【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明の主たる目的は、圧縮機出口における温度を制御する方法を提案することにより、公知の解決策の欠点を克服することである。この圧縮機は、自動車の空調ループの中に一体化されており、空調ループは、その中に未臨界の冷却流体が循環し、少なくとも、圧縮機、凝縮器、膨張バルブ、および蒸発器を含んでいる。
【0010】
別の実施形態においては、空調ループは内部熱交換器を含み、内部熱交換器は、凝縮器と膨張バルブとの間を循環する流体と、蒸発器と圧縮機との間を循環する流体との間の熱交換を実行する。
【0011】
本発明の制御方法は、次に示すステップを含み、これらを連続して、同時に、または交互に行う。これらのステップは、
−圧縮機入口における上限温度を算出するステップ、
−圧縮機入口における温度を推定するステップ、
−車両速度、外部温度、および凝縮器出口における圧力の測定値を捕捉するステップ、
−凝縮器を横切る空気流を生成するモーターファンユニットの電圧を捕捉するステップ、
−凝縮器出口における圧力、圧縮機入口における圧力の推定値、圧縮機速度、および凝縮器入口または圧縮機出口における所定の上限温度を捕捉するステップ、
−圧縮機の制御弁の制御電流の強度を捕捉するステップ、および圧縮機の制御弁の制御電流の強度に基づいて圧縮機入口における圧力を推定するステップ、
−内部熱交換器の効率パラメータを、好ましくは、冷却流体の質量流量の関数として求めるステップ、
−質量流量を、車両速度、外部温度、および凝縮器出口における圧力の測定値の関数として求めるステップ、
−圧縮機入口における圧力の推定値および冷却流体の質量流量から、蒸発器出口における圧力を推定するするステップ、
−蒸発器出口と圧縮機入口との間の圧力降下を冷却流体の質量流量から推定するステップ、
−過熱特性を蒸発器出口における圧力の推定値の関数として求めるステップ、
−蒸発器出口における温度を、過熱特性および蒸発器出口における圧力の推定値から推定するステップ、
−圧縮機の制御信号または蒸発温度の設定値を調整するステップである。
【0012】
本発明においては、圧縮機入口における上限温度を算出するステップは、圧縮機入口における圧力の推定値、圧縮機速度、および凝縮器入口または圧縮機出口における所定の上限温度に基づいて実行される。
【0013】
更に、本制御方法は、圧縮機入口における圧力降下と圧力の推定値に基づいて、蒸発器出口における圧力を推定するステップを含んでいる。
【0014】
第1の実施形態においては、本発明はまた、制御方法を提供するもので、この本制御方法は、次に示すステップを含んでいる。
−蒸発器出口における温度を、蒸発器出口における圧力推定値に対応した飽和温度および過熱特性から推定するステップ。
−圧縮機入口における上限温度を、熱交換器の効率パラメータ、凝縮器入口または圧縮機出口における圧力に対応した飽和温度、および蒸発器出口における温度推定値から推定するステップ。
−凝縮器出口における上限圧力を、凝縮器出口における上限温度から推定するステップ。
【0015】
この第1の実施形態においては、調整するステップでは、圧縮機入口における温度推定値が、圧縮機入口における上限温度の計算値以上になった時に、圧縮機の制御信号または蒸発温度の設定値を調整する。
【0016】
第2の実施形態においては、本制御方法はまた、次に示すステップを含んでいる。
−蒸発器出口における上限温度を、熱交換器の効率パラメータ、圧縮機入口における上限温度、および凝縮器入口または圧縮機出口における圧力に対応した飽和温度から算出するステップ。
−蒸発器出口における上限圧力を、蒸発器出口における上限温度、および過熱特性から算出するステップ。
−圧縮機入口における上限圧力を、蒸発器出口における上限圧力、および圧力降下の推定値から算出するステップ。
−圧縮機の制御弁の制御電流の強度の上限値を、圧縮機入口における上限圧力の関数として算出するステップ。
【0017】
調整するステップでは、圧縮機の制御弁に対する制御信号は、圧縮機の制御弁の制御電流の強度が、圧縮機の制御弁の制御電流の強度の上限値よりも常に低くなるように調整する。強度の測定値が圧縮機の制御弁の制御電流の強度の上限値より高くなった場合には、この制御方法は、強度の測定値が圧縮機の制御弁の制御電流の強度の上限値よりも低くなるように、圧縮機の制御弁に対する制御信号を低減する。
【0018】
第3の実施形態においては、本発明はまた、制御方法を提供し、この本制御方法は、次のステップを含んでいる。
−蒸発器出口における温度を、蒸発器出口における圧力推定値に対応した飽和温度、および過熱特性から推定するステップ。
−凝縮器出口における上限温度を、効率パラメータ、蒸発器出口における温度推定値、および圧縮機入口における上限温度から推定するステップ。
−凝縮器出口における上限圧力を、凝縮器出口における上限温度から推定するステップ。
【0019】
この第3の実施形態においては、調整するステップでは、凝縮器出口における圧力が、凝縮器出口における上限圧力以上になったときに、圧縮機の制御信号または蒸発温度の設定値を調整する。
【0020】
また、本発明における制御方法は、次のステップを含むことができる。
−凝縮器入口、または圧縮機出口における圧力、および蒸発器の中の空気の温度を捕捉するステップ。
−圧縮機入口における上限温度を、凝縮器入口または圧縮機出口における温度の所定の上限値、凝縮器出口における圧力、圧縮機入口における圧力推定値、および圧縮機速度に基づいて算出するステップ。
【0021】
従って、本発明は、凝縮器入口のところで、または圧縮機出口のところで温度センサを使用するか否かに拘わらず、圧縮機の排気の温度を制御する方法を提案する。これによって、内部熱交換器を含む空調ループは、このような内部熱交換器を含まない空調ループと、正確に同じセンサを使用して制御することが可能になる。従って、使用するセンサは、凝縮器出口における圧力センサとなり、これは、蒸発器の中の空気の温度、および圧縮機の制御弁の制御電流値の指標になるものである。
【0022】
従って本発明は、圧縮機の制御信号または蒸発温度の設定値を調整するステップを提供する。この調整は、凝縮器入口における温度センサが存在するか否かに拘わらず、捕捉したデータに基づいて算出した、凝縮器入口における温度に関係する量が、捕捉したデータに基づいて算出した量の上限を超えたときに、相当分を減ずることにより行う。
【0023】
本発明の原理によれば、圧縮機の制御信号または蒸発温度の設定値は、圧縮機出口または凝縮器入口における温度を表す、ある1つの量の推定値とその量の上限値とを比較することに基づいて調整される。
【0024】
本発明においては、流体の質量流量を決定するステップは、使用する凝縮器のモデルに基づいて実行される。このモデルでは、特に、車両速度の測定値、外部温度の測定値、凝縮器を横切る空気流を生成するモーターファンユニットの電圧の測定値、および圧縮機入口における圧力を使用して、質量流量を決定する。この特徴によって、車両および空調ループの動作に関するデータを集中して備えるマイクロプロセッサによる既知のパラメータから容易に質量流量を判定することができる。
【0025】
添付図面を参照しつつ、以下に示す記述を精読することによって、本発明の他の特徴および利点は明らかになると思う。これらの図面は、限定的でない実施例を示すものであり、これらの実施例は、本発明とその実施形態の開示の理解を補完するばかりでなく、更には、必要に応じて、発明の画定に寄与しうるものである。