特許第5795540号(P5795540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795540関心領域を医療画像上に表示するための医療画像観察システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795540
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】関心領域を医療画像上に表示するための医療画像観察システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A61B6/00 350A
   A61B6/00 350D
   A61B6/00 350P
   A61B6/00ZDM
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-552554(P2011-552554)
(86)(22)【出願日】2010年3月1日
(65)【公表番号】特表2012-519528(P2012-519528A)
(43)【公表日】2012年8月30日
(86)【国際出願番号】IB2010050873
(87)【国際公開番号】WO2010100596
(87)【国際公開日】20100910
【審査請求日】2013年3月1日
(31)【優先権主張番号】09305208.2
(32)【優先日】2009年3月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ファン デン ハウテン ペテル
(72)【発明者】
【氏名】バッケル ニコラース エイチ
(72)【発明者】
【氏名】フロレント ラウル
(72)【発明者】
【氏名】アウヴライ ヴィンセント エム エイ
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−126075(JP,A)
【文献】 特表2009−532162(JP,A)
【文献】 特表2006−506117(JP,A)
【文献】 特表2007−502647(JP,A)
【文献】 特表2002−532174(JP,A)
【文献】 特開2009−101208(JP,A)
【文献】 特開平05−084248(JP,A)
【文献】 特表2007−502646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入した造影剤を備える血管の介入前の血管造影図を取得する、及び前記血管の生画像を取得する、少なくとも1つのX線画像取得装置、
−少なくとも1つの表示ユニット、並びに
−前記少なくとも1つのX線画像取得装置及び前記少なくとも1つの表示ユニットに接続される計算ユニット
を有する医療画像観察システムにおいて、
前記計算ユニットは、前記血管造影図から抽出した血管樹画像を、オブジェクトベースの位置合わせを介して前記生画像に対して位置合わせする、及び前記オブジェクトベースの位置合わせの所定の精度を維持するために、考慮される標的オブジェクトがその中にまで及ばなければならない、その大きさに順応性を有する関心領域の境界を生成する、並びに
前記表示ユニットは、前記関心領域の境界を前記血管樹画像上及び前記生画像上に重畳する、
医療画像観察システム。
【請求項2】
前記計算ユニットは、前記X線画像取得装置若しくはシャッターの形状パラメタ、又はそれら両方の形状パラメタに従って、前記関心領域の境界の位置及びサイズを調節する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記計算ユニットは、前記取得した画像のサイズの10%から20%の範囲に対応する間隙があるようにされる関心領域の境界の形状を生成する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記計算ユニットは、前記関心領域の境界を解剖学的先験に適合させる、請求項1、2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記計算ユニットは、検査の段階を判断する、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記計算ユニットは、前記関心領域の境界の重畳手順を、手動で若しくは既定の検査の段階に従って、又はそれら両方によって停止させる、請求項1乃至5の何れか一項に記載のシステム。
【請求項7】
関心領域を医療画像上に表示するための医療画像観察システムの作動方法において、
少なくとも1つのX線画像取得装置から、注入した造影剤を備える血管の介入前の血管造影図を取得する、及び前記血管の生画像を取得するステップ、
前記少なくとも1つのX線画像取得装置に接続される計算ユニットを用いて、前記血管造影図から抽出した血管樹画像を、オブジェクトベースの位置合わせを介して前記生画像に対して位置合わせする、及び正確な位置合わせを達成するために、考察される標的オブジェクトがその中にまで及ばなければならない関心領域の境界を生成するステップ、並びに
前記計算ユニットに接続される少なくとも1つの表示ユニットを用いて、前記血管樹画像上及び前記生画像上に前記関心領域の境界を重畳するステップ
を有する医療画像観察システムの作動方法。
【請求項8】
シャッターの形状パラメタに従って、前記関心領域の境界の位置及びサイズを調節するステップを備える請求項7に記載の医療画像観察システムの作動方法。
【請求項9】
前記取得した画像のサイズの10%から20%の範囲に対応する間隙があるようにされる関心領域の境界の形状を生成するステップを備える請求項7又は8に記載の医療画像観察システムの作動方法。
【請求項10】
前記関心領域の境界の寸法を、X線画像取得装置の角度若しくはX線画像取得装置の回転角又はそれら両方に適合させるステップを備える請求項7、8又は9に記載の医療画像観察システムの作動方法。
【請求項11】
前記関心領域の境界を解剖学的先験に適合させるステップを備える請求項7乃至10の何れか一項に記載の医療画像観察システムの作動方法。
【請求項12】
検査の段階を判断するステップを備える請求項7乃至11の何れか一項に記載の医療画像観察システムの作動方法。
【請求項13】
既定の検査の段階において、前記関心領域の境界の重畳をオフに切り替えるステップを備える請求項7乃至12の何れか一項に記載の医療画像観察システムの作動方法。
【請求項14】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の医療画像観察システムの処理ユニットにより実行されるとき、請求項7乃至13に従う医療画像観察システムの作動方法を実行する、コンピュータプログラム。
【請求項15】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の医療画像観察システムの処理ユニットにより実行されるとき、請求項7乃至13に従う医療画像観察システムの作動方法を実行するコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関心領域(ROI)を血管内にある位置決め装置を示している医療画像上に表示するための医療画像観察システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冠動脈狭窄を治療しているとき、X線透視下においてカテーテル検査室において利用されるような介入のために、血管構造及びこの血管構造の内部を前進する装置を視覚化することが知られている。ここで、最初に、カテーテルを介して造影剤が注入され、X線検査装置は、この造影剤で満たされるとき放射線不透過性(radio-opaque)である血管を示す、"血管造影図"とも呼ばれる血管造影シーケンスを記録する。次に、前記介入の間、例えば柔軟であり、部分的又は全てが放射線不透過性であるガイドワイヤは、罹患した血管構造に前進し、低線量のX線透視の監視を用いて、ガイドワイヤは視覚化され、これは"生(live)画像"と呼ばれる。重畳技術を用いて、前記血管造影図及び生画像は、血管構造及び装置を同時に含む医療画像が作られ得るように重畳される。この技術は、装置、例えばガイドワイヤを前進させている間、視覚と手の協調関係(hand-eye coordination)を可能にする"ロードマッピング(road mapping)"と呼ばれる。
【0003】
血管内を装置が航行するために、静止した血管造影図及び生のX線透過画像の主観的な視覚融合が要求される。この血管造影図は、互いに関連してシフトされると共に、例えば完全な1心周期にわたり異なる時間で取得される多数の個別画像を含み、並びに前記生画像にある血管は動いているので、このロードマッピングのための正確な方法は必須である。
【0004】
このロードマッピング手順を達成するためのある方法は、オブジェクトベースの処理を選択することであり、ここで最初に血管造影図から動脈が抽出され、動脈樹画像の心周期を生じさせる。前記生画像にある標的オブジェクトは空間的基準として選択される。次に、これら動脈樹画像は、生の介入装置を上手く覆うために、前記標的オブジェクトに従ってシフトされ、生のX線透過画像に重畳される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このロードマッピング技術の成功及び精度は、前記生画像における前記標的オブジェクトの存在が大きい。例えば、通例は経皮的冠動脈形成術(PCI)のために、介入治療中に利用されるカテーテルの先端が標的オブジェクトとして使用されてもよい。しかしながら、予期されるオブジェクト、例えばカテーテルの先端が取得した生画像において一部分しか見えていない場合、関連するオブジェクトベースの位置合わせアルゴリズムの結果は不良設定(ill-posed)であり、この結果が解決とならない又は1つを除き全ての解が誤っている多数の解決となるかである。
【0006】
このロードマッピング手順を成功するキーとなるオブジェクトの視認性の重要性を臨床医に気付かせることは難しい。代わりに、介入に専念している臨床医は自然とこの介入に主に集中する。さらに、関連するロードマッピング処理の詳細がよく分からないとき、考察されるオブジェクトがどの位画像内にあるか評価するのは難しい。介入時に、処理の成功及び必要な精度に対し満たされるべき条件、例えばあるオブジェクトが目に見えるmmの長さ又はあるピクセルの数を正確に指定したとても、これら厳密な仕様を満たすことは、臨床医に負担となる。
【0007】
それ故に、上記欠点の少なくとも幾つかを克服することを可能にする医療画像観察システムが必要である。特に、生のX線透過画像の実際の心周期を検出するのに十分な基準オブジェクトの視認性を保証している正確なロードマッピングを提供する医療画像観察システムが必要である。
【0008】
これらの必要は、独立請求項に従って、医療画像観察システム、方法、コンピュータプログラム及びコンピュータ読み取り可能媒体を用いて達成される。本発明の様々な実施例は従属請求項に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による医療画像観察システムは以下の方法を提供する。
【0010】
最初に、造影剤を注入した血管の介入前の静止診断血管造影図が少なくとも1つのX線画像取得装置を用いて取得される。次に、介入中、介入装置を視覚化するために、X線画像取得装置を用いて介入領域の生のX線透過画像の取得が達成される。この静止血管造影図及び生画像の必要な視覚融合は、ロードマッピング技術により実現され、これにより、これらを幾何学的に適合させるために、静止血管造影図は生画像に対し位置合わせされる。このロードマッピングは、オブジェクトベースの処理により供給され、ここで、前記成功及び精度は、生画像における標的オブジェクトの存在が大きい。以下において、介入装置、例えばカテーテル及び好ましくはこのカテーテルの先端が標的オブジェクトとして選択される。あらゆる種類の個別のオブジェクト、例えばペースメーカーのリード、電極、ニードル等がオブジェクトベースの位置合わせのための標的オブジェクトとして選択される。本発明はカテーテルの先端を標的オブジェクトとして使用することに限定されない。
【0011】
X線画像取得装置及び少なくとも1つの表示ユニットに接続される計算ユニットは、オブジェクトベースの画像の位置合わせの所定の精度を達成するために、考察される標的オブジェクトがその中にまで及ばなければならない関心領域の境界を生成するのに適合する。生成した境界は次いで、臨床医への指標として、生のX線透過画像及び血管樹の視覚化を含む位置合わせした画像に重畳される。
【0012】
上述した方法は、冠動脈狭窄を治療しているとき、カテーテル研修室において利用される経皮冠動脈介入のような、介入治療中に光学支援を供給することに注意すべきである。この支援は、他の応用に対しても同様に使用される。
【0013】
本発明の要旨は、考察される標的オブジェクトがロードマッピング手順の最適な処理を保証するために、一部が示されなければならない範囲の限界を表示することである。標的オブジェクトをこの範囲内に位置決める臨床医は、このオブジェクトを画像内に十分なほど持ってくる。本発明による医療画像観察システムは、前記オブジェクトを前記画像に十分なほど押し込むことの重要性を臨床医に思い出させる一方、好むならば、無視するのに十分なほど離散している。信頼できるロードマッピングを期待している臨床医は、その計算を可能にするのに十分な情報を提供しなければならない。関心領域を画像の上に表示することにより、本発明は、重畳の問題を十分抑制するために、画像内に例えばカテーテルの挿入する端部を十分なほど押し込むよう臨床医に促す。これは、さらに信頼できる及び正確なロードマッピング処理となる。
【0014】
本発明の例示的な実施例によれば、関心領域の境界は、シャッター位置に対し位置決め可能である。このシャッターは好ましくは、テーブルと患者との間に位置決められ、X線の照射を患者上の介入領域に限定する。考察される標的オブジェクトは、取得したX線画像上に見えなければならないので、シャッター位置に応答する必要があり、それ故に、間違った位置に置かれる又は狭すぎるシャッターのせいで前記考察される標的オブジェクトが見られない。前記標的オブジェクトがその画像において最低限必要な量のピクセル又は正しいサイズを持つように画像の境界と関心領域の境界との間にストライプ又は間隙を常に規定することが望ましい。ここで、"画像の境界"という表現は、シャッターの開口の内側にあるX線照射領域に依存する取得したX線画像の実際の外縁を指している。
【0015】
他の例示的な実施例によれば、計算ユニットは、シャッターの縁に平行に配される縁を持つ関心領域の境界を生成するのに適している。それ故に、画像の境界の縁と関連する関心領域の境界の縁との間の間隙は変化しないので、オブジェクトベースの位置合わせの精度は、X線画像の各領域内に維持されることができる。
【0016】
本発明の他の例示的な実施例において、関心領域の境界のサイズは、様々な形状パラメタ、例えばズーム比、シャッター形状、X線画像取得装置の角度(angulation)又は回転角等に適応可能である。それ故に、矩形の関心領域の境界だけを生成することを義務付けているのではなく、介入に依存して他の境界形状が所望されてもよい。前記計算ユニットは好ましくは、前記オブジェクトベースの位置合わせに対する所定の精度を維持するために、様々な形状パラメタに対応する。X線画像取得装置の前記角度又は回転角を変更するとき、考察される標的オブジェクトは、取得した画像において見えなくなるか、又は殆ど見えなくなるかであり、それ故に、前記オブジェクトベースの位置合わせの精度は低下する。従って、臨床医に前記オブジェクトをさらに関心領域内に移動させるように指示するために、関心領域の境界がこの状況に適応すべきである。計算ユニットは、形状パラメタが変化するときはいつでもこの関心領域の境界の形状及びサイズを変更するように、これら形状パラメタをリアルタイムで考察するのに適していることも好ましい。
【0017】
計算ユニットにより生成する関心領域の境界のサイズは、本発明の他の実施例における解剖学的先験(anatomical prior)に適用可能である。これは、本発明による医療画像観察システムが異なるタスク及び患者の異なる介入領域に適応することを可能にする。経皮冠動脈介入中、より大きな関心領域の境界は、関連する器官が心臓領域の器官ほど大きくは動かない他の介入治療よりも必要とされる。
【0018】
本発明の他の例示的な実施例において、前記システムは、関心領域の境界を表示ユニット上に重畳することに適応する及びこれら重畳した境界を取り除く、夫々のために、検査の段階を判断する能力を供給する。例えば、生のX線透過画像の取得中、本発明の全ての利点が利用されることができる。他方、血管造影図の取得中、関心領域の境界を見ることは必要ではなく、この見ることは気を散らすことでもある。
【0019】
本発明のさらに他の実施例によれば、関心領域の境界を表示ユニット上に重畳することが手動で切り替えられることができ、オブジェクトベースの位置合わせのための考察される標的オブジェクトが関連する関心領域の内部に置かれることは(好ましくは本発明による医療画像観察システムにより)明らかであると考えられる場合、臨床医の気を散らすことは少なくなる。
【0020】
医療画像観察システムの他の例示的な実施例は、従属請求項に述べられている。上述した医療画像観察システムの例示的な実施例に関して論じた期待される利点は、本発明の方法の例示的な実施例にも適用する、またその逆も適用する。
【0021】
本発明の他の例示的な実施例によれば、関心領域の境界を生成し、この境界を血管樹画像上及び生画像上に重畳するためのコンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ読み取り可能媒体が設けられ、このコンピュータプログラムは、処理器により実行されるとき、この処理器に上述したステップを実行させる。
【0022】
さらに、本発明の他の例示的な実施例によれば、関心領域の境界を生成し、この境界を血管樹画像上及び生画像上に重畳するためのコンピュータプログラムが設けられ、このプログラムは、処理器により実行されるとき、この処理器に上述したステップを実行させる。
【0023】
本発明に従う、関心領域の境界を血管樹画像上及び生画像上に重畳することを生じさせる方法は、コンピュータプログラムとして、すなわちソフトウェアによって具現化されるか、若しくは1つ以上の特定の電子最適化回路を用いて、すなわちハードウェアで具現化されてもよいこと、又は前記方法は、ハイブリッド形式、すなわちソフトウェアの構成要素とハードウェアの構成要素とを用いて具現化されてもよいことを、当業者は容易に理解するだろう。
【0024】
本発明のこの例示的な実施例は、本発明を最初から使用するコンピュータプログラム、及びアップデートにより、現在のプログラムを本発明を使用するプログラムに変えるコンピュータプログラムの両方を扱っている。
【0025】
さらに、前記コンピュータプログラムは、上述したような方法の手順を実行するのに必要なステップ全てを供給することが可能である。
【0026】
本発明の他の例示的な実施例によれば、コンピュータプログラムをダウンロードするのに利用可能にする媒体が供給され、このコンピュータプログラムは、本発明の上述した実施例の1つに従って、前記方法を行うように配される。
【0027】
例えば、現在の医療画像観察システムは、新しいソフトウェアでアップグレードされてもよく、このソフトウェアは、処理器上で実行されるとき、本発明に従う、関心領域の境界を血管樹画像上及び生画像上に重畳する上述したステップをこのシステムに行わせる。
【0028】
本発明の特徴及び副作用は、本発明の別の実施例を参照して述べられることに注意しなければならない。しかしながら、当業者は、上記及び以下の記載から、特に他に通知がない限り、ある実施例に属する特徴の如何なる組み合わせに加え、別の実施例に又は製造方法に関する特徴間の如何なる組み合わせも本出願と共に開示されると考えられると推測するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による統合型の医療画像観察システムを備えるX線撮像システムを示す。
図2】血管領域の境界を生成し、この境界を血管樹画像上に重畳するためのステップを概略的に説明する。
図3】血管樹画像上及び生画像上に重畳した例示的な関心領域の境界を示す。
図4】カテーテルの先端が動いていない生画像上に4つの異なる重畳した血管樹の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の特徴及び所望する効果は、付随する図面に示されるような特定の実施例に関してさらに開示されるが、本発明はそれら実施例に限定されない。図面にある図は概略的であり、正確な縮尺ではない。これら図面における類似の要素は、類似の参照符号を参照している。
【0031】
図1は、関心領域の境界を生成し、この境界を血管樹画像及び生画像上に重畳するための医療画像観察システムを備えるX線撮像システム10を概略的に示す。
【0032】
X線撮像システム10は、X線放射線を生成するために設けられたX線放射線源12を備えるX線画像取得装置を有する。テーブル14は、検査すべき被験者を受け止めるために設けられる。さらに、X線画像検出モジュール16は、前記X線放射線源12の反対側に置かれる。放射線治療中、検査される被験者は、X線放射線源12と前記検出モジュール16との間に置かれる。この検出モジュールはデータをデータ処理ユニット又は計算ユニット18に送り、このユニットは、X線画像検出モジュール16及びX線放射線源12の両方に接続されている。この計算ユニット18は例示的に、検査室内の空間を節約するためにテーブル14の下に置かれる。もちろん、このユニットが例えば別の部屋又は別の研究室のような別の場所に置かれることもできる。さらに、X撮像システムを操作する人間、例えば心臓専門医又は心臓外科医のような臨床医に情報を表示する表示ユニット20がテーブル14の近くに配される。好ましくは、表示ユニット20は、検査状況に依存して個別の調節を可能にするために可動で取り付けられる。さらに、ユーザが情報を入力するためのインタフェースユニット22が配される。
【0033】
基本的に、画像検出ユニット16は、被験者にX線放射線を照射することにより画像を生成し、ここで前記画像はさらに、計算ユニット18において処理される。示される例はいわゆるC型のX線画像取得装置であることに注意されたい。このX線画像取得装置は、画像検出モジュール16がC型アームの一端に配され、X線放射線源12がC型アームの対向する端部に置かれるC形状のアームを有する。このC型アームは、可動で取り付けられ、テーブル14上に置かれる関心オブジェクトの周りを回転することができる。言い換えると、異なる視野方向の画像を取得することが可能である。
【0034】
図2は、本発明による医療画像観察システムにより供給される方法のステップを概略的に示す。計算ユニット18を用いて関心領域の境界形状を生成するステップ24がこの図の中心的要素として見られる。前記境界の生成を行うことを可能にするために、多数の入力パラメタが必要であり、例えば取得した画像の拡大/縮小、C型アーム10の角度及び回転角、並びに他の形状パラメタのような幾つかの形状パラメタを含む形状パラメタ26が供給される。
【0035】
加えて、解剖学的先験28はさらに、理想的には解剖学的及び事前の介入を考慮に入れるための入力パラメタとして供給される。
【0036】
さらにシャッター位置、シャッターサイズ及びシャッター形状を含むシャッターパラメタ30は、前記形状を生成するためのさらに他の入力パラメタとして供給される。患者のX線照射範囲を限定するために、検査される患者に達する前のX線をシャッターがブロックする。このシャッターの境界の外側ではX線は検出不可能であるためで、考察される標的オブジェクトが生画像に存在することが、前記シャッターによりブロックされ、それ故にシャッターの位置、形状及びサイズを考慮に入れなければならない。
【0037】
このシャッターパラメタ30及び形状パラメタ26は、システム情報32を介して供給され、計算ユニット18又は他の何れかの装置は、関連するX線画像取得装置に関する及び医療画像観察システムの適切に測定される又は保存される情報全てを供給する。
【0038】
形状の生成は、必ずしも矩形である必要はないが、何れかの適切な形状を有する、シャッターの縁に平行であり、固定される画像の比率に対応する間隙があるようにされる縁を持つ箱の生成を含む。この間隙の寸法は、最適な処理にとって十分である、中央の関心領域内にある考察される標的オブジェクトが規定されることを保証するように、オブジェクトベースの位置合わせアルゴリズムの開発者により実験的に設定されてもよい。ロードマッピング手法の場合、前記間隙は、画像の寸法の10から20%に匹敵する。本発明は、このような画像の寸法の一部に限定されない。介入目的に依存して、その一部は大きくも又は小さくもすることができる。
【0039】
関心領域の形状の生成に加え、本発明による前記システムは望ましくは、関心領域の境界の重畳を作動若しくは停止させるために、又は嵌入し過ぎないように、本発明によるシステムに生じたり、介入の段階に依存して現れたり、消えたりする、その目立ち(boldness)を調節するために、現在の検査の段階34を決定する。この決定は、例えば介入中、関心領域の境界は存在するが、血管造影の照射状態中は消えているように自動的に供給される。
【0040】
本発明の所望の効果を結論付けるために、関心領域重畳手順36は、画像取得手順38を介して取得した画像上に生成した関心領域の境界形状を重畳する。
【0041】
関心領域の境界の重畳が達成された後、結果生じる画像が表示ユニット20に出力される。
【0042】
オブジェクトベースの位置合わせの所定の精度を一定に保つために、関心領域の境界をリアルタイムで再調節することが望ましいことに注意すべきである。
【0043】
図3は、介入領域の生のX線透視画像40を概略的に示す。血管造影図から抽出される及びオブジェクトベースの位置合わせ技術を用いて位置合わせされる血管樹42がこの生画像40上に重畳され、これは画像に見られる考察される標的オブジェクトの広がりに依存している。例えば、電気生理学的介入中、このオブジェクトは、ペースメーカーのリード線、電極、カテーテル等にすることができる。このオブジェクトは、血管樹及び生画像を位置合わせするために、基準として使用される。予期されるオブジェクトが一部分しか見られない場合、オブジェクトベースの位置合わせアルゴリズム等により解決される問題は、明らかに不良設定であり、この問題が解決とならない又は1つを除き全ての解決が誤っている幾つかの明確な解決となるかである。これは別の心拍位相に対応する別の血管マップは全ての生画像を完全に含んでいる。これらのどれもが生画像と重畳されることができ、起こり得る誤ったロードマップを生じさせる。これら曖昧さの幾つかは、心周期の連続性に時間的制約を適用することにより軽減される。さらに、幾つかの場合、前記問題は満足の行くロードマップが臨床医に示されないほどの不良設定である。
【0044】
関心領域の境界44を生画像40及び血管樹42に重畳することにより、本発明による医療画像観察システムは、介入に関連するロードマッピング処理を成功するために、考察される標的オブジェクトの視認性の重要性を臨床医に気付かせる。この述べた事例において、カテーテル46は考察されるオブジェクトとして選択されると共に、その先端が示され、このカテーテルは血管48内にある。このカテーテル46の先端は、ごく少量が生画像40内に伸び、この先端は関心領域の境界44には達しない。カテーテル46のごく僅かな部分しか見ることができないので、血管造影における幾つかの又は全ての血管樹画像に当てはまる。それ故に、無作為の誤った解決に生じる、この殆ど見ることができない基準オブジェクトを参照するとき、血管樹の正しい空間位置をロードマッピングアルゴリズムが特定することは不可能である。図4は、カテーテル46の先端が動いていない生画像上に4つの異なる重畳した血管樹の画像を示す。4つの画像全ては、オブジェクトベースの位置合わせの問題に対する数学的解決であるが、明らかに、例示的に示されるガイドワイヤ48の既定の位置はこのガイドワイヤ48を囲んでいる血管50により見られるように明確ではない。
【0045】
それ故に、表示される境界44を用いて、関心領域の境界44の上を伸びるためにカテーテル46がさらに血管48に押し込まれない場合、ロードマッピング手法は誤りだと臨床医は気付く。臨床医は自然と自分が行っている介入に主に集中する場合でさえも、臨床医は、オブジェクトベースの位置合わせが正確に働くことを可能にするために、介入領域にある考察される標的オブジェクトの位置に影響を及ぼすように本発明による医療画像観察システムにより誘導される。
【0046】
本発明が図面及び上記明細書において詳細に説明及び開示されたのに対し、これら説明及び開示は、説明的又は例示的であると考えるべきであり、限定的であると考えるべきではない。本発明は、これら開示される実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0047】
10 X線撮像システム
12 X線放射源
14 テーブル
16 X線画像検出モジュール
18 データ処理ユニット又は計算ユニット
20 表示ユニット
22 インタフェースユニット
24 関心領域の境界の形状の生成
26 形状パラメタの供給
28 解剖学的先験供給ステップ
30 シャッターパラメタの供給
32 システム情の報供給
34 現在の検査の段階の決定
36 重畳
38 画像取得
40 生画像
42 血管樹
44 関心領域の境界
46 カテーテル
48 ガイドワイヤ
50 血管を囲むガイドワイヤ
図1
図2
図3
図4