(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、車両用コンビネーションスイッチのように複数のスイッチに対応した検出信号出力装置であるスイッチ装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。このスイッチ装置は、ケーブルを通じて制御装置に接続される。そして、スイッチ装置からのスイッチのオンオフに関する情報信号がケーブルを通じて制御装置に出力される。
【0003】
スイッチ装置としては、非多重タイプ及び多重タイプの2種類が存在する。非多重タイプのスイッチ装置にはスイッチの数と同数以上のコネクタ端子が設けられる。そして、そのコネクタ端子には、スイッチのオンオフ状態に応じた電圧が印加される。従って、上記ケーブルにはスイッチの数に応じた信号線が少なくとも必要となる。
【0004】
多重タイプにおけるスイッチ装置には、
図4に示すように、集積回路(IC:Integrated Circuit)100が内蔵されている。このIC100は、複数のIC端子101を備え、各IC端子101は接点105a〜105h又はコネクタ端子102a〜102cにそれぞれ接続部材103を介して接続されている。コネクタ端子102a〜102cは1つの通信用コネクタ端子102aと、一対の電力用コネクタ端子102b,102cとからなる。
【0005】
接点105a〜105h(ひいては、これと導通する接続部材103及びIC端子101)には、各スイッチのオンオフ状態に応じた電圧が印加される。このIC100は、電力用コネクタ端子102b,102cを通じて動作電力を取得する。そして、IC100は、接点105a〜105hからの電圧に基づき、複数のスイッチのオンオフ状態に関する情報を認識し、その情報信号を通信用コネクタ端子102aに出力する。この情報信号は、通信用コネクタ端子102aからケーブルを通じて制御装置に出力される。多重タイプにおいては、コネクタ端子及びケーブルの信号線の数を少なくすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記
図4の構成においては、IC端子101から接点105a〜105hまで接続部材103を互いに接触させることなく引き延ばす必要がある。よって、スイッチ装置内部における構成が複雑となる。
【0008】
また、
図4の右側の円中に拡大して示すように、上記IC100においては、例えば電力が供給されるIC端子101a(電力用コネクタ端子102b,102cに導通する端子)と、スイッチのオンオフ状態に応じた電圧が印加されるIC端子101b(接点105a〜105fに導通する端子)と、が隣接することがある。ここで、IC端子101bと比べて、IC端子101aには高い電圧レベルが印加される。このため、電力が供給されるIC端子101aが形成する磁場の影響により、隣接するIC端子101bの電圧レベルが変化するおそれがある。従って、IC端子101aの磁場の影響を抑制するために、IC端子101bにコンデンサ等の保護素子を設ける必要があった。なお、同様の影響はIC端子101a,101bが隣接する場合に限らず、IC端子101a,101b間の距離が近ければ生じうる。
【0009】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成の簡易化を図った検出信号出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、ケーブルを介して外部機器に接続されるコネクタ端子と
、前記コネクタ端子に対して
第1の一定距離だけ離間して位置するとともに、複数の検出手段の状態に係る情報が出力される複数の固定接点と、前記各固定接点と導通状態にある複数の第1のIC端子、及び前記コネクタ端子と導通状態にある第2のIC端子が直方体のパッケージの側面に設けられる集積回路と、を備え、前記集積回路は、前記第1のIC端子を通じて取得した前記検出手段の状態に応じて情報信号を生成し、それを前記第2のIC端子に出力し、前記パッケージの一側面には前記第1のIC端子が設けられ、前記一側面と異なる他側面には前記第2のIC端子が設けられ、前記パッケージの一側面が前記各固定接点に対応して位置し、前記パッケージの他側面が前記コネクタ端子に対応して位置
し、さらに、前記コネクタ端子が前記第2のIC端子を挟んで前記パッケージの反対側に位置するとともに、前記複数の固定接点がそれぞれ、対応する前記第1のIC端子を挟んで前記パッケージの反対側に位置することをその要旨としている。
【0011】
同構成によれば、集積回路のパッケージにおける一側面には第1のIC端子が設けられ、他側面には第2のIC端子が設けられる。従って、第1のIC端子及び第2のIC端子が隣接することが防止される。よって、上記背景技術で説明したように、第2のIC端子が形成する磁場の影響を抑制する保護素子を第1のIC端子に設ける必要がない。
【0012】
また、パッケージの一側面が各固定接点に対応して位置し、パッケージの他側面がコネクタ端子に対応して位置する。このため、第1のIC端子及び固定接点間の距離、並びに第2のIC端子及びコネクタ端子間の距離を近くすることで、それらを導通させる接続部材を最小限の長さとすることができる。
【0013】
以上の2点により、検出信号出力装置の構成の簡易化を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出信号出力装置において、前記各固定接点間の距離と、前記各第1のIC端子間の距離とを同一の
第2の一定距離とし、前記各第1のIC端子及び前記各固定接点の位置を対応させたことをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、各第1のIC端子及び各固定接点間を導通させる接続部材又はパターンの長さをより短くすることができる。よって、検出信号出力装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の検出信号出力装置において、前記
第2の一定距離は、互いに隣接する前記固定接点間又は前記第1のIC端子間の非導通状態を保証する距離に設定されることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、上記のように検出信号出力装置の構成の簡易化を図りつつ、互いに隣接する固定接点又は第1のIC端子が導通することが抑制される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検出信号出力装置において、構成の簡易化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる検出信号出力装置をスイッチ装置に具体化した一実施形態について
図1〜
図3を参照しつつ説明する。車両のステアリングコラムには棒状のレバーにより操作されるコンビネーションスイッチが取り付けられている。本実施形態におけるスイッチ装置はステアリングコラム内においてレバーの基端部に設けられるものである。
【0020】
図1に示すように、スイッチ装置10は、ケーブル55を介して外部機器、すなわちBCM(Body Control Module)50、電源52及びグランド53に接続されている。スイッチ装置10は、ケーブル55を介して電源52及びグランド53に接続されることで動作電力を得る。また、スイッチ装置10は、そのケーブル55を介してレバーの操作に応じた情報信号をBCM50に出力する。本実施形態のスイッチ装置10は、背景技術において説明した多重タイプである。BCM50は、スイッチ装置10からの情報信号に基づき、ワイパー装置、方向指示器及びライト等の車載機器51を動作させる。
【0021】
次に、スイッチ装置10の具体的構成について説明する。
図2に示すように、スイッチ装置10は、正方状のベース部15と、ベース部15の下側面の左側に連結される延出部16とを備える。この延出部16は、ベース部15に対して図中の左下側に向かって斜めに延出している。また、ベース部15及び延出部16の内底面にはそれぞれ基板17a,17bが設置されている。
【0022】
延出部16の下部にはコネクタ部12が形成されている。
図1に示すように、このコネクタ部12にはケーブル55のコネクタ55aが接続される。
図2に示すように、コネクタ部12は、3つのコネクタ端子12a〜12cを有する。ケーブル55は、スイッチ装置10及びBCM50を接続する信号線、並びにスイッチ装置10と電源52又はグランド53との間を接続する一対の電力線が樹脂にて被覆されてなる。
【0023】
図3に示すように、コネクタ端子12a〜12cは、導通材料でL字状に形成されるとともに、コネクタ部12の幅方向に沿って等間隔に配置されている。そして、コネクタ端子12a〜12cの短手辺の端部(
図3の下側に延出する端部)は基板17bに例えばはんだ付けにて固定されている。そして、コネクタ端子12a〜12cの長手辺はスイッチ装置10の外側に向かって延出している。
【0024】
また、
図3に示すように、延出部16内の基板17bには、複数(本例では6つ)の固定接点13a〜13fが配列されている。固定接点13a〜13fの配列方向と、コネクタ端子12a〜12cの配列方向とは互いに平行をなしている。
図2の左側に拡大して示すように、各固定接点13a〜13fは、一定距離L1だけ離間して配置されている。この一定距離L1は、各固定接点13a〜13f間の非導通状態が保証される程度の距離に設定されている。
【0025】
図3に示すように、固定接点13a〜13fには、レバーの操作に応じてオンオフ状態が切り替わる検出手段であるスイッチ部19がそれぞれ接触可能に設けられている。各スイッチ部19には一定の電圧が印加される。スイッチ部19は、
図2に示すように、実際にはベース部15の基板17a等に配置されている。
【0026】
図3に示すように、延出部16内の基板17bにおいて、固定接点13a〜13fとコネクタ端子12a〜12cとの間にはIC20が設けられている。IC20におけるパッケージ23は樹脂製で直方板状に形成されている。そして、パッケージ23における一方の長手側面20aには長手方向に沿って複数(本例では6つ)のスイッチ側IC端子22a〜22fが設けられ、他方の長手側面20bには長手方向に沿って3つの車両側IC端子21a〜21cが設けられる。
図2の左側に拡大して示すように、各IC端子22a〜22fは、上記固定接点13a〜13fと同様に一定距離L1だけ離間して位置している。これにより、互いに隣接するスイッチ側IC端子22a〜22fの非導通状態が保証される。なお、スイッチ側IC端子22a〜22fは第1のIC端子に相当し、車両側IC端子21a〜21cは第2のIC端子に相当する。また、長手側面20aは一側面に相当し、長手側面20bは他側面に相当する。
さらに、一定距離L1は第2の一定距離に相当する。
【0027】
各IC端子21a〜21c,22a〜22fは、略L字状に形成されるとともに、その先端部が基板17bに例えばはんだ付けにて固定される。これにより、IC20のパッケージ23が各IC端子21a〜21c,22a〜22fによって基板17bに対して離間した状態に保持される。
【0028】
IC20は、その一方の長手側面20bがコネクタ端子12a〜12cに対応して位置し、その他方の長手側面20aが固定接点13a〜13fに対応して位置するように設けられている。基板17b上において、それぞれ車両側IC端子21aの端部はコネクタ端子12aの端部に接触し、車両側IC端子21bの端部はコネクタ端子12bの端部に接触し、車両側IC端子21cの端部はコネクタ端子12cの端部に接触している。
【0029】
また、スイッチ側IC端子22a〜22fは、パッケージ23の長手方向において、それぞれ固定接点13a〜13fに対応して位置している。スイッチ側IC端子22a〜22fの端部と固定接点13a〜13fとの間には、それぞれ金属性の接続部材18が設けられている。これにより、固定接点13a〜13fとスイッチ側IC端子22a〜22fとが導通した状態となる。よって、スイッチ部19がオン状態となると、一定の電圧が接続部材18を介してスイッチ側IC端子22a〜22fに印加される。
【0030】
ケーブル55のコネクタ55aがスイッチ装置10のコネクタ部12に接続されると、コネクタ端子12aはケーブル55の信号線に、コネクタ端子12bはケーブル55における電源52に繋がる電力線に、コネクタ端子12cはケーブル55におけるグランド53に繋がる電力線にそれぞれ接続される。従って、コネクタ端子12b,12cを通じて、IC20に動作電力が供給される。
【0031】
IC20は、各スイッチ部19(ひいてはスイッチ側IC端子22a〜22f)からの電圧の有無に基づき、レバーの操作状態を認識し、その操作状態を示す情報信号(デジタル信号)を生成する。IC20は、その情報信号を車両側IC端子21aに出力する。IC20からの情報信号は車両側IC端子21a及びケーブル55を介してBCM50に出力される。
【0032】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)IC20のパッケージ23における長手側面20aにはスイッチ側IC端子22a〜22fが設けられ、反対側の長手側面20bには車両側IC端子21a〜21cが設けられる。従って、スイッチ側IC端子22a〜22f及び車両側IC端子21a〜21cが隣接することが防止される。よって、上記背景技術で説明したように、車両側IC端子21a〜21cの形成する磁場の影響を抑制する保護素子をスイッチ側IC端子22a〜22fに設ける必要がない。
【0033】
また、スイッチ側IC端子22a〜22fが各固定接点13a〜13fに対応して位置し、車両側IC端子21a〜21cがコネクタ端子12a〜12cに対応して位置している。このため、スイッチ側IC端子22a〜22f及び固定接点13a〜13f間の距離、並びに車両側IC端子21a〜21c及びコネクタ端子12a〜12c間の距離を近くすることで、それらを導通させる接続部材18を最小限の長さ若しくは接続部材18を省略することができる。以上の2点により、スイッチ装置10の構成の簡易化を図ることができる。
【0034】
(2)各スイッチ側IC端子22a〜22f間の距離、並びに各固定接点13a〜13f間の距離が一定距離L1に設定されている。また、各スイッチ側IC端子22a〜22fと各固定接点13a〜13fとが対応する位置に設けられている。よって、各スイッチ側IC端子22a〜22f及び各固定接点13a〜13f間を導通させる接続部材18の長さをより短くすることができる。よって、スイッチ装置の構成の簡易化を図ることができる。
【0035】
(3)一定距離L1は、互いに隣接する固定接点13a〜13f間又はスイッチ側IC端子22a〜22f間の非導通状態を保証する距離に設定される。よって、互いに隣接する固定接点13a〜13f又はスイッチ側IC端子22a〜22fが導通することが抑制される。
【0036】
(4)スイッチ装置において、固定接点13a〜13f及びコネクタ端子12a〜12cの構成は、背景技術において
図4を参照して説明した多重タイプ、並びに非多重タイプと同様である。よって、IC20及び接続部材18を除くスイッチ装置本体は従来と同様の構成である。従って、上記各構成において、スイッチ装置本体を共有することができる。
【0037】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態においては、固定接点13a〜13f及びスイッチ側IC端子22a〜22fの数は6つであったが、これらの数は6つに限定されず、スイッチの数に応じて設定可能である。
【0038】
・上記実施形態においては、スイッチ側IC端子22a〜22fと固定接点13a〜13fとの間には接続部材18が設けられていた。しかし、基板17b上のパターンを通じてスイッチ側IC端子22a〜22fと固定接点13a〜13fとが導通した状態とされてもよい。また、スイッチ側IC端子22a〜22fの先端が直接固定接点13a〜13fにそれぞれ接触することで、スイッチ側IC端子22a〜22fと固定接点13a〜13fとを導通状態としてもよい。
【0039】
・上記実施形態においては、スイッチ部19は機械的なスイッチであったが、ホールICなどの非接触センサであってもよい。
・上記実施形態においては、スイッチ装置は、コンビネーションスイッチに対応したものであったが、その他ミラースイッチ、パワーウインドウスイッチなどに対応したものであってもよい。
【0040】
・上記実施形態における車両側IC端子21a〜21cの配置順は適宜変更可能である。
・上記実施形態においては、IC端子21a〜21cはコネクタ端子12a〜12cに接触していたが、IC端子21a〜21c及びコネクタ端子12a〜12cを一体で形成してもよい。この場合、IC端子21a〜21cが外側に突出したピン状に形成される。
【0041】
・上記実施形態においては、各固定接点13a〜13fは、各スイッチ側IC端子22a〜22fと同様に一定距離L1だけ離間して配置されていた。しかし、各固定接点13a〜13fは各スイッチ側IC端子22a〜22fと異なる距離だけ離間していてもよい。また、各固定接点13a〜13fの離間距離は、固定接点毎に異なっていてもよい。同様に、各スイッチ側IC端子22a〜22fの離間距離はスイッチ側IC端子毎に異なっていてもよい。
【0042】
・上記実施形態においては、長手側面20bには車両側IC端子21a〜21cが設けられ、長手側面20aにはスイッチ側IC端子22a〜22fが設けられている。しかし、IC20のパッケージ23において、短手方向の一方の側面に車両側IC端子21a〜21cが設けられ、短手方向の他方の側面にスイッチ側IC端子22a〜22fが設けられる構成であってもよい。この構成のIC20は、上記実施形態に比べて、固定接点13a〜13fと、コネクタ端子12a〜12cとの距離
(第1の一定距離に相当)が大きい場合に、上記一方の側面をコネクタ端子12a〜12cに対応させ、上記他方の側面を固定接点13a〜13fに対応させる。さらに、IC20のパッケージ23における互いに隣り合う側面に、それぞれスイッチ側IC端子22a〜22f及び車両側IC端子21a〜21cを設けてもよい。また、パッケージ23の形状も長方板状に限らず、その他の直方体状であってもよい。
【0043】
・上記実施形態においては、スイッチ装置10からBCM50への単方向通信であったが双方向通信としてもよい。例えば、コンビネーションスイッチのレバーを点灯させる発光ダイオードを備えた構成とする。本構成においては、IC20はBCM50からの点灯要求信号をコネクタ端子12a及び車両側IC端子21aを通じて取得すると、発光ダイオードを点灯させる。IC20は、同様に消灯要求信号を取得すると、発光ダイオードを消灯する。