特許第5795631号(P5795631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795631眼手術処置用プライミングチューブのための眼手術キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795631
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】眼手術処置用プライミングチューブのための眼手術キット
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   A61F9/007 130G
   A61F9/007 130B
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-512075(P2013-512075)
(86)(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公表番号】特表2013-526964(P2013-526964A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011036906
(87)【国際公開番号】WO2011149726
(87)【国際公開日】20111201
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】13/093,950
(32)【優先日】2011年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/348,429
(32)【優先日】2010年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008847
【氏名又は名称】ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】フィッツゲラルド,マシュー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ホール,マーリン
(72)【発明者】
【氏名】ドイル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヴァースマン,マイケル
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−508620(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0086634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼手術キットにおいて、
液体を保持するための液槽、補助吸引チャネル、灌注チャネル及びハンドピースチャネルを定めるプライミング容器、
前記ハンドピースチャネルにより保持される眼手術ハンドピースであって、手術部位への挿入のための前記液槽内に配置される先端及び眼手術コンソールに連結して前記手術部位から液体及び組織を輸送するための吸引チューブを備えた眼手術ハンドピース、
前記補助吸引チャネルにより保持され、前記液槽内に配置される第1の末端および眼手術コンソールに連結するための第2の末端を有する、補助吸引チューブ、
及び
前記灌注チャネルにより保持され、前記液槽内に液体を供給するために前記液槽内に配置される第1の末端を有する、灌注チューブ、
を備え
プライミングシーケンスによって定められる既定の体積の液体が前記灌注チューブ、前記吸引チューブ、前記眼手術ハンドピース及び前記補助吸引チューブにより前記液槽内に供給されると、前記眼手術コンソールにより制御される液流が前記眼手術ハンドピース、前記灌注チューブ、前記吸引チューブ及び前記補助吸引チューブをプライミングするように、前記先端及び前記補助吸引チューブの前記第1の末端が前記液体に浸漬されることになる、
ことを特徴とする眼手術キット。
【請求項2】
前記プライミング容器が、前記補助吸引チャネルからの前記補助吸引チューブの離脱を阻止するための、前記補助吸引チャネルに延び込む少なくとも1つの突起を備えることを特徴とする請求項1に記載の眼手術キット。
【請求項3】
前記プライミング容器が、前記灌注チャネルからの前記灌注チューブの離脱を阻止するための、前記灌注チャネルに延び込む少なくとも1つの突起を備えることを特徴とする請求項2に記載の眼手術キット。
【請求項4】
前記補助吸引チャネル及び前記灌注チャネルのそれぞれが前記プライミング容器と一体形成されることを特徴とする請求項1に記載の眼手術キット。
【請求項5】
前記プライミング容器が少なくともある程度前記液槽内に配置された吸引クランプを備え、前記補助吸引チューブの前記第1の末端が前記吸引クランプにより着脱可能な態様で結合されることを特徴とする請求項1に記載の眼手術キット。
【請求項6】
前記灌注チューブが少なくともある程度前記液槽内に配置された灌注クランプにより着脱可能な態様で結合される輸液カニューレを含むことを特徴とする請求項5に記載の眼手術キット。
【請求項7】
前記プライミング容器に被せて配置され、よって前記液槽を囲包する、カバーをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の眼手術キット。
【請求項8】
前記カバーが前記プライミング容器に結合されたときに、前記吸引チューブの前記プライミング容器からの延出しを可能にするように構成された膨らみを前記カバーが定めることを特徴とする請求項7に記載の眼手術キット。
【請求項9】
前記眼手術ハンドピースチャネルが、前記眼手術ハンドピースを着脱可能な態様で結合するためのスナップ構造を有する、円錐形の少なくとも一部を定めることを特徴とする請求項1に記載の眼手術キット。
【請求項10】
前記眼手術ハンドピースが硝子体カッターを含むことを特徴とする請求項1に記載の眼手術キット。
【請求項11】
眼手術処置に先立ち複数本のチューブ及び手術ハンドピースをプライミングする方法において、前記方法が、
灌注チューブ、先端を有する眼手術ハンドピース及び吸引チューブ、並びに、液槽、前記灌注チューブを保持する灌注チャネル及び前記眼手術ハンドピースを保持するハンドピースチャネルを定めるプライミング容器を備えた組立済眼手術キットであって、前記先端及び前記灌注チューブの第1の末端は前記液槽内に配置されるものであるキットを提供するステップ、
前記吸引チューブの第1の末端を眼手術ポンプシステムに連結するステップ、
前記液槽内に液体を供給するため、前記灌注チューブの第2の末端を灌注液源に連結するステップ、及び
前記灌注チューブ、前記吸引チューブ及び前記手術ハンドピースを通して、前記灌注チューブ、前記吸引チューブ及び前記手術ハンドピースがプライミングされるまで、既定の体積の液体を前記液槽に押し流すためのプライミングシーケンスを開始するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記組立済眼手術キットが、前記プライミング容器に被せて配置されるカバーを備え、
眼手術処置に先立ち、前記眼手術ハンドピースへのアクセスのため、前記プライミング容器に被せて配置された前記カバーを取り外すステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組立済眼手術キットが、前記プライミング容器によって定められる補助吸引チャネルにより保持される補助吸引チューブを備え、前記補助吸引チューブが前記液槽内に配置される第1の末端を有し、前記既定の体積の液体の一部が前記補助吸引チューブを通して排出されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記補助吸引チューブの前記第1の末端を第2の眼手術ハンドピースに連結するステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼手術キットに向けられる。さらに詳しくは、本開示は、眼手術処置に用い得る少なくとも1本のチューブをプライミングするための、プライミング容器を有する眼手術キットに向けられる。
【背景技術】
【0002】
本節における表述は本開示に関する背景情報を提供するに過ぎず、従来技術を構成することにはならない。
【0003】
眼手術処置は一般に、手術部位に及び手術部位から、すなわち患者の眼に及び患者の眼から、液体を輸送するために灌注ライン及び吸引ラインを用いる。眼手術処置を施す前に灌注ライン及び吸引ラインはライン内の空気を完全に抜くために液体で満たされる。手術助手または別の人が、眼手術処置に用いられるべきそれぞれのコンポーネント、例えば、眼手術ハンドピース、灌注チューブ及び吸引チューブ、等を包装から取り出して、眼手術ハンドピース及び様々なラインをコップまたはビーカーに挿入し、次いで灌注ラインによりコップ/ビーカーを個別に満たすことで、眼手術処置のための立上げを行うことは普通の作業である。立上げは手術助手にとって時間がかかる作業であり、いくつかの場合には灌注液がコップ/ビーカーから溢れ出すことがあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、眼手術処置に用い得る灌注チューブ及び/または吸引チューブの効率的プライミングのための改善された眼手術キットが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本開示にしたがう、眼手術キットの斜視図である。
図2図2は、図1の眼手術キットを含む、眼手術ポンプシステムのブロック図である。
図3図3は、図1の眼手術キットに備えられる、補助吸引チューブの部分斜視図である。
図4図4は、本開示の一実施形態にしたがう輸液カニューレを含む、灌注チューブの部分斜視図である。
図5図5は、本開示にしたがう、眼手術キットの分解組立図である。
図6図6図4の眼手術キットの断面図である。
図7図7は、図5に円7で指定される部分の、断面図である。
図8図8は、本開示にしたがう、眼手術キットの斜視図である。
図9図9は、図8の眼手術キットに備えられる、眼手術ハンドピースの部分断面図である。
図10図10は、図8の眼手術キットに備えられる、灌注チューブの部分斜視断面図である。
図11図11は、図8の眼手術キットに備えられる、灌注チューブの部分側断面図である。
図12図12は、図8の眼手術キットに備えられる、補助吸引チューブの部分側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に示される図面は、説明の目的のためでしかなく、本開示の範囲の限定は全く目的とされていない。
【0007】
以下の説明は本質的に例示に過ぎず、本開示、適用または用法の限定は目的とされていない。
【0008】
本開示の一実施形態にしたがう眼手術キット10が図1に示される。眼手術キット10は、液体を保持するための液槽14を定めるプライミング容器12,眼手術ハンドピース16,灌注チューブ18及び補助吸引チューブ20を備える。眼手術ハンドピース16は手術部位への挿入のための先端22及び手術部位から液体及び/または組織を吸引するために眼手術コンソールを結合するための吸引チューブ24及びハンドピース16を駆動するための圧気ライン25を有する。眼手術ハンドピース16は、眼手術ハンドピース16の先端22が液槽14内に配置されるように、プライミング容器12によって定められるハンドピースチャネル26により保持される。灌注チューブ18は灌注チャネル28により保持され、補助吸引チューブ20は補助吸引チャネル30により保持される。補助吸引チューブ18は液槽14内に配置される第1の末端を有し、灌注チューブ18は液槽14内に配置される第1の末端を有する。
【0009】
眼手術キット10は、プライミング容器12が眼手術ハンドピース16,灌注チューブ18及び補助吸引チューブ20を保持する状態で製造業者により前もって組み立てられる。使用において、ユーザ、例えば手術助手、看護士、外科医、等が、滅菌包装(図示せず)から組立済眼手術キット10を取り出す。図2に示されるように、ユーザは吸引チューブ24及び補助吸引チューブ20を眼手術コンソール32に連結する(コンソール32への連結は一般にカセット(図示せず)を介してなされる)。ユーザは、(同じくカセットを介して)コンソール32に挿入された、図示されていないカセットを介する灌注液源34への灌注チューブ18の連結も行う。図示されるように、灌注液源34は、眼手術コンソール32に連結された灌注液供給チューブ36を介して、灌注チューブ18に連結される。他の実施形態において、灌注チューブ及び灌注液源は、灌注チューブを通って液槽に向かう液流を提供するため、異なる態様、あるいは直接的または間接的な態様で、連結され得ることは当然である。
【0010】
吸引チューブ20,24及び灌注チューブ18が図示されるように連結されると、ユーザはプライミングシーケンスを開始する。プライミングシーケンスにしたがい、眼手術コンソール32は、灌注チューブ18及び/または灌注液供給チューブ30に隣接する1つないしさらに多くのプランジャーによって、灌注チューブ18を介する液槽14内への、既定の体積の、例えば75ミリリットル等の、液体の供給、したがって灌注チューブ18のプライミングを制御する。さらに、コンソール32は液体ベントラインを開いて、吸引チューブ20,24及びハンドピース16を通して、吸引チューブ20,24及びハンドピース16のそれぞれが完全にプライミングされるまで、灌注液を押し流すであろう。これを効率よく達成するため、灌注液源34をもち上げて圧力を高めることができ、あるいは灌注液源34を、知られているように、加圧することができる。この結果、眼手術ハンドピース16の先端22及び補助吸引チューブ20の第1の末端は液体、例えば平衡塩類溶液(BSS)等に浸される。続いてまたは同時に、既定の体積の液体の一部が、眼手術コンソール32によって与えられる負圧により、吸引チューブ24,補助吸引チューブ20またはハンドピース16を介して排出される。したがって、液体の押流しまたは液体の吸引は、吸引チューブ24,補助吸引チューブ20,及び/またはハンドピース16をプライミングすることができる。プライミングシーケンスが完了すると、眼手術ハンドピース16,灌注チューブ18及び補助吸引チューブ20のそれぞれはプライミングされ、すなわち、実質的に無気泡であり、眼手術処置における使用の準備ができている。眼手術キット10を前もって組み立てておくことで、立上げ時間が排除され、眼手術処置前の能率が上がる。ここで、液槽14が必要になり得る別の手術器具及び付帯するチューブをプライミングするための液体源を提供することも好都合である。
【0011】
さらに、眼手術コンソール32は、プライミングシーケンスに基づいて、複数本のチューブ及びハンドピースをプライミングするための液槽14へのまたは液槽14からの液流を自動的に制御する。このようにすれば、プライミングシーケンスに関与するユーザは、立上げ後、溢流状態を排除しながら、眼手術コンソール32に1つないしさらに多くの入力を与えるだけで済む。他の実施形態においては異なるレベルのユーザの関与が必要とされ得ることは当然である。一例において、ユーザは単に眼手術処置及び/または眼手術ハンドピースのタイプを示すだけであるが、別の例において、ユーザは液体の既定の体積を眼手術コンソールに入力することができる。他の実施形態において、プライミングシーケンスの自動化レベルは、少なくとも、眼手術処置、眼手術ハンドピース、手術プロトコル及び/またはユーザの1つないしさらに多くの好み、等に依存して異なり得る。一般に、吸引チューブ20,24がプライミングされるときに、眼手術コンソール32は可視信号及び/または可聴信号をユーザに提供する。
【0012】
図示されるように吸引チューブ24及び補助吸引チューブ20はプライミング容器12から延びる。他の実施形態において、異なる本数の吸引チューブが用いられ得ることは当然である。例えば、本開示の少なくとも1つの実施形態においては、眼手術ハンドピースに組み込まれたただ1本の吸引チューブがプライミング容器から延びることができる。さらに、本開示の他の実施形態ではプライミング容器によって保持される灌注チューブの本数も異なることができる。眼手術キットに含まれる吸引チューブ及び/または灌注チューブの本数は、例えば、眼手術処置のタイプ、眼手術コンソールのタイプ、眼手術ハンドピースのタイプ、眼手術キットの共通属性、他の要因及び/またはこれらの様々な組合せ、等に基づくことができる。
【0013】
図1を再び参照すれば、補助吸引チューブ20の第1の末端は吸引クランプ38により着脱可能な態様で結合される。吸引クランプ38の詳細図が図3に示される。吸引クランプ38はプライミング容器12の下部表面上で液槽内に配置される。吸引クランプ38は、液体が液槽14に保持されているときに、補助吸引チューブ20の第1の末端が液体内に保持され、浸漬されるように、補助吸引チューブ20とスナップ嵌めまたは摩擦嵌めを形成することができる。補助吸引チューブ20がプライミングされた後、補助吸引チューブ20は吸引クランプ38から取り外して、眼手術ハンドピースまたは眼手術所に用いるためのその他の適する器具に連結することができる。この特定の実施形態において、吸引クランプ38はプライミング容器12とともにモールド成形される。本開示の別の実施形態において、液体内浸漬のために補助吸引チューブを着脱可能な態様で連結するため、異なるタイプのクランプまたはその他の適する部材を、プライミング容器に結合するか、連結するか、プライミング容器とともにモールド成形するかまたは形成するか、あるいはプライミング容器に締結し得ることは当然である。
【0014】
さらに、灌注チューブ18の第1の末端は液槽14に液体を供給するために与えられるが、液槽14のいずれの表面にも結合されない、すなわち自由浮遊する。あるいは本開示の様々な実施形態において、灌注チューブの末端は、プライミング容器によって定められる液槽に液体が効率良く供給されることを保証するため、プライミング容器に固定態様または着脱可能態様で結合させることができる。図4に示される一実施形態において、灌注チューブ100は液槽内に配置される末端において輸液カニューレ102を有する。図示されるように、輸液カニューレ102は、プライミング容器106によって定められる液槽の底面に配置された灌注クランプ104によって保持され得る。灌注クランプ104はプライミング容器106とともにモールド成形することができる。他の実施形態において、灌注チューブ及び/または輸液カニューレを結合するための様々な他のタイプの部材が用いられ得ることは当然である。これらのタイプの部材の1つないしさらに多くは、プライミング容器に結合するか、連結するか、プライミング容器とともにモールド成形するかまたは形成するか、あるいはプライミング容器に締結することができる。
【0015】
図1をまた参照すれば、プライミング容器12は灌注チャネル28に延び込む3つの突起40を有する。突起40は少なくとも挿入中は灌注チューブ18に接触し、スナップ嵌めまたは摩擦嵌めを与え、一般に眼手術キット10の運送中、立上げ中及び/またはプライミングシーケンス中の灌注チューブ18の移動を阻止する。同様に、プライミング容器12は、補助吸引チャネル30からの補助吸引チューブ20の離脱を阻止するため、補助吸引チャネル30に延び込む3つの突起42を有する。本開示の他の実施形態において、タイプ、数及び/または大きさの異なる突起が用いられ得ることは当然である。さらに、プライミング容器に及び/またはプライミング容器によって定められるチャネル内に灌注チューブ及び/または吸引チューブを着脱可能態様で保持するため、異なる機械的構造がプライミング容器によって定められるか、またはプライミング容器に結合され得る。さらにまた、チャネルの形状及び/または寸法は、本明細書に開示されるチューブを保持するように構成することができる。
【0016】
図1に示されるプライミング容器12は概ね長方形につくられているが、異なる形状、例えば、円形、三角形、多角形、等のプライミング容器を本開示の他の実施形態において用い得ることは当然である。さらに、プライミング容器によって定められる液槽の形状はプライミング容器の形状と異なり得る。また、プライミング容器12は真空成形熱可塑性プラスチックを含むことができる。技術上周知の、プライミング容器を作成するその他の適する材料及び/または方法は本開示の精神内にあるとみなされるべきである。
【0017】
図5は本開示の別の実施形態にしたがう眼手術キット200の分解組立図である。眼手術キット200は、液槽204を定めるプライミング容器202,先端208を有する硝子体カッター206,吸引チューブ210,灌注液源に連結するための灌注チューブ212及び補助吸引チューブ214を備える。吸引チューブ210,214は眼手術キット200から延び出して眼手術コンソールに、直接または間接に、連結され、灌注チューブ212は眼手術キット200から延び出して灌注液源に、直接または間接に、連結される。様々な他の実施形態において、異なるタイプ、寸法及び/または形状の眼手術ハンドピースが眼手術キットに備えられ得ることは当然である。例えば、水晶体超音波吸引ハンドピースまたは水晶体超音波吸引ハンドピースを容器202に保持するためのチャネルを眼手術キットに備えることができる。
【0018】
眼手術キット200はさらにカバー216を備える。カバー216は、カバー216がプライミング容器202の少なくとも一部に適合して重なり、プライミング容器202の少なくとも一部と摩擦嵌めを形成するように、プライミング容器202に概ね相補的な形状を定める。カバー216は全体的に液槽204を囲包する。組み立てられるときに、カバー216は、運送中、立上げ中及び/またはプライミングシーケンス中に、硝子体カッター216,灌注チューブ212及び補助吸引チューブ214を保護するように配置される。カバー210は、硝子体カッター216,灌注チューブ212及び補助吸引チューブ214へのアクセスを提供するために取り外すことができる。他の実施形態において、異なる寸法及び/または形状のカバーを備え得ることは当然である。少なくとも1つの実施形態において、プライミング容器にカバーを蝶番態様で連結することができる。さらに、少なくとも1つの実施形態において、カバーは省略することができる。
【0019】
図6は組立済の眼手術キット200の断面図を示す。プライミング容器200は、硝子体カッター206を保持するためのハンドピースチャネル218を定める。ハンドピースチャネル218は、(図5に最善に示される)リブ220と組み合わされて硝子体カッター206のスナップ保持を与え、硝子体カッター206の液槽204への滑り込みを防止する、円錐の一部の形状を有する。ハンドピースチャネル218はさらに、眼手術処置中の取出しのための硝子体カッター206へのユーザのアクセスを可能にする。
【0020】
図7に示されるように、硝子体カッター206の先端208は液槽204内に配置される。ハンドピースチャネル218の形状が、硝子体カッター206の先端208及び/またはプライミング容器202への損傷を防止できるように、プライミング容器の底面への硝子体カッター206の接触を阻止する。プライミング容器202のハンドピースチャネル218から硝子体カッター206が取り外された後、硝子体カッター206は眼手術処置中に一度ないしさらに多く戻されることがあり得る。他の実施形態において、ハンドピースチャネルは、ハンドピースチャネル内に保持される眼手術ハンドピースの形状/寸法と相補的であるかまたは異なる形状及び/または寸法を定めることができる。ハンドピースチャネルの形状及び/または寸法は眼手術ハンドピースの、想定される、保持、挿入及び/または取り出しの態様に依存し得る。
【0021】
図5に示されるように、カバー216は、カバー216がプライミング容器202に被せて配置されたときに、プライミング容器202に硝子体カッター206,灌注チューブ212及び補助吸引チューブ214を収容するための多くの膨らみ222を有する。カバー216によって定められる膨らみ222により、灌注チューブ212及び吸引チューブ210,214の眼手術キット200からの延出しが可能になる。カバー216は底面214で支持することができる。図にさらに示されるように、硝子体カッター206に被さる膨らみ222はプライミング容器202によって定められる部分円錐形状に相補的な形状を定め、よって硝子体カッター206の、プライミング容器202上に配置されている間の、保持に役立つ。様々なチューブ及び/または眼手術ハンドピースの確実な収容のため、異なる数、形状及び/または構成の膨らみが他の実施形態において用いられ得ることは当然である。
【0022】
上で説明したように、眼手術キット200は一般に組立て済の状態でユーザに渡される。カバー216は、図5に概略的に示されるように、液槽204の外部にさらなるコンポーネントを保持するように成形される。例えば、カバー216はトロカール保持スロット226及びピンブロック保持スロット228を定める。トロカール保持スロット226は3本までのトロカールの、簡便なアクセスのための、カバー216による保持を可能にする。同様に、ピンブロック保持スロット228は、上に示したように、エントリー部位置合せ用具への簡便なアクセスのためのピンブロックの保持を提供する。本開示の他の実施形態において眼手術処置の前、処置中及び/または処置後に用いられる異なるコンポーネントがカバー及び/またはプライミング容器によって簡便な態様で保持され得ることは当然である。
【0023】
本開示の別の実施形態にしたがう眼手術キット300が図8に示される。眼手術キット300は、液槽304を定めるプライミング容器302及び眼手術ハンドピース306を備える。図示されるように、プライミング容器302は、図1〜7の実施形態に比較して、眼手術ハンドピース306の保持のための上げられた高さ、及び灌注チューブ308及び補助吸引チューブ310の保持のための、下げられた高さを有する。例えば、2インチ(50.8mm)、2+(1/8)インチ(53.975mm)、等の、上げられた高さにより、図9に示されるように、プライミング容器302で定められるハンドピースチャネル312による、約45°の角度での眼手術ハンドピース306の保持が可能になる。十分な角度により、液槽304内の液体と眼手術ハンドピース306の本体316の間のおこり得る接触を制限しながら液槽内に先端314を配置する、眼手術ハンドピース306の配置が可能になる。プライミング容器及び/またはハンドピースチャネルが、眼手術ハンドピースへのユーザアクセスに影響を与えるために異なる角度で眼手術ハンドピースを保持するため、眼手術ハンドピースに液体を通しているチューブの効率的なプライミングを可能にするため、及び/または眼手術ハンドピース、例えば眼手術ハンドピースに結合されるニードル、等の保護のため、異なる高さ、寸法、形状及び/または構成を有し得ることは当然である。図9はカバー318を含む眼手術キット300の部分断面を示す。
【0024】
図8の実施形態において、眼手術ハンドピース306は、ハンドピースチャネル312の軸線に平行な方向ではなく、上方に取り外すことができ、これは一人ないしさらに多くのユーザに好まれ得る。本開示の他の実施形態において眼手術ハンドピースへのアクセスを変えるために、プライミング容器の大きさ、寸法及び/または諸元が異なり得ることは当然である。
【0025】
さらに、液槽304は、一般にはプライミングシーケンスで定められる既定の体積をこえる体積のBSSを保持するように構成される。本開示の様々な実施形態に対し、プライミング容器で定められる液槽の容量は、例えば寸法及び/または形状等を変えることにより、異なり得る。容量は一般に液槽内に配置された吸引チューブのそれぞれをプライミングするに十分な、例えば75ミリリットル等の、液体を保持するように選ばれる。プライミング容器の寸法及び/形状が、例えば液槽内に配置されたチューブ内の液流に影響するように異なる液体体積を提供するためにも、異なり得ることも当然である。
【0026】
図10〜11は、灌注チューブ308を保持するためにプライミング容器302に備えられ、灌注チャネル322に延び込む、突起320の詳細図を与える。同様に、図12に示されるように、プライミング容器に備えられる突起324が補助吸引チューブ310を保持するために補助吸引チャネル326に延び込む。本開示の別の実施形態において異なるタイプ、寸法、数及び/または形状の突起が用いられ得ることは当然である。さらにまたはあるいは、プライミング容器に被せて配置されるカバーは、運送中及び/またはプライミングシーケンス中の灌注チューブ及び/または吸引チューブのプライミング容器からの離脱を阻止するため、1つないしさらに多くの突起、締結具等を備えることができる。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態を、眼手術キットを参照して上述したが、本開示の様々な態様は眼手術キットに限定されず、様々なその他の眼手術システム、眼手術デバイス及び眼手術方法に適用され得ることは当然である。
【0028】
上述した教示のいずれかまたは全てを実施することにより、向上した信頼性、短縮されたダウンタイム、冗長なコンポーネントシステムの排除または低減、コンポーネントまたはシステムの不必要であるかまたは早すぎる交換、及び総システムコスト及び運用コストの低減を含む、数多くの恩恵及び利点を得ることができる。
【符号の説明】
【0029】
10 眼手術キット
12 プライミング容器
14 液槽
16 眼手術ハンドピース
18 灌注チューブ
20 補助吸引チューブ
22 ハンドピース先端
24 吸引チューブ
25 圧気ライン
26 ハンドピースチャネル
28 灌注チャネル
30 補助吸引チャネル
32 眼手術コンソール
34 灌注液源
36 灌注液供給チューブ
38 吸引クランプ
40,42 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12