(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーブル接続部が、検査対象の前記同軸状ケーブルの長さ方向の一端側および他端側に設けられた2つのコネクタとそれぞれ接続するための、2つ以上の同軸状コネクタを備えることを特徴とする請求項1に記載の高電圧試験装置。
【背景技術】
【0002】
例えば、ラジオやテレビ等の無線装置の入力とアンテナとを接続する場合には、一般的に同軸ケーブルが用いられる。この種の同軸ケーブルは、太さが一定の中心導体と所定の絶縁材料を間に挟んで前記中心導体の周囲を囲むように筒状に配置されたシールド導体とで構成される。車載ラジオ受信機等の入力とアンテナ等を接続する場合にもこのような同軸ケーブルが用いられる。
【0003】
また、例えば特許文献1に記載されているように、同軸ケーブルの中心導体の一部分にコンデンサが挿入されている場合もある。
【0004】
一方、この種の同軸ケーブルのような電線を様々な用途で使用する場合には、電線の安全性や品質を保証するために電気的な検査を実施する必要がある。具体的には、同軸ケーブルの中心導体とシールド導体との間の絶縁性が確保されていることを確認するために、これらの間に直流の高電圧(例えば1000V)を印加して絶縁抵抗を測定したり、商用交流電源と同等の周波数(例えば50Hz)の交流電圧(例えば振幅が1000V)を印加して耐圧に問題がないことを確認する。
【0005】
また、例えば特許文献2においては、配電盤における電線の電気絶縁物の劣化を監視するための絶縁監視装置が開示されている。すなわち、絶縁劣化によって発生する部分放電に伴い放射される電磁波を配電盤内に配置したアンテナを用いて検出し、これを監視する技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば一般的な同軸ケーブルについて絶縁抵抗を測定する場合には、絶縁抵抗試験機の2つの電極を検査対象の同軸ケーブルの中心導体およびシールド導体と接続し、所定の電圧を印加することで簡単に試験を行うことができる。
【0008】
しかしながら、前述のように中心導体の一部分にコンデンサが挿入されている同軸ケーブルを試験しようとする場合には様々な問題が発生する可能性がある。すなわち、同軸ケーブルの長さ方向の一端と他端の間がコンデンサによって直流的には分離されているので、同軸ケーブルの一端の中心導体およびシールド導体に絶縁抵抗試験機の2つの電極を接続しただけでは、同軸ケーブルの一端からコンデンサの一端までの範囲だけしか試験することができない。従って、同軸ケーブルの一端側の試験が終了した後で、絶縁抵抗試験機の2つの電極を同じ同軸ケーブルの他端の中心導体およびシールド導体に繋ぎ替えて再び試験を行うことになる。
【0009】
また、絶縁抵抗試験や耐圧試験を実施する場合には、一般的には1000V程度の高電圧を印加することになる。しかし、同軸ケーブルに内蔵されているコンデンサ自体の耐圧はせいぜい50V程度であるのが一般的であるので、作業員が試験の際に誤った接続操作を行った場合や、同軸ケーブル自体の絶縁特性に問題があるような場合には、同軸ケーブルのコンデンサが過大な電圧の印加によって破壊される可能性もある。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンデンサを内蔵した同軸ケーブルを試験する場合であっても、コンデンサを破壊することなく、ケーブル全体の試験を簡単な操作で可能にする高電圧試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係る高電圧試験装置は、下記(1)〜(
3)を特徴としている。
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1)
コンデンサを内蔵する同軸状ケーブルを検査対象とし、前記同軸状ケーブルの中心導体とシールド導体との間に高電圧を印加して
、前記中心導体と前記シールド導体との間に挟まれた絶縁材料の電気絶縁状態に関する試験を行う高電圧試験装置であって、
検査対象の前記同軸状ケーブルの中心導体とシールド導体とを、高電圧を出力する試験機の出力の2つの電極
にそれぞれ接続するケーブル接続部を有し、
前記ケーブル接続部が、
前記同軸状ケーブルの中心導体の長さ方向の一端と他端との間を電気的に短絡する芯線短絡部と、
前記同軸状ケーブルのシールド導体の長さ方向の一端と他端との間を電気的に短絡するシールド線短絡部と、
前記芯線短絡部及びシールド線短絡部と前記試験機の前記電極との間に接続された、少なくとも1つの抵抗器および少なくとも1つのコンデンサを含む時定数回路と、
を備えること。
(
2) 上記(
1)に記載の高電圧試験装置であって、
前記時定数回路は、異常な高電圧を吸収するサージ除去回路を備えること。
(
3) 上記(
1)に記載の高電圧試験装置であって、
前記ケーブル接続部が、検査対象の前記同軸状ケーブルの長さ方向の一端側および他端側に設けられた2つのコネクタとそれぞれ接続するための、2つ以上の同軸状コネクタを備えること。
【0012】
上記(1)の構成の高電圧試験装置によれば、検査対象の前記同軸状ケーブルにコンデンサが内蔵されている場合であっても、前記コンデンサの端子間に高電圧が印加されるのを防止することが可能である。しかも、試験用の電圧が前記芯線短絡部を介して前記同軸状ケーブルの両端に同時に印加されるので、2回に分けて試験を行わなくても、1回の試験で前記同軸状ケーブルの全体を試験することができる。また、
試験機から検査対象の同軸状ケーブルに印加される高電圧の変化速度を緩やかにすることができる。これにより、前記同軸状ケーブルの内部のインダクタ成分の影響が緩和され、検査対象の前記同軸状ケーブルの長さが比較的長い場合であっても、前記コンデンサの端子間に印加される電圧が増大するのを抑制することが可能になる。
上記(
2)の構成の高電圧試験装置によれば、何らかの原因によって一時的に異常な高電圧が印加された場合に、それを前記サージ除去回路が吸収する。従って、前記コンデンサの端子間に印加される電圧が増大するのを抑制することが可能になる。
上記(
3)の構成の高電圧試験装置によれば、検査対象の前記同軸状ケーブルの両端を前記ケーブル接続部の2つの同軸状コネクタに装着するだけで安全に試験を行うことができる。すなわち、誤操作等によって前記同軸状ケーブルの内部のコンデンサに過大な電圧が印加されるのを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コンデンサを内蔵した同軸ケーブルを試験する場合であっても、ケーブル全体の試験を、コンデンサを破壊することなく簡単な操作で行うことが可能になる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の高電圧試験装置に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
本実施形態の高電圧試験装置を用いてアンテナ用ワイヤハーネスを試験する時の接続状態の具体例が
図1に示されている。また、本実施形態においては、検査対象の代表例として、
図3に示すようなアンテナ用ワイヤハーネス10を用いる場合を想定している。
【0018】
このアンテナ用ワイヤハーネス10は、
図3に示すように所定のラジオユニット(車載ラジオ受信機の入力)とアンテナアンプ(車載アンテナからの高周波信号を増幅する増幅器)との間を接続するために利用される。また、
図3に示すようにある程度の長さ(例えば1.6m)を有する同軸ケーブル(1.5C2V)11と、その一端11A及び他端11Bにそれぞれ接続されたハーネス側コネクタ12、13を有している。更に、ハーネス側コネクタ12の内側にはコンデンサ14が内蔵されている。
【0019】
具体的には、ハーネス側コネクタ12は日本自動車技術会規格(JASO)に適合したJASOプラグである。また、ハーネス側コネクタ13は同軸用の高周波コネクタ(HFC)である。
【0020】
同軸ケーブル11は、中心部に太さが一定の導電体である芯線11aを有しており、その外周は所定の電気絶縁材料で覆われている。更に、この電気絶縁材料の外側に、芯線11aを囲むように円筒状に形成されたシールド導体11bが配置されている。つまり、芯線11aとシールド導体11bとが同軸状に配置され、これらの間が電気絶縁材料により絶縁されている。また、シールド導体11bの外側は適当な外皮(絶縁体)により覆われている。
【0021】
ハーネス側コネクタ12に内蔵されているコンデンサ14は、同軸ケーブル11が接続されるアンテナシステム(例えば
図3では、ラジオユニットやアンテナアンプがこのアンテナシステムに
相当する。)の信号
源とマッチングさせるための
ものであり、マッチング用補正コンデンサとして機能する。すなわち、
図3に示すように、コンデンサ14の一端は同軸ケーブル11の一端11Aで芯線11aと接続され、コンデンサ14の他端はハーネス側コネクタ12の中心の電極12aと接続されている。この構成のように、アンテナシステムの信号
源とマッチングさせるための機能がアンテナ用ワイヤハーネス10に備わっている。
【0022】
また、ハーネス側コネクタ12の外周の電極12bは、同軸ケーブル11の一端11Aでシールド導体11bと接続されている。ハーネス側コネクタ13の中心の電極13aは同軸ケーブル11の他端11Bで芯線11aと接続され、外周の電極13bは同軸ケーブル11の他端11Bでシールド導体11bと接続されている。
【0023】
図3に示したアンテナ用ワイヤハーネス10を検査対象として試験する際には、これを
図1に示すように高電圧試験用治具(高電圧試験装置)20と接続する。すなわち、同軸ケーブル11が可撓性なのでアンテナ用ワイヤハーネス10をU字状に折り曲げて、その一端側のハーネス側コネクタ(プラグ)12を試験機側コネクタ(ジャック)21と機械的に及び電気的に接続し、他端側のハーネス側コネクタ(メス)13を試験機側コネクタ(オス)22と機械的に及び電気的に接続する。
【0024】
図1に示す高電圧試験用治具20は、試験機側コネクタ21、22、および治具回路23を備えている。試験機側コネクタ21と試験機側コネクタ22とは互いに近接した位置に配置されている。また、試験機側コネクタ21の中心側電極21aは、芯線短絡部P1で試験機側コネクタ22の中心側電極22aと接続され、試験機側コネクタ21の外周側電極21bは、シールド線短絡部P2で試験機側コネクタ22の外周側電極22bと接続されている。
【0025】
芯線短絡部P1は、治具回路23を介して端子24と接続され、シールド線短絡部P2は治具回路23を介して端子25と接続されている。治具回路23の端子24および25は、それぞれ絶縁抵抗/耐圧試験機30の出力電極31および32と接続されている。
【0026】
絶縁抵抗/耐圧試験機30は、直流高電圧を用いた絶縁抵抗試験と、交流高電圧を用いた耐電圧試験を行う機能を備えている。すなわち、出力電極31、32の間に直流の高電圧(例えば1000V)を印加した状態で検査対象の絶縁抵抗を測定することができる。また、出力電極31、32の間に低周波交流(例えば50Hz)の高電圧(例えば1000V)を印加した状態で検査対象に絶縁破壊が生じるか否かを識別することができる。
【0027】
図1に示した電気回路の主要部の等価回路が
図2に示されている。高電圧試験用治具20の治具回路23は、
図2に示すように時定数回路23aおよびサージ除去回路23bを備えている。
【0028】
時定数回路23aは、絶縁抵抗/耐圧試験機30が出力する直流電圧のオンオフを切り替える際の波形の立ち上がり及び立ち下がりを緩やかにするために設けてある。なお、
図2に示す構成例では2個の抵抗器と3個のコンデンサを備えているが、1個の抵抗器と1個のコンデンサだけで時定数回路23aを構成しても良い。
【0029】
サージ除去回路23bは、システム全体を保護するために設けてある。すなわち、何らかの原因によって一時的に異常に高い電圧(サージ電圧)が印加された場合に回路各部が破壊されないようにサージ電圧を除去する。この構成例では、互いに逆方向の極性で直列に接続した2個のダイオードでサージ除去回路23bを構成してある。なお、サージ除去回路23bは万一の保護用であるので、省略することもできる。
【0030】
図1及び
図3に示したアンテナ用ワイヤハーネス10に試験用の電圧を印加する時に影響を及ぼす各部の主要な回路要素の想定される接続状態が
図4に示されている。
図4に示す各回路要素の実体は次の通りである。
C1:ハーネス側コネクタ12内部のコンデンサ14に相当する静電容量
R :芯線11aとシールド導体11bの間の絶縁抵抗
C2:芯線11aとシールド導体11bの間の浮遊容量
L :芯線11a等に存在するインダクタ成分
従って、アンテナ用ワイヤハーネス10の等価回路については、
図2に示すようにC1、C2、Lの各成分を含んでいる。
【0031】
図1に示すように、芯線短絡部P1で試験機側コネクタ21の中心側電極21aと試験機側コネクタ22の中心側電極22aとを短絡することにより、コンデンサ14の一端と他端との間を電気的に接続することになる。従って、定常状態ではコンデンサ14の両端の間の電圧は0Vになる。しかし、試験の際に絶縁抵抗/耐圧試験機30の出力から直流電圧を印加する場合であっても、オンオフの切り替わりの際に高電圧の立ち上がりおよび立ち下がりが発生するので、この時の交流成分に対して
図2に示すC1、C2、Lの各成分の影響が現れ、コンデンサ14の両端の間に高電圧が現れる可能性がある。特に、同軸ケーブル11の長さが長い場合には、C1、C2、Lの各成分の影響が大きくなる可能性がある。
【0032】
試験用の直流電圧を印加した直後のアンテナ用ワイヤハーネス10の等価回路は
図5に示すように表される。すなわち、直流電圧を印加した直後には、インダクタ成分Lによって短い間(例えば8ns)だけ逆起電力が発生し、この影響でコンデンサ14(C1)の両端に次式で表される電圧Vc1が現れる。
Vc1=(印加電圧)×C2/(C1+C2) ・・・(1)
【0033】
また、試験用の直流電圧を印加してから十分に時間が経過した後のアンテナ用ワイヤハーネス10の等価回路は
図6に示すように表される。すなわち、直流電圧が印加されてから十分な時間が経過すると、インダクタ成分Lの逆起電力の影響が無くなるので、コンデンサ14(C1)の両端は芯線短絡部P1で短絡された状態になり、コンデンサ14(C1)の両端は同電位になる。
【0034】
つまり、高電圧試験用治具20を用いて芯線短絡部P1でアンテナ用ワイヤハーネス10の一端と他端とを短絡した場合であっても、前記第(1)式の電圧がコンデンサ14に一時的に印加されることになり、これがコンデンサ14の耐圧(例えば50V)を超える場合にはコンデンサ14が破壊される可能性がある。
【0035】
高電圧試験用治具20に時定数回路23aがない場合の電圧の波形が
図7に示されている。すなわち、アンテナ用ワイヤハーネス10に印加される入力電圧Vin(A点−D点間の電圧)が
図7に示す波形のように急激に変化する時には、過渡状態の期間中にコンデンサ14(C1)の両端に電圧Vc1が現れる。
図7に示す例では、入力電圧Vinとして5Vの変化を与えた時に、最大で3.8Vの振幅の電圧Vc1が観測された。従って、仮に1000Vを入力電圧Vinとして印加する場合には、760Vの高電圧がコンデンサ14(C1)の両端に印加され、コンデンサ14が絶縁破壊されることになる。
【0036】
一方、高電圧試験用治具20に時定数回路23aがある場合の電圧の波形が
図8に示されている。すなわち、アンテナ用ワイヤハーネス10に印加される入力電圧Vin(A点−D点間の電圧)は時定数回路23aの影響で
図8に示す波形のように立ち上がり及び立ち下がりがなだらかになっている。その結果、過渡状態の期間中でもコンデンサ14(C1)の両端に現れる電圧Vc1はノイズレベル程度まで小さくなっている。
【0037】
実際の試験状態でアンテナ用ワイヤハーネス10内部のコンデンサ14(C1)の端子間に現れた電圧波形の例が
図9に示されている。
図9に示す例では、前記入力電圧Vinとして直流500Vを印加した時の過渡状態におけるコンデンサ14(C1)の両端に現れる電圧Vc1を表している。この例では、電圧Vc1の振幅の最大値が4.68Vなのでコンデンサ14の一般的な耐圧(例えば50V)を考慮すれば全く問題はない。
【0038】
つまり、アンテナ用ワイヤハーネス10の絶縁抵抗試験の際に、絶縁抵抗/耐圧試験機30が出力する直流高電圧(例えば1000V)を急激にオンオフする場合であっても、高電圧試験用治具20に時定数回路23aを搭載することで、過渡状態において耐圧を超える高電圧がコンデンサ14の端子間に印加されるのを防止することができる。なお、絶縁抵抗/耐圧試験機30の出力する電圧の変化が緩やかな場合や、同軸ケーブル11の長さが比較的短い場合のようにインダクタ成分Lの影響が小さい場合には、時定数回路23aがなくても問題が生じない可能性もある。
【0039】
(変形例)
変形例の高電圧試験装置を用いてアンテナ用ワイヤハーネス40を試験する時の接続状態が
図10に示されている。
図10に示す例では、検査対象として用いるアンテナ用ワイヤハーネス40は、2本の同軸ケーブル41および43と、ハーネス側コネクタ42、44、および45を備えている。すなわち、同軸ケーブル41の一端および同軸ケーブル43の一端が共通のハーネス側コネクタ45に接続され、同軸ケーブル41の他端がハーネス側コネクタ42と接続され、同軸ケーブル43の他端がハーネス側コネクタ44と接続されている。
【0040】
ハーネス側コネクタ42はJASOプラグ、ハーネス側コネクタ45は高周波コネクタ(HFC)、ハーネス側コネクタ44はJASOミニプラグである。ハーネス側コネクタ42の内部には、コンデンサ46が内蔵されている。
【0041】
図10に示す高電圧試験用治具(高電圧試験装置)20Bは、1回の試験だけでアンテナ用ワイヤハーネス40の全体について検査できるように構成してある。すなわち、高電圧試験用治具20Bは試験機側コネクタ51、52、及び53を有している。また、試験機側コネクタ51と試験機側コネクタ52と試験機側コネクタ53とは互いに近接した位置に配置されている。
図10に示すように、試験機側コネクタ51はハーネス側コネクタ42と接続され、試験機側コネクタ52はハーネス側コネクタ44と接続され、試験機側コネクタ53はハーネス側コネクタ45と接続される。
【0042】
また、芯線短絡部P3で試験機側コネクタ51の中心側電極と、試験機側コネクタ52の中心側電極と、試験機側コネクタ53の中心側電極とが電気的に共通に接続されている。また、シールド線短絡部P4で、試験機側コネクタ51の外周側電極と、試験機側コネクタ52の外周側電極と、試験機側コネクタ53の外周側電極とが電気的に共通に接続されている。
【0043】
従って、
図10に示すように接続した状態で、絶縁抵抗/耐圧試験機30の出力から電圧を出力すれば、同軸ケーブル41の全体および同軸ケーブル43の全体に電圧を印加することができ、1回の作業だけでアンテナ用ワイヤハーネス40の全体の試験を完了できる。
【0044】
以上のように、本発明の高電圧試験装置は、例えば車両に搭載するアンテナケーブルなどの絶縁抵抗試験や耐圧試験を行う場合に利用することができ、特に検査対象のケーブルがコンデンサを内蔵している場合であっても、1回の作業だけでケーブル全体の試験を完了することができ、作業性の改善に役立つ。しかも、コネクタを接続するだけで試験を開始できるので誤った接続操作によってコンデンサに過大な電圧が印加されるのを防止することができる。また、時定数回路を搭載することにより、一時的な過渡状態でコンデンサに過大な電圧が印加されるのを防止することもできる。