特許第5795445号(P5795445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795445
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20150928BHJP
   G05B 19/409 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   B23Q17/00 D
   G05B19/409 C
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-539500(P2014-539500)
(86)(22)【出願日】2012年10月1日
(86)【国際出願番号】JP2012075423
(87)【国際公開番号】WO2014054104
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2015年3月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 潤
(72)【発明者】
【氏名】安達 功
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 誠
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−305602(JP,A)
【文献】 特開平06−170695(JP,A)
【文献】 特開平08−011038(JP,A)
【文献】 特開平08−106317(JP,A)
【文献】 特開2001−138094(JP,A)
【文献】 特開2011−255472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00 ,11/08
G05B 19/409
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工工具を装着する工具取付装置と、
前記加工工具により加工されるワークを装着するワーク取付装置と、
前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置のいずれか一方又は両者の軸移動の制御を行う制御部と、
手動運転モードと自動運転モードとの切り替えを行うモード切替部と、
手動運転モードにおける前記制御部による軸移動の対象の軸を選択する軸選択スイッチと、
前記モード切替部と前記軸選択スイッチを操作面に備える操作盤と、
前記加工工具による前記ワークの加工領域をカバーするカバー部と、
前記カバー部の正面側に設けられて、作業者が前記加工領域を監視可能な窓部と、
前記窓部に軸の方向を表示する手動操作補助表示部を備える工作機械において、
前記軸選択スイッチを2次元的に配置した操作面を備える操作盤はカバー部の正面側に、窓部と平行及び直交する位置を含むように回転自在に支持されており、
前記手動運転モードに切り替えられたとき、前記手動操作補助表示部に、前記作業者が前記窓部を介して見る軸の方向と一致するように、前記工作機械が備える軸の方向を表す軸構成モデルを表示し、
前記軸構成モデルは複数のシンボルで構成され、複数のシンボルが組み合わされて3次元的に配置され、
前記軸構成モデルには、各軸の軸名称及び方向が付与されることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記軸構成モデルは、各軸の移動方向に矢印を付したシンボルと、球を備え、前記矢印を付したシンボルと前記球を組み合わせて3次元的に配置されることを特徴とする請求項に記載の工作機械。
【請求項3】
前記軸構成モデルの上部の領域に、手動運転モードの名称を表示し、前記軸構成モデルの下部の領域に、手動パルスモードの場合は1パルス当たりの移動量を表示し、ジョグモードの場合はジョグ送り速度を表示し、早送りモード及び原点復帰モードの場合は早送りオーバーライド値を表示することを特徴とする請求項に記載の工作機械。
【請求項4】
前記軸構成モデルは前記窓部のコーナーを含む周辺に設けられる請求項に記載の工作機械。
【請求項5】
加工工具を装着する工具取付装置と、
前記加工工具により加工されるワークを装着するワーク取付装置と、
前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置のいずれか一方又は両者の軸移動の制御を行う制御部と、
手動運転モードと自動運転モードとの切り替えを行うモード切替部と、
手動運転モードにおける前記制御部による軸移動の対象の軸を選択する軸選択スイッチと、
前記加工工具による前記ワークの加工領域をカバーするカバー部と、
前記カバー部に設けられて、作業者が前記加工領域を監視可能な窓部を備える工作機械であって、
前記手動運転モードに切り替えられたとき、前記工作機械が備える軸の方向を軸構成モデルとして前記窓部に、前記作業者が前記窓部を介して見る軸の方向と一致するように、表示する手動操作補助表示部を備え、
前記軸選択スイッチとして軸選択ボタンを備え、該軸選択ボタンは前記制御部による軸移動の対象の軸を指定し、指定された軸に対して軸移動指令信号を出力するものであり、
前記手動運転モードでは、前記軸選択ボタンの信号に基づいて軸移動動作を行う工作機械において、
前記手動運転モードで前記軸選択ボタンが押された場合、前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける前記軸選択ボタンにより選択された軸の移動方向の強調表示を行い、
前記軸選択ボタンを押し続けると、前記制御部は、前記手動操作補助表示部による前記軸の移動方向の強調表示後、所定時間経過して初めて前記軸の移動を開始することを特徴とする工作機械。
【請求項6】
加工工具を装着する工具取付装置と、
前記加工工具により加工されるワークを装着するワーク取付装置と、
前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置のいずれか一方又は両者の軸移動の制御を行う制御部と、
手動運転モードと自動運転モードとの切り替えを行うモード切替部と、
手動運転モードにおける前記制御部による軸移動の対象の軸を選択する軸選択スイッチと、
前記加工工具による前記ワークの加工領域をカバーするカバー部と、
前記カバー部に設けられて、作業者が前記加工領域を監視可能な窓部を備える工作機械であって、
前記手動運転モードに切り替えられたとき、前記工作機械が備える軸の方向を軸構成モデルとして前記窓部に、前記作業者が前記窓部を介して見る軸の方向と一致するように、表示する手動操作補助表示部を備え、
前記手動運転モードにおける軸移動指令信号を出力する軸移動指令信号発生器を更に備え、
前記手動運転モードでは、前記軸選択スイッチで選択された軸に対して前記軸移動指令信号発生器の信号に基づいて軸移動動作を行う工作機械において、
前記手動運転モードが選択されているとき、
前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける前記軸選択スイッチにより選択された軸を強調表示することを特徴とする工作機械。
【請求項7】
加工工具を装着する工具取付装置と、
前記加工工具により加工されるワークを装着するワーク取付装置と、
前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置のいずれか一方又は両者の軸移動の制御を行う制御部と、
手動運転モードと自動運転モードとの切り替えを行うモード切替部と、
手動運転モードにおける前記制御部による軸移動の対象の軸を選択する軸選択スイッチと、
前記加工工具による前記ワークの加工領域をカバーするカバー部と、
前記カバー部に設けられて、作業者が前記加工領域を監視可能な窓部を備える工作機械であって、
前記手動運転モードに切り替えられたとき、前記工作機械が備える軸の方向を軸構成モデルとして前記窓部に、前記作業者が前記窓部を介して見る軸の方向と一致するように、表示する手動操作補助表示部を備える工作機械において、
前記軸構成モデルは、各軸の移動方向に矢印を付したシンボルが3次元的に配置され、
前記制御部は、特定の場所に位置しているときに特定の方向への軸移動を禁止するインターロック機能を有し、
前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける軸移動禁止のインターロックがかかっている軸の方向について、前記矢印の先端頭部近傍に、軸移動禁止状態であることを示す禁止表示シンボルを表示することを特徴とする工作機械。
【請求項8】
加工工具を装着する工具取付装置と、
前記加工工具により加工されるワークを装着するワーク取付装置と、
前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置のいずれか一方又は両者の軸移動の制御を行う制御部と、
手動運転モードと自動運転モードとの切り替えを行うモード切替部と、
手動運転モードにおける前記制御部による軸移動の対象の軸を選択する軸選択スイッチと、
前記加工工具による前記ワークの加工領域をカバーするカバー部と、
前記カバー部に設けられて、作業者が前記加工領域を監視可能な窓部を備える工作機械であって、
前記手動運転モードに切り替えられたとき、前記工作機械が備える軸の方向を軸構成モデルとして前記窓部に、前記作業者が前記窓部を介して見る軸の方向と一致するように、表示する手動操作補助表示部を備える工作機械において、
前記軸構成モデルは、各軸の移動方向に矢印を付したシンボルが3次元的に配置され、
前記工具取付装置と、前記ワーク取付装置のそれぞれのモデルをバリア領域として入力する手段を有し、
前記工具取付装置と、前記ワーク取付装置の少なくともいずれか一方を、手動運転モードで動作させるときに、制御部内部のモデルで動作シミュレーションを行い、動作に伴う干渉が発生しないよう、バリア領域手前の徐行領域で減速後徐行し、バリア領域の境界線で停止するバリア機能を有し、
前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける前記徐行領域に位置している軸の徐行すべき方向について、前記矢印の先端頭部近傍に、徐行中であることを示す警告表示シンボルを表示することを特徴とする工作機械。
【請求項9】
前記軸構成モデルは、前記工作機械の移動自在の構成部材を示すシンボルと、該構成部材の移動方向を示す矢印を表示することを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項10】
前記手動操作補助表示部は、前記シンボルを移動方向に向かって移動させるアニメーションで表示することを特徴とする請求項に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械では、図16(a)及び図16(b)に示すように、スプラッシュガード10等で覆われる加工領域13にて、図示しない工具主軸に取り付けられた工具によりワークが加工される。前記スプラッシュガード10等には透明板12が嵌め込まれた窓部11が設けられている。作業者Mは、前記窓部11を介して前記加工領域13を監視可能である。また、スプラッシュガード10の前記窓部11に近接した部位には操作盤14が回動自在に支持されていて、前記窓部11を監視する作業者Mにより操作可能になっている。前記操作盤14は、図16(b)に示すように操作盤14の操作面14aを正面側に向く位置と、図17(b)に示すように操作面14aが前記窓部11に対して交差する方向、例えば、操作面14aが正面のスプラッシュガード10に対して直交する位置、など、作業者Mにより操作盤14は可動範囲内の任意の角度で固定可能である。このようにして、操作盤14が回転可能に設けられていると、作業者の立ち位置に応じて操作盤14の回転位置が変更できるため、立ち位置を変更せずに操作盤14の操作ができる利点がある。
【0003】
また、図7(a)に示すように操作盤14の操作面14aには、自動運転モードボタン15及び手動運転モードボタン16が設けられて、これらのいずれかを操作することにより、自動運転モードあるいは手動運転モードのモード選択が可能になっている。
【0004】
自動運転モードボタン15には、テープ運転モードボタン15a、メモリ運転モードボタン15b、MDI(マニュアル・データ・インプット)運転モードボタン15cを含み、手動運転モードボタン16には、手動パルスモードボタン16a、ジョグモードボタン16b、早送りモードボタン16c、原点復帰モードボタン16dを含む。更に手動パルスモードボタン16aは、手動パルス発生器で発生させるパルスの1パルスあたりの移動量を選択するための、手動パルス0.0001mmモードボタン16a(1)、手動パルス0.001mmモードボタン16a(2)、手動パルス0.01mmモードボタン16a(3)、手動パルス0.1mmモードボタン16a(4)を含む。また、操作盤14には、図7(a)に示すように、工作機械の各軸を手動で操作するための各種の軸選択ボタン20〜29が操作面14aに設けられ、その軸選択ボタンを操作すると、該軸選択ボタンに対応する工作機械の構成部材を軸方向に移動、又は当該軸の回りに回転させることができる。例えば、図7(a)に示す例では、軸選択ボタンは、+X軸選択ボタン20、−X軸選択ボタン21、+Y軸選択ボタン22、−Y軸選択ボタン23、+Z軸選択ボタン24、−Z軸選択ボタン25、+A軸選択ボタン26、−A軸選択ボタン27、+C軸選択ボタン28及び−C軸選択ボタン29を含む。前記+X軸選択ボタン20は、図7(a)に示すように、正面からみて右側に位置するとともに、−X軸選択ボタン21は、左側に位置する。
【0005】
手動運転モード、例えばジョグモードが選択されて、+X軸選択ボタン20又は−X軸選択ボタン21が操作されると、X軸の+方向、又は−方向に工具主軸或いはテーブルを移動させることが可能である。
【0006】
ここで操作盤14が図16(b)に示す位置、すなわち、操作面14aが正面を向いている場合、前記+X軸ボタン20と−X軸選択ボタン21の並びは、工作機械のX軸の+方向及び−方向と一致している。しかし、作業者Mは、前記加工領域13を監視するために前記窓部11側寄りに位置しており、操作面14aから離間しているため、操作面14aのボタン操作がし難く、逆に操作するために操作面14aの前に作業者Mが立つと、加工領域13が見難い問題がある。
【0007】
一方、操作盤14が図17(a)及び図17(b)に示す位置、すなわち、操作面14aが前記窓部11に対して交差する方向に位置している場合、前記窓部11側寄りに位置する作業者Mに対向して操作面14aが位置するため、作業者Mは、前記加工領域13を監視しながら操作面14aのボタン操作がやりやすい長所がある。
【0008】
しかし、図17(b)に示すように、操作盤14の、+X軸ボタン20と−X軸選択ボタン21の並びが、工作機械におけるX軸の+方向及び−方向と一致しなくなる。このため、操作に不慣れな作業者の場合、操作を誤る虞がある。
【0009】
なお、例として+X軸選択ボタン20と−X軸選択ボタン21の並びについて説明したが、工作機械の軸の方向と操作盤上の関連するボタンの並びが一致しない例は他にもあり、上記の例は単なる一例である。複数の軸構成の工作機械では、軸の組み合わせは3次元的に配置されるのに対して、操作面14aは2次元であるため、軸選択ボタンの並びを擬似的に配置する必要がある。例えば、図7(a)に示す例では、Y軸は工作機械の前後方向であるのに対して、操作面14a上の+Y軸選択ボタンと−Y軸選択ボタンは、上下の方向に配置される。このため、不慣れな作業者では、−Y軸と+Y軸についても誤操作する虞がある。他の軸選択ボタンについても、以上のような問題がある場合がある。
【0010】
特許文献1では、工作機械に設けられた加工情報投影装置が提案されている。前記加工情報投影装置は、ハーフミラーと、加工情報を発光し表示する表示手段とを備えている。前記ハーフミラーは、前記工作機械の加工領域を監視可能な位置であって、かつ、作業者に前記表示手段が発光した画像を反射する位置に設けられ、さらに、前記加工領域からの入射光の一部を前記作業者側へ透過するように設けられている。そして、前記加工情報投影装置では、前記表示手段が発光し表示された前記加工情報が前記ハーフミラーに投影されて反射された画像と、前記ハーフミラーを透過して見える加工領域の実像とを、作業者が同時に見ることができる。
【0011】
しかしながら、特許文献1では、自動運転における加工情報が表示されるだけで、工作作機械を手動操作するために、手動運転モードが選択された際における、上記課題は提示されていないとともに、該課題を解決する手段は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−156677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、手動運転モードで操作される際に、工作機械の加工領域を監視するために設けられた窓部に軸選択ボタンの移動方向を表示して、作業者の軸選択ボタンの誤操作を抑制することができる工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため、本発明の工作機械は、加工工具を装着する工具取付装置と、前記加工工具により加工されるワークを装着するワーク取付装置と、前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置のいずれか一方又は両者の軸移動の制御を行う制御部と、手動運転モードと自動運転モードとの切り替えを行うモード切替部と、手動運転モードにおける前記制御部による軸移動の対象の軸を選択する軸選択スイッチと、前記モード切替部と前記軸選択スイッチを操作面に備える操作盤と、前記加工工具による前記ワークの加工領域をカバーするカバー部と、前記カバー部の正面側に設けられて、作業者が前記加工領域を監視可能な窓部と、前記窓部に軸の方向を表示する手動操作補助表示部を備える工作機械において、前記軸選択スイッチを2次元的に配置した操作面を備える操作盤はカバー部の正面側に、窓部と平行及び直交する位置を含むように回転自在に支持されており、前記手動運転モードに切り替えられたとき、前記手動操作補助表示部に、前記作業者が前記窓部を介して見る軸の方向と一致するように、前記工作機械が備える軸の方向を表す軸構成モデルを表示し、前記軸構成モデルは複数のシンボルで構成され、複数のシンボルが組み合わされて3次元的に配置され、前記軸構成モデルには、各軸の軸名称及び方向が付与されるものである。
【0015】
この構成によれば、作業者が、窓から見える工作機械内部の各構成部材の位置関係と照らし合わせて、軸選択スイッチを操作したときの軸の移動方向を理解可能であり、正しくかつ素早く軸の操作ができるようになり、軸選択スイッチの誤操作を抑制するとともに、作業者の負担を非常に小さくすることができる。また、正しくかつ素早く軸選択スイッチの操作ができることから、手動介入が頻繁に行われる初品の加工時間の短縮が可能となる。
記軸構成モデルは、各軸の移動方向に矢印を付したシンボルと、球を備え、前記矢印を付したシンボルと前記球を組み合わせて3次元的に配置されることが望ましい。
前記軸構成モデルの上部の領域に、手動運転モードの名称を表示し、前記軸構成モデルの下部の領域に、手動パルスモードの場合は1パルス当たりの移動量を表示し、ジョグモードの場合はジョグ送り速度を表示し、早送りモード及び原点復帰モードの場合は早送りオーバーライド値を表示することが望ましい。
前記軸構成モデルは前記窓部のコーナーを含む周辺に設けられることが望ましい。
【0016】
前記軸選択スイッチとして軸選択ボタンを備え、該軸選択ボタンは前記制御部による軸移動の対象の軸を指定し、指定された軸に対して軸移動指令信号を出力するものであり、前記手動運転モードは、前記軸選択ボタンの信号に基づいて軸移動動作を行う工作機械において、前記手動運転モードで前記軸選択ボタンが押された場合、前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける前記軸選択ボタンにより選択された軸の移動方向の強調表示を行い、前記軸選択ボタンを押し続けると、前記制御部は、前記手動操作補助表示部による前記軸の移動方向の強調表示後、所定時間経過して初めて前記軸の移動を開始することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、手動運転モードで軸選択ボタンが押されたとき、前記軸の移動方向の強調表示が行われた後、所定時間経過して初めて前記軸の移動が開始される。このため、作業者は、強調表示された軸の移動方向が、所望している軸の移動方向でない場合には、所定時間の間に、その軸選択スイッチの操作を解除することができる。
【0020】
前記手動運転モードにおける軸移動指令信号を出力する軸移動指令信号発生器を更に備え、前記手動運転モードは、前記軸選択スイッチで選択された軸に対して前記軸移動指令信号発生器の信号に基づいて軸移動動作を行う工作機械において、前記手動運転モードが選択されているとき、前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける前記軸選択スイッチにより選択された軸を強調表示することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、手動運転モードが選択されているとき、軸構成モデルにおける軸選択スイッチにより選択された軸が窓部に強調表示されるため、作業者は、軸選択スイッチにより選択された軸を軸移動の操作を行う前に確認できる。
【0022】
前記制御部は、特定の場所に位置しているときに特定の方向への軸移動を禁止するインターロック機能を有し、前記手動操作補助表示部は、前記軸構成モデルにおける軸移動禁止のインターロックがかかっている軸の方向について、前記矢印の先端頭部近傍に、軸移動禁止状態であることを示す禁止表示シンボルを表示することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、軸移動禁止のインターロックがかかっている軸について、前記矢印の先端頭部近傍に、軸移動禁止状態であることを示す禁止表示シンボルが表示されるため、作業者は、操作しようとした軸選択スイッチが軸移動禁止のインターロックがかかっていることを実際に操作する前に知ることができる。
【0024】
前記工具取付装置と、前記ワーク取付装置のそれぞれのモデルをバリア領域として入力する手段を有し、前記工具取付装置と、前記ワーク取付装置の少なくともいずれか一方を、手動運転モードで動作させるときに、制御部内部のモデルで動作シミュレーションを行い、動作に伴う干渉が発生しないよう、バリア領域手前の徐行領域で減速後徐行し、バリア領域の境界線で停止するバリア機能を有し、前記手動操作補助表示部は、前記徐行領域に位置している軸の徐行すべき方向について、前記矢印の先端頭部近傍に、徐行中であることを示す警告表示シンボルを表示することが好ましい。
【0025】
この構成によれば、徐行中であることを示す警告表示シンボル前記矢印の先端頭部近傍に表示されているため、作業者が所望の速度ではなく、徐行速度で移動しても違和感なく操作ができる。また、作業者は徐行方向が分かることで容易に干渉の回避方向を知ることができる。
【0028】
前記軸構成モデルは、前記工作機械の移動自在の構成部材を示すシンボルと、該構成部材の移動方向を示す矢印を表示することが好ましい。
【0029】
この構成によれば、どの構成部材がどの方向へ移動するかが分かりやすく表示されるので、手動操作の軸移動における誤操作が減る。
【0030】
前記手動操作補助表示部は、前記シンボルを移動方向に向かって移動させるアニメーションで表示することが好ましい。
【0031】
この構成によれば、手動操作補助表示部が、前記シンボルを移動方向に向かって移動させるアニメーションで表示するので、どの構成部材がどの方向へ移動するかが、より分かり易い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】ドア開状態の工作機械の正面図。
図2】ドア閉状態の工作機械の正面図。
図3】工作機械の要部斜視図。
図4】工作機械の制御装置のブロック図。
図5】窓部に設けられた手動操作補助表示部の正面図。
図6】軸の方向を示す表示態様の説明図。
図7】(a)は、操作盤の操作面の正面図、(b)は、別の実施形態における一部操作面の正面図。
図8】軸の方向を示す表示態様の説明図。
図9】(a)は、軸選択ボタンのオフ状態の位置の説明図、(b)は、軸選択ボタンのオン状態の位置の説明図。
図10】別の実施形態において、(a)は、軸選択ボタンのオフ状態の位置の説明図、(b)は、軸選択ボタンの浅い動作位置のオン状態の位置の説明図、(c)は、軸選択ボタンの深い動作位置のオン状態の位置の説明図。
図11】(a)は、実施例の軸選択ボタンで軸移動操作するインターフェイス回路図、(b)は、実施例の軸選択ダイヤルと手動パルス発生器で軸移動操作するインターフェイス回路図、(c)は、別の実施例の軸選択ダイヤルと軸方向ボタンで軸移動操作するインターフェイス回路図。
図12】軸移動禁止のインターロックがかかっている軸を示す表示態様の説明図。
図13】軸移動により他の部材と干渉の虞がある場合の徐行中の軸を示す表示態様の説明図。
図14】工作機械の可動部を簡略化して平面視した場合の軸の移動方向を示す表示態様の説明図。
図15】工作機械の可動部を簡略化して平面視した場合であって、可動部をアニメーション化して軸の移動方向を示す表示態様の説明図。
図16】(a)は、操作盤の操作面を正面側に向けたときの工作機械の窓部周辺の正面図、(b)は、同じく概略平面図。
図17】(a)は、操作盤の操作面を窓部に対して直角に向けたときの工作機械の窓部周辺の正面図、(b)は、同じく概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
1. 構成の説明
以下、本発明を具体化した工作機械の一実施形態を図1図15を参照して説明する。
【0034】
本実施形態の工作機械30は5軸工作機械であって、図1に示すように装置本体31と、装置本体31を囲むスプラッシュガード33と、操作盤14を備える。なお、操作盤14に関しては、前記従来例で説明した構成と同一又は相当する構成については、同一符号を付す。
【0035】
図3に示すように、装置本体31のベッド32の後部上面には、複数個のリニアガイドレール34がX軸方向すなわち機械の左右方向に、それぞれ平行に設けられている。これらリニアガイドレール34は、サドル36の下面に設けられたリニアガイドブロック35と係合し、リニアガイドレール34にガイドされてサドル36が、X軸方向に移動自在にされている。又、サドル36下面には、図示しないボールネジナットが装着されており、該ボールネジナットがベッド32に設けられた図示しないボールネジ軸に螺合されている。そして、サドル36は、ベッド32に設けられた図4に示すX軸駆動モータMxにて前記ボールネジ軸が正逆回転されることにより、X軸方向に往復移動可能とされている。
【0036】
サドル36上面には、複数個のリニアガイドレール38がY軸方向すなわち機械の前後方向に、それぞれ平行に設けられている。これらリニアガイドレール38は、コラム40の下面に設けられたリニアガイドブロック41と係合し、前記リニアガイドレール38にガイドされてコラム40が、Y軸方向に移動自在にされている。又、コラム40下面には、図示しないボールネジナットが装着されており、該ボールネジナットがサドル36に設けられた図示しないボールネジ軸に螺合されている。そして、コラム40は、サドル36に設けられた図4に示すY軸駆動モータMyにて前記ボールネジ軸が正逆回転されることにより、Y軸方向に往復移動可能とされている。
【0037】
コラム40の正面側の側面には、複数個のリニアガイドブロック42がZ軸方向すなわち機械の上下方向に、それぞれ平行に設けられている。リニアガイドブロック42上には、リニアガイドレール44が係合されている。リニアガイドレール44は、工具主軸ヘッド46のコラム側の側面に設けられており、リニアガイドブロック42にガイドされて、Z軸方向に移動自在にされている。工具主軸ヘッド46のコラム側の側面には、図示しないボールネジナットが設けられており、該ボールネジナットがコラム40に設けられた図示しないボールネジ軸に螺合されている。そして、工具主軸ヘッド46は、コラム40に設けられた図4に示すZ軸駆動モータMzにて前記ボールネジ軸が正逆回転されることにより、Z軸方向に往復移動可能とされている。
【0038】
前記工具主軸ヘッド46は、ビルトイン型の工具主軸モータMs(図4参照)を備えており、該工具主軸モータMsにてスピンドル47が回転駆動可能とされている。前記スピンドル47には、ミル加工を行うための加工工具48が取り付け可能になっている。
【0039】
サドル36、コラム40及び前記工具主軸ヘッド46は工具取付装置の一例である。
【0040】
ベッド32上には、円盤状に形成されたテーブル50が設けられている。テーブル50は、チルト型旋回テーブルである。テーブル支持ベース54が、ベッド32上に支持された支持部材52にA軸の回りで旋回可能に支持され、テーブル50は、該テーブル支持ベース54上に、前記A軸と直交するC軸の回りで旋回可能に設けられている。前記テーブル支持ベース54は、支持部材52に設けられたA軸駆動モータMa(図4参照)が正逆回転されることにより、A軸の回りで、+A方向と−A方向に旋回可能である。テーブル50は、テーブル支持ベース54内に設けられたC軸駆動モータMc(図4参照)が正逆回転されることにより、C軸の回りで、+C方向と−C方向に旋回可能である。
【0041】
工具取付装置であるサドル36、コラム40及び前記工具主軸ヘッド46の各動作によって前記加工工具48がワークを加工する空間領域を、加工領域70と称する。また、支持部材52、テーブル支持ベース54、及びテーブル50はワーク取付装置の一例である。
【0042】
図1に示すように、装置本体31の正面側に設けられたスプラッシュガード33には、開口部33aが設けられるとともに、前記開口部33aを開閉するドア37が開閉自在に設けられている。すなわち、ドア37は、図2に示す開口部33aを閉鎖する閉鎖位置と、図1に示す開放位置間を横方向にスライド自在に設けられている。前記ドア37が開放されると、作業者は、開口部33aを介して前記加工領域70にアクセス可能である。
【0043】
前記装置本体31の正面側に設けられたスプラッシュガード33は、前記加工領域70で発生する切り屑やクーラントの飛散防止及び回収などの機能を有している。
【0044】
前記ドア37には、窓部39が設けられている。前記窓部39は、透過型表示装置60により閉塞されている。前記透過型表示装置60は、透過型液晶パネル、或いは透過型有機ELパネル等が用いられている。前記透過型表示装置60は、手動操作補助表示部のハードウェアの一例である。
【0045】
前記透過型表示装置60は、前記加工領域70側が透けて見えるように透明な表示面60aを有する平面ディスプレイである。また、図5に示すように、前記表示面60aは、本実施形態では、四角平面状に形成され、その周辺及びコーナには、文字、画像、或いは動画などの情報が表示される表示領域60b、60c、60dを有する。
【0046】
前記窓部39の透過型表示装置60を介して作業者は、前記加工領域70でのワークの加工、及び加工工具48の動作等を監視可能である。
【0047】
透過型表示装置60での各種情報の表示の仕方については、後述する。
【0048】
図1及び図2に示すように、操作盤14は、正面側に設けられたスプラッシュガード33に対して、前記開口部33aに隣接するようにブラケット62を介して回転自在に支持されている。操作盤14は、操作面14aと、液晶表示装置等からなるディスプレイ14b及び入力キー群14cを備えている。
【0049】
操作面14aには、図7(a)に示すように、テープ運転モードボタン15a、メモリ運転モードボタン15b、MDI運転モードボタン15cの自動運転モードボタン15や、手動パルスモードボタン16a、ジョグモードボタン16b、早送りモードボタン16c、原点復帰モードボタン16dの手動運転モードボタン16、及び手動運転モードで使用される各種の軸選択ボタン20〜29が設けられている。前記ボタン15a〜15c、16a〜16d、20〜29は、自己復帰型押しボタンスイッチであって、図9(b)に示すように操作面14aから操作盤内部に押圧されたオン位置と、図9(a)に示すようにオン位置よりも操作盤外部に突出したオフ位置に位置して、それぞれの位置で、オン信号とオフ信号の2値信号を生成する2値スイッチである。
【0050】
軸選択ボタン20〜29は、手動運転モードで動作させる軸を指定し、当該軸を移動させる指令を出力するものである。ジョグモード、早送りモード、原点復帰モードに選択されている時に軸選択ボタン20〜29を押すことで、該当する軸を移動させることができる。
【0051】
操作面14aには、手動パルス発生器162のハンドル165、軸選択ダイヤル166、早送り速度調整スイッチ167、及びジョグ送り速度調整スイッチ168が設けられている。
【0052】
手動パルス発生器162の前記ハンドル165は、軸の移動量を発生させるためのダイヤル式ハンドルである。ダイヤル1目盛り回転させることで1個のパルスを発生させることができる。左右逆方向に回転させることで、符号を反転させたパルス列を発生させ、+方向あるいは−方向へ軸移動させることができる。手動パルス発生器162は、軸移動指令信号発生器の一例であり、前記パルスは軸移動指令信号の一例である。
【0053】
前記軸選択ダイヤル166は、手動パルスモードで軸移動を行う対象の軸を選択するためのダイヤル式スイッチである。具体的には、操作面14a上の所定角度毎にOFF、X、Z、C、Y及びAが印されており、X、Z、C、Y及びAが印されたいずれかの位置にダイヤル166上のカーソルを合わせることにより、手動パルスモードでの軸移動を行う対象の軸が選択される。
【0054】
前記早送り速度調整スイッチ167は、ダイヤル式スイッチであって、早送りモード及び原点復帰モードにおいて軸選択ボタン20〜29をオン操作した時の、あるいは、自動運転モードにおいて実行される位置決め動作(G00)時の、早送り速度に乗算される早送りオーバーライド、すなわち倍率を選択するためのものである。
【0055】
前記ジョグ送り速度調整スイッチ168は、ダイヤル式スイッチであって、ジョグモードにおいて軸選択ボタン20〜29をオン操作した時のジョグ送り速度、あるいは、自動運転モードにおいて加工プログラムで指令した切削送り速度に乗算される切削送りオーバーライドを選択するものである。
【0056】
前記自動運転モードボタン15は、オン操作されると工作機械30を各種の自動運転モードに変更するためのボタンである。図示しない入力インターフェイスを介して外部から加工プログラムを入力しながら運転するテープ運転モード、後述するCNC制御装置100の加工プログラムメモリ120に格納された加工プログラムで運転するメモリ運転モード、単独の実行コードを操作盤からその場で作業者が入力して実行するMDI(マニュアル・データ・インプット)運転モードがあるが、ここでは説明を省略する。
【0057】
前記手動パルスモードボタン16aは、手動パルスモードに設定するためのモード選択ボタンである。手動パルスモードボタン16aは4個あり、手動パルス発生器162から発生されるパルスの1パルスあたりの移動量を、0.0001mm、0.001mm、0.01mm、0.1mmの4種類から選択するために、それぞれのモードボタンが設けられている。
【0058】
前記ジョグモードボタン16bは、前記軸選択ボタン20〜29を使用して、軸のジョグ送りを行うモード選択ボタンである。移動速度は前記ジョグ送り速度調整スイッチ168の選択による。
【0059】
早送りモードボタン16cは、前記軸選択ボタン20〜29を使用して、軸の早送りを行うモード選択ボタンである。移動速度は前記早送り速度調整スイッチ167の選択による。
【0060】
原点復帰モードボタン16dは、前記軸選択ボタン20〜29を使用して、軸の原点復帰を行うモード選択ボタンである。移動速度は前記早送り速度調整スイッチ167の選択による。
【0061】
また、操作面14aに設けられた入力キー群14cは、データ入力のためのキーボード、テンキー等の各種のキー、ファンクションキー等を含む。
【0062】
自動運転モードボタン15及び手動運転モードボタン16は、モード切替部の一例である。前記軸選択ボタン20〜29及び軸選択ダイヤル166は、軸選択スイッチの一例である。
【0063】
前記装置本体31の正面側に配置されるドア37及びスプラッシュガード33は、カバー部の一例である。
【0064】
工作機械30には、図4に示すCNC制御装置100が設けられている。CNC制御装置100は、CPUからなる主制御部110を有している。主制御部110にはバス線105を介して加工プログラムを格納する加工プログラムメモリ120、システム全体のプログラムを格納するシステムプログラムメモリ130、作業用メモリ140、加工制御部150、表示データメモリ170、ディスプレイ14bを表示制御する表示コントローラ172、透過型表示装置60を表示制御する表示コントローラ174、前記操作盤14及び手動パルス発生器162に電気的に接続されたインターフェイス164等が接続されている。
【0065】
前記操作盤14の操作面14a上に設けられた前記各種ボタン、及びスイッチの操作による各種信号は、インターフェイス164を介して、主制御部110に入力される。また、手動パルス発生器162により発生されたパルス信号も、インターフェイス164を介して主制御部110に入力される。
【0066】
表示データメモリ170には、ディスプレイ14b及び透過型表示装置60にそれぞれ表示するための各種表示データが格納されている。透過型表示装置60に表示するための表示データには、軸の方向を示すためのシンボル、各種の警告表示データ、各種の禁止表示データ、現在の工作機械の状態を表す表示データ、作業者に各種の操作を促す表示データ等が含まれている。
【0067】
表示コントローラ172は、操作盤14のディスプレイ14bを表示制御するものであり、NC工作機械用としては周知であるので詳細は省略する。
【0068】
表示コントローラ174は、手動運転モードで工作機械を操作する時に、前記表示データメモリ170に格納されている各種の表示データを、透過型表示装置60の表示領域に、表示制御する。
【0069】
また、主制御部110には、バス線105を介して、X軸制御部200、Y軸制御部210、Z軸制御部220、A軸制御部230、C軸制御部240及び主軸制御部250が接続されている。各軸制御部は、主制御部110の各軸(5軸)の移動指令を受けて、各軸の移動指令を駆動回路202、212、222、232、242、252に出力する、各駆動回路は、この移動指令を受けて、各軸(X、Y、Z、A、C、及び工具主軸)のモータMx、My、Mz、Ma、Mc、Msを駆動する。主制御部110は、軸の移動を行う制御部の一例である。
【0070】
2. 実施形態の作用及び効果
次に、上記のように構成された工作機械30の作用を説明する。
【0071】
(手動運転モードへの切り替え操作の場合一般)
手動運転モードのいずれかのモードにモード変換する場合の、各モードに共通の作用に関して説明する。
【0072】
作業者Mが図7(a)に示す手動パルス0.0001mmモードボタン16a(1)、手動パルス0.001mmモードボタン16a(2)、手動パルス0.01mmモードボタン16a(3)、手動パルス0.1mmモードボタン16a(4)、ジョグモードボタン16b、早送りモードボタン16c、原点復帰モードボタン16dのいずれかの手動運転モードボタンをオン操作すると、選択された手動運転モードボタンのオン信号が図4に示すインターフェイス164を介して主制御部110に入力される。前記オン信号の入力により、主制御部110は選択された手動運転モードに切り替わり、前記オン信号を表示コントローラ174に転送する。
【0073】
前記オン信号の入力により、表示コントローラ174は、工作機械の軸の方向を表す軸構成モデル179の表示用データである軸構成表示データを表示データメモリ170から読み出して、図5に示すように、前記透過型表示装置60の表示面60aにおいて、コーナーの表示領域60bに表示する。この軸構成モデル179は、図6に示すように、X軸、Y軸及びZ軸の各+方向、−方向に矢印を付した直交座標軸のシンボル180と、前記シンボル180を中央に配置する球181と、その球181の周囲において、C軸の移動方向を示す矢印182、183と、A軸の移動方向を示す矢印184からなる。また、図6に示すように、前記軸構成モデル179は、各軸に軸名称及び方向、すなわち+X、−X、+Y、−Y、+Z、−Z、+A、−A、+C、−Cが付されている。
【0074】
また、図5では説明の便宜上省略しているが、図6に示すように、表示コントローラ174は、前記軸構成モデル179の上部の領域に手動運転モードであることを示すために、前記オン信号、すなわち選択された手動運転モードのオン信号に応じて、「HANDLE MODE」、「JOG MODE」、「RAPID MODE」、又は「原点復帰モード」の表示を行う。すなわち、ボタン16a(1)〜16a(4)のオン操作では「HANDLE MODE」が、ボタン16bのオン操作では「JOG MODE」が、ボタン16cのオン操作では「RAPID MODE」が、ボタン16dのオン操作では「原点復帰モード」の表示が行われる。
【0075】
また、前記軸構成モデル179の下部の表示領域には、手動パルスモードの場合は入力された手動運転モードの信号に応じて1パルスあたりの移動量を表示し、ジョグモードの場合はジョグ送り速度調整スイッチ168で選択されたジョグ送り速度を、早送りモードと原点復帰モードの場合は早送り速度調整スイッチ167で選択された早送りオーバーライド値を、それぞれ表示する。ジョグ送り速度調整スイッチ168で選択された信号、及び早送り速度調整スイッチ167で選択された信号は、操作盤14からインターフェイス164を介して主制御部110に入力された信号を主制御部110が表示コントローラ174に転送したものである。
【0076】
以上の作用により、手動運転モードに切り替わると、前記窓部39に工作機械が備える軸の構成が表示されるので、作業者がこれから軸移動させようとしている軸がどの軸でどの方向かを、実際の機械やワークの姿勢と照らし合わせて確認することができるため、軸の方向を間違いなく決定することができる。たとえ図17(a)及び図17(b)に示す位置に作業者Mが立ち、操作盤上の軸選択ボタンの並びが工作機械の軸の方向と一致していない場合であっても、作業者Mは窓部に表示される軸構成モデル179で軸名称と方向を確認しているので、操作を行う上での不安感はなく、また、誤操作の可能性も極めて低くなる。
【0077】
正しくかつ素早く軸選択ボタンの操作ができることから、手動介入が頻繁に行われる初品の加工時間の短縮が可能となる。さらには、複雑な軸構成の工作機械に対する初心者の操作教育、補助に大いに貢献できる。
【0078】
(軸選択信号と移動指令信号を同時に出力して動作する手動運転モードの場合)
図7(a)に示される軸選択ボタン20〜29は、ジョグ送りモード、早送りモード、原点復帰モードにおける軸移動動作を行うスイッチである。図11(a)にインターフェイス回路の実施例を示す。軸選択ボタン20〜29から出力された信号、+X、−X、+Y、−Y、+Z、−Z、+A、−A、+C、−Cによって軸移動動作が行われる。
【0079】
主制御部110は、作業者Mが操作した、軸選択ボタン20〜29のいずれか1つが図9(b)に示すオン位置に操作されると、軸選択ボタンからの信号に基づいて指定された軸及び方向を特定して、特定結果を、表示コントローラ174に出力する。表示コントローラ174は、特定された軸の方向の矢印、すなわち軸の移動方向を強調表示する。軸の方向の矢印を強調表示する場合は、指定された軸の矢印の指定された方向を示す半分を強調表示する。図8に、早送りモードにおいて+Z軸選択ボタン24が押されたときの表示例を示す。C軸の方向をあらわす矢印182、183のように、2つの矢印で方向が表現されている場合は、指定された方向を表すいずれか一方の矢印を強調表示する。強調表示の仕方は限定するものではないが、例えば、強調表示しない部分については目立たない色表示に対して、強調表示する部分を目立つ色とする。或いは、強調表示する部分を点滅表示し、強調表示しない部分は減光表示する。或いは、強調表示する部分は高明度で表示し、強調表示しない部分は低明度で表示する。
【0080】
そして、作業者が、操作した軸選択ボタンを長押して、所定時間経過すると、主制御部110は、軸選択ボタンで指定された軸について、前記ジョグ送り速度調整スイッチ168で選択されたジョグ送り速度、あるいは、前記早送り速度調整スイッチ167で選択された倍率、すなわち、早送りオーバーライドで、軸移動の制御を行う。なお、ジョグ送りモード、早送りモード、あるいは原点復帰モードでの制御の詳細は周知であるため、説明を省略する。
【0081】
上記のように構成された工作機械は、操作された軸選択ボタン20〜29により指定された軸の移動方向を窓部39に強調表示する透過型表示装置60を備える。軸選択ボタン20〜29を押し続けると、強調表示後所定時間経過して初めて軸移動が開始される。なお、該所定時間は、予めメモリに入力され、記憶されている値に基づく時間であり、変更可能である。
【0082】
この構成によれば、作業者が軸選択ボタン20〜29の移動方向の情報を、視線を変えることなく入手が可能となり、万が一誤操作しても実際に軸移動する前に誤操作を自覚し、操作を中止できる。
【0083】
上記実施形態では、軸選択ボタン20〜29は、2値スイッチとしたが、該実施形態の構成中、2値スイッチの代わりに図10(a)〜(c)に示すように自己復帰型の3値スイッチとしてもよい。3値スイッチは、オフ位置と、オフ位置よりも操作端が低い高さ、すなわち浅い動作位置である第1オン位置と、前記第1オン位置よりも操作端がさらに低い、つまり深い動作位置である第2オン位置の3つの位置を取ることが可能である。軸選択ボタン20〜29が第1オン位置に操作された場合、第1オン位置で生成するオン信号に基づいて、表示コントローラ174は、軸選択ボタン20〜29で指定された軸に関して、その軸移動方向を示す矢印を強調表示する。
【0084】
また、軸選択ボタン20〜29が第2オン位置迄操作された場合、軸選択ボタン20〜29が第2オン位置で生成するオン信号に基づいて、主制御部110は、軸選択ボタン20〜29で選択された軸について、当該軸の駆動モータを作動させて軸動作を開始させる。
【0085】
このように構成されていると、ジョグモード、早送りモード、又は原点復帰モードにおいて、軸選択ボタン20〜29の操作の押す力の強弱によって、軸の移動方向の強調表示と、実際の軸移動の遅延時間を作業者が意図的に調節することができる。このため、未だ機械操作に慣れていない作業者は、一旦軽く押して軸の移動方向を確認した後に強く押して軸を移動させることができ、安全、且つ安心して軸移動操作を行うことができる。一方、機械の操作に慣れた作業者は始めから強く押すことで素早く軸移動を行うことができる。
【0086】
(軸移動指令信号発生器を備える手動運転モードの場合)
図7(a)に示す手動パルス発生器162は、軸移動指令信号発生器である。本実施例では、手動パルスモードにおいて手動パルス発生器162を操作して軸移動動作を行う。軸移動の対象の軸は軸選択スイッチである軸選択ダイヤル166で選択される。図11(b)にインターフェイス回路の実施例を示す。
【0087】
手動パルスモードが選択されているとき、前記軸構成モデル179において軸選択ダイヤル166で選択されている軸を強調表示する。具体的には、主制御部110は、軸選択ダイヤル166からの信号に基づいて軸選択ダイヤル166で選択された軸を特定して、特定結果を、表示コントローラ174に出力する。表示コントローラ174は、軸選択ダイヤル166で選択された軸を強調表示する。強調表示の仕方は、以下に述べる強調表示する部分を除いて、前記ジョグ送りモード等の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0088】
強調表示する部分に関して、前記ジョグ送りモード等においては、図8に示すように選択された軸の方向の矢印、すなわち特定の軸の特定の方向の矢印を強調表示していた。しかし、このモードにおいては、図6に示すように選択された軸の矢印全体、すなわち、選択された軸の+、−の両方向について強調表示する。
【0089】
手動パルスモードにおける軸移動については、周知であるため、説明を省略する。
【0090】
なお、ジョグモード、早送りモード、原点復帰モードにおける軸選択スイッチとして、図7(b)に示すように手動パルスモードと同様の軸選択ダイヤル169を備え、軸移動指令信号発生器として+軸方向ボタン160と−軸方向ボタン161を備え、各モードを選択後、+方向又は−方向の軸方向ボタンを押すことで、手動での軸移動を行うことができるようにしてもよい。こうすることにより、ジョグモード、早送りモード、原点復帰モードであっても、各モードが選択されているときに、軸選択スイッチにより選択されている軸を強調表示することができる。図11(c)に、この場合のインターフェイス回路の実施例を示す。
【0091】
この結果、軸選択スイッチで動作する軸を選択し、軸移動指令信号発生器で軸移動を操作する手動運転モードでは、軸選択スイッチにより選択された軸が窓部に強調表示されるため、作業者は、軸選択スイッチにより選択された軸が作業者の意図する軸か否かを、軸移動操作する前に確認できるものとなる。
【0092】
(禁止表示、警告表示)
本実施形態では、さらに、手動パルスモード、及びその他の手動運転モードにおいて、下記のようになんらかの障害がある場合は、主制御部110は、禁止表示、又は、警告表示を行う。
○禁止表示
一般的に機械原点は、直線軸のX、Y、Z軸の場合、+方向のストロークエンドに設定され、各軸とも−領域が加工領域とされる。すなわち、各直線軸の原点位置より+方向へは移動が禁止され、軸移動禁止のインターロックがかかっている。また回転軸においても、+方向及び−方向のストロークエンドが設定され、そのストロークエンドより外の方向へは軸移動禁止のインターロックがかかっている。各軸がストロークエンドに位置するときは、手動運転モードにおいて、ストロークエンドの外側への軸移動禁止のインターロックがかかっていることを作業者に分かり易く示すために、表示コントローラ174は、表示データメモリ170から禁止表示シンボルデータを読み出して図12に示すように、禁止を示す禁止表示シンボル185を軸移動の方向を示す矢印先端頭部近傍に表示する。すなわち、インターロックがかかっている軸の方向については軸移動禁止状態であることを表示する。図12の例では、A軸の+方向のストロークエンドに位置しており、これ以上+Aに軸移動できないため、+Aの近傍に禁止表示シンボル185が表示された例である。
【0093】
なお説明の便宜上、機械原点をストロークエンドとして説明したが、ストロークエンドは機械原点に限定するものではなく、機械原点以外の点をストロークエンドとした場合にも、ストロークエンドに位置しているときに有効ストロークの外へ出る方向に対して軸移動が禁止され、表示されることは言うまでもない。
【0094】
また、加工領域の外に出て自動工具交換(ATC)を行うようにした工作機械の場合、ATC実行時のみATC位置へのX軸、Y軸、Z軸のいずれかの軸の移動が許されるように構成される。一般に、加工領域外に切削屑やクーラントが飛散しないよう、ATCカバーが設けられる。加工領域外のATC位置に最も近いストロークエンドにX軸、Y軸、Z軸のいずれかの軸のATC待機位置が設定されるが、ATCカバーが閉じた状態でATC待機位置に位置決めすると、ストロークエンドに位置決めされたため軸移動が禁止され、ATC位置へ向かう方向を示す矢印先端頭部近傍に禁止表示シンボル185が表示される。その後ATCカバーが開くと、軸移動禁止が解除され、表示されていた禁止表示シンボル185は消される。このように、カバーの開閉に伴ってインターロック状態が変化する様な場合であっても、軸移動禁止状態であることを表示するため、動作条件が整ったか否かを、実際に動作させることなく作業者は知ることができる。
【0095】
また、後述するバリア機能によってバリア領域の境界線上に停止した場合も、バリア領域内に向かう方向の軸移動が禁止され、禁止表示シンボル185が表示される。この禁止表示シンボルの表示により、作業者は、軸移動の操作をしても移動できないことを事前に知ることができ、無用な混乱を避けることができる。
○警告表示(徐行中であることを表示)
支持部材52やテーブル支持ベース54は、加工領域70に存在し、A軸位置によって姿勢変化するため、スピンドル47や加工工具48との間で干渉が発生する危険性が高い。そのため、本実施形態の工作機械では、バリア機能が装備されている。操作盤14には、前記工具取付装置及び前記ワーク取付装置の一例で挙げた各構成部材のモデルをバリア領域として入力するための、入力キー群14cが設けられている。なお、入力キー群14cは、バリア領域として入力する手段の一例であり、入力キー群14cに限定するものではない。
【0096】
主制御部110は、自動運転モード時は勿論、手動運転モード時であっても設定されたバリア領域を内部のモデルで動作シミュレーションを実行し、干渉を回避可能である。
【0097】
この場合、主制御部110は、設定されたバリア領域の手前に設定された徐行領域に工具取付装置が入ると、前記工具取付装置を減速後徐行させ、バリア領域の境界線上で停止させるように構成されている。なお、前記徐行領域はパラメータにて徐行距離として設定される。この徐行領域に工具取付装置が突入すると、早送り速度調整スイッチ167やジョグ送り速度調整スイッチ168で設定された送り速度と徐行領域での徐行速度の低い方で主制御部110は、工具取付装置を移動制御するので、作業者に操作上の違和感を与える。この違和感を解消するため、主制御部110は、工具取付装置が徐行領域に位置していること、すなわち、工具取付装置が徐行中であることを示す警告表示を表示コントローラ174に出力する。表示コントローラ174は、図13に示すように、表示データメモリ170から警告表示シンボルデータを読み出して軸移動の方向を示す矢印先端頭部近傍に表示する。図13の例では、+Aに軸移動する場合は、徐行する旨の警告表示シンボル186が、+Aの近傍に表示された例である。
【0098】
なお、前記説明では、工具取付装置が移動する工作機械の場合において、制御部内部のモデルで動作シミュレーションを行い、工具取付装置がバリア領域の手前に設定された徐行領域に入ると前記工具取付装置を減速後徐行させて、バリア領域の境界線上で停止するようにした。反対にワーク取付装置が移動する工作機械の場合は、制御部内部のモデルで動作シミュレーションを行い、ワーク取付装置をバリア領域の手前に設定された徐行領域に入ると減速後徐行させて、バリア領域の境界線上で停止するようにしてもよい。また、工具取付装置及びワーク取付装置の両方がともに移動制御可能になっている場合は、制御部内部のモデルで動作シミュレーションを行い、少なくとも一方を同様にバリア領域の手前に設定された徐行領域に入ると減速後徐行させて、バリア領域の境界線上で停止するようにしてもよい。
【0099】
また、前記軸移動禁止のインターロック機能において、例えばストロークエンドの少し手前から減速してストロークエンドで停止し、軸移動禁止のインターロック状態になるが、該減速中にも上記警告表示を行っても良い。
【0100】
(軸構成モデル)
本実施形態では、軸構成モデル179として工作機械が備える軸の方向を示す矢印を表示している。これにより、実際の機械の姿勢と軸構成モデルとを照らし合わせて見ることにより、作業者は、手動運転モードで軸移動操作を行う際の、操作する軸と方向を、直感的に理解することができる。
【0101】
また、図6及び図8に示したシンボル180、球181、矢印182、183、184で構成される軸構成モデル179に代えて、図14に示すように工作機械の上面視した状態で、工具主軸シンボル190、工具主軸シンボル190のX軸上及びY軸上での移動方向を示す矢印191、テーブルのシンボル192、テーブル支持ベースを支持する支持部材のシンボル193、並びにA軸、及びC軸の移動方向を示す矢印194、195、196、197で構成される軸構成モデル198にしてもよい。工作機械の移動自在の構成部材を示すシンボル(工具主軸シンボル190、テーブルのシンボル192)を表示し、その移動方向を示す矢印191、194、195、196、197を表示しているので、作業者はどの構成部材がどの方向に移動動作するかについて、直感的に理解することができる。
【0102】
また、図15に示すように、前記工具主軸の軸移動、或いはテーブルの軸移動がある場合には、その工具主軸又はテーブルのシンボルをその軸移動の方向にアニメーションで移動させるようにしてもよい。図15は、工具主軸シンボル190が、+X軸の方向に移動する場合を、アニメーションで示した例である。これにより、軸の移動方向が更に直感的に理解できる。
【0103】
なお、前記実施形態に限定されるものではなく、下記のようにしてもよい。
【0104】
前記実施形態では、説明を省略したが、例えば、手動パルスモード、及び手動運転モードにおいて、前記のように警告表示、又は禁止表示がされた際に、表示コントローラ174は、図5に示すように、例えば表示面60aのコーナーの表示領域60dにアラーム発生中であることを示す警告表示シンボル187を表示してもよい。なお、表示領域は、表示領域60dに限定するものではなく、表示面60aの周辺であればよい。また、機内を目視する際に妨げにならなければ、表示面60aの中央部を表示領域としてもよい。さらに、表示面60aを四角平面状として説明したが、表示面60aは四角湾曲面状であっても、円形平面状であってもよい。
【0105】
軸構成モデルを表示することで作業者の操作を補助する機能を付加したが、併せて、各軸の現在位置座標、選択工具番号、工具補正データ、ワーク座標データ等のデータを表示することにより、操作盤上の表示装置を見なくても機械やNC装置の状態を把握できるようになり、更に操作性は向上する。
【0106】
なお、前記実施形態では、透過型表示装置60を備えた窓部39をドア37に設けたが、前記加工領域70をカバーするスプラッシュガード33に窓部39を設けてもよい、この場合においても前記実施形態と同様の効果を奏する。
【0107】
又、前記実施形態では、チルト型旋回テーブルを有する5軸工作機械に具体化したが、チルト型旋回テーブルに限定するものではない。他の形式の5軸工作機械、或いは3軸、4軸工作機械等の他の工作機械に具体化することも可能である。例えば、テーブル50を、XY方向に移動自在のXYテーブルとしてもよい。
【0108】
前記実施形態では、工具取付装置及びワーク取付装置の両者の軸移動の制御を行う工作機械に具体化したが、工具取付装置又はワーク取付装置のいずれか一方の軸移動の制御を行う工作機械に具体化することも可能である。また、前記実施形態の工作機械では、軸数を5軸としたが、軸数に限定されるものではない。
【0109】
前記実施形態では、透過型表示装置60を手動操作補助表示部としたが、透過型表示装置60の代わりに、窓部39にハーフミラーを嵌め込みして当該ハーフミラーに画像を投影するプロジェクタ式の表示装置を設け、当該表示装置で軸移動の移動方向を示す画像をリアルタイムに前記ハーフミラーに投影、すなわち表示するようにしてもよい。この場合においても、作業者Mは、窓部を介して、前記加工領域70と、画像とを同時に見ることができる。
【符号の説明】
【0110】
15…自動運転モードボタン、16…手動運転モードボタン、
20〜29…軸選択ボタン、30…工作機械、39…窓部、
60…透過型表示装置、70…加工領域、110…主制御部、
166…軸選択ダイヤル。
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