特許第5795720号(P5795720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795720
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】測定プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
   G01R1/067 Z
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-88225(P2011-88225)
(22)【出願日】2011年4月12日
(65)【公開番号】特開2012-220408(P2012-220408A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河メータ&インスツルメンツ株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北島 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】堀江 淳二
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−046376(JP,U)
【文献】 特開2000−040547(JP,A)
【文献】 特開2000−082520(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/046457(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/013027(WO,A2)
【文献】 実開平04−081383(JP,U)
【文献】 実開昭60−123665(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06 − 1/073
H01R 13/05
H01R 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部が円筒状に形成された本体側ジャック及びテーパの先端が半球状に形成されIECで定められたテストフィンガが挿入される測定プローブであって、
前記測定プローブは、
前記測定プローブを構成する支持部に一端が固定され先端までの高さが所定の高さを有して形成された円筒状のスリーブと、
このスリーブの中心の底部に一端が固定され前記スリーブの先端よりも低い所定の高さに形成されたプラグを有し、
前記テストフィンガが前記円筒状のスリーブに挿入され、前記テストフィンガの外径が前記スリーブの内径に当接したときに、前記テストフィンガの半球状に形成された先端部が前記プラグの先端に接触せず、かつ、前記本体側ジャック前記円筒状のスリーブに挿入され、前記本体側ジャックの先端に前記プラグの先端が挿入されてその先端同士が接触したときに、所定の接触長を確保するために前記プラグの先端を外径側から中心に向かって凹状に形成したことを特徴とする測定プローブ。
【請求項2】
前記プラグの凹部は円錐、円柱,半球状のいずれかに形成されたことを特徴とする請求
項1に記載の測定プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定プローブの本体接続プラグ部分の安全規格に対応するプラグ部分の改良に関し、プラグ長の短縮量を最小に抑えるための測定プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
4つ割形プラグの金属部分(導電部)はIEC(International Electrotechnical Commission・・・国際電気標準会議)で定められたテストフィンガが触れられない形状を実現するものであって測定プローブ全般に応用される。但し、プラグを覆うスリーブ内径はアプリケーション(機種)によるため、内径を小さく出来ない場合はこの限りではない。
【0003】
従来の測定プローブのプラグにおいては、テストフィンガがプラグの金属部分(導電部)に触れない様にするために4つ割形のプラグやバナナプラグ等の場合はプラグ長を短くする。又はスリーブ内径を小さくする等の対策が取られていた。
また、その他のプラグ形状の物は先端に樹脂製のキャップを取り付ける等の対応が取られていた。
【0004】
図3(a〜d)はこのような測定プローブの従来のプラグにおけるスリーブとプラグとテストフィンガーの関係を示す要部断面図である。
図3(a,b)において、1は図示しない配線が配置される空間1aを有する測定プローブであり、一端には測定プローブ1を構成する支持部1bから所定の高さL1を有する円筒状のスリーブ2が突出して形成されている。
【0005】
3はスリーブ内2に配置され、スリーブの底部に形成されたねじ孔に一端がねじ込まれ、スリーブの高さL1よりも低い高さL2を有するプラグ(導電部)である。このプラグは図示しない本体側ジャックの挿入が容易なように先端部の断面が台形状に加工されるとともに4つ割形に形成されている。図3(a)ではテストフインガ5をスリーブ2内に挿入したときに、その先端がプラグに接触した状態を示している。
【0006】
このような測定プローブにおいて、先端5aが半円状に形成されIECで定められた寸法を有するテストフィンガ5がプラグの金属部分(導電部)に触れない様にするには、図3(b)に示すように、プラグ3の先端までの高さをSだけ削ることによりテストフィンガ5の先端がプラグ2に接触しないようにしている。
なお、テストフィンガの先端がプラグに接触しないようにするためにはスリーブ2内径を小さくすることもできる。
【0007】
図3(c,d)はテストフィンガ5をプラグに接触させないための他の従来例を示す要部断面図である。図において1は図3(a,b)と同様の機能を有する測定プローブである。この例ではプラグ(導電部)3は、中央部付近を膨らませた導電体3bに別の棒状の導電体3cを挿入した状態とされている。
【0008】
そしてこの従来例においては、プラグ3の先端に絶縁キャップ6をねじ込んだ状態を示している。
このような構成によれば、プラグ3にテストフィンガ5を挿入しても先端5aが絶縁キャップ6に当接するのでテストフィンガ5の先端がプラグに接触することを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−221682号公報
【特許文献2】特開平1−93078号公報
【特許文献3】特開2006−228617号公報
【特許文献4】特開2004−72761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、図3に示す従来例においては、
スリーブ内径を小さくする場合、測定プローブの外形の規制からアプリケーションによってはテストフィンガの接触を避けるに至らないことがある。(その場合、安全規格に適合しない)
【0011】
プラグ長を短くした場合、図4(a)に示すように、本体側のジャック7との接触長さPが減少する、また場合によっては接触できなくなる等の問題が発生する。
また、樹脂製キャップを取り付ける場合、図4(b)に示すように、絶縁キャップ6を取り付けるための部品数の増加及び絶縁キャップ6を取り付けのための追加加工(ねじ加工)等によるコスト増が発生する。という課題があった。
【0012】
従って本発明は、プラグ先端形状をテストフィンガと接触させない様に「プラグ先端中央部を凹ませる」形状とする事でプラグ長の短縮量を最小に抑え、また部品を追加せずにプラグの導電部分に触れることのないプラグを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、請求項1の測定プローブにおいて
は、
挿入部が円筒状に形成された本体側ジャック及びテーパの先端が半球状に形成されIECで定められたテストフィンガが挿入される測定プローブであって、
前記測定プローブは、
前記測定プローブを構成する支持部に一端が固定され先端までの高さが所定の高さを有して形成された円筒状のスリーブと、
このスリーブの中心の底部に一端が固定され前記スリーブの先端よりも低い所定の高さに形成されたプラグを有し、
前記テストフィンガが前記円筒状のスリーブに挿入され、前記テストフィンガの外径が前記スリーブの内径に当接したときに、前記テストフィンガの半球状に形成された先端部が前記プラグの先端に接触せず、かつ、前記本体側ジャック前記円筒状のスリーブに挿入され、前記本体側ジャックの先端に前記プラグの先端が挿入されてその先端同士が接触したときに、所定の接触長を確保するために前記プラグの先端を外径側から中心に向かって凹状に形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項2においては、請求項1に記載の測定プローブにおいて、
前記プラグの凹部は円錐、円柱,半球状のいずれかに形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したことから明らかなように本発明の請求項1、2によれば、
測定プローブを構成する支持部に一端が固定され先端までの高さが所定の高さを有して形成された円筒状のスリーブと、
このスリーブの中心の底部に一端が固定され前記スリーブの先端よりも低い所定の高さに形成されたプラグを有し、
テストフィンガが円筒状のスリーブに挿入され、テストフィンガの外径がスリーブの内径に当接したときに、テストフィンガの半球状に形成された先端部がプラグの先端に接触せず、かつ、本体側ジャックが円筒状のスリーブに挿入され、本体側ジャックの先端にプラグの先端が挿入されてその先端同士が接触したときに、所定の接触長を確保するためにプラグの先端を外径側から中心に向かって凹ませて円錐、円柱、半球状に形成したので、絶縁部品を追加せずテストフィンガの接触を防ぐ事ができ、テストフィンガとの接触を防ぎかつ、本体側ジャックとプラグの接触を確実に行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の測定プローブの実施形態の一例を示す断面図である。
図2】本発明の測定プローブの先端形状を示す断面図である。
図3】従来の測定プローブのプラグ先端の一例を示す断面図である。
図4】従来の測定プローブの本体側ジャックとの接続例を示す図(a)及びプラグに絶縁キャップを取付けた状態を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施形態の一例を示すもので、図3(a)、(b)に示す従来例とはプラグ4の先端形状のみが異なっている。
即ち本発明においては、図1(a)に示すように、プラグ4の先端が外径側から中心に向かって凹状とされて凹部4aが形成されている。
【0018】
このような凹部4aを形成にすることにより、図1(a)に示すg部のようにプラグの長さL2を短くすることなくテストフィンガとの接触を回避することができる。そのため図1(b)に示すようにプラグ4を本体側ジャック7に挿入した場合に接触長L3を確保することができる。
【0019】
図1(c)及び(d)はプラグの先端形状によるテストフィンガ5との間隔の詳細を示すもので、図1(c)に示す従来のプラグ3では台形状部3aの始まり部分(h)で示す部分を、この実施例では図1(d)に示すようにプラグ4の先端を外径側から中心に向かって凹部4aの始まりとしている(スリーブ2の先端から距離L4で示す部分)。
【0020】
従来は図1(c)のeに示すようにテストフィンガ5の先端とプラグ3の先端が接触状態にあったが、図1(d)のe1に示すように凹状に形成することによりテストフィンガ5の先端とはL5で示す距離を離すことができ接触を防止することができる。
【0021】
図2(a〜c)はプラグ先端の凹部の形状を示すもので、図(a)は円錐形、図(b)は円柱形、図(c)は球形に形成した場合を示している。
【0022】
なお、以上の説明は、本発明の説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。従って本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形を含むものである。
【符号の説明】
【0023】
1 測定プローブ
2 スリーブ
3、4 プラグ(導電部)
4a 凹部
5 テストフィンガ
6 絶縁キャップ
7 本体側ジャック
図1
図2
図3
図4