特許第5795435号(P5795435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795435
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】手持ち式小型電気装置用リニアモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/02 20060101AFI20150928BHJP
   B26B 21/14 20060101ALI20150928BHJP
   B26B 21/52 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H02K33/02 A
   B26B21/14 Z
   B26B21/52 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-516981(P2014-516981)
(86)(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公表番号】特表2014-520505(P2014-520505A)
(43)【公表日】2014年8月21日
(86)【国際出願番号】US2012039483
(87)【国際公開番号】WO2013002925
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】61/502,942
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593093249
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、フランツ、ドール
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ、ショーバー
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ペーター、クレスマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク、ツィーグラー
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−156964(JP,A)
【文献】 特表2006−518622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/00−33/18
B26B 21/00−21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式小型電気器具であって、
長手方向軸線を有するハンドルと、
前記ハンドル内に配置されたモータアセンブリ(100)と、を備え、
前記モータアセンブリ(100)が、
2つの実質的に直交する面から形成された概ねL字形の磁気ヨーク(102)であって、前記2つの実質的に直交する面が凹型の受容部を画定する、概ねL字形の磁気ヨーク(102)と、
実質的に前記凹型の受容部内に配置された鉄心(104)及びコイル巻線(106)と、
前記鉄心と前記コイル巻線の上側に配置された質量体と、を含み、
前記質量体が、前記概ねL字形の磁気ヨークと接触せず、
前記鉄心(104)及び前記コイル巻線(106)が、前記モータアセンブリ(100)の停止時に前記2つの実質的に直交する面の一方と接触しておらず使用時に前記モータアセンブリが前記ハンドルの長手方向軸線に沿った線形振動を前記質量体に適用する手持ち式小型電気器具
【請求項2】
前記モータアセンブリが、実質的に前記凹型の受容部内に配置された少なくとも1つの磁石を更に含む、請求項1に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項3】
以下の特徴、
(i)前記少なくとも1つの磁石及び前記鉄心が、第1の間隙が形成されるように接触しておらず、前記少なくとも1つの磁石及び前記概ねL字形の磁気ヨークが、第2の間隙が形成されるように接触しておらず、前記第1の間隙及び前記第2の間隙が、互いに実質的に垂直であること、
(ii)前記少なくとも1つの磁石及び前記鉄心が、第1の間隙が形成されるように接触しておらず、前記少なくとも1つの磁石及び前記概ねL字形の磁気ヨークが、第2の間隙が形成されるように接触しておらず、前記第1の間隙及び前記第2の間隙が、間に約60°〜約120°の角度を形成すること、
の1つ以上を有する、請求項2に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項4】
前記モータアセンブリが、実質的に前記凹型の受容部内に配置された地鉄を更に含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項5】
記地鉄が、前記鉄心と接触していない、請求項4に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項6】
前記モータアセンブリが、前記概ねL字形の磁気ヨークに連結された板ばねを更に含み、前記板ばねが、前記モータアセンブリの共振周波数を規定するように構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項7】
記板ばねが、概ねU字形である、請求項6に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項8】
前記モータアセンブリが共振性である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項9】
記質量体が、前記モータアセンブリの共振周波数を規定するように構成される、請求項に記載の手持ち式小型電気器具
【請求項10】
記モータアセンブリの振動数が、約50ヘルツ〜約500ヘルツである、請求項1〜のいずれか一項に記載の手持ち式小型電気器具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に手持ち式小型電気装置用モータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動かみそり又は電動歯ブラシなどの手持ち式小型電気装置は、典型的には偏心重りなどの別の構成要素を駆動するためのモータを含む。例えば、直流(DC)電動モータは、偏心して取り付けられた構成要素を駆動するために使用される。しかしながら、様々な設計に関する検討事項は、モータの性能及び手持ち式電気装置の構成に影響を及ぼす。手持ち式小型電気装置にモータを利用する現行の方法は、制約された空間内にはめ込まれるDCモータ及び/又はE字形の磁気ヨークを含んでよい。例えば、電動湿式剃毛かみそりのハンドルは、モータなどの電子機器を収容するために、対応する手動の湿式剃毛かみそりよりも一般にかさばる、かつ/又は大きい。かさばる、かつ/又は大きいハンドルは、結果として望ましい人間工学的形状とはいえないことがある。一例では、Fusion(登録商標)ProGlide(商標)Power湿式剃毛かみそり(The Gillette Company(Boston,MA)から入手可能)のハンドルの最小直径は、約11〜12mmである。この制約された空間内に、手持ち式装置を駆動するのに十分な出力を備えたモータを収容する必要がある。更に、DCモータの性能は、動作電圧に依存する振動数に依存する。DCモータの振動数は変更可能であるが、振動の振幅は変更できない。その上、DCモータの振動は、減衰(例えば、ユーザーによる手持ち式装置の接触)、温度、及び/又は経年劣化による影響を受ける。しかしながら、一般に、より小さな空間が望ましい場合、より小さなモータが使用されるが、モータ及び駆動される構成要素の性能は、損なわれるか、又は望ましくないことがある。特定のモータを内蔵する手持ち式小型電気装置の例には、米国特許出願公開第2010/0175207号、同第2008/0204177号、同第2007/0137043号、及び同第2005/0046281号、並びに米国特許第7,554,225号、同第7,015,602号、及び同第6,933,630号が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0175207号
【特許文献2】米国特許出願公開第2008/0204177号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0137043号
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0046281号
【特許文献5】米国特許第7,554,225号
【特許文献6】米国特許第7,015,602号
【特許文献7】米国特許第6,933,630号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に、必要とされるのは、手持ち式小型電気装置のハンドル内に収容されるべきリニアモータであり、このリニアモータは、現行の方法に比べて幅が狭く、少ない部品を有し、耐久性が高い。手持ち式小型電気装置のモータは、より幅は狭いが、好ましくは、現行の手持ち式装置より良好でないとしても、それらとほぼ同様に機能する(例えば、効率)。更に好ましくは、モータアセンブリの共振周波数などの周波数は、より簡単に制御され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、手持ち式小型電気器具のハンドルに関する。ハンドルは、ハンドル内に配置されたモータアセンブリを含む。モータアセンブリは、2つの実質的に直交する面が凹型の受容部を画定するように、2つの実質的に直交する面から形成された、概ねL字形の磁気ヨークを含む。また、モータアセンブリは、鉄心及びコイル巻線が、モータアセンブリの停止時に2つの実質的に直交する面の一方と接触しないように、実質的に凹型の受容部内に配置された鉄心及びコイル巻線を含む。
【0006】
上記の態様は、以下の実施形態の任意の1つ以上を含み得る。モータアセンブリは、実質的に凹型の受容部内に配置された少なくとも1つの磁石を更に含むことができる。少なくとも1つの磁石は、実質的に凹型の受容部内に配置された2つの磁石であってもよい。少なくとも1つの磁石及び鉄心は、第1の間隙が形成されるように接触していなくてもよく、少なくとも1つの磁石及び概ねL字形の磁気ヨークは、第2の間隙が形成されるように接触していなくてもよい。第1の間隙及び第2の間隙は、互いに実質的に垂直であってもよい。第1の間隙及び第2の間隙は、間に約60°〜約120°の角度を形成してもよい。モータアセンブリは、実質的に凹型の受容部内に配置された地鉄(back iron)を更に含むことができる。地鉄は、鉄心と接触していなくてもよい。地鉄は、少なくとも1つの磁石に連結され、その上に配置されてもよい。地鉄は、概ねL字形の磁気ヨークと接触していなくてもよい。モータアセンブリは、概ねL字形の磁気ヨークに連結された板ばねを更に含むことができる。板ばねは、モータアセンブリの共振周波数を規定するように構成されてもよい。板ばねは、概ねU字形であってもよい。板ばねは、概ねL字形の磁気ヨークの2つの実質的に直交する面の一方と重なるいずれの面とも接触しておらず、かつ/又はこれらの面を有し得ないように、板ばねは、概ねL字形の磁気ヨークの一部と接触するのみであってもよい。概ねU字形の板ばねの平行な面は、磁気ヨークの2つの実質的に直交する面の少なくとも一方と重なり合わない。モータアセンブリは、共振性(resonant)であってもよい。モータアセンブリは、地鉄に連結された質量体(mass)を更に含むことができる。質量体及び/又は地鉄は磁性であってもよく、例えば、質量体及び/又は地鉄は軟質磁性材料であってもよい。質量体は、非磁性体であってもよい。質量体は、少なくとも1つの地鉄又は少なくとも1つの磁石であってもよい。質量体は、モータアセンブリの共振周波数を規定するように構成されてもよい。モータアセンブリの結果として生じる力は、質量体の偏向に対して実質的に直線であり得る。モータアセンブリは、概ねL字形の磁気ヨークの2つの実質的に直交する面の一方の外側と鉄心とに連結された取付台を更に含むことができ、取付台は、凹型の受容部内に配置されない。モータアセンブリは、ハンドルの長手方向軸線に沿って線形振動を適用するように構成されてもよい。モータアセンブリは、約7mm未満の直径を有するハンドルの部分に収容され得る。モータアセンブリの振動数は、約50ヘルツ〜約500ヘルツであってもよい。
【0007】
別の態様では、本発明は、手持ち式小型電気器具のハンドルに関する。ハンドルは、ハンドル内に配置されたモータアセンブリを含む。モータアセンブリは、2つの実質的に直交する面が凹型の受容部を画定するように、2つの実質的に直交する面から形成された、概ねL字形の磁気ヨークを含む。また、モータアセンブリは、第1の間隙が形成されるように少なくとも1つの磁石及び鉄心が接触しておらず、第2の間隙が形成されるように少なくとも1つの磁石及び概ねL字形の磁気ヨークが接触しておらず、第1の間隙及び第2の間隙が互いに実質的に垂直であるように、実質的に凹型の受容部内に配置された鉄心、コイル巻線、及び少なくとも1つの磁石を含む。
【0008】
この態様は、以下の実施形態の任意の1つ以上を含み得る。第1の間隙及び第2の間隙は、間に約60°〜約120°の角度を形成してもよい。少なくとも1つの磁石は、実質的に凹型の受容部内に配置された2つの磁石であってもよい。モータアセンブリは、実質的に凹型の受容部内に配置された地鉄を更に含むことができる。地鉄は、鉄心と接触していなくてもよい。地鉄は、少なくとも1つの磁石に連結され、その上に配置されてもよい。地鉄は、概ねL字形の磁気ヨークと接触していなくてもよい。モータアセンブリは、概ねL字形の磁気ヨークに連結された板ばねを更に含むことができる。板ばねは、モータアセンブリの共振周波数を規定するように構成されてもよい。板ばねは、概ねU字形であってもよい。板ばねは、概ねL字形の磁気ヨークの2つの実質的に直交する面の一方と重なるいずれの面とも接触しておらず、及び/又はこれらの面を有し得ないように、板ばねは、概ねL字形の磁気ヨークの一部と接触するのみであってもよい。概ねU字形の板ばねの平行な面は、磁気ヨークの2つの実質的に直交する面の少なくとも一方と重なり合わない。モータアセンブリは、共振性であってもよい。モータアセンブリは、地鉄に連結された質量体を更に含むことができる。質量体及び/又は地鉄は磁性であってもよく、例えば、質量体及び/又は地鉄は軟質磁性材料であってもよい。質量体は、非磁性体であってもよい。質量体は、少なくとも1つの地鉄又は少なくとも1つの磁石であってもよい。質量体は、モータアセンブリの共振周波数を規定するように構成されてもよい。モータアセンブリの結果として生じる力は、質量体の偏向に対して実質的に直線であり得る。モータアセンブリは、概ねL字形の磁気ヨークの2つの実質的に直交する面の一方の外側と鉄心とに連結された取付台を更に含むことができ、取付台は、凹型の受容部内に配置されない。モータアセンブリは、ハンドルの長手方向軸線に沿って線形振動を適用するように構成されてもよい。モータアセンブリは、約7mm未満の直径を有するハンドルの部分に収容され得る。モータアセンブリの振動数は、約50ヘルツ〜約500ヘルツであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の他の特徴及び利点、並びに本発明自体は、種々の実施形態の以下の説明を添付の図面と共に読めば、より完全に理解されるであろう。
図1】手持ち式小型電気器具のハンドルに配置された既知のモータアセンブリの概略斜視図である。
図2】既知のモータアセンブリの概略側面図である。
図3】本発明の実施形態によるモータアセンブリの概略斜視図である。
図4図3のモータアセンブリの概略側面図である。
図5】本発明の実施形態によるモータアセンブリの概略斜視図である。
図6A】本発明の実施形態による概略透視図を示し。
図6B】本発明の実施形態による正面図を示す。
図7】磁束密度のベクトルを示す、図6A及び6Bのモータアセンブリの概略側面図である。
図8】本発明の実施形態によるモータアセンブリの力対変位のグラフである。
図9A】本発明の実施形態による種々のモータアセンブリの概略側面図を示す。
図9B】本発明の実施形態による種々のモータアセンブリの概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に断らないかぎり、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、「1以上」を意味する。
【0011】
図1を参照すると、既知の手持ち式小型電気装置10は、ハンドル20と、ハンドル内に配置されたモータアセンブリ30とを含む。モータアセンブリ30は、U字形又はC字形の磁気ヨーク32に連結されたモータ取付台31を含む。磁気ヨークを有するモータアセンブリの非限定的な例が、米国特許出願公開第2010/0175207号、同第2008/0204177号、同第2007/0137043号、及び同第2005/0046281号、並びに米国特許第7,554,225号、同第7,015,602号、同第6,933,630号、及び同第6,051,902号に述べられている。コイル33は、U字形又はC字形の磁気ヨーク32内に配置される。板ばね対34は、磁気ヨーク32の概ね上側で板ばね対34が近づく磁気ヨーク32の外面に連結される。同様に磁気ヨーク32の配置されるのは、同様に磁気ヨーク32の上側の地鉄38に連結された磁石対36である。レバー40は、地鉄38の上側に配置され、モータアセンブリ30の出力を規定する部分で板ばね34に連結される。モータアセンブリ30の動作時に、板ばね34は、共振周波数と、磁石36及び地鉄38が左右に振動できる、出力の仮想旋回軸とを規定する。
【0012】
既知の手持ち式小型電気装置では、モータアセンブリはDCモータアセンブリである。DCモータアセンブリは、典型的には最大約50〜約500ヘルツの振動数で約3,000〜約30,000RPMで機能する。電動湿式剃毛かみそり内のDCモータアセンブリは、約10〜約11mmのハンドルの直径内に収まることが多い。
【0013】
図2では、別の既知の手持ち式小型電気装置50の一部は、ハンドル60の一部と、ハンドル内に配置されたモータアセンブリ70とで構成される。モータアセンブリ70は、E字形の磁気ヨーク72を含む。コイル73は、E字形の磁気ヨーク72内に配置される。板ばね対74は、磁気ヨーク72の概ね上側で板ばね対74が近づく磁気ヨーク72の外面に連結される。同様に磁気ヨーク72の上側に配置されるのは、同様に磁気ヨーク72の上側の地鉄78に連結された磁石対76である。レバー80は、地鉄78の上側に配置され、モータアセンブリ70の出力を規定する部分で板ばね74に連結される。モータアセンブリ70の動作時に、板ばね74は、共振周波数と、磁石76及び地鉄78が左右に振動できる出力の仮想旋回軸とを規定する。
【0014】
図3及び4は、本発明の実施形態を示す。リニアモータ用モータアセンブリ100は、概ねL字形の磁気ヨーク102に連結されたモータ取付台101を含み、ヨーク102は、凹型の受容部を画定する2つの実質的に直交する面(例えば、2つの概ね線形の実質的に垂直な面)を有する。「概ね線形」とは、ヨーク102の面が、例えば隆起部、突起部、又は凹部といった非線形の要素を含み得るものであり、かつ/又は、製造上及び設計上の配慮により、テーパ状及び/若しくはフレア状の端部などの非線形の領域をその長さに沿って有してもよいということである。更に、又はあるいは、概ねL字形の磁気ヨーク102は、2つの概ねL字形の構成要素を含むが、各構成要素は同一である必要はない。例えば、2つの構成要素は、互いに接触し、少なくとも部分的に重なり合っていてもよい。一実施形態では、モータ取付台101は、概ねL字形の磁気ヨーク102の下に配置される。鉄心104は、概ねL字形の磁気ヨーク102に連結されており、コイル巻線106が鉄心104の周囲に巻かれている。鉄心104及びコイル巻線106の上側に配置されるのは、質量体108である。質量体は、磁石対などの少なくとも1つの磁石109、地鉄110、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。一実施形態では、質量体は磁性であってもよい。質量体は、モータアセンブリ100の可動部を構成する。少なくとも1つの磁石109は、概ねL字形の磁気ヨーク102の凹型の受容部内に配置される。更に、又はあるいは、地鉄110も、概ねL字形の磁気ヨーク102の少なくとも実質的に凹型の受容部内に配置される。一実施形態では、地鉄110の一部は、凹型の受容部の外部に配置される。磁石109及び地鉄110は、鉄心と接触しない。鉄心及びコイル巻線は、2つの実質的に直交する面の一方と接触しない。磁石109は、第1の間隙112が形成されるように鉄心110と接触しない。磁石109は、第2の間隙114が形成されるように概ねL字形の磁気ヨーク102と接触しない。第1の間隙112及び第2の間隙114は、互いに実質的に垂直である。これらの空隙112、114を平面配向ではなく垂直配向に形成することは、例えばモータアセンブリ100がより小さな直径又は幅を有する寸法に収まり得るように、モータアセンブリ100をより小さな寸法にする(例えば、手持ち式装置に収容されるようにより小さな接地面積にする)のを助ける。
【0015】
本発明の一実施形態では、モータアセンブリは、例えばモータアセンブリがハンドルの長手方向軸線に沿った線形振動を適用するように、線形振動モータに関する。いずれの理論にも束縛されるものではないが、線形振動は、湿式剃毛用及び歯磨き用などの特定用途の手持ち式小型電気装置にとって有利であると考えられる。湿式剃毛及び歯磨き用途では、回転振動モータは、人体(例えば、皮膚、手など)に不快な振動をもたらすと考えられる。更に、リニアモータを使用する場合、振動の振幅をより容易に変えることができる。リニアモータでは振動数も容易に変えることができ、動作電圧、負荷(例えば、ダンピング)、経年劣化、温度、又は他の要因により影響されることなく振動数を制御することができる。本発明のリニアモータアセンブリでは、振幅及び振動数を互いに独立して調整することができる。
【0016】
一実施形態では、モータアセンブリ100全体は共振性であってもよい。質量体は、共振周波数を規定することができる。地鉄及び/又は電機子は、例えばタングステン、好ましくは高密度タングステンから作製された、電磁性であってもよい。
【0017】
図5、6A、6B、及び7は、凹型の受容部を画定する2つの実質的に直交する面(例えば、2つの概ね線形の実質的に垂直な面)を有する概ねL字形の磁気ヨーク202を備えたモータアセンブリ200が電機子204も含む、本発明の別の実施形態を示す。電機子204は、少なくとも1つの磁石208(例えば、2つの磁石)の上面に配置された地鉄206の、そのまた上面に配置されてもよい。更に、又はあるいは、板ばね210(又は、板ばね対)は、概ねL字形の磁気ヨーク202に、例えば磁気ヨーク202の外面に、連結される。一実施形態では、板ばね210(又は、板ばね対)は、板ばね210(又は、板ばね対)が磁気ヨーク202の2つの実質的に直交する面の一方に接触しないように、磁気ヨーク202の一部に接触するのみである。板ばね210は、単一の概ねU字形の一体構造であってもよく、又は板ばね210は、一対の概ねL字形の一体構造であってもよい。板ばね210は、製造上及び設計上の配慮により、隆起部、突出部、開口部、凹部、又はテーパ状若しくは/又はフレア状の末端部を含む場合でも、板ばね210は、概ねU字形又は概ねL字形であり得る。一実施形態では、板ばね210は、板ばね210が磁石208に接触しないように、地鉄206及び/又は電機子204に接触するか、又は連結される。更に、又はあるいは、地鉄206及び/又は電機子204に接触又は連結した板ばね210の面(又は、板ばね対の面)は、概ね平行であり得る。概ね平行な面は、磁石208と鉄心212との間の空隙(図6A及び6Bでコイル巻線214を一部のみ示すことにより示される)を概ね一定の距離にすることができる。一実施形態では、質量体は、磁石対などの少なくとも1つの磁石208、地鉄206、電機子204、板ばね対などの板ばね210、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。質量体は、モータアセンブリの可動部を構成する。一実施形態では、電機子204は、概ねL字形の磁気ヨーク202の凹型の受容部の外側に配置される。
【0018】
地鉄206、磁気ヨーク202、及び鉄心212に好適な材料の例には、軟質磁性材料、例えば、電気鉄板(積層状)、磁性鋼、又は軟質磁性塑性材料が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、磁石208は、好ましくは希土類磁石(例えば、NdFeB及びSmCo)又は硬質磁性材料(例えば、AlNiCo)である。一実施形態では、コイル巻線214は、好ましくは銅、アルミニウム、又は銀から製造された導線である。あるいは、コイル巻線214は、地鉄206、磁気ヨーク202、及び/又は鉄心212に好適なものなどのシートから製造されてもよい。一実施形態では、板ばね210は、好ましくはステンレス鋼などの非磁性鋼材料である。一実施形態では、電機子204は、好ましくはタングステンなどの高密度材料である。電機子204は、地鉄206と同じ材料であってもよい。
【0019】
モータ取付台は、鉄心の底部に配置されてもよい。このような実施形態では、モータアセンブリの動作時に、磁石、地鉄、電機子204(例えば、質量体)、又はこれらの組み合わせが動く。別の構成では、磁石、地鉄、電機子(例えば、質量体)、又はこれらの組み合わせは、ハウジングに取り付けられてもよい。このような構成では、モータアセンブリの動作時に、更なる可動部が更なる振動質量体として機能するように、モータアセンブリの残りの部分が動く。
【0020】
ここで図7を参照すると、本発明の実施形態(例えば、図5、6A、及び6Bに示す実施形態)の磁束密度のベクトルが示される。コイル巻線214を流れる電流は、鉄心212に磁束を誘導する。その結果、磁石対などの磁石208は、磁束密度に従って整列する。磁気回路により、地鉄206、磁石208、概ねL字形の磁気ヨーク202、及び鉄心212の底部で閉ループが構成される。このような回路では、(1)磁石208と鉄心212との間、及び(2)地鉄206と概ねL字形の磁気ヨーク202との間に、空隙が存在する。空隙は、試料平面には配向されないが、互いに垂直に配向される。ヨーク202と地鉄206との広く重なり合う面により、それらの間の空隙の磁気抵抗は低い。これは、高い磁力を促進する。
【0021】
図8に示すのは、例えば図5、6A、及び6Bに示す本発明の実施形態の、質量体の移動距離にわたるモータアセンブリの力のグラフである。このような実施形態では、振動共振系を達成することができる。共振周波数は、以下のように計算され得る。
【0022】
【数1】
式中、f=共振周波数、m=質量、及びC=総ばね定数である。総ばね定数は、ばね定数と磁気抵抗力との和である。総ばね定数(C)は、結果として生じる力の線形回帰から導き出され得る。
【0023】
一実施形態では、結果として生じる力は、質量体の移動距離にわたって実質的に直線の勾配を有する。このような実施形態では、所望の移動範囲にわたって規定された共振周波数を達成することができる。実質的に直線の結果として生じる力は、様々な方法で達成され得る。例えば、ばね力は直線又は実質的に直線であるため、磁気抵抗力とばね力との和(すなわち、結果として生じる力)が実質的に直線になるように、磁気抵抗力をばね力に比べて非常に小さく(例えば、ゼロ付近又はほぼゼロに)なるように設計することができる。別の例では、移動範囲にわたって実質的に直線の磁気抵抗力を有する磁気系を設計することができる。
【0024】
本発明のモータアセンブリは、約8mm、好ましくは約7mmの最大外径を有する手持ち式小型電気装置の部分に収容され得る。動作中、質量体は、動作中に約+/−0.7mmの変位を呈する。モータアセンブリの共振周波数は、約10ヘルツ〜約500ヘルツ、好ましくは約10ヘルツ〜約120ヘルツ、より好ましくは約95ヘルツ〜約105ヘルツ、更に好ましくは約100ヘルツであってもよい。既知の手持ち式小型電気装置用モータアセンブリに比べて、本発明は、より小さい寸法(例えば、外径に関して約30%小さい寸法)の、より少ない部品を有する、単純な設計であり、摩耗する部品が少ないためにより高い耐久性を有することができ、全体的な結果としてより低コストになる。
【0025】
一実施形態では、モータアセンブリの全長は、質量体(すなわち、アセンブリの可動部)の寸法及び鉄コイルの寸法によって決まる。これら2つのパラメータは、意図した(動作/共振)周波数により決定され得る。意図した周波数が小さいと、モータアセンブリは長くなり、意図した周波数が大きいと、モータアセンブリは短くなる。
【0026】
いずれの理論にも束縛されるものではないが、概ねL字形の磁気ヨークは、既知の磁気ヨーク(例えば、U字形又はE字形の磁気ヨーク)よりも良好ではないとしても、それらとほぼ同様に機能すると考えられる。ある判断基準によると、概ねL字形の磁気ヨークは、比較的低い効率を有する。更に、概ねL字形の磁気ヨークを金属シートで組み立てることは、困難なことがある。典型的には、高効率を有するモータは、より低い渦電流損失を達成するために積層金属シートを使用する。本発明のモータアセンブリは、手持ち式小型電気装置での使用を意図しているため、このような装置でのモータは小型であり、したがって効率は典型的に低くなる。モータの寸法も、金属シートの使用を困難にする。したがって、概ねL字形の磁気ヨークは、手持ち式小型電気装置内の既知のU字形又はE字形の磁気ヨークよりも効率が向上しないとしても、それらとほぼ同じ効率を有すると考えられる。
【0027】
ここで図9A〜Bを参照すると、様々な機械的設計及び空間検討に好適な本発明の様々な実施形態が示される。モータアセンブリ300は、実質的に凹型の受容部を画定する2つの実質的に直交する面(例えば、2つの概ね線形の実質的に垂直な面)を有する概ねL字形の磁気ヨーク302を含む。2つの概ね線形の面の一方は、面全体は依然として概ね線形であるが、線形面の残りの部分とは同一平面上にない終端部303を有することができる。終端部303は、(受容部の観点から)残りの部分に対して約45°〜約135°、好ましくは約60°〜約120°の角度を形成してもよい。磁気ヨーク302の凹型の受容部内に配置されるのは、少なくとも1つの磁石308(例えば、2つの磁石)の上面に配置された地鉄306の、そのまた上面に配置された電機子304である。一実施形態では、電機子304は、概ねL字形の磁気ヨーク302の凹型の受容部の外側に配置される。更に、又はあるいは、板ばね(図示せず)(又は、板ばね対)は、概ねL字形の磁気ヨーク302に、例えば磁気ヨーク302の外面に、連結される。第1の空隙310は、少なくとも1つの磁石308と、磁気ヨーク302に連結された鉄心312との間に形成される。第2の空隙314は、少なくとも1つの磁石308及び/又は地鉄306の間に形成される。第1の空隙310と第2の空隙314との間に形成される角度316は、約45°〜約135°、好ましくは約60°〜約120°であってもよい。このような設計形状は、モータアセンブリ300を様々な配置又は形状に収容するのに柔軟性を提供する。また、モータアセンブリ300は、(例えば、より長く若しくは短くなるか、又はより幅が広く若しくは狭くなるように)幅及び長さが異なっていてもよい。
【0028】
本明細書の全体を通じて与えられる全ての最大の数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、そうしたより小さい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものと理解すべきである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての最小の数値限定は、それよりも大きい全ての数値限定を、そうしたより大きい数値限定が恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。本明細書の全体を通じて与えられる全ての数値範囲は、そうしたより広い数値範囲に含まれる全てのより狭い数値範囲を、そうしたより狭い数値範囲の全てが恰も本明細書に明確に記載されているものと同様にして包含するものである。
【0029】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40ミリメートル」として開示される寸法は、「約40ミリメートル」を意味するものである。
【0030】
相互参照されるか又は関連する全ての特許又は特許出願を含む、本願に引用される全ての文書を、特に除外すること又は限定することを明言しないかぎりにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、また、こうした文献が、単独で、あるいは他の全ての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、用語の任意の意味又は定義の範囲が、参考として組み込まれた文書中の同様の用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中で用語に割り当てられる意味又は定義に準拠するものとする。
【0031】
本発明の特定の実施形態が例示され記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B