特許第5795478号(P5795478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5795478-遠心羽根 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795478
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】遠心羽根
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20150928BHJP
   F04D 29/02 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   F04D29/28 N
   F04D29/28 Q
   F04D29/28 C
   F04D29/02
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-30204(P2011-30204)
(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公開番号】特開2011-153625(P2011-153625A)
(43)【公開日】2011年8月11日
【審査請求日】2014年1月7日
(31)【優先権主張番号】201010103259.0
(32)【優先日】2010年1月27日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ロ チン クウォック
(72)【発明者】
【氏名】ドン シャ リウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ユ
【審査官】 塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−088098(JP,U)
【文献】 特開2009−036211(JP,A)
【文献】 特開平02−204698(JP,A)
【文献】 特表2007−518933(JP,A)
【文献】 特開2008−138683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0280609(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、本体に装着されたバックプレートとを備え、本体が静電気防止プラスチックで作られ、バックプレートが金属で作られ、前記本体は、カバープレート、及びこのカバープレートとバックプレートとの間に延びる複数の翼を備え、前記本体は、更に、翼の半径方向外端に形成された外側リングを備え、前記バックプレートは、この外側リングの内部に配置され、前記外側リングは、前記バックプレートを越えて軸方向に延びる、遠心羽根。
【請求項2】
前記本体は、静電気防止プラスチックのモノリシック構造である、請求項1に記載の遠心羽根。
【請求項3】
前記バックプレートは、アルミニウムで作られる、請求項1又は2に記載の遠心羽根。
【請求項4】
前記バックプレートは、前記外側リングの可塑変形により前記外側リングの半径方向内面にしっかり接続される、請求項1から3のいずれかに記載の遠心羽根。
【請求項5】
前記バックプレートは、複数のスルーホールを有し、前記翼は、それらスルーホールに延びる突起を有する、請求項1から4のいずれかに記載の遠心羽根。
【請求項6】
前記突起は、前記バックプレートを前記翼にしっかり接続する、請求項に記載の遠心羽根。
【請求項7】
前記本体は、更に、前記翼の半径方向内端に形成された内側リングを備え、前記バックプレートは、中心穴を有し、その周囲がその内側リングにしっかり接続される、請求項1から6のいずれかに記載の遠心羽根。
【請求項8】
本体と、本体に装着されたバックプレートとを備え、本体がプラスチックで作られ、バックプレートが金属で作られ、前記本体は、カバープレート、及びこのカバープレートの1つの面に配置された複数の翼を備え、前記バックプレートは、カバープレートから離れた側の複数の翼の軸方向端に接続され、前記本体は、バックプレートを受け入れる受け入れ空間を形成する半径方向外端を有し、前記バックプレートは、複数の翼に面する第1の軸方向端面と、第1の軸方向端面の反対側の第2の軸方向端面とを有し、前記本体の半径方向外端は、前記カバープレートから離れた側にあって前記バックプレートの第2の軸方向端面よりも前記カバープレートから遠くに位置する軸方向端を有する、遠心羽根。
【請求項9】
前記本体は、静電気防止プラスチックのモノリシック構造である、請求項8に記載の遠心羽根。
【請求項10】
前記バックプレートは、複数のスルーホールを有し、前記翼は、それらスルーホールに延びる突起を有し、この突起の先端は、前記バックプレートの第2の軸方向端面を越えて延びて前記受け入れ空間に受け入れられる、請求項8又は9に記載の遠心羽根。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心羽根に係り、より詳細には、ガスを燃料とする給湯器の予混合送風機に使用するための静電気防止特性を有する遠心羽根に係る。
【背景技術】
【0002】
ガスを燃料とする給湯器の予混合送風機のための従来の遠心羽根は、金属で形成され、バックプレートと、入口開口をもつカバープレートと、これらバックプレート及びカバープレートに接続された翼とを備えている。この羽根は、送風機の渦巻部の中に配置され、そしてバックプレートによりモータのシャフトに固定される。カバープレートの入口は、渦巻部の入口付近に配置される。動作中に、ガス及び空気の混合物が入口を通して渦巻部へ流れ込み、翼間に形成された通路に通され、そして渦巻部の出口から流出される。羽根がガス及び空気の混合物に露出されるので、羽根及び渦巻部は、静電気防止特性を有していて、羽根に静電気が蓄積するのを回避し、さもなければ、静電気放電を生じてガス及び空気の混合物を点火させる。バックプレート、翼及びカバープレートは、同じ材料で作られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
日本国特許出願公告第JP9−126185号は、バックプレート、カバープレート及び翼が全てアルミニウムで作られ、翼の2つの側縁がカバープレート及びバックプレートに各々固定された羽根を開示している。羽根の重量は大きく、そのアッセンブルプロセスは、複雑である。又、羽根と渦巻部とが偶発的に接触すると、火花を発生して、ガス空気混合物を点火するおそれが生じる。これらの問題を解消するため、バックプレート、カバープレート及び翼が全て静電気防止プラスチックで作られた羽根が開発された。しかしながら、そのコストは、アルミニウム羽根のコストの何倍にもなる。
【0004】
そこで、軽量で、使用中に渦巻部に接触した場合にも火花を発生せず、且つコスト効率の良い静電気防止羽根が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、その1つの態様において、本体と、本体に装着されたバックプレートとを備え、本体が静電気防止プラスチックで作られ、バックプレートが金属で作られた遠心羽根を提供する。
【0006】
好ましくは、本体は、静電気防止プラスチックのモノリシック構造である。
【0007】
好ましくは、バックプレートは、アルミニウムで作られる。
【0008】
好ましくは、本体は、カバープレート、及びこのカバープレートとバックプレートとの間に延びる複数の翼を備えている。
【0009】
好ましくは、本体は、更に、翼の半径方向外端に接続された外側リングを備え、バックプレートは、この外側リングの内部に配置される。
【0010】
好ましくは、外側リングは、バックプレートを越えて軸方向に延びる。
【0011】
好ましくは、バックプレートは、外側リングの可塑変形により外側リングの半径方向内面にしっかり接続される。
【0012】
好ましくは、バックプレートは、複数のスルーホールを有し、翼は、それらスルーホールに延びる突起を有する。
【0013】
好ましくは、突起は、バックプレートを翼にしっかり接続する。
【0014】
好ましくは、本体は、更に、翼の半径方向内端に接続された内側リングを備え、バックプレートは、中心穴を有し、その周囲が内側リングにしっかり接続される。
【0015】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図に現れる同じ構造物、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示す。図示されたコンポーネント及び特徴部の寸法は、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであって、必ずしも一定の縮尺率で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の好ましい実施形態による遠心羽根を上から見た分解図である。
図2図1の羽根を下から見た分解図である。
図3】アッセンブルされた羽根の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい遠心羽根は、本体10と、この本体10に装着されたバックプレート60とを備えている。本体10及びバックプレート60の一方は、プラスチックで作られ、そしてその他方は、金属で作られる。
【0018】
好ましくは、本体10が静電気防止プラスチックで作られ、そしてバックプレート60が金属で作られる。本体10は、バックプレート60と反対のカバープレート20と、このカバープレート20の片側に接続された複数の翼30とを備えている。カバープレート20の中心には、空気入口22が形成される。翼30の半径方向外端は、カバープレート20の外周を越えて延びる。好ましくは、この本体は、単一部片の品目として形成されるか、又は射出成型によりモノリシック構造として形成される。
【0019】
本体10は、更に、翼30の半径方向外端に接続された外側リング40も備えている。この外側リング40は、軸方向に延びる管状構造である。バックプレート60は、外側リング40の内部に配置され、そしてボンディング、溶接、又は好ましくは外側リング40の可塑変形により、外側リング40の内面にしっかり接続される。好ましくは、外側リング40には、軸方向にバックプレート60を越えて延びる軸方向端(カバープレート20から離れた端)が設けられる。この構成は、バックプレートの外縁が渦巻部に偶発的に接触するのを防止する。外側リング40の内半径は、カバープレート20の外半径より大きく、本体10を成形ダイから取り外し易くしている。
【0020】
翼30には、カバープレート20から離れた側に突起32が設けられている。バックプレート60には、突起32を通すために突起32に対応するスルーホール62が設けられる。好ましくは、突起32は、スルーホール62を貫通してバックプレート60を越えて延び、そしてバックプレート60にしっかり接続される。好ましくは、突起32は、バックプレートを本体に固定するように高温杭止め(hot stake)されるか、さもなければ、塑性変形される。
【0021】
本体10は、更に、ハブ50を備え、このハブは、装着穴を伴う装着ポスト52と、この装着ポスト52から延びるコーン54とを含む。コーン54の端には、内側リング56が形成される。羽根は、装着ポスト52をモータシャフトに嵌合し固定することによってモータに接続され、従って、羽根は、一般的に知られたように、シャフト共に回転する。翼30の半径方向内端は、コーン54の外面に接続される。バックプレート60には、中心穴64が設けられ、その周囲は、好ましくは内側リング50の可塑変形により内側リングにしっかり接続される。従って、バックプレートの内縁は、渦巻部に偶発的に接触することが防止される。
【0022】
好ましくは、バックプレート60は、理想的にはアルミニウムシートの型抜きにより、アルミニウムから作られる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、本体10及びバックプレート60が、各々、プラスチック及び金属で形成され、従って、羽根の重量が軽くなり、そしてコストは、静電気防止プラスチックで全体的に作られた羽根より低くなる。この羽根は、ガスを燃料とする給湯器の予混合送風機に使用される。というのは、外側リング40の軸方向端及び/又は突起32がバックプレート60を越えて延び、金属バックプレート60と送風機の金属渦巻部との間の直接的な接触を防止するからである。羽根が使用中にずれた状態になると、このような直接的な接触で火花が発生して、ガス/空気混合物を点火し、破滅的結果を招くことがある。
【0024】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、ここに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0025】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【符号の説明】
【0026】
10:本体
20:カバープレート
22:空気入口
30:翼
32:突起
40:外側リング
50:ハブ
52:装着ポスト
54:コーン
56:内側リング
60:バックプレート
62:スルーホール
64:中心穴
図1
図2
図3