(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795436
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】侵食性保湿剤を含む脱毛装置
(51)【国際特許分類】
B26B 21/44 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
B26B21/44 B
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-517201(P2014-517201)
(86)(22)【出願日】2012年6月22日
(65)【公表番号】特表2014-516761(P2014-516761A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2012043710
(87)【国際公開番号】WO2012177979
(87)【国際公開日】20121227
【審査請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】11171369.9
(32)【優先日】2011年6月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593093249
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、レイモンド、イーグルトン
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
特表平06−501634(JP,A)
【文献】
特表2001−526552(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/114420(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/056782(WO,A1)
【文献】
特表2009−500142(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/032242(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/009180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B21/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルに連結可能である基部(2)を有するハウジングと、先端が切断方向(A)において切断するように切断面(4)内に整列される2つ以上の刃(3)と、切断方向(A)における該刃の前側及び/又は後側に配設され、かつ皮膚接触面(6)を有する湿潤ブロック(5)と、を含むかみそりカートリッジ(1)であって、
(a)前記湿潤ブロック(5)が、前記湿潤ブロック(5)の少なくとも50重量%の親油性物質を含み、
(b)前記皮膚接触面(6)が、前記刃(3)から離れる方向に前記基部(2)に向かって傾斜し、
前記湿潤ブロック(5)が、前記湿潤ブロック(5)の4重量%〜12重量%の構造化ポリマーを含み、
前記構造化ポリマーが、線状ABAブロックコポリマーを含み、
前記線状ABAブロックコポリマーが、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマー、又はこれらの混合物を含む、かみそりカートリッジ(1)。
【請求項2】
前記皮膚接触面(6)が平面である、請求項1に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項3】
前記皮膚接触面(6)が凸曲面又は凹曲面を画定する、請求項1に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項4】
皮膚接触面(6)の接線の全てが、前記切断面に対して鋭角αで傾斜する、請求項1又は2に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項5】
前記角度αが5°〜15°である、請求項4に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項6】
前記湿潤ブロック(5)が、前記湿潤ブロック(5)の60重量%〜95重量%の親油性物質を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項7】
前記湿潤ブロック(5)が、ワセリン、エステル、トリグリセリド、ワックス、又はこれらの混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項8】
前記湿潤ブロック(5)がワックスを含み、前記湿潤ブロック(5)が、前記湿潤ブロック(5)の2重量%〜20重量%のワックスを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項9】
前記湿潤ブロック(5)が、0.50kg〜3.50kgのChatillon硬度を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項10】
前記湿潤ブロック(5)が、前記切断方向(A)における前記切断刃(3)の後側に配設される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項11】
前記線状ABAブロックコポリマーが、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマーを含み、
前記スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロックコポリマーのエチレンブチレンに対するスチレンの重量比は、約30:70の範囲である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項12】
前記湿潤ブロック(5)は、トリヒドロキシステアリン、エチレン酢酸ビニル、又はこれらの混合物を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のかみそりカートリッジ(1)を含むかみそり。
【請求項14】
除毛しかつ皮膚を湿潤するための、請求項13に記載のかみそりの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿材のブロックを備えたかみそりカートリッジの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
化学成分を組み込んだ脱毛装置は既知であり、本明細書では「搭載した(onboard)」組成物を含む装置と呼ぶものとする。湿式剃毛かみそりに搭載石鹸組成物を採り入れることを教示しているPCT国際公開特許WO 07/056509を参照することができる。皮膚を潤滑にするために、ポリエチレンオキシドなどの親水性ポリマーを大量に含む搭載した皮膚係合組成物(skin-engaging composition)を組み込んだ湿式剃毛かみそりを提供することも、既知である。例えば、PCT国際公開特許WO 97/02116、及び同WO 97/02117号を参照されたい。
【0003】
上で参照した特許出願は、更なる泡立ち及び石鹸に関連する利益など、又はポリエチレンオキシドの場合には改善された潤滑特性といった様々な利点の提供に関する。搭載した化学組成物によって皮膚保湿効果をもたらすことができることは、特に、皮膚の保湿剤を使用することに関して女性よりも意欲的でない男性ユーザーにとって、代替物としてあるいは追加物として利益をもたらすであろう。しかしながら、搭載した化学組成物により保湿効果をもたらすことは、それに伴う多くの問題を有する。
【0004】
皮膚の保湿は様々な異なる方法で達成することができるが、皮膚の保湿を達成するための1つの重要な配合的手段は、ポリオールなどの水と結合する物質を含むことである。しかしながら、そのような物質の水結合能は、一部にはそれらの有意な親水性に由来し、このことは、ウェットシェービング中などの場合、即ち剃毛の初期段階の間に物質が洗い流されてしまう可能性がある場合のように、水が関係するあらゆる状況における該物質の使用を不適当なものとする可能性がある。代替的手法は、皮膚を覆い、それによって既に皮膚の中に存在している水分を保持するように働く、吸蔵性の疎水性物質を使用することであり得る。こうした材料は、高い水性環境における使用中に洗い流されにくい皮膚軟化剤である。PCT国際公開特許WO 06/108522は、搭載した化学組成物中での少量の疎水性皮膚軟化剤の使用を開示している。しかしながら、疎水性皮膚軟化剤をかなりの割合で含む配合物は、かかる物質が疎水性の皮膚表面と親和性であることから、皮膚に対する高い摩擦抵抗を引き起こす可能性がある。ユーザーは、高い摩擦抵抗が剃毛中に不快感を増大させる傾向があると報告している。
【0005】
米国特許出願第2009/0223057号は、上述の従来技術と同じような理由で、ポリオキシエチレンを含む剃毛補助剥離用組成物を開示している。剃毛補助の寿命を向上させるために、ポリオキシエチレンは、脂肪族アルコールなどの、両親媒性であるが概して疎水性である物質と混合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】PCT国際公開特許WO 07/056509
【特許文献2】PCT国際公開特許WO 97/02116
【特許文献3】PCT国際公開特許WO 97/02117号
【特許文献4】PCT国際公開特許WO 06/108522
【特許文献5】米国特許出願第2009/0223057号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によると、ハンドルに連結可能である基部を有するハウジングと、先端が切断方向において切断するように切断面内に整列される2つ以上の刃と、刃の切断方向前側及び/又は後側に配設され、かつ皮膚接触面を有する湿潤ブロックと、を含むかみそりカートリッジであって、
(a)湿潤ブロックが、湿潤ブロックの少なくとも50重量%の親油性物質を含み、
(b)皮膚接触面が、刃から離れる方向に基部に向かって傾斜する、かみそりカートリッジが提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様によるカートリッジを含むかみそりが提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によると、除毛しかつ皮膚を湿潤するための、本発明の第2の態様によるかみそりの使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明によるかみそりカートリッジの図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によると、少なくとも2つの刃を含み、それらの先端が切断方向において切断するように切断面内に整列しているかみそりカートリッジが提供される。かみそりカートリッジは、基部を有するハウジングを備える。基部は、当業者に既知であり、ここで詳細に述べる必要はない手段によって、ハンドルに連結可能である。
【0012】
本発明によるかみそりカートリッジは、湿潤ブロックを含む。湿潤ブロックは、湿潤堆積物を皮膚上に残すためにヒトの皮膚を剃毛する間及び剃毛の結果侵食されるように、侵食性であるように構成される。本明細書で使用する用語「侵食性」は、湿潤ブロックに関連して用いる場合、以下に提供されるプロトコルに従って測定した場合に、25℃において0.50〜3.25kg、好ましくは0.75〜3.00kg、より好ましくは1.00〜2.50kgのChatillon硬度を有する湿潤ブロックを包含する。有益な磨耗速度は、この範囲内で達成され得る。効果的な湿潤をもたらすために、湿潤ブロックは、湿潤ブロックの少なくとも50重量%、好ましくは60重量%〜95重量%、より好ましくは70重量%〜90重量%の親油性物質を含む。
【0013】
親油性物質は、室温で液体、半固体、及び/又は固体であってもよく、また、1つ又は複数の炭化水素、脂肪酸、脂肪アルコール、エステル類、トリグリセリド、脂肪、バター、ワックス、親油性皮膚活性剤、又はこれらの混合物を含んでもよい。
【0014】
有利には、固体又は半固体が存在する場合には、湿潤ブロックは、湿潤ブロックの20重量%未満、好ましくは5重量%未満の100℃を超える融点を有する物質を含み、より好ましくは該材料を全く含ない。これは、過剰量のかかる物質は、湿潤ブロックを非柔軟性にし、したがって製造及び/又は試料中に亀裂が入りやすくなり得るという理由による。
【0015】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体の炭化水素系親油性物質としては、直鎖、分枝鎖、飽和及び不飽和の炭化水素、並びにこれらの混合物が挙げられ、これらは、天然又は合成の炭化水素皮膚軟化剤及びこれらの混合物を含み得る。好ましい天然炭化水素皮膚軟化剤としては、ペトロラタム、鉱油及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい合成炭化水素皮膚軟化剤としては、イソヘキサデカン(例えば、CrodaのArlamol HD(商標))及びポリデセン(例えば、Exxon MobilのPuresyn 2(商標))などの分枝鎖炭化水素が挙げられる。
【0016】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体の脂肪アルコール又は脂肪酸皮膚軟化剤としては、飽和及び不飽和の高級アルコール、特にC
12〜C
30脂肪アルコール、及び脂肪酸、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、又はベヘン酸が挙げられる。
【0017】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体のエステル皮膚軟化剤としては、C
12〜C
30アルコールのエステル類、及びこれらの混合物、特にミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体のトリグリセリド皮膚軟化剤としては、合成又は天然のトリグリセリド、特にヒマワリ、アボカド、オリーブ、キャスター、ココナッツ、ココア、及びこれらの混合物由来の天然トリグリセリドが挙げられる。より好ましいのは、ココヤシ由来トリグリセリド、例えば市販の材料であるMyritol(商標)312及び318(Cognis)、Estasan(商標)(Croda)及びMiglyol(商標)(Sasol)である。
【0019】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体の脂肪及びバター皮膚軟化剤としては、ココナツバター、シアバター、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体のワックス皮膚軟化剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カンデリラ(candellila)、オゾケライト、及びこれらの混合物、好ましくはパラフィンワックスが挙げられる。有利には、ワックスは湿潤ブロックに改善された硬度及び侵食性を与えることができるので、湿潤ブロックはいくらかのワックスを含むが、上述のように、過剰な量のワックスの存在は組成物を非柔軟性にし、したがって製造及び/又は使用中に亀裂が入りやすくなり得る。好ましくは、湿潤ブロックは、湿潤ブロックの2重量%〜20重量%、より好ましくは3重量%〜15重量%のワックスを含む。
【0021】
湿潤ブロック内に含ませることができる液体、半固体、又は固体の親油性皮膚活性剤としては、皮膚上での活性を有する油溶性ビタミン及び剤、例えば、ビタミンEアセテート及びニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE誘導体;レチニルパルミテートなどの油溶性ビタミンA誘導体;ラノリン;セラミド;ステロール及びステロールエステル;サリチル酸;カンファー;ユーカリプトール;精油、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
本発明による湿潤ブロックは、切断方向における前記刃の前側及び/又は後側に配設されてもよいが、好ましくは刃の後側に配設される。湿潤ブロックは皮膚接触面を備え、該皮膚接触面は平面であってもよく、又は浅い凸曲面及び/又は凹曲面を画定してもよい。平面表面は、凸状又は凹状表面よりも大きな付着表面積を提供することができるので、有利には、皮膚接触面は平面である。皮膚接触面は、刃から離れる方向にかみそりカートリッジの基部に向かって傾斜する。この特徴は、ユーザーが体験する抵抗を軽減すると同時に、湿潤ブロックによる保湿剤の付着を容易にすることができる。有利には、皮膚接触面は、皮膚接触面の全ての接線が、切断面に対して鋭角αで傾斜するように傾斜する。より有利には、角度αは5°〜15°である。
【0023】
湿潤ブロックは、構造化ポリマーを追加的に含んでもよい。好ましくは、湿潤ブロックは、湿潤ブロックの2重量%〜50重量%、好ましくは3重量%〜40重量%、より好ましくは4重量%〜12重量%の構造化ポリマーを含む。
【0024】
本明細書において定義されるように、構造化ポリマーは、上で定義された「親油性物質」の1つと見なされず、「親油性物質」の重量パーセントを計算する目的には無視されるものとする。
【0025】
有利には、構造化ポリマーはブロックコポリマーを含む。より有利には、ブロックコポリマーは、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、放射状ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマー、又はこれらのポリマーの混合物を含む。
【0026】
ブロックコポリマーがトリブロックコポリマーを含む場合には、トリブロックコポリマーは好ましくは、線状ABAトリブロックポリマーを含む。理論に束縛されるものではないが、本出願人らは、Aブロックが凝集してドメインを生成し、その中で潤いを与える疎水性相が蓄積し、Bブロックによって一緒に連結されると考える。この構造体は、湿潤ブロックに対して必要な耐摩耗性を与えるために適切な硬度を提供する一方で、処理するのに十分なだけ、並びに処理及び/又は使用中に亀裂が入らない若しくは破断しないだけ十分に可撓性であり得る。
【0027】
有利に、線状ABAブロックコポリマーは、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレン(S−EB−S)ブロックコポリマー、及びこれらの混合物を含む。より有利には、線状ABAブロックコポリマーは、好ましくは、スチレン−エチレンブチレン−スチレン(S−EB−S)ブロックコポリマーを含む。更により有利には、S−EB−Sの
エチレンブチレンに対するスチレンの重量比は、20:80〜40:60、好ましくは約30:70の範囲である。
【0028】
特に有用な市販のABAブロックコポリマーとしては、Penreco社から入手可能なVersagel(商標)材料及びKraton(商標)Gシリーズ、特にG−6150、G−1651、G−1652、及び1654が挙げられる。
【0029】
上述のように、湿潤ブロック内に含まれる構造化ポリマーは、ランダムブロックコポリマーを含んでもよい。好適なランダムブロックコポリマーの例としては、エチレンと酢酸ビニルとのコポリマーであるエチレン酢酸ビニル(EVA)が挙げられる。有利に、EVAポリマー内に含まれるエチレンの量は、有益な耐摩耗性をもたらすためにEVAの65〜90重量%、好ましくは70〜85重量%である。市販の範囲のEVAはElvax(商標)と呼ばれ、DuPont社により商品化されている。
【0030】
湿潤ブロックは、改善理を実施し易くするために、油相ゲル化剤などの組成物に好適な融解粘度を与える1種以上の追加の成分を含んでもよいが、但し、この追加の成分は湿潤ブロックの硬度又は浸出性を著しく低減しないことが前提となる。そのような成分の例は、Thixcin R(商標)(Elementis Specialities製)として市販されているトリヒドロキシステアリン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、及びこれらの混合物である。
【0031】
本発明による湿潤ブロックは、親油性物質を融解するのに好適な温度(典型的には130℃)まで親油性物質を加熱した後、構造化ポリマーを添加し、構造化ポリマーが溶解するまでよく混合することによって作製され得る。次に、この混合物を、典型的には90℃まで冷却し、その後任意の他の成分が加えられる。最終工程において、該混合物を好適な容器又は金型に注ぎ込み、室温まで冷却する。
【0032】
混合物が固まって湿潤ブロックを形成したら、これを適切なやり方でかみそりカートリッジに取り付けることができる。かかる手法の1つは、湿潤ブロックをカートリッジの上に直接成形することである。他の手法は、接着剤組成物を用いて湿潤ブロックを直接又は間接的にカートリッジに接着することである。間接的に接着する方法の1つは、アセテートシートなどの適切な基材のシートの上に湿潤ブロックを注型成形した後、このシートを、例えば機械的に又は接着剤によってカートリッジに接着することである。
【0033】
図1は、本発明によるかみそりカートリッジ(1)の非限定的な例を示す。カートリッジ(1)は、当業者に既知の手段を用いてハンドルに連結可能である基部(2)を有するハウジングを含む。カートリッジ(1)は刃(3)を含み、それらの先端は、切断方向(A)において切断するように切断面(4)内に整列される。カートリッジは湿潤ブロック(5)も含む。この実施では、湿潤ブロック(5)は刃(3)の後側に配設されているが、代わりに又は追加的に、刃(3)の前側に配設されてもよい。湿潤ブロック(5)は、刃(3)から離れる方向に基部(2)に向かって、切断面(4)に対して角度αで傾斜する皮膚接触面(6)を含む。この実施形態はまた、前側皮膚係合要素(7)と後側皮膚係合要素(8)とを含む。
【0034】
Chatillon硬度試験
設備:デジタルフォースゲージを装備するChatillon TCD 200
【0035】
試料調製
1.完全に融解させて60mLの量り皿(70mm×70mm×24mm)に入れる。
2.脂質を25℃で一晩保存して平衡化する。
3.硬度試験の前に湿潤ブロックを量り皿から注意深く取り出す。
【0036】
機械の準備
A)
1.Chatillon TCD 200及びデジタルフォースゲージをメーカーの使用説明書に従って準備する。
2.ランプ速度を47mm/分に設定する。
B)硬度値を25℃で測定する。
1.この試験方法の場合、尖頭構造をランプの軸に取り付ける必要がある。
2.上記の通りに調製した湿潤ブロックを、ランプの軸の中央の真下の金属基板上に横にした状態で置く。湿潤ブロックの中点をランプの軸の中央と一致させる必要がある。
3.湿潤ブロックが平板の下の定位置にあり、速度が47mm/分で設定され、デジタルフォースゲージが上述のように「C Peak」で設定された状態で、Chatillon TCD200の「Down」ボタンを押し下げる。
4.プローブが湿潤ブロックの表面に触れると同時にChatillon TCD200を停止し、距離カウンタをゼロに設定する。
5.フォースゲージをゼロになるようにリセットする。
6.距離カウンタが13mmになるまでChatillon TCD200上の「Down」ボタンを押し下げ、Cピークの読みを記録する。
【実施例】
【0037】
以下の実施例は、刃の切断方向における前記刃の後側に配設されるストリップとしてかみそりカートリッジに組み込まれた、本発明による湿潤ブロックを開示する。使用中、かみそりに取り付けられると、かみそりカートリッジは、除毛しかつ除毛された皮膚を湿潤するのが観察された。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1の組成物は、炭化水素及びワックスを130℃に加熱した後、線状ABAトリブロックポリマー(Kraton G1650E)を添加し、ポリマーが完全に溶解するまで十分に混合することによって製造される。次に混合物を90℃に冷却し、Thixcinを添加し、その後混合物をカートリッジの上に成形し、室温まで冷却する。
【0040】
実施例1の配合物のChatillon硬度は1.7であり、角度αは12.4°となるように成形された。
【0041】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。