(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795641
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】衣付き食品の調製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 1/176 20060101AFI20150928BHJP
A23L 1/01 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
A23L1/176
A23L1/01 E
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-530695(P2013-530695)
(86)(22)【出願日】2011年9月27日
(65)【公表番号】特表2013-538579(P2013-538579A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】EP2011066726
(87)【国際公開番号】WO2012041828
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年2月26日
(31)【優先権主張番号】1051024-6
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】511314164
【氏名又は名称】ジョン ビーン テクノロジーズ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ, イアン ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ブランイー, ナイジェル ギャリー
【審査官】
太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−102402(JP,A)
【文献】
特表2009−509568(JP,A)
【文献】
特開昭58−129942(JP,A)
【文献】
特開平08−089194(JP,A)
【文献】
特開平05−049412(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0119659(US,A1)
【文献】
米国特許第05266339(US,A)
【文献】
特表2005−528101(JP,A)
【文献】
米国特許第04943438(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 1/176
A23L 1/01
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CiNii
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の調製方法であって、
前記食品上にバッター組成物を付加する段階と、
前記食品上に衣組成物を付加する段階と、
前記食品上に油を付加する段階であって、前記バッター組成物、前記衣組成物および前記油が前記食品上に衣を形成する段階と、
ホットエアー調理処理によって前記衣は調理されるが、前記食品は実質的に未処理のままであるような温度および時間で、インピンジメントオーブン中で前記食品および前記衣を前記ホットエアー調理処理に供する段階であって、前記ホットエアー調理処理における熱風が前記食品の上面と底面の両方に当てられる段階と
を有する方法。
【請求項2】
前記食品上に、前記食品の前記衣の一部分である打ち粉組成物を付加する段階をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記食品および前記衣を前記ホットエアー調理処理に供する段階の後に、前記衣付き食品を冷却する段階をさらに有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ホットエアー調理処理の温度が、230℃から290℃の範囲、または270℃から290℃の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ホットエアー調理処理の時間が、30秒から240秒、または30秒から180秒、または50秒から120秒の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記油を噴霧により付加する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記食品の全ての面に同時に前記油を噴霧することによって前記油を付加する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記食品に付加される前記油の量が、前記ホットエアー調理処理後の前記食品および前記衣の重量の1から10%、または前記ホットエアー調理処理後の前記食品および前記衣の重量の3から8%、または前記ホットエアー調理処理後の前記食品および前記衣の重量の3から6%の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記食品上に前記油を付加する段階を、前記食品上に前記衣組成物を付加する段階の後に行う、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記油は、当該油を霧化する回転円板と共に適用される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記食品および前記衣を前記ホットエアー調理処理に供する段階の前に、前記衣は、前記最終製品の総重量の15から60%の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記食品および前記衣を前記ホットエアー調理処理に供する段階の後に、前記衣は、前記最終製品の総重量の15から60%の範囲である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記打ち粉組成物は、前記衣の総重量の0.5から15%を構成する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記食品の上面に当てられる前記熱風の気流速度は、前記食品の底面に当てられる前記熱風の気流速度とは異なる、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記食品および前記衣を前記ホットエアー調理処理に供する段階の前、及び前記食品に油を付加する前に、前記食品上に霧状水を噴霧する段階をさらに有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記食品および前記衣を前記ホットエアー調理処理に供する段階の前、及び前記食品に油を付加した後に、前記食品上に霧状水を噴霧する段階をさらに有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣付き食品の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肉類、魚介類、野菜類などに対する食品衣が長年にわたり使用されてきた。家庭での調理において、食品は通常、最初に、粉状物、乳、卵および調味料を基本的に含むバッターで被覆し、次いで得られたものを、通常は、乾燥させるかまたはトースト処理したパン粉またはシリアルクラムで被覆する。次いで、この衣付き食品を調理、通常は油調し、食卓に供する。
【0003】
消費者は、一般に、油調されたような味およびテクスチャーを有する食品を楽しむ。しかし、消費者はまた、一般に、油調の代替法として従来のベーキングまたは電子レンジ調理の簡便性および単純性をも好む。それゆえに、食品業界は、従来のオーブンでの再加熱時に結果としてフライ様のテクスチャーおよび風味を生じさせる製品を提供するための様々な方法および組成物を開発することにより応じてきた。
【0004】
本業界において、衣付き食品は、従来、調理/冷却/冷凍前に、180から200℃で30から60秒間、油中で予め揚げる。この目的は、例えば、衣を基質に与えるかまたは固定するため、製品の表面微生物量を減少させるため、発色させるため、オーブン中でまたは燃焼のないグリル下で購入者により製品を再構成できるようにするために衣に油分を添加するため、および再構成後に最終製品の食感および食味特性を向上させるためである。
【0005】
予備油調過程には、特別な安全システムまたは手順を必要とする特有の危険が多い。さらに、予備油調過程は、一般的に、「汚れるもの」とみなされ、すなわち、使用後に装置を清浄化するために長時間を要することが多い。さらに、予備油調過程によって、装置、油、エネルギーなど、この過程にかかる費用が高くなる。
さらに、最終製品が必要とされる品質であることを確かなものとするためには、厳しい品質管理手順が必要となる。「消費者がフライ製品において最初に味わうものは油である」という表現は、揚げ油の品質が高レベルに維持されることを確かなものとすることの中でも大きな部分を占める。さらに、消費者は一般に、脂肪含量が高いために、揚げ物は他の種類の食品よりも栄養的に望ましくないと見ている。
【0006】
それゆえに、この過程の予備油調部分が不要となる方法を見つけるために、食品加工業者および食品材料の会社(ingredient companies)によって多くの試みが行われてきた。
【0007】
特許文献1は、バッター付き冷凍食品を製造するための過程を開示する。この過程は、バッターで被覆しようとする食品に予め粉を振り、続いてその粉付き食品に調合したバッターを付加することから始まり、このバッターの組成には、熱湯浴中でまたは水蒸気の存在下で凝固するセルロース誘導体が含まれる。この過程では、凝固したバッター衣層が冷却時に融解しないように、従来からの電子レンジまたは赤外線オーブンを用いて、凝固したバッター衣付き食品の加熱を継続し、最後に上記製品を冷却し、冷凍する。
【0008】
特許文献2号は、未調理のコア食品上にパン粉を付加し、パン粉の上にデンプンの上塗りフィルムを付加することにより製造されている、パン粉付き食品を開示する。
【0009】
特許文献3号は、揚げ物の、味、テクスチャーおよび外観を有するが、油調されていない、バッター付き食材、特に鶏肉を調製するための方法を開示する。この発明のバッターは、鶏肉が調理された後および鶏肉が温かい間に付加される。鶏肉の潜熱により、バッターが鶏肉に固定される。好ましい実施形態において、バッターで被覆された鶏肉は、バッターが固定化される前にパン粉混合物でさらに被覆される。このパン粉混合物は、ノンフライ食品に香味および油調食品の風味特性を与えるための、鶏肉の油調由来の風味付きの植物ベース油も含み得る。
【0010】
特許文献4は、ブレッディングクラム混合物および食品を被覆するための過程を開示する。このクラム混合物および過程は、出来上がった食品にフライ様のテクスチャーと風味を与える。このブレッディングクラム混合物は、押し出し小麦粉生地と、誘電的に焼かれたクラムと、数球状のショートニングと、を含む。この発明の過程は、結合剤で食品を被覆し、被覆した生成物にブレッディングクラム混合物をまぶし、加湿オーブン中でパン粉付き生成物を焼き、焼いた生成物の表面に霧状形態で食用油を付加し、焦げ目を付しクリスピーにする目的で焼いた生成物の表面を高温加熱に曝露する、段階を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7531200号明細書
【特許文献2】米国特許第5770252号明細書
【特許文献3】米国特許第5266339号明細書
【特許文献4】米国特許第4943438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、消費者の要求に合致するが、油調の欠点を持つことなく、食品に対してフライ様の風味およびテクスチャーを得るための代替法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、独立クレイムに従う方法によって達成される。本発明のさらなる実施形態は、従属クレイムにおいて開示する。
【0014】
特に、本発明の第一の態様に従い、食品を調製するための方法を開示する。本方法は、食品にバッター組成物を付加する段階と、その食品に衣組成物を付加する段階と、その食品に油を付加する段階であって、このバッター組成物、衣組成物および油が食品の衣を形成する段階と、ホットエアー調理処理によって衣は調理されるが食品は実質的に未処理のままであるような温度および時間で、インピンジメントオーブン中でこの食品および衣をホットエアー調理処理に供する段階であって、ホットエアー調理処理の温度が230℃から290℃の範囲であり、ホットエアー調理処理における熱風が食品上面と底面の両方に当てられる段階とを有する。
【0015】
食品が実質的にホットエアー調理処理によって未処理のままであるということは、その食品が実質的に未調理状態のままであるという意味である。例えば、食品が生の肉片、例えば鶏肉である場合、この肉は、本発明によるホットエアー調理処理後も生である。
【0016】
食品の製造のための本発明方法を用いて、食品を油調する必要なく、衣を食品上に付加することが可能である。したがって、油調製品による、背景技術で挙げられる欠点が回避されるが、消費者によって所望されるフライ様の風味およびテクスチャーは依然として存在する。本発明の長所の1つは、使用される油のタイプがどのようなものであれ、製造者がその製品の含油率を正しく予測できるようになることである。したがって、これにより、低脂肪またはより低脂肪であるかまたは脂肪調整タイプの製品を製造するための道筋が開かれる。さらに、本発明を使用すると、製品に汚れた油の臭いが付くリスクも低下し、予め油調した製品と比較した場合に全体的により新鮮で、清潔かつ自然な味を製品に残す。本発明の方法に従い、予備調理済み衣付き食品が製造される。衣付き食品の意味における予備調理とは、半調理されていること、すなわち、衣は調理済みであるが食品が実質的に未調理のままであることを意味する。予備調理済み衣付き食品は、家庭用オーブンで最終的に調理され得る。長所は、本発明の予備調理段階中、食品が実質的に未調理のままであるため、消費者が、消費者自身の必要に応じて食品を調理し得ることである。食品の上面と底面の両方にホットエアー調理処理において熱風を当てることによって、衣が均一に調理されるようにすることができる。さらに食品の上面と底面の両方にホットエアー調理処理において熱風を当てることによって、衣に対する均一な熱処理が確実になる。この結果、味、テクスチャー、色および全体的な外観の面で一貫した製品が得られる。
【0017】
さらに、本方法は、食品上に、食品の衣の一部である打ち粉組成物を付加する段階を有し得る。
【0018】
さらに、本方法は、食品および衣をホットエアー調理処理に供する段階の後、衣付き食品を冷却する段階を有し得る。予備調理食品を冷却するかまたはさらに冷凍することによって、食品のシェルライフ(shell life)が延長される。冷却または冷凍した衣付き食品は、クリスピーな衣付き食品を提供するために、家庭用オーブンで最終的に調理され得る。
【0019】
さらに、ホットエアーインピンジメント調理処理の温度は好ましくは270℃から290℃であり得る。
【0020】
さらに、ホットエアーインピンジメント調理処理の時間は、30秒から240秒、好ましくは30秒から180秒、より好ましくは50秒から120秒の範囲であり得る。したがって、これにより、時間単位あたりに大量の食品を製造することが可能となる。
【0021】
さらに、油は噴霧によって付加され得る。例えば、食品の全ての面に同時に油を噴霧することによって油を付加し得る。噴霧により油を付加することによって、添加される油の量を正確に調整し、均一な被覆を確実にすることができる。全ての面に同時に油を付加することによって、食品全体への油の均一な分布が達成される。
【0022】
さらに、食品に付加される油の量は、ホットエアー調理処理後の食品および衣の重量の1から10%、好ましくは、ホットエアー調理処理後の食品および衣の重量の3から8%、より好ましくはホットエアー調理処理後の食品および衣の重量の3から6%の範囲であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の方法は、食品を油調する必要なく、衣で食品を被覆するための方法に関する。本発明の方法は、様々なタイプの食品、すなわち、鶏、魚、魚介類、赤身肉、チーズまたは野菜、に適用され得る。
【0024】
本発明の実施形態によると、本方法は、次の連続的な段階、すなわち、a)食品に打ち粉組成物を付加する段階、b)その食品にバッター組成物を付加する段階、c)その食品に衣組成物を付加する段階、d)その食品に油を付加する段階。打ち粉組成物、バッター組成物、衣組成物および油は、食品の衣を形成し、e)衣は調理されるが食品は実質的に未調理のままであるような温度および時間で、食品および衣をホットエアー調理処理に供する段階を有する。
【0025】
当業者によく知られている様々な適用単位によって、様々な組成物が食品に適用される。
【0026】
打ち粉組成物は、粉状物および/またはデンプンおよび/またはタンパク質を含む。使用される典型的なタイプの粉状物は、小麦、トウモロコシまたは米粉である。トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモ、タピオカおよびその他由来の天然および加工デンプンの両方が一般に使用される。植物増粘剤、小麦グルテン、卵アルブミン、乳タンパク質などのタンパク質が一般に使用される。打ち粉組成物はまた、スパイス、塩、砂糖その他の種類の香味料も含み得る。打ち粉組成物は主に、後で付加する組成物の付着性を向上させ、後で付加する組成物の取得を調整し、最終製品のテクスチャーを変化させ、最終食品に風味を付加するために使用される。
【0027】
本発明のある実施形態によると、打ち粉組成物の付加は任意である。
【0028】
バッター組成物は一般に、液体、すなわち水、乳、ワイン、ビールまたは油と一緒に、打ち粉組成物の何らかの成分を含む。
【0029】
本衣組成物は一般に、スパイスなどの他のさらなる成分と混合されたブレッディングクラムを含む。このブレッディングクラムは一般に、粉状物、グルテン、水、塩およびスパイスから作られる。粉状物は、小麦、米およびトウモロコシ粉の混合物であり得る。ブレッディングクラム生地には、大麦麦芽抽出物も添加され得る。例えばジャガイモまたは植物(例えばエンドウ)などの他の種類のデンプンも添加され得る。ジャガイモまたは植物デンプンもまた粉状物質の代わりになり得る。ブレッディングクラムは一般に、生の生地を押し出すことによって製造される。しかし、当業者がよく承知しているとおり、他の製造法も広く使用される。
【0030】
油は、液体を霧化するために回転円板を使用して、最良に付加される。製品輸送ベルトの上下のチャンバー中の回転円板に液体を噴霧または滴下する。これにより、霧化した液体が雲状になり、次にこれが製品を完全に被覆する。これによって、付加される油の量を正確に調整し、均一な被覆を確実にするために、油が全ての面に同時に付加されるようになる。
【0031】
油の質は、製品の風味および色に大きな影響があるので、重要である。しかし、この選択は、消費者の要求により大きく関係する。使用される代表的な油は、ヒマワリ油またはオリーブ油であるが、他の種類の油も使用され得る。使用される油は新鮮かつ清潔でなければならない。
【0032】
食品および衣をホットエアーインピンジメント調理処理に供した際に衣が乾燥し、焦げないようにするために、油の付加が必要である。さらに、油は、食感および風味の生成に役立つ。
【0033】
本発明の長所の1つは、使用される油のタイプがどのようなものであれ、製造者がその製品の含油率を正しく予測できるようになることである。したがって、これにより、低脂肪またはより低脂肪であるかまたは脂肪調整タイプの製品を製造するための道筋が開かれる。一般に、食品に付加される油の量は、ホットエアー調理処理後の食品および衣の重量の1から10%、好ましくは、ホットエアー調理処理後の食品および衣の重量の3から8%、より好ましくはホットエアー調理処理後の食品および衣の重量の3から6%の範囲である。
【0034】
さらに、本発明を使用すると、製品に汚れた油の臭いが付くリスクも低下し、予め油調した製品と比較した場合に全体的により新鮮で、清潔かつ自然な味を製品に残す。
【0035】
上述のように、任意で用いられる打ち粉組成物、バッター組成物、衣組成物および油が、食品の衣を形成する。一般に、衣は、食品および衣をホットエアー調理処理に供する前、最終製品(食品+衣)の総重量の15から60%であり、食品および衣をホットエアー調理処理に供した後、最終製品の総重量の15から60%である。さらに、打ち粉組成物は、衣の総重量の0.5から15%を構成する。バッター組成物と衣組成物との間の比率は1:1から1:2である。従って、バッター組成物および衣組成物が等量である場合から、衣組成物がバッター組成物の2倍である場合まである。
【0036】
衣の全成分の添加後、衣によって食品を完全に被覆する。好ましくは、衣は、食品全体にわたり均一な厚さを有している。
【0037】
食品を衣で被覆した後、ホットエアー調理処理によって衣は調理されるが食品は実質的に未処理のままであるような温度および時間で、その食品および衣をホットエアー調理処理に供する。このようにすることにより、本過程は、製品を熱い調理用油に浸漬する必要なく、予備油調の過程を模倣している。ホットエアー調理処理は一般に、製品に向けられたノズルを通じて熱風を注入することにより、インピンジメントオーブン中で行われる。ノズルから出る気流速度は、好ましくは15m/秒から33m/秒の間であり、より好ましくは27m/秒から32m/秒の間である。インピンジメントオーブン中で、一般に、熱風を生成させるためにガスバーナーが使用される。ホットエアーインピンジメント調理処理の温度は、190℃から300℃、好ましくは230℃から290℃、より好ましくは270℃から290℃の範囲である。ホットエアーインピンジメント調理処理の時間は、30秒から240秒、好ましくは30秒から180秒、より好ましくは50秒から120秒の範囲である。衣付き食品を高温、190℃から300℃、好ましくは230℃から290℃、より好ましくは270℃から290℃で、30秒から240秒、好ましくは30秒から180秒、より好ましくは50秒から120秒にわたりインピンジメントオーブンに通過させることによって、衣は調理されるが、基質は生の未調理状態のままであり、すなわちこれが予備調理段階である。本発明のある実施形態によると、ホットエアー調理処理における熱風を食品の上面と底面の両方に当てる。したがって、インピンジメントオーブンは、熱風を食品の上面に向けるように配置されている第一のタイプのノズルと、熱風を食品の底面に向けるように配置されている第二のタイプのノズルを備える。本発明のある実施形態によると、食品の上面に当てられる熱風の気流速度は、食品の底面に当てられる熱風の気流速度とは異なる。これは、例えば、上面および底面の気流を制御する独立した送風機の使用によって達成され得る。あるいは、製品の上面または底面を通過する空気量を調整するために、ルーバーシステムを使用し得る。食品の底面よりも食品の上面の気流速度を速くすることによって、気流中で食品が動き回ることを防ぐために食品の上面の圧力を高くし得る。食品の上面よりも食品の底面の気流速度を速くすることによって、食品の底部において乾燥効果が得られ得る。予備調理段階が終了したら、その製品を冷却または冷凍し得、クリスピーな衣付き食品を与えるために、この調理過程の仕上げは家庭用オーブンにおいて行われる。このようにして、食品および衣をホットエアーインピンジメント調理処理に供する段階の後に、衣付き食品を冷却し得る。
【0038】
本発明の実施形態によると、本方法は、食品中での着色剤または着色促進剤の適用をさらに有する。色の塗布は、製品のテクスチャーおよび風味特性には何も加えないので任意ではあるが、製品の見映えをよくする。例えば、色の塗布は、衣に焼き網による縞模様を加えるために、または衣に不均一な表面の焦げ目を付加するために使用され得る。
【0039】
本発明の実施形態によると、本方法は、食品および衣をかかる温度のホットエアーインピジメント調理処理に供する前に食品上に霧状水を噴霧することをさらに有する。霧状水の噴霧は通常、油付加の直前または直後に行われる。水は、液体を霧化するために回転円板を使用して最良に付加される。製品輸送ベルトの上下のチャンバー中の回転円板に水を噴霧または滴下する。これにより、霧化した水が雲状になり、次にこれが製品を完全に被覆する。これによって、付加される水の量を正確に調整し、均一な被覆を確実にするために、水が全ての面に同時に付加されるようになる。食品上に霧状水を噴霧することによって、衣のジューシーさを調整することができる。さらに、食品上に霧状水を噴霧することによって、食品の重量喪失を制限し得る。
【0040】
当然のことながら、本発明は、示された実施形態に限定されない。したがって、いくつかの改良および変更が、本発明の範囲内で想定される。