(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795770
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】フードプロセッサ用の磨潰しディスク及び磨潰しディスクを含むフードプロセッサ
(51)【国際特許分類】
A47J 19/00 20060101AFI20150928BHJP
A47J 43/046 20060101ALI20150928BHJP
【FI】
A47J19/00 F
A47J43/046
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-543957(P2012-543957)
(86)(22)【出願日】2010年12月10日
(65)【公表番号】特表2013-514119(P2013-514119A)
(43)【公表日】2013年4月25日
(86)【国際出願番号】IB2010055734
(87)【国際公開番号】WO2011073872
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年12月6日
(31)【優先権主張番号】09179640.9
(32)【優先日】2009年12月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】フィステル,イネス
(72)【発明者】
【氏名】ホルツバウアー,ユルゲン
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−082520(JP,A)
【文献】
特開2005−013517(JP,A)
【文献】
特開昭49−092268(JP,A)
【文献】
特開平08−322745(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0086261(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0209528(US,A1)
【文献】
実開昭55−079944(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 19/00
A47J 42/00 − 44/02
A23N 1/02
B26D 3/24 − 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードプロセッサ内に取り付けられ且つ回転方向において回転されるよう構成される磨潰しディスクであって、
当該磨潰しディスクは、加工されるべき食品を磨り潰すための少なくとも1つの磨潰し歯を含み、該磨潰し歯は、当該磨潰しディスクの表面から突出し、且つ、前記磨潰し歯の外側輪郭を形成する不断の連続的な外囲表面を有し、
該外囲表面は、その空間導関数が符号を変更しない勾配を有し、
前記外囲表面は、前方表面を含み、該前方表面は、使用中、前記磨潰し歯の先導表面であり、前記前方表面は、前記磨潰しディスク表面から磨潰し歯の遠位端まで延び、且つ、前記フードプロセッサの使用中に前記食品と接触させられるよう構成され、
前記前方表面は、1つの方向において、前記磨潰しディスク表面によって境界付けられ、少なくとも1つの他の方向において、少なくとも1つの磨潰し縁部によって境界付けられ、
前記前方表面は、前記磨潰し縁部に沿って前記外囲表面の隣接部分と80〜100度の範囲内の角度を形成する、
磨潰しディスク。
【請求項2】
前記前方表面は、1つの方向において、当該磨潰しディスクがその広がりを有する前記ディスク表面の平面によって境界付けられる、請求項1に記載の磨潰しディスク。
【請求項3】
前記前方表面が前記磨潰し縁部に沿って前記外囲表面の隣接部分と形成する角度は、約90度である、請求項1又は2に記載の磨潰しディスク。
【請求項4】
前記前方表面及び前記ディスク表面は、90〜100度の角度にある、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスク。
【請求項5】
前記外囲表面と前記ディスク表面との間の角度は、前記歯の基部に沿う至る所で90度よりも大きい、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスク。
【請求項6】
前記外囲表面は、当該ディスクの回転方向に対して前記前方表面の下流に配置される後方表面を更に含み、該後方表面は、90〜135度の角度で前記ディスク表面と交わる、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスク。
【請求項7】
前記外囲表面は、前記前方表面と前記後方表面とを接続する中間表面を更に含み、該中間表面は、当該ディスクの回転方向に対して垂直な方向において連続的な勾配を有する、請求項6に記載の磨潰しディスク。
【請求項8】
前記外囲表面は、前記前方表面と前記後方表面とを接続する2つの側方表面を更に含み、各側方表面は、前記歯の1つの側で前記ディスク表面から延びる、請求項6又は7に記載の磨潰しディスク。
【請求項9】
前記側方表面は、実質的に前記回転方向において延びる隆条に沿って交わる、請求項8に記載の磨潰しディスク。
【請求項10】
前記歯は、ピラミッドの形状を有し、前記前方表面、前記後方表面、及び、前記側方表面は、前記ピラミッドの側部を形成する、請求項8に記載の磨潰しディスク。
【請求項11】
前記外囲表面は、前記磨潰し縁部を除き、当該磨潰しディスクの回転方向において連続的な勾配を有する、請求項1乃至10のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスク。
【請求項12】
当該磨潰しディスクは、当該磨潰しディスクの内側領域から外側領域に延びる少なくとも1つの線内に配置される複数の磨潰し歯を含む、請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスク。
【請求項13】
当該磨潰しディスクの前記ディスク表面は、圧痕を含まない、請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスク。
【請求項14】
請求項1乃至12のうちのいずれか1項に記載の磨潰しディスクを含む、ジュースを搾り出すためのフードプロセッサ。
【請求項15】
当該フードプロセッサは、遠心ジューサである、請求項14に記載の磨潰しディスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフードプロセッサ(食品加工器)内に取り付けられるよう配置され且つ食品加工器の使用中に回転される磨潰しディスク(grating disc)に関する。
【0002】
更に、本発明は磨潰しディスクを含むフードプロセッサに関する。
【背景技術】
【0003】
食品の準備を促進し且つ/或いは精錬するために、フードプロセッサの助けを選択し得る。様々な処理操作のために、例えば、汁を搾り、圧搾し、混合し、切断し、粉砕し、剪断し、薄切りし、磨潰し、製粉し、或いは、切り刻むために、フードプロセッサを利用し得る。異なる範囲の使用及び異なる大きさの加工されるべき食物が、市場で入手可能な多様なフードプロセッサを、多様な大きさ及び形態でもたらした。フードプロセッサは多機能であり得るし、或いは、例えば、ジュースを搾り出すための遠心ジューサ(juicer)として作動するよう、1つ又はそれよりも多くの特別なタスクのために最適化され得る。
【0004】
殆どの場合、フードプロセッサは電気式であり、加工されるべき食品を磨潰しディスク等のような回転素子の上に下向きに送る導入片(inlet piece)を有し、回転素子は、フードプロセッサのハウジング内に収容されるモータによって駆動される。更に、回転ディスクは、食品を磨潰し或いはジュースを搾り出すために、磨潰し歯を備えるのが典型的である。磨潰しディスクを使用するジュース搾り器は、例えば、果物又は野菜を磨潰しディスクの上に押し付けることによって、果物又は野菜からジュースを搾り出し得る。磨潰しディスクは、果物又は野菜の表面からの材料を磨潰すると同時に、ジュースを放出する。磨潰された素材及びジュースは、典型的には、遠心力によって磨潰しディスクを取り囲むフィルタの表面に対して上向き及び外向きに投げ付けられる。果肉はフィルタの縁部に亘って進み、適切な容器内に収集されるのに対し、微細にフィルタリングされたジュースはフィルタを通過して他の容器内に至る。それによって、今やジュースを給仕する準備ができている。
【0005】
しかしながら、現在のフードプロセッサのジュース収穫は一般的に満足できるものではない。何故ならば、これらのジュース搾り器(juice extractor)内で利用される磨潰しディスクは、最大可能なジュース産出を得るよう精巧に作り上げられていないのが典型的だからである。更に、フードプロセッサの使用後、食品小片(food particle)が磨潰しディスクの磨潰し歯に付着する結果、ジュースを搾り取られた後の果実の繊維が磨潰しディスクの上に残るのが典型的である。従来的な製造方法は、果実繊維を捕捉し得るアンダーカット(undercut)を備える磨潰し歯の形状に帰結するのが典型的である。従って、磨潰しディスクを徹底的に洗浄することが必要であり、典型的には、使用者はブラシのような洗浄用品を利用し、使用者の指さえも利用する。故に、磨潰しディスクの洗浄は使用者にとって面倒であり、使用者の指さえも使用する場合には、加えて危険である。何故ならば、使用者はディスクの洗浄中に磨潰し歯で指を切る危険に晒されるからである。
【0006】
これらの事柄を克服するために、米国特許第7,040,220号は、ジュースで浸された果実への食品の完全な切断をより確実に保証する突出ピンチ表面を含む切断ディスクを含むジュース搾り器を披露している。この解決策は、特別な部品、即ち、突出ピンチ表面の必要を暗示し、故に、ひいては、それは追加的なコスト及び/又はより複雑な製造手順を暗示し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、ジュースのような加工食品の産出の改良のために並びに/或いは使用後の容易化された洗浄性のために精巧に作り上げられ、相応して、上記の関連する欠点を少なくとも部分的に解消する、代替的な磨潰しディスクの必要が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上記必要は、フードプロセッサ内に取り付けられ且つ回転方向において回転されるよう構成される磨潰しディスクであって、加工されるべき食品を磨り潰すための少なくとも1つの磨潰し歯を含み、磨潰し歯は、当該磨潰しディスクの表面から突出し、且つ、磨潰し歯の外側輪郭を形成する不断の連続的な外囲表面を有し、外囲表面は、その空間導関数が符号を変更しない勾配を有し、外囲表面は、前方表面を含み、前方表面は、使用中、磨潰し歯の先導表面であり、前方表面は、磨潰しディスク表面から磨潰し歯の遠位端まで延び、且つ、フードプロセッサの使用中に食品と接触させられるよう構成され、前方表面は、1つの方向において、磨潰しディスク表面によって境界付けられ、少なくとも1つの他の方向において、少なくとも1つの磨潰し縁部によって境界付けられる磨潰しディスクによって少なくとも部分的に満足される。
【0009】
「外囲表面」は、歯の外側表面を示すことが意図される。この表面は不断である、即ち、穴又はアンダーカットはなく、洗浄が容易な連続的な表面だけがある。ここでは、「ディスク表面」によって、ディスクがその一般的拡張(general extension)を有することが意図され、即ち、ディスク内の如何なる圧痕(indentation)又は不規則性も考慮されない。
【0010】
本発明は、前方表面を取り囲む比較的鈍い磨潰し縁部によって満足行く磨潰しを達成し得るという認識に基づく。結果的に、従来的な磨潰し歯にとって典型的な鋭利な縁部又は空洞の必要はない。
【0011】
前方表面は、1つの方向において、磨潰しディスクがその一般的拡張を有するディスク表面の平面によって境界付けられ得る。
【0012】
好適実施態様において、前方表面は、磨潰し縁部に沿って外囲表面の隣接部分と60〜120度の範囲内の角度を形成する。60〜120度の範囲内の磨潰し縁部に沿う角度が良好な磨潰し結果をもたらすことを見出した。より一層好ましくは、この角度は80〜100度の範囲内にあり、最も好ましくは、最適な磨潰し結果を達成するために、この角度は約90度である。
【0013】
本発明に従った磨潰しディスクを用いるならば、フードプロセッサの使用中に食品小片が磨潰しディスクの磨潰し歯に付着することが防止されるので、加工済み食品の産出の向上が達成される。故に、磨潰しディスクの上に残る食品小片はより少なく、それによって、加工済み食品のより高い歩留まりが得られる、即ち、より高い量の食品小片を搾り出し得る。その上、磨潰しディスクの上に残る食品小片はより少ない、即ち、磨潰し歯によって捕捉される加工済み食品はより少なく、使用後の磨潰しディスクの洗浄性の改良を暗示する。使用者は、徹底的な洗浄のためにブラシ又は指を適用するよりもむしろ、捕捉された食品小片を取り除くために磨潰しディスクを濯ぐ必要があるだけに過ぎない。故に、人の指で磨潰しディスクを洗浄する誘惑又は必要の減少に伴い、非衛生的及び/又は危険な接触が追加的に回避される。
【0014】
ある実施態様において、前方表面及びディスク表面は、90〜100度の角度にある。そのような角度は、磨潰し縁部の効率並びに磨潰しディスクの洗浄性を更に向上し得る。90度未満の角度のために、食品小片が付着し或いは捕捉され得るオーバーハング(張出し)が創成される。100度よりも大きい角度のために、磨潰し歯の磨潰し効率は悪化し、磨潰し中のより長い加工時間を招く。
【0015】
1つの実施態様によれば、外囲表面とディスク表面との間の角度は、磨潰し歯の基部に沿う至る所で90度よりも大きい。「基端部」によって、歯の端部がディスクと同じ高さであることが意図される。これは歯が繊維を捕捉し得る「オーバーハング」を有しないことを意味する。
【0016】
外囲表面は、ディスクの回転方向に対して前方表面の下流に配置される後方表面を更に含み、後方表面は、90〜135度の角度、好ましくは、120〜135度の角度でディスク表面と交わる。そのような傾斜する後方表面は、歯の洗浄性を更に向上する。何故ならば、歯の後方に縁部がなく、例えば、スポンジを用いた容易な洗浄を可能にするからである。傾斜する後方表面は、繊維が歯の周りに巻き付くことも防止し、それによって、ディスクの機能を損なう食物の蓄積を回避する。
【0017】
外囲表面は、前方表面と後方表面とを接続する中間表面を更に含んでもよく、中間表面は、ディスクの回転方向に対して垂直な方向において連続的な勾配を有する。そのような滑らかな中間表面は、歯の洗浄性を更に向上し得る。
【0018】
外囲表面は、前方表面と後方表面とを接続する2つの側方表面を更に含んでもよく、各側方表面は、歯の1つの側でディスク表面から延びる。側方表面は頂部表面を形成する中間表面まで延びてもよく、実質的に回転方向に延びる隆条(ridge)に沿って交わってもよい。そのような隆条、或いは、正に歯の頂部上の如何なる尖った或いは傾斜した表面は、所与の適用される押付け力に亘って食物内の侵入を増大する。
【0019】
特定の実施態様によれば、磨潰し歯は、ピラミッドの形状を有し、前方表面、後方表面、及び、側方表面は、ピラミッドの側部を形成する。外囲表面は、磨潰し縁部を除き、ディスクの回転方向において連続的な勾配を有し得る。そのような設計は、全ての磨潰しが磨潰し縁部によってもたらされることを保証する。
【0020】
1つの実施態様によれば、磨潰しディスクは、磨潰しディスクの内側領域から外側領域に延びる少なくとも1つの線内に配置される複数の磨潰し歯を含む。複数の磨潰し歯を備えるならば、より効率的に食品を加工し得る。その上、内側領域から外側領域に向かって延びる少なくとも1つの線内に磨潰し歯を配置することによって、より一層の加工効率を達成し得る。即ち、磨潰し歯はより大きな部分に沿って配置され、或いは、磨潰しディスクの径方向拡張全体に沿ってさえも配置されるので、磨潰しディスクのより大きな部分又は全体を食品の加工のために利用し得る。線は必ずしも直線である必要はなく、同様に、例えば、凸状に湾曲したような、如何なる相応しい形態をも取り得る。特筆すべきことに、内側領域は、好ましくは、磨潰しディスクの中央部分であるが、「内側領域」は、磨潰しディスクの中心からの僅かの偏心(offset)を有する磨潰しディスクの一部を同様に覆うことが意図される。
【0021】
好適実施態様において、磨潰しディスク表面は、圧痕を含まない。使用中、食品小片は磨潰しディスク表面内の圧痕内に容易に捕捉され或いは圧痕に容易に付着され得る。使用者は、捕捉された食品小片を磨潰しディスクから取り除くために、有意な努力を費やさなければならない。そのような圧痕を具備しない磨潰しディスクは洗浄が容易である。
【0022】
本発明に従った磨潰しディスクは、食品を加工するためのフードプロセッサ内で使用されることが意図される。フードプロセッサは、例えば、遠心ジューサであり、加工されるべき食品は、例えば、磨り潰されるべき一片の果実(フルーツ)又は野菜であり、相応して、結果としての加工済み食品は、例えば、ジュース又は果肉(pulp)である。ジュースから果肉を分離するために、磨潰しディスクを、当該技術分野において既知の方法において、切頭円錐形の篩のようなフィルタによって取り囲み、それによって、フードプロセッサの使用中、即ち、磨潰しディスクの回転中、並びに、遠心力の結果、果肉はフィルタの縁部に亘って持ち越されるのに対し、微細にフィルタリングされたジュースはフィルタを通過し得る。ジュースから果肉を分離する他の代替例も同様に範囲内にある。磨潰しディスクは、好ましくは、フードプロセッサ内で、及び/又は、加工されるべき食品の送り方向に対して垂直な平面内で水平に回転するように取り付けられるが、手元の実施のために適切であるならば、如何なる相応しい平面内にも回転可能に取り付けられ得る。便宜のため、並びに、最適化された機能性のために、磨潰しディスクは、本質的に平坦なディスク表面を有し、少なくとも1つの磨潰し歯がディスク表面から突出する。「本質的に平坦な表面」は、ここでは、平坦に「近い」及び「殆ど」平坦な表面、よって、平坦なディスク表面からの軽度の逸脱を同様に含むことが意図される。
【0023】
本発明は請求項中に列挙される機能の全ての可能な組み合わせに関連することを付記する。
【0024】
本発明の実施態様を示す添付の図面を参照して、本発明のこの及び他の特徴を今やより詳細に記載する。同等の参照記号は、本明細書を通じて同等の素子を指す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明を実施し得る例示的なフードプロセッサを示す概略図である。
【
図2a】本発明の第一実施態様に従った磨潰しディスクを示す斜視図である。
【
図3a】本発明の第二実施態様に従った磨潰し歯を示す斜視図である。
【
図3b】本発明の第三実施態様に従った磨潰し歯を示す斜視図である。
【
図3c】本発明の第四実施態様に従った磨潰し歯を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第一実施態様に従った例示的なフードプロセッサ(食品加工器)1を示している。フードプロセッサ1は、ここでは遠心ジューサであるが、代替的な実施態様によれば、他のフードプロセッサも同様に範囲内にある。従って、遠心ジューサ1は、ここでは果実片又は野菜片からジュースを搾り出すために適合されているが、代替的なフードプロセッサを如何なる他の相応しい食品の加工のためにも適合し得る。
【0027】
図1の遠心ジューサ1は、例えば、遠心ジューサ1内に一片の果実を導入するための、導入片(inlet piece)6を含む。一片の果実を下向きに手動で押し付けるために、遠心ジューサ1は、プッシャ7を更に含み得る。特筆すべきことに、手元の実施を念頭に導入片及び/又はプッシャ7の形状及び寸法を選択し得るが、その設計は本発明にとって重要ではない。遠心ジューサ1は、ハウジング2を更に含み、ハウジング2は、駆動シャフトを備える電気モータを収容し、駆動シャフトは、駆動シャフト上に取り付けられる磨潰しディスク4を回転する。ここでは、磨潰しディスク4の回転方向が導入片6の送り方向に対して垂直な水平平面内で起こるが、代替的な実施態様のために他の方向も選択し得る。磨潰しディスク4は、果肉からジュースを分離し且つジュースを排出管8に方向付けるよう構成される切頭円錐形フィルタ篩5の中央に配置される。排出管8は注ぎ口9の上に位置し、注ぎ口9は、搾り出されたジュースを、注ぎ口の下に配置されるべき容器(図示せず)内に排出するために配置される。加えて、果肉からジュースを搾り出した後に篩5内の果肉を受け入れるための果肉容器10が設けられる。特筆すべきことに、如何なる他の相応しい代替的な篩5内での磨潰しディスク4の位置付け、並びに、他の形状のフィルタ5も本発明の範囲内にある。
【0028】
遠心ジューサ1は、磨潰しディスク4の回転後、一片の果実が磨潰しディスク4によって磨り潰され、それによって、ジュース及び果肉はフィルタ篩5に対して投げ付けられるように構成される。相応して、ジュースは篩5を通じて滴り落ち、注ぎ口9を介した回収のために排出管8に輸送されるのに対し、果肉は篩5の縁部を越えて排出されて果肉容器10内に収集される。ここでは、磨潰しディスク4及びフィルタ篩5の両方が回転するよう構成されるが、代替的な実施態様によれば、磨潰しディスク4のみが回転するよう構成される。前者の場合、果肉はより効率的に果肉容器10内に排出されるが、モータ3はより大きな出力を有することを必要とし得る。
【0029】
上述した限りにおいて、そのようなフードプロセッサ1及びその変形は従来知られている。しかしながら、本発明で導入される磨潰しディスク4の新規な機能は未だ説明されておらず、
図2を参照して以下に説明する。
【0030】
図2aは、第一実施態様の磨潰しディスク4をより詳細に例示している。磨潰しディスク4は、内側領域21と、外側領域22とを含み、内側領域21は、ここでは、磨潰しディスク4の本質的に中央に位置付けられ、外側領域22は、ここでは、磨潰しディスク4の外側縁部、即ち、周を表している。磨潰しディスク4は、本質的に平坦なディスク表面23を有し、磨潰しディスク4が回転方向26において回転するときに食品を磨り潰すために、複数の磨潰し歯24がディスク表面23から突出している。この第一実施態様によれば、磨潰し歯24は、内側領域21から外側縁部に延びる複数の線27内に配置される。ここでは、磨潰し歯24及び磨潰し歯の線27は、ディスク表面23の上に本質的に均一に分配され、本質的に外側縁部22まで延びている。しかしながら、特筆すべきことに、代替的な実施態様によれば、線は必ずしも外側縁部22まで延びる必要はないし、必ずしも均一に分配されなくてもよい。例えば、単一の線だけが設けられてもよく、線27は異なる数の磨潰し歯24を含んでもよく、1つの線27内の磨潰し歯24を他の線27と比較してより離間し得るし、1つの線27は他の線27よりも短くあり得る等。更に、線27は直線配置を有するが、代替的な実施態様によれば、線27を、例えば、湾曲させ得るし、或いは、ディスク表面23に亘って如何なる他の相応しい方法においても形成し得る。
【0031】
ディスク及び磨潰し歯は、金属(スチール、アルミニウム、チタン等)、セラミック、プラスチック、又は、これらの材料の任意の組み合わせのような、任意の適切な材料を概ね含み得る。それを粉砕、侵食、プレス、成形、組立てを含む任意の適切な技法を用いて製造し得る。各歯は、中空又は中実な本体であり得る。中実本体は、単純化された製造手順をもたらし得るのみならず、加えて、不断の磨潰し表面ももたらし得る。歯は半中実であり得る、例えば、中空の下方部分と中実な上方部分とを有し得る。
【0032】
本発明に従った遠心ジューサ1の使用中に、果肉が磨潰しディスク4、特に磨潰し歯24に付着するのを防止するのに寄与するために、磨潰し歯24の設計が考慮される。故に、この第一実施態様に従った磨潰し歯24を
図2bを参照して以下に更に詳細に記載する。
【0033】
図2bは、
図2aの磨潰し歯24の斜視図を提示している。この第一実施態様によれば、磨潰し歯24は、中実な本体であるが、代替的な実施態様によれば、他の選択肢を実現可能である。磨潰し歯24は、基部(ベース)25から閉塞遠位端部まで延びる不断の外囲表面(envelope surface)28を有する。外囲表面29は、遠心ジューサ1の使用中に、例えば、一片の果実と接触させられることが意図される前方表面30を含む。前方表面30は、磨潰しディスクの回転方向26に面する。よって、前方表面30は、フードプロセッサの使用中、磨潰し歯を先導する。前方表面30は、磨潰しディスク4のディスク表面23と角度γを形成する。例示の場合、この角度γは、約90度であるが、典型的には、90〜100度の範囲内にあり得る。磨潰し歯24は、前方表面30の反対側にある後方表面33を更に含む。後方表面33は、角度βでディスク表面23と交わり、ここでは、角度βは、約135度である。外囲表面29は、前方表面と後方表面との間に延びる中間表面31を更に含む。中間表面31は、回転方向26において連続的な勾配を有するのが好ましく、ここでは、回転方向26に対して垂直な方向において見られるとき、外向きに凸状である。
【0034】
図2b中の磨潰し歯は、
図2cに断面で示されている。磨潰し歯24が磨潰しディスク4の回転中に切断機能性をもたらすのを保証するために、中間表面31は、角度αで磨潰し縁部32に沿って前方表面30と交わる。角度αは、任意の相応しい値、例えば、満足行く切断機能性をもたらす60〜120度の間の値を取り得る。しかしながら、ここでは、磨潰し縁部32の磨潰し角αは、約90度である。ここでは、磨潰し歯24の後方表面33は、必ずしも磨潰し歯24の切断機能性に寄与しなくてもよく、むしろ食品小片が磨潰し歯に付着するのを回避するよう構成され、且つ、磨潰しディスク4を潜在的に指で洗浄する使用者が彼自身を危険に晒す鋭利な縁部を欠くよう構成される。後方表面33とディスク表面23との間の角度βは、後方表面が洗浄容易な滑らか斜面を形成するよう選択される。例示の場合、角度βは、約135度である。
【0035】
第一実施態様の遠心ジューサ1の使用中、可能であれば手動でプッシャ7によって、一片の果実をモータ3によって回転方向26に回転される磨潰しディスク4に向かって押し付けて、導入片6を通じて一片の果実を導入し得る。一片の果実が磨潰しディスク4に向かって押し付けられるとき、線27内に配置される磨潰し歯24は、それらのそれぞれの磨潰し表面29を用いて一片の果実を磨り潰す。食品小片が磨潰し歯24に付着するのを防止するのに寄与する磨潰し歯24の特性の結果、磨潰し歯24の上に残る加工食品はより少ない。磨り潰された材料、即ち、果肉及びジュースは、上向きに投げ付けられ、遠心力で篩5に対して外向きに投げ付けられる。次に、果肉は篩5の縁部に亘って進み、果肉容器10内に収集されるのに対し、微細にフィルタリングされたジュースは篩5を通過し、排出管8及び注ぎ口9に輸送される。従って、より高い歩留まりの回収ジュースを得ることができ、加えて、遠心ジュース1の使用後に磨潰しディスク4の上に残る果肉及びジュースはより少なく、磨潰しディスク4の洗浄性の向上を達成し得る。
【0036】
図3aは、本発明の第二実施態様に従った代替的な例示的な磨潰し歯324の斜視図を提示している。この第二実施態様の磨潰し歯324は第一実施態様の磨潰し歯24に相当程度類似するので、第二実施態様を第一実施態様から区別する機能のみを以下に議論する。
【0037】
図2bの外囲表面29と同様に、
図3aの外囲表面329は不断であり、前方表面330と、後方表面333とを含む。後方表面333は、前方表面330に延びる中間表面331に滑らかに移行している。最終的に、外囲表面329は、前方表面330の両側のディスク表面から延びる側方表面334を含む。前方表面330は、ここでは、本質的に矩形の断面を有し、前方表面330が中間表面331及び側方表面334と交わる場所に、磨潰し縁部332が形成されている。
【0038】
図3bは、本発明の第三実施態様に従った磨潰し歯424の更に他の代替的な実施例の斜視図を提示している。この第三実施態様の磨潰し歯424は、第一実施態様の磨潰し歯24に相当程度類似しているので、第三実施態様を第一実施態様から区別する機能のみを以下に議論する。
図3b中の歯の外囲表面429は、ここでは、三角形の前方表面430と、三角形の後方表面433とを含む。2つの側方表面434が前方表面と後方表面との間に延びているが、ここでは、側方表面434は互いに傾斜し合い、実質的に回転方向26に沿って延びる隆条434に沿って交わっている。更に、側方表面434は、ここでは、本質的に90度の磨潰し角で、2つの磨潰し縁部432に沿って前方表面430で交わっている。
【0039】
図3cは、本発明に従った歯の更に他の実施態様を例示している。この場合、歯524は、前方表面530と、後方表面533と、2つの側方表面534とを備える、ピラミッド形状である。
【0040】
上述では、フードプロセッサ1の使用中に食品小片が磨潰し歯24、故に、磨潰しディスク4に付着することが防止される点で処理済み食品の産出の改良を可能にする本発明の様々な実施を提供した。しかしながら、当業者は本発明が上述された好適実施態様に如何様にも限定されないことを認識するであろう。逆に、付属の請求項の範囲内で多くの修正及び変形が可能である。例えば、導入片6、プッシャ7、篩5、排出管8、注ぎ口9、及び、果肉容器10のようなフードプロセッサ1の部品、並びに、それらの寸法、互いに対する位置付け、及び、それらの実際の存在は、実施態様毎に異なり得る。例えば、排出管8及び/又は注ぎ口9をフィルタ篩5を取り囲み得るジュース容器と置換し、或いは、排出管8及び/又は注ぎ口9をフィルタ篩5を取り囲み得るジュース容器で補完し得る。その上、導入片6は、例えば、送り管であってよく、且つ/或いは、食品を下向きに磨潰しディスク4の上に押し付けるためにプッシャ7は不要であり得る。
【0041】
図面、本開示、及び、付属の請求項の研究から、請求項に係る発明を実施する当業者は、開示の実施態様の変形を理解し且つ実施し得る。請求項中の「含む」という用語は、他の素子又はステップを排除せず、不定冠詞は、複数を排除しない。