(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗酸化剤が、チオグリセロール、モノチオグリセロール、リポ酸、没食子酸プロピル、メチオニン、システイン、メタ重亜硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、フェノール含有芳香族および脂肪族化合物ならびにジヒドロリポ酸からなる群より選択される、請求項1に記載の長期貯蔵安定性非水系液体ベンダムスチン含有組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中の用語に複数の定義が存在する場合には、他に言明されない限り、この節に記載されるものが優先される。
【0009】
本明細書において使用される場合、RRTは、対象のピークの保持時間を主ピークの保持時間で割ることにより計算される。RRT<1であるすべてのピークは主ピークよりも前に溶出し、RRT>1であるすべてのピークは主ピークよりも後に溶出する。
【0010】
本発明の目的のために、「実質的に不純物を含まない」とは、約5℃〜約25℃の温度で約15か月の期間の後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により223nmの波長で測定された正規化ピーク面積応答(normalized peak area response)(PAR)に基づいて計算して、総不純物量が約5%未満であるベンダムスチン含有組成物を含むと理解されるものとする。さらに、不純物量は、組成物または製剤中に最初に存在するベンダムスチン(またはその塩)の量に基づいて計算される。
【0011】
本発明の目的のために、製薬上許容される液体は、医薬品への使用に適した液体である。
【0012】
好ましくは、本発明の組成物中のいかなる個別の分解物の量も、約5℃〜約25℃の温度で少なくとも約15か月の貯蔵期間の後に、HPLCにより223nmの波長で測定したPARに基づいて2%以下である。いくつかの態様において、本発明の組成物が長期貯蔵安定性を示す期間は、本明細書に記載される条件下で貯蔵した場合、少なくとも約18か月、好ましくは少なくとも約2年である。
【0013】
本発明の一態様によれば、
a) ベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩;ならびに
b) i) PEG、PGまたはそれらの混合物;および
ii) 安定化量の抗酸化剤
を含む製薬上許容される液体
を含む長期貯蔵安定性ベンダムスチン含有組成物が提供される。
【0014】
組成物中のベンダムスチンの分解により生じる本発明の組成物中の総不純物は、約5℃〜約25℃の温度で少なくとも約15か月後にHPLCにより223nmの波長で測定したPARに基づいて約5%未満であり、したがって、少なくとも前記期間またはそれ以上の長期安定性を有する。好ましくは、ベンダムスチン含有組成物は、特に低温で(冷蔵して)貯蔵した場合に、少なくとも約2年の長期貯蔵安定性を示す。一実施形態において、ベンダムスチンの分解により生じる本発明の組成物中の総不純物量は、約5℃〜約25℃の温度で少なくとも約2年後にHPLCにより223nmの波長で測定したPARに基づいて約3%未満である。
【0015】
本発明のいくつかの態様において、本発明の組成物中のベンダムスチン濃度は、約10 mg/mL〜約100 mg/mL、好ましくは20 mg/mL〜約60 mg/mLである。好ましくは、本発明の組成物中のベンダムスチン濃度は、約25 mg/mL〜約50 mg/mL、より好ましくは約30 mg/mL〜約50 mg/mLである。前記範囲内の任意の有用な濃度(すなわち、10、20、25、30、35、40、45、50、55、60 . . . 100)を含有する組成物が想定されることが理解されるであろう。他の実施形態において、組成物中のベンダムスチン濃度は、約50 mg/mLである。別の態様において、ベンダムスチンの量はこれらの範囲には含まれないが、一般に有効量と見なされる単回または複数回投与の用量として十分な量である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、製薬上許容される液体は非水系であり、ベンダムスチンまたはその塩の溶媒であってよい(これは必須ではない)。この態様において、製薬上許容される液体はプロピレングリコール(PG)またはポリエチレングリコール(PEG)である。本発明の他の実施形態において、製薬上許容される液体はPEGとPGとの混合物である。例えば、製薬上許容される液体は、約50%のPEGおよび約50%のPGを含み得る。あるいは、製薬上許容される液体は、約95%のPEGおよび約5%のPGを含む。PEGおよびPGの量はこの範囲内で変えることができる。すなわち、製薬上許容される液体中のPEG:PGの比は、約95:5〜約50:50の範囲であってよい。この範囲内において、製薬上許容される液体は、約75%のPEGおよび約25%のPG、好ましくは80%のPEGおよび20%のPGを含む。別の実施形態において、製薬上許容される液体は約85%のPEGおよび約15%のPGを含んでよく、別の好ましい製薬上許容される液体は約90%のPEGおよび約10%のPGを含む。PEGの分子量は製薬上許容される分子量の範囲内であるが、本発明の多くの態様においてPEG 400が好ましい。
【0017】
いかなる理論または仮説にも拘束されるつもりはないが、ポリエチレングリコール分子のヒドロキシドは、プロピレングリコールのヒドロキシドよりも反応性が低い。その結果、ポリエチレングリコール中ではプロピレングリコール中よりもエステルが形成される速度が遅く、PEGが製薬上許容される液体の実質的部分を占める場合には、生じるベンダムスチン分解物は、長期間にわたり、予想外にかつ実質的に減少する。
【0018】
本発明のいくつかの好ましい態様によるベンダムスチン含有組成物は、安定化量の抗酸化剤を含む。本発明の目的のために、「安定化量」とは、本明細書に記載される組成物中のベンダムスチンの安定性を増加または増強する量を含むと理解されるものとする。したがって、本明細書に記載される1種以上の抗酸化剤の存在は、組成物の長期安定性に、少なくとも部分的に寄与する。この指針において、組成物中の好適な抗酸化剤濃度は、約2.5 mg/mL〜約35 mg/mL、好ましくは約5 mg/mL〜約20 mg/mL、または約10 mg/mL〜約15 mg/mLの範囲であってよい。いくつかの他の実施形態において、ベンダムスチン含有組成物中の抗酸化剤濃度は約5 mg/mLである。
【0019】
含有に好適な抗酸化剤には、ヒトおよび獣医学用製剤に使用することが製薬上許容されるものが含まれるが、現在いずれかの監督官庁により安全であると見なされているものに限定されない。例えば、抗酸化剤は、リポ酸、チオグリセロール(モノチオグリセロールとしても知られる)およびその類似物、没食子酸プロピル、メチオニン、システイン、メタ重亜硫酸塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、フェノール含有芳香族および脂肪族化合物、ジヒドロリポ酸ならびにこれらの混合物より選択することができる。好ましくは、抗酸化剤は、チオグリセロール、リポ酸またはそれらの混合物である。本発明のいくつかの特に好ましい実施形態はチオグリセロールを含む。
【0020】
先に述べたことを考慮して、本発明によるいくつかの好ましい長期貯蔵安定性ベンダムスチン含有組成物は、
I.
a) ベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩;ならびに
b) i) ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール;および
ii) 安定化量のチオグリセロール
を含む製薬上許容される液体;または
II.
a) 約50 mg/mLのベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩;ならびに
b) i) 約90%のPEGおよび約10%のPG;および
ii) 約2.5 mg/mLのチオグリセロール
を含む製薬上許容される液体
を含む。
【0021】
これらの組成物のそれぞれは既に記載したものと同じ安定性プロファイルを有する。すなわち、約5℃〜約25℃の温度で少なくとも約15か月間貯蔵した後に、HPLCにより223nmの波長で測定したPARに基づいて約5%未満の総不純物を有する。
【0022】
本発明の他の態様によれば、
a) ベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩;
b) PG、エタノール、PEG、ベンジルアルコールおよびグリコフロールのうちの1種以上を含む製薬上許容される液体;ならびに
c) 安定化量の塩化物塩
を含む、長期貯蔵安定性ベンダムスチン含有組成物が提供される。
【0023】
これらの組成物もまた、本明細書において述べた低レベルの不純物および長期安定性を有する。本発明のこの実施形態において、好ましい製薬上許容される液体としては、PG、PEGまたはエタノールが挙げられる。好ましくは、PEGはPEG 400である。所望の場合には、グリセリンおよび/または88%(w/w)乳酸を製薬上許容される液体に加えることができる。
【0024】
好適な塩化物塩としては、有機塩化物塩、塩化ナトリウム、塩化コリン、アミノ酸の塩酸塩およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、当業者に理解される通り、多くの好適な塩化物塩の中から選択することが可能であり、本発明の範囲には、薬物に有害な作用を有することなく長期間に渡ってベンダムスチン含有製剤に含有されることが可能なすべての塩化物塩が含まれることが、出願人らの意図するところである。本発明の一実施形態において、塩化物塩濃度は、約10〜約300 mg/mLである。別の実施形態において、塩化物塩濃度は、約50〜約215 mg/mLである。1つの好ましい実施形態において、塩化物塩濃度は、約215 mg/mLである。
【0025】
本発明の別の態様によれば、
a) ベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩;および
b) DMSOを含む製薬上許容される液体
を含む、長期貯蔵安定性ベンダムスチン含有組成物が提供される。
【0026】
これらの組成物もまた、本明細書において述べた低レベルの不純物および長期安定性を有する。いくつかの態様において、これらの組成物中のベンダムスチン濃度は約10 mg/mL〜約100 mg/mLである。好ましくは、ベンダムスチン濃度は約20 mg/mL〜約50 mg/mL、より好ましくは約25 mg/mL〜約50 mg/mLである。別の実施形態において、ベンダムスチン濃度は約50 mg/mLである。
【0027】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物における癌を治療する方法を提供する。該方法は、有効量の本明細書に記載されるベンダムスチン含有組成物の1つを、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む。本発明の組成物の活性成分部分はFDA承認薬なので、当業者は、本発明のこの態様において使用されるベンダムスチンの用量が、トレアンダ(TREANDA)の商品名で市販されるベンダムスチンに対して設計されるいずれかの治療計画において使用されるものと同様であることを認識するであろう。投薬情報を含む患者向け添付文書を参照により本明細書に組み入れる。また、治療の方法は、ベンダムスチンが有用であると指示されている任意の目的または健康状態に対して本発明の製剤を投与することを含む。
【0028】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載されるベンダムスチン含有組成物の調製方法を含む。該方法は、凍結乾燥されたベンダムスチンを、
A i) PEG、PGまたはそれらの混合物;および
ii) 安定化量の抗酸化剤;
B) i) PG、エタノール、PEG、ベンジルアルコールおよびグリコフロールのうちの1種以上;および
ii) 安定化量の塩化物塩;または
C) DMSO
のうちの1つを含む製薬上許容される液体中に再構成することを含む。
【0029】
工程は、無菌状態および製造に関して製薬上許容される条件下で実施される。
【0030】
本発明のさらなる態様において、長期間の貯蔵中のベンダムスチン含有組成物における不純物の形成を抑制または防止する方法が提供される。該方法は、一定量のベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩を、
A i) PEG、PGまたはそれらの混合物;および
ii) 安定化量の抗酸化剤;
B) i) PG、エタノール、PEG、グリコフロールおよびベンジルアルコールのうちの1種以上;および
ii) 安定化量の塩化物塩;または
C) DMSO
のうちの1つを含む十分な量の製薬上許容される液体と合わせることを含む。
【0031】
前記方法によるさらなる任意の工程は、製剤の1回分以上の製薬上許容される投与量を、好適な密閉可能な容器に移して、密閉した容器を約5℃〜約25℃の温度で貯蔵することを含む。これらの工程を実施することにより、それを実施しない場合には長期間の貯蔵の間にベンダムスチン含有組成物中に生じる不純物の形成を抑制または実質的に防止することが可能になり、約5℃〜約25℃の温度で少なくとも約15か月間貯蔵した後に、HPLCにより223nmの波長で測定したPARに基づいて約5%未満の総不純物を有するベンダムスチン含有組成物が提供される。
【0032】
本発明の組成物は、ベンダムスチンなどの医薬品の無菌貯蔵に適した任意の好適な無菌のバイアルまたは容器に詰めることができる。好適な容器は、ガラスバイアル、ポリプロピレンもしくはポリエチレンバイアルまたは他の特殊用途容器であってよく、ベンダムスチンの1回分以上の投与量を入れるのに十分な大きさを有するものである。
【0033】
本発明のさらなる態様は、第1の容器またはバイアルに凍結乾燥されたベンダムスチンまたはその製薬上許容される塩を含み;第2の容器に十分な量の製薬上許容される液体、例えば本明細書に記載されるもの、すなわち、
A i) PEG、PGまたはそれらの混合物;および
ii) 安定化量の抗酸化剤;
B) i) PG、エタノール、PEG、グリコフロールおよびベンジルアルコールのうちの1種以上;および
ii) 安定化量の塩化物塩;または
C) DMSO
のうちの1つを含むキットを含む。
【0034】
この実施形態を目的として、十分な液体の量は、液体組成物がそのまま使用できるものとなる程度にベンダムスチンを溶解または分散することができる量である。
【0035】
当業者に理解される通り、キットは、薬物を貯蔵および/または投与するための他の製薬上必要な材料(貯蔵および使用の説明書、所望によりさらなる希釈剤等を含む)を含む。
【実施例】
【0036】
以下の実施例は、本発明のさらなる理解を提供するためのものであって、いかなる形でも発明の有効な範囲を限定するものではない。
【0037】
実施例1
ベンダムスチンHClを、下記の表1に示す通りに、エタノール、プロピレングリコールおよびベンジルアルコールのうちの1つに10 mg/mlの濃度で溶解することにより、ベンダムスチン含有組成物を調製した。サンプルの半分に可溶性塩化物イオンの供給源として215 mg/mlの塩化コリンを加えた。サンプルを40℃に維持して、薬物含有量および総不純物を定期的に分析した。得られた結果を表1に示す。
【0038】
表1 - ベンダムスチンHClの安定性
【表1】
注記:表1において、総不純物%はさまざまなRRTのピークからの寄与の合計を含む。
【0039】
表1に示される通り、ベンダムスチン製剤は溶媒および塩化物塩を含有する溶液において非常に安定である。表1は、ベンダムスチンが、安定化量の塩化物塩(例えば、塩化コリン)を含有する製薬上許容される液体(例えば、エタノールおよびプロピレングリコール)に約10 mg/mLの濃度で溶解された場合、40℃で少なくとも7日間貯蔵した後に約5%未満を有したことを示している。
【0040】
表1に示されるデータから、製薬上許容される液体および安定化量の塩化物塩を含むベンダムスチン含有組成物が5℃および25℃で少なくとも約15か月の貯蔵寿命を有すると言うことができる。
【0041】
エタノールのみを含むサンプルは、40℃で7日間貯蔵した後に6.5よりも多い総分解物を示した。ベンジルアルコールのみを含むサンプルは、40℃で7日間貯蔵した後に7.5%よりも多い総分解物を示した。このような高レベルの分解を起こすベンダムスチン含有組成物は長期貯蔵には適していない。
【0042】
実施例2
ベンダムスチンHClをDMSOに10 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製した。サンプルを40℃に維持して、薬物含有量および不純物プロファイルを定期的に分析した。得られた結果を表2に示す。
【0043】
表2 - DMSO中のベンダムスチンHClの安定性
【表2】
注記:表2において、総不純物%はさまざまなRRTのピークからの寄与の合計を含む。
【0044】
表2は、ベンダムスチンが、DMSOに溶解された場合、実質的に総分解物の増加を示さなかったことを示している。表2に示されるデータから、DMSOを含むベンダムスチン含有組成物が5℃および25℃で少なくとも約15か月の貯蔵寿命を有すると言うことができる。事実、このような組成物は15か月を越える期間、すなわち、2年までまたはそれ以上に渡る長期安定性を有することが予想される。
【0045】
実施例3
ベンダムスチンHClをポリエチレングリコール400に20 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製し、安定化のための抗酸化剤として、下記の表3に示す通りに5 mg/mlのリポ酸を加えた。サンプルを40℃または20℃に維持して、15日後に薬物含有量および不純物を分析した。得られた結果を表3に示す。
【0046】
表3:PEG 400および抗酸化剤中のベンダムスチン(20 mg/ml)の安定性
【表3】
<LD = 検出レベル未満
【0047】
表3に示される通り、ベンダムスチンは、安定化量の抗酸化剤(例えば、リポ酸)の存在下で製薬上許容される液体(例えば、ポリエチレングリコール)に溶解された場合、15日の期間の後に実質的に総分解物の増加を示さなかった。表3に示されるデータから、製薬上許容される液体および安定化量の抗酸化剤を含むベンダムスチン含有組成物が5℃および25℃で少なくとも約15か月の貯蔵寿命を有すると言うことができる。
【0048】
その一方で、PEGのみを含み、抗酸化剤を含まないサンプルは、40℃で安定化効果を示さなかった。このサンプルは、リポ酸を含むサンプルと比較して、40%以上多い総不純物を有した。このような高レベルの総不純物を含むベンダムスチン含有組成物は長期貯蔵には適していない。
【0049】
実施例4
ベンダムスチンHClを90%のポリエチレングリコール400および10%のプロピレングリコールに50 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製した。安定化のための抗酸化剤として、下記の表4に示す通りに5 mg/mlのチオグリセロール、α-リポ酸またはジヒドロリポ酸を加えた。サンプルを40℃に維持して、下記の表4に示す通りに15日後または1か月後に薬物含有量および不純物プロファイルを分析した。得られた結果を表4に示す。
【0050】
表4:90% PEG 400、10%プロピレングリコールおよび抗酸化剤中のベンダムスチン(50 mg/ml)の安定性
【表4】
<LD = 検出レベル未満
【0051】
表4に示される通り、ベンダムスチンは、安定化量の抗酸化剤(例えば、チオグリセロール、α-リポ酸またはジヒドロリポ酸)の存在下で製薬上許容される液体(例えば、ポリエチレングリコールとプロピレングリコールとの組合せ)に溶解された場合、1か月の期間の後に実質的に総分解物の増加を示さなかった。このデータは、本発明のベンダムスチン含有組成物が、5℃〜25℃の温度で貯蔵された場合に、少なくとも約2年の貯蔵寿命を有するという立場を支持する。
【0052】
実施例5
ベンダムスチンHClを、下記の表5に示す通りにポリエチレングリコール400とプロピレングリコールとの混合物に50 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製した。安定化のための抗酸化剤として5 mg/mlのリポ酸を加えた。サンプルを40℃、25℃および5℃に維持して、下記の表5に示す通りに1週間後、15日後または1か月後に薬物含有量および不純物プロファイルを分析した。得られた結果を表5に示す。
【0053】
表5 - PEG 400およびプロピレングリコール中のベンダムスチン(50 mg/ml)およびリポ酸(5 mg/ml)の安定性
【表5】
BDL = 検出限界未満
【0054】
表5に示される通り、ベンダムスチンは、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびに安定化量のリポ酸の特定の混合物に溶解された場合、1か月の期間の後に実質的に総分解物の増加を示さなかった。表5に示されるデータから、ベンダムスチン含有組成物が5℃〜25℃の温度で貯蔵された場合に少なくとも約2年の貯蔵寿命を有すると言うことができる。
【0055】
実施例6
ベンダムスチンHClを90%のポリエチレングリコール400および10%のプロピレングリコールに50 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製し、安定化のための抗酸化剤として、下記の表6に示す通りにα-リポ酸を加えた。サンプルを40℃、25℃および5℃に維持して、下記の表6に示す通りに薬物含有量および不純物プロファイルを分析した。得られた結果を表6に示す。
【0056】
表6 - 90% PEG 400、10% PGおよびα-リポ酸中のベンダムスチンの安定性
【表6】
<LD = 検出レベル未満
【0057】
表6に報告されるデータは、表5のデータと共に、PEGおよびPGならびに5〜15 mg/mlのα-リポ酸の混合物に溶解された場合、ベンダムスチン溶液が安定であることを実証している。表6に示される通り、ベンダムスチンは、安定化量のリポ酸の存在下でポリエチレングリコールとプロピレングリコールとの組合せに溶解された場合、40℃で3か月の期間の後に3%未満の総分解物の増加を示した。さらに、同じ化合物が、5℃および25℃で6〜12か月の期間の後に実質的に総分解物の増加を示さなかった。データは、ベンダムスチン溶液が室温または冷蔵貯蔵条件下で2年をはるかに超えて安定であること、したがって長期安定性であることに相当する。
【0058】
実施例7
ベンダムスチンHClを90%のポリエチレングリコール400および10%のプロピレングリコールに50 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製した。抗酸化剤として2.5 mg/mlのチオグリセロールを加えた。サンプルを40℃および25℃に維持して、下記の表7に示す通りに薬物含有量および不純物プロファイルを分析した。得られた結果を表7に示す。
【0059】
表7 - 90% PEG 400、10% PGおよびチオグリセロール中のベンダムスチンの安定性
【表7】
BDL = 検出限界未満
【0060】
安定性は、上記実施例6のα-リポ酸のサンプルと同様である。表7に示される通り、ベンダムスチンは、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールならびに安定化量のチオグリセロールの組合せに溶解した場合、40℃で3か月の期間の後に3%未満の総分解物の増加を示した。さらに、同じ化合物が、25℃で6か月の期間の後に実質的に総分解物の増加を示さなかった。報告されたデータは、これらのベンダムスチン溶液が室温または冷蔵貯蔵条件下で約2年間に渡って安定であるという結論を支持する。
【0061】
実施例8
ベンダムスチンHClを、5 mg/mlのチオグリセロールの存在下で、85%のPEG 400および15%のPGに50 mg/mlの濃度で溶解することによりベンダムスチン含有組成物を調製した。サンプルを40℃および25℃に維持して、下記の表8に示す通りに薬物含有量および不純物プロファイルを分析した。得られた結果を表8に示す。
【0062】
表8 - 85% PEG 400、15% PGおよびチオグリセロール中のベンダムスチンの安定性
【表8】
【0063】
安定性は、上記実施例7のチオグリセロールのサンプルと同様である。表8に報告される通り、40℃または25℃での貯蔵で1か月以上、または25℃および5℃での貯蔵で3か月後に、総分解物は2%以下であった。表8に報告されたデータは、これらのベンダムスチン溶液が室温または冷蔵貯蔵条件下で少なくとも約2年間に渡って安定であるという結論を支持する。