(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨に逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのプリンタ1の概略断面図である。プリンタ1は、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の色の異なる4つの現像装置を備え、入力された印刷データに基づく画像を記録媒体としての用紙9上に形成可能な電子写真方式の画像形成装置である。なお、図内の方向を説明するに当り、後述するトナー像が作像されるときのトナー搬送方向をX軸とし、用紙9の搬送方向をY軸、これら両軸に直交する方向をZ軸とした。
【0012】
プリンタ1は、用紙カセット1800を始点とし、ホッピングローラ5、レジストローラ6、ピンチローラ7、転写ベルト11、及び排出ローラ800を経由し、排出スタッカ部801を終点とする、略S字状に形成された用紙搬送経路に沿って、現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)、定着装置8等が設けられている。
【0013】
用紙カセット1800は、内部に用紙9を堆積した状態で収納し、プリンタ1下部に着脱自在に装着されている。そして、用紙カセット1800上部に設けられたホッピングローラ5は、用紙カセット1800に収納された用紙9をその最上部から1枚ずつ取り出して用紙搬送経路に繰り出す。
【0014】
レジストローラ6、ピンチローラ7は、対となってホッピングローラ5から繰り出された用紙9の斜行を矯正するとともに、用紙9を転写ベルト11に搬送する。
【0015】
転写ベルト11は、用紙9を静電吸着して搬送する無端のベルト部材であり、当該転写ベルト11の張りを一定に保つために図示せぬスプリングで支持されたテンションローラ13と、当該テンションローラ13と対をなして配設され、後述する駆動モータ67の駆動により回転するドライブローラ12とにより張架されている。なお、転写ベルトクリーニングブレード1700は、例えば、ウレタン製のゴム部材であり、その一端が転写ベルト11の表面の所定位置において当接するように配設されている。転写クリーニングブレード1700は、転写ベルト11に残留したトナーを掻き取ることで転写ベルト11をクリーニングする。
【0016】
排出ローラ800は、定着装置8を通過した用紙9を挟持搬送し、プリンタ1の外筐を利用して形成された排出スタッカ801に用紙9を排出する。
【0017】
光源としての露光装置10(K),10(Y),10(M),10(C)は、LED(Light Emitting Diode)発光素子とレンズアレイとを有するLEDヘッドである。露光装置10(K),10(Y),10(M),10(C)は、それぞれ、後述する露光部制御部61による制御に基づき該LED発光素子が発光することにより照射された照射光が像担持体としての感光体ドラム表面に結像する位置となるように配設されている。
【0018】
現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)は、現像剤としてのトナーの各色(ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C))に対応した現像装置であり、用紙搬送経路に沿って
着脱自在となるように装着されている。現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)は、露光装置10(K),10(Y),10(M),10(C)から照射された照射光によって
それぞれの現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)が備える感光体ドラム表面に形成された潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0019】
それぞれの現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)が備える像担持体としての感光体ドラム21には転写ベルト11を介して対向して圧接するように転写ローラ3(K),3(Y),3(M),3(C)が配設されている。転写ローラ3(K),3(Y),3(M),3(C)には、後述する転写ローラ用電源60から印加された電圧により、感光体ドラム表面に形成されたトナー像は用紙9に転写される。なお、現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)の構成については、後ほど説明する。
【0020】
定着装置8は、現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)以降の用紙搬送経路下流側に配設されており、加熱ローラ8a,バックアップローラ8b、及び図示せぬ温度センサ等を備える。加熱ローラ8aは、例えば、アルミニウム等からなる中空円筒状の芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被服することによって形成されている。そして、その芯金内には、例えば、ハロゲンランプ等の加熱ヒータが設けられている。バックアップローラ8bは、例えば、アルミニウム等からなる芯金にシリコーンゴムの耐熱弾性層を被覆し、その上にPFAを被覆した構成であり、加熱ローラ8aとの間に圧接部が形成されるように配設されている。加熱ローラ8a,バックアップローラ8bは、定着制御部62の制御に基づき回転する。図示せぬ温度センサは、加熱ローラ8aの表面温度検出手段であり、加熱ローラ8aの近傍に非接触で配設されている。図示せぬ温度センサが検出した加熱ローラ8aの表面温度の検出結果に基づき、上記加熱ヒータを制御することで、加熱ローラ8aの表面温度は所定の温度に維持される。現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)において形成されたトナー像が転写された用紙9が所定の温度に維持された加熱ローラ8aとバックアップローラ8bとから形成される圧接部を通過することにより、用紙9上のトナーに熱、及び圧力が付与され、当該トナーは溶融し、トナー像が定着される。
【0021】
次に、現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)について
図2を用いて説明する。
図2は、現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)の概略断面図である。なお、各トナー色に対応した現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)は収容するトナーのみが異なり、その他の構成は同一である。したがって、ここでの説明では、トナー色に対応した、それぞれの現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)を識別するためのアルファベット表記を除いて説明する。
【0022】
現像装置2は、像担持体としての感光体ドラム21と、帯電部材としての帯電ローラ22と、現像剤担持体としての現像ローラ23と、供給部材としてのトナー供給ローラ24と、層規制部材としての現像ブレード25と、クリーニングブレード26と、廃トナー搬送スパイラル27と、廃トナーフィルム28と、現像フィルム29と、現像剤としてのトナー30と、トナー攪拌部材31と、モールド32とを備える。
【0023】
感光体ドラム21は、導電性支持体と光導電層とによって構成され、例えば、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属シャフトに光導電層としての電荷発生層、及び電荷輸送層が順次積層されて構成された負帯電積層型感光体ドラムである。本実施形態に係る感光体ドラム21の外径はΦ30mmであり、露光装置10から照射された照射光に基づく潜像を形成する。
【0024】
帯電ローラ22は、例えば、ステンレス等の金属シャフトと半導電性エピクロロヒドリンゴムとによって構成されている。帯電ローラ22の外径はΦ12mmで、感光体ドラム21に対して所定の圧力をもって当接しており、後述する帯電ローラ用電源57から印加された印加電圧に基づき、感光体ドラム表面を一様均一に帯電させる。
【0025】
現像ローラ23は、例えば、ステンレス等の金属シャフトの外周にカーボンブラックを分散させたウレタンゴムを配設し、その表面はイソシアネート処理が施されている。現像ローラ23の外径はΦ19.6mmであり、感光体ドラム表面に対して0.1mm押し込まれるように圧接して配設されている。現像ローラ23は、感光体ドラム表面上に形成された潜像に回転しながら摩擦帯電したトナー30を付着させることにより、トナー像を現像する。なお現像ローラ23は、感光体ドラム21に対して1.25倍の速度でつれ周り方向に回転する。
【0026】
トナー供給ローラ24は、例えば、ステンレス等の金属シャフトの外周に半導電性発泡シリコーンスポンジ層が配設されている。トナー供給ローラ24の外径はΦ15.5mmで、現像ローラ23表面に対して1.4mm押し込まれるように
圧接して配設されている。トナー供給ローラ24は、図示せぬトナータンクから供給されたトナー30を回転しながら現像ローラ23に供給するとともに、現像ローラ23上に残留したトナー30を回収する。
【0027】
現像ブレード25は、例えば、ステンレス等の厚さ0.08mmの金属板を折り曲げ加工して構成された板状部材であり、その一端は現像ローラ23の表面の所定位置において当接するよう配設されている。現像ブレード25は、トナー供給ローラ24から供給されたトナーの層厚を規制する。
【0028】
クリーニングブレード26は、例えば、ウレタン製のゴム部材であり、その一端は感光体ドラム表面の所定位置において当接するように配設されている。クリーニングブレード26は、感光体ドラム表面に残留するトナーを掻き取ることで、感光体ドラム表面をクリーニングする。
【0029】
廃トナー搬送スパイラル27は金属製のスパイラルから構成され、クリーニングブレード26により掻き落とされた廃トナーを図示せぬ廃トナー貯蔵部に搬送する。
【0030】
廃トナーフィルム28は、クリーニングブレード26により掻き落とされた廃トナーが現像装置外部に漏れることを防止するためのフィルム部材である。
【0031】
現像フィルム29は、現像ローラ23近傍のトナー30が現像装置外部に漏れることを防止するためのフィルム部材である。
【0032】
本実施形態に係るトナー30の平均粒径は5.5μmである。トナー30は、粉砕法により作成された一成分非磁性のものであり、流動性、帯電特性を調整するため、図示せぬ外添剤と呼ばれる数〜数十ナノメートルサイズのシリカや酸化チタン等からなる微粒子が添加されている。また、この外添剤の添加量及びカラー化のための着色剤はトナー毎に異なっている。本実施形態に係るトナー30は、摩擦帯電後に極性がマイナスとなるように構成されている。
【0033】
トナー攪拌部材31はφ2mmの金属棒をクランク形状に加工した部材であり、トナー供給ローラ24との最接近時に0.4mmのギャップとなるように配置されている。トナー攪拌部材31は、その端部の図示せぬギアから駆動力を受けて回転する。なお、本実施形態においては、一つの現像装置2内に、同じ回転動作するトナー攪拌部材31が2本設けられている。
【0034】
モールド32は現像装置2全体を覆うカバー部材であり、現像装置2内部にある部材を保護するとともに、トナー30が現像装置2の外に漏れることを防止する。
【0035】
次に、プリンタ1の機能構成について
図3のブロック図を用いて説明する。
【0036】
プリンタ1は、制御部としての印刷制御部51と、I/F制御部52と、受信メモリ53と、画像データ編集メモリ54と、操作部55と、センサ群56と、帯電ローラ用電源57と、現像ローラ用電源58と、トナー供給ローラ用電源59と、転写ローラ用電源60と、露光部制御部61と、定着制御部62と、搬送モータ駆動部63と、駆動制御部64とを備える。
【0037】
印刷制御部51は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート等を備え、I/F制御部52を介して図示せぬ上位装置から送信された印刷データや制御コマンドを受信し、プリンタ1全体のシーケンスを制御して印刷動作を行う。なお、印刷制御部51の内部構成については、後ほど詳細に説明する。
【0038】
I/F制御部52は、ネットワークコントローラ及びこれを制御する制御プログラムを含み、例えば、LAN(Local Area Network)等の電気信号線を介して接続された上位装置から印刷データや制御コマンドの受信を制御する。
【0039】
受信メモリ53は、例えば、RAMやフラッシュメモリといった書き換え可能な記憶装置を備え、I/F制御部52を介して受信した印刷データ等を一時的に記憶する。
【0040】
画像データ編集メモリ54は、受信メモリ53に記憶された印刷データを読み出し、読み出した印刷データを編集処理することで、画像データ、すなわちイメージデータを生成し、記録する。
【0041】
操作部55は、プリンタ1の動作状態を表示するための、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置や、ユーザからの操作入力を受付けるためのタッチパネルや、スイッチ等の入力手段を備える。
【0042】
センサ群56は、プリンタ1の動作状態を監視するための、用紙位置センサ、温度センサ、湿度センサ、又は濃度センサ等の各種センサを備える。
【0043】
帯電ローラ用電源57は、印刷制御部51からの指示に基づき、帯電ローラ22に所定の電圧を印加する。
【0044】
現像ローラ用電源58は、印刷制御部51からの指示に基づき、現像ローラ23に所定の電圧を印加する。
【0045】
トナー供給ローラ用電源59は、印刷制御部51からの指示に基づき、トナー供給ローラ24に所定の電圧を印加する。
【0046】
転写ローラ用電源60は、印刷制御部51からの指示に基づき、転写ローラ3(K),3(Y),3(M),3(C)に所定の電圧を印加する。
【0047】
露光部制御部61は、露光装置10(K),10(Y),10(M),10(C)の駆動を制御し、画像データ編集メモリ54に記録されたイメージデータに基づく照射光を感光体ドラム表面に照射させる。
【0048】
定着制御部62は、転写されたトナー像を用紙9に定着させるために、定着装置8の加熱ローラ8a,バックアップローラ8bの駆動を制御する。
【0049】
搬送モータ駆動部63は、印刷制御部51からの指示に基づき、用紙搬送モータ66の駆動を制御し、ホッピングローラ5、レジストローラ6、ピンチローラ7、排出ローラ800の回転を制御することで、用紙Pを搬送したり停止させたりする。
【0050】
駆動制御部64は、印刷制御部51からの指示に基づき、駆動モータ67の駆動を制御することで、感光体ドラム21の回転を制御する。
【0051】
次に、印刷制御部51の内部構成について説明する。
【0052】
印刷制御部51は、バイアス参照テーブル511と、ドラム回転数メモリ512と、露光量メモリ513と、算出部514と、演算部515と、累積枚数計測手段としてのカウンタ516とを備える。
【0053】
バイアス参照テーブル511は経時的な部材変化を見越し、予め設定された現像ローラ23に印加される電圧(DB)とトナー供給ローラ24に印加される電圧(SB)との間の電位差である|DB−SB|(V)の値の参照先である。
図4においては、|DB−SB|(V)に対して経時的な部材変化として、印刷枚数(枚)を対応付けた例について示している。本実施形態においては、印刷制御部51は、現像ローラ23の所定回転数に応じてバイアス参照テーブル511の|DB−SB|(V)の値を参照する。本実施形態に係るプリンタ1では、A4用紙の短手方向が進行方向である、A4用紙横送りで500枚の印刷時に、現像ローラ23は4496回転、感光体ドラム21は2277回転する。印刷制御部51は、前回のテーブル参照時から現像ローラ23が4496回転した時点で再度、バイアス参照テーブル511の|DB−SB|(V)の値を参照する。
【0054】
ドラム回転数メモリ512は、カウンタ516がカウントした、任意の時点から参照時までの感光体ドラム21の回転数を記憶する。
【0055】
露光量メモリ513は、任意の時点から参照時までの露光装置10(K),10(Y),10(M),10(C)の露光ドット数を記憶する。
【0056】
算出部514は、露光量メモリ513に記憶された値と、ドラム回転数メモリ512に記憶された値とから、単位枚数当りの平均トナー消費率を算出する。
【0057】
演算部515は、各種演算式を有し、バイアス参照テーブル511が保持する|DB−SB|(V)に対する補正値を演算する。
【0058】
カウンタ516は、任意の時点から参照時までの感光体ドラム21の回転数、現像ローラ23の回転数、又は印刷枚数をカウントする。
【0059】
印刷制御部51は、上記バイアス参照テーブル511が保持する|DB−SB|(V)の値又は|DB−SB|(V)の値に演算部515が演算して得られた補正値を加算した値に基づき、現像ローラ23とトナー供給ローラ24との間の電位差が目的の電位差となるように、現像ローラ用電源58及びトナー供給用電源59を制御する。
【0060】
次に、上記構成を有するプリンタ1の画像形成プロセスについて説明する。
【0061】
まず、例えば、パーソナルコンピュータ等の上位装置からI/F制御部52を介して印刷データを受信すると、印刷制御部51は、駆動制御部54に指示を与え、感光体ドラム21を所定の方向に回転させる。
【0062】
同時に、印刷制御部51は、所定の電圧を帯電ローラ22に印加するよう帯電ローラ用電源57に指示を与える。指示を受けた帯電ローラ用電源57は、帯電ローラ22に所定の電圧を印加し、感光体ドラム表面を一様均一に帯電させる。
【0063】
次に、印刷制御部51は、画像データ編集メモリ54に対して、受信して受信メモリ53に記憶された印刷データに基づくイメージデータを生成するよう指示を与える。指示を受けた画像データ編集メモリ54は、受信メモリ53に記憶された印刷データを読み出し、読み出した印刷データを編集することで、イメージデータを生成し、記録する。
【0064】
そして、露光制御部61は、露光装置10(K),10(Y),10(M),10(C)の駆動を制御し、画像データ編集メモリ54に記録されたイメージデータに基づく照射光を感光体ドラム表面に照射し、潜像を形成させる。
【0065】
ここで、図示せぬトナーカートリッジに収容されたトナー30は、トナー供給ローラ用電源59により所定の電圧が印加されたトナー供給ローラ24により現像ローラ23に供給される。
【0066】
そして、現像ローラ23表面の所定位置に配設された現像ブレード25は、トナー供給ローラ24から供給されたトナー30を均一な層厚に形成する。現像ローラ23と感光体ドラム21との間において、感光体ドラム表面上に形成された潜像に対応する電気力線により、トナー30が潜像部分に付着することでトナー像が現像される。なお、本実施形態においては、印刷制御部51は、現像ローラ23とトナー供給ローラ24との間に印加される電圧の電位差を制御する。印刷制御部51による電位差の制御に係る処理
については、後ほど詳細に説明する。
【0067】
上記トナー像の現像動作に合わせて、印刷制御部51は、ホッピングローラ5、レジストローラ6、ピンチローラ7、排出ローラ800を回転させるように搬送モータ駆動部63に支持を与える。指示を受けた搬送モータ駆動部63は、用紙搬送モータ66の駆動を制御し、これらのローラを回転させる。
【0068】
ホッピングローラ5の回転にともない、用紙カセット1800に堆積した状態で収納された用紙9は、その最上部から1枚ずつ分離して用紙搬送経路に繰り出される。そして、レジストローラ6、ピンチローラ7は、対となってホッピングローラ5から繰り出された用紙9の斜行を矯正するとともに、用紙9を転写ベルト11に搬送する。
【0069】
そして、転写ローラ用電源60から所定の電圧が印加された各転写ローラ3(K),3(Y),3(M),3(C)により、各現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)において現像されたトナー像が順次、用紙9に転写される。
【0070】
トナー像が転写された用紙9は、定着装置8の加熱ローラ8aから付与される熱によりトナー30が溶融され、さらに、加熱ローラ8aとバックアップローラ8bとから形成される圧接部において圧接されることにより、トナー像が用紙9上に定着する。トナーが定着した用紙9は、排出ローラ800の回転により、排出スタッカ801に排出され、一連の画像形成プロセスは終了する。
【0071】
なお、トナー像が転写された後の感光体ドラム表面上には、若干のトナー30が残留する場合がある。この残留したトナー30は、クリーニングブレード26により除去され、クリーニングされた感光体ドラム21は繰り返して使用される。
【0072】
ここで、現像ローラ23とトナー供給ローラ24との間に印加される電圧の電位差の制御に係る処理について
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
印刷制御部51は、現像ローラ回転数が4496回転、印刷枚数が500枚毎にバイアス参照テーブル511の値を読み出す(ステップS1000)。
【0074】
次に、印刷制御部51は直近の500枚印刷における平均トナー消費率を算出部514にて算出させ(ステップS1001)、算出された平均トナー消費量が閾値たる10%以下であるか否かを判定する。
【0075】
直近500枚印刷における平均トナー消費率が10%以下である場合(ステップS1002 Yes)、印刷制御部51は、演算部515に対して補正値を算出させる(ステップS1003)。
【0076】
そして、印刷制御部51は、バイアス参照テーブル511の値に演算部515が演算して得られた補正値を加算した値を出力値とする(ステップS1004)。
【0077】
一方、算出部514にて算出された、直近500枚印刷における平均トナー消費率が10%よりも大きい場合(ステップS1002 No)、印刷制御部51は、印刷枚数に応じたバイアス参照テーブル511の値を出力値とする(ステップS1006)。
【0078】
ステップS1005において、印刷制御部51は出力値に基づき、現像ローラ23とトナー供給ローラ24との間の電位差が目的の電位差となるように、現像ローラ用電源58及びトナー供給用電源59を制御する(ステップS1005)。
【0079】
前述したように、本実施形態においては、経時的な部材変化に応じて現像ローラ23とトナー供給ローラ24とに印加する電圧を変化させている。これは、トナー30、現像ローラ23、トナー供給ローラ24等の部材の劣化によって、経時的にトナー供給ローラ24から現像ローラ23へのトナー30の供給量、掻き取り量が変化するため、それを補正する必要があるからである。
【0080】
ここで、
経時的な部材変化を考慮せず、つまり、何ら|DB−SB|(V)の値に補正を加えない場合の各平均トナー消費率での感光体ドラム表面の膜減り量の関係を
図6に示す。
図6に示すように、平均トナー消費率が10%以下となるにつれ、膜減り量が増加することが分かる。これは、感光体ドラム表面と現像ローラ表面との接触部での摩擦が原因であり、現像ローラ23上のトナー30の外添剤が研磨剤代わりとなることに起因する。
【0081】
平均トナー消費率が10%以下であると、現像装置2内においてトナー30はストレスを受け続ける。なお、ここでいうストレスとは、感光体ドラム21と現像ローラ23との当接部、現像ローラ23とトナー供給ローラ24との当接部、又は現像ローラ23と現像ブレード25との当接部を通過するトナー30が受ける圧力全般のことをいうものとする。トナー30がこのようなストレスを受け続けると、トナー表面の外添剤が剥離や埋没してしまい、トナー30同士の相互作用が増えることになる。その結果、現像ブレード25でトナー層厚(トナー量)を規制しにくくなったり、トナー供給ローラ24による現像ローラ表面上の未現像のトナー30を掻き取りにくくなるため、現像ローラ表面上のトナー量は増大する。このようなトナー同士の相互作用は平均トナー消費率が10%以下といった少ない場合に、より顕著になる。
【0082】
ところで、現像装置2内において、現像ローラ表面上のトナー量は、現像ローラ23とトナー供給ローラ24とに印加する電圧の電位差たる、|DB−SB|(V)の値を調整することにより制御することができる。
図7に、現像ローラ表面上のトナー量と|DB−SB|(V)の値との関係を示す。
図7に示すように、|DB−SB|(V)の値を大きくすると、現像ローラ表面上のトナー量は増加することが分かる。これは、|DB−SB|(V)の値が変化すると、現像ブレード25によるトナー層厚の規制力、トナー供給ローラ24による現像ローラ表面上の未現像のトナー30の掻き取り力は変わらないが、電界の強さが変わり、トナー供給ローラ24から現像ローラ23へのトナー供給量が変わるためである。
【0083】
したがって、平均トナー消費率が少ない場合の現像ローラ表面上のトナー量の増大は、|DB−SB|(V)の値が小さくなるように補正することにより回避することができる。その際、平均トナー消費率によって|DB−SB|(V)の値の補正量を変える演算を行うことが望ましい。ただし、補正値として|DB−SB|(V)の値を小さくしすぎると、トナー供給量不足となり、カスレが発生することになるため、|DB−SB|(V)の値を"0"とすることは好ましくなく、適当な範囲をもって制御することが好ましい。
【0084】
本実施形態においては、平均トナー消費率を現像ローラ23の所定回転数(4496回転;A4用紙横送りで500枚印刷)毎に算出しつつ、算出した平均トナー消費率の値が大きい場合(10%よりも大きい)には補正を加えず、算出した平均トナー消費率の値が小さい場合(10%以下)には、次の現像ローラ予定回転数に対して補正を加えるようにしている。印刷枚数が数枚程度では、トナー劣化を判別することは略不可能であり、印刷枚数が数枚〜数十枚程度では、経時劣化したトナー30が入れ替わる訳ではない。したがって、数枚〜数十枚の印刷枚数といった、短い印刷間隔での補正は必要としないため、本実施形態においては、現像ローラ回転数が4496回転、印刷枚数が500枚毎に平均トナー消費率を算出し、算出した平均トナー消費率に基づき、補正の要否を判断する形態とした。
【0085】
このように、算出した平均トナー消費率に基づき、|DB−SB|(V)の値を補正することで、例えば、|DB−SB|(V)の値が100(V)の場合、
図8に示すような平均トナー消費率と|DB−SB|(V)の値との関係となる。この場合、|DB−SB|変化量(V)は、|DB−SB|変化量(V)=−5×平均トナー消費率+50で表される演算式で演算される。以下、|DB−SB|変化量(V)をBと称し、バイアス参照テーブル511が保持する現像ローラ23の所定回転数(印刷枚数)での|DB−SB|(V)の値をAとすると、補正後|DB−SB|(V)は、補正後|DB−SB|(V)=A−Bとなる。そして、|DB−SB|(V)の値が100(V)の場合、補正後|DB−SB|(V)は、補正後|DB−SB|(V)=A−B=100−(−5×平均トナー消費率+50)となる。
【0086】
上記演算式に基づき、経時的に|DB−SB|(V)の値に補正を加えた場合における|DB−SB|(V)の値の推移グラフを
図9に示し、経時的な|DB−SB|(V)の値の補正有無による現像ローラ表面上のトナー量の推移を
図10に示す。
図10からも明らかなように、経時的に|DB−SB|(V)の値に補正を加えることで、現像ローラ表面上のトナー量は安定することが分かる。
【0087】
現像ローラ表面上のトナー量が安定化することで、
図11に示すように、平均トナー消費率が少ない場合においても、感光体ドラム表面の膜減り量は、補正を加えない場合に比べて良化する。
【0088】
ところで、20000枚印刷後における感光体ドラム表面の膜減り量は、現像装置2(K),2(Y),2(M),2(C)がそれぞれ収容するトナーの種類によって異なる(感光体ドラム21(K);3.3μm,21(Y);3.2μm,21(M);5.7μm,21(C);2.9μm)。しかしながら、本実施形態によれば、それぞれのトナーに応じた演算式を用意することで、着色剤や外添剤の添加量が異なるトナーを用いたとしても、感光体ドラム表面の膜減り量を良化させ、画像不良の発生を抑制することが可能である。
【0089】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、平均トナー消費率を現像ローラ23の所定回転数(4496回転;A4用紙横送りで500枚印刷)毎に算出しつつ、算出した平均トナー消費率の値が大きい場合(10%よりも大きい)には補正を加えず、算出した平均トナー消費率の値が小さい場合(10%以下)には、次の現像ローラ予定回転数に対して補正を加えるように構成したプリンタについて説明し、トナーの種類が異なったとしても、感光体ドラム表面の膜減り量を良化させ、画像不良の発生を抑制することが可能である旨を説明した。
【0090】
第2の実施形態では、より具体的に、第1の実施形態で説明した現像装置2(K)に替えて、金属酸化物である酸化チタンを白色着色剤に用いた白色トナー(以下、白トナー)を収容した現像装置2(W)を適用した例について説明する。また、本実施形態では、
図12に示すように、第1の現像ユニットとしての現像装置2(Y),2(M),2(C)、及び第2の現像ユニットとしての2(W)の並び順を用紙搬送方向上流側から下流側にかけて2(C)→2(Y)→2(M)→2(W)と変更した。
【0091】
なお、他の構成・動作について、第1の実施形態と同一な箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0092】
白トナーの場合、他のトナー(C:シアン,Y:イエロー,M;マゼンタ)に比べて感光体ドラム表面の膜減り量が略2倍となっていた。これは、シアントナー,イエロートナー,マゼンタトナーには有機系着色剤が用いられているのに対し、白トナーにはこれら有機系の着色剤よりも硬度が高い金属系着色剤である酸化チタンが用いられているためだと考えられる。また、金属系着色剤は有機系着色剤に比べると抵抗が低いため、|DB−SB|(V)の値の変化に伴う現像ローラ表面上のトナー量の変化は有機系着色剤のそれと比べて半分であった。
【0093】
したがって、本実施形態においては、第1の実施形態で説明した補正後|DB−SB|(V)の値を得る演算式において、平均トナー消費量による補正が2倍となるように演算式を変更した。補正後|DB−SB|(V)=A−B=100−(−10×平均トナー消費率+100)
【0094】
図13は、本実施形態に係る平均トナー消費率と|DB−SB|(V)の値との関係を示すグラフである。本実施形態においても、第1の実施形態の
図8で説明したように、平均トナー消費率の値が小さい場合に、|DB−SB|(V)の値に補正を加えることで、現像ローラ表面上のトナー量の増大を防ぎ、感光体ドラム表面の膜減り量を良化させることができる。
【0095】
したがって、本実施形態によれば、トナーの着色剤を有機系着色剤から金属系着色剤に替えた場合においても、感光体ドラム表面の膜減り量を良化させ、画像不良の発生を抑制することが可能である。
【0096】
本発明の実施形態の説明においては、画像形成装置としてプリンタを一例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ファクシミリ装置やMFP等の電子写真方式の画像形成装置であれば適用可能である。