特許第5795529号(P5795529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795529再生水製造方法、及び再生水製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795529
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】再生水製造方法、及び再生水製造システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20150928BHJP
   B01D 65/06 20060101ALI20150928BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20150928BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20150928BHJP
   C02F 9/00 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   C02F1/44 K
   B01D65/06
   C02F1/52 E
   C02F1/78
   C02F9/00 501B
   C02F9/00 502E
   C02F9/00 502R
   C02F9/00 503F
   C02F9/00 504A
   C02F9/00 504C
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-505966(P2011-505966)
(86)(22)【出願日】2010年3月10日
(86)【国際出願番号】JP2010053988
(87)【国際公開番号】WO2010110065
(87)【国際公開日】20100930
【審査請求日】2012年10月31日
【審判番号】不服2014-19742(P2014-19742/J1)
【審判請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】特願2009-80498(P2009-80498)
(32)【優先日】2009年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】野口 基治
(72)【発明者】
【氏名】小園 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 未知子
【合議体】
【審判長】 河原 英雄
【審判官】 萩原 周治
【審判官】 中澤 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−319375(JP,A)
【文献】 特開2000−308812(JP,A)
【文献】 特開2003−251376(JP,A)
【文献】 特開平7−232197(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/27510(WO,A1)
【文献】 特開2002−35552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/44
B01D61/00-71/82
C02F 1/70-7/78
C02F 9/00-9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モード時に、オゾン発生器にて発生させたオゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、
前記オゾン処理の前に、又は後に、前記原水に凝集剤を注入し、
前記オゾン処理及び前記凝集剤の注入の後に、前記原水の分離膜による膜ろ過を行う工程を含み、
記分離膜の膜差圧を前記分離膜を逆洗した後に定期的に測定し、測定された前記膜差圧を経過時間でプロットすることにより膜差圧上昇速度を求め、洗浄モードとする前記洗浄用オゾンの投入間隔を、前記膜差圧上昇速度とパルスで変化させる溶存オゾン濃度から決定し、
前記洗浄モード時に、前記通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを前記原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、前記分離膜の洗浄を行い前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を減少させ再生水製造方法。
【請求項2】
前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を測定し、その膜差圧の上昇速度が所定の値を超えた場合に、前記洗浄用オゾンを前記原水に投入して前記溶存オゾン濃度を間欠的に高める請求項1に記載の再生水製造方法。
【請求項3】
前記原水の濁度を測定し、その濁度が所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない請求項2に記載の再生水製造方法。
【請求項4】
前記通常モード時の投入オゾン量またはオゾン消費量を測定し、前記投入オゾン量またはオゾン消費量が、所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない請求項2または3に記載の再生水製造方法。
【請求項5】
オゾンを発生するオゾン発生器を有し、通常モード時に前記オゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、間欠的に洗浄モードとし、その洗浄モード時に前記通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを前記原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めるオゾン処理部と、
前記オゾン処理の前に、又は後に、前記原水に凝集剤を注入する凝集剤注入部と、
前記オゾン処理部及び前記凝集剤注入部の下流に、前記原水の分離膜による膜ろ過を行う膜ろ過部と、
前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を測定する膜差圧測定手段と、を備え、
前記膜差圧測定手段によって、前記分離膜の前記膜差圧を前記分離膜を逆洗した後に定期的に測定し、測定された前記膜差圧を経過時間でプロットすることにより膜差圧上昇速度を前記オゾン処理部によって求め、前記洗浄モードとする前記洗浄用オゾンの投入間隔を、前記膜差圧上昇速度とパルスで変化させる溶存オゾン濃度から前記オゾン処理部によって決定し、
前記洗浄モードにおいて、前記溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、前記分離膜の洗浄を行い前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を減少させ再生水製造システム。
【請求項6】
前記膜差圧測定手段による膜差圧の上昇速度が所定の値を超えた場合に前記洗浄モードとし、
前記洗浄用オゾンを前記原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高める請求項5に記載の再生水製造システム。
【請求項7】
前記原水の濁度を測定する濁度測定手段を備え、前記濁度測定手段による前記濁度が所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない請求項6に記載の再生水製造システム。
【請求項8】
前記通常モード時の投入オゾン量またはオゾン消費量が、所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない請求項6または7に記載の再生水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理水その他の各種の排水を原水として再生水を得る再生水製造方法、及び再生水製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水資源の有効利用を図るために、各種の排水を膜ろ過して再生水を得る技術が開発されている。例えば、特許文献1、2には、浄水処理場のろ過池の洗浄排水を膜ろ過することにより、洗浄水として再利用する方法が開示されている。これら特許文献1、2に記載の発明の場合には排水の性状が比較的良好であるが、排水が下水排水のように多量の有機物などの微細固形物を含有するような場合には、排水を膜ろ過すると膜面が排水中の有機物などの微細固形物によって短時間のうちに閉塞してしまい、運転不能となるおそれがある。
【0003】
このような膜面の閉塞を防止する技術としては、特許文献3、4に示されるように、原水中にオゾンを添加して膜面閉塞の原因となる有機物を分解してしまう方法がある。しかし、有機物を十分に分解するためには多量のオゾンを必要とする。しかし、オゾン発生器は、それ自体が高価である上に、オゾン発生には多量の電力を消費し、オゾン発生器のメンテナンスにも費用を要するため、ランニングコストが高くなるという問題がある。
【0004】
また多量のオゾンを添加した場合、有機物の分解が進み、膜面を通過してしまうため、膜ろ過水中の残留有機物濃度が高まり、却って再生水の水質が低下するという問題がある。これらの理由により、排水を膜ろ過して再生水を得るためにオゾンを利用することはほとんど行われておらず、特許文献3、4は何れも浄水処理を主目的とするものである。
【0005】
なお特許文献5には、下水二次処理水にプレオゾン処理、生物膜ろ過処理、オゾン処理、膜ろ過処理を行う再生水の製造方法が記載されている。しかしこの方法も多量のオゾンを必要とするうえ、原水の性状変動等によってプレオゾン処理のオゾンが誤って生物膜ろ過処理工程に流入すると生物膜の活性が低下し、処理水質が悪化するおそれもあり、実用運転は容易ではないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−235587号公報
【特許文献2】特開2001−87764号公報
【特許文献3】特開2003−285059号公報
【特許文献4】特許第3449248号公報
【特許文献5】特開2002−136981号公報
【0007】
水質は、日変動や季節変動がある。また、降雨などにより生物処理(前処理)への負荷が変化し、原水水質(二次処理水)が変動する。つまり、通常、排水性状(水質や水量)や水温は変化するので、最適なオゾン投入量は一定ではない。
【0008】
オゾン投入量を一定にする場合は、排水性状の変動により不足がないようにオゾン投入量を高めに設定する。そうすると、オゾン設備の運転費が高くなる。そこで、溶存オゾン濃度などを指標として、排水性状に応じて投入オゾン量を制御することによりオゾン設備の運転費を削減できる。この方法では、制御遅れや制御値を低く設定したことにより、徐々にろ過膜の膜面が汚れ、閉塞する可能性がある。
【0009】
本発明の課題は、常時多量のオゾンを必要とせず、低コストで膜面の閉塞を防止しつつ、排水から安定して再生水を得ることができる再生水製造方法、及び再生水製造システムを提供することにある。
【発明の概要】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明者らは、一時的に洗浄用オゾンを原水に投入することにより、分離膜の閉塞を防止することができることを見いだした。すなわち、本発明によれば、以下の再生水製造方法、及び再生水製造システムが提供される。
【0011】
[1] 通常モード時に、オゾン発生器にて発生させたオゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、前記オゾン処理の前に、又は後に、前記原水に凝集剤を注入し、前記オゾン処理及び前記凝集剤の注入の後に、前記原水の分離膜による膜ろ過を行う工程を含み、記分離膜の膜差圧を前記分離膜を逆洗した後に定期的に測定し、測定された前記膜差圧を経過時間でプロットすることにより膜差圧上昇速度を求め、洗浄モードとする前記洗浄用オゾンの投入間隔を、前記膜差圧上昇速度とパルスで変化させる溶存オゾン濃度から決定し、前記洗浄モード時に、前記通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを前記原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、前記分離膜の洗浄を行い前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を減少させ再生水製造方法。
【0012】
[2] 前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を測定し、その膜差圧の上昇速度が所定の値を超えた場合に、前記洗浄用オゾンを前記原水に投入して前記溶存オゾン濃度を間欠的に高める前記[1]に記載の再生水製造方法。
【0013】
[3] 前記原水の濁度を測定し、その濁度が所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない前記[2]に記載の再生水製造方法。
【0014】
[4] 前記通常モード時の投入オゾン量またはオゾン消費量を測定し、前記投入オゾン量またはオゾン消費量が、所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない前記[2]または[3]に記載の再生水製造方法。
【0015】
[5] オゾンを発生するオゾン発生器を有し、通常モード時に前記オゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、間欠的に洗浄モードとし、その洗浄モード時に前記通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを前記原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めるオゾン処理部と、前記オゾン処理の前に、又は後に、前記原水に凝集剤を注入する凝集剤注入部と、前記オゾン処理部及び前記凝集剤注入部の下流に、前記原水の分離膜による膜ろ過を行う膜ろ過部と、前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を測定する膜差圧測定手段と、を備え、前記膜差圧測定手段によって、前記分離膜の前記膜差圧を前記分離膜を逆洗した後に定期的に測定し、測定された前記膜差圧を経過時間でプロットすることにより膜差圧上昇速度を前記オゾン処理部によって求め、前記洗浄モードとする前記洗浄用オゾンの投入間隔を、前記膜差圧上昇速度とパルスで変化させる溶存オゾン濃度から前記オゾン処理部によって決定し、前記洗浄モードにおいて、前記溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、前記分離膜の洗浄を行い前記分離膜の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を減少させ再生水製造システム。
【0016】
[6] 記膜差圧測定手段による膜差圧の上昇速度が所定の値を超えた場合に前記洗浄モードとし、前記洗浄用オゾンを前記原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高める前記[5]に記載の再生水製造システム。
【0017】
[7] 前記原水の濁度を測定する濁度測定手段を備え、前記濁度測定手段による前記濁度が所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない前記[6]に記載の再生水製造システム。
【0018】
[8] 前記通常モード時の前記分離膜の透過前の前記投入オゾン量またはオゾン消費量が、所定の値を超える場合には前記洗浄モードとしない前記[6]または[7]に記載の再生水製造システム。
【0019】
通常モード時にオゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、洗浄モード時に通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、分離膜を洗浄して膜差圧を減少させることができる。これにより、分離膜の閉塞を防止し、薬洗間隔を長くすることができる。また、間欠的にオゾンの発生を多くするため、オゾン発生量を常時多くする必要がなく、ランニングコストを低減しつつ、分離膜の閉塞を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1の再生水製造システムを示す図である。
図2】洗浄モードにおけるオゾン投入量を説明するグラフである。
図3】本発明の実施形態2の再生水製造システムを示す図である。
図4】本発明の実施形態3の再生水製造システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
【0022】
(実施形態1)
本発明の再生水製造システム10は、オゾンを発生するオゾン発生器3を有するオゾン処理部11と、オゾン処理の前に、又は後に、原水に凝集剤を注入する凝集剤注入部12と、オゾン処理部11及び凝集剤注入部12の下流に、原水の分離膜8による膜ろ過を行う膜ろ過部13と、を備える。オゾン処理部11は、通常モード時にオゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、間欠的に洗浄モードとし、その洗浄モード時に通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高める。
【0023】
図1に、本発明の実施形態1の再生水製造システムを示す。下水処理場の最終沈殿池1から排出された排水は、オゾン接触塔2、凝集槽4、膜ろ過部13の分離膜8に導かれるように構成されている。本実施形態では、原水となる排水は、下水処理場の最終沈殿池1の下水処理水である。しかし、排水の種類はこれに限定されるものではなく、返流水、工場排水、ゴミ浸出水、屎尿、農業廃水、畜産排水、養殖排水などを処理した排水や浄水原水であってもよい。
【0024】
オゾン接触塔2には、オゾンを供給するオゾン発生器3が備えられており、オゾン制御部9によってオゾンの投入が制御される。したがって、オゾン接触塔2、オゾン発生器3、オゾン制御部9は、オゾン処理部11を構成する。
【0025】
オゾン発生器3は、無声放電法、紫外線法、化学生成法、電解法などによりオゾンを発生するものであれば限定されないが、大量のオゾンを得るには、無声放電法が好ましい。オゾン発生器3は、電源投入により所定の濃度のオゾンを発生し、原水は、オゾン接触塔2においてオゾン発生器3から投入されたオゾンと接触する。本発明においては原水とオゾンとの接触の手段は、特に限定されるものではなく、上向流式であっても下向流式であってもよく、散気板または散気筒からオゾンを噴出させる方法であっても、イジェクタを用いて微細気泡(ナノバブル、マイクロバブル)としてオゾンを吹き込む方法であってもよい。オゾンによる原水中の固形分の凝集改善効果はごく短時間に行われる。
【0026】
オゾン処理部11は、オゾン制御部9の制御によって通常モードまたは洗浄モードとされる。通常モードでは、所定の量のオゾンを原水に投入して原水をオゾン処理する。洗浄モードでは、通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高める。つまり、オゾン発生器3の出力を一時的に上げる(電圧または電流値を上げる)ことにより、ガスオゾン濃度を増加させる。溶存オゾン濃度の測定は、オゾン接触塔2から膜ろ過部13前の何れかの場所で行う。
【0027】
凝集槽4には、凝集剤注入ポンプ6を介して凝集剤貯留槽7が備えられており、凝集剤注入ポンプ6によって凝集剤貯留槽7から凝集剤が注入されるように構成されている。凝集槽4、凝集剤注入ポンプ6、凝集剤槽7は、凝集剤注入部12を構成する。凝集剤の種類としては、PAC、塩化第二鉄、硫酸バンド、高分子凝集剤、PSI(ポリシリカ鉄凝集剤)などを使用すればよい。排水は、凝集槽4において急速攪拌や緩速攪拌により凝集剤と混合され、凝集フロックが形成される。なお、凝集手段としてラインミキサを使用してもよい。
【0028】
膜ろ過部13には、分離膜8が備えられており、分離膜8としては、MF膜またはUF膜を用いることができる。前段階で良好なフロックが形成されているため、膜面が閉塞されにくく、またオゾン処理部11が、洗浄モード時に洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めるため、高められた溶存オゾンによって分離膜8が洗浄される。膜の材質は、高分子膜であってもセラミック膜であってもよく、膜形状は、モノリス型の他に、チューブラー膜、ハニカム膜、中空糸膜、平膜など任意である。また、膜は内圧式であっても外圧式であっても良い。さらに膜ろ過方式は、全量ろ過方式でもクロスフロー方式でも良い。
【0029】
本発明の再生水製造方法は、通常モード時に、オゾン発生器3にて発生させたオゾンを原水に投入して原水をオゾン処理し、オゾン処理の前に、又は後に、原水に凝集剤を注入し、オゾン処理及び凝集剤の注入の後に、原水の分離膜8による膜ろ過を行う工程を含む。そして、間欠的に洗浄モードとし、その洗浄モード時に、通常モード時よりも多い洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、ろ過膜の洗浄を行う方法である。
【0030】
まず、下水処理場の最終沈殿池1から排出された排水を、オゾン接触塔2に導入する。なお、最終沈殿池1とオゾン接触塔2の間に、生物膜ろ過や担体法などの生物処理や、砂ろ過や繊維ろ過などの簡易ろ過装置を設置することもできる。オゾン接触塔2にて排水中に添加されたオゾンは、排水中に含まれる微細固形物と接触することにより、微細固形物の表面性状を易凝集性に改質する。図2に示すように、再生水製造システム10において、オゾン処理部11のオゾン制御部9が、洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高めることにより、分離膜8を洗浄し、分離膜8の閉塞を防止する。図2中の膜差圧とは、分離膜8の上流側と下流側の圧力差である。オゾン投入量を一時的に増加させることにより、分離膜8を洗浄して膜差圧を減少させることができる。
【0031】
オゾン接触塔2における間欠的な洗浄用オゾンの投入は、流入水質の変動が比較的少ない水に対しては、一定時間ごとに行うように制御することができる。また、次のように制御することもできる。例えば下水流入水は、水質の変動が比較的少ないが、1日の間でも流量変動や濃度変動があり、そのパターンはほぼ一定である。下水流入汚濁物濃度は、一般に昼から夜高く、夜中から朝方低い。処理場での水滞留時間は半日程度なので、下水二次処理水質は、夜中から朝方高く、昼から夜低くなる。このパターンを生かして、昼から夜の水質が比較的良好な時間はオゾン発生器3の能力に余裕があるので、この時間帯に溶存オゾン濃度を高めて膜面洗浄を行う。
【0032】
(実施形態2,3)
図3に、本発明の実施形態2の再生水製造システム10を、図4に実施形態3の再生水製造システム10を示す。
【0033】
図3の実施形態2の再生水製造システム10は、分離膜8の上流側と下流側の圧力差の膜差圧を測定する膜差圧測定手段15を備える。膜差圧測定手段15による膜差圧の上昇速度が所定の値を超えた場合に洗浄モードとし、洗浄用オゾンを原水に投入して溶存オゾン濃度を間欠的に高める。膜差圧の値は、水温補正や高さ補正(圧力計の設置高さの違いを補正)を行った値も使用することができる。
【0034】
図4の実施形態3の再生水製造システム10は、原水の濁度を測定する濁度測定手段16を備える。濁度測定手段16によって測定された濁度は、オゾン制御部9に入力され、濁度測定手段16による濁度が所定の値を超える場合には洗浄モードとしないように構成することもできる。また、分離膜8の透過前の溶存オゾン濃度を測定する溶存オゾン濃度測定手段5を備える。通常モード時の投入オゾン量またはオゾン消費量が、所定の値を超える場合には洗浄モードとしないように構成することもできる。具体的には、オゾン制御部9が、濁度測定手段16によって測定された濁度に基づいて投入オゾン量を変動するように構成し、投入オゾン量が所定の値以下の場合に、洗浄モードとするように構成する。または、オゾン消費量を検出し、オゾン消費量が所定の値以下の場合に、洗浄モードとするように構成する。このように構成すると、例えば河川水のように、通常は原水水質が安定しているが、降雨などにより急激に原水水質が悪化し膜差圧上昇速度が速くなる場合に、原水水質が良好になった後に、溶存オゾン濃度を上昇させて膜差圧を低下させることができる。なお、濁度測定手段16及び溶存オゾン濃度測定手段5のいずれか一方を備えるように構成してもよい。また、投入オゾン量やオゾン消費量は、投入オゾン濃度/排オゾン濃度/オゾンガス流量/処理対象液流量から求められるが、オゾンガス流量/処理対象液流量がほぼ一定ならば計算上これらを省略し、投入オゾン濃度や投入オゾン濃度から排オゾン濃度を差し引いた値を指標とすることも可能である。
【0035】
さらに、排水の溶存オゾン濃度を計測する溶存オゾン濃度測定手段5による溶存オゾン濃度の測定値によって凝集剤注入ポンプ6を制御し、凝集剤の注入を制御するように構成することもできる。
【0036】
次に、実施形態2,3の再生水製造システム10の運転方法を説明する。実施形態1と同様に、下水処理場の最終沈殿池1から排出された排水を、オゾン接触塔2に導入する。膜洗浄間隔(洗浄用オゾンの投入間隔)は、膜差圧上昇速度とパルスで変化させる溶存オゾン濃度から決めるとよい。膜洗浄間隔は、1〜10日に1回でよく、例えば、下記の表1のように制御することができる。なお、膜差圧上昇速度とは、以下の通りである。膜ろ過部13では膜差圧(原水側と処理水側の圧力差)を定期的に測定している。膜分離は定期的に逆洗を行い、この逆洗直後の膜差圧(初期膜差圧)を経過時間でプロットし、その勾配から膜差圧上昇速度を求める。例えば膜差圧上昇速度が1kPa/日とは、1日に初期膜差圧が1kPaずつ上昇することを表している。
【0037】
【表1】
【0038】
例えば、膜差圧上昇速度が、0.2kPa/日である場合について説明する。溶存オゾン濃度が1mg/Lとなるように洗浄用オゾンを添加する場合、5日に1回1時間添加し、溶存オゾン濃度が2mg/Lとなるように洗浄用オゾンを添加する場合、5日に1回0.5時間添加すれば、膜差圧の上昇を抑えることができ、長期間安定した膜ろ過運転が可能となる。
【0039】
実施形態3のように、溶存オゾン濃度測定手段5や濁度測定手段16を備えている場合で、流入水質が悪く、定期的に溶存オゾン濃度を高められなかった場合は、2〜3回分をまとめて行えばよい。そして、溶存オゾン濃度を高めている時間を延ばせばよい。
【0040】
また、例えば河川水のように、通常は原水水質が安定しているが、降雨などにより急激に原水水質が悪化し膜差圧上昇速度が速くなる場合がある。この場合は、原水水質が良好になった後に、溶存オゾン濃度を上昇させて膜差圧を低下させる。原水水質が良好になったか否かは、原水濁度やオゾン投入量(溶存オゾン濃度制御を行っている場合)を見れば判断することができる。
【0041】
以上のように、オゾン接触塔2にてオゾンと接触することにより原水中の固形分の凝集性が高められた原水は、凝集槽4に送られるが、凝集前の原水中の溶存オゾン濃度が溶存オゾン濃度計5によって測定される。
【0042】
このようにしてオゾンによって凝集性が改善された原水に凝集剤が注入されると、原水の固形分は速やかに凝集してフロックを形成する。また、原水の性状が悪くオゾンの消費量が多いために凝集前の原水中の溶存オゾン濃度が低下した場合には、より多くの凝集剤が注入するようにすると、やはり良好なフロックが形成される。その後、分離膜8により膜ろ過が行われ、膜ろ過水が再生水として取り出される。
【0043】
なお、上記実施形態では、オゾン処理部11の下流に、凝集剤注入部12がある例を説明したが、凝集剤注入部12の下流に、オゾン処理部11があるように構成することもできる。このように構成すると、凝集槽4における凝集剤の注入にてフロックを形成しなかった固形分のみオゾン処理を行えばよいので、オゾンの消費量を減少させることができる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
(試験1)
オゾン接触塔2、凝集槽4、膜ろ過部13の順に原水を流通させて処理する再生水製造システム10にて、表2に示すように、溶存オゾン濃度を1時間変化させて膜差圧の改善率を調べた。比較例1のように、溶存オゾン濃度が0.75mgO/Lの場合、膜差圧は改善しなかった。一方、溶存オゾン濃度が、実施例1のように1.0mgO/Lの場合は、膜差圧改善率は、1.5kPa/hr、実施例2のように2.0mgO/Lの場合は、膜差圧改善率は、2.5kPa/hrであった。
【0046】
【表2】
【0047】
(試験2)
表3の比較例2のように、溶存オゾン濃度を0.75mgO/Lと一定にすると、分離膜8は、90日ごとに薬洗する必要があった。一方、実施例3のように、溶存イオン濃度を1日に1時間1.0mgO/Lに増加すると、薬洗間隔を120日とすることができた。また、実施例4のように、溶存イオン濃度を2日に1時間2.0mgO/Lに増加しても、薬洗間隔を120日とすることができた。
【0048】
【表3】
【0049】
以上から、オゾン発生器3の能力が余っているときに、溶存オゾン濃度を高めて運転すると膜差圧が低下することが分かった。これにより、常時高濃度オゾンを投入しないでも、長期間安定した運転が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の再生水製造システムは、下水処理水、返流水、工場排水、ゴミ浸出水、屎尿、農業廃水、畜産排水、養殖排水や浄水原水などの処理に使用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1:最終沈殿池、2:オゾン接触塔、3:オゾン発生器、4:凝集槽、5:溶存オゾン濃度測定手段、6:凝集剤注入ポンプ、7:凝集剤貯留槽、8:分離膜、9:オゾン制御部、10:再生水製造システム、11:オゾン処理部、12:凝集剤注入部、13:膜ろ過部、15:膜差圧測定手段、16:濁度測定手段。
図1
図2
図3
図4