(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795441
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】反射型タッチディスプレイ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20150928BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20150928BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
G02F1/1333
G09F9/00 336B
G06F3/041 490
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-526362(P2014-526362)
(86)(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公表番号】特表2014-531607(P2014-531607A)
(43)【公表日】2014年11月27日
(86)【国際出願番号】CN2012070579
(87)【国際公開番号】WO2013037194
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年2月24日
(31)【優先権主張番号】201110281016.0
(32)【優先日】2011年9月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ルゥオ ジェンシン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジャドン
(72)【発明者】
【氏名】フゥァン ピンピン
(72)【発明者】
【氏名】ジィァン イャォチォン
【審査官】
佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−110131(JP,A)
【文献】
特開2001−035234(JP,A)
【文献】
特開2004−205769(JP,A)
【文献】
特開2003−149643(JP,A)
【文献】
特表2004−533006(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/227487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/1333
G02F1/1335−1/13363
G09F9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型ディスプレイ装置と、
第1の接着層と、
前記第1の接着層を介して前記反射型ディスプレイ装置の上面に積層された導光板と、
第2の接着層と、
前記第2の接着層を介して前記導光板の上面に積層されたタッチスクリーンと、を備え、
前記第1の接着層と前記第2の接着層は、液体の状態から固体の状態に変化する液体接着材料で形成されており、前記第1の接着層及び前記第2の接着層のそれぞれの屈折率は前記導光板の屈折率よりも小さい、
反射型タッチディスプレイ。
【請求項2】
前記導光板の屈折率は1.47から2.02の間である、
請求項1に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項3】
前記第1の接着層及び前記第2の接着層のそれぞれの屈折率は1.10から2.00の間である、
請求項1に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項4】
前記反射型ディスプレイ装置は、
反射型ディスプレイスクリーンと、
前記反射型ディスプレイスクリーンの上面に配置されるか、又は前記反射型ディスプレイスクリーンに組み込まれているディフューザーと、をさらに備える、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の接着層及び前記第2の接着層は、シリコン樹脂、アクリル樹脂又は前記シリコン樹脂と前記アクリル樹脂の組み合わせを有する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項6】
前記液体接着材料は液体光学用接着剤である、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項7】
前記第1の接着層及び前記第2の接着層は紫外線硬化型接着剤である、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項8】
前記導光板の側面に配置されたフレキシブル回路をさらに備え、
前記フレキシブル回路は、内蔵光源を供給するために使用される複数の発光ダイオードを有する、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の反射型タッチディスプレイ。
【請求項9】
第1の接着層を介して反射型ディスプレイ装置の上面に導光板を積層し、
第2の接着層を介して前記導光板の上面にタッチスクリーンを積層し、
前記第1の接着層と前記第2の接着層は、液体の状態から固体の状態に変化する液体接着材料で形成されており、さらに前記第1の接着層及び前記第2の接着層のそれぞれの屈折率は前記導光板の屈折率よりも小さい、
反射型タッチディスプレイの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は反射型ディスプレイに関し、特に反射型タッチディスプレイ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の反射型タッチディスプレイ1は、
図1に示されるように、タッチスクリーン10と、接着層11及び15と、固体光学用接着剤層12及び14と、導光板13と、反射型ディスプレイ装置16を備える。固体光学用接着剤層12及び14は、導光板13の上面及び下面に分かれて積層されている。接着層11及び15は、一般に液体光学用接着剤層である。固体光学用接着剤層12及び14を備える導光板13は、反射型ディスプレイ装置16の上面に接着層15を介して積層されている。タッチスクリーン10は、固体光学用接着剤層12の上面に接着層11を介して積層されている。
【0003】
外部光源が十分であるとき、反射型ディスプレイ装置16は、ユーザが見るスクリーン10のスクリプト及びパターンを表示するためにタッチスクリーン10の上面から入射した外部光源を反射する。しかしながら、外部光源が不十分であれば、反射型ディスプレイ装置16は、スクリーン上でスクリプト及びパターンを表示するために弱い光源を反射することができず、従って十分な輝度のために、反射型ディスプレイ装置16に内蔵光源17を内蔵させる必要がある。内蔵光源17は、導光板13に入射可能にするために、導光板13の側面に配置される。導光板13の屈折率は、固体光学用接着剤層12及び14の屈折率よりも大きくてよい。例えば、導光板13の屈折率が1.52であって、固体光学用接着剤層12及び14の屈折率が1.47であってもよい。光学的原理によると、光学的に密な媒体から光学的に疎な媒体に光が伝搬した場合、入射角がarcsin (1.47/1.52)≒75°よりも大きいと、光は光学的に密な媒体中で完全に反射し、従って光は導光板13中にとどまった状態になる。導光板13を適切に設計することにより、反射型ディスプレイ装置16がバックライトを有するのと同じくらい明るくなるように、内蔵光源17は導光板13内で伝搬中の光を集光することが可能となり、内蔵光源17はバックライトが不足しているという短所を補うことができる。
【0004】
しかしながら、従来の反射型タッチディスプレイ1は多重に積層されなければならないため、対応する製造プロセスが比較的複雑であり、製品の光学特性を減少させる。さらに、固体光学用接着剤層12と接着層11の粘着性は異なる。従って、2つの異なる種類の接着剤が不適合であるため、固体光学用接着剤層12と接着層11は互いに離間される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の目的は、反射型タッチディスプレイを提供することである。液体光学用接着剤は、積層材料として用いることが可能である導光板よりも屈折率が小さく、固体光学用接着剤の使用を省き、実行する必要がある積層回数を結果としてさらに削減し、同様にプロセスを単純化させるとともに製品の光学特性を向上させる。液体光学用接着剤と固体光学用接着剤間の低い粘着性により生じる問題も、同様に克服される。
【0006】
反射型タッチディスプレイは、反射型ディスプレイ装置と、第1の接着層と、導光板と、第2の接着層と、タッチスクリーンを備える。導光板は、反射型ディスプレイ装置の上面に第1の接着層を介して積層されている。タッチスクリーンは、導光板の上面に第2の接着層を介して積層されている。第1及び第2の接着層は、液体から固体に変化する液体接着材料で構成されており、第1及び第2の接着層の屈折率は導光板の屈折率よりも小さい。
【0007】
導光板の屈折率は1.47から2.02の間である。第1の接着層及び第2の接着層の屈折率は1.10から2.00の間である。反射型ディスプレイ装置は、内蔵反射型ディスプレイスクリーンとディフューザーをさらに備える。このディフューザーは、反射型ディスプレイスクリーンの上面に配置されるか、又は反射型ディスプレイスクリーンに組み込まれている。第1の接着層及び第2の接着層は、シリコン樹脂、アクリル樹脂又はシリコンとアクリルの組み合わせを有し、これらの接着層は液体光学用接着剤からできている。第1の接着層及び第2の接着層は、紫外線硬化型接着剤である。反射型タッチディスプレイは、フレキシブル回路をさらに備える。このフレキシブル回路は導光板の側面に配置されると共に、後に内蔵光源として使用される複数の発光ダイオードを有する。
【0008】
本開示の別の目的は、反射型タッチディスプレイ装置の製造方法を提供することである。この製造方法は、第1の接着層を介して反射型ディスプレイ装置の上面に導光板を積層し、第2の接着層を介して導光板の上面にタッチスクリーンを積層することを含む。第1の接着層と第2の接着層は、液体の状態から固体の状態に変化する液体接着材料でできており、第1の接着層及び第2の接着層の屈折率は導光板の屈折率よりも小さい。
【0009】
本開示は、拙い積層により発生する廃棄の確率のみならず、積層プロセスがなされる回数も削減し、反射型タッチディスプレイの歩溜まり率が向上する反射型タッチディスプレイ装置及びその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
当業者にとっては、以下に記載された実施の形態及び図面は説明のみを目的としており、いかなる形でも本開示のスコープを制限しない。
【
図1】従来の反射型タッチディスプレイの部分ビュー図である。
【
図2】本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイの部分ビュー図である。
【
図3】本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイの製造方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイに対応する
図3の製造方法のステップS31の部分ビュー図である。
【
図5】本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイに対応する
図3の製造方法のステップS32の部分ビュー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイの部分ビュー図である。反射型タッチディスプレイ2は、タッチスクリーン20と、第1の接着層23と、第2の接着層21と、導光板22と、反射型ディスプレイ装置24を備える。導光板22は、第1の接着層23を介して、反射型ディスプレイ装置24の上面に積層される。タッチスクリーン20は、第2の接着層21を介して、導光板22の上面に積層される。
【0012】
実施形態では、タッチスクリーン20は多層のガラススクリーンであってもよい。各々のガラススクリーンの表面は、タッチ回路の透明な導電パターンを形成するため、酸化インジウムスズ(ITO)により一般的に覆われている。付け加えると、タッチスクリーン20の最上層(最外層)には保護層が設けられている。
【0013】
反射型ディスプレイ装置24のディスプレイスクリーンは、電気泳動のディスプレイスクリーンのようにバックライトを必要としない。反射型ディスプレイ装置24は、反射型ディスプレイ装置24に表示されたスクリプト又はパターンがユーザに見えるように、周辺環境からの光を利用する。ユーザにより視認されるスクリプト及びパターンの輝度を増すため、反射型ディスプレイ装置24は小さい角度により伝達される光を集光し、光の方向を反射型ディスプレイ装置24の方向に垂直にする。反射型ディスプレイ装置24は、反射型ディスプレイスクリーン及びディフューザー(不図示)を一般に有する。このディフューザーは、反射型ディスプレイスクリーンの上面に設置するか、又は反射型ディスプレイスクリーンに組み込むことができる。
【0014】
第1の接着層23は、シリコン樹脂、アクリル樹脂又はそれらの組み合わせを、望ましくは有する。第1の接着層23は、液体の状態から固体の状態に変化する液体接着材料により構成することができる。液体接着材料は、一般には液体光学用接着剤である。第1の接着層23は、紫外線熱固化接着剤又は紫外線湿気固化接着剤としても知られる紫外線硬化型接着剤であってもよい。紫外線硬化型接着剤は、紫外線が照射されることにより安定した粘着性を有し、凝固する。この紫外線硬化型接着剤は、可視光を透過可能な特性をさらに有する。
【0015】
導光板22の屈折率は、1.47から2.02の間である。説明のため、導光板22は1.47から2.02の間の屈折率を有するガラスであってもよい。導光板22は、内蔵光源17が生成した光を伝達するために使用される。反射型タッチディスプレイ2は、導光板22の側面に配置されたフレキシブル回路(不図示)をさらに備え、このフレキシブル回路は、内蔵光源17を提供するために使用される複数の発光ダイオードを有する。第1の接着層23の屈折率は、導光板22の屈折率よりも小さい。第1の接着層23及び第2の接着層21の屈折率は、1.10から2.00の間である。例えば、導光板22の屈折率は1.52であり、第1の接着層23及び第2の接着層21の屈折率は1.47である。
【0016】
第1の接着層23及び第2の接着層21の屈折率は導光板22の屈折率よりも小さい。従って、導光板22の一面から第2の接着層21に伝達しようとする光の入射角が臨界角よりも大きければ、全反射が発生する。同様に、導光板22の他の面から第1の接着層23に伝達しようとする光の入射角が臨界角よりも大きければ、全反射が発生する。なので、内蔵の光源から導光板22への入射光は導光板22内でロックされており、その結果、集光効果が達成できる。内蔵の光源は、反射型ディスプレイ装置24に表示されるスクリプト及びパターンをユーザが見やすくするバックの光源がないことをオフセットすることができる。
【0017】
1の実施形態では、第2の接着層21はシリコン樹脂、アクリル樹脂又はそれらの組み合わせを有する。第2の接着層21は、液体の状態から固体の状態へ変わる液体の接着材料で構成されていてもよい。一般的に、この液体の接着材料は、液体光学用接着剤のような液体接着剤である。主な積層材料として液体接着材料を採用する理由は、液体接着材料の屈折率が合成して変化し、適切な入射角により全反射の効果を達成することができるためである。液体接着剤を選択する他の理由は、固体の接着剤は通常薄すぎ、従ってある程度の厚さを有する液体接着剤と比較した際に積層効果が良くないためである。
【0018】
第2の接着層21も、紫外線硬化型接着剤であってもよい。第2の接着層21の屈折率は第1の接着層23と同じであってもよいが、本開示ではそれに限られないことを指摘しておく。第2の接着層21と第1の接着層23において同じ屈折率を有する材料が用いられることにより、反射型タッチディスプレイ2の製造コストを削減できるように第2の接着層21と第1の接着層23を同じ材料で生成することができるという効果がある。
【0019】
図3は、本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイの製造方法のフローチャートである。本製造方法は以下を含む;ステップS31では、第1の接着層23を介して反射型ディスプレイ装置24の上面に導光板23を積層し、;ステップS32では、第2の接着層21を介して導光板22の上面にタッチスクリーン20を積層する。ここで、第1の接着層23と第2の接着層21は液体の状態から固体の状態に変化する液体接着材料で形成され、第1の接着層23及び第2の接着層21の屈折率は導光板の屈折率よりも小さい。
【0020】
図4は、本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイに対応する製造方法のステップS31の部分ビュー図である。ステップS31では、第1の接着層23を介して反射型ディスプレイ装置24の上面に導光板22を積層することにより形成される構造の一部が示されており、第1の接着層23は液体接着材料によりできている。
【0021】
図5は、本開示の実施形態に基づく反射型タッチディスプレイに対応する製造方法のステップS32の部分ビュー図である。ステップS32では、第2の接着層21を介して導光板22の上面にタッチスクリーン20を積層することにより形成される構造の一部が示されている。第1の接着層23も、液体接着材料によりできている。
【0022】
本実施形態の製造方法は、反射型タッチディスプレイ2を形成するのに用いられる。反射型タッチディスプレイ2は前の実施形態で言及されているため、ここで再度の説明はしない。ステップS32の後に、内蔵光源17が導光板22の側面に配置可能であるため、内蔵光源17が生成した光は導光板22に伝達することができる。
【0023】
本開示の実施形態によると、前述の反射型タッチディスプレイ及び製造方法は、反射型タッチディスプレイの歩溜まり率を増加させ、製造コストを減少させることに役立つ。さらに、反射型タッチディスプレイの製造プロセスが単純化され、反射型タッチディスプレイは良好な光学特性を保つことができる。
【0024】
具体的な実施形態を参照することにより本開示の説明がなされたが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意味しない。代替の実施形態と同様、開示された実施形態の様々な変更は、当業者にとって明らかである。従って、付属の特許請求の範囲が、本発明の真のスコープに含まれる全ての変更をカバーしていると考えられる。