特許第5795535号(P5795535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795535データブロックを受信および送信するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795535
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】データブロックを受信および送信するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 1/00 20060101AFI20150928BHJP
   H04L 1/16 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
   H04L1/00 B
   H04L1/16
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-530433(P2011-530433)
(86)(22)【出願日】2009年8月27日
(65)【公表番号】特表2012-504923(P2012-504923A)
(43)【公表日】2012年2月23日
(86)【国際出願番号】EP2009061048
(87)【国際公開番号】WO2010040598
(87)【国際公開日】20100415
【審査請求日】2012年8月27日
(31)【優先権主張番号】08305642.4
(32)【優先日】2008年10月6日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジャン フェン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ ニン
(72)【発明者】
【氏名】リー ジュン
【審査官】 谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−510363(JP,A)
【文献】 特表2007−502564(JP,A)
【文献】 特開平08−340297(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0256740(US,A1)
【文献】 特開2007−116637(JP,A)
【文献】 特開平11−136220(JP,A)
【文献】 特開平09−116559(JP,A)
【文献】 特開昭61−154240(JP,A)
【文献】 CMCC,Huawei,CATT, ZTE, RITT,Qualcomm Europe,Limiting the usage of uplink-downlink configuration 5[online], 3GPP TSG-RAN WG1#54b R1-083910,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_54b/Docs/R1-083910.zip>,2008年 9月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/00
H04L 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのデータパケットを含むデータブロックを送信機から受信するための方法であって、通信ネットワークにおける受信機のマルチキャストグループの受信機側で使用される、方法であって、
a.前記データブロックの前記少なくとも1つのデータパケットを受信するステップと、
b.前記データブロックの送信の間のパケット損失により前記データブロックを復号するには十分でないデータパケットが受信された場合、前記データブロックの送信後に、前記マルチキャストグループのすべての受信機に割り当てられた同じ単一のタイムスロットの間にNAKメッセージを送出するステップであって、前記NAKメッセージは前記マルチキャストグループのすべての受信機に対して同じである、ステップと、
c.前記送信機から少なくとも1つの回復データパケットを受信するステップであって、前記回復データパケットに対する単一の上りフィードバックタイムスロットを割り当てる、ステップと、
d.所定の条件が満たされるまでステップbおよびcを繰り返すステップであって、前記ステップbおよびcの繰り返し回数は前記受信機の受信条件に基づいて変化する、ステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記同じ単一のタイムスロットは、同期上りチャンネルのタイムスロットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの回復データパケットを受信した後にパケット損失がまだあるため、少なくとも1つの受信機において前記データブロックを復号する問題を有する場合に行われる前記送出するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
NAKメッセージを送出するために考慮されるデータパケットは、前記少なくとも1つのデータパケット、および、少なくとも1つの回復データパケットを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定の条件は、与えられたデータブロックに対する回復シンボルの最大数、または、与えられたデータブロックに対する前記回復シンボルを送信する最大許容時間期間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の、データブロックを受信するための方法を実施する受信機。
【請求項7】
少なくとも1つのデータパケットを含むデータブロックを受信機のマルチキャストグループに送出するための方法であって、通信ネットワークの送信機で使用される、方法であって、
a.前記データブロックの前記少なくとも1つのデータパケットを送出するステップと、
b.前記マルチキャストグループのすべての受信機に対してNAKメッセージを送出するための同じ単一のタイムスロットを提供するステップであって、前記NAKメッセージは前記マルチキャストグループからのすべての受信機に対して同じである、ステップと、
c.NAKメッセージが受信された場合、
d.少なくとも1つの回復データパケットを前記マルチキャストグループの前記受信機に送出するステップと、
e.さらなるNAKメッセージを送出するためのさらに同じ単一のタイムスロットを前記マルチキャストグループの受信機に提供するステップと、
f.所定の条件が満たされるまでステップcからeまでを繰り返すステップであって、前記ステップcからeの繰り返し回数は前記受信機の受信条件に基づいて変化する、ステップと、
を含む、前記方法。
【請求項8】
前記同じ単一のタイムスロットは、同期上りチャンネルのタイムスロットである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記さらなるNAKメッセージは、前記少なくとも1つのデータパケット、または、前記少なくとも1つの回復データパケットのパケット損失を示す、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の条件は、前記さらに送出するステップの数である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
請求項7ないし10のいずれか1項に記載の、データブロックを送出するための方法を実施する送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して通信ネットワークに関し、より詳細には、通信ネットワークにおいてデータブロックを受信および送信するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチキャストおよびブロードキャストサービス(MBS)は、同じデータコンテンツを同時に複数のクライアント装置に送信する、期待されている技術である。例えば、無線通信システムにおいては、無線端末装置が、ビデオ、オーディオ、およびマルチメディアコンテンツを同時に受信するように設計および構成されることが多い。従って、無線基地局の送信機はビデオ、オーディオ、およびマルチメディアコンテンツをこれらの無線端末装置にマルチキャスト、またはブロードキャストし、それによって、無線端末装置のそれぞれがそのユーザにビデオおよび/またはオーディオコンテンツを受信および表示する。
【0003】
加えて、通信ネットワークにおいては、特に無線通信ネットワークにおいてデータパケット損失および誤りは不可避で予測不可能であり得る。受信したコンテンツの品質を向上するために、前方誤り訂正(FEC)および自動再送要求(ARQ)などの損失回復技術を双方向通信ネットワークに展開することができる。受信機は、データパケットが順調に受信されたかどうかを報告する応答を返信するように要求されている。送信機は、正しく受信されたパケットを示す肯定応答(ACK)、またはパケット損失が発生したことを示す否定応答(NAK)を監視する。このフィードバックを受信すると、送信機は追加のパリティパケットまたは再送信パケットを送出するかどうかを決定することができる。
【0004】
マルチキャストシステムにおけるすべての受信機からのフィードバックパケットの数を制限するために、ACKの代わりにNAKを使用して送出機にフィードバックし、それはNAKのオーバーヘッド要求が厳しくないからである。しかし、マルチキャストまたはブロードキャストサービスに関して、送信機は同じデータパケットを数十または数百の受信機に送出することが可能であり、また、NAKパケットの報告が予想不可能であるので、逆の上りチャンネルにおいてバースデータ混雑がまだ発生し得る。
【0005】
引用文献1は、フィードバックタイムスロットを時分割多重アクセスモードで所定の数のパケット損失を有するすべての受信機に割り当てる方法を開示する。例えば、1パケットを損失した受信機は第1のタイムスロットにおいてフィードバックを送出し、第2のタイムスロットにおいてフィードバックを送出する受信機は2パケットを損失してしまう。要求されるフィードバック帯域幅はパケット損失の数によって決まる。この方法の欠点は、送信機がフィードバック送信に(パケット損失の最大数に等しい)推定数のタイムスロットを割り当てなければならないことである。
【0006】
従って、データコンテンツを受信および送信するための改善された方法が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0031179号明細書
【発明の概要】
【0008】
本発明は、データブロックを送信機から受信するための方法に関し、この方法は、通信ネットワークにおける受信機のマルチキャストグループの受信機部分に使用され、前記送信機によって前記マルチキャストグループに送出される前記データブロックの少なくとも1つの初期データパケットを受信することと、パケット損失が存在する場合に、前記受信機が少なくとも1つのNAKパケットを前記送信機に送出することであって、前記少なくとも1つのNAKパケットは前記受信機のマルチキャストグループ専用の単一の上りタイムスロットにおいて送出され、前記NAKパケットは前記マルチキャストグループのすべての受信機に関して同一である、ことと、前記送信機によって前記マルチキャストグループの少なくとも1つの受信機からのNAKパケットに基づいて送信される、前記データブロックの少なくとも1つの追加のパケットをさらに受信することとを含む。
【0009】
また、本発明は、上記のようにデータブロックを受信するための方法を実現する受信機に関する。この受信機は、前記送信機によって前記マルチキャストグループに送出される前記データブロックの少なくとも1つの初期データパケットを受信する手段と、前記受信機がパケット損失を示す少なくとも1つのNAKパケットを前記送信機に送出する手段であって、前記少なくとも1つのNAKパケットは前記受信機のマルチキャストグループ専用の単一の上りタイムスロットにおいて送出され、前記NAKパケットは前記マルチキャストグループのすべての受信機に関して同一である、手段とを含む。
【0010】
また、本発明は、通信ネットワークにおける送信機に使用される、データブロックを受信機のマルチキャストグループに送出する方法に関し、この方法は、通信ネットワークにおける送信機に使用され、前記データブロックの少なくとも1つのデータパケットを送出することと、少なくとも1つのNAKパケットが単一の上りタイムスロットにおいて前記受信機のマルチキャストグループから受信されるときに、前記データブロックの少なくとも1つの回復データパケットを送出することであって、前記複数の受信機によって送出される前記NAKパケットは同一である、こととを含む。
【0011】
また、本発明は、上記のようにデータブロックを送信するための方法を実現する送信機に関する。この送信機は、前記データブロックの少なくとも1つのデータパケットを送出する手段と、少なくとも1つのNAKパケットが単一の上りタイムスロットにおいて前記受信機のマルチキャストグループから受信されるときに、前記データブロックの少なくとも1つの回復データパケットを送出する手段であって、前記受信機のマルチキャストグループによって送出される前記NAKパケットは同一である、手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読めば、それから明らかになる。
図1】本発明の実施形態を説明するために使用される、TDM(時分割多重)スキームを実装する無線ネットワークを示す概要図である。
図2】本発明の実施形態による、TDM割当てスキームを示す図である。
図3】本発明の実施形態による、NAKメッセージフォーマットを示す図である。
図4】本発明の実施形態による、NAK抑制のためのタイムスロット割当てを示す図である。
図5】本発明の実施形態による、送信機からデータブロックを受信するための方法を示す流れ図である。
図6】本発明の実施形態による、複数の受信機にデータブロックをマルチキャスト、またはブロードキャストするための方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の多数の利点・特徴を明らかにするために、例示的な実施形態によって、添付の図面を参照して説明を行う。
【0014】
図1は、本発明の実施形態を説明するために使用される、TDM(時分割多重)スキーマを実現する無線ネットワークを示す概要図である。図1に示されるように、無線通信ネットワーク100は、マルチキャストグループ107にマルチキャスト、またはブロードキャストされるべきコンテンツデータを有するコンテンツサーバ102を含む。コンテンツデータは、例えば、ビデオストリーム、ビデオファイル、オーディオファイルまたは他のデータ、ならびにそれらの組み合わせとすることができる。基地局104は、コンテンツサーバ102からのコンテンツを取得する。基地局104は、コンテンツデータを一連のデータブロックに配列し、それらのデータブロックを、ファウンテン(fountain)コード、LT(Luby Transform)コードなどのレートレス(rateless)コード処理、またはリードソロモン(Reed−Solomon)コードなどの固定レート(fixed rate)コード処理によって符号化する。その後、データブロックのそれぞれは順次にマルチキャストまたはブロードキャストモードでマルチキャストグループの移動クライアント(受信機)装置107−1乃至107−nに送信される。
【0015】
各データブロックに関して、基地局104の送信機は、データブロックの送信データパケットの初期セットをクライアント装置107−1乃至107−nのすべての受信機に送信する。初期データパケットは送信されるべき実際のコンテンツデータである。データパケットを受信すると、各受信機はデータブロックを復号化するに十分な送信パケットまたはシンボルを受信したかどうかを決定する。受信機が十分なパケットまたはシンボルを受信していない場合に、それはNAKメッセージで基地局104に応答し、それによって、送信機はパリティデータパケットまたはFECパケットなどの追加の回復データパケットを受信機に送信する。本発明の実施形態によって、十分な数またはすべてのパケットが順調に受信された場合に、受信機が応答を送出する必要はない。
【0016】
本発明の本実施形態において、各フレームにおける利用可能な帯域幅をタイムスロット分割し、こられのタイムスロットを下りタイムスロットチャンネルおよび上りタイムスロットチャンネルに割り当てる、TDMスケームが利用されている。コンテンツデータは、下りタイムスロットによってクライアント装置の受信機に送信され、NAKは上りタイムスロットによって送信機に送信される。
【0017】
図2は、本発明の実施形態による、TDM割当てスキームを示す図である。図2に示されるように、各フレームにおける利用可能な帯域幅はタイムスロットに分割され、こられのタイムスロットは下りタイムスロットチャンネル(図2のDL)および上りタイムスロットチャンネル(図2のUL)に割当てられる。下りチャンネルまたは上りチャンネルに割当てられる帯域幅が等しくまたは固定になる必要はなく、また、下り帯域幅または上り帯域幅は基地局においてトラフィック負荷に基づいて割当てることができるのは、当業者にとって周知である。加えて、特定の割当て結果は、各フレームの先頭の「MAP」領域においてマルチキャスト、またはブロードキャストされ、それによって、各受信機は、データを受信または送信するためにそれに割当てられるタイムスロットを知っている。
【0018】
本実施形態において、同じマルチキャストグループにおけるすべての受信機は、同じ上りタイムスロットが割当てられてNAKパケットを送信するので、1つの上りタイムスロットのみが割当てられている。一つのタイムスロットを同時に使用している複数の受信機のNAKメッセージを報告するために、フィードバックメッセージのフォーマットは同一に定義される。同期無線ネットワークにおいて、複数の受信機など複数のノードからの同一の信号はマルチパスフェージングと見なされ、基地局は複数のNAKメッセージを順調に解析することができる。したがって、本発明の実施形態は、UMTS、HSUPA、TD−SCDMA、IEEE802.16、LTEまたは類似のネットワークなどこのような同期無線ネットワークのいずれかに使用することができる。
【0019】
図3は、本発明の実施形態による、NAKメッセージフォーマットを示す図である。図3に示されるように、NAKメッセージは2つの領域を含み、1つの領域はマルチキャストCID(顧客アイデンティティー)またはブロードキャストCIDであり、もう1つの領域はNAK指示子であり、NAK指示子領域における「0」の値はパケット損失なしを示し、「1」の値はパケット損失ありを示す。マルチキャストグループの複数の受信機に関して、CID領域は同じであり、すなわち、マルチキャストグループのCIDである。加えて、この実施形態によって、パケット損失を有するすべての受信機はNAKメッセージを送信機に返信する。パケット損失を有しない受信機に関して、フィードバックは不要である。従って、同じNAKメッセージは送信機に返信される。加えて、この実施形態に基づいて他の同一のメッセージフォーマットは使用することができるのは、当業者に知られている。
【0020】
図4は、本発明の実施形態による、NAK抑制のためのタイムスロット割当てを示す図
である。送出機側では、ブロック1における初期パケットまたはシンボル(パケット1乃
至パケット5)が最初に送信される。ブロック送信の間に、受信機からのレポート応答は
不要となる。パケット5が送られるときに、受信状態を報告するための上りタイムスロットこのマルチキャストセッションに属するすべての受信機に割当てられ。データブロックにおける初期シンボル送信の間にパケット損失がある場合に、例えば、受信機107−1がP1/P3/P5に関して損失を有し、受信機107−2がP3に関して損失を有し、受信機107−3がP2に関して損失を有する場合に、NAKメッセージは受信機によって送出される。この例において、マルチキャストグループのすべての受信機はブロック1に関してパケット損失を有するので、各受信機は、図3に定義される同一のメッセージフォーマットを使用することにより、NAKを同時に第1の上りフィードバックタイムスロットにおいて報告する。NAKを受信すると、信機は、マルチキャストグループにおける少なくとも1つの端末装置は初期データパケットを復号化するのに問題があることが分かるので、送信機は、追加の回復パケットまたはシンボルR1を次のフレームの下りタイムスロットにおいて送出し、次にR1と同じフレームにおいてもう1つの上りフィードバックスロットを割当てる。
【0021】
すべての受信機が初期データパケットを回復するに十分なシンボルを捕獲し、上りチャンネルにおいてNAKが検出されないまで、上記のフィードバック手順の繰り返しが行われる。図4に示されるように、シンボル「☆」は、NAKが受信機から受信され、少なくとも1つの受信機が追加の回復パケットを必要とすることを示し、シンボル「○」は、NAKが受信されず、すべての受信機が初期パケットを順調に回復できたことを示す。この実施形態によって、パケット損失が初期シンボルまたは回復シンボル(受信機2のP3またはR1など)によって引き起こされるかどうかに拘らずに、NAKフィードバックメッセージはパケット損失を示す。ブロック1に関してNAKが上りチャンネルにおいて検出されないときに、ブロック1のデータの送信は終了し、次のデータブロックの手順は開始する。
【0022】
例えば、各受信機は1パケットの損失のみを有するので、次のブロック2はよい受信状態を有し、それによって、少ないフィードバック時間が必要である。このサンプルにおける必要なフィードバック報告タイムスロットの異なる数は、フィードバック抑制のためのメカニズム案のスケーラビリティを説明する。フィードバック報告に必要なタイムスロットは、データブロックにおける損失パケットの最大数のみによって決まり、受信機数と関係がない。一方、フィードバック報告タイムスロットは固定値ではなく、それは受信機の受信条件に基づいて変化することができる。高密度なパケット損失を有する悪い受信条件(例えば、データブロック1)では、回復シンボルが何回も送られるが、低密度なパケット損失有するよい受信条件(例えば、データブロック2)では、少ない回復データパケットのみが必要である。
【0023】
あるいは、回復シンボルの挿入に起因にするシンボル送信の遅延を低減するために、1つの方法は、特定の時間間隔の間にフィードバック報告のスタティスティックスに基づいて第1の回復パケットの数を動的に調整することである。例えば、スタティスティックスに基づいて、いくつかのデータブロックに使用される回復パケットの平均数は5である。そして、同じ状況下における時間期間の間に、下りタイムスロットの第1の回復パケットはマルチキャストグループの受信機に送出される5つの追加の回復パケットを含む。
【0024】
もう1つの方法は、フィードバック手順を終了する所定の条件を設定することである。
例えば、所定の条件は、特定のブロックの回復シンボルの最大数、または特定のブロックの回復シンボルを送信する最大許容時間期間とすることができる。設定された閾値に到達した場合に、NAKデータパケットを送出するフィードバック手順は終了し、送信機は次のデータブロックをマルチキャスト、またはブロードキャストする。
【0025】
図5は、本発明の実施形態による、送信機からのデータブロックを受信するための方法を示す流れ図である。上記のように、受信する方法は、同期通信ネットワークにおけるマルチキャストグループの複数の受信機によって使用される。次の説明は、単一の受信機の場合を述べるが、いうまでもなく、他の受信機も同じことを行う。ステップ501において、受信機はマルチキャスト(または、変形によってブロードキャスト)初期パケットをシステムの送信機から受信し、初期パケットは1つ以上のデータパケットとすることができる。次に、ステップ502において、受信機は十分な初期パケットが受信機のそれぞれによって受信されたかどうかを決定する。そうではない場合に、ステップ503において少なくとも1つのNAKパケットが受信機によって送信機に送出される。この少なくとも1つのNAKパケットが1つの上りタイムスロットにおいて送出され、他の受信機によって使用されるメッセージフォーマットと同じメッセージフォーマットを有する。ステップ504において、追加の回復パケット(複数可)は送信機から受信される。追加のパケットを受信した後に、受信機は、パケット損失がまだあるかどうかを決定し(ステップ502)、ステップ503の実行も繰り返す。次に、ステップ505において、初期パケットを回復することは、受信機によって実行される。あるいは、上記のように所定の条件に到達した場合に、受信機は、ステップ503を終了し、直接に、受信した初期データパケットおよびデータブロックの追加のパケットを用いてステップ505を実行する。
【0026】
図6は、本発明の実施形態による、複数の受信機にデータブロックをマルチキャスト、またはブロードキャストするための方法を示す流れ図である。ステップ601において、送信機は、データブロックの少なくとも1つの初期データパケットをマルチキャスト、またはブロードキャストする。初期データパケットの数は、付随するデータブロックのコーディングスキームに基づいている。加えて、NAKフィードバックの上りタイムスロットは、フレームのMAP領域においてマルチキャストグループの複数の受信機に同時に割当てられる。次に、送信機は、ステップ602において、少なくとも1つのNAKフィードバックパケットが割当てられた上りタイムスロットの間に受信されたかどうかを決定する。少なくとも1つのNAKはすべての受信機に関して同じメッセージフォーマットを有し、従って、1つのメッセージとして考えることができる。混雑が引き起こされない。次に、ステップ603において、NAKパケットが受信されるときに、少なくとも1つの追加の回復データパケットが送信機によってマルチキャスト、またはブロードキャストされる。NAKパケットが受信されていない、または所定の条件が発生した場合に、ステップ504において、送信機はデータブロックのパケットの送出を終了し、次のデータブロックに移る。
【0027】
本実施形態を説明するために同期ネットワークを使用したが、同業者にとって、ネットワークが同期されたかどうかに拘らず、1グループの受信機に割当てられた単一のタイムスロットが同期上りチャンネルのタイムスロットであれば、この実施形態のデータブロックを送出および受信する方法を使用することができるのが分かるだろう。加えて、本実施形態におけるデータブロックがマルチキャストモードまたはブロードキャストモードで送出されるように列挙したが、同業者にとって、データブロックを送出するやり方に拘らず、単一のタイムスロットが1グループの受信機に割当てられれば、この方法を使用することができるのが分かるだろう。
【0028】
上記は本発明の実施形態を説明するものにすぎない。したがって、本明細書に明確に記載されていないが、本発明の原理を具体化し本発明の精神および範囲の範疇である数々の代替配置は、当業者であれば考案することができることを理解されたい。
付記1.
データブロックを送信機から受信するための方法であって、前記方法は、通信ネットワークにおける受信機部分のマルチキャストグループの受信機に使用され、
前記送信機によって前記マルチキャストグループに送出される前記データブロックの少なくとも1つの初期データパケットを受信するステップと、
パケット損失が存在する場合に、前記受信機が少なくとも1つのNAKパケットを前記送信機に送出するステップであって、前記少なくとも1つのNAKパケットは前記受信機のマルチキャストグループ専用の単一の上りタイムスロットにおいて送出され、前記NAKパケットは前記マルチキャストグループのすべての受信機に関して同一である、ステップと、
前記送信機によって前記マルチキャストグループの少なくとも1つの受信機からのNAKパケットに基づいて送信される、前記データブロックの少なくとも1つの追加のパケットをさらに受信するステップと
を含む方法である。
付記2.
前記単一の上りタイムスロットは、同期上りチャンネルのタイムスロットであることを特徴とする付記1に記載の方法である。
付記3.
前記少なくとも1つの追加のパケットを受信した後に、パケット損失が少なくとも前記受信機においてまだある場合に、前記送出するステップを繰り返すステップをさらに含むことを特徴とする付記1または2に記載の方法である。
付記4.
パケット損失は、初期データパケット損失および追加のパケット損失を含むことを特徴とする付記3に記載の方法である。
付記5.
前記繰り返すステップは、所定の条件によって終了することを特徴とする付記3または4に記載の方法である。
付記6.
前記所定の条件は、既定のブロックに関して前記受信機によって送出されるNAKメッセージの数であることを特徴とする付記5に記載の方法である。
付記7.
付記1乃至5のいずれかに記載の、データブロックを受信するための方法を実現する受信機である。
付記8.
データブロックを受信機のマルチキャストグループに送出する方法であって、前記方法は、通信ネットワークにおける送信機に使用され、
前記データブロックの少なくとも1つのデータパケットを送出するステップと、
少なくとも1つのNAKパケットが第1の単一の上りタイムスロットにおいて前記受信機のマルチキャストグループの少なくとも1つの受信機から受信されたときに、前記データブロックの少なくとも1つの回復データパケットを送出するステップであって、前記複数の受信機によって送出される前記NAKパケットは同一である、ステップと
を含む。
付記9.
前記単一の上りタイムスロットは、同期上りチャンネルのタイムスロットであることを特徴とする付記8に記載の方法である。
付記10.
前記送出するステップの後に、少なくとも1つの追加的なNAKパケットが第2の単一の上りスロットにおいて受信機の前記マルチキャストグループの少なくとも1つの受信機から受信された場合に、前記データブロックの少なくとも1つの追加の回復データパケットをさらに送出するステップをさらに含むことを特徴とする付記8または9に記載の方法である。
付記11.
前記追加的なNAKパケットは、初期データパケットまたは追加の回復パケットのパケット損失を示すことを特徴とする付記10に記載の方法である。
付記12.
前記さらに送出するステップは、所定の条件によって終了することを特徴とする付記10または11に記載の方法である。
付記13.
前記所定の条件は、前記さらに送出するステップの数であることを特徴とする付記12に記載の方法である。
付記14.
付記8乃至13のいずれかに記載の、データブロックを送信するための方法を実現する送信機である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6