特許第5795429号(P5795429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795429臨床的意義に関する画像の自動検出及び検査用のシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795429
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】臨床的意義に関する画像の自動検出及び検査用のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20150928BHJP
   G06T 7/20 20060101ALI20150928BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20150928BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   A61B5/00 G
   G06T7/20 C
   A61B5/05 380
   A61B6/00 360B
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-508694(P2014-508694)
(86)(22)【出願日】2011年5月4日
(65)【公表番号】特表2014-519362(P2014-519362A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】EP2011057105
(87)【国際公開番号】WO2012149964
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】507015952
【氏名又は名称】ストライカー トラウマ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】プフレンゲル,ウド
(72)【発明者】
【氏名】コーネン ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウ,アルノ
(72)【発明者】
【氏名】エプティング,トーマス
【審査官】 増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−158923(JP,A)
【文献】 特開2006−119891(JP,A)
【文献】 特開2008−006083(JP,A)
【文献】 特開2004−152043(JP,A)
【文献】 米国特許第04907156(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/01
A61B 5/055
A61B 6/00−6/14
A61B 8/00−8/15
G06T 7/00−7/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための装置の作動方法であって:
前記装置の画像入力インタフェースを介して、前記解剖学的状況の第1の画像、及び前記解剖学的状況の第2の画像を受信し;
前記装置の比較ユニットにより、前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定し;
前記装置の評価ユニットにより、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記相違が局所タイプの相違及び大域タイプの相違のうちの少なくとも一方を有するかを決定し、ただし、前記局所タイプの相違は前記第1の画像と前記第2の画像との局所的な相違であり、前記大域タイプの相違は前記第1の画像と前記第2の画像との大域的な相違であり;且つ
前記評価ユニットにより、前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記相違が局所タイプの相違を有するかを決定することによって、前記第2の画像が臨床的意義を有するかを決定する;
ことを有し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定することは、前記第1の画像及び前記第2の画像の各々を、各々が複数の画素を有する対応し合う複数の画像ブロックに分離することと、前記第1及び第2の画像の前記対応し合う複数の画像ブロックのうちの少なくとも1つを比較することとを含み、
前記局所タイプの相違は、前記第1の画像の或る画像ブロックと前記第2の画像の対応する画像ブロックとの相違が所定の第1の閾値を上回る場合に検出され、前記大域タイプの相違は、前記第1の画像と前記第2の画像との前記相違が所定の第2の閾値を上回る場合に検出され、前記第2の閾値は前記第1の閾値より大きい、
方法。
【請求項2】
記第1の閾値は局所的に可変の閾値である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
記第1の閾値及び前記第2の閾値のうちの少なくとも1つは動的な閾値である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
最大の局所的な相違を有する画像ブロックを決定し、前記最大の局所的な相違を有する画像ブロックを残りの画像ブロックと比較し、且つ、前記最大の局所的な相違を有する画像ブロックと前記残りの画像ブロックとの前記比較に基づいて局所タイプの相違を決定する、ことを更に有する請求項乃至の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックを決定し、前記有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックを、前記有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックの近傍にある画像ブロックと比較し、且つ、前記有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックと、前記有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックの近傍にある前記画像ブロックと、の前記比較に基づいて局所タイプの相違を決定する、ことを更に有する請求項乃至の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の画像内の関連物を認識し、且つ、認識された前記関連物を含む前記第1の画像の画像ブロックと前記第2の画像の対応する画像ブロックとの相違に基づいて局所タイプの相違を決定する、ことを更に有する請求項乃至の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定することは、前記第1の画像及び前記第2の画像の対応し合う画像ブロックの少なくとも一部の平均及び分散を決定することと、対応し合う画像ブロックを平均及び分散に関して比較することとを含む、請求項乃至の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記画像の特定された物体の検出サイズに基づいて、全ての画像ブロックに対して固有の1つのサイズが動的に適応される、請求項乃至の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定することは、複数の画像ブロックを画像ブロッククラスタへと結合することと、対応し合う画像ブロッククラスタを比較することとを含む、請求項乃至の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
局所タイプの相違は、前記第1の画像の或る画像ブロックと前記第2の画像の対応する画像ブロックとの間の相違、及び前記第1の画像の或る画像ブロッククラスタと前記第2の画像の対応する画像ブロッククラスタとの間の相違、のうちの少なくとも一方が前記第1の閾値を上回る場合に決定される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は更に、前記装置の関連画像範囲検出ユニットにより、撮像された物体を有する関連画像範囲を検出することを有し、前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定することは、検出された関連画像範囲のみに基づいて実行される、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記検出された関連画像範囲は、前記第1及び第2の画像に後続する画像の基礎として使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
当該方法は更に、前記装置の画像コンテンツ検出ユニットにより、前記第1の画像及び前記第2の画像のうちの少なくとも一方の所定の特性を検出することを有し、前記所定の特性は、撮像装置の種類及び撮像装置の製造者のうちの少なくとも一方を指し示す、請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の画像及び前記第2の画像は、撮像装置の連続的なビデオ信号出力から生成される、請求項1乃至13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための装置であって:
画像入力インタフェース;
前記画像入力インタフェースから取得される前記解剖学的状況の第1の画像用の第1の記憶ユニット;
前記画像入力インタフェースから取得される前記解剖学的状況の第2の画像用の第2の記憶ユニット;
前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定する比較ユニット;
前記第1の画像と前記第2の画像との相違タイプを評価する相違タイプ評価ユニットであり、該相違タイプ評価ユニットは局所タイプの相違及び大域タイプの相違のうちの少なくとも一方を決定するように適応され、前記局所タイプの相違は前記第1の画像と前記第2の画像との局所的な相違であり、前記大域タイプの相違は前記第1の画像と前記第2の画像との大域的な相違である、相違タイプ評価ユニット;及び
前記第1の画像と前記第2の画像との間の前記相違が局所タイプの相違を有することが決定された場合に、前記第2の画像を、臨床的意義を有するものとして選択する画像選択ユニット;
を有し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを比較して前記第1の画像と前記第2の画像との間の相違を決定することは、前記第1の画像及び前記第2の画像の各々を、各々が複数の画素を有する対応し合う複数の画像ブロックに分離することと、前記第1及び第2の画像の前記対応し合う複数の画像ブロックのうちの少なくとも1つを比較することとを含み、
前記局所タイプの相違は、前記第1の画像の或る画像ブロックと前記第2の画像の対応する画像ブロックとの相違が所定の第1の閾値を上回る場合に検出され、前記大域タイプの相違は、前記第1の画像と前記第2の画像との前記相違が所定の第2の閾値を上回る場合に検出され、前記第2の閾値は前記第1の閾値より大きい、
装置。
【請求項16】
関連画像範囲を特定する関連画像範囲検出ユニット、を更に有する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のためのシステムであって:
連続的なビデオ出力を有する撮像装置;
臨床的意義のある画像を受信する画像インタフェースを有するコンピュータ支援手術システム;及び
請求項15又は16に記載の、解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための装置;
を有し、
前記画像入力インタフェースは、前記撮像装置の前記連続的なビデオ出力に動作的に接続され、
前記臨床的意義のある画像を受信する前記画像インタフェースは、前記画像選択ユニットに動作的に接続される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための方法及び装置並びにシステムに関し、特に、信頼性ある画像データをより早く提供することを可能にする方法及び装置並びにシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばナビゲーション又はコンピュータ支援手術システムのために、例えばX線、CT、MRT/MRIなどの撮像装置から得られた画像データを用いるとき、その画像データはビデオ信号として提供されることができる。新たな画像が存在するか否かを検出して、ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システムが要求に応じて新たな画像の新たなコンテンツを使用することができるようにすることは妥当なことである。
【0003】
特許文献1に、撮像装置の状態を検出するシステム及び方法が記載されている。特許文献1は、マスクの外側の画像範囲の強度を検出し、それにより、新たにトリガーされたx線装置が生体構造を照射して突然の強度上昇をもたらすときに新たな画像の存在が検出されるようにすることを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0058026号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明により、信頼できる画像データをより早く提供するシステム及び方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
なお、以下に記載される本発明の例示実施形態は、方法、装置、グログラム要素及びコンピュータ読み取り可能媒体にも適用される。
【0007】
本発明の例示的な一実施形態によれば、撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための方法は、解剖学的状況の第1の画像を撮影することと、解剖学的状況の第2の画像を撮影することと、第1の画像と第2の画像とを比較して第1の画像と第2の画像との間の相違を決定することと、第1の画像と第2の画像との間の相違が局所タイプの相違及び大域タイプの相違のうちの少なくとも一方を有するかを決定することであり、局所タイプの相違は第1の画像と第2の画像との局所的な相違であり、大域タイプの相違は第1の画像と第2の画像との大域的な相違である、ことと、第1の画像と第2の画像との間の相違が局所タイプの相違を有することが決定された場合に、第2の画像を臨床的意義を有するものとして決定することとを有する。
【0008】
手術において、臨床的な意義/意味を有する画像とは、例えば術中の外科医に新たな情報又は追加の情報を提供する画像である。特に、一連の画像(画像シーケンス)を提供するとき、後続の画像は、シーケンス内の介在画像又は直前の画像に対して追加情報又は新情報を有する場合に、臨床的意義を有するものと見なされる。この追加情報は、例えば、それぞれの先行画像に対する、追加された埋設物、埋設物の変更された位置、骨若しくは組織の変更されたコンステレーションとし得る。この方法はまた、局所タイプの相違を検出する前に、大域タイプの相違を検出することを含み得る。具体的には、大域的な相違が所定の閾値を上回る場合に臨床的意義が決定されてもよい。大域的な相違が所定の閾値を超えていない場合に、局所タイプの相違を検出してもよい。局所的な相違が該当する閾値を上回る場合、臨床的意義が決定され得る。換言すれば、例示的な一実施形態によれば、大域的な相違が所定の閾値を上回る場合に臨床的意義が検出され得るが、大域的な相違が所定の閾値を上回らない場合にも、局所的な相違が別の所定の閾値を上回る場合に臨床的意義が検出され得る。
【0009】
故に、装置は、新たな画像の存在を検査するだけでなく、新たな画像コンテンツが存在するかを検査することをも可能にする。ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システムが、例えば埋設物及び該当する生体構造の実際の状態及び位置を再計算するとき、新たな画像の各々は、ナビゲーション状況が更新されるまでに有意な遅延を生じさせる。しかしながら、新たな画像が提供されなければ更新も必要ない。この目的のため、本発明による装置は、画像のコンテンツを比較して相違を決定する。一般に、大域的な相違は、例えば、ノイズが追加あるいは除去される場合や、コントラストが再計算される場合などに発生し得る。このような計算又はノイズ抑制は、X線Cアーム又はMRTのような撮像装置によって実行され得る。大域的な相違は必ずしも、臨床的に意義のある画像コンテンツの変化に起因するものではない。故に、本発明は、或る特定の画像セクション内での変化のような局所的な相違をも考慮する。有意な変化が或る特定の位置でのみ起こり、その他の位置では起こらない場合、これは、画像コンテンツの臨床的意義のある変化の検出をもたらし得る。例えば埋設物が骨に対して移動された場合、埋設物の位置を除く全ての位置は変化しないままである。故に、局所的な相違から、臨床的意義のある変化が検出され得る。
【0010】
本発明の例示的な一実施形態によれば、第1の画像と第2の画像との相違は、所定の閾値を上回るときの相違として決定される。
【0011】
故に、僅かなノイズ又は小さい強度変化のような、より小さい相違は、有意な意義を検出することなく排除され得る。閾値未満の相違は無視されることになる。故に、例えば画素の誤差などは局所的な相違又は大域的な相違の検出にはつながらない。
【0012】
本発明の例示的な一実施形態によれば、第1の画像と第2の画像とを比較して第1の画像と第2の画像との間の相違を決定することは、第1の画像及び第2の画像の各々を、各々が複数の画素を有する対応し合う複数の画像ブロックに分離することと、対応し合う画像ブロックを比較することとを含む。
【0013】
故に、画像ブロックに基づいて自動検出が実行され得る。これらの画像ブロックは、複数の画素を含み且つ全体画像より小さいとし得る。画像ブロックは、局所タイプの相違と大域タイプの相違とを区別することを可能にする。
【0014】
本発明の例示的な一実施形態によれば、局所タイプの相違は、第1の画像と第2の画像との相違が所定の第1の閾値を上回る場合に検出され、大域タイプの相違は、第1の画像と第2の画像との相違が所定の第2の閾値を上回る場合に検出され、第2の閾値は第1の閾値より大きい。
【0015】
故に、或る特定の位置での小規模な相違は、臨床的に意義のある相違の検出をもたらし得るが、画像全体上での強度変化のような大域タイプの相違は臨床的に意義のあるものではなさそうなので、局所タイプの相違の方が検出感度を高くされる。
【0016】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記閾値及び前記第1の閾値のうちの少なくとも一方は局所的に可変の閾値である。
【0017】
故に、例えば外縁部で、特に一定の効果は排除され得る。また、より関連する画像内の位置にあり得る意義のある臨床的側面は、コンピュータ支援手術システムによって実行され得るものである画像認識によって特定されることが想定される。画像認識は、第2の画像を検討する前に関連画像部分を特定することができるよう、第1の画像に基づいて実行され得る。そのような画像部分は、ネジの先端やKワイヤの先端などと認識され得る。
【0018】
本発明の例示的な一実施形態によれば、前記閾値、前記第1の閾値及び前記第2の閾値のうちの少なくとも1つは動的な閾値である。
【0019】
故に、動的な変化を考慮に入れて画像を比較することができる。閾値は、特定の領域がアーチファクトを含むことなどが検出される特定の状況の検出を受けて変化され得る。また、閾値は、最大の局所的な相違と大域的な相違との比に基づいて動的に適応され得る。換言すれば、最大の局所的な相違と大域的な相違との比が或る特定の閾値を上回る場合、これは臨床的意義を指し示すものと見なされ得る。
【0020】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この方法は更に、最大の局所的な相違を有する画像ブロックを決定し、最大の局所的な相違を有する画像ブロックを残りの画像ブロックと比較し、且つ、最大の局所的な相違を有する画像ブロックと残りの画像ブロックとの比較に基づいて局所タイプの相違を決定することを有する。
【0021】
故に、最大の相違が有意差であることを決定あるいは確認することができる。換言すれば、これは、その相違が比較的大きい相違であるか、すなわち、残りのブロックがもっと小さい相違を有するか、それとも、その相違が比較的小さい相違であるか、すなわち、残りのブロックが最大差のブロックと同等の相違を有するか、を決定することを可能にする。
【0022】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この方法は更に、有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックを決定し、有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックを、有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックに隣接あるいは近接する画像ブロックと比較し、且つ、有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックと、有意に大きい局所的な相違を有する画像ブロックに隣接あるいは近接する画像ブロックと、の比較に基づいて局所タイプの相違を決定することを有する。
【0023】
故に、相違の勾配を決定することができるので、或るブロックと隣接ブロック若しくは近接ブロックとの間で強い勾配の局所的な相違を有するとき、その勾配を臨床的意義の指標として使用することができる。
【0024】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この方法は更に、第1の画像内の関連物を認識し、且つ、認識された関連物を含む第1の画像の画像ブロックと第2の画像の対応する画像ブロックとの相違に基づいて局所タイプの相違を決定することを有する。
【0025】
故に、画像の関連部分を使用して、局所的な相違の決定、及び臨床的意義が生じたか否かの決定を行うことができる。関連部分は、臨床的意義を有すると決定されたコンピュータ支援手術システムの画像情報に基づいて決定され得る。これは、画像認識又はオブジェクト認識によって実行され得る。
【0026】
本発明の例示的な一実施形態によれば、第1の画像と第2の画像とを比較して第1の画像と第2の画像との間の相違を決定することは、第1の画像及び第2の画像の対応し合う画像ブロックの少なくとも一部の平均及び分散を決定することと、対応し合う画像ブロックを平均及び/又は分散に関して比較することとを含む。
【0027】
故に、平均値や分散を決定する形態の非常に単純な計算手順を適用して、その画像ブロック全体又は複数の画像ブロックの統合的な値を取得することができる。また、画像ブロックの形態の複数の画素が一緒になって、平均値及び/又は分散の形態の1つ又は2つの代表値を有するので、計算集約的な画素の一対一割当てを回避することができる。
【0028】
本発明の例示的な一実施形態によれば、画像の特定された物体の検出サイズに基づいて、全ての画像ブロックに対して固有の1つのサイズが動的に適応される。
【0029】
故に、複数の画像ブロックがこの典型的な物体サイズに適応され得る。多数の小さい物体は、より小さいサイズを有する多数の画像ブロックをもたらし、少数の大きい物体は、より少ない大きい画像ブロックをもたらし得る。前者は、後者よりも大きい計算能力を必要とする。関連物体のサイズの検出は、臨床的意義があると決定されたコンピュータ支援手術システムの画像情報に基づいて実行され得る。
【0030】
本発明の例示的な一実施形態によれば、第1の画像と第2の画像とを比較して第1の画像と第2の画像との間の相違を決定することは、複数の画像ブロックを画像ブロッククラスタへと結合することと、対応し合う画像ブロッククラスタを比較することとを含む。
【0031】
故に、複数の画像ブロックを結合して、分析のために行われる処理の数を削減することができる。複数の画像ブロックの画像ブロッククラスタへの結合は、動的に、且つ/或いは局所的に分散されて行われ得る。
【0032】
本発明の例示的な一実施形態によれば、局所タイプの相違は、第1の画像の或る画像ブロックと第2の画像の対応する画像ブロックとの間の相違、及び第1の画像の或る画像ブロッククラスタと第2の画像の対応する画像ブロッククラスタとの間の相違、のうちの少なくとも一方が第1の閾値を上回る場合に決定される。
【0033】
故に、臨床的に意義のあるベントを検出することができるとともに、閾値より小さい変化をもたらす効果を意義がないものと見なすことができる。これは、画像ブロック及び画像ブロッククラスタに基づいて行われ得る。

【0034】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この方法は更に、撮像された物体を有する関連画像範囲を検出することを有し、第1の画像と第2の画像とを比較して第1の画像と第2の画像との間の相違を決定することは専ら、検出された関連画像範囲に基づいて実行される。
【0035】
故に、画像に関連しないブラックマスクを無用に計算することなく、計算を関連画像範囲に制限することができる。特に、マスク領域内の付加的な書込情報を無視することができ、関連画像範囲内の変化を検出したときにのみ新たな画像が提供されるようになる。
【0036】
本発明の例示的な一実施形態によれば、検出された関連画像範囲は後続画像の基礎として使用される。
【0037】
故に、先行する検出が現在の検出の開始点として機能するので、計算能力を低減することができる。
【0038】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この方法は更に、第1の画像及び第2の画像のうちの少なくとも一方の所定の特性を検出することを有し、該所定の特性は、撮像装置の種類及び撮像装置の製造者のうちの少なくとも一方を指し示す。
【0039】
故に、製造者のロゴ若しくは印章、又は型番情報が認識され、撮像装置の種類又は製造者を決定するために使用され得る。これは、この方法を装置の種類又は製造者に特有の特性に適応させることを可能にする。認識される所定の特性は、例えば、特徴的なアーチファクト、ロゴ若しくは商標、透かしなどとし得る。
【0040】
本発明の例示的な一実施形態によれば、第1の画像及び第2の画像は、撮像装置の連続的なビデオ信号出力から生成される。
【0041】
故に、全ての撮像装置、特に、トリガーによる撮像手順及びトリガーされる画像転送を有する撮像装置、並びにビデオ信号の形態での連続的な画像転送を有する装置で、本発明に係る装置を動作させることができる。
【0042】
本発明の例示的な一実施形態によれば、撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための装置は、画像入力インタフェースと、画像入力インタフェースから取得される解剖学的状況の第1の画像用の第1の記憶ユニットと、画像入力インタフェースから取得される解剖学的状況の第2の画像用の第2の記憶ユニットと、第1の画像と第2の画像とを比較して第1の画像と第2の画像との間の相違を決定する比較部と、第1の画像と第2の画像との相違タイプを評価する相違タイプ評価ユニットであり、該相違タイプ評価ユニットは局所タイプの相違及び大域タイプの相違のうちの少なくとも一方を決定するように適応され、局所タイプの相違は第1の画像と第2の画像との局所的な相違であり、大域タイプの相違は第1の画像と第2の画像との大域的な相違である、相違タイプ評価ユニットと、第1の画像と第2の画像との間の相違が局所タイプの相違を有することが決定された場合に、第2の画像を、臨床的意義を有するものとして選択する画像選択ユニットとを有する。
【0043】
この装置の効果は、方法の効果と同様である。故に、上述の方法の効果は装置にも当てはまる。
【0044】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この装置は更に、第1の画像及び第2の画像の各々を、各々が複数の画素を有する複数の画像ブロックに分離する分離ユニットを有する。
【0045】
本発明の例示的な一実施形態によれば、この装置は更に、関連画像範囲を特定する関連画像範囲検出ユニットを有する。
【0046】
本発明の例示的な一実施形態によれば、撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のためのシステムは、連続的なビデオ出力を有する撮像装置と、臨床的意義のある画像を受信する画像インタフェースを有するコンピュータ支援手術システムと、上述の、解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための、本発明に係る装置とを有し、上述の画像入力インタフェースは、撮像装置の連続的なビデオ出力に動作的に接続され、臨床的意義のある画像を受信する上記画像インタフェースは、上述の画像選択ユニットに動作的に接続される。
【0047】
本発明の例示的な一実施形態によれば、撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための上述の装置及びシステムを制御するためのコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、処理ユニットによって実行されるときに、撮像装置によって提供される解剖学的状況の画像の臨床的意義の自動検出のための方法の上述の方法ステップを実行するように適応される。
【0048】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上述のコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0049】
なお、以上の特徴は組み合わされ得るものである。以上の特徴の組合せはまた、たとえ明示的に詳述されないとしても、相乗効果をもたらすことがある。
【0050】
以下に記載の実施形態を参照することで、本発明のこれら及びその他の態様が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
以下では、以下の図を参照して、本発明の代表的な実施形態を説明する。
図1】本発明の代表的な一実施形態に係るシステムの概略構成を例示する図である。
図2】本発明の代表的な一実施形態に係る装置の概略構成を例示する図である。
図3】様々な画像細部に関する概略的な定義付けを例示する図である。
図4A】局所タイプ検出を例示する詳細図である。
図4B】局所タイプ検出を例示する詳細図である。
図5A】臨床的意義を有しない2つの画像の一方を例示する図である。
図5B】臨床的意義を有しない2つの画像の他方を例示する図である。
図6A】臨床的意義を有する2つの画像の一方を例示する図である。
図6B】臨床的意義を有する2つの画像の他方を例示する図である。
図7】本発明の代表的な一実施形態に係る方法の代表的なフローチャートを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
コンピュータ支援手術システムは、X線又はそれに類するもののような撮像装置に動作的に接続され得る。このようなコンピュータ支援手術システムは、新たな画像の存在を検出するために、突然の強度上昇の検出のみを使用し得る。このようなシステムは、臨床的に意味があるように画像のコンテンツが変化しなかった場合にも新たな画像を提供することになる。この状況は、外科医が解剖学的状況を変更することなくX線装置を再び動作させるときに起こり得る。特に、最近の撮像装置は画像を提供するだけでなく、自動的にコントラストを増大させたり、あるいはテキスト情報を付加したりする。この目的のため、撮像装置は、先ず原画像(未加工画像)を提供し、コントラスト増大化計算を完了した後に改訂画像を提供し、その後、テキスト情報を上に付加された、更に改良された画像を提供する。しかしながら、上述のケースでは、これらの更なる画像は、最初に提供された画像に臨床的に意味ある情報を付加するものではない。これらの更なる画像は、向上された画像品質又は付加的なテキスト情報を追加するのみであり、あるいは、外科医が誤って撮像装置を再び動作させた場合には全く意義のない新たな画像を提供するのみである。上述のケースでは、例えば強度の増大のみをモニタする場合、新たに提供される画像は、臨床的意義を有しないにもかかわらず、時間のかかるナビゲーションの再計算をもたらすことになる。
【0053】
図1は、本発明の代表的な一実施形態に係るシステムの概略構成を例示している。システム1は、撮像装置10と、自動検出装置20と、コンピュータ支援手術システム又はナビゲーションシステム30とを有している。撮像装置10はビデオ出力インタフェース11を有し、自動検出装置20は画像入力インタフェース21を有する。ビデオ出力インタフェース11及び画像入力インタフェース21は、例えばX線装置又はMRT/MRI装置といった撮像装置によって撮影された画像を自動検出装置20に転送するように接続されており、あるいは接続されることができる。自動検出装置は、後述するように、画像比較を進めることになる。自動検出装置20は更に画像選択ユニット26を有しており、画像選択ユニット26は、ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30に、具体的にはナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30の画像入力インタフェース31に、選択した画像を提供する。故に、画像は、撮像装置10によって撮影され、自動検出装置に転送され、そして、検出結果が更に、選択画像として、ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30に送られる。自動検出装置20の構成について図2を参照して更に詳細に説明する。
【0054】
図2は、本発明の代表的な一実施形態に係る自動検出装置の概略構成を例示している。自動検出装置20は、例えばX線装置、MRT/MRI装置、又はCT装置などの撮像装置10から画像を受信するための画像入力インタフェース21を有する。自動検出装置20は更に、関連画像範囲を決定するユニット28を有しており、該関連画像範囲に基づいて自動検出が実行され得る。故に、非関連画像範囲は、恐らくは意味のある画像情報を含んでいないので、自動検出から除外され得る。また、自動検出装置20は、画像を複数の画像ブロックに分離する分離ユニット27を有し得る。故に、後述するように、複数の異なる画像ブロックが別々に自動検出されて、2つの画像の大域的(グローバル)な相違と2つの画像の局所的(ローカル)な相違とが区別され得る。自動検出装置20は更に、第1の画像用の第1ストレージ(記憶装置)22と、第2の画像用の第2ストレージ23とを有する。故に、画像入力インタフェース21で受信された複数の画像は、関連画像範囲検出ユニット28によって関連画像範囲に関して分析され、そして分離ユニット27によって複数の異なる画像ブロックに分離された後に、比較部24によって比較されることができる。比較部の結果は、相違タイプ評価ユニット25に提供される。相違タイプが評価された後、画像選択ユニット26が、それぞれの画像を選択して、ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30に画像を提供する。なお、新たな画像は、外科的な意義が検出されたときにのみ、コンピュータ支援手術システム又はナビゲーションシステム30に提示されることになる。外科的意義が検出されない場合には、ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30に画像は提供されない。故に、コンピュータ支援手術システム又はナビゲーションシステム30は、臨床的意義を有する画像を受信した場合にのみ、外科的状況を考慮して画像の処理を行うことになる。臨床的意義は、例えば、埋設物の移動、又は生体構造の位置若しくはコンステレーションの変化とすることができ、それぞれのナビゲーション情報又は支援情報が新たな画像に基づいて更新され得る。しかし、臨床的に意味のある如何なる情報も利用可能でない場合、ナビゲーションシステム及びコンピュータ支援手術システムのナビゲーション情報又は支援情報の更新も必要ない。この手順は計算時間を大いに節減することになり、外科医は、臨床的に意味のある情報を有する新たな画像を受信した場合にナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30の新たな分析を待つだけでよい。
【0055】
図3は、様々な撮像及び画像の細部に関する概略的な定義付けを示している。図3は、模式的な概観を用いたスケッチを示しており、解剖学的状況の全体画像100は関連画像範囲140を含んでいる。関連画像範囲140は、対象物それ自体の画像及び撮像を含んでおり、解剖学的状況の画像に含まれるが関連画像範囲には含まれない残りの範囲は、画像それ自体を有さずに、要素164から見て取れるような、例えば患者データ、日時情報又はカーソル位置などのもののような撮像情報を有し得る。関連画像範囲140は、解剖構造161を有する解剖学的状況を示しており、解剖構造161は、例えば組織又は骨のような第1の解剖サブ構造(部分構造)161a、第2の解剖サブ構造161b、及び/又は第3の解剖サブ構造161cを含み得る。なお、解剖サブ構造はまた、既に埋設されている更なる埋設部分を含み得る。図3は更に、撮像プロセスが行われる手術中に既に埋設されている埋設物163を示している。埋設物163は例えば、ガンマネイル又はこれに類するものとし得る。また、図3は、例えばネジ、ドリル、Kワイヤ、又はネイル若しくは手術針の先端のような一時的な埋設物とし得る更なる埋設物162を示している。図3において、局所的な相違を決定する関連範囲は、例えば、解剖構造内で前後に移動される手術針もしくはKワイヤの先端の範囲とし得る。この手順については、どちらも図3に180で表した範囲を拡大して示すものである図4A及び4Bに関連して後述する。ここでの説明のため、手術針の先端又はKワイヤの先端に近い画像ブロックである画像ブロック120を、分析のために検討する。このブロック120は複数の画素110を含むことができ、故に、2つの画像の比較を、例えば画像ブロック120に基づいて行うことができる。図3中の画素110は単に模式的なものであり、画素110は当然ながら、図3に示した物体162より遙かに小さいものである。1つの画像ブロッククラスタ130に至るように複数の画像ブロック120が結合され得る。図3において、画像ブロッククラスタ130は例えば、1行に3つで1列に3つの9個の画像ブロック120を含み得る。なお、画像ブロッククラスタは、より多くの、あるいは、より少ない画像ブロックを有していてもよく、また、画像ブロック及び画像ブロッククラスタは何れも、正方形の形態である必要はなく、長方形の形態又はその他/自由な形態であってもよい。さらに、画像ブロッククラスタはまた、特に画像ブロッククラスタの縁部において、画像ブロックの一部を有していてもよい。
【0056】
図4A及び図4Bは、局所タイプ検出を更に詳細に例示している。例示的な一実施形態によれば、図4Aは例えば、第1、第2及び第3の解剖サブ構造161a、161b及び161cを示す第1の画像を例示するものとし得る。また、図4Aは手術針162を示している。図4Aから見て取れるように、手術針は画像ブロック120内に横たわっている。更なる画像において、図4Bにて典型的に見て取れるように、手術針162が移動され、画像ブロック120はもはや手術針を含まなくなっている。図4Aの画像ブロック120を図4Bの画像ブロック120と比較すると、手術針162はもはや画像ブロック120内にないという結論に至ることができ、故に、手術針が解剖構造に対して移動されているのでこれは臨床的に意味のある状況であると結論付け得る。図4Aの画像ブロック120と図4Bの画像ブロック120との間でのこの分析は、画像ブロック120内の平均グレースケール値又は強度若しくは色の平均値を計算することによって実行されることができる。図4A及び図4Bに示した簡略化したケースにおいて、画像ブロック120の背景は白色であると見なし、手術針162は黒色と見なす。図4Aの画像ブロック120内のグレースケールの平均値は、手術針が画像ブロック120のうちの30%を覆っていると仮定すると、およそ30%である。一方、図4Bの画像ブロック120はもはや手術針162を含んでおらず、背景が白であると仮定すると、画像ブロック120の平均グレースケール値は0%である。実際の状況においては、当然ながら、ノイズを予期しなければならない。平均値を比較するとき、その結果は図4Aの画像ブロック120の平均値と図4Bの画像ブロック120の平均値との間での有意な差であるが、例えば画像ブロック120aといった残りの画像ブロックにおける差は有意でないままである。該当する閾値を超えるとき、装置は自動的に、これが臨床的に意味のある状況であることを検出する。特に、例えば図4Aの別の画像ブロック120aが図4Bの該当する画像ブロック120aに対して不変のままである場合、これは臨床的に意味のある状況として決定される。故に、図4A図4Bとの間の相違は、大域的な相違ではなく、画像ブロック120内での局所的な相違であると結論付けることができる。換言すれば、例えば画像ブロック120a内のグレースケール値が0%のままであり且つ画像ブロック120のグレースケール値が30%から0%に変化することを検出する場合、検出装置は自動的に、ナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システムによって考慮されるべき臨床的意義のあるイベントを表すものとして、局所タイプの相違を検出し得る。実際の状況においては、当然ながら、ノイズを予期しなければならない。全ての画像ブロック上での差が有意であるが全ての画像ブロックで一定である場合には、臨床的意義は検出されない。しかし、全てのブロック上での差が有意であり、且つ唯一又は限られた数のブロックの差が残りの画像ブロックの有意差を上回る場合、臨床的意義が決定され得る。後者の例は、動的な閾値を適用することが有用であり得ることを示すものである。
【0057】
以下、撮像装置によって提供されるX線画像の臨床的意義の自動的な検出及び検査の手順を詳細に例示説明する。なお、一部のステップが除外されたり、幾つかの更なるステップが追加されたりしてもよい。
【0058】
例示の手順は、(設定可能な)サンプリング周波数でのアナログビデオ信号の周期的なデジタル化で開始する。デジタル化されたビデオ信号に基づき、例えば楕円形の画像領域(コーンビーム)の検出が実行され得る。S字歪み又はピンクッション歪みのようなその他の歪みはダウンサンプリングによって除去され得る。楕円領域を使用可能なことは、少し歪んだビデオ画像をも処理することを可能にする。これは、歪み除去を必要とせずに元の投影上で処理全体を行うことを可能にする。故に、例えば、歪んだ元画像が使用され得る。例えば楕円形の画像領域の外側に位置する領域など、画像内の意味のない領域は無視され得る。楕円画像の内側又は外側への設定可能あるいは装置依存の継ぎ目が考慮され得る。そして、画像ノイズの量及び処理時間を低減するよう、ダウンサンプリングされた元画像に基づいて、画像の相違が分析され得る。これは、渡された最後の画像と比較した差分画像DIを計算することによって行われ得る。平均値又は分散を検討することによって評価が実行され得る。この目的のため、差分画像の全画素の強度値にわたっての平均値及び分散が、大域的な画像変化の指標として決定され得る。大きい差を有する、すなわち、大きい閾値を超える画像は、新たな画像として分類されて、更なる処理のために渡されることになる。差分画像は、或る特定サイズの重なり合う画像ブロック又は重なり合わない画像ブロックに分離され得る。なお、ブロックサイズは、例えば画像内の典型的な物体のサイズにブロックサイズを適応させることによって、動的に変化されてもよい。この処理は、画素変化における最大値を示すブロックの特定と併せて、全てのブロックの画素強度値の平均値及び分散の計算とともに行われ得る。最大変化を有するブロックの位置が、以下の画像処理アルゴリズムで使用され得る。なお、2番目や3番目に強い変化を有するブロックなども処理に考慮されることができる。このアルゴリズムは、画像内のエッジの検出と、変化を局所的あるいは大域的であるとして分類するために画像変化の分布を記述する指標の計算とを含み得る。この指標は、大域的変化と局所的変化との間の関係を定量化してもよく、それに従って変化を分類することを可能にする。このアルゴリズムは、アナログノイズ又は画像源装置内での画像処理に由来し得る小さい大域的変化を無視するルーチンを実装してもよい。このアルゴリズムはまた、後の画像に使用されるように更なる画像処理のために渡される画像上の関心ある楕円領域を計算し得る。このため、この手順は、より一層ダウンサンプリングされた元画像に基づいて、内部領域をおおよそカバーする円を推測し得る。この推測は、後続ステップの探索領域を狭くするため、また、画像歪みの影響を抑制するため、円に関するハフ変換を使用し得る。また、この手順は、推測された円に基づいて、放射状の探索線に沿って明から暗への遷移を探索し、それらを楕円画像領域の外縁の候補として使用し得る。更なる境界領域は、図6Bの164に見られるような書込情報(このような書込情報又はその他の妨害情報は画像領域内まで延在していることがある)を含み得るので、画像コンテンツの検討から除外され得る。その後、この手順は、例えばRANSACアルゴリズムを用いて、楕円に対して十分に適合しない異常(アウトライア)点を排斥することで、反復的に楕円の数学モデルを候補点のサブセット(部分集合)にフィッティングし得る。候補点への最良にフィットする楕円がコーンビーム検出アルゴリズムの結果となる。この手順は、製造者及び/又は撮像装置に特有の画像コンテンツの自動検出を実行し、それに従って画像処理パラメータを調整し得る。自動取得された装置タイプが、後続の画像処理ステップの最適化のための情報として使用され得る。
【0059】
比較される双方の画像間の時間シフトは、例示的に500msとし得る。画像の解像度は、水平方向に500画素且つ垂直方向に500画素(又は、水平方向に250且つ垂直方向に250)の領域とし得る。フォーマットはPAL若しくはNTSC又はこれらに類するものとし得る。画像ブロックは例えば、水平方向に4画素で垂直方向に4画素とし得る。
【0060】
図5A及び5Bは、それらの差分が臨床的意義を有しない2つの画像を例示している。図5A図5Bとの間の相違は、例えば、強度における僅かな変化であり得るが、それは複数の画像ブロック又は画像クラスタ(図5A及び5Bには詳細に示していない)の各々に対して同じである。第1の画像としての図5Aと第2の画像としての図5Bとの間の相違は、例えば、新たな画像を撮影することなく第1の画像に基づいて画像品質を向上させるためにX線装置によって実行され得るコントラスト増大、エッジ明瞭化、若しくはノイズ低減、又はそれらに類するものであり得る。さらに、付加的な画像情報がマスク領域内に付加されることがあり。マスク領域とは、円の外側且つ画像全体100の内側の非関連画像領域である。これは例えば、画質が向上された画像を計算した後に付加される詳細な書込情報164であるが、このような改良画像は、図5Aの第1の画像に対して臨床的に有意に意味のあるイベントを含むものではない。付加情報164は、時間若しくは日付の情報、患者情報、又は外科医へのその他の支援情報であり得る。
【0061】
図6A及び図6Bは、差分が臨床的意義を有する2つの画像を例示している。図3図6Aに対応するスケッチである。図3、4A及び4Bに関連して詳細に説明したように、第1の画像としての図6Aと第2の画像としての図6Bとの相違は、手術針又はKワイヤの移動である。例えば強度変化、エッジ明瞭化、関連範囲140の外側の付加情報164のような大域的相違を検出する場合であっても、装置は更に、図3、4A及び4Bに関連して既に説明したように、更なる局所的な相違を検出することになる。故に、自動検出装置は、例えば図6Bに示すような新たな画像を臨床的意義のあるものとして特定し、この画像を選択した後に、それをナビゲーションシステム又はコンピュータ支援手術システム30に提供することになる。
【0062】
図7は、本発明の代表的な一実施形態に係る方法の代表的なフローチャートを例示している。先ず、ステップS11で第1の画像が提供され、ステップS12で第2の画像が提供される。双方の画像は検出され、例えば、撮像装置のビデオ出力インタフェースにおける連続したビデオストリームから取得される。ステップS20で双方の画像が比較され、比較結果が、ステップS30で、局所タイプの相違及び大域タイプの相違の存在を決定する基礎として機能し得る。局所タイプの相違及び大域タイプの相違を評価得することは、例えば第1及び第2の閾値を考慮するとき、ステップS40で該当する画像の臨床的意義を決定することを可能にする。詳細な比較手順は、意味のある画像範囲のみが比較及び臨床的意義の決定に考慮されることになるように、ステップS21で関連画像範囲を検出することを含み得る。また、それぞれの画像ブロックを比較するために、ステップS22で複数の画像ブロックへの分離が行われ得る。なお、計算のための労力を適応化させるために画像内の典型的な物体サイズを考慮するとき、S23で画像ブロックのサイズが動的に適応され得る。例えば、大きい物体のみを画像内に有する場合、非常に高速な手順が行われ得るように、画像ブロックのサイズも増大され得る。場合による画像ブロックのサイズを適応した後、ステップS24で、それぞれの画像ブロックの平均値が決定され、続くステップS25で、それらの平均値が比較され得る。同様に、ステップS26で分散も決定され、ステップS27でそれらの分散が比較され得る。なお、ステップS28で、複数の画像ブロックを結合して画像ブロッククラスタを形成してもよく、続くステップS29で画像ブロッククラスタが比較されてもよい。なお、画像ブロッククラスタを比較することも、ステップS24での平均値の決定と、ステップS25での平均値の比較と、ステップS26での分散の決定と、ステップS27での分散の比較を含み得るので、ステップS29内に、ステップS24乃至S27と同様の幾つかのサブステップが含められ得る。なお、例えば、画像ブロックでの、より詳細な、より意味のある範囲と、画像ブロッククラスタでのあまり詳細でない範囲とを並行して計算するように、比較手順は画像ブロックと画像ブロッククラスタとに関して並行して実行され得る。
【0063】
本発明の代表的な他の一実施形態において、適切なシステム上で上述の実施形態のうちの1つに係る方法の方法ステップ群を実行するように適応されていることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0064】
コンピュータプログラム要素は、故に、やはり本発明の一実施形態の一部とし得るコンピューティングユニットに格納され得る。このコンピューティングユニットは、上述の方法のステップ群を実行するように、あるいはそれらの実行を含むように適応され得る。また、それは、上述の装置のコンポーネントを動作させるように適応され得る。コンピューティングユニットは、自動的に動作するように、且つ/或いはユーザの命令を実行するように適応され得る。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされ得る。データプロセッサは、故に、本発明に係る方法を実行するように装備され得る。
【0065】
本発明のこの例示実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって既存プログラムを本発明使用プログラムへと変えるコンピュータプログラムとの双方に及ぶものである。さらに、コンピュータプログラム要素は、上述の方法の例示実施形態の手順を果たすのに必要な全てのステップを提供することができ得る。
【0066】
本発明の代表的な更なる一実施形態によれば、前節に記載したコンピュータプログラム要素を格納した、例えばCD−ROMなどの、コンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0067】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上で提供されて、そのようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードされてもよい。本発明の代表的な更なる一実施形態によれば、上述の本発明の実施形態のうちの1つに係る方法を実行するように構成されたコンピュータプログラム要素をダウンロードに利用可能にする媒体が提供される。
【0068】
なお、本発明の実施形態は様々な主題を参照して説明されている。具体的には、一部の実施形態は方法タイプのクレームを参照して説明され、他の一部の実施形態は装置タイプのクレームを参照して説明されている。しかしながら、以上の記載及び以降の記載から当業者が推測するように、特に断らない限り、1つのタイプの主題に属する複数の特徴の組合せに加えて、相異なる主題に関する複数の特徴間の組み合わせも、本願で開示されていると見なされるものである。しかしながら、全ての特徴が組み合わされることで、それらの特徴の単純な和を超える相乗効果が提供され得る。
【0069】
なお、本発明の例示実施形態は、様々な主題を参照して説明されている。具体的には、一部の例示実施形態は装置タイプのクレームを参照して説明され、他の一部の例示実施形態は方法タイプのクレームを参照して説明されている。しかしながら、以上の記載及び以降の記載から当業者が推測するように、特に断らない限り、1つのタイプの主題に属する複数の特徴の組合せに加えて、相異なる主題に関する複数の特徴間の組み合わせ、特に、装置タイプのクレームの特徴と方法タイプのクレームの特徴との間の組合せも、本願で開示されていると見なされるものである。
【0070】
請求項において、用語“有する”は、その他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞“a”又は“an”は複数であることを排除するものではない。単一のプロセッサ又はその他のユニットが、請求項中に列挙される複数のアイテムの機能を果たしてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それら手段の組合せが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアの部分とともに供給されるか、あるいはそのような部分として供給されるかである例えば光記憶媒体又は半導体媒体などの好適媒体にて格納且つ/或いは配給され得るが、例えばインターネット又はその他の有線若しくは無線の遠隔通信システムを介してなど、その他の形態で配給されてもよい。
【0071】
特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、理解されるように、これらの実施形態は本発明の原理及び適用を単に例示するものである。故に、理解されるように、添付の請求項によって規定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、数多くの変更が例示実施形態に対して為され、また、その他の構成が考案され得る。
【符号の説明】
【0072】
1 システム
10 撮像装置
11 ビデオ出力
20 自動検出装置
21 自動検出装置の画像入力インタフェース
22 第1の画像用の第1の記憶ユニット
23 第2の画像用の第2の記憶ユニット
24 比較ユニット
25 相違タイプ評価ユニット
26 画像選択ユニット
27 分離ユニット
28 関連画像範囲検出ユニット
30 コンピュータ支援手術システム
31 コンピュータ支援手術システムの画像入力インタフェース
100 解剖学的状況の画像
110 画素
120 画像ブロック
130 画像ブロッククラスタ
140 関連画像範囲
151 局所タイプの相違
152 大域タイプの相違
161 解剖構造
161a 第1の解剖サブ構造
161b 第2の解剖サブ構造
161c 第3の解剖サブ構造
162 手術針又はKワイヤ
163 ネイルなどの埋設物
164 画像に関する付加情報
S11 解剖学的状況の第1の画像を撮影
S12 解剖学的状況の第2の画像を撮影
S20 第1及び第2の画像の比較と相違の決定
S21 関連画像範囲を検出
S22 複数の画像ブロックに分離
S23 画像ブロックのサイズを動的に適応
S24 平均を決定
S25 平均を比較
S26 分散を決定
S27 分散を比較
S28 複数の画像ブロックを画像ブロッククラスタへと結合
S29 画像ブロッククラスタを比較
S30 局所タイプの相違及び大域タイプの相違を決定
S40 臨床的意義を決定
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7