特許第5795715号(P5795715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5795715非対称なショックバンプを有する空力学的構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795715
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】非対称なショックバンプを有する空力学的構造
(51)【国際特許分類】
   B64C 23/04 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   B64C23/04
【請求項の数】14
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-548188(P2010-548188)
(86)(22)【出願日】2009年2月17日
(65)【公表番号】特表2011-513117(P2011-513117A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】GB2009050153
(87)【国際公開番号】WO2009106872
(87)【国際公開日】20090903
【審査請求日】2012年2月3日
【審判番号】不服2014-6685(P2014-6685/J1)
【審判請求日】2014年4月10日
(31)【優先権主張番号】0803719.4
(32)【優先日】2008年2月29日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510286488
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン ウッド
【合議体】
【審判長】 和田 雄二
【審判官】 氏原 康宏
【審判官】 出口 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第3463418(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/60720(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B 1/00-7/00
B64C 1/00-39/12
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/00
B64G 1/00-9/00
F03H 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空力学的構造の表面から突出するショックバンプを備える空力学的構造であって、前記ショックバンプは、対称平面を持たない、空力学的構造。
【請求項2】
請求項1おいて、前記ショックバンプは、前記空力学的構造に直交する方向に見たとき湾曲したラインをたどる稜線を有する、
空力学的構造。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ショックバンプは、前端縁、後端縁、機内側端縁、機外側端縁を有する、空力学的構造。
【請求項4】
請求項において、前記ショックバンプは、前端縁、後端縁、機内側端縁、および機外側端縁で空力学的構造の表面に収斂する、空力学的構造。
【請求項5】
請求項1〜のうちいずれか一項にいて、前記空力学的構造はエアロフォイルであって、前記表面はエアロフォイルの低圧面とした、空力学的構造。
【請求項6】
請求項のうちいずれか一項にいて、前記空力学的構造は、前縁および後縁を有するエアロフォイルとし、各バンプは前記エアロフォイルの後縁方向側に配置する頂点を有する、空力学的構造。
【請求項7】
請求項1〜のうちいずれか一項にいて、さらに、異なる長さを有する1対の後尾アームを備える、空力学的構造。
【請求項8】
請求項において、前記空力学構造は、機内側端部および機外側端部を有し、前記ショックバンプは、前記空力学的構造の機内側端部方向にオフセットした頂点を備える、空力学的構造。
【請求項9】
請求項の1〜のうちいずれか一項にいて、さらに、前記空力学的構造の表面から突出する1個またはそれ以上の追加ショックバンプを備える、空力学的構造。
【請求項10】
請求項1〜のうちいずれか一項に記載の空力学的構造を運用する方法であって、遷音速で前記空力学的構造を移動させるステップと、前記空力学的構造の表面に隣接して衝撃を形成するステップと、前記ショックバンプにより前記衝撃の構造を変更するステップと、を備える方法。
【請求項11】
請求項10において、前記ショックバンプを使用して、前記空力学的構造が遷音速で移動するとき、ショックバンプがない場合の構造表面に隣接して生ずるであろう衝撃の構造を変更する、方法。
【請求項12】
請求項10または11において、ショックバンプを越える流れは、前記空力学的構造が遷音速で移動するとき、ほぼ完全に表面に付着する、方法。
【請求項13】
請求項12において、前記ショックバンプは、遷音速で移動するとき、衝撃にラムダ状の波形パターンを有する、広がった衝撃足を誘発する、方法。
【請求項14】
空力学的構造の表面から突出するショックバンプを備える空力学的構造において、
前縁および後縁を有するエアロフォイルとし、
各ショックバンプは、対称平面を持たず、前記エアロフォイルの後縁方向側に配置する頂点を有する、
空力学的構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空力学的構造の表面から突出するショックバンプを備える、該空力学的構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ホールデン氏らにより執筆された非特許文献1に記載されるように、遷音速流れが3Dショックバンプを通過するとき、遷音速の局部的条件は、衝撃下部にラムダ状波形パターンの、広がった衝撃足を誘発する。
【0003】
ホールデン氏らにより執筆された非特許文献1に記載されるバンプは前後方向に非対称であり、一般的にショックバンプの中心より後方で最大高さおよび/または最大幅となるよう高さおよび/または幅を増大させる。言い換えれば、バンプは、ショックバンプの中心を通過して、自由流方向に直交する平面に対して非対称である。しかし、これまでは3次元ショックバンプのあらゆる部分の数値は、自由流方向に沿って横方向には対称的なバンプ形状となっていた。言い換えれば、従来のショックバンプは、ショックバンプの中心を通過し、自由流方向に平行であり、かつエアロフォイル表面に直交する平面に対して対称的である。
【0004】
特許文献1(米国特許出願公開第2006/006720号明細書)は、翼下面から離れる方向に延びる衝撃を発生する衝撃制御突起を使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/006720号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】2003年1月6〜9日米国ネバダ州レノで開催された第41回エアロスペース・サイエンス・ミーティング・アンド・イグジビットにおけるH.A. ホールデン氏およびH. バビンスキー氏が執筆した論文第AIAA2003-447「Shock/boundary layer interaction control using 3D devices」
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1態様は、空力学的構造の表面から突出するショックバンプを備え、前記ショックバンプは少なくとも一つの非対称平面に対して非対称である、空力学的構造を提供し、該非対称平面は、
a.ショックバンプ中心を通過し、
b.自由流と平行であり、かつ
c.空力学的構造の表面に対して直交する方向に延在する
ものとする。
【0008】
ショックバンプは、対称平面を持たない、または上記の非対称平面に対して角度をなす対称平面を有するものとすることができる。
【0009】
一般的に、ショックバンプは、前端縁、後端縁、機内側端縁、機外側端縁を有する。バンプは各端縁で空力学的構造の表面に徐々に収斂する、または1個もしくはそれ以上の端縁で急激な不連続性を有する凹状形状とする。
一般的に、ショックバンプは、ほとんど尖鋭でない凸状端縁またはポイントを有する。
一般的に、ショックバンプの形状および位置は、構造が遷音速で移動するとき、ショックバンプがない場合の構造表面に隣接して生ずるであろう衝撃の構造を変更するような形状および位置とする。このことは、衝撃制御突起を使用して、衝撃制御突起がない場合には存在しない衝撃を発生する特許文献1のものとは対照的である。
【0010】
本発明による第2態様は、空力学的構造の表面から突出するショックバンプを備える空力学構造を提供し、ショックバンプは対称な平面を持たない。
【0011】
以下の記載は、本発明の双方の態様に適用する。
【0012】
一般的に、ショックバンプは、表面上の空気流の主方向に直交する表面における断面で見て、非対称形状を有する。例えば、非対称な断面形状は、一般的にはショックバンプの機内側端縁方向の片側にオフセットした頂点を有する。以下に記載の実施形態において、断面形状は単独ポイントで頂点を有する湾曲形状である。代替案として、頂点は平坦面とする。
【0013】
ショックバンプの頂点(稜線または平坦面区域)は直線的とする、または空力学的構造の表面に対して直交する方向に見るとき、湾曲したラインに沿う。
【0014】
空力学的構造としては、航空機翼、水平尾翼または制御平面などのエアロフォイル、ナセル、パイロンまたはフィンなどの航空機構造、またはタービンブレードなど任意な他のタイプにおける空力学的構造がある。
【0015】
エアロフォイルの場合、ショックバンプをエアロフォイルの高圧力面上(すなわち航空機翼の場合は下面)に配置することができるが、より好適にはショックバンプを設ける表面はエアロフォイルの低圧面(すなわち航空機翼の場合は上面)とする。またショックバンプは、一般的にエアロフォイルの後縁方向に位置する、言い換えれば50%バンプ弦位置よりも後端縁寄りに頂点を有する。バンプの頂点は、単独ポイントまたは平坦面とする。平坦面の場合、平坦面の先端縁は、エアロフォイルの後縁寄りに配置する。
本発明の実施形態を、以下に添付図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態によるショックバンプを担持する航空機翼の頂面の平面図である。
図2】A−A線上の、バンプ中心を通過する断面図である。
図3】B−B線上の、バンプ中心を通過する断面図である。
図4】湾曲した稜線を有するバンプの平面図である。
図5】本発明の第2実施形態によるショックバンプの設置面ラインおよび稜線を示す平面図である。
図6】本発明の第3実施形態によるショックバンプの設置面ラインおよび稜線を示す平面図である。
図7】本発明の第4実施形態によるショックバンプの設置面ラインおよび稜線を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は航空機の翼における平面図である。翼は前縁1と後縁2を有し、それぞれ自由流れの方向に対して後方に傾斜する。
【0018】
ショックバンプの設置面を図1の参照符号3で示す。図2および3は、それぞれ自由流方向に平行および直交するA−A線上およびB−B線上の、バンプ中心6を通過する断面図である。
【0019】
ショックバンプは翼の公称表面8から突出して、前端縁3a、後端縁3b、機内側端縁3c、機外側端縁3dで公称表面8に収斂する。バンプの下方部分は凹面であり徐々に公称表面8に収斂する。例えば、図2に示すように、バンプ前側面の下方部分9は、前端縁3aで公称表面8に収斂する。代替案として、バンプの端縁のうち1つまたはそれ以上は、急激な不連続性を有するものとする。例えば、バンプ前面側の下方部分は、点線9aで示すような平面状にすることができる。この場合、ショックバンプの前側面9aは、前端縁3aで不連続性を有して公称表面8に合致する。
【0020】
遷音速において、衝撃4は翼上面に対して直交し、またショックバンプ3は、図2に示すように、ラムダ状の波形パターンを有する、広がった衝撃足5を誘発するように配置する。
【0021】
ショックバンプ3は、図2に示すようにバンプの頂点7の少し前方で衝撃4を生じて最適に動作するとき、広がった衝撃足5は、ラムダ状の波形パターンを有し、この波形パターンは、バンプの前端縁に向かう単独の前方衝撃5a、および頂点7の僅か前方に位置する単独の後方衝撃5bを有する。代替案として、単に1個の前方衝撃5aを有する代わりに、扇状の列よりなる前方衝撃を有するラムダ状波形パターンを生ずるようにすることもできる。
【0022】
図2および3に示すように、ショックバンプは、自由流方向に対して平行方向および交差する方向の双方に関して非対称の断面を有する。前後方向の断面A−Aの長手方向頂点7は、バンプの中心6より後方にオフセットし、かつ横方向断面B−Bの横方向頂点7aはバンプの中心6よりも機内側方向にオフセットする。図3に示すように、バンプは頂点7aの両側の側面に非対称傾斜面17,18を有する(機内側傾斜面17の角度は機外側傾斜面18の角度より大きい)。バンプの頂点はバンプ弦の50%位置より後方に、一般的には翼弦の60%〜65%の範囲に配置する。
【0023】
図4に示すように、バンプの横方向頂点は、翼表面に直交する平面で見たときに湾曲した稜線10をたどる。
【0024】
ショックバンプ3は、翼幅方向に分布する一連のショックバンプよりなる一列のシリーズであり、図1には参照符号3aで示すシリーズにおけるショックバンプの他の1個を示す。バンプ3aはバンプ3と同一の非対称形状とする、または同一ではない非対称形状とすることができる。
【0025】
従来の対称形状のショックバンプと比較して、ショックバンプ3は対称平面を有していない。図5および6は、対称平面を持たない2種類の代替的実施例におけるショックバンプの設置面ラインおよび稜線を示す。図5の実施例では、ショックバンプ12は、異なる長さを有する1対の後尾アーム13,14、および稜線15を有する。図6は、非対称な湾曲した稜線21を有するショックバンプ20を示す。
【0026】
図7は、中心32を通過する真っ直ぐな稜線31を有する対称形状のショックバンプを示す。稜線31は、自由流方向に対して鋭角の角度θをなすよう傾斜する。ショックバンプは横方向に対称ではあるが、自由流方向に対して傾斜させることにより、ショックバンプ中心32を通過し、エアロフォイル上の自由流方向に平行でありかつエアロフォイル表面に直交する平面16に対して、ショックバンプは非対称となる。
【0027】
本明細書に記載した非対称バンプ構成は、造波抗力の緩和及び衝撃が誘発する不利益の改善を与える代替案となる。
【0028】
流速が翼幅方向に沿って変化する掃引衝撃または流れの存在は、対称バンプの周りに非対称な波動パターンを誘発する。そのような非対称性は、バンプ自体が非対称であることにより、明確な利益を得る。得られる波動パターンは、非対称バンプの両側に異なる構造を呈する。
【0029】
設計外運用の場合、例えば、後方に流れる渦が形成されるとき、非対称バンプは、バンプから剥離する流れ構造の強さを異ならせ、この異なる強さを使用してバンプの有効性を改善する。渦発生器とは異なり、バンプは、最適に動作しているとき(すなわちバンプ上の頂点の直前に衝撃が位置するとき)に流れがバンプに付着し続けるように、バンプには、尖鋭な凸状端縁または尖鋭なポイントを持たないことに注意すべきである。
【0030】
本発明は一つ以上の好適な実施形態につき説明したが、当然ながら、様々な改変または変更を、添付の特許請求の範囲で定義する本発明の範囲を逸脱することなく、加えることができる
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7