、生体10に接触可能なようにバンド本体11の内側に配置される。電源12は、例えば、熱電素子や圧電素子等からなる熱や振動といったように、ウエアラブル端末2を装着する支援対象者の生体10に関わって電力を確保する。
【0031】
また、バンド本体11には、支援対象者の生体(本実施形態では、手首)10から生体情報Vdを生成するための測定情報(測定データ)Sdを収集する収集デバイス13が埋設される。収集デバイス13は、生体10に接触可能なようにバンド本体11の内側に配置される。収集デバイス13には、複数のセンサが設けられており、これらセンサが支援対象者の生体10に接触することによって脈拍、血圧、及び酸素飽和度の生体情報Vdを生成するための測定情報Sdを測定することができる。なお、収集デバイス13は、ウエアラブル端末2が装着されている間、測定情報Sdを継続して測定する。
【0032】
また、収集デバイス13には、バンド本体11に内蔵されるマイクロプロセッサ等からなるウエアラブル演算処理部14が接続される。そして、収集デバイス13で測定される測定情報Sdがウエアラブル演算処理部14における情報生成部15に送信されて解析されることによって、生体情報Vdが生成される。情報生成部15は、測定情報Sdを解析して脈拍に関わる情報(データ)を生成する脈拍情報生成部15a、測定情報Sdを解析して血圧に関わる情報(データ)を生成する血圧情報生成部15b、測定情報Sdを解析して酸素飽和度に関わる情報(データ)を生成する酸素飽和度情報生成部15cからなる。
【0033】
また、情報生成部15で生成される生体情報Vdがウエアラブル演算処理部14における無線送信部16に送信されて無線送信されることによって、受信器5との間で無線通信される。なお、無線送信部16は、ウエアラブル端末2が装着されている間、生体情報Vdを継続して無線送信する。
【0034】
また、無線送信部16には、バンド本体11における表(径方向外側)に設けられる操作部としての支援対象者が操作可能なドクターコール17が接続される。ドクターコール17は、バンド本体11に形成される円形の凹部17aの奥(バンド本体11の径方向内側)に埋設され、該凹部17aの奥にてさらに奥に向かって押下操作されることで反応し、支援が必要であることの積極的な意思表示をする機能を果たす。すなわち、ドクターコール17が押下操作されるとき、該押下操作があった旨を示す操作情報Bdが無線送信部16に送信されて無線送信されることによって、受信器5との間で無線通信される。また、ドクターコール17には、バンド本体11に内蔵されるスピーカ18が接続される。スピーカ18は、ドクターコール17が押下操作されるとき、「ピーピー」といった比較的静かなアラーム音、及び「ビィービィー」といった比較的騒がしいアラーム音のうち選択されているアラーム音を発する。例えば、「ビィービィー」といったアラーム音が発せされるとき、近所の迷惑になるかもしれないことを考慮すれば、安易なドクターコール17の押下操作の抑制に寄与しうる。こうしたアラーム音は、支援対象者や医療機関における医師によって設定される。
【0035】
このように、ドクターコール17は、バンド本体11における表に埋設されることで支援対象者が目視できなくても、緊急時等で操作する意思があるときには操作し易い構成をなす。例えば、暗所であっても手触りだけでドクターコール17の位置を判別することができることから、押下操作が容易である。一方、ドクターコール17は、凹部17aに埋設されることで支援対象者の操作以外では押下操作され難い、すなわち操作する意思がないときには操作され難い(誤反応し難い)構成をなす。
【0036】
また、バンド本体11には、生体10に装着されるときその装着された状態をロック(維持)するロック機構19が設けられる。ロック機構19は、専用のカギによる解錠や暗証番号の入力等といった普段の生活の中では伴うことのないような特定の解除操作を伴わない限り解錠不能な構成をなす。このように、ロック機構19は、一旦装着状態になると普段の生活の中では装着状態が解かれ難い構成をなす。
【0037】
次に、受信器5の構成について説明する。
図1及び
図3に示すように、受信器5には、マイクロプロセッサ等からなる受信器演算処理部20が内蔵される。そして、ウエアラブル端末2から無線送信された生体情報Vdや操作情報Bdが受信器演算処理部20における無線受信部21で受信されることによって、受信器演算処理部20における情報解析部22に送信される。
【0038】
情報解析部22に送信される生体情報Vdは、該情報解析部22に接続されるメモリ等の情報記憶部24に順次記憶(記録)される。なお、情報記憶部24では、予め定めた期間として、例えば、1日(24時間)分の間の生体情報Vdが連続的に記憶され、古い情報から順に消去される。こうした消去は、情報記憶部24の容量に応じて自動で行われてもよいし、情報解析部22が消去に関わる処理を行うようにしてもよい。
【0039】
またさらに、情報解析部22は、受信した生体情報Vdを解析することによって、支援対象者の生体10に異常があるか否かを判断する。この判断は、生体情報Vdにおける脈拍、血圧、及び酸素飽和度の各情報が予め定めたそれぞれの閾値を超えているか否かによって行われる。閾値は、支援対象者の生体10に異常がある疑いがあるとして経験的に導かれる値に設定される。また特に、本実施形態の閾値は、支援対象者の生体10に異常があっても早期発見に繋がるように該生体10が正常である可能性が高い側に若干寄せた値に設定される。
【0040】
そして、情報解析部22は、生体情報Vdを解析することで支援対象者の生体10に異常があると判断するとき、生体情報Vdを医療機関における端末4に送信するための指示を受信器演算処理部20における情報送信先探索部23に対して送信する。このように送信が指示される生体情報Vdとしては、情報解析部22が支援対象者の生体10に異常があると判断した前後の所定期間(例えば、30分)の間の情報が対象となる。
【0041】
情報送信先探索部23は、情報記憶部24に接続されており、生体情報Vdを医療機関における端末4に送信するための指示がなされるとき、その30分前までの間の生体情報Vdを情報記憶部24から読み出して、通信端末6を介して医療機関における端末4に送信する。またさらに、情報送信先探索部23は、生体情報Vdを医療機関における端末4に送信するための指示がなされてから30分の間の生体情報Vdを、通信端末6を介して医療機関における端末4に送信する。
【0042】
また、情報解析部22は、操作情報Bdを受信することでドクターコール17の押下操作があったと判断するとき、生体情報Vdの判断に関係なく操作情報Bdを医療機関における端末4、及び地域機関50に送信するための指示を受信器演算処理部20における情報送信先探索部23に対して送信する。情報送信先探索部23は、操作情報Bdを医療機関における端末4、及び地域機関50に送信するための指示がなされるとき、操作情報Bdを、通信端末6を介して医療機関における端末4、及び地域機関50に送信する。
【0043】
また、情報送信先探索部23は、情報解析部22から生体情報Vdを医療機関における端末4に送信するための指示がなされる以外にも、内部で管理するモード(状態)や、医療機関における端末4からの取得要求に応じても生体情報Vdを送信する。具体的に、情報送信先探索部23が管理するモードには、1日(24時間)中、生体情報Vdを送信し続ける「24時間モードM1」、日中(例えば、午前8時〜午後7時までの11時間)の間、生体情報Vdを送信し続ける「日中モードM2」、及び医療機関における端末4からの取得要求に応じて、生体情報Vdを送信する「任意モードM3」がある。こうした情報送信先探索部23が管理するモードは、医療機関における医師によって個々の支援対象者の管理状態に合わせていずれかに設定される。
【0044】
次に、医療機関における端末4の構成について説明する。
図1及び
図4に示すように、端末4(7a,8a)には、マイクロプロセッサ等からなる情報表示制御部25が内蔵される。そして、情報送信先探索部23から通信端末6を介して送信された生体情報Vdや操作情報Bdが情報表示制御部25で受信されることによって、表示画面7b,8bの画像表示やスピーカ7c,8cの音出力が制御される。すなわちこの場合、支援対象者の生体10に異常があると判断され、生体情報Vdが送信されたとき、支援対象者の生体10の容体を診断するためのパラメータとして数値やグラフが表示画面7b,8bに表示される。また、操作情報Bdが送信されたとき、警告表示が表示画面7b,8bにされる。
【0045】
また、かかりつけ医院7における端末7aには、医師が端末7aの側(例えば、医院内)にいるか否か、すなわち表示画面7bを確認可能であって生体情報Vdや操作情報Bdを受け入れが可能であるか否かの受入状態を示す認識システム26が外部から接続される。認識システム26は、アクティブタグやパッシブタグ等のICタグ26aと通信するICリーダ26bによって医師の所在を認識する。ICタグ26aは、かかりつけ医院7における医師が身に着けるものである。ICリーダ26bは、ICタグ26aとの間の通信を通じて、受入状態が可能又は不可能を示す認識情報IDdを該端末4に対して送信する。
【0046】
また、かかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、認識情報IDdによって受入状態が可能であることが示されているなかで情報送信先探索部23から生体情報Vdを受信したとき、医師が受入状態の意思表示をするための受け入れ可能ボタン27aや受け入れ不可能ボタン27bが画像表示される。
【0047】
すなわち、端末7aの表示画面7bを確認可能であるとき、医師は受け入れ可能ボタン27a(表示画面7b)をポインティングデバイスでクリック等することによって、受入状態が可能の意思表示をすることができる。一方、端末7aの表示画面7bを確認可能であるが他の業務を遂行しなければいけないとき等、医師は受け入れ不可能ボタン27b(表示画面7b)をポインティングデバイスでクリック等することによって、受入状態が不可能の意思表示をすることができる。なお、病院8における端末8aとしては、24時間体制で医師の常駐が義務付けられる上記ICUの端末を想定することから、医師(意思表示)の認識をせずとも受入状態が可能であることを前提としている。
【0048】
そして、端末7aは、受け入れ可能ボタン27aや受け入れ不可能ボタン27bによる医師の意思表示を示す意思情報Cdを情報送信先探索部23に通信端末6を介して送信する。
【0049】
また、端末4における表示画面7b,8bには、認識情報IDdによって受入状態が可能であることが示されているなかで情報送信先探索部23から操作情報Bdを受信したとき、医師がポインティングデバイスのクリック等によって、生体情報Vdの取得を意思表示するための情報取得ボタン28が画像表示される。そして、端末4は、情報取得ボタン28によって医師が生体情報Vdの取得の意思表示がなされているとき、生体情報Vdの取得を要求する要求情報Rdを情報送信先探索部23に通信端末6を介して送信する。なお、こうした情報取得ボタン28は、医療機関における端末4にて在宅医療支援システム1に係るプログラムの起動中、いつでも使用可能なように表示画面7b,8bに画像表示される。
【0050】
このように構成される本実施形態では、受信器5における情報送信先探索部23がこうした認識情報IDd、意思情報Cd、及び要求情報Rdを受信することによって、生体情報Vdや操作情報Bdの情報送信先を探索することとなる。
【0051】
ここで、情報送信先探索部23における情報送信先を探索する態様について説明する。
図5に示すように、情報送信先探索部23は、生体情報Vdの情報送信先としてまず最初にかかりつけ医院7を探索し、該探索の結果として認識情報IDdから受入状態が不可能だと判断する場合、その次の情報送信先として病院8を探索することとなる。すなわち、情報送信先探索部23は、生体情報Vdの情報送信先とする候補に優先度を設定し、かかりつけ医院7(第1候補)について病院8(第2候補)よりも優先度を高く設定していることとなる。なお、消防機関40(第3候補)については、病院8における電話回線等の通信網が断絶されてしまったとき等の非常時の情報送信先であって、最も低い優先度を設定する。
【0052】
そして、情報送信先探索部23は、自宅60に在宅の支援対象者の生体10の異常をウエアラブル端末2からの生体情報Vdに基づき情報解析部22が判断する場合、日中(例えば、午前8時〜午後7時までの11時間)の間、認識情報IDd及び意思情報Cdに応じて情報送信先を探索することとなる。
【0053】
具体的に、情報送信先探索部23は、認識情報IDdに基づき生体情報Vdの情報送信先を探索する。すなわちこの場合、情報送信先探索部23は、最初にかかりつけ医院7における認識情報IDdから受入状態が可能であるか不可能であるかを確認する。
【0054】
情報送信先探索部23は、かかりつけ医院7における受入状態が可能である場合、生体情報Vdを該かかりつけ医院7に通信端末6を介して送信する。
一方、情報送信先探索部23は、かかりつけ医院7における受入状態が不可能である場合、生体情報Vdを病院8に通信端末6を介して送信する。ただしこの場合、情報送信先探索部23は、支援対象者の生体10の異常があったことについての履歴情報として、時間と支援対象者を識別可能な情報についてはかかりつけ医院7に送信する。そして、かかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、上記履歴情報が画像表示される。こうした履歴情報によっては、生体情報Vdの受入状態が不可能であっても支援対象者の生体10の異常があったことをかかりつけ医院7の医師に把握させることができる。
【0055】
そして、情報送信先探索部23は、生体情報Vdをかかりつけ医院7に送信した後、意思情報Cdに基づきかかりつけ医院7における端末7aにて受け入れ可能ボタン27aがクリック等されたことを判断する場合、情報送信先の探索を終了する。
【0056】
一方、情報送信先探索部23は、生体情報Vdをかかりつけ医院7に送信した後、意思情報Cdに基づきかかりつけ医院7における端末7aにて受け入れ不可能ボタン27bがクリック等されたことを判断する場合、生体情報Vdを病院8に通信端末6を介して送信し、情報送信先の探索を終了する。なお、この場合にもかかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、上記履歴情報を画像表示として残すこととしている。
【0057】
また、情報送信先探索部23は、生体情報Vdをかかりつけ医院7に送信した後、意思情報Cdに基づきかかりつけ医院7にて受け入れ可能ボタン27a及び受け入れ不可能ボタン27bがクリック等されず一定時間(例えば、1分〜2分程度)の経過を判断する場合、生体情報Vdを病院8に通信端末6を介して送信し、情報送信先の探索を終了する。なお、この場合にもかかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、上記履歴情報を画像表示として残すこととしている。
【0058】
また、情報送信先探索部23は、日中以外の夜間(例えば、午後7時〜翌午前8時までの13時間)の間、かかりつけ医院7ではなく最初から病院8を情報送信先として生体情報Vdを送信することとなる。この場合、情報送信先探索部23は、上記履歴情報を画像表示させるための情報についてはかかりつけ医院7に送信する。そして、上述したのと同様、かかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、上記履歴情報が画像表示されることとしている。なお、情報送信先探索部23は、上述の非常時の場合、日中であるか夜間であるかに関係なく消防機関40を情報送信先とする。
【0059】
また、情報送信先探索部23は、ドクターコール17が押下操作される場合、時間に関係なく地域機関50を情報送信先として操作情報Bdを送信する。またさらに、情報送信先探索部23は、そのときの時間や状況に関係なくかかりつけ医院7を少なくとも情報送信先として操作情報Bdを送信する。
【0060】
具体的に、情報送信先探索部23は、ドクターコール17が押下操作される場合、操作情報Bdの情報送信先としてまず最初にかかりつけ医院7を探索し、該かかりつけ医院7に対して操作情報Bdを送信する。そして、かかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、上記警告表示が上記履歴情報となるように画像表示として残されることとなる。
【0061】
また、情報送信先探索部23は、かかりつけ医院7の探索の結果として認識情報IDdから受入状態が不可能だと判断したり、時間が夜間だったりする場合、追加の情報送信先として病院8を探索し、かかりつけ医院7と病院8のそれぞれに対して操作情報Bdを送信する。情報送信先探索部23は、操作情報Bdの情報送信先を探索する際、生体情報Vdの情報送信先を探索する場合とは異なり、認識情報IDdに基づく受入状態の判断しかせず、医師の意思表示までは考慮しないこととしている。また、情報送信先探索部23は、上記非常時には情報送信先として消防機関40を探索し、該消防機関40に対して操作情報Bdを送信することとなる。なお、この場合にもかかりつけ医院7における端末7aの表示画面7bには、上記警告表示が上記履歴情報となるように画像表示として残すこととしている。
【0062】
その他、情報送信先探索部23は、端末4からの要求情報Rdを受信する場合、該要求情報Rdの送信元の端末4を情報送信先として生体情報Vdを送信することとなる。なお、この場合、情報送信先探索部23は、自宅60に在宅の支援対象者の生体10に異常があることをウエアラブル端末2からの生体情報Vdに基づき情報解析部22が判断するとき同様、要求情報Rdを受信した前後の所定期間(例えば、30分)の間における生体情報Vdを端末4に送信する。
【0063】
こうした在宅医療支援システム1によって支援対象者を支援するまでの流れについて説明する。
図6及び
図7に示すように、支援対象者を支援(医療支援)するまでの流れは、支援対象者によるドクターコール17の押下操作がないにもかかわらず生体情報Vdから支援対象者の生体10の異常が発信される場合と、支援対象者によるドクターコール17の押下操作によって支援対象者の生体10の異常が発信される場合とに大別される。なお、支援対象者によるドクターコール17の押下操作がないにもかかわらず生体情報Vdから支援対象者の生体10の異常が発信される場合とは、支援対象者がドクターコール17を意識的に押下操作できないような緊急時である可能性もある。
【0064】
まず、支援対象者によるドクターコール17の押下操作がないにもかかわらず生体情報Vdから支援対象者の生体10の異常が発信される場合について説明する。
すなわち、
図6に示すように、まず受信器5における情報解析部22(在宅通信機器3)によって自宅60に在宅の支援対象者の生体10に異常があることが、ウエアラブル端末2からの生体情報Vdに基づき判断される。こうした生体情報Vdは、支援対象者によるドクターコール17の押下操作がないにもかかわらず支援対象者の生体10の異常を発信していることとなる。
【0065】
そして、受信器5における情報送信先探索部23(在宅通信機器3)が情報送信先を探索して、その結果に基づき医療機関の端末4(7a,8a)に生体情報Vdを送信する。なお、この場合、支援対象者によるドクターコール17の押下操作がないことから操作情報Bdについては送信されない。
【0066】
続いて、情報送信先とされる端末4における情報表示制御部25が表示画面7b,8bに生体情報Vdに基づく値やグラフ等を画像表示させる。またさらに、情報表示制御部25がスピーカ7c,8cからアラームを発せさせる。すなわちこの場合、端末4からのアラームにより該端末4の側にいる医師に対して表示画面7b,8bの確認が促される。なお、このとき端末7aの表示画面7bには、受け入れ可能ボタン27a及び受け入れ不可能ボタン27bが画像表示される。
【0067】
そして、表示画面7b,8bに生体情報Vdに基づく値やグラフ等が画像表示されるとき、端末4(端末7aにおいては受け入れ可能ボタン27aがクリック等されているとき)の側にいる医師がこれらの表示内容からその緊急性を判断(医療判断)することができる。すなわちこの場合、医師は緊急性の判断のためにまず支援対象者に電話での連絡を試みる。
【0068】
そして、医師は、電話での連絡を試みた結果、支援対象者が電話にも応答しないとき、緊急性が高いと判断し、緊急対応として消防機関40に対して救急車等の出動要請をすることができる。こうして出動要請を受けた消防機関40が支援対象者の自宅60に救急車等で医療支援に向かうこととなる。
【0069】
一方、医師は、電話での連絡を試みた結果、支援対象者が電話に応答できたとき、支援対象者の生体10の容体から緊急性が低いと判断すれば上記地域機関50に支援対象者の様子を見に行ってもらえるように訪問要請をすることができる。こうして訪問要請を受けた地域機関50が支援対象者の自宅60を訪問し、その訪問の結果を訪問要請主たる医師に連絡することとなる。その後、医師は、地域機関50から訪問の結果の連絡を受けたとき、支援対象者の対応としてそのまま様子を見るのか、又は念のため消防機関40に対して救急車等の出動要請をするのか判断することができる。なお、地域機関50は、支援対象者の自宅60を訪問した際、明らかな緊急時であれば医師への連絡よりも前に緊急対応として消防機関40に対して救急車等の出動要請をすることもできる。
【0070】
その他、医師は、生体情報Vdに基づく値やグラフ等を見て電話での連絡を試みるまでもなく支援対象者の生体10の容体の緊急性(急変性)が高いと判断できるような明らかな緊急時、緊急対応として消防機関40に対して救急車等の出動要請をすることができる。
【0071】
なお、かかりつけ医院7における医師は、認識情報IDdや意思情報Cdから受入状態が不可能だったり、時間が夜間だったりすることで端末7aの上記履歴情報に時間が経ってから気付く場合であっても、その時点から生体情報Vdを取得したりして支援対象者の容体の確認等をすることができる。
【0072】
このように、自宅60に在宅の支援対象者の生体10に異常があることが、ウエアラブル端末2からの生体情報Vdに基づき判断される緊急時である可能性があるとき、医療機関(医師)が主体となっての支援対象者への支援が行われることとなる。
【0073】
次に、支援対象者によるドクターコール17の押下操作によって支援対象者の生体10の異常が発信される場合について説明する。
すなわち、
図7に示すように、まず受信器5における情報解析部22(在宅通信機器3)によって自宅60に在宅の支援対象者によるドクターコール17の押下操作が、ウエアラブル端末2からの操作情報Bdに基づき判断される。またさらに、ウエアラブル端末2におけるスピーカ18から選択されているアラーム音が発せられる。こうした操作情報Bdやアラーム音は、支援対象者によるドクターコール17の押下操作によって支援対象者の生体10の異常が発信されていることとなる。
【0074】
なお、ウエアラブル端末2から発せられるアラーム音については、「ビィービィー」といった比較的騒がしいアラーム音が選択されている場合、これを聞いた近所の住民や近所を通りかかった地域機関50の人等による訪問(支援)にも期待を持つことができる。
【0075】
そして、受信器5における情報送信先探索部23(在宅通信機器3)が地域機関50に操作情報Bdを送信するとともに、情報送信先を探索してかかりつけ医院7の端末7aに操作情報Bdを送信したり、かかりつけ医院7の端末7aと病院8の端末8aに操作情報Bdを送信したりする。またさらに、地域機関50では、いずれの医療機関の端末4に操作情報Bdが送信されているかを認識可能になっており、医療機関との連携が可能になっている。
【0076】
なお、この場合、自宅60に在宅の支援対象者の生体10に異常があることが同時に判断されるときや、情報送信先探索部23が「24時間モードM1」や「日中モードM2」に設定されているとき、医療機関の端末4に対しては生体情報Vdについても送信されることもある。
【0077】
続いて、地域機関50において操作情報Bdが受信されるとき、それに気付いた該地域機関50が支援対象者の自宅60を訪問し、その訪問の結果を操作情報Bdが送信されている医療機関の医師に連絡することができる。この場合、例えば、医療機関の判断(医療判断)の必要のないような状況で支援対象者がドクターコール17を押下操作した可能性もあるが、地域機関50は該支援対象者の自宅60の訪問の結果を医療機関の医師に連絡することで、医師の側でも状況を認識することができる。なお、地域機関50は、支援対象者の自宅60を訪問した際、明らかな緊急時であれば医師への連絡よりも前に緊急対応として消防機関40に対して救急車等の出動要請をすることもできる。
【0078】
こうした地域機関50から連絡を受けた医師は、支援対象者の対応としてそのまま様子を見るのか、又は緊急性が高いことから消防機関40に対して救急車等の出動要請をするのか判断(医療判断)することができる。
【0079】
一方、医療機関においては、操作情報Bdが送信される端末4における情報表示制御部25がまず表示画面7b,8bに情報取得ボタン28を点滅表示させる等して警告表示をする。すなわちこの場合、端末4の警告表示により支援対象者がウエアラブル端末2におけるドクターコール17を押下操作したことを医師に認識させることができる。なお、このとき端末7aの表示画面7bには、受け入れ可能ボタン27a及び受け入れ不可能ボタン27bを画像表示させ、受け入れ可能ボタン27aがクリック等されることで情報取得ボタン28を点滅表示させる等して警告表示するようにしてもよい。
【0080】
続いて、医師は、表示画面7b,8bに画像表示されている情報取得ボタン28をクリック等することによって生体情報Vdを取得するか否かを判断することができる。すなわちこの場合、医師は、支援対象者によっては即座に情報取得ボタン28によって生体情報Vdを取得し、表示画面7b,8bに生体情報Vdに基づく値やグラフ等の表示内容からその緊急性を判断(医療判断)することができる。
【0081】
例えば、情報取得ボタン28によって生体情報Vdを取得した医師は、支援対象者の生体10の容体の緊急性(急変性)が高いと判断すれば地域機関50からの訪問の結果の連絡を待たず、緊急対応として消防機関40に対して救急車等の出動要請をすることができる。
【0082】
なお、かかりつけ医院7における医師は、認識情報IDdから受入状態が不可能だったり、時間が夜間だったりすることで端末7aの警告表示(上記履歴情報)に時間が経ってから気付く場合であっても、その時点から生体情報Vdを取得したりして支援対象者の容体の確認等をすることができる。
【0083】
このように、自宅60に在宅の支援対象者によるドクターコール17の押下操作が、ウエアラブル端末2からの操作情報Bdに基づき判断されるとき、地域機関50が主体となっての支援対象者への支援が行われることとなる。
【0084】
以下、本実施形態の在宅医療支援システム1の作用について説明する。
本実施形態によれば、受信器5における情報送信先探索部23(在宅通信機器3)によって生体情報Vdが送信されるとき、少なくとも生体情報Vdの受入状態が可能とされる医療機関における端末4(7a,8a)、すなわち医療機関(かかりつけ医院7、病院8)にて該生体情報Vdが受信される。
【0085】
すなわちこの場合、支援対象者の生体10の生体情報Vdは、1日(24時間)の間いつでも、複数ある医療機関のうち少なくともいずれかで受信されることとなる。これにより、情報送信先探索部23から生体情報Vdが送信されるときは常に、該支援対象者についての医療判断がいずれかの医療機関にてなされる。しかも、こうした生体情報Vdの送信から医療判断の間には、情報送信先探索部23から直接的に医療機関における端末4へと生体情報Vdが送信されることから、支援対象者に異常があるときであっても迅速な対応が可能になる。
【0086】
またさらに、本実施形態では、支援対象者の生体情報Vdが送信されるとき、最初の情報送信先としてかかりつけ医院7が探索されることとしている。これにより、支援対象者の生体情報Vdは、かかりつけ医院7で日常的に確認されることとなる。
【0087】
こうしたかかりつけ医院7は、支援対象者の生体10を熟知している可能性が高いことから、支援対象者の生体10の異常についてもいち早く発見する可能性が高いということができる。すなわちこの場合、支援対象者の生体10に異常である可能性があるとき、こうした異常に対して迅速な対応が可能になる。
【0088】
ただし、支援対象者を複数抱えていたり、他の遂行すべき業務を抱えていたりするなかでは、かかりつけ医院7であっても支援対象者の生体情報Vdを常に受け入れ可能であるとは限らない。そこで、本実施形態では、このようなときに対処すべく、かかりつけ医院7ではないが生体情報Vdの送信先となる病院8(医療機関)も確保している。すなわち、かかりつけ医院7が生体情報Vdを受け入れ可能でないときであっても上述した異常に対して迅速な対応が可能になる。
【0089】
また、本実施形態では、認識システム26がかかりつけ医院7における端末7aに備え付けられる。これにより、情報送信先を探索するとき、医師が端末7aを使用可能であるか否かの詳細な状況が好適に反映されることとなる。こうした詳細な状況として、生体情報Vdがかかりつけ医院7に送信されているにもかかわらず、受け入れ可能ボタン27a及び受け入れ不可能ボタン27bのいずれもがクリック等されず一定時間が経過するような状況が反映される。
【0090】
また、本実施形態において、支援対象者は、ドクターコール17を押下操作することにより支援が必要であることの積極的な意思表示をすることができる。そして、支援が必要であることの支援対象者の意思表示は、操作情報Bdの送信によって少なくとも地域機関50とかかりつけ医院7(医師)とで確認されることとなる。
【0091】
そして、本実施形態では、こうした支援が必要であることの支援対象者の意思表示に対して、地域機関50が主体となって支援対象者の支援に期待できるシステムを構築している。すなわちこの場合、支援が必要であることの支援対象者の意思表示がかかりつけ医院7においてリアルタイムに確認されえない場合でもこうした支援対象者の意思表示の確認が漏れてしまうこともなくなる。
【0092】
ただし、医療機関の役割を考慮すれば、支援が必要であることの支援対象者の意思表示が、支援対象者を複数抱えていたり、他の遂行すべき業務を抱えていたりすることで、かかりつけ医院7においてリアルタイムに確認されえない場合の想定も必要である。
【0093】
そこで、本実施形態では、支援が必要であることの支援対象者の意思表示をかかりつけ医院7でリアルタイムに確認されえない(認識情報IDdから受入状態が不可能だったり、時間が夜間だったりする)場合であっても、こうした支援対象者の意思表示をリアルタイムで確認しうる病院8も確保している。すなわち、本実施形態では、支援が必要であることの支援対象者の意思表示をかかりつけ医院7又は病院8といったいずれかの医療機関においてリアルタイムに確認することができるシステムを構築している。
【0094】
また、本実施形態の在宅医療支援システム1において採用されるウエアラブル端末2について言えば、支援対象者が在宅中にウエアラブル端末2が装着されていない、すなわち生体情報Vdや操作情報Bdが送信されない状態では、システムの上ではより効果的な医療支援が実現できるにもかかわらず支援自体が不可能ということとなる。
【0095】
そこで、本実施形態のウエアラブル端末2は、支援対象者の生体10に装着されたとき、特定の解錠操作を伴わない限り解錠不能なロック機構19によりロックされる。これにより、ウエアラブル端末2は、支援対象者の生体10に一旦装着されると、該支援対象者の生体10から外れ難いこととなる。
【0096】
以上に説明した在宅医療支援システム1によれば、以下の(1)〜(13)に示す効果を奏する。
(1)支援対象者の生体10の生体情報Vdは、1日(24時間)の間いつでも、在宅通信機器3から直接的に医療機関における端末4へと生体情報Vdが送信されることとなる。したがって、本実施形態の在宅医療支援システム1では、支援対象者に異常があるときであってもその対応の初動の遅れというものが低減されることからより効果的な医療支援を実現できる。
【0097】
(2)その他、病院8における電話回線等の通信網が断絶されてしまったとき等の非常時の送信先として、消防機関40が確保されている。したがって、本実施形態の在宅医療支援システム1では、効果的な医療支援に対する信頼性の向上を実現できる。
【0098】
(3)生体情報Vdや操作情報Bdの情報送信先として、最初にかかりつけ医院7が探索されることから、支援対象者の生体10の異常に対して迅速に対応可能となり、初動の遅れをより好適に低減することができる。
【0099】
(4)かかりつけ医院7ではないが生体情報Vdの情報送信先として病院8を確保することで、かかりつけ医院7が生体情報Vdを受け入れ可能でないときであっても支援対象者の生体10の異常に対して迅速に対応可能となり、初動の遅れを最小限に抑えることができる。
【0100】
(5)認識システム26を備え付けることで、かかりつけ医院7の医師が端末7aを使用可能であるか否かの詳細な状況が好適に反映されることから、生体情報Vdの受入状態の認識の精度が高められるようになり、在宅医療支援システム1の信頼性を向上することができるようになる。
【0101】
(6)支援が必要であることの支援対象者の意思表示が少なくとも地域機関50とかかりつけ医院7で確認されうることから、こうした支援対象者の意思表示に対しても好適に応じることができるようになり、常に誰かが近くにいてくれるかの如く安心感を支援対象者に与えることができる。
【0102】
(7)また、支援が必要であることの支援対象者の意思表示がかかりつけ医院7だけでなく病院8でも確認されうることから、支援対象者の意思表示に対してかかりつけ医院7でリアルタイムに応じることができないときであっても、支援対象者の抱く不安を低減することができる。
【0103】
(8)支援対象者の生体10の異常があったときや、ドクターコール17の押下操作があったとき、かかりつけ医院7では、受入状態が不可能だったり、時間が夜間だったりすることで生体情報Vdや操作情報Bdをリアルタイムで確認できなかった場合であっても上記履歴情報が画像表示される。すなわちこの場合、かかりつけ医院7では、かかりつけとして1日(24時間)の支援対象者の容体を把握することができるようになり、より大きな安心感を支援対象者に与えることができる。
【0104】
(9)ウエアラブル端末2は、支援対象者の生体10に一旦装着されると、該支援対象者の生体10から外れ難いことから、該ウエアラブル端末2が支援対象者の生体10に装着されない状況の発生を低減することができる。すなわちこの場合、より効果的な医療支援を実現できる。
【0105】
また、本実施形態の在宅医療支援システム1の支援対象者としては、高齢者や認知症発症者が対象とされることも多く、こうした高齢者や認知症発症者では、ウエアラブル端末2の脱着が容易であると、該ウエアラブル端末2を取り外してそのまま装着し忘れてしまうこともある。その点、本実施形態によれば、ウエアラブル端末2が支援対象者の生体10から外れ難いことから、高齢者や認知症発症者に対してもより効果的な医療支援を実現できる。
【0106】
(10)本実施形態において、医療支援を受けるために支援対象者がすることは、ウエアラブル端末2を装着すること、操作としてもドクターコール17を押下操作するのみとしている。したがって、医師による支援を受けるためにパーソナルコンピュータ等の複雑な操作が不要であることから、高齢者や認知症発症者であってもウエアラブル端末2(在宅医療支援システム1)によって容易に医療支援を受けることができる。
【0107】
(11)在宅医療支援システム1を導入するとき、在宅通信機器3としては、電話回線といった既存のリソースを用いることとなる。すなわち、本実施形態の構成であれば、新たなインフラ整備等を必要としないことから、導入可能な地域的な制限を低くすることができ、導入に係る費用だけでなく利用にかかる費用も抑えることができる。また、支援対象者の自宅60における新たな工事等を必要としないので、幅広い範囲の人を対象とした支援を実現できる。
【0108】
(12)本実施形態の在宅医療支援システム1を利用することによっては、医師による支援対象者宅への訪問回数を減らすことができるようになる。すなわちこの場合、例えば、認知症発症者宅を過剰に訪問する過剰診療の抑制についても一定の効果を期待することができる。
【0109】
このように医師による支援対象者宅への訪問回数が減ることによっては、在宅医療支援システム1を通じた医師による医療支援がより多くの支援対象者に対して行われうるようになる。すなわち、本実施形態の構成であれば、より多くの支援対象者を対象にすることができる。
【0110】
(13)本実施形態の在宅医療支援システム1は、サービス付き高齢者向け住宅における診療、医療サービスと同等の支援を支援対象者に受けさせることができる。すなわちこの場合、サービス付き高齢者向け住宅の施設を設ける際の自由度を高めることができる。
【0111】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・本実施形態の在宅医療支援システム1の利用場面としては、地震等の災害時に生体情報Vdを医療機関から確認することで、支援対象者の所在の確認等といったように人命救助の場面でも効果を発揮しうる。
【0112】
・在宅通信機器3と医療機関における端末4とを繋ぐ電話回線は、アナログ回線、デジタル回線、光回線のいずれであってもよく、利用可能な既存のリソースを用いればよい。
・情報生成部15については、受信器5に設けるようにしてもよい。
【0113】
・医師の所在を確認できる認識システム26を備えていればよく、その確認の方法や構成を変更してもよい。例えば、端末7aには、認識システム26と同等の機能を内蔵させることもできる。その他、認識システム26には、グローバルポジショニングシステム(GPS)を用いることもできる。
【0114】
・かかりつけ医院7における端末7aには、認識システム26を備え付けなくてもよい。この場合、受け入れ可能ボタン27a及び受け入れ不可能ボタン27bによってのみ受入状態が判断されるようにすればよい。
【0115】
・病院8についても認識システム26を備え付けるようにしてもよい。これにより、医師が本来の業務の遂行中で在宅医療支援システム1における支援対象者の支援をできない状況も考えられ、こうした場合においても初動の遅れを低減することができる。
【0116】
・生体情報Vdや操作情報Bdの情報送信先の候補としては、少なくとも1つの医療機関を設定していればよい。また、複数のかかりつけ医院を有する支援対象者については、複数のかかりつけ医院に対して、生体情報Vd等の情報送信先を探索する際の優先度を設定してもよい。この場合の生体情報Vd等の情報送信先の探索順序は、優先度にしたがって、第1候補のかかりつけ医院、第2候補のかかりつけ医院、そして24時間体制の病院といった順になる。
【0117】
・かかりつけ医院7が生体情報Vdの情報送信先となる時間を、例えば、午前9時〜午後7時までに変更したり、日中であるか夜間であるかに関係なく情報送信先となるように変更したりしてもよい。
【0118】
・本実施形態では、支援対象者のそもそものかかりつけが24時間体制の病院8といった場合もある。この場合の生体情報Vd等の情報送信先としては、最初に病院8が探索されるように設定すればよい。
【0119】
・操作情報Bdの送信については、生体情報Vdと同様の要領(そのときの時間や状況)で情報送信先を探索し、かかりつけ医院7や病院8、さらには消防機関40を情報送信先として操作情報Bdを送信するようにしてもよい。
【0120】
・上記履歴情報については、必ずしも残されないようにしてもよく、支援対象者や支援対象者の状況に応じて残す場合と残さない場合を定めることもできる。
・脈拍、血圧、及び酸素飽和度に加えて、他の生体情報を収集可能なウエアラブル端末2(収集デバイス13)を用いてもよい。例えば、他の生体情報としては、体温や心電図等が考えられる。なお、ウエアラブル端末2では、少なくとも1項目の生体情報を収集可能であればよく、支援対象者に応じて収集する生体情報の項目の数やその種類を変更することもできる。
【0121】
・かかりつけ医院7や病院8等の医療機関でなくても脱着が可能なウエアラブル端末2を用いてもよい。
・特定の解錠操作を伴わなくても脱着が可能なウエアラブル端末2を用いてもよい。
【0122】
・生体10から血液を採取可能なウエアラブル端末2(収集デバイス13)を用いることもできる。
・ドクターコール17が設けられていれば、その構成を変更したウエアラブル端末2を用いてもよい。例えば、ドクターコール17は、フラットボタンを採用してもよいし、バンド本体11の径方向外側に出っ張ったボタンを採用してもよいし、指紋認識等のタッチセンサ式を採用してもよい。
【0123】
・ドクターコール17が割愛されたウエアラブル端末2を用いてもよい。
・電源12として電池式や充電式のウエアラブル端末2を用いてもよい。
・支援対象者の生体10であって、生体情報を収集可能であれば、足首や頭等に装着するウエアラブル端末2を用いてもよい。
【0124】
・生体情報の収集の他、時計機能や万歩計(登録商標)機能等を備えたウエアラブル端末2を用いることもできる。その他、医師や近親者との通話やメール等の通信機能を備えたウエアラブル端末2を用いることもできる。
【0125】
次に、上記実施の形態及び別例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記在宅通信機器と前記医療機関における端末とは、電話回線を通じて通信可能とされる。この構成によれば、在宅医療支援システムを導入するとき、在宅通信機器としては、電話回線といった既存のリソースを用いることとなる。すなわち、この構成であれば、新たなインフラ整備等を必要としないことから、導入可能な地域的な制限を低くすることができ、導入に係る費用だけでなく利用にかかる費用も抑えることができる。また、支援対象者の自宅における新たな工事等を必要としないので、幅広い範囲の人を対象とした支援を実現できる。
【解決手段】在宅医療支援システム1は、支援対象者の生体に装着され、支援対象者の生体10から生体情報Vdを収集する収集デバイス13と、その収集デバイス13で収集された生体情報Vdを無線送信する無線送信部16とが組み込まれてなるウエアラブル端末2を備える。また、支援対象者の自宅60に設置され、無線送信部16から無線送信された生体情報Vdを医療機関における端末4に送信する在宅通信機器3を備える。そして、在宅通信機器3は、支援対象者の生体情報Vdを送信するとき、複数の医療機関における候補端末のうち生体情報Vdを受け入れ可能とされる候補端末を探索して当該候補端末に対して支援対象者の生体情報Vdを送信するように構成される。