(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の発明に係る生ごみの処理装置は、回収された生ごみを乾燥させる乾燥部と、乾燥部で乾燥された生ごみを燃焼させる燃焼装置と、燃焼装置で発生する燃焼熱を、乾燥部に伝導する伝熱部と、を備え、乾燥部は、燃焼装置の周囲に設けられ、
燃焼装置は、同軸で回転可能な外筒と内筒との二重構造を有する本体筒と、筒体の先端に接続して、燃焼剤を燃焼させる燃焼筒と、外筒と内筒との隙間を利用して、内筒および燃焼筒の内部空間に、空気を供給する通風路と、を有し、本体筒および燃焼筒は、水平面に対して上向きの傾斜を有し、通風路は、供給可能な全空気量の30%〜50%を、内筒の内部空間に供給し、供給可能な全空気量の50%〜70%を、燃焼筒の内部空間に供給する。
【0019】
この構成により、処理装置は、燃焼温度や含水率の異なる生ごみを、確実かつ効率的に燃焼させる。この構成により、燃焼装置は、乾燥生ごみを確実かつ効率的に燃焼できる。特に、無機廃棄物となるまで、完全に燃焼させることができる。
【0020】
本発明の第2の発明に係る生ごみの処理装置では、第1の発明に加えて、燃焼装置は、生ごみを灰化させる。
【0021】
この構成により、処理装置は、生ごみを無機廃棄物にできるので、埋め立てを必要としない。
【0022】
本発明の第3の発明に係る生ごみの処理装置では、第1又は第2の発明に加えて、燃焼装置は、所定の燃料を用いて初期燃焼し、伝熱部は、初期燃焼で得られる熱を乾燥部に伝導する。
【0023】
この構成により、処理装置は、生ごみの乾燥を行える。
【0024】
本発明の第4の発明に係る生ごみの処理装置では、第3の発明に加えて、初期燃焼後には、乾燥部で乾燥された生ごみが、燃焼装置に供給される。
【0025】
この構成により、燃焼装置は、余分な燃料を利用せずに、乾燥生ごみを燃焼させることができる。
【0028】
本発明の第
5の発明に係る生ごみの処理装置では、
第1から第4のいずれかの発明に加えて、乾燥部は、外筒および燃焼筒の少なくとも一部の外周に設けられる。
【0029】
この構成により、乾燥部は、燃焼熱を最大限に活用できる。
【0030】
本発明の
第6の発明に係る生ごみの処理装置では、
第1から第5のいずれかの発明に加えて、乾燥部は、60℃〜90℃の燃焼温度を維持して、生ごみを乾燥させる。
【0031】
本発明の
第7の発明に係る生ごみの処理装置では、
第1から第6のいずれかの発明に加えて、乾燥部は、含水率が10%〜15%となるように、生ごみを乾燥させる。
【0032】
これらの構成により、乾燥部は、燃焼装置での燃焼を容易にする乾燥状態に、生ごみを観想させることができる。
【0033】
本発明の
第8の発明に係る生ごみの処理装置では、
第1から第7のいずれかの発明に加えて、内筒の内部空間に生ごみを破砕する破砕部材が収納されている。
【0034】
本発明の
第9の発明に係る生ごみの処理装置では、
第8の発明に加えて、破砕部材は、酸化アルミナを主成分とし、2〜30mmの粒径を有する略球体のセラミックボールを含む。
【0035】
この構成により、燃焼装置は、より効率的かつ確実に、乾燥生ごみを燃焼させることができる。
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0038】
まず、生ごみの処理装置を中心としたリサイクルの全体概要について説明する。
【0039】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1におけるリサイクルシステムの模式図である。
図1に示されるリサイクルシステム1は、生ごみの処理装置2を中心としたシステムである。生ごみ処理装置2は、自治体、地域、事業場などに設けられる処理施設5に設置される。処理施設5は、大掛かりな施設や領域ではなく、自治体や地域が所有する建物や敷地に、簡易に設けられる程度でよい。あるいは、事業場の一部の領域に処理施設5が設置されれば良い。
【0040】
家庭4や事業場5から、生ごみ(燃えるごみとして回収されるごみなどを含む。すなわち、いわゆる家事の過程で発生するごみだけでなく、紙ごみや木屑などの焼却可能な燃えるごみ全般を含む)が回収される。回収は、現行でも行われているごみ収集によって実行されれば良い。回収された生ごみは、処理施設5に設けられる集積所3に集積される。処理装置2は、集積所3に集積されている生ごみを燃焼処理する。すなわち、集積所3に集積されている生ごみが、処理装置2に供給されて燃焼処理が行われる。
【0041】
処理装置2は、燃焼処理した後で生じる灰を、肥料や土壌改良材のリサイクル材として供出する。処理装置2は、後述の通り、生ごみを完全に燃焼して灰化できるので、排出される灰は、余分な成分を含んでおらず、肥料や土壌改良材として容易に活用される。灰が活用されることで、焼却処理後の排出物を、埋め立てする必要がなくなる。
【0042】
このとき、処理施設5を運営する事業者や自治体が、リサイクル材としての灰を流通させれば良い。例えば、農家に肥料として灰を提供・販売したり、商社を通じて建設会社などに土壌改良材として灰を提供・販売したりする。
【0043】
このように
図1に示されるリサイクルシステムは、従来は焼却処理と埋め立て処理とを必要としていた家庭4や事業場5から排出される生ごみを、完全にリサイクルできるようになる。結果として、循環型社会を実現できるようになる。
【0044】
次に、生ごみの処理装置2の概要について説明する。
【0045】
(処理装置)
図2は、本発明の実施の形態1における処理装置の斜視図である。処理装置2は、乾燥部20、燃焼装置6および伝熱部30を備える。乾燥部20は、回収された生ごみを乾燥させる。燃焼装置6は、乾燥された生ごみ(以下、「乾燥生ごみ」という)を燃焼させる。伝熱部30は、燃焼装置6で発生する燃焼熱を、乾燥部20に伝導する。
【0046】
乾燥部20は、その内部に集積所3から供給される生ごみを収容している。乾燥部20は、この収容する生ごみを乾燥して、燃焼装置6での燃料となる乾燥生ごみを生成する。
【0047】
処理装置2は、最初に燃焼装置6に所定の燃料を初期燃料として供給して、燃焼装置6を初期燃焼させる。所定の燃料は、液化燃料であったり、乾燥燃料であったり、ガス燃料であったり、種々のものを含む。この初期燃料による初期燃焼によって、燃焼装置6は、その温度を上昇させる。
【0048】
乾燥部20は、燃焼装置6の周囲に設けられる。
図2では、燃焼装置6が備える外筒10および燃焼筒13の少なくとも一部の外周に、乾燥部20が設けられる。初期燃焼によって燃焼装置6の温度が上昇すると、外筒10や燃焼筒13の温度も上昇する。外筒10および燃焼筒13の外周は、伝熱部30の役割を有しており、外筒10および燃焼筒13の熱を、乾燥部20に伝導する。この伝導された熱によって、乾燥部20は、収容している生ごみを乾燥させて、乾燥生ごみを生成する。
【0049】
手動あるいは自動で、乾燥部20内部の乾燥生ごみが取り出されて、供給部15から、燃焼装置6の内部に乾燥生ごみが供給される。乾燥生ごみは、脱水および乾燥されているので、燃焼装置6における燃料として適している。脱水および乾燥されていることによって、ごみの種類による含水量のばらつきが少ない。このため、燃焼装置6は、供給される乾燥生ごみを均一に燃焼させることができる。均一な燃焼によって、燃焼後は、不純物や不均一の少ない灰を生成できるようになる。この灰は、上述の通り、不純物や不均一が少ないので、リサイクル材としての活用が容易となる。もちろん、燃え残りや不純物などが非常に少ないことで、燃焼後の物質を埋め立て処理する必要もない。
【0050】
また、燃焼装置6が乾燥生ごみを燃料として燃焼している間には、外筒10や燃焼筒13の温度が上昇する。この温度上昇によって生じる熱を、伝熱部30は、乾燥部20に伝導し、乾燥部20は、収容する生ごみを、乾燥できる。すなわち、処理装置2は、乾燥生ごみによる燃焼によって次に乾燥生ごみとなる生ごみを乾燥することを並列に行える。乾燥生ごみを燃焼処理する際に発生するエネルギーが、燃料となる乾燥生ごみの生成に利用されることで、処理装置2のエネルギー効率は非常に高いことになる。乾燥部20における生ごみの乾燥と、燃焼装置6で乾燥して得られる乾燥生ごみの燃焼とが並列的かつ連続的に進むことで、処理装置2は、多くの生ごみを効率的に処理できる。
【0051】
以上のように、処理装置2は、燃焼装置6に最初に与える初期燃料のみで、生ごみの処理および処理後物質のリサイクルを実現でき、循環型社会の実現の一助となる。
【0053】
(乾燥部)
乾燥部20は、回収された生ごみ(集積所3を経由しても良いし、各家庭などから直接供給されても良い)を乾燥させる。燃焼装置6での燃焼で発生する熱を利用して、乾燥部20は生ごみを乾燥して乾燥生ごみを生成する。
【0054】
乾燥部20は、燃焼装置6の周囲に設けられることが好ましい。更には、
図2に示されるように、外筒10および燃焼筒13の少なくとも一部の外周に設けられることが好ましい。外筒10および燃焼筒13の少なくとも一方は、燃焼装置6での燃焼によって温度が上昇する。この温度上昇による熱を、外筒10および燃焼筒13は有するようになる。
【0055】
乾燥部20は、内部空間を有しており、内部空間に対する入り口や出口も必要に応じて有している。回収された生ごみは、内部空間に収容される。生ごみの乾燥部20への収容は、手作業で行われてもよいし自動で行われても良い。自動で行われるのであれば、ベルとコンベアーなどによって、回収された生ごみが乾燥部20の内部空間に投入される。
【0056】
また、内部空間には、入り口から生ごみが投入されれば良い。このとき、乾燥されて得られる乾燥生ごみは、入り口と共通である出口から取り出されても良い。この場合には、乾燥部20の構造が簡単になるメリットがある。一方、乾燥部20の内部空間への生ごみの投入と、内部空間からの乾燥生ごみの取り出しを連続的に行う場合には、入り口と出口とが別であることが好ましい。ベルトコンベアーと乾燥部20とが連続的に設置されており、入り口から内部空間に生ごみが供給され、乾燥生ごみが出口から排出されることが、繰り返される。
【0057】
乾燥部20は、燃焼装置6から伝導される熱によって生ごみを乾燥する。すなわち、乾燥部20は、生ごみを脱水・乾燥処理することになる。生ごみは、含水率や燃焼温度の異なる様々な素材を含んでいるので、そのまま燃焼させても、燃焼むらが生じてしまい、灰化させることが困難である。乾燥部20は、脱水・乾燥させるので、このような問題を生じさせない。
【0058】
また、乾燥部20は、燃焼装置6から伝導される熱を用いて生ごみを乾燥させる。このとき、乾燥部20は、60℃〜90℃の温度を維持して、生ごみを乾燥させる。60℃未満であると、生ごみの乾燥が不十分であるし、90℃より高いと、生ごみが乾燥しすぎたり、発火したりして、適切な脱水および乾燥ができなくなるからである。
【0059】
また、乾燥部20は、乾燥されて得られる乾燥生ごみの含水率が、10〜15%となるように、生ごみを乾燥させることが好適である。乾燥生ごみの含水率が、10%未満である場合には、乾燥が進みすぎて燃焼での不完全燃焼の原因となりうるからである。一方、乾燥生ごみの含水率が、15%より大きい場合には、乾燥生ごみが燃焼しにくくなってしまうからである。このため、乾燥部20は、乾燥生ごみの含水率が10〜15%となるように、生ごみを乾燥させることが好適である。
【0060】
なお、乾燥部20が生ごみを乾燥させるにおける含水率は、地域性や処理施設5を運営する事業者の仕様によって変動しうる。このため、10%〜15%との値は、目安であってこれ以外の含水率を排除する意図ではない。
【0061】
乾燥部20は、生ごみを脱水・乾燥させる場合に、ターゲットとなる含水率に到達したことを示す計測部および表示部を有することも好適である。計測部は、例えば乾燥部20が備える湿度センサーを用いる。湿度センサーの値と生ごみの含水率との相関関係を予め備えておくことで、計測部は、生ごみの含水率を識別できる。
【0062】
また、含水率を表示する表示部は、処理装置2を操作するコントローラーに合わせて設けられることも好適である。
図3は、本発明の実施の形態1におけるコントローラーの模式図である。コントローラー21は、処理装置2での処理を実行する際に、使用者によって使用される。使用者は、コントローラー21を用いて、乾燥部20や燃焼装置6を制御する。
【0063】
コントローラー21は、画面22、操作ボタン23などを備えており、使用者は、画面22に表示される表示内容を確認しながら、処理装置2を動作させる。この画面22には、乾燥部20において乾燥されている生ごみの含水率が表示される。使用者は、画面22に表示される含水率を確かめてから、乾燥生ごみを乾燥部20から取り出す(排出する)操作を行う。
【0064】
また、画面22には、生ごみの含水率だけでなく、生ごみの量や作業時間などの様々な情報が表示される。もちろん、使用者にとって必要な作業項目やヘルプ情報も、必要に応じて表示される。
【0065】
以上のように、乾燥部20は、生ごみを乾燥させて、燃焼装置6において均一に燃焼させやすくする。この結果、燃焼装置6による生ごみの効率的な焼却処理と、完全な焼却処理とが可能となり、灰化が実現できる。
【0066】
なお、乾燥部20は、燃焼装置6が発生する熱を受けて生ごみを乾燥させるので、乾燥部20が燃焼装置6の周囲に設けられることが好ましい。周囲とは、物理的な外周だけでなく、燃焼装置6の熱を伝導できる領域も含む。
【0067】
また、乾燥部20は、燃焼装置6が外部に放出する熱を回収して、回収した熱を生ごみの乾燥に用いることも好適である。燃焼装置6は、燃焼に合わせて外部に放出する。例えば、燃焼装置6の外部に循環路が設けられて、この循環路は乾燥部20に熱を誘導する。すなわち、この循環路は伝熱部30の役割を果たす。あるいは循環路ではなく、外部に放出された熱を、袋のようなもので回収して、乾燥部20に供給されても良い。
【0068】
また、乾燥部20に、生ごみが自動で運搬されるコンベアーが備わることも好適である。コンベアーは、乾燥部20に生ごみを自動で運搬し、生ごみの乾燥にかかる手間を削減する。また、このコンベアーそのものが乾燥機能を有しており、乾燥機能によって処理装置1に運搬される際には、生ごみが既に乾燥状態であることもよい。この場合には、コンベアーが乾燥部20としての機能を果たす。
【0069】
更には、乾燥部20に運搬される前に、生ごみを粉砕する粉砕処理部が備わっていても良い。粉砕されてから乾燥、燃焼されることで、効率的かつ容易な燃焼が可能となるからである。
【0070】
(伝熱部)
伝熱部30は、燃焼装置6で発生する熱を、乾燥部20に伝導する。例えば、
図2に示されるように、乾燥部20が燃焼装置6の外筒10および燃焼筒13の少なくとも一部の外周に設けられる場合には、外筒10および燃焼筒13の外周部材が伝熱部30となる。
【0071】
また、乾燥部20が、燃焼装置6から離れた位置に設けられる場合には、伝熱部30は、この乾燥部20に燃焼熱を伝導させる金属部材を備える。あるいは、伝熱部30は、熱を有する空気を送る送風機構を備える。これらの構造によって、伝熱部30は、燃焼装置6で発生する熱を、乾燥部20まで運搬する。燃焼装置6が送風パイプを備えており、この送風パイプが燃焼装置6で発生する熱を、乾燥部20に伝導する(伝播する)。
【0072】
伝熱部30は、燃焼装置6で発生する熱を伝導させるので、熱伝導性の高い素材で構成されることが好ましい。金属、合金などがこの素材の候補として挙げられる。例えば銅やアルミニウムは、熱伝導性が高く伝熱部30の素材として好適である。もちろん、燃焼装置6の筒体の外周が伝熱部30となる場合には、燃焼装置6に必要となる耐久性や耐熱性も必要であるので、これらに対応する素材が、伝熱部30を構成すれば良い。
【0073】
伝熱部30は、このように、様々な手段や構成を用いて、燃焼装置6で発生する熱を乾燥部20に伝導する。この伝熱部30による熱の伝導を受けて、乾燥部20は、生ごみを乾燥させる。
【0074】
(燃焼装置)
次に、燃焼装置について説明する。
図4は、実施の形態1における燃焼装置の側面図である。
図4は、乾燥部20などと燃焼装置6を一緒に示している。燃焼装置6は、乾燥部20で乾燥されて得られる乾燥生ごみ(既に述べた通り、乾燥部20で乾燥させられた生ごみ。狭義の生ごみだけを含むのではなく、家庭や事業上から排出される燃えるごみ一般を広く含む)を燃焼させる。この燃焼によって、乾燥生ごみは、完全に燃焼されて、灰化する。燃焼装置6は、乾燥生ごみの燃焼ムラを生じさせないので、灰化して得られる灰は、余分な有機物となりうる燃え残りが生じることはない。このため、得られる灰は、肥料や土壌改良材などに好適に利用できるようになる。
【0075】
燃焼装置2は、本体筒12と燃焼筒13とを大きな構成要素として備える。本体筒12は、一次燃焼を行い、燃焼筒13は、二次燃焼を行う。一次燃焼と二次燃焼とを一体の燃焼装置6で行えることで、乾燥生ごみを確実に燃焼させることができる。特に、一次燃焼と二次燃焼とを一体の燃焼装置6が行えることで、常に高温を保つことができる。
【0076】
本体筒12は、外筒10と内筒11とを備え、外筒10と内筒11とは同軸で回動可能な二重構造を有する。すなわち、内筒11の周囲を外筒10が覆う二重構造であって、外筒10と内筒11とは、同軸で一緒に回動する(勿論個別に回動しても良い)。この二重構造によって、外筒10と内筒11との間には隙間が生じる。この隙間は内筒11と燃焼筒13の内部空間に空気を供給する通風路14となる。
【0077】
図4中の破線矢印は、空気の供給経路を示す。なお、通風路14を通る空気は、外筒10の根元における開口部から取り込まれる。
【0078】
外筒10と内筒11とは、開放されている開放端部と閉塞している閉塞端部とを有する。開放端部には、燃焼筒13が接続され、内筒11の内部で一次燃焼していた燃焼剤が、更に高温になって燃焼筒13の内部空間で二次燃焼を行う。
【0079】
内筒11の外周の一部は、切れ欠きを有しており、この切れ欠きを通じて、通風路14は、空気を内筒11の内部に送り込む。また、燃焼筒13は、外筒10に接続されているので、内筒11と外筒10との二重構造によって生じる隙間である通風路14の先端が、燃焼筒13の根元に接続する。すなわち、通風路14の先端の開放部から、そのまま空気が燃焼筒13の内部空間に送り込まれる。
【0080】
このようにして、通風路14は、内筒11の内部空間と燃焼筒13の内部空間のそれぞれに空気を送り込む。
【0081】
また、このとき、通風路14は、取り込んだ空気であって供給可能な全空気量の30%〜50%を内筒11の内部空間に供給し、全空気量の50%〜70%を燃焼筒13の内部空間に供給する。このように、一次燃焼を行う内筒11に供給される空気量よりも、二次燃焼を行う燃焼筒13に供給される空気量が多いことで、一次燃焼に引き続く二次燃焼の燃焼力が高まり、燃焼装置6は、常に高い温度(900℃以上)を維持しながら、乾燥生ごみを燃焼させることができる。すなわち、一次燃焼を行う内筒11の内部空間は、全供給量の半分以下の空気の供給によって、一定温度までの燃焼を行う。温度が上昇して、燃焼剤20の灰化が進むにつれてその質量が軽くなっていくと、燃焼剤20および炎は物理的に上方に位置する燃焼筒13に上昇する。この燃焼筒11の内部空間は、内筒11よりも多い量の空気を供給されるので、内筒11における燃焼温度よりも高い温度で、燃焼剤を燃焼させる。結果として、乾燥生ごみを確実に灰化して無機廃棄物にする。
【0082】
ここで、本体筒12と燃焼筒13とは、水平面に対して上向きの傾斜を有するので、内筒11での一次燃焼から燃焼筒13での二次燃焼に、物理的につながりやすくなる。温度上昇に合わせて燃焼物体が上方に上昇するが、上方においては、燃焼筒13が存在するので、乾燥生ごみは、この燃焼筒13で更に高温に燃焼される。
【0083】
なお、乾燥生ごみは、供給路15を通じて、内筒11の内部空間に供給される。
【0084】
燃焼手段5は、このような構造を有する燃焼装置6を用いることで、乾燥生ごみを確実に燃焼させて灰化させ、有機廃棄物を無機廃棄物に変換できる。また、燃焼において、900℃以上の高温を維持して乾燥生ごみが燃焼されるので、有毒ガスや飛散物もほとんど出ない。
【0085】
(燃焼装置の実施例)
図5は、本発明の実施の形態1における実際に製作した燃焼装置の側面図である。
【0086】
燃焼装置6は、前方が開口しており、後方が閉塞している。開口している前方において燃焼した熱量が放散され、閉塞している後方において、乾燥生ごみや空気が取り込まれる。
【0087】
本体筒29は、同軸で回動可能な外筒32と内筒33とを備え、内筒33の周囲を一定の隙間を保って外筒32が覆う二重構造となっている。本体筒29は、回動可能であるので、内筒33は、回動する。この回動によって、内筒33の内部空間も回動できる。回動によって、内筒33の内部空間に収納される乾燥生ごみが、燃えながら回転できるので、乾燥生ごみに満遍なく空気や炎が接触でき、内筒33での一次燃焼が促進される。
【0088】
本体筒29の開口部には、同じ筒体である燃焼筒35が接続する。燃焼筒35は、外筒32と接続する状態で接続するので、内筒33と外筒32との間に生じる隙間の一端が、そのまま燃焼筒35の内部空間に接続する。燃焼筒35は、一次燃焼の終わった燃焼剤が、質量低下と温度上昇によって物理的に上昇するのを捕捉して、乾燥生ごみを更なる高温で燃焼させる。
【0089】
ここで、本体筒29と燃焼筒35とは水平面に対して上向きの傾斜を有する。ここで、上向きとは、燃焼筒35の開口部が上向きとなる状態を言う。
【0090】
このような傾斜を有することで、内筒33の内部空間で所定の温度で燃焼した乾燥生ごみは、その質量が減じるので、上方に移動しやすくなる。上方においては、燃焼筒35が位置するので、燃焼筒35は、この移動してきた乾燥生ごみを燃焼させる。すなわち、二次燃焼させる。
【0091】
ここで、外筒32と内筒33との間の隙間は、通風路37となる。通風路37は、空気の供給口45から取り込まれた空気を、内筒33の内部空間と燃焼筒35の内部空間に供給する。ここで、供給口45は、外界とつながっており、外界から空気を取り込んで、通風口38を介して空気を通風路37に送る。通風路37は、この供給された空気を移動させて、その一部を内筒33の内部空間に供給し、残りを燃焼筒35の内部空間に供給する。
【0092】
内筒33は、その外周に吹き出し口40を備える。吹き出し口40は通風路37と連通するので、通風路37を通る空気は、吹き出し口40から漏れて、内筒33の内部空間に送り込まれる。すなわち、通風路37は、吹き出し口40を介して、内筒33の内部空間に空気を供給する。
【0093】
一方、通風路37の先端は、燃焼筒35に直接的に接続している。このため、通風路37は、先端から燃焼筒35の内部空間に空気を供給する。通風路37は、外界から取り込める(すなわち燃焼装置6に供給できる)全空気量の30%〜50%を内筒33の内部空間に供給する。一方通風路37は、全空気量の50〜70%を燃焼筒35の内部空間に供給する。すなわち、燃焼筒35に供給される空気量が、内筒33に供給される空気量よりも多い。結果として、より高温で燃焼する必要のある二次燃焼を行う燃焼筒35に供給される空気量が多くなり、二次燃焼が最適に行われる。
【0094】
なお、吹き出し口40の位置、数、開口面積、形状、角度などを調整することで、通風路37による内筒33への供給量と燃焼筒35への供給量との割合を、適宜調節できる。たとえば、吹き出し口40の総開口面積と通風路37と燃焼筒35との接続する総開口面積との比較において、前者よりも後者を大きくすれば、内筒33の内部空間に供給される空気量よりも、燃焼筒35の内部空間に供給される空気量が多くなるように調整できる。
【0095】
燃焼装置6は、全空気量の30〜50%が供給されると共に物理的に下方に位置する内筒33における一次燃焼と、この一次燃焼に続き、全空気量の50%〜70%が供給されると共に内筒33よりも物理的に上方に位置する燃焼筒35の二次燃焼との連続性によって、乾燥生ごみを確実に燃焼させる。この確実な燃焼によって、有機廃棄物は完全に灰化して、無機廃棄物へと変化する。
【0096】
(燃焼装置の動作)
次に、燃焼装置6の動作について説明する。
乾燥生ごみが、供給路46に投入される。燃焼剤の投入は、人力で行われてもよいし、機械で行われても良い。ここで、乾燥生ごみは、乾燥部20で乾燥された状態のままで投入されても良いし、一定のサイズに切断等された状態で投入されても良いし、ペレット状に形成されてから投入されても良い。
【0097】
供給路46に投入された乾燥生ごみは、回動するスクリューコンベア47の羽根に乗って運搬される。運搬された乾燥生ごみは、内筒33の内部空間に運び込まれる。内筒33の内部空間には、着火装置などによって火が着火されている。
【0098】
供給口45は、外界とつながっており、供給口45は、外界から空気を取り込む。取り込まれた空気は、通風口38を通じて通風路37に送り込まれる。通風路37は、吹き出し口40を通じて、内筒33の内部空間に空気を供給する。このとき、吹き出し口40の総開口面積と通風路37と燃焼筒35との接続する開口面積との比率によって、通風路37は、内筒33に全空気量の30%〜50%を供給する。
【0099】
内筒33は、供給される乾燥生ごみと空気によって、乾燥生ごみを燃焼させる。内筒33が回動することにより、乾燥生ごみが満遍なく空気と接触でき、乾燥生ごみが確実に燃焼させられる。また、空気量の半分以下での空気によっての燃焼であるので、一定温度までで燃焼する。
【0100】
内筒33の内部空間で燃焼した乾燥生ごみは、温度が上昇すると共に質量が軽くなる。このため、次第に上方に移動しうる。
【0101】
上方においては、燃焼筒35が設けられており、燃焼筒35へは、全空気量の半分以上が供給される。このより多い空気量によって、燃焼筒35は、乾燥生ごみを更なる高温で燃焼させる。これが二次燃焼である。乾燥生ごみが、更なる高温で燃焼されることで、乾燥生ごみは確実に灰化し、有機成分が無くなって無機廃棄物が得られる。ここで、燃焼装置6は、900℃以上の温度を維持しながら、乾燥生ごみを燃焼させることができる。無機廃棄物である灰と化すことで、灰は、肥料や土壌改良材として用いることができる。
【0102】
以上のように、燃焼装置6は、乾燥部20で乾燥されて得られる乾燥生ごみを確実に燃焼し、灰化できる。このとき、乾燥部20で生ごみが乾燥させられていることと燃焼装置6の一次燃焼および二次燃焼を行える特殊な構造とが相まって、含水率や燃焼温度などが様々な物質を含む乾燥生ごみを、処理装置2は、十分に燃焼してリサイクル物質となる灰を得ることができる。
【0103】
この灰である無機廃棄物は、畜糞尿を成分としていた有機廃棄物の燃焼によって得られるので、リン成分やカリウム成分などの肥料や水質改質剤にとっての有用成分を含んでいる。これらは、肥料、土壌改良材、水質改質材などに好適に利用できる。すなわち、処理装置2は、リサイクル実現のコア技術となりうる。
【0105】
次に、実施の形態2について説明する。
【0106】
実施の形態2における処理装置2は、実施の形態1と同様に燃焼装置6を備えているが、実施の形態2で用いる燃焼装置6は、内筒33の内部空間に燃焼剤を破砕する破砕部材を収納している。
【0107】
図6は、本発明の実施の形態2における燃焼装置の透視図である。
図6は、燃焼装置6をその内部が見えるように表しており、
図5に示される燃焼装置6と異なり、内筒33の内部空間に破砕部材Bを収納している。なお、
図5と同じ符号については説明を省略する。
【0108】
乾燥生ごみAは、供給路46から投入される。
図6においては、乾燥生ごみAはペレット状に形成されている。もちろん、ペレット状に形成されていなくてもよい。燃焼装置6は、ペレット形状を有した乾燥生ごみAを、所定形状のまま燃焼させるのが通常である。しかしながら、所定形状よりも更に砕いて燃焼させるほうが、燃焼が容易であったり得られる灰の燃焼進行も良かったりする。
【0109】
このような場合には、投入された所定形状のままで燃焼装置6が燃焼させるよりも、乾燥生ごみAを破砕した上で燃焼させた方が良い場合もある。破砕部材Bは、このような場合に、乾燥生ごみAを破砕する。
【0110】
破砕部材Bは、球状、楕円球状、方形状など種々の形状を有することが好ましく、熱に強い素材であることが好ましい。例えば、破砕部材Bは、酸化アルミナを主成分として、2〜30mmの粒径を有する略球体のセラミックボールである。このような破砕部材Bは、内筒33の内部空間で、乾燥生ごみAとぶつかり合うことによって、乾燥生ごみAを破砕させる。乾燥生ごみAは、破砕部材Bによって、破砕されて細かく砕かれる。特に、内筒33は、外筒32と共に回動可能であるから、この回動に合わせて、破砕部材Bは、乾燥生ごみAに衝突を繰り返す。この衝突の繰り返しによって、破砕部材Bは、乾燥生ごみAを細かく砕く。乾燥生ごみAは細かく砕かれることによって、表面積が大きくなり、燃焼されやすくなる。この結果、乾燥生ごみAはより容易に燃焼し、多くの熱量が得られる。更には、燃焼によって灰化が進み、有機成分がほとんど消滅した無機廃棄物が得られる。
【0111】
以上のように、必要に応じて、燃焼装置6は、破砕部材Bを収納することも好適である。燃焼装置6は、破砕部材をはじめとして、燃焼を促進する様々な工夫を有していることが好ましい。
【0113】
次に、実施の形態3について説明する。
【0114】
実施の形態3では、処理装置2を用いた処理手順について説明する。
図7は、本発明の実施の形態3における生ごみの処理方法のフローチャートである。
【0115】
まず、生ごみが回収される。生ごみはいわゆる一般ごみといわれる燃えるごみを広く含む。ステップST1の初期燃焼工程にて、処理装置2が備える燃焼装置6が初期燃焼させられる。初期燃焼においては、化石燃料、燃焼ガスなど、燃焼装置6が初期燃焼するための燃料が与えられる。
【0116】
この初期燃焼の際に、乾燥部20に生ごみが投入されて、生ごみが乾燥させられる。これは、ステップST2にて行われる第1乾燥工程である。この第1乾燥工程によって、燃料による燃焼で生ごみが乾燥させられる。この第1乾燥工程によって生じた乾燥生ごみは、ステップST3の投入工程によって燃焼装置6に投入される。
【0117】
次に、投入された乾燥生ごみが、ステップST4の燃焼工程によって燃焼させられる。この燃焼工程では、実施の形態1,2で説明された燃焼装置6が用いられて、効率的かつ完全に乾燥生ごみが燃焼させられる。この燃焼工程ST4と並行して、ステップST5の通常乾燥工程によって、乾燥部20が次の生ごみを乾燥させる。すなわち、燃焼工程での熱によって、次々と生ごみが乾燥させられる。乾燥工程で得られる乾燥生ごみは、燃焼装置6の燃料となるので、次のステップST6で、新たに生じる乾燥生ごみが燃焼装置6に投入される。
【0118】
投入されれば、この乾燥生ごみは、ステップST4の燃焼工程で燃焼される。この燃焼によって生ごみは灰化して、無機廃棄物である灰が得られる。この灰は、肥料や土壌改良材として用いられる。もちろん、これ等以外の工程が追加されたり、状況に応じていずれかの工程が省略されたりしても良い。
【0119】
生ごみの処理装置2は、このような生ごみの処理方法によって利用され、リサイクル社会のコア技術となりうる。
【0120】
このような廃棄物の循環が行われることで、リサイクルに対する認知度も高まる上、リサイクルを行う業者にとってもコストと収益のバランスが図られるので、リサイクルに参入するメリットが生じる。このように、受益者にとっても提供者にとってもメリットのあるリサイクル方法によって、リサイクルが定着しやすくなるメリットがある。
【0121】
もちろん、生ごみの処理において、埋め立てなどの処理が不要となり、本来のあるべき循環型社会が構築しやすくなる。
【0122】
以上、実施の形態1〜3で説明された生ごみの処理装置、処理方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。