特許第5795738号(P5795738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795738
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】グラフィック表現
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20150928BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20150928BHJP
   A61B 19/00 20060101ALI20150928BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20150928BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20150928BHJP
【FI】
   G06T19/00 A
   A61B5/10 310A
   A61B19/00 502
   G06F3/01 310A
   G06F3/048 656A
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-540285(P2011-540285)
(86)(22)【出願日】2009年12月3日
(65)【公表番号】特表2012-511764(P2012-511764A)
(43)【公表日】2012年5月24日
(86)【国際出願番号】IB2009055481
(87)【国際公開番号】WO2010067275
(87)【国際公開日】20100617
【審査請求日】2012年11月30日
【審判番号】不服2014-10064(P2014-10064/J1)
【審判請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】08171164.0
(32)【優先日】2008年12月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ファン アヒト,フィクトル エム ヘー
(72)【発明者】
【氏名】ランベルト,ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】ボンヘルス,エドウィン ヘー イェー エム
(72)【発明者】
【氏名】テ フルグト,ユルゲン ヨットテーファウ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルマン,リヒャルト デー
(72)【発明者】
【氏名】ランフェルマン,ゲルト
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,デクラン ピー
【合議体】
【審判長】 清水 正一
【審判官】 渡邊 聡
【審判官】 小池 正彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−92657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T19/00
G06F3/0481
G06F3/0346
G06F3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ装置に対するコントローラであり:
‐所定の方位に対してなす角として与えられる該ディスプレイ装置のユーザーの向きを示唆する信号を受信し;
‐前記所定の方位に対してなす角として与えられる該ディスプレイ装置の向きを示唆する信号を受信し;且つ
前記ディスプレイ装置のユーザーの向きを示唆する信号と該ディスプレイ装置の向きを示唆する信号を使用して該ディスプレイ装置のユーザーのグラフィック表現を生成する;
ように構成されたプロセッサを含み、
前記グラフィック表現は、前記ディスプレイ装置の受信した向きを示唆する信号と前記ディスプレイ装置のユーザーの向きを示唆する信号によって与えられる角度によって回転される、
コントローラ。
【請求項2】
前記プロセッサは、受信された前記ディスプレイ装置の向きを示唆する信号によって与えられる角度によって、グラフィック表現の垂直軸の周りを回転させた、受信した前記ユーザーの向きを示唆する信号から該グラフィック表現を生成するように構成されている、
請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記ユーザーのグラフィック表現が前記ディスプレイ装置に表示されるときに、該ユーザーの鏡像である該ユーザーのグラフィック表現を生成するように構成されている、請求項1又は2に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記ディスプレイ装置による前記グラフィック表現の表示の前に、該グラフィック表現を鏡像化するように構成されている、請求項3に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記所定の方位は磁北である、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記向きは、3次元において与えられる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコントローラであり、前記プロセッサは、前記ユーザーの動作及び/又は姿勢を示唆する信号を受信し、前記グラフィック表現が、該ユーザーの動作及び/又は姿勢に対応するように、該グラフィック表現を生成するようにさらに構成されている、コントローラ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコントローラであり、前記プロセッサは、前記グラフィック表現がディスプレイ装置に表示されるとき、動作及び/又は姿勢を前記ユーザーに実演するように、該グラフィック表現を動かすようにさらに構成されている、コントローラ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のコントローラであり、前記プロセッサは、複雑な動作を共に形成する複数の基本的な動作を実演するように前記グラフィック表現を動かすように構成され、該基本的な動作の各々は、前記ユーザーのグラフィック表現において単関節の動作を含む、コントローラ。
【請求項10】
前記プロセッサは、第1及び第2グラフィック表現を生成するように構成され、該第1グラフィック表現は、前記複数の基本的な動作を実演するように動かされ、該第2グラフィック表現は、前記複雑な動作を実演するように動かされる、請求項9に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記プロセッサは、望まれる能力に対する前記ユーザーの現時点の能力を示す前記グラフィック表現を動的に表示するように構成されている、請求項8、9又は10に記載のコントローラ。
【請求項12】
‐ディスプレイ装置の向きを決定するためのセンサー;及び
‐請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコントローラ;
を含む、ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記センサーは、磁気探知器である、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記センサーは、加速度計をさらに含む、請求項13に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
ディスプレイ装置に表示するためのユーザーのグラフィック表現を生成する方法であり:
‐所定の方位に対してなす角として与えられる該ディスプレイ装置のユーザーの向きを示唆する信号を受信するステップ;
‐前記所定の方位に対してなす角として与えられる該ディスプレイ装置の向きを示唆する信号を受信するステップ;及び
‐前記ディスプレイ装置のユーザーの向きを示唆する信号と該ディスプレイ装置の向きを示唆する信号を使用して該ディスプレイ装置のユーザーのグラフィック表現を生成するステップであって、前記グラフィック表現は、前記ディスプレイ装置の受信した向きを示唆する信号と前記ディスプレイ装置のユーザーの向きを示唆する信号によって与えられる角度によって回転される、ステップ;
を含む、方法。
【請求項16】
適切なコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるとき、請求項15に記載の方法におけるステップを実施するように適合されているコンピュータ・プログラム・コードを含む、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフィック表現に関し、詳しくは、アバターとしても知られる、ユーザーのグラフィック表現に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、負傷又は身体障害(例えば発作による)に苦しんだ人々のリハビリテーションにおいて援助するシステムを開発するための試みがされている。特に、理学療法士又は他の専門家の立会いを必要とせずに、ユーザーが特定の運動を実施するように指示し、ユーザーの異なる部分の動作を監視し、そのユーザーの動作に関するフィードバックをそのユーザーに供給するシステムを提供する試みがされている。当然のことながら、これらのシステムは、そのユーザーに効果的な療法を提供することを援助するように、理学療法士又は他の専門家の出席のもとにおいても使用することができる。
【0003】
通常、ユーザーは、基本的な運動を実施するのに多くの時間を費やす。これは、ユーザーらが実行する必要のある基本的な運動と彼ら/彼女らが取り戻したい日常の活動との間の関係を理解することが難しいため、彼ら/彼女らに失望をもたらす。この関係を理解せずには、ユーザーは、その基本的な運動を実行することにおける動機を失う。
【0004】
ユーザーが基本的な運動を実施するように動機付けるためには、そのユーザーは、基本的な運動と最終的なゴールとの間の関係を理解するべきである。発作で苦しんだユーザーは、しばしば、身体的な問題とともに認識的な問題も有することから、基本的な運動と最終的なゴールとの間のつながりを、直感的な方法で提示することが望ましい。
【0005】
そのユーザーへのフィードバック及び指示は、少なくとも部分的にディスプレイ装置におけるそのユーザーのグラフィック表現によって提供することができる。このグラフィック表現は、ユーザーが、彼ら/彼女らの動作及び姿勢が正しいかどうかを見ることが出来るように、ユーザーのコンピュータ生成画像を供給することができる。そのグラフィック表現は、そのユーザーが、彼ら/彼女ら自身の動作を異なる視点(例えば、そのグラフィック表現は鏡像、真の画像(非鏡像)、横側からの光景などであってよい)から見ることが可能であるという利点を提供する。これらのグラフィック表現は、しばしばアバターとして知られている。
【0006】
ユーザーの身体の部分は、その身体の部分の位置及び動作をワールド座標系において測定する動作センサー(加速度計、磁気探知器及びジャイロスコープなど)を含むそれぞれのセンサー・ユニットによって監視される。通常、少なくとも5個のセンサー・ユニットが必要とされ、ユーザーの胸部及び上腕及び前腕にそれぞれ付着される。これは、そのアバターが、そのユーザーの上半身の動作及び姿勢を表すことを可能にする。
【0007】
さらなるセンサー・ユニットが、そのアバターがユーザーの全身を表すことを可能にするように足に付着されてもよい。明らかに、ユーザーの身体に配置されるセンサー・ユニットが多いほど、そのアバターはより正確になる。
【0008】
しかし、そのディスプレイ装置の方向又は位置の知識を有さないセンサー・ユニット・データから、そのユーザーのグラフィック表現を生成するアルゴリズムにおいて問題が生じる。それは、例えば、バーチャル・ミラーなどのディスプレイ装置を(ユーザーがそのディスプレイ装置に向かい合うときに、そのユーザーのグラフィック表現がそのユーザーの方を向くように)使用することが難しいということである。
【0009】
如何なるアクションも取らない場合、この望ましい状況は、そのディスプレイ装置の単一の配置に対してのみ得られる。図1は、この特定の配置の一例を示す。ここで、ユーザー2がディスプレイ装置4に向かい合っている。そのユーザーは、北を向いており、ディスプレイ装置4のディスプレイ・スクリーン5は、東西軸に沿って方向付けられ、ディスプレイ・スクリーン5は、南を向いている。多数のセンサー・ユニット6が、ユーザー2の位置及び動作を測定するために、そのユーザー2に付着している。
【0010】
グラフィック表現8を生成するアルゴリズムは、そのグラフィック表現8が、ユーザー2が北を向いているとき(センサー・ユニット6における磁気探知器によって測定されるように)、ディスプレイ装置4の中から外の方に向くように構成される。
【0011】
しかし、図2に示されるように、そのディスプレイ装置4が東西軸に沿って方向付けられていない場合、同じアルゴリズムを使用して生成されるグラフィック表現8は、ユーザー2の鏡像とはならない。
【0012】
特に、ディスプレイ装置4は、そのディスプレイ・スクリーン5が西を向いて南北軸に沿って方向付けられる。そのユーザー2がそこで東を向くと、そのアルゴリズムは、ディスプレイ・スクリーン5において左に回転した(すなわち南を向いた)グラフィック表現を生成する。
【0013】
この問題は、センサー・ユニット6における磁気探知器(あるいは電子コンパスとしても知られる)によって固定されたワールド座標系において測定されるユーザー2の方向から生じる。
【0014】
この問題を対処するための1つの方法は、そのグラフィック表現8のコンパス回転を手動で設定するための制御を供給することである。
【0015】
もう1つのオプションは、ディスプレイ装置4の方向又は位置に関してそのアルゴリズムを較正することである。通常、これは、ユーザー2がディスプレイ装置4に向かい合うようにし、そのアルゴリズムを較正するようにセンサー・ユニット6からの方向(磁気探知器)測定を使用することによってされる。この初期の測定がされた後においてのみ、そのグラフィック表現8を、ディスプレイ・スクリーン5に正しく表示することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、手動のアクション又はユーザーによる較正を必要としない、この問題に対する解決策を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1態様に従って、ディスプレイ装置に対してコントローラが供給され、そのコントローラは、そのディスプレイ装置のユーザーの方向表示を受信し;そのディスプレイ装置の方向表示を受信し;且つ、受信した表示を使用して、ユーザーのグラフィック表現の方向が、ディスプレイ装置の方向に基づいてされるように、そのディスプレイ装置のユーザーのグラフィック表現を生成するように構成されたプロセッサを含む。
【0018】
望ましくは、そのプロセッサは、その受信したディスプレイ装置の方向表示によって与えられる角度で回転させられた、受信したユーザーの方向表示からグラフィック表現を生成するように構成される。
【0019】
よりさらに望ましくは、そのプロセッサは、受信したディスプレイ装置の方向表示によって与えられる角度で、グラフィック表現の垂直軸の周りを回転される受信したユーザーの方向表示からグラフィック表現を生成する。
【0020】
いくつかの実施形態において、そのプロセッサは、ユーザーがディスプレイ装置に表示されるときにそのユーザーの鏡像である、そのユーザーのグラフィック表現を生成するように構成されている。
【0021】
これらの実施形態において、そのプロセッサは、ディスプレイ装置によってグラフィック表現を表示する前に、そのグラフィック表現を鏡像化することが望ましい。
【0022】
望ましくは、それらの方向付けは、所定の方向に関してされる。望ましい実施形態において、その所定の方向は、磁北である。いくつかの実施形態において、それらの方向付けは、3次元においてなされる。
【0023】
さらなる実施形態において、そのプロセッサは、ユーザーの動作及び/又は姿勢表示を受信し、グラフィック表現が、そのユーザーの指摘される動作及び/又は姿勢に対応するようにそのグラフィック表現を生成するようにさらに構成されている。
【0024】
もう1つのさらなる実施形態において、そのプロセッサは、グラフィック表現がディスプレイ装置に表示されるときに、そのユーザーに対して動作及び/又は姿勢を実演するようにそのグラフィック表現を動かすようにさらに構成されている。
【0025】
これらの実施形態において、そのプロセッサは、複雑な動作を総合して形成する複数の基本的動作を実演するようにそのグラフィック表現を動かすように構成されているのが望ましく、各基本的動作は、そのユーザーのグラフィック表現における単関節の動作を含む。
【0026】
望ましくは、そのプロセッサは、第1及び第2グラフィック表現を生成するように構成されており、第1グラフィック表現は、複数の基本的動作を実演するように動かされ、第2グラフィック表現は、複雑な動作を実演するように動かされる。
【0027】
いくつかの実施形態において、そのプロセッサは、ユーザーの現時点の能力を望ましい能力に関して示すようにそのグラフィック表現を動かすように構成されている。
【0028】
本発明の第2態様は、ディスプレイ装置の方向を決定するセンサー及び上記に記載されたコントローラを含むディスプレイ装置を提供することである。
【0029】
望ましくは、そのセンサーは磁気探知器である。さらなる実施形態において、そのセンサーは、加速度計をさらに含む。
【0030】
本発明の第3態様は、ディスプレイ装置における表示のために、ユーザーのグラフィック表現を生成する方法を提供し、その方法は、そのディスプレイ装置のユーザーの方向表示を受信するステップ;そのディスプレイ装置の方向表示を受信するステップ;及びその受信した表示を使用して、そのユーザーのグラフィック表現の方向が、そのディスプレイ装置の方向に基づいて適合されるように、そのディスプレイ装置のユーザーのグラフィック表現を生成するステップを含む。
【0031】
本発明の第4態様は、適切なコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるとき、上記に記載された方法におけるステップを実施するように適合されたコンピュータ・プログラム・コードを含むコンピュータ・プログラム・プロダクトを提供する。
【0032】
本発明は、ここで、以下の図表を参照し、例としてのみ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1配置におけるユーザー及びディスプレイ装置を示す図である。
図2】第2配置におけるユーザー及びディスプレイ装置を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に従ってユーザー及びディスプレイ装置を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置のブロック図である。
図5】ユーザー及びディスプレイ装置の図である。
図6】本発明による方法におけるステップを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、リハビリテーション又は運動システムを参照して以下に記載されるが、本発明は、ユーザーのグラフィック表現又はアバターが、ワールド座標系において測定されたセンサー・データから生成される如何なるシステムにも適用できることが分かるであろう。例えば、本発明は、コンピュータ・ゲーム・コンソール又は汎用コンピュータに適用することができる。
【実施例】
【0035】
図3は、本発明に従って、ディスプレイ装置14を示す。以前のように、ユーザー2は、そのユーザー2の身体各部の位置及び動作を監視する多数のセンサー・ユニット6が備えられる。センサー・ユニット6によって集められるデータは、ディスプレイ装置14に無線送信される。望ましい実施形態において、センサー・ユニット6は、ユーザー2の動作を測定するための加速度計、及びそのユーザー2の方向を磁北に関して測定するための磁気探知器を含む。
【0036】
代替の実施形態において、センサー・ユニット6は、ユーザー2を観測し、得られた画像からそのユーザー2の方向及び動作を決定するビジュアル追跡システムによって置き換えることができる。
【0037】
ディスプレイ装置14は、ユーザー2のグラフィック表現を含む画像を供給するディスプレイ・スクリーン16を有する。しかし、本発明に従って、ディスプレイ装置14は、ディスプレイ装置14(及び、従ってディスプレイ・スクリーン16)が向いている方向を測定する方向センサー20を備えている。望ましい実施形態において、その方向センサー20は、ディスプレイ装置14の方向を磁北に関して測定する。
【0038】
当然のことながら、ユーザー2又はディスプレイ装置14の方向は、如何なる適切なセンサー又はセンサー・システムを使用しても決定できる。例えば、代替の実施形態において、ユーザー2又はディスプレイ装置14の方向を、レーダー、ソーナー(sonar)、ドップラー又はポテンショメーター(potentiometer)を使用して決定することが可能である。
【0039】
従って、ディスプレイ装置14の方向がセンサー20の方向から知られていることから、グラフィック表現18を生成するために使用されるアルゴリズムは、ユーザー2のグラフィック表現18をセンサー・ユニット6からのデータから生成することができ、その生成されたグラフィック表現18を、ユーザー2に表示するために、表示されるグラフィック表現18が必要とされる方向を向くように、その生成されたグラフィック表現18を回転させる。
【0040】
例えば、アルゴリズムがユーザー2の鏡像であるユーザー2のグラフィック表現18(従って、例えばユーザー2がディスプレイ装置14の方を向いており、そのユーザー2の左腕の動作がアバター18の右腕の動作によって示されるときに、アバター18がユーザー2の方を向いている)を生成することになっている箇所において、そのアルゴリズムは、センサー・ユニット6からのデータからグラフィック表現18を生成し、そのグラフィック表現18を、決定されたディスプレイ装置14の方向を使用して回転させ、表示されたグラフィック表現18がユーザー2の鏡像であるように、そのグラフィック表現18を垂直軸に関して鏡像化する。
【0041】
代替の実施形態において、そのアルゴリズムは、ユーザー2の鏡像でないグラフィック表現(例えば、カメラがディスプレイ装置14に搭載されていないかのような)を供給するか、又はユーザー2の他の任意の望ましい方向(例えば、アバター18がユーザー2を横側から示してもよい)を、ディスプレイ装置14の測定された方向を使用して供給することができる。
【0042】
従って、ディスプレイ装置14の方向に関わらず(磁北に関して)、本発明は、ディスプレイ装置14に示されるアバター18を、それが必要とされる方向を向くように供給する。
【0043】
図4は、ディスプレイ装置14をさらに詳しく示す。ディスプレイ装置14は、そのディスプレイ装置14の方向を制御し、センサー・ユニット・データからグラフィック表現18を生成するためのコントローラ22を含む。そのコントローラ22は、方向センサー20(この実施形態では磁気探知器)からディスプレイ装置14の方向表示を受信し、ユーザー2からアンテナ24及びトランシーバ又は受信回路26を通して、センサー・ユニット・データを受信する。コントローラ22は、また、ディスプレイ・スクリーン16へグラフィック表現18に関する画像データを供給する。
【0044】
当然のことながら、代替の実施形態において、グラフィック表現18は、ディスプレイ装置14とは分離しているコントローラ又はプロセッサによって生成することができる。
【0045】
ユーザー2のグラフィック表現18を適合させることにおけるコントローラ22の操作は、ここで、図5及び6を参照してより詳しく記載される。
【0046】
図5において、ユーザー2は、磁北に関して角度θをなして方向付けられて示されている(θはユーザー2が北を向いているとき0であり、ユーザー2が反時計回りに回転するとプラスであり、ユーザー2が時計回りに回転するとマイナスである)。ディスプレイ装置14は、磁北に関して角度φをなして方向付けられて示されている(φはθと同じ方法で定義される)。
【0047】
角度αもまた、θ-φとして定義される。コントローラ22は、グラフィック表現18の方向を決定するためにαを使用する。αが0であるとき、コントローラ22は、グラフィック表現18を、それがディスプレイ装置14の中の方へ向いているように(すなわちユーザー2の背中がグラフィック表現18によって示される)、グラフィック表現18を生成する。
【0048】
コントローラ22もまた、αがプラスであるとき、グラフィック表現18が角度αによって垂直軸に関して反時計回りに回転し(すなわち、ユーザー2のグラフィック表現18が左に回転する)、αがマイナスであるとき、グラフィック表現18が角度αによって垂直軸に関して時計回りに回転する(すなわち、ユーザー2のグラフィック表現18が右に回転する)ように構成される。
【0049】
従って、図3に示される例において、角度θは0(ユーザー2が北を向いている)であり、角度φは180°(ディスプレイ装置14は南を向いている)であることから、αは180°である。よって、コントローラ22は、グラフィック表現18がディスプレイ装置14から外へとユーザー2の方向に向くように、それを180°回転させる。
【0050】
ユーザー2の鏡像を生成するために、その回転させられたグラフィック表現18は、コントローラ22によって垂直軸に関して反転させることが出来る。
【0051】
図6のステップ101において、ユーザーの方向の測定は、磁北に関して角度θを単位として、センサー・ユニット6からそのユーザーの身体の姿勢及び位置の測定とともに得られる。
【0052】
ステップ103において、ディスプレイ装置の方向の測定は、磁北に関して角度φを単位として、磁気探知器20から得られる。
【0053】
ステップ105において、そのユーザーのグラフィック表現は、センサー・ユニット6からの測定から生成される。
【0054】
ステップ107において、そのグラフィック表現は、それがディスプレイ・スクリーンに表示されるとき、望ましい方向を向くように、角度θ-φによって垂直軸の周りを回転させられる。
【0055】
ステップ109において、その鏡像は、回転したグラフィック表現を垂直軸の周りで反転させる又は鏡像化することによって得られる。
【0056】
ステップ111において、回転した及び反転した/鏡像化されたグラフィック表現は、ディスプレイ・スクリーンに表示される。
【0057】
ステップ105、107及び109は、コントローラが望まれる回転した及び反転した/鏡像が映された配向においてグラフィック表現を生成する単一のステップに組み合わせることが可能であることが分かるはずである。
【0058】
また、当然のことながら、上記に記載されたいくつかの実施形態において(特に、磁気探知器又は電子コンパスが使用される実施形態)、本発明は、主に、ユーザー2及びディスプレイ装置14の垂直軸に関する方向付けに関する。しかし、当然のことながら、本発明は、ユーザー2及び/又はディスプレイ装置14の任意の3次元の方向付けに対してグラフィック表現18を適合させるために使用することもできる。従って、これらの実施形態において、ユーザー2及びディスプレイ装置14の方向を3次元において測定することが必要である。これは、例えば、その方向を磁北に関して測定するための磁気探知器及び垂直に関して方向(重力によって与えられる)を測定するために加速度計を使用することによってされる。その代わりに、3Dカメラ追跡システムが、ユーザー2の方向を識別することができる。
【0059】
本発明のさらなる実施形態において、表示されたアバター18は、どのように基本的な動作(例えば、単一の関節の動作を含む)が、複雑な動作を形成するために組み合わせられるかを示すために使用することができる。従って、アバター18がこの方法で使用されるとき、そのアバター18は、ユーザー2の真の描写ではなくなり、必ずしもセンサー・ユニット6からのデータの全てを使用して形成されない。しかし、表示されたアバター18は、いまだにユーザー2の方向に対応するように方向付けられる(従って、そのアバターは、いまだに、例えばユーザー2が向いている方向を鏡像化する)。
【0060】
さらに、そのアバター18は、複雑な動作のどの部分が、ユーザーが実施することができるか、及びどの部分が、そのユーザーがいまだに練習する必要があり、改善の必要があるかを示すために使用することができる。この実施形態において、コントローラ22は、そのユーザー2の以前のパフォーマンスにおけるデータをメモリから取得することができ、それに応じてグラフィック表現18を生成し、動かすことができる。アバター18は、また、基本的な運動におけるそれらの進み具合が、それらの複雑な日常の動作をする能力を改善することに貢献するかをそのユーザー2に示すためにも使用することができる。
【0061】
1つの実施形態において、コントローラ22は、アバター18を動かし、ユーザー2に完全な複雑な動作を示し、次にその複雑な動作を構成する別々の基本的な動作を示す。
【0062】
代替の実施形態において、コントローラ22は、所定の如何なる時間においても少なくとも2つのアバター18を表示することができ、第1アバター18は、完全な複雑な動作を示し、第2アバター18は、特定の基本的な動作を示す。その2つのアバター18は、その特定の基本的な動作を示しているアバター18が、他方のアバター18によって示される複雑な動作の対応する部分の間にだけ動くように、同期化することができる。
【0063】
1つの実施形態において、アバター18は、それらの現在の進み具合についてユーザー2に説明するために使用することができる。例えば、そのアバター18は、それらが実施することのできる複雑な動作の部分をユーザー2に示し、どの部分がさらなる練習が必要あるかを示すことが出来る。
【0064】
これは、例えば、ユーザー2が出来る複雑な動作の部分を色でハイライトすることによって、つまり、ユーザー2が出来る複雑な動作の部分に対して1つの色(例えば、緑)を使用し、ユーザー2が実施できないことから、さらなるトレーニングが必要な部分に対して対比色(例えば、赤)を使用することによって達成される。
【0065】
その代わりに、アバター18は、完全な複雑な動作のどのくらいをユーザー2が実施することが可能であるか、すなわち、アバター18がその完全な複雑な動作のシーケンスを、ユーザー2が出来る程度までだけを描く(すなわち、ユーザー2が実施可能な部分及びそのユーザー2が実施可能な動作の範囲)。この実施形態において、2つのアバター18を示すことが可能であり、一方は完全な複雑な動作を示し、他方は、そのユーザーの現在の能力を示す。
【0066】
一例として、ナイフ又はフォークで食べるなどの複雑な動作は:
1)ナイフ及びフォークに手を伸ばす‐これは、肩の上昇/前突、肘の屈曲/伸張、指の開き、肩の耐屈曲、肘のさらなる伸張、及び把握幅の較正を必要とする。
2)ナイフ及びフォークをつかむ‐これは、静止した肩及び肘領域、尺骨偏位、指を反対側の親指に閉じる手首、把握幅の較正(親指の屈曲)を必要とする。
3)ナイフ及びフォークを持ち上げる‐これは、静止した肩、肘の屈曲、手首の動作及び把握幅の較正を必要とする。
4)プレート上で食べ物を動かし、食べ物を口までの距離の4分の1まで持ち上げる‐これは、肩の小さな内転、肘の静止/屈曲/伸張、及び把握、手首を回外させ、肘を回内させることを必要とする。
5)食べ物を口へ持っていく‐これは、肩の小さな上昇及び肘の屈曲/伸張、肘及び手首の動作を回外させ、回内させる、及び把握幅を較正することを必要とする。
【0067】
従って、ディスプレイ装置の一および方向に関係なく、ユーザーのグラフィック表現の表示を可能にするシステム及び方法が、提供される。さらに、ユーザーが特定の運動プログラムを続けることを動機付けるアバターを供給できるシステム及び方法が提供される。
【0068】
本発明は、図表及び上記の記載において詳しく説明され記載されてきたが、一方、そのような説明及び記載は、例証的又は模範的であり、限定的として見なすべきではない;本発明は、開示される実施形態に限定されない。
【0069】
開示された実施形態の変化形は、当業者が、図表、本開示、及び添付の請求項の研究から、請求項に係る発明を実施する際に理解し、有効化することができる。請求項において、「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数を表す用語は、複数を除外しない。
【0070】
単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項において列挙されるいくつかの事項の機能を満たしてもよい。一定の測定が相互的に異なる従属項において列挙されているという単なる事実は、これらの測定の組み合わせを有利に使用することはできないことは示さない。請求項における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈するべきではない。コンピュータ・プログラムは、光学式記憶媒体又は他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される固体媒体などの適切な媒体に保存/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線の通信システムを通すなど、他の形において分配されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6