(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
高温ガスと低温ガスとが反対方向から交互に流入し流出するケーシング内部に多数の粒状蓄熱材を充填し、これら蓄熱材により高温ガスと低温ガスとの間で熱を授受する蓄熱ユニットにおいて、
上記ケーシング内部にこれら高温ガス及び低温ガスを前後長さ方向へ流通させるために、該ケーシングの前後長さ方向両端に、高温ガス及び低温ガスがそれぞれ流入する高温側ガスポート及び低温側ガスポートを設け、
上記ケーシング内部に、上記低温側ガスポートから仕切って上記粒状蓄熱材を閉じ込めて堆積させる通気性仕切り部材を設け、
上記ケーシング内部に、上記仕切り部材から間隔を隔てて位置させて、該ケーシングを左右幅方向に横断する方向へ向かって、上下に少なくとも一段以上の棚板を設け、
上記粒状蓄熱材を、上記ケーシングの天井部から上記棚板と上記仕切り部材との間に投入して、該ケーシングの底部上及び該棚板上に、当該粒状蓄熱材をその安息角で堆積させつつ、該ケーシングの底部から天井部に亘って充填したことを特徴とする蓄熱ユニット。
前記ケーシング内部に、前記通気性仕切り部材に代えて、前記低温側ガスポートに面しかつ前記棚板から間隔を隔てて位置させて、該ケーシングを左右幅方向に横断する方向へ向かって、上下に少なくとも一段以上の第2棚板を設け、
前記粒状蓄熱材を、上記ケーシングの天井部から上記棚板と上記第2棚板との間に投入して、該ケーシングの底部上、該棚板上及び該第2棚板上に、当該粒状蓄熱材をその安息角で堆積させつつ、該ケーシングの底部から天井部に亘って充填したことを特徴とする請求項1から4いずれかの項に記載の蓄熱ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る蓄熱ユニットの好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る蓄熱ユニット1の原理を説明するための説明図であって、
図1(a)は排気時、
図1(b)は給気時を示している。以下、蓄熱ユニット1を、リジェネレイティブバーナ2に適用した場合を例にとって説明する。
【0018】
リジェネレイティブバーナ2は、燃焼動作と排気動作を交互に行う。加熱炉等の炉3内から高温ガスである排ガスEを排気する排気動作には、排気系4の排気バルブ5が開放されると共に、給気系6の給気バルブ7が閉じられ、ダクト8を介して炉3内から排気系4へ排ガスEが排出される。蓄熱ユニット1は、排出される排ガスEで蓄熱材9を加熱する。これにより、蓄熱材9は熱を蓄える。
【0019】
その後、排気バルブ5を閉じると共に給気バルブ7を開放して排気動作から燃焼動作に切り替えられる。給気系6から燃焼用空気Cを給気する燃焼動作では、蓄熱ユニット1は、給気される燃焼用空気Cを蓄熱材9で加熱する。蓄熱材9で加熱された燃焼用空気Cは、ダクト8を介して炉3内へ給気され、この際、燃料噴射ノズル10から噴射される燃料Fと混合されて、炉3内に火炎を生じさせる。
【0020】
蓄熱ユニット1には、排気動作時、排ガスEがダクト8から排気系4へ向かって一方向に流れ、燃焼動作時、燃焼用空気Cが給気系6からダクト8へ向かって反対方向に流れる。このようなリジェネレイティブバーナ2の基本運転動作と、排ガスEと燃焼用空気Cとの間で熱を授受する蓄熱ユニット1の機能は周知である。
【0021】
蓄熱ユニット1は基本的に、ケーシングと11、ケーシング11内部に充填される多数の粒状の蓄熱材9と、排ガスE及び燃焼用空気Cをケーシング11内部に導入して流通させるためガスポート12,13,14と、ケーシング11内部に設けられる通気性仕切り部材15と、ケーシング11に形成され、蓋体16を開閉することで、ケーシング11内部に蓄熱材9を充填するための投入口17とを備えて構成される。
【0022】
粒状の蓄熱材9は、蓄熱作用を有する素材、例えばセラミック製であって、コロコロと転がりやすいおおよそ球状に形成される。
【0023】
ケーシング11は、前後長さ方向に一対で設けられる前方端板11a及び後方端板11bと、左右幅方向に一対で設けられる側板11cと、上部を塞ぐ天板11dと、底部を塞ぐ底板11eとから直方体状に形成される。ケーシング11は、直方体状に限らず、円筒体状など、どのような形態であっても良い。ケーシング11は、蓄熱材9が蓄える熱に耐える耐熱性と、蓄熱材9を収容し得る強度とを備えて構成され、例えばいずれも安価な鋼板などの金属材料や、耐火レンガなどの耐火物で構成される。要は、蓄熱材9を安定的に収容できて、温度差等による損傷を受けないものであればよい。
【0024】
ケーシング11の前方端板11aには、ケーシング11内部に排ガスEを流入させる高温側ガスポート12が設けられる。高温側ガスポート12には、炉3内に連通するダクト8が接続される。高温側ガスポート12からは、リジェネレイティブバーナ2の排気動作時、排ガスEが流入され、燃焼動作時、燃焼用空気Cがダクト8へ向かって流出される。
【0025】
ケーシング11の後方端板11bには、ケーシング11内部に燃焼用空気Cを流入させる給気用低温側ガスポート13及びケーシング11内部から排ガスEを流出させる排気用低温側ガスポート14が設けられる。給気用低温側ガスポート13には、給気系6が接続され、排気用低温側ガスポート14には、排気系4が接続される。
【0026】
低温側ガスポート13,14では、リジェネレイティブバーナ2の排気動作時には、排気バルブ5が開放され、給気バルブ7が閉じられて、排気用低温側ガスポート14から排ガスEが排気系4へ排出される。燃焼動作時には、排気バルブ5が閉じられ、給気バルブ7が開放されて、給気用低温側ガスポート13から燃焼用空気Cが流入される。
【0027】
従って、ケーシング11内部には、リジェネレイティブバーナ2の排気動作と燃焼動作の切替に応じ、ダクト8や給気系6、排気系4を介して排ガスEや燃焼用空気Cが反対方向から交互に流入し流出する。そしてこれら排ガスEや燃焼用空気Cは、前方端板11a及び後方端板11bの間で、ケーシング11の前後長さ方向へ、すなわち横向きに流通される。
【0028】
通気性仕切り部材15は、ケーシング11の後部に、後方端板11bから間隔を隔てた位置に位置させて、ケーシング11内部を仕切って設けられる。これにより、ケーシング11内部には、仕切り部材15と後方端板11bとの間に低温側チャンバ18が形成される。
【0029】
仕切り部材15は、板状部材であって、ガスC,Eの流通を妨げない通気性と、蓄熱材9が蓄える熱に耐える耐熱性と、ケーシング11内に充填される蓄熱材9を、低温側チャンバ18とは反対側に閉じ込めて堆積させる強度を備えて構成される。仕切り部材15は、例えば安価な鋼材などの金属材料や耐火レンガなどの耐火物であって、粒状蓄熱材9の外形寸法よりも僅かに小さな孔径の孔を多数有する多孔状やメッシュ状に形成される。
【0030】
仕切り部材15で形成される低温側チャンバ18には、給気用低温側ガスポート13から低温の燃焼用空気Cがケーシング11内に広がるように流入すると共に、仕切り部材15側から、蓄熱材9を加熱して降温した排ガスEが流入して排気用低温側ガスポート14から排出される。
【0031】
本発明に係る蓄熱ユニット1の原理は、投入口17を開放してケーシング11内部に投入する粒状蓄熱材9を、仕切り部材15と前方端板11aとの間に、当該粒状蓄熱材9の安息角θで堆積させることにあり、原理を説明する
図1では、ケーシング11の底板11eから天板11dにわたって充填されている。安息角θで堆積させるため、ケーシング11の前部では、蓄熱材9は、天板11dから底板11eにわたって、前方端板11aへ向かって下る傾斜面を形成しつつ堆積し、蓄熱材9と前方端板11aとの間に、高温側チャンバ19が形成される。
【0032】
図1において、蓄熱材9によるケーシング11の前後長さ方向における傾斜面の寸法xは、蓄熱材9の安息角θと、天板11dから底板11eまでの高さ寸法yで決定される(x=y/tanθ)。天板11dから底板11eにわたって充填した蓄熱材9により、ケーシング11内部の前後長さ方向へ流通する排ガスEや燃焼用空気Cを、ケーシング11の縦断面において、万遍なく蓄熱材9に接触させることができ、十分に効率よく熱の授受を行わせることができる。
【0033】
高温側チャンバ19には、高温側ガスポート12から高温の排ガスEがケーシング11内に広がるように流入すると共に、蓄熱材9側から、蓄熱材9で加熱されて昇温した燃焼用空気Cが流入して、この燃焼用空気Cは、高温側ガスポート12からダクト8を介して炉3に向けて給気される。
【0034】
図2及び
図3には、本発明に係る蓄熱ユニット1の第1実施形態が示されている。
図2は、
図1と同様な、蓄熱ユニット1の側断面図、
図3は、
図2中、A−A線矢視断面図である。
【0035】
第1実施形態の蓄熱ユニット1では、ケーシング11の前部に、仕切り部材15及び前方端板11aから間隔を隔てた位置に位置させて、ケーシング11の左右幅方向に向かって、上下に少なくとも一段以上の棚板20が設けられる。棚板20を設けることにより、蓄熱材9は、ケーシング11の底板11e上及び棚板20上に、その安息角θで堆積しつつ、底板11eから天板11dにわたって充填される。図示例にあっては、棚板20は、上下に3枚で3段設けられ、ケーシング11を高さ方向に4分割している。
【0036】
これら棚板20は、天板11dと底板11eとの間の高さ方向に、等間隔で配設される。棚板20は、その上に蓄熱材9を堆積させ得る強度があれば、左右両端を両側の側板11cに取り付けても、あるいはいずれか一端を一方の側板11cに取り付けるだけでも良い。棚板20は、蓄熱材9が蓄える熱に耐える耐熱性と、蓄熱材9をその上に堆積させる強度を備えて構成される。棚板20は、例えばいずれも安価な鋼板などの金属材料や、耐火レンガなどの耐火物で構成される。
【0037】
棚板20同士、棚板20と底板11e、並びに棚板20と天板11dとの上下間隔は、ガスC,Eの流通を妨げない寸法に設定される。棚板20上には、本発明の原理で説明したように、棚板20と仕切り部材15との間に位置する投入口17から投入される蓄熱材9がその安息角θで堆積する。このときのケーシング11の前後長さ方向における傾斜面の寸法xは、棚板20同士の上下方向間隔寸法P(棚板20と天板11d及び棚板20と底板11eも同様)と蓄熱材9の安息角θで関連付けられる(x=P/tanθ)。
【0038】
棚板20の上下方向の占有寸法(厚さ)をt、その枚数をnとすると、棚板20同士の上下間隔寸法Pと天板11dから底板11eまでの高さ寸法yとの関係は、y=nt+(n+1)Pであるので、棚板20を設けると、設けた枚数分に応じて、ケーシング11の前後長さ方向における蓄熱材9の傾斜面の寸法xが短縮され、棚板20の幅寸法L(ただし、x≦L)が狭められて、ケーシング11の前後方向長さ寸法が短くなる。棚板20の幅寸法Lは、余裕をもって蓄熱材9を堆積させ得るように、ケーシング11の前後長さ方向における蓄熱材9の傾斜面の寸法よりも、僅かながら長くする必要がある。
【0039】
次に、第1実施形態に係る蓄熱ユニット1の作用について説明する。蓄熱ユニット1は、粒状蓄熱材9を、投入口17から棚板20と仕切り部材15との間に投入して、ケーシング11内部に充填することで構成される。
【0040】
蓄熱材9は、投入し始めると、底板11e上に堆積し始める。蓄熱材9は、低温側ガスポート13,14側では仕切り部材15位置で閉じ込められる。高温側ガスポート12側では、蓄熱材9はその安息角θで堆積していく。蓄熱材9は、一番下の棚板20の高さ位置まで堆積すると、底板11e上への堆積が止まり、その後、当該一番下の棚板20上に堆積していく。
【0041】
蓄熱材9は、一番下の棚板20上でも、その安息角θで堆積していき、直上の棚板20の高さ位置まで堆積すると、一番下の棚板20上への堆積が止まり、その後、直上の棚板20上に堆積していく。棚板20同士の間では、このような堆積が繰り返される。最後に、蓄熱材9は、一番上の棚板20でも、その安息角θで堆積していき、天板11d直下まで堆積する。これにより、蓄熱材9は、ケーシング11の底板11eから天板11dにわたって密実に充填される。
【0042】
蓄熱ユニット1としての作用は、排ガスE及び燃焼用空気Cがケーシング11の前後長さ方向、すなわち横向きに流通されることを除き、背景技術で説明した縦向きにガスを流通させる蓄熱器等と同様である。
【0043】
略述すると、給気バルブ7を閉じ、排気バルブ5を開放すると、排ガスEは、炉3内から排気系4へ向かって一方向に流れる。排ガスEは、ダクト8を介して、蓄熱ユニット1に流入する。排ガスEは、ケーシング11の高温側ガスポート12から高温側チャンバ19内に広がるように流れ込み、高温側チャンバ19から棚板20同士の間など通過して、蓄熱材9の隙間を流通する。この際、排ガスEは蓄熱材9を加熱する。
【0044】
蓄熱材9を加熱して温度が低くなった排ガスEは、通気性仕切り部材15を介して、低温側チャンバ18へ流入し、低温側チャンバ18から排気用低温側ガスポート14を介して排気系4に排出される。
【0045】
他方、排気バルブ5を閉じ、給気バルブ7を開放すると、燃焼用空気Cは、給気系6から炉3内へ向かって、排ガスEと反対方向に流れる。燃焼用空気Cは、給気系6から蓄熱ユニット1に流入する。燃焼用空気Cは、ケーシング11の給気用低温側ガスポート13から低温側チャンバ18内に広がるように流れ込み、低温側チャンバ18から仕切り部材15を介して、蓄熱材9の隙間を流通する。この際、燃焼用空気Cは、排気時に蓄熱材9に蓄熱させた熱によって加熱される。
【0046】
蓄熱材9に蓄熱した熱で加熱されて温度が高くなった燃焼用空気Cは、棚板20同士の間などを通過して、高温側チャンバ19へ流入し、高温側チャンバ19から高温側ガスポート12を介して、ダクト8へ流出し、炉3内へ給気される。そして、燃焼用空気Cは、燃料噴射ノズル10からの燃料Fと混合されて、炉3内に火炎を生じさせる。そして、蓄熱ユニット1は、燃焼用空気Cと排ガスEが繰り返し交互に流入し流出されることで、蓄熱材9によりこれらガスC,E相互間で熱の授受を行う。
【0047】
火炎を生じさせる手段として、スパークプラグやパイロットバーナ等の着火手段を設けるが、炉3内が既に着火温度以上であれば、設けなくてもよい。
【0048】
図4は、燃焼用空気Cや排ガスEを横向きに流す構成として、高温側チャンバ19に、低温側チャンバと同様な通気性仕切り部材50を設ける場合の説明図である。通気性仕切り部材50としては、上述したように、通気性、耐熱性及び蓄熱材9を閉じ込めて堆積させる強度が求められる。
【0049】
図4(a)に示すように、一対の通気性仕切り部材15,50をケーシング11内部に対向配置した場合、高温な排ガスEが流通する高温側チャンバ19の通気性仕切り部材50は、低温側チャンバ18に設ける通気性仕切り部材15よりも、耐熱性、そして特に強度に配慮する必要がある。
【0050】
例えば、高温側チャンバ19に設ける仕切り部材50を、低温側チャンバ18の金属製の網状の仕切り部材15と同程度に構成すると、
図4(b)に示すように、高温な排ガスEや加熱された燃焼用空気に晒されて網目が熱変形して開き、蓄熱材9を閉じ込めることができなくて、こぼれ出てしまうような不具合が発生し得る。
【0051】
強度を考慮して、
図4(c)に示すように、高温側チャンバ19の仕切り部材50として、低温側チャンバ18側に設置する金属製の網状の板状部材の仕切り部材15に比して、部材寸法の大きな棒材で縦格子状にしたり、材料自体もセラミックなどの高性能耐熱材を採用することが考えられるが、部材寸法を大きくすると、通気性が阻害されて圧損が大きくなってしまうと共に、材料費の面でコストアップになってしまうという欠点がある。
【0052】
第1実施形態に係る蓄熱ユニット1にあっては、排ガスEと燃焼用空気Cとが反対方向から交互に流入し流出するケーシング11内部に多数の粒状蓄熱材9を充填し、これら蓄熱材9により排ガスEと燃焼用空気Cとの間で熱を授受する蓄熱ユニット1において、ケーシング11内部にこれら排ガスE及び燃焼用空気Cを前後長さ方向へ横方向に流通させるために、ケーシング11の前後長さ方向両端に、排ガスE及び燃焼用空気Cがそれぞれ流入する高温側ガスポート12及び低温側ガスポート13,14を設け、ケーシング11内部に、低温側ガスポート13,14から仕切って粒状蓄熱材9を閉じ込めて堆積させる通気性仕切り部材15を設け、ケーシング11内部に、仕切り部材15から間隔を隔てて位置させて、ケーシング11を左右幅方向に横断する方向へ向かって、上下に少なくとも一段以上の棚板20を設け、粒状蓄熱材9を、ケーシング11の投入口17から棚板20と仕切り部材15との間に投入して、ケーシング11の底板11e上及び棚板20上に、当該粒状蓄熱材9をその安息角θで堆積させつつ、ケーシング11の底板11eから天板11dに亘って充填するようにしたので、排ガスEや燃焼用空気Cを横方向に流通させることができ、この横方向の流れにより蓄熱材9を介して熱の授受を行うことができて、蓄熱ユニット1の上下方向寸法を小さくすることができる。
【0053】
特に、蓄熱ユニット1の高温側チャンバ19側において、棚板20により粒状蓄熱材9をその安息角θで安定的に堆積させることにより、蓄熱材9を閉じ込める強度部材が不要となる。棚板20については、蓄熱材9が積まれている上側と、蓄熱材9が接する程度であって、ほぼ開放されている下側とでは、大きな温度差が生じるが、棚板20の材質として、耐熱鋼板やセラミック、耐火レンガ等の耐熱材を選定したり、棚板20に、適度な厚みを付与したりリブ材を設ける等して熱反りを防止するようにする。これにより、単なる棚板20の設置という単純な構造により排ガスE等の十分で円滑な通気性と必要な耐熱性を確保することができ、コストアップを生じることなく、従来と遜色のない性能を発揮させることができる。
【0054】
棚板20を備えたことにより、安息角θで堆積する蓄熱材9によるケーシング11の前後長さ方向における傾斜面の寸法xを短縮化することができ、ケーシング11の前後方向長さ寸法を短くすることができる。仕切り部材15及び棚板20で、ケーシング11内部に、低温側及び高温側チャンバ18,19を形成でき、これにより、低温側及び高温側ガスポート12,13,14からの燃焼用空気C及び排ガスEを、ケーシング11内に広がるように流入させることができ、蓄熱材9に万遍なく接触させて効率良く熱の授受を行わせることができると共に、これらチャンバ18,19からガスポート12,13,14への流出作用も円滑化することができる。
【0055】
図5には、第2実施形態に係る蓄熱ユニット1が示されている。第2実施形態では、棚板20には、堆積した粒状蓄熱材9の崩落を規制する規制部として、上向き突起部材21が設けられる。図示するように、上向き突起部材21は、棚板20の先端縁、すなわち高温側チャンバに面する端部にその長さ方向(ケーシング11幅方向)に沿って設けられる。また、ケーシング11の底板11eにも、棚板20と同じ位置に、上向き突起部材21が設けられる。
【0056】
ケーシング11内を高温側チャンバ19へ向かって流通する燃焼用空気Cの流れや振動によって粒状蓄熱材9が動いても、この上向き突起部材21によって、安息角θで堆積している蓄熱材9がケーシング11内部で崩落することを防止できる。
【0057】
図6には、第2実施形態の変形例が示されている。変形例では、規制部の一例である上向き突起部材21に代えて、棚板20の先端縁を上方へ曲げ上げることにより、棚板20と一体的に迫り上がり部20aが形成される。このように構成すれば、極めて簡単に棚板20に規制部を備えることができる。
【0058】
これら第2実施形態及びその変形例にあっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0059】
図7には、第3実施形態にかかる蓄熱ユニット1が示されている。第3実施形態では、棚板20やケーシング11の底板11eは、高温側ガスポート12に向けて順次迫り上がる傾斜が設けられたり、高温側ガスポート12に向けて順次迫り上がる傾斜面22を有している。
【0060】
図示例にあっては、棚板20が、高温側ガスポート12に向けて順次迫り上がる傾斜で設けられ、ケーシング11の底板11eが、高温側ガスポート12に向けて順次迫り上がる傾斜面22を有している。傾斜面22を形成するために、ケーシング11の底板11eには、棚板20と同じ位置に、高温側チャンバ19へ向かって順次板厚が厚くなる板状傾斜部材23が設けられる。もちろん、傾斜を有する棚板20を用いても良い。
【0061】
棚板20の先端縁には、蓄熱材9の万一の落下に備えて、蓄熱材9一個分以上のスペースを確保することが好ましい(図中、寸法Zを参照)。
【0062】
棚板20や底板11eに対し、傾斜して設置したり、傾斜面22を設定するようにすると、蓄熱材9の崩落を規制できることはもちろんのこと、上向き突起部材21や迫り上がり部20aよりも通気抵抗を減少させることができる。さらに、棚板20及び底板11eに関し、傾斜を有する場合は、傾斜を有しない場合に比して、同じ棚板20の幅寸法Lで、ケーシング11の前後長さ方向における蓄熱材9の傾斜面の寸法xが短縮されるので、ケーシング11の前後方向長さを短くして小型化することができる。
【0063】
図8は、第3実施形態における棚板が傾斜を有する場合の蓄熱材の堆積状態を説明する説明図である。図中、θは蓄熱材9の安息角、αは棚板20の傾斜角度、Lは棚板20の幅寸法、Zは棚板20の先端縁から安息角θで堆積する蓄熱材9の先端位置までの距離、Pは棚板20同士の上下方向間隔である。これらには、下記の関係式が当てはまる。
寸法(1)=sinα・(L−Z)
寸法(2)=cosα・(L−Z)
寸法(3)=tanθ・cosα(L−Z)
P=寸法(1)+寸法(3)
=sinα・(L−Z)+tanθ・cosα(L−Z)
棚板20同士の上下方向間隔寸法Pや棚板20の傾斜角度αにより、通気性を検討することができ、棚板20の幅寸法Lや傾斜角度αで、ケーシング11の前後方向長さを検討することができる。この関係式より、棚板20の幅寸法Lや棚板20同士の上下方向間隔寸法P、傾斜角度αを設定すればよい。傾斜角度αは、蓄熱材9の閉じ込め性と通気性からして、15°〜45°の範囲が好ましく、30°が最も好ましい。このような第3実施形態であっても、上記第1及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0064】
図9には、第4実施形態にかかる蓄熱ユニット1が示されている。この第4実施形態は、低温側ガスポート13,14側に、通気性仕切り部材15に代えて、棚板20や板状傾斜部材23と同様な、上下に少なくとも一段以上の第2棚板24及び第2板状傾斜部材26を備えている。したがって、第2棚板24等は、ケーシング11内に、低温側ガスポート13,14に面しかつ棚板20から間隔を隔てて位置される。第4実施形態では、蓄熱材9と後方端板11bとの間に、低温側チャンバ18が形成される。その他の構成は、第3実施形態と同様である。
【0065】
第2棚板24やケーシング11の底板11eは、低温側ガスポート13,14に向けて順次迫り上がる傾斜が設けられたり、低温側ガスポート13,14に向けて順次迫り上がる傾斜面25を有している。
【0066】
図示例にあっては、高温側ガスポート12側の棚板20等と同様に、第2棚板24が、低温側ガスポート13,14に向けて順次迫り上がる傾斜で設けられ、ケーシング11の底板11eが、低温側ガスポート13,14に向けて順次迫り上がる傾斜面25を有している。傾斜面25を形成するために、ケーシング11の底板11eには、第2棚板24と同じ位置に、低温側チャンバ18へ向かって順次板厚が厚くなる板状傾斜部材26が設けられている。
【0067】
第4実施形態では、粒状蓄熱材9は、ケーシング11の天板11dから棚板20等と第2棚板24等との間に投入されて、ケーシング11の底板11e上、棚板20上及び第2棚板24上に、当該蓄熱材9をその安息角で堆積させつつ、ケーシング11の底板11eから天板11dに亘って充填される。
【0068】
第4実施形態にあっても、第2棚板24に、堆積した粒状蓄熱材9の崩落を規制する上向き突起部材や迫り上がり部などの規制部を設けるようにしても良いことはもちろんである。このような第4実施形態であっても、上記第1〜3実施形態と同様の作用効果を奏することはもちろんである。
【0069】
以上の実施形態では、蓄熱ユニット1を、リジェネレイティブバーナ2に適用した場合を例示して説明したが、本発明は、リジェネレイティブバーナ2に限らず、どのような熱利用設備に適用しても良いことはもちろんである。