(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の供給部材に対向して配置され、前記第1の供給部材が担持する現像剤の帯電を補助する帯電補助部材をさらに備えたことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の現像装置。
前記第1の供給部材と前記第2の供給部材とが、両者の対向部において、互いの表面がほぼ等速度で移動するように回転することを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の実施の形態.
まず、本発明の第1の実施の形態における現像装置100の構成について説明する。
図1は、現像装置100の構成を示す断面図である。現像装置(プロセスユニットとも称する)100は、そのケーシング101の内部に、静電潜像担持体としての感光体ドラム3を有している。感光体ドラム3は、表面に感光体層を備えたドラム状の部材であり、図中反時計回り方向に回転する。
【0011】
なお、この現像装置100は、感光体ドラム3を内蔵する「ドラム一体型構造」を有しているが、このような構造には限定されない。現像装置が感光体ドラムと別体で構成される場合には、感光体ドラム3を含むユニット全体をプロセスユニット(または画像形成ユニット)と称し、静電潜像を現像する役割を担う部分(後述するトナー収容部12から現像ローラ1までの部分)を現像装置と称する。
【0012】
感光体ドラム3の表面に対向するように、感光体ドラム3の表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ4と、感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ1と、感光体ドラム3の表面に残留したトナーを掻き取るクリーニング部材としてのクリーニングブレード9とが配置されている。帯電ローラ4、現像ローラ1およびクリーニングブレード9は、感光体ドラムの回転方向に沿って、この順で配置されている。
【0013】
ここでは、帯電ローラ4およびクリーニングブレード9は、感光体ドラム3の表面に上方から当接している。また、現像ローラ1は、感光体ドラム3の表面に側方(
図1における右側)の斜め下から当接している。
【0014】
現像ローラ1は、感光体ドラム3とは反対の方向(ここでは図中時計回り)に回転する。すなわち、現像ローラ1と感光体ドラム3とは、互いの対向部において、同方向(順方向)に移動するようにそれぞれ回転する。帯電ローラ4も、感光体ドラム3とは反対の方向(ここでは図中時計回り)に回転する。
【0015】
現像ローラ1に対向するように、現像剤規制部材としての現像ブレード6が配置されている。現像ブレード6は、現像ローラ1の表面に形成されるトナーの薄層(後述)の厚さを規制するものである。
【0016】
また、現像ローラ1に非接触で対向するように、第1の供給部材としてのトナー供給ローラ2が設けられている。トナー供給ローラ2は、現像ローラ1の略下方に位置している。現像ローラ1の回転方向において、トナー供給ローラ2は、現像ブレード6よりも上流側で、且つ、感光体ドラム3よりも下流側に位置している。
【0017】
トナー供給ローラ2は、現像ローラ1とは同方向(ここでは図中時計回り)に回転する。すなわち、トナー供給ローラ2と現像ローラ1は、互いの対向部において、逆方向に移動するようにそれぞれ回転する。
【0018】
トナー供給ローラ2に接触するように、第2の供給部材としての補助供給ローラ10が設けられている。補助供給ローラ10は、トナー供給ローラ2の下方に位置している。補助供給ローラ10は、トナー供給ローラ2とは反対の方向(ここでは図中反時計回り)に回転する。すなわち、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2とは、互いの対向部において、同方向に移動するようにそれぞれ回転する。
【0019】
この補助供給ローラ10は、ケーシング101の下部に配置されており、このケーシング101の下部には、現像剤としてのトナーが堆積する。ケーシング101の下部は、トナー(現像剤)11を保持する現像剤保持部102と称する。
【0020】
ケーシング101内の現像剤保持部102にトナー11を補給するため、ケーシング101の上部には、現像剤収容部としてのトナー収容部12が設けられている。トナー収容部12は、その内部にトナー11を収容する収容器(例えばトナーカートリッジ)である。トナー収容部12の下部には、トナー11をケーシング101内(現像剤保持部102)に供給するための現像剤補給口としてのトナー補給口12aが形成されており、このトナー補給口12aを開閉するためのシャッタ12bが設けられている。
【0021】
また、現像ローラ1に対向するように、現像ローラ1の表面に残留したトナー(感光体ドラム3上の静電潜像の現像に使用されなかったトナー)を回収する現像剤回収部材としてのトナー回収ブラシローラ5が配置されている。現像ローラ1の回転方向において、トナー回収ブラシローラ5は、トナー供給ローラ2よりも上流側で、且つ、感光体ドラム3よりも下流側に位置している。
【0022】
このトナー回収ブラシローラ5に対向するように、トナー回収ブラシローラ5が担持したトナーを弾き飛ばすフリッカ部材としてのトナー回収ブラシ用フリッカ8が配置されている。
【0023】
また、トナー供給ローラ2に非接触に対向するように、トナー供給ローラ2の表面のトナーを帯電させる帯電補助部材としての鋸歯電極7が配置されている。トナー供給ローラ2の回転方向において、鋸歯電極7は、補助供給ローラ10よりも下流側で、現像ローラ1よりも上流側に位置している。
【0024】
ケーシング101の下部(すなわち現像剤保持部102)には、トナー11を撹拌し、搬送する撹拌部材13a,13b,13c,13dが設けられている。撹拌部材は、例えばクランク形状を有する金属製のバーであり、複数の(ここでは4つ)の撹拌部材13a,13b,13c,13dが、それぞれの軸方向が現像ローラ1の軸方向と平行になるように配置されている。
【0025】
さらに、ケーシング101の現像剤保持部102内におけるトナーレベル(トナー11の上面レベル)11aを検知するため、検知部としてのトナー残量検知バー14が設けられている。トナー残量検知バー14は、クランク形状を有する金属製のバーであるが、詳細については後述する。
【0026】
図2(A)は、現像装置100の各ローラ間のニップ量およびギャップ量を示す模式図である。
図2(A)に示すように、現像ローラ1とトナー供給ローラ2とのギャップd1は、0.25mmである。トナー供給ローラ2と鋸歯電極7の先端部とのギャップd2は、1.5mmである。
【0027】
現像ローラ1とトナー回収ブラシローラ5とは互いに接しており、ニップ量d3は0.5mmである。また、トナー回収ブラシローラ5とトナー回収ブラシ用フリッカ8とは互いに接しており、ニップ量d4は0.5mmである。トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とは互いに接しており、ニップ量d5は0.5mmである。なお、ニップ量とは、2つのローラの中心間距離から、それぞれのローラ半径の合計を引いた量である。
【0028】
図2(B)は、現像装置100のトナー供給ローラ2と周囲のローラとの位置関係を説明するための模式図である。
図2(B)において、トナー供給ローラ2と鋸歯電極7との対向する部分(対向部)を符号Aで示し、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部を符号Bで示す。また、トナー供給ローラ2とトナー回収ブラシローラ5との対向部を符号Cで示し、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10との対向部を符号Dで示す。
【0029】
トナー供給ローラ2の回転方向において、トナー供給ローラ2と鋸歯電極7との対向部Aは、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部Bよりも上流側である。また、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部Bは、トナー供給ローラ2とトナー回収ブラシローラ5との対向部Cよりも上流側である。
【0030】
また、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ
10の、互いの対向部Dでの移動方向(
図2(B)に矢印αで示す)は、トナー回収ブラシローラ5が配置された側(図中右側)からトナー収容部12(
図1)が配置された側(図中左側)に向かう方向である。
【0031】
また、上記の対向部A,B,Dを含む領域Eに対して外側(ここでは水平方向において外側)に、
図1に示したトナー収容部12からトナーが補給される部分(トナー補給口12a)が位置している。
【0032】
図3は、現像装置100の駆動伝達部38の構成を示す模式図である。上述した感光体ドラム3、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10およびトナー回収ブラシローラ5の軸部には、それぞれ、感光体ドラムギア3G、現像ローラギア1G、トナー供給ローラギア2G、補助供給ローラギア10Gおよび回収ローラギア5Gが取り付けられている。
【0033】
駆動モータ27(
図8)に取り付けられたモータギア27bは、感光体ドラムギア3Gと噛み合っている。感光体ドラムギア3Gは、現像ローラギア1Gと噛み合っている。現像ローラギア1Gは、アイドルギア38Gおよび回収ローラギア5Gと噛み合っている。アイドルギア38Gは、トナー供給ローラギア2Gと噛み合っており、トナー供給ローラギア2Gは、補助供給ローラギア10Gと噛み合っている。
【0034】
このように構成されているため、駆動モータ27の回転(駆動力)は、感光体ドラム3、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10およびトナー回収ブラシローラ5に伝達され、これらがそれぞれ矢印で示した方向に回転する。
【0035】
また、
図1に示した撹拌部材13a,13b,13c,13dは、駆動伝達部38から更にギア列を介して駆動力が伝達され、例えば
図1に示す時計回りに回転する。
【0036】
図4は、
図1に示したトナー残量検知バー14の端部の形状を示す斜視図である。
図5は、トナー残量検知バー14を含むトナー残量検知機構200の構成を示す図である。トナー残量検知バー14は、その回転軸方向の端部に位置する軸部14aと、
軸部14aから屈曲して回転半径方向に延在する半径部14bと、トナー残量検知バー14の回転軸方向の中央に位置して回転軸方向に延在する中央部14cとを有している。
【0037】
トナー残量検知バー14の軸部14aは、トナー残量検知バー14を回転させるギア28に嵌め込まれている。なお、ギア28の回転に対しては、トナー残量検知バー14は自由である。
【0038】
ギア28には、トナー残量検知バー14の半径部14bに当接する当接部28aが取り付けられている。当接部28aは、L字状の断面を有し、トナー残量検知バー14の回転軸の方向に所定の長さを有している。
【0039】
ギア28は、
図3に示した駆動モータ27の駆動力が、駆動伝達部38および図示しないギア列により伝達され、感光体ドラム3の回転と共に、
図4に矢印で示す方向に一定速度で回転する。ギア28が回転すると、当接部28aがトナー残量検知バー14を回転方向に付勢し、トナー残量検知バー14がギア28と同方向に回転する。
【0040】
ギア28の回転速度は、トナー残量検知バー14がその回転軌跡の頂点から自重で下方に回転する(落下する)速度よりも遅く設定されている。
【0041】
図5に示すように、トナー残量検知バー14の両端の軸部14aのうち、ギア28が取り付けられた側と反対側の軸部14aは、現像装置100の外部に突出している。現像装置100の外部に突出した軸部14aの先端には、被検知部材としての反射板29が固定されている。反射板29は、トナー残量検知バー14の回転と共に回転する。
【0042】
この反射板29は、レーザー光を反射できるものが望ましく、本実施の形態では鏡を用いる。また、後述する画像形成装置300の本体には、レーザー光30aを出射する発光素子30と、この発光素子30から出射されて反射板29で反射された反射光31aを受光する受光素子31とが備えられている。
【0043】
図6は、
図5に示したトナー残量検知機構200を、矢印L方向から見た図である。
図6に示すように、発光素子30と受光素子31は、反射板29が回転軌跡の頂点29Tから底29Bへ移動する際に、これらの中間点29Mを通過している間のみ、発光素子30から出射された光30aの反射光31aを受光素子31が受光できるように配置されている。
【0044】
次に、第1の実施の形態における現像装置100を備えた画像形成装置300について説明する。
【0045】
図7は、画像形成装置300の基本構成を示す図である。画像形成装置300は、電子写真プリンタである。画像形成装置300は、その本体301の下部に、印刷用紙等の媒体18を収容する媒体収容部302(例えばトレイ)を有している。
【0046】
媒体収容部302に収容された媒体の表面に接するように、給紙手段としての搬送ローラ19aが配置されている。搬送ローラ19aは、後述する搬送モータ26によって回転駆動され、媒体収容部302に収容された媒体18を一枚ずつ繰り出す。
【0047】
搬送ローラ19aに隣接して、搬送ローラ19aによって媒体収容部302から繰り出された媒体18をさらに搬送する搬送手段としての搬送ローラ対19bが配置されている。ここでは、搬送ローラ対19bは、媒体収容部302から繰り出された媒体18を、斜め上方(図中右上方向)に搬送する。
【0048】
媒体18の搬送方向において搬送ローラ対19bの下流側には、上述した現像装置100が配置されている。また、媒体18を挟んで現像装置
100の感光体ドラム3と対向するように、転写部材としての転写ローラ16が配置されている。転写ローラ16は、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像(現像剤像)を媒体18に転写するものである。
【0049】
また、現像装置
100の感光体ドラム3に対して、転写ローラ16と反対の側には、露光装置としてのLEDヘッド15が配置されている。LEDヘッド15は、感光体ドラム3の表面の感光層をイメージデータに応じて露光して、静電潜像を形成するものである。
【0050】
媒体18の搬送方向において現像装置100の下流側には、定着手段としての定着器17が配置されている。定着器17は、トナー像が転写された媒体18を加圧・加熱することにより、トナー像を媒体18に定着させるものであり、トナーを溶融させるため熱源(ヒータ)および温度を検出する温度センサ等を備えている。
【0051】
媒体18の搬送方向において定着器17の下流側には、トナー像が定着した媒体18を装置外に排出する排出手段としての搬送ローラ対19cが配置されている。また、画像形成装置300の上部には搬送ローラ対19cによって排出された媒体18を載置するスタッカ部19dが設けられている。
【0052】
図8は、画像形成装置300の制御系を示すブロック図である。画像形成装置300の制御を司る印刷制御部20は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等によって構成されている。印刷制御部20は、パーソナルコンピュータ等の上位装置50から送られた印刷データおよび制御コマンドに基づき、画像形成装置300のシーケンスを制御して、画像形成動作を実行する。
【0053】
インターフェース(I/F)制御部21は、インターフェースコネクタ、インターフェース用IC等を有し、上位装置50から送られた印刷データや制御コマンドを受信し、印刷制御部20に転送する。
【0054】
受信メモリ22は、上位装置50からインターフェース制御部21を介して入力された印刷データを一時的に記録する。画像データ編集メモリ23は、受信メモリ22に記録された印刷データを受け取ると共に、その印刷データを編集処理して生成された画像データ、すなわちイメージデータを記録する。
【0055】
操作部24は、画像形成装置300の状態を表示するための表示部(例えばLED)と、画像形成装置300に対する操作者の指示を入力するための入力部(例えばスイッチ、表示部等を含むもの)とを有している。
【0056】
センサ群25は、画像形成装置300の動作状態を監視するための各種のセンサ、例えば媒体位置検出センサ、温度・湿度センサ、印刷濃度センサ、トナー残量検知センサ等を含む。
【0057】
タイマ32は、発光素子30から出射されて反射板29で反射された反射光31aを受光素子31が検出する時間を計測するタイマである。
【0058】
帯電ローラ用電源4aは、印刷制御部20の指示に基づき、感光体ドラム3の表面を一様に帯電させるための帯電ローラ4に所定の帯電電圧を印加する。現像ローラ用電源1aは、感光体ドラム3上の静電潜像を現像するための現像ローラ1に所定の現像電圧を印加し、また、現像ブレード6にも所定の電圧を印加する。
【0059】
トナー供給ローラ用電源2aは、現像ローラ1にトナー11を供給するためのトナー供給ローラ2に所定の電圧を印加する。補助供給ローラ用電源10aは、トナー供給ローラ2にトナーを供給し、且つトナー11を帯電させるための補助供給ローラ10に所定の電圧を印加する。
【0060】
トナー回収ブラシローラ用電源5aは、現像ローラ1からトナー11を回収するためのトナー回収ブラシローラ5に所定の電圧を印加する。鋸歯電極用電源7aは、トナー11を帯電させるための鋸歯電極7(帯電補助部材)に所定の電圧を印加する。転写ローラ用電源16aは、感光体ドラム3上のトナー像を媒体18に転写するための転写ローラ16に所定の転写電圧を印加する。
【0061】
なお、帯電ローラ用電源4a、現像ローラ用電源1a、トナー供給ローラ用電源2a、補助供給ローラ用電源10a、トナー回収ブラシローラ用電源5a、鋸歯電極用電源7aおよび転写ローラ用電源16aは、印刷制御部20の指示により、印加する電圧を変更することができる。
【0062】
ヘッド駆動制御部15aは、画像データ編集メモリ23に記録されたイメージデータをLEDヘッド15に送り、そのLEDヘッド15を駆動する。
【0063】
定着制御部17aは、媒体18に転写されたトナー像を当該媒体18に定着するために、定着器17のヒータに電圧を印加する。具体的には、定着制御部17aは、定着器17に設けられた温度センサのセンサ出力を読み込み、当該センサ出力に基づいてヒータに通電して、定着器17を一定の温度に保つように制御を行う。
【0064】
搬送モータ制御部26aは、印刷制御部20の指示に基づき、媒体18を搬送するための搬送モータ26を制御する。これにより、媒体収容部302に収容した媒体を搬送ローラ19aによって一枚ずつ搬送路に繰出し、搬送ローラ対19bによって現像装置100を通過させ、搬送ローラ対19cによって装置外に排出する。
【0065】
駆動制御部27aは、感光体ドラム3を回転させるための駆動モータ27を制御する。駆動モータ27が回転すると、上述した駆動伝達部38により、感光体ドラム3、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10、トナー回収ブラシローラ5、撹拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14がそれぞれ回転する。
【0066】
シャッタ駆動制御部(補給制御部)12cは、トナー収容部12のシャッタ12bの開閉動作を制御する。シャッタ駆動制御部12cは、ケーシング101内のトナーレベル11a(
図1)を、トナー残量検知機構200により検知し、ケーシング101内のトナー残量が少なくなったとき、シャッタ12bを開き、トナー収容部12からケーシング101内にトナーを補給する制御を行う。
【0067】
次に、第1の実施の形態における現像装置100の好ましい動作条件について説明する。ここで説明する動作条件は、後述する印刷試験(
図17、
図18)の条件でもある。
【0068】
まず、トナー11について説明する。ここで使用したトナー11は、粉砕法で製造され、バインダとしてポリエステル樹脂を用いた非磁性一成分の負帯電性トナーである。トナー11の体積平均粒径は5.7μm、円形度は0.92、ブローオフ帯電量は−36μC/gである。
【0069】
体積平均粒径の測定には、ベックマンコールター株式会社製「コールターマルチサイザーII」を使用した。また、円形度の測定は、シスメックス株式会社製「フロー式粒子像分析装置FPIA−3000」を使用した。
【0070】
ブローオフ帯電量の測定は、京セラ株式会社製「粉体帯電量測定装置TYPE TB−203」を使用した。測定に当たっては、トナー0.5gと、パウダーテック株式会社製フェライトキャリア(F−60)9.5gとを混合し、30分攪拌した後、ブロー圧7.0kPa、吸引圧−4.5kPaの条件で飽和帯電量を測定した。
【0071】
次に、各ローラおよびブレードについて説明する。
図9は、現像ローラ1の断面構造を示す図である。現像ローラ1は、導電性を有する芯金33と、この芯金33の表面に形成された弾性層34と、弾性層34の表面に被覆された半導電性樹脂膜35とを有している。弾性層34は、例えば、シリコーンゴムやウレタンゴムなどの一般的なゴム材料で形成することができる。ここでは、弾性層34をシリコーンゴムで形成した。半導電性樹脂膜35は、トナー11への電荷付与性を考慮して、アクリル樹脂にカーボンブラック等を分散したものを用いた。
【0072】
弾性層34のゴム硬度は、アスカーC硬度で50〜80°程度が適当であり、ここでは、アスカーC硬度60°とした。
【0073】
現像ブレード6は、ステンレス(SUS)製であり、板厚は例えば0.08mmである。また、現像ブレード6の現像ローラ1との当接部には、曲げ加工が施されている。ここでは、曲げ部の曲率半径Rは0.18mmとし、現像ローラ1に対する線圧は35gf/cmとした。
【0074】
現像ローラ1の表面粗さおよび抵抗値は、現像ブレード6の条件と共に、現像ローラ1上に形成されるトナー層厚、トナー帯電量を決定する要因となる。ここでは、現像ローラ1の表面の十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)を2〜8μmとした。なお、表面粗さの測定は、小坂研究所製「サーフコーダSEF3500」で行った。測定器の触針半径は2μm、触針圧は0.7mN、触針の送り速さは0.1mm/secとした。
【0075】
また、現像ローラ1の抵抗値は、弾性層34と半導電性樹脂膜35を含めた測定で、1×10
6〜1×10
9Ωの範囲が好ましい。
図10は、現像ローラ1の抵抗値の測定方法を説明するための正面図(A)および側面図(B)である。現像ローラ1の抵抗値の測定装置36には、ヒューレット・パッカード株式会社製「ハイレジスタンスメータ(4339B)」を用いた。
【0076】
現像ローラ1の外周面に、幅2.0mm、直径6.0mmのステンレス(SUS)製のボールベアリング37を20gfの力で接触させ、芯金33とローラ表面(半導電性樹脂膜35)間の抵抗値を、測定装置36により測定した。ベアリング37は、現像ローラ1の軸方向の6箇所(
図10(A)に示すP1からP6まで)に設け、現像ローラ1を50rpmの速度で回転させながら測定した。P1からP6まで、それぞれ1周100ポイント、合計600ポイントで測定を行い、その平均値をローラの抵抗値とした。また、このときの現像ローラ1への印加電圧は、100Vとした。
【0077】
トナー供給ローラ2は、外径12.5mmのアルミニウム製のローラを用いた。トナー供給ローラ2の表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが1μm以下となるよう表面加工を行うことにより、トナー供給ローラ2表面からのトナーの離形性(すなわち現像ローラ1へのトナーの移り易さ)を確保した。
【0078】
トナー回収ブラシローラ5は、所望の抵抗値に調整された導電性繊維(ブラシ繊維)を織り込んだ生地を、導電性を有する芯金の周囲にスパイラル状に巻き付けて構成される。トナー回収ブラシローラ5の抵抗値は、
図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧50Vに対し、1×10
6〜1×10
8Ωの範囲が望ましい。トナー回収ブラシローラ5の抵抗値が上記の範囲より高くなると、ブラシ繊維に電荷が蓄積され、現像ローラ1上の未現像トナーを除電できなくなるためである。
【0079】
トナー回収ブラシローラ5のブラシ繊維の長さは3mm、繊度(太さ)は6デニール、植密度は75KF/インチ
2とした。また、ブラシ繊維の素材としては、アクリル(東レ株式会社製SA−7材)を使用した。
【0080】
トナー回収ブラシ用フリッカ8は、トナー回収ブラシローラ5が担持するトナー(すなわち現像ローラ1から回収したトナー)をブラシ繊維の弾性を利用して弾き飛ばす(飛翔させる)ために、トナー回収ブラシローラ5に当接するように配置される。
【0081】
トナー回収ブラシ用フリッカ8は、断面直径3mmの金属からなる円柱状のバーであり、
図2に示すように、トナー回収ブラシローラ5に対して0.5mm食い込むように押し込まれている。
【0082】
トナー回収ブラシ用フリッカ8の形状は、円柱に限らず、厚さが0.1mm程度の金属板でも良い。但し、金属板の先端にエッジを有していると、トナー回収ブラシローラ5のブラシ繊維が磨耗しやすくなるため、先端に曲げ加工を施して、その曲げ部分をトナー回収ブラシローラ5に当接するのが望ましい。
【0083】
補助供給ローラ10は、導電性を有する芯金の表面に、シリコーンゴムスポンジを設けたものである。シリコーンゴムスポンジは、未加硫のシリコーンゴムコンパウンドを押し出し等の方法で成形し、加熱により加硫発泡して得られる。
【0084】
シリコーンゴムコンパウンドは、ジメチルシリコーン生ゴム、メチルフェニルシリコーン生ゴム等の各種生ゴムに、補強性シリカ充填剤、加硫硬化に必要な加硫剤および発泡剤を添加して得られる。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム等の無機発泡剤、ADCA等の有機発泡剤が用いられる。また、半導電性を付与する場合は、アセチレンブラックやカーボンブラック等を添加する。
【0085】
ここでは、補助供給ローラ10のセル目(発泡により生じた微細な孔)の直径は、200〜500μmであり、アスカーF硬度は50〜80度の範囲とした。補助供給ローラ10の硬度は、加硫剤の添加量により調整可能である。
【0086】
補助供給ローラ10の抵抗値は、
図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧100Vに対し、1×10
7〜1×10
10Ωの範囲が望ましい。ここでは、1×10
9Ωとした。補助供給ローラ10の抵抗値が上記の範囲より低くなると、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2の間の電流値が大きくなり、所望の電圧を印加することが難しくなる。
【0087】
また、補助供給ローラ10は、
図1を参照して説明したように、トナー供給ローラ2と当接し、トナー供給ローラ2とは逆方向に回転するが、トナー供給ローラ2との当接部での摩捺によりトナーにダメージを与えないよう、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2とは、その当接部において表面がほぼ等速度で同方向に移動するように回転する。
【0088】
ここで、「ほぼ等速度」とは、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2と当接部における、補助供給ローラ10の表面の移動速度V10と、トナー供給ローラ2の表面の移動速度V2との差(V10−V2)が、V10の±10%以内であることを言う。
【0089】
図11は、鋸歯電極(帯電補助部材)7の形状およびトナー供給ローラ2との位置関係を示す模式図である。鋸歯電極7は、トナー供給ローラ2の軸方向に長い長尺状のステンレス(SUS)製の部材である。鋸歯電極7は、トナー供給ローラ2に向けて突出する複数の突起部7bを有している。これら複数の突起部7bは、鋸歯電極7の長手方向に沿って等間隔に配置されている。
【0090】
鋸歯電極7の突起部7bは、トナー供給ローラ2に非接触で対向するように配置されている。また、鋸歯電極7には鋸歯電極用電源7a(帯電補助部材用電源)が接続され、後述するようにバイアス電圧が印加されている。
【0091】
なお、本実施の形態における帯電補助部材は、鋸歯電極7に限定されるものではない。例えば、ウレタンフィルムやPETフィルムなどのように、フィルム形状の樹脂にカーボンブラックなどの導電剤を練り込んだものであってもよく、その表面をトナー供給ローラ2に軽接触させて電圧を印加することも可能である。
【0092】
なお、「軽接触」とは、摩擦によるトナーへのダメージを抑制するため、帯電補助部材をトナー供給ローラ2に接触させなかった場合に駆動モータ27にかかる負荷トルクをTa、帯電補助部材をトナー供給ローラ2に接触させた場合に駆動モータ27にかかる負荷トルクをTbとしたとき、(Tb−Ta)がTaの5%以下であることを言う。
【0093】
次に、
図1〜
図3および
図7,8を参照して、本実施の形態の画像形成装置300の画像形成動作について説明する。
【0094】
パーソナルコンピュータ等の上位装置50から印刷命令が入力されると、画像形成装置300の印刷制御部20は、駆動制御部27aを制御して駆動モータ27を駆動し、感光体ドラム3を
図1に示す矢印方向に一定の周速度で回転させる。駆動モータ27の駆動力は、さらに駆動伝達部38(
図2(A))により伝達され、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ブラシローラ5、補助供給ローラ10がそれぞれ矢印方向に回転する。
【0095】
また、駆動モータ27の回転は駆動伝達部38および図示しないギア列を経て、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14に伝達される。これにより、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14は、
図1に示す矢印方向に回転する。
【0096】
帯電ローラ4は、帯電ローラ用電源4aから帯電電圧(直流)が印加され、感光体ドラム3の表面に圧接された状態で従動回転する。これにより、感光体ドラム3の表面が均一に帯電する。
【0097】
次に、ヘッド駆動制御部15aの制御により、LEDヘッド15がイメージデータに基づいて光を出射し、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。
【0098】
感光体ドラム3の表面に形成された静電潜像は、後述する現像装置100によりトナー現像され、感光体ドラム3の表面にトナー像(現像剤像)が形成される。
【0099】
一方、画像形成装置300の媒体収容部302から、搬送ローラ19a,19bにより媒体18が一枚ずつ搬送され、現像装置100の感光体ドラム3と転写ローラ16との間の転写部に到達する。
【0100】
転写ローラ16は、転写ローラ用電源16aにより転写電圧が印加されており、感光体ドラム3の表面に形成されたトナー像が媒体18に転写される。
【0101】
トナー像が転写された媒体18は、定着器17に搬送される。定着器17では、媒体18に熱および圧力が加えられ、トナー11が溶融して媒体18の繊維間に浸透し、定着される。トナー像が定着した媒体18は、搬送ローラ19cによって画像形成装置300の外部に送出され、スタッカ部19dに積載される。
【0102】
また、トナー像が転写された後の感光体ドラム3の表面には、若干量のトナー11が残留する場合がある。この残留トナー11は、クリーニングブレード9によって書き取られ、除去される。このようにして感光体ドラム3は繰り返し利用される。
【0103】
次に、
図1および
図2を参照して、現像装置100の動作を詳細に説明する。現像装置100のケーシング101の下部(現像剤保持部102)には、トナー収容部12から補給されたトナーが堆積している。また、感光体ドラム3が回転すると、上述したように、現像ローラ1、トナー供給ローラ2、トナー回収ブラシローラ5、補助供給ローラ10、攪拌部材13a,13b,13c,13dおよびトナー残量検知バー14が、それぞれ
図1に示す矢印方向に回転する。
【0104】
このとき、補助供給ローラ10は、そのスポンジ表面およびセル目内にトナーを担持して、ケーシング101の下部(現像剤保持部102)のトナーを汲み上げるように回転し、トナー供給ローラ2との当接部(
図2(B)に示した対向部D)に到達する。
【0105】
トナー供給ローラ2には、トナー供給ローラ用電源2aにより、−300Vの直流バイアス電圧が印加され、さらに600V(ピークトゥピーク)の交流バイアス電圧が周波数2kHzの矩形波で印加されている。従って、トナー供給ローラ2には、0Vから−600Vまでのバイアス電圧(交流+直流)が印加されている。
【0106】
補助供給ローラ10には、トナー供給ローラ2から補助供給ローラ10に10μA程度の定電流が流れるように、補助供給ローラ用電源10aによって、実効値が−1kV〜−4kVとなるようなバイアス電圧が印加されている。具体的には、トナー供給ローラ2に印加されるバイアス電圧(交流+直流)に追従する電圧が、補助供給ローラ10に印加される。
【0107】
この場合、補助供給ローラ10に印加する交流電圧を、トナー供給ローラ2に印加する交流電圧と同じ周波数、同じピークトゥピーク電圧、且つ同じ位相とすることが望ましい。このようにすれば、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10の間の電界が振動しないため、安定した状態でトナー11を帯電させ、移動させることができるためである。なお、同位相とは、位相角が±10度以内であることを言う。
【0108】
上記のように、トナー供給ローラ2から補助供給ローラ10に電流(定電流)が流れるため、両ローラの当接部(対向部D)において、補助供給ローラ10からトナー供給ローラ2に向かって負電荷が移動する。このとき、負電荷は、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2との間に存在するトナー11を通過しながら移動する。
【0109】
従って、電流によってトナー11が帯電すると共に、補助供給ローラ10とトナー供給ローラ2との間の電界の作用および鏡像力によって、トナー11はトナー供給ローラ2の表面に付着する。このときのトナー11が保持する電荷量(トナー帯電量)は、−4〜−7μC/g程度である。
【0110】
トナー供給ローラ2の回転に従って、トナー供給ローラ2の表面に付着したトナー11は、鋸歯電極(帯電補助部材)7との対向部に到達する。鋸歯電極7には、トナー供給ローラ2との電位差が−1kVとなるように、トナー供給ローラ2の交流電圧に同期して、鋸歯電極用電源7aによりバイアス電圧が印加されている。
【0111】
この鋸歯電極7とトナー供給ローラ2との電位差により、鋸歯電極7の突起部7bの近傍で陰イオンが発生する。鋸歯電極7とトナー供給ローラ2との間の電界の作用により、陰イオンがトナー供給ローラ2の表面のトナー11に照射される。これにより、トナー11は、摩擦を生じることなく、さらに帯電する。このときのトナー11の帯電量は、−7〜−13μC/g程度である。
【0112】
さらに、トナー供給ローラ2の回転に伴って、トナー供給ローラ2の表面に付着したトナー11は、現像ローラ1との対向部B(
図2(B)参照)に到達する。現像ローラ1および現像ブレード6には、現像ローラ用電源1aにより直流バイアス電圧−200Vが印加されている。従って、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との間の電界は、+200vから−400Vまでの振動電界となる。この振動電界により、トナー供給ローラ2の表面のトナー11は、現像ローラ1に向けて移動(飛翔)する。
【0113】
現像ローラ1の表面に付着したトナーは、現像ブレード6により薄層化された後、静電潜像が形成された感光体ドラム3の表面に付着して、静電潜像を現像する。
【0114】
一方、静電潜像の現像に使用されずに現像ローラ1の表面に残ったトナー11は、現像ローラ1の回転により、現像ローラ1とトナー回収ブラシローラ5とのニップ部(現像剤回収領域としてのトナー回収領域)に到達する。トナー回収ブラシローラ5には、電源5aにより直流バイアス電圧−100Vが印加され、現像ローラ1との間の電界が+100Vの電位差で形成されている。
【0115】
従って、現像ローラ1とトナー回収ブラシローラ5とのニップ部では、トナー回収ブラシローラ5のブラシ繊維が湾曲しながらトナーを掻き取る作用と、電界による作用とによって、トナー11がトナー回収ブラシローラ5に移動して回収される。
【0116】
トナー回収ブラシローラ5とトナー回収ブラシ用フリッカ8との当接部では、トナー回収ブラシローラ5の回転に伴ってブラシ繊維がトナー回収ブラシ用フリッカ8に弾かれ、ブラシ繊維に保持されたトナーがトナー回収
ブラシローラ5の外部に弾き飛ばされて再びケーシング101内のトナー11として利用される。
【0117】
ここで、現像装置100のケーシング101内のトナーレベル(トナー11の上面レベル)の制御について、
図12から
図15を用いて説明する。
【0118】
上述したように、本実施の形態における現像装置100では、トナー供給ローラ2上のトナーを鋸歯電極7からのイオン照射によって効率よく帯電し、且つ現像ローラ1にスムースに(障害なく)移動させるためには、ケーシング101の下部(現像剤保持部102)に堆積したトナーが、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部Bや、鋸歯電極7とトナー供給ローラ2との対向部Aに到達せず、且つ、ケーシング101の下部に堆積したトナー11に補助供給ローラ10が十分に浸かっていることが望ましい。
【0119】
そのため、本実施の形態では、ケーシング101内のトナーレベル11aが、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部Bや、鋸歯電極7とトナー供給ローラ2との対向部Aよりも確実に下方で、かつ、補助供給ローラ10の回転中心以上の高さとなるように制御することができるよう、トナー残量検知バー14の回転中心を、
図1に符号Hで示す範囲内に設けた。
【0120】
なお、トナーレベル11aを、補助供給ローラ10の回転中心以上の高さとなるようにするのは、補助供給ローラ10が、自身の回転によりケーシング101内のトナー11を担持しやすくするためである。
【0121】
図12は、トナーレベル11aがトナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tより高い位置にある状態を示す模式図である。この状態では、トナー残量検知バー14の回転軌跡の全体がトナー11に理まっている。そのため、トナー残量検知バー14は、その半径部14bがギア28の当接部28aに当接付勢されることにより回転する。すなわち、トナー残量検知バー14はギア28と同じ回転速度で回転する。
【0122】
図13に、トナーレベル11aがトナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tより低い位置にある状態を示す模式図である。この状態では、トナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tを含む一定の領域にはトナー11が存在しない。そのため、トナー残量検知バー14は、ギア28の回転によって回転軌跡の頂点14Tに達すると、自重で(ギア28の当接部28aから離れて)落下し、トナーレベル11aの高さでトナー11からの抵抗力を受けて回転を停止する。そして、一定速度で回転するギア28の当接部28aがトナー残量検知バー14の半径部14bに追い付き、当接することで、トナー残量検知バー14はギア28と同じ回転速度で回転を再開する。
【0123】
図14に、トナーレベル11aと、反射板29が回転軌跡の頂点29Tと底29Bとの中間点29M(
図6)を通過するときの受光素子31による反射光31aの受光時間Tの関係を示す。なお、反射板29の回転軌跡の頂点29Tと底29Bとの中間点29Mは、トナー残量検知バー14の回転軌跡の頂点14Tと底14Bとの中間点14M(
図12,13)に対応している。
【0124】
トナーレベル11aが、反射板29の回転軌跡における中間点29Mより高い場合には、反射板29が中間点29Mを(底29Bに向けて)通過する速度は、ギア28の回転速度と一致している。このときに、受光素子31が反射光31aを受光する時間(受光時間)をT1とする。
【0125】
一方、トナーレベル11aが、反射板29の回転軌跡における中間点29Mより低い場合には、中間点29Mを反射板29が通過する速度は、トナー残量検知バー14が自重で落下する速度になるため、ギア28の回転速度より速い。従って、このときの受光素子31による反射光31aの受光時間をT2とすると、T1とT2の関係は、T1>T2となる。
【0126】
従って、受光素子31による反射光31aの受光時間を計測することにより、トナーレベル11aが、反射板29の回転軌跡における中間点29Mよりも高いか否か(すなわちトナー残量検知バー14の回転中心よりも高いか否か)を判断することができる。
【0127】
図15は、トナー補給制御方法を示すフローチャートである。画像形成装置300の印刷制御部20は、画像形成動作(印刷動作)において現像装置100の駆動を開始すると(ステップS1)、受光素子31の受光時間Tをタイマ32を用いて取得し(ステップS2)、受光時間Tが上記のT2よりも長いか否かを判断する(ステップS3)。
【0128】
受光時間Tが上記のT2よりも長いと判断した場合には(ステップS3でYES)、トナー収容部12のシャッタ12bを閉じたまま現像装置100の駆動を継続する。この場合には、トナーレベル11aがトナー残量検知バー14の回転中心よりも高い位置にあり、ケーシング101内に十分な量のトナーが存在するためである。
【0129】
一方、受光素子31の受光時間TがT2以下である場合(ステップS3でNO)、ケーシング101内のトナー残量が少ないと判断し、トナー収容部12のシャッタ12bを開いて、トナー収容部12からケーシング101内にトナー11を補給する(ステップS4)。
【0130】
さらに、印刷制御部20は、受光素子31の受光時間Tをタイマ32を用いて取得し(ステップS5)、受光時間Tが上記のT2よりも長いか否かを判断する(ステップS6)。受光素子31の受光時間TがT2以下である場合には(ステップS6でNO)、トナー収容部12のシャッタ12bを開いたままとし、トナー補給を続ける。一方、受光素子31の受光時間TがT2より長い場合には(ステップS6でYES)、トナー収容部12のシャッタ12bを閉じる(ステップS7)。
【0131】
このようなトナー残量検知機構200(トナー残量検知バー14、反射板29、発光素子30および受光素子31)を用いたトナー補給制御により、現像装置100内のトナーレベル11aが、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部Bや、鋸歯電極7とトナー供給ローラ2との対向部Aよりも低く、かつ、補助供給ローラ10の回転中心よりも上方にあるように保たれる。
【0132】
次に、以上のように構成された現像装置100を用いた画像形成装置300による印刷試験について説明する。
【0133】
ここでは、温度23℃、相対湿度50%の環境下において、白紙パターンの連続印刷試験を行った。このように白紙パターンの連続印刷試験を行ったのは、感光体ドラム3側にトナー11を移動させずに、現像装置100内の現像ローラ1、トナー供給ローラ2、補助供給ローラ10、鋸歯電極7、トナー回収ブラシローラ5等によってトナー11に継続的に摩擦を与えるためである。
【0134】
そして、連続印刷試験の結果、トナー11が継続的に摩擦を受けることを原因とする、トナー母粒子からの外添剤の剥離またはトナー母粒子への外添剤が埋没等(トナーダメージ)による帯電性の低下や、紛体としての流動性の低下によるトナー供給性の低下によって生じるカブリおよびカスレ(印刷品質の劣化)の発生状態を評価した。
【0135】
カブリの評価は、以下のようにして行った。すなわち、白紙パターンの印刷の途中で画像形成装置300の動作を停止し、感光体ドラム3の表面の現像後転写前の位置(すなわち現像ローラ1に対向する位置と、転写ローラ16に対向する位置との間)のトナー11を、粘着テープ(住友スリーエム株式会社製「スコッチメンディングテープ」)に付着させた。この粘着テープを感光体ドラム3から剥がして、印刷用紙に貼り付けた。
【0136】
そして、これとは別に、感光体ドラム3に貼り付けていない同種の粘着テープを印刷用紙に貼り付け、両粘着テープの色差ΔEを、分光測色計(コニカミノルタ製CM2600d)により測定した。色差ΔEが小さいほど、カブリが少ないことを示す。
【0137】
カスレの評価は、上記の白紙パターンの連続印刷試験の後、黒色のベタ画像(100%DUTY)を印刷し、印刷画像を観察することにより行った。
【0138】
具体的には、ベタ画像にカスレの発生が見られない場合をレベル10とし、ベタ画像においてカスレの占める割合が2%未満の場合をレベル9とし、2%以上4%未満の場合をレベル8とした。同様に、ベタ画像においてカスレの占める割合が4%以上6%未満の場合をレベル7とし、6%以上8%未満の場合をレベル6というように、2%毎にレベルが1段階下がるようにした。
【0139】
本実施の形態の現像装置100と対比するため、
図16に示す比較例の現像装置400を用いた。
【0140】
図16に示す比較例の現像装置400が、本実施の形態の現像装置100と異なる点は、以下の3点である。(1)現像ローラ401とトナー供給ローラ402とが互いに接触している。(2)トナー供給ローラ402と帯電補助部材としての帯電ブレード407とが互いに接触している。(3)現像ローラ401、トナー供給ローラ402および補助供給ローラ410の回転方向が同方向であり、それぞれの接触面において互いの移動方向が逆になっている。
【0141】
上記(3)は、言い換えると、補助供給ローラ410およびトナー供給ローラ402、トナー供給ローラ2および帯電ブレード407、並びにトナー供給ローラ402および現像ローラ401が、それぞれの接触面においてトナー11に対し摩擦力を発生させているということになる。
【0142】
図17は、本実施の形態における現像装置100および比較例の現像装置400をそれぞれ画像形成装置300に搭載して、22,000枚(一般的な画像形成装置の寿命)まで連続印刷動作を行ったときのカブリの評価結果を示す図である。
【0143】
ここでは、連続印刷中、2,000枚の印刷毎に印刷動作を停止して、上述したカブリの評価を行った。
【0144】
図18は、本実施の形態における現像装置100および比較例の現像装置400をそれぞれ画像形成装置300に搭載して22,000枚まで連続印刷動作を行ったときのカスレの評価結果を示す図である。
【0145】
ここでは、連続印刷中、2,000枚の印刷毎に印刷動作を停止して、上述したベタパターンを印刷して、カスレの評価を行った。
【0146】
図17および
図18の結果から、本実施の形態における現像装置100では、比較例の現像装置400と比較して、カブリおよびカスレが抑制されていることが分かる。このことから、本実施の形態における現像装置100では、トナーダメージによるトナー11の帯電性の低下や供給性の低下が抑制されていることが分かる。
【0147】
このような結果が得られた理由は、以下のように理解することができる。すなわち、比較例の現像装置400では、摩擦を利用してトナー11を現像ローラ401に供給し、また摩擦を利用してトナーを帯電させているため、トナーダメージが生じやすい。これに対し、本実施の形態の現像装置100では、現像ローラ1へのトナー11の供給を、現像ローラ1と非接触で配置したトナー供給ローラ2によって行っており、また、トナー11への帯電付与を、摩擦帯電ではなく、トナー供給ローラ2から補助供給ローラ10に流れる電流による電荷移動や、非接触の帯電補助部材(鋸歯電極7)によるイオン照射を用いて行っているため、トナーダメージを抑制できたためと考えられる。
【0148】
以上説明したように、この発明の第1の実施の形態によれば、現像ローラ1と非接触で配置されたトナー供給ローラ2を用いて現像ローラ1にトナー11を供給し、また、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とが、対向面において互いに同方向に移動するように回転するようにしたため、摩擦によるトナーダメージ(外添剤の剥離や埋没等)を抑制することができる。そのため、印刷品質の劣化(カブリやカスレ等)を抑制し、印刷品質を向上させることができる。
【0149】
また、トナー供給ローラ2から補助供給ローラ10に流れる電流による電荷移動や、非接触の帯電補助部材(鋸歯電極7)によるイオン照射を利用して、トナーを帯電させるようにしたため、摩擦帯電によってトナーを帯電させる場合よりもトナーダメージを抑制することができ、印刷品質をさらに向上させることができる。
【0150】
さらに、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10とが、対向面においてほぼ等速度で移動するように回転するため、両者が異なる速度で移動する場合と比較して、摩擦によるトナーダメージを抑制することができる。
【0151】
また、現像装置100のケーシング101内のトナーレベル11aを、現像ローラ1とトナー供給ローラ2との対向部Bや、鋸歯電極7とトナー供給ローラ2との対向部Aよりも下方となるように制御するようにしたため、トナー供給ローラ2に付着したトナー11を鋸歯電極7によって効率よく帯電することができ、また、トナー11を現像ローラ1に向けて(他のトナーに阻害されることなく)移動させることができる。
【0152】
さらに、ケーシング101内のトナーレベル11aを、補助供給ローラ10の回転中心以上の高さに制御するようにしたため、補助供給ローラ10がケーシング101内のトナー11を容易に担持することができ、現像ローラ1に十分な量のトナー11を供給することができる。
【0153】
また、トナー供給ローラ2と、その周囲の各ローラとの配置関係により、以下の作用効果が得られる。
【0154】
すなわち、トナー供給ローラ2の回転方向において、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との対向部Bが、トナー供給ローラ2とトナー回収ブラシローラ5との対向部Cよりも上流側にあるため、トナー供給ローラ2と鋸歯電極7との対向部Aを対向部Bよりも上流側に配置することができる。そのため、トナー回収ブラシローラ5で回収されてトナー回収ブラシ用フリッカ8により弾き飛ばされたトナー11の影響が、鋸歯電極7に及ぶことを防止できる。
【0155】
また、トナー供給ローラ2および補助供給ローラ
10の対向部Dでの移動方向α(
図2(B))は、トナー回収ブラシローラ5が配置された側(図中右側)からトナー収容部12が配置された側(図中左側)に向かう方向であるため、補助供給ローラ10が担持するトナー11と、トナー回収ブラシローラ5で回収されたトナー11とが、対向部Dの上流側で混合されて、対向部Dに到達する。従って、新しいトナーと回収トナーを混合して利用することができる。
【0156】
また、水平方向において、トナー供給ローラ2と鋸歯電極7との対向部A、現像ローラ1との対向部B、および補助供給ローラ10との対向部Dの外側に、トナー収容部12のトナー補給口12aが配置されているため、トナー収容部12から補給されたトナー11が各対向部A,B,Dに直接到達することがない。すなわち、トナー11が、まず補助供給ローラ10に担持され、次にトナー供給ローラ2に担持され、さらに鋸歯電極7によって帯電されたのち現像ローラ1に達するという順序で、トナー11の帯電および搬送が確実に行われる。従って、トナー11の帯電ムラを防止することができる。
【0157】
また、トナー供給ローラ2と現像ローラ1との間に振動電界を生じさせることにより、トナー供給ローラ2の表面のトナー11が現像ローラ1に向けて移動(飛翔)しやすくなる。
【0158】
加えて、補助供給ローラ10およびトナー供給ローラ2に印加する交流電圧を、互いに同じ周波数、同じピークトゥピーク電圧、且つ同じ位相とすれば、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10の間の電界が振動しないため、安定した状態でトナー11を帯電させ、移動させることができる。
【0159】
第2の実施の形態.
図19は、第2の実施の形態における現像装置500を示す断面図である。第2の実施の形態の現像装置500が、第1の実施の形態の現像装置100の構成と相違する点は、
図20に示すように、金属製の芯金502a表面に、樹脂コート層502bを設けたトナー供給ローラ502を用いることと、補助供給ローラ510の抵抗値を、第1の実施の形態の補助供給ローラ10よりも低く設定したことである。
【0160】
図20に示すように、第2の実施の形態のトナー供給ローラ(第1の供給部材)502は、外径12.5mmのアルミニウム製の芯金502aの表面を、表面粗さ(十点平均粗さ)Rzが1μm以下となるように加工し、さらに、芯金502aの表面に厚さ約30μmの樹脂コート層502bを設け、樹脂コート層502bの表面粗さRzを1μm以下とすることにより、トナー供給ローラ502の表面からのトナーの離形性(すなわち現像ローラ1へのトナーの移り易さ)を確保している。
【0161】
樹脂コート層(表面層)502bは、熱可塑性ポリエーテル系ウレタン樹脂を基材として、カーボンブラックを添加して半導電性を付与したものである。樹脂コート層502bの抵抗値は、
図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧100Vに対し、1×10
6〜1×10
9Ωの範囲が望ましい。
【0162】
また、補助供給ローラ(第2の供給部材)510の抵抗値は、
図10を参照して説明した測定方法で、印加電圧100Vに対し、1×10
6〜1×10
9Ωの範囲が望ましく、樹脂コートされたトナー供給ローラ502の抵抗値と同等の桁数が望ましい。ここでは、1×10
8Ωとした。
【0163】
他の構成は、第1の実施の形態で説明した通りである。また、現像装置500および画像形成装置の動作も、第1の実施の形態で説明した通りである。
【0164】
次に、以上のように構成された現像装置500を用いた画像形成装置300による印刷試験について説明する。
【0165】
図21および
図22は、第2の実施の形態の現像装置500および第1の実施の形態の現像装置100をそれぞれ画像形成装置に搭載し、22,000枚まで連続印刷動作を行ったときのカブリおよびカスレの評価結果を示す図である。
【0166】
カブリおよびカスレの評価結果は、第1の実施の形態で説明した通りである。
【0167】
図21および
図22の結果から、第2の実施の形態の現像装置500を用いた場合にも、第1の実施の形態の現像装置100を用いた場合とほぼ同等の効果が得られることが分かる。
【0168】
また、
図23は、第1および第2の実施の形態の現像装置100(500)のトナー供給ローラ2(502)から補助供給ローラ10(510)に向かって10μAの電流を流したときに、補助供給ローラ用電源10aが出力するバイアス電圧のばらつきの測定結果を示す図である。
【0169】
図23から、トナー供給ローラ502と補助供給ローラ510の抵抗値の差が小さい第2の実施の形態では、第1の実施の形態と比較して、補助供給ローラ用電源10aの出力電圧のばらつきが小さくなっていることが分かる。
【0170】
図24(A)は、第1の実施の形態におけるトナー供給ローラ2と、補助供給ローラ10と、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10との間のトナーをそれぞれ電気抵抗として表わした模式図である。同様に、
図24(B)は、第2の実施の形態におけるトナー供給ローラ502と、補助供給ローラ510と、トナー供給ローラ502と補助供給ローラ510との間のトナーをそれぞれ電気抵抗として表わした模式図である。
【0171】
図24(A)において、トナー供給ローラ2の抵抗値R2と、補助供給ローラ10の抵抗値R10と、トナー供給ローラ2と補助供給ローラ10との間のトナーの抵抗値Rtとの合成抵抗Rは、(R2+Rt+R10)で表わされる。同様に、
図24(B)において、トナー供給ローラ502の抵抗値R502と、補助供給ローラ510の抵抗値R510と、トナー供給ローラ502と補助供給ローラ510の間のトナーの抵抗値Rtとの合成抵抗Rは、(R502+Rt+R510)で表わされる。
【0172】
ここで、トナーが薄層であることを考慮してRtを無視すると、
図24(A)および(B)の合成抵抗は、それぞれR=(R2+R10)およびR=(R502+R510)となる。
【0173】
ところで、印刷環境の変化や補助供給ローラ10(510)のセル目内のトナー充填率が変化するなどして、補助供給ローラ10(510)の抵抗値に変動が発生する場合が考えられる。
【0174】
このように補助供給ローラ10(510)の抵抗値に変動が発生した場合には、この第2の実施の形態のように、トナー供給ローラ502と補助供給ローラ510との抵抗値の差が小さい方が、合成抵抗Rの変化もより小さくなり、所望の電流を流すために必要な補助供給ローラ用電源10aの出力電圧のばらつきが小さくなる。すなわち、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態よりも、電力コストを低減することができる。
【0175】
以上説明したように、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、さらに、電力コストを低減できるという効果が得られる。
【0176】
上述した第1および第2の実施の形態では、単一の現像装置100を備えた画像形成装置としてのモノクロプリンタについて説明したが、本発明は、複数の現像装置を備えたカラー画像形成装置にも適用することができる。また、本発明は、プリンタに限らず、複写機、ファクシミリ装置、およびMFP(Multi−Function Peripheral)にも適用することができる。