(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5795776
(24)【登録日】2015年8月21日
(45)【発行日】2015年10月14日
(54)【発明の名称】電気エネルギーを発生または蓄積する素子の直列結合を磁気カップリングにより平衡させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20060101AFI20150928BHJP
【FI】
H02J7/02 H
【請求項の数】18
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-553366(P2012-553366)
(86)(22)【出願日】2011年2月14日
(65)【公表番号】特表2013-520151(P2013-520151A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】FR2011000087
(87)【国際公開番号】WO2011101555
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2013年12月10日
(31)【優先権主張番号】1000671
(32)【優先日】2010年2月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506079836
【氏名又は名称】アンスティテュー ポリテクニーク ドゥ グルノーブル
(73)【特許権者】
【識別番号】502205846
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレビエ ジャン−クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュロー アレクサンドル
【審査官】
杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−131938(JP,A)
【文献】
特開2000−209786(JP,A)
【文献】
特開2001−339865(JP,A)
【文献】
特開2003−18857(JP,A)
【文献】
特開2004−236486(JP,A)
【文献】
特開2007−259621(JP,A)
【文献】
特開2008−206304(JP,A)
【文献】
特開2009−216448(JP,A)
【文献】
特開2009−247118(JP,A)
【文献】
特開2011−155718(JP,A)
【文献】
特開2011−155722(JP,A)
【文献】
特表2003−513605(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0017682(US,A1)
【文献】
米国特許第5821729(US,A)
【文献】
Nasser Kutkut, Deepak M. Divan,Dynamic equalization techniques for series battery stacks,18th International Telecommunication Energy Conference INTELEC'96,米国,IEEE,1996年10月 6日,P.514-521
【文献】
Toshihisa Shimizu, Masaki Hirakata, Tomoya Kamezawa, Hisao Watanabe,GENERATION CONTROL CIRCUIT FOR PHOTOVOLTAIC MODULES,IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS,米国,IEEE,2001年 5月 1日,Vol.16 No.3,P.293-300
【文献】
Tomokazu Mishima, Toho Ohnishi,Power compensation system for partially shaded PV array using electric double layer capacitors,28th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society IECON 02,米国,IEEE,2002年11月 5日,Vol.4,p.3262-3267
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡化するためのシステムであって、前記システムは、
複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)であって、その各々は前記インバータの2つのエンドポート間に並列に接続される2つのインバータアームによって構成され、各インバータアームは、前記アームの所謂「中点」(P11、P12)を介して直列に接続される2つのスイッチ(Th1、Tb1;Th2、Tb2)によって構成される、複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)と、
各フルブリッジ型インバータの前記2つのエンドポートを前記直列結合の個々の素子(CA1、CA2、CAN、PV1、PV2、PVN)へ接続するための複数のコネクタと、
上に巻かれた複数の巻線(W1、W2、WN)を有する磁気コアによって形成される磁気カプラ(NM)であって、前記巻線は各々、前記インバータの個々の1つのアームの中点へ接続される磁気カプラ(NM)と、を備え、
保護スイッチ(Tpi)は各インバータのエンドポートと直列に接続される、平衡化システム。
【請求項2】
電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡化するためのシステムであって、前記システムは、
複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)であって、その各々は前記インバータの2つのエンドポート間に並列に接続される2つのインバータアームによって構成され、各インバータアームは、前記アームの所謂「中点」(P11、P12)を介して直列に接続される2つのスイッチ(Th1、Tb1;Th2、Tb2)によって構成される、複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)と、
各フルブリッジ型インバータの前記2つのエンドポートを前記直列結合の個々の素子(CA1、CA2、CAN、PV1、PV2、PVN)へ接続するための複数のコネクタと、
上に巻かれた複数の巻線(W1、W2、WN)を有する磁気コアによって形成される磁気カプラ(NM)であって、前記巻線は各々、前記インバータの個々の1つのアームの中点へ接続される磁気カプラ(NM)と、を備え、
前記直列結合の前記素子の各々はサブ素子の並列結合によって構成され、各保護スイッチ(Tpi1、Tpi2、Tpi3)は前記サブ素子の各々と対応するインバータのエンドポートとの間に直列に接続される、平衡化システム。
【請求項3】
個々のフィルタキャパシタ(C1、C2、CN)は、対応するインバータの2つのエンドポート間で前記直列結合の各素子と並列に接続される、請求項1または2に記載の平衡化システム。
【請求項4】
前記素子を平衡化すべく前記インバータを制御するための制御信号を発生するための制御手段(MC)も含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載の平衡化システム。
【請求項5】
前記直列結合における各素子の端子間の電圧を測定するための測定手段(CC)も含み、前記制御手段は、2素子間の最大電圧差が第1のしきい値を超えた時点で、かつ前記差が第2のしきい値より下に降下するまで前記インバータを動作させるように構成されている、請求項4に記載の平衡化システム。
【請求項6】
電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡化するためのシステムであって、前記システムは、
複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)であって、その各々は前記インバータの2つのエンドポート間に並列に接続される2つのインバータアームによって構成され、各インバータアームは、前記アームの所謂「中点」(P11、P12)を介して直列に接続される2つのスイッチ(Th1、Tb1;Th2、Tb2)によって構成される、複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)と、
各フルブリッジ型インバータの前記2つのエンドポートを前記直列結合の個々の素子(CA1、CA2、CAN、PV1、PV2、PVN)へ接続するための複数のコネクタと、
上に巻かれた複数の巻線(W1、W2、WN)を有する磁気コアによって形成される磁気カプラ(NM)であって、前記巻線は各々、前記インバータの個々の1つのアームの中点へ接続される磁気カプラ(NM)と、を備え、
前記素子を平衡化すべく前記インバータを制御するための制御信号を発生するための制御手段(MC)も含み、
前記直列結合における各素子の端子間の電圧を測定するための測定手段(CC)も含み、前記制御手段は、2素子間の最大電圧差が第1のしきい値を超えた時点で、かつ前記差が第2のしきい値より下に降下するまで前記インバータを動作させるように構成されている、平衡化システム。
【請求項7】
前記測定手段は、インバータのスイッチと並列に接続される電流センサ(CC)を備え、前記制御手段は、エネルギーを前記磁気カプラのコア内に磁気形式で蓄積し、続いて前記電流センサが装着されたインバータを、前記エネルギーを前記センサを介して方向づけられる電流の形式で放電するように制御すべく、各インバータを個別方式で制御するように構成されている、請求項5または6に記載の平衡化システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記複数のインバータを同期式に、0.5に等しい共通デューティ比で制御するように構成される、請求項4から請求項7のいずれかに記載の平衡化システム。
【請求項9】
前記制御手段は、「マスタ」インバータと称される、前記インバータのうちの1つを制御するように構成され、かつ、
「スレーブ」インバータと称される前記システムの他のインバータのスイッチは、前記マスタインバータの動作の結果として個々の巻線の端子に現出する電圧により制御される、請求項8に記載の平衡化システム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記インバータを、様々なインバータを制御する信号間の調整可能な位相シフトと同期式に制御するように構成される、請求項8または請求項9に記載の平衡化システム。
【請求項11】
前記制御手段は、
前記直列結合の1つまたは複数の素子へ接続される、基準値より大きい電圧を提示する1つまたは複数のインバータを、エネルギーを前記磁気カプラのコア内へ磁気形式で蓄積するようにして制御すべく1つのハーフサイクルに渡って作用するように、続いて、
ハーフサイクルに渡って、前記直列結合の1つまたは複数の素子へ接続される、より低い電圧を提示するインバータを、前記磁気エネルギーを放出するような方式で制御するように、
上述の動作を周期的に反復するように構成される、請求項4から請求項7のいずれかに記載の平衡化システム。
【請求項12】
各インバータは、個々のチップ上へモノリシックに集積される、請求項1から請求項11のいずれかに記載の平衡化システム。
【請求項13】
電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡化するためのシステムであって、前記システムは、
複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)であって、その各々は前記インバータの2つのエンドポート間に並列に接続される2つのインバータアームによって構成され、各インバータアームは、前記アームの所謂「中点」(P11、P12)を介して直列に接続される2つのスイッチ(Th1、Tb1;Th2、Tb2)によって構成される、複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)と、
各フルブリッジ型インバータの前記2つのエンドポートを前記直列結合の個々の素子(CA1、CA2、CAN、PV1、PV2、PVN)へ接続するための複数のコネクタと、
上に巻かれた複数の巻線(W1、W2、WN)を有する磁気コアによって形成される磁気カプラ(NM)であって、前記巻線は各々、前記インバータの個々の1つのアームの中点へ接続される磁気カプラ(NM)と、を備え、
各インバータは、個々のチップ上へモノリシックに集積される、平衡化システム。
【請求項14】
前記チップは各々、パワートランジスタの形式で実装される前記スイッチのための精密制御手段(CR1、CR2、CTP)も集積する、請求項12または13に記載の平衡化システム。
【請求項15】
前記チップはCMOS技術を用いて製造される、請求項12から請求項14のいずれかに記載の平衡化システム。
【請求項16】
電気エネルギーを電気化学的に蓄積しかつ請求項1から請求項15のいずれかに記載の電圧平衡化システムを包含するための素子(CA1、CA2、CAN)の直列結合。
【請求項17】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の平衡化システムを含む太陽電池(PV1、PV2、PVN)の直列結合。
【請求項18】
電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡化するためのシステムであって、前記システムは、
複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)であって、その各々は前記インバータの2つのエンドポート間に並列に接続される2つのインバータアームによって構成され、各インバータアームは、前記アームの所謂「中点」(P11、P12)を介して直列に接続される2つのスイッチ(Th1、Tb1;Th2、Tb2)によって構成される、複数のフルブリッジ型インバータ(OPC1、OPC2、OPCN)と、
各フルブリッジ型インバータの前記2つのエンドポートを前記直列結合の個々の素子(CA1、CA2、CAN、PV1、PV2、PVN)へ接続するための複数のコネクタと、
上に巻かれた複数の巻線(W1、W2、WN)を有する磁気コアによって形成される磁気カプラ(NM)であって、前記巻線は各々、前記インバータの個々の1つのアームの中点へ接続される磁気カプラ(NM)と、を備える平衡化システムを含む太陽電池(PV1、PV2、PVN)の直列結合。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池または電気化学的蓄電池または蓄電池ユニット等の電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡させるためのシステムに関する。また本発明は、このような平衡化システムを装備した、電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合にも適用される。より正確には、本発明による平衡化システムは、様々な素子間の磁気カップリングを利用するタイプである。
【背景技術】
【0002】
図1に示されるように、電気化学バッテリは概してモジュラ構成である。基本素子は、単一の電気化学セルから成る個々の蓄電池Aによって構成される。並列接続される複数の蓄電池は蓄電池ユニットCAを形成し、このようなユニットは、単一の蓄電池の電圧に等しい電圧を送出するが、より大きい電流および蓄電容量を送出する。バッテリにより送出される電圧レベルを高めるために、複数の蓄電池ユニットが直列に接続され、所謂「モジュール」Mが形成される。次には、複数のモジュールが直列に接続され、所謂「スタック」Sが形成される場合がある。完成したバッテリBATTは、並列に接続された複数のスタックで構成される。
【0003】
本発明によるシステムは、具体的には、バッテリの互いに直列に接続される様々な素子(セルユニット、モジュール)間で電圧が平衡されることを可能にしようとするものである。
【0004】
電圧平衡化の問題は、4つの蓄電池ユニットCA1、CA2、CA3およびCA4の結合から成るバッテリを示す
図2Aに示されているが、このバッテリは、充電されるために定電流源へ接続される。理想的には、バッテリの端子において総電圧16Vを提供するために、4つのユニットは全て同じ4ボルト(V)まで充電されるべきである。実際には、素子の製造、利用度および経時変化といった条件に付随するばらつき現象が存在し、そのため、素子の中には、他の素子より速く充電または放電される、または異なる電圧レベルで充電または放電されるものがある。したがって、
図2Aにおいて、素子CA1およびCA4は公称電圧4Vより低い電圧まで充電され、一方で素子CA2はかなり大きい(4.3V)かつそれを損傷する場合もある値にまで充電される。逆に、素子CA4は電圧3.8Vまでしか充電されず、よってこの素子は、長期使用の後にほとんど有害といってよい、かつ直列結合の端子間電圧を測定するだけでは検出されない場合もある深刻な放電状態となる危険を犯すものである。これらの問題は、不全充電および過充電に極めて過敏なリチウム電池の場合に特に深刻である。
【0005】
同様の問題は、単一のセルによって送出される電圧レベルを上げるために必要とされるような、太陽電池を直列に結合する場合にも発生する。結合されるセルのうちの1つが故障していれば、または単に(その表面が汚れていること、または日陰にあることに起因して)他ほど強くない光束に暴露されていれば、その端子間にはマイナスの電位差が現出する場合があり、これにより結合によって発生される総電力レベルは大幅に低減される。
【0006】
図2Bは、逆バイアスダイオードによって表された太陽電池PV
1、…、PV
Nのこのような直列結合を示している。セルと直列に接続される最大電力点追従回路(MPPT)は、光起電力効果により発生される電力を最大化するように、直列結合を介して流れる電流の大きさを決定する。
図2Cにおいて、曲線CIV1は同じ光束へ暴露された場合の太陽電池に特徴的な電流(I)/電圧(V)を示し、曲線CIV2は、瞬時Tを始点としてたとえば汚れに起因してより少ない光束に暴露される1つのセルに特徴的なそれを示す。
【0007】
全てのセルが同様に照射され、よって同じ特徴CIV1を辿るt<Tについては、MPPTモジュールは直列結合に電流I
OPTIを課し、その結果、
P
OPTI=n・V
OPTI・I
OPTI=n・max(V・I)であるような、各セルの端末を介する電位差V
OPTIが得られる。
【0008】
瞬間t=Tを始点として、セルの内の1つ、PV
iはより少ない光束を受け、よってその特徴は曲線CIV2のそれになる。
【0009】
直列結合を介して流れる電流がI
OPTIに等しいままであれば、日陰の、または汚れたセルPV
iの端子における電位差はマイナスとなり、かつ−V
Bに等しくなる(アバランシェ降伏電圧)。したがって、電力損失は次式に等しい。
【0010】
ΔP
1=−I
OPTI(V
OPTI+V
B)
この状況に対して、MPPTモジュールは、セルPV
iがもう一度エネルギーを生成するように、電流をレベルI’=I
OPTI−ΔIまで低減させることにより対応する。しかしながら、総電力は、
P’=I’・[(n−1)・V
2+V’]まで低減され、電力損失は、
ΔP
2=P’−P
OPTIとなる。ここで、V
2は、I=I’の場合のセルPV
j(j≠1)の端子間の電圧であり、V’は、I=I’の場合のセルPV
iの端子間の電圧である。
【0011】
何れにしても、単に1つの太陽電池の照射の低減が、直列結合により発生される電力の大幅な低減に繋がることを観察する点が重要である。
【0012】
電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子−但し、電気化学的蓄電池および太陽電池はこのような素子の単に非限定的な例である−の直列結合における欠点を軽減するためには、平衡化システムを提供することが必要である。
【0013】
最新技術は、電気エネルギーを電気化学的に蓄積する素子のための電圧平衡化システムを幾つか含んでいる。
【0014】
最も一般的な平衡化システムは、受動型または散逸型である。たとえば、充電の間、これらのシステムは連続的または周期的に作動して直列に接続された素子の各々の端子間の電位差を測定し、かつより小さい容量の素子によってはそれ以上吸収され得ない電流をディシペータ抵抗器へと流す。このようなシステムが受容し難いエネルギー損失を招くことは理解することができ、様々な電気化学素子でその特徴にかなりのばらつきがある場合、熱放散器のサイズは法外になり得る。バッテリの放電は、最低容量の素子がその受容可能な低い電圧限度に達した時点で停止されなければならず、これは、バッテリの蓄電能力がその最悪の素子の蓄電容量によって限定されることを意味する。
【0015】
また、電流を放散する代わりにバッテリ内に電流を再配分する能動型の平衡化システムも存在する。したがって、充電の間、このようなシステムは、「より弱い」素子によってそれ以上吸収され得ない電流を、まだ使い果たされていない蓄電容量を有する「より強力な」素子へと流す。放電の間、これらのシステムは、「より弱い」素子から到来する電流の損失を補償するために、「より強力な」素子から追加的な電流を入手する。このようなシステムの主たる欠点は、その複雑さおよびその高コストにある。
【0016】
N.KutkutおよびD.Divanによる非特許文献1には、能動型の平衡化システムが幾つか記述されている。
【0017】
これらのシステムにおける最も単純なものは、素子毎に迂回経路を確立し、前記迂回経路は各々、通常は開放されているスイッチを含む。ある素子がその最大充電レベルに達すると、スイッチは閉止し、これにより充電用電流がエネルギー蓄積インダクタンスへと流される。所定の時間長の後、スイッチは再び開き、インダクタンスに蓄積されたエネルギーが直列結合におけるすぐ下流側に位置決めされたバッテリ素子へ流される。すると、サイクルが再始動する。このシステムの欠点は、エネルギーを、「上流側の」(バッテリ陰極に近い、よってより高い電位に位置づけられる)素子から「下流側の」(陽極に近い、よってより低い電位に位置づけられる)素子へ向かう一方向でしか伝達できないことにある。両方向の伝達を達成するためには、直列結合内の隣接するバッテリ素子の各ペア間に誘導負荷が接続されるハーフブリッジ型の直流/直流(DC/DC)電圧変換器を形成する、より複雑な構造体を提供することが必要である。
【0018】
特許文献1は、エネルギーが個々の磁気カプラを介して隣接するバッテリ素子間で伝達され得る能動型の双方向平衡化システムについて記述している。先に述べた状況の場合と同様に、エネルギー伝達は、隣接する素子間でしか発生しない。
【0019】
集中型である他のシステムは、全ての素子が個々の切換回路を介して接続される多巻線磁気カプラによって、バッテリ素子の全体的な平衡化を実行する。このようなシステムの一例は、最も関連の深い先行技術であるものとされる特許文献2に記述されている。具体的には、その
図11を参照されたい。このようなシステムは、
図3に略示されている。参照記号CA
1、CA
2、…、CA
iは、直列に接続された異なる蓄電池ユニットを表す。参照記号NMは、全ての蓄電池ユニットに共通しかつカプラとして作用する磁気コアをラベリングしたものである。コアNM上には、個々の蓄電池ユニットに関連づけられる複数の巻線W
1、W
2、…、W
i、…が作られている。より正確には、これらの巻線は二重巻線であって、各々が中点P
2を伴う2つの終端接点P
1およびP
3を有する。各巻線の中点P
2は、対応する蓄電池ユニットのプラス端子(陰極)へ接続され、2つの終端接点P
1およびP
3は、ハーフブリッジ型インバータを形成する個々のトランジスタT
1、T
2を介してそのマイナス端子(陽極)へ接続される。様々なユニットのトランジスタT
1は同期的に制御され、トランジスタT
2もまた相補式に同様である。磁気コアNM内に誘導される磁束は、それがトランジスタT
2が非導電性である間に導電性であるトランジスタT
1であるか、またはその逆であるかに依存して符号を変えることは理解され得る。T
1およびT
2の交互的切換を起動することにより、バッテリ素子の充電用電圧の所謂「自然な」平衡化が達成され、即ち、より大きい電荷を有する素子が磁気コアNMを介してより小さい電荷を有する素子へエネルギーを送出する。
【0020】
図3が示す平衡化システムの主たる欠点は、具体的には、各バッテリ素子(蓄電池、蓄電池ユニットまたはモジュール)を平衡させるために中点を有する二重巻線が用いられることに起因して、その嵩にある。別の欠点は、システムが蓄電池ユニットの故障に対処できないことにある。
【0021】
直列結合の太陽電池における平衡化または補償の問題は、具体的には、T.Shimizuらによる非特許文献2から既知である。この論文は、磁気カプラの使用および集中型平衡化の実行を基礎とする第1の回路を提案している。この回路は、サイズが比較的大きい。またこの論文は、制御が比較的複雑である多段チョッパ回路を基礎とする第2の平衡化回路を開示している。
【0022】
T.MishimaおよびT.Ohnishiによる非特許文献3は、電気エネルギーの容量性蓄積を利用する、太陽電池の直列結合のための代替的平衡化回路について記述している。この回路は、キャパシタンスが比較的高いキャパシタの幾つかのバンクを用いることに依存することから、制御が複雑であると同時に嵩高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第6150795号明細書
【特許文献2】米国特許第6873134号明細書
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】N.KutkutおよびD.Divan著、「Dynamic equalization techniques for series battery stacks」, 18th International Telecommunication Energy Conference, 1996年 (INTELEC’96), 514−521頁
【非特許文献2】T.Shimizuら著、「Generation control circuit for photovoltaic modules」, IEEE Transactions on Power Electronics, 第16巻, 第3号, 2001年5月
【非特許文献3】T.MishimaおよびT.Ohnishi著、「Power compensation system for partially shaded PV array using electric double layer capacitors」, 28th Annual Conference of the IEEE Industrial Electronics Society (IECON 02), 2002年11月5−8日, 第4巻, 3262−3267頁
【非特許文献4】O.Deleage、J.C.Crebier、Y.LembeyeおよびR.Rolland共著、「Conception d’un onduleur CMOS avec commande integree pour micro−convertisseur DC/DC」 [Design of a CMOS inverter with integrated control for a DC/DC microconverter], Colloque EPF’2008, Tours, 2008年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、先行技術による上述の欠点を完全に、または部分的に修復することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明によれば、この目的は、電気エネルギーを発生しかつ/または蓄積するための素子の直列結合を平衡化するためのシステムによって達成され、本システムは、本システムが、各々がそのインバータの2つのエンドポート間に並列接続される2つのインバータアームによって構成されかつ各インバータアームはそのアームの所謂「中点」を介して直列に接続される2つのスイッチによって構成される複数のフルブリッジ型インバータと、各フルブリッジ型インバータの2つのエンドポートを前記直列結合の個々の素子へ接続するための複数のコネクタと、上に巻き付けられた複数の巻線を有する磁気コアによって形成される磁気カプラであって、前記巻線は各々、前記インバータのうちの個々の1つのインバータのアームの中点へ接続されている磁気カプラとを備えることを特徴とする。
【0027】
図3のシステムと比較すると、本発明によるシステムは、平衡化されるべき各素子(たとえば、電気化学セル)毎に、二重巻線ではなく単巻線を1つしか持たないという優位点を提供する。実際のところ、システムの受動部分におけるこの単純化がその能動部分の複雑さの増大を伴うことは真実であり、先行技術によるハーフブリッジ型インバータは、2つではなく4つのスイッチ(トランジスタ)を有するフルブリッジ型インバータによって置換される。さらに、本発明のフルブリッジ型インバータの制御はさらに困難であって、何れの所定のアームにおいても2つのスイッチは、対応するバッテリ素子を短絡させることから絶対に同時に閉止されないことを確実にする必要がある。しかしながら、能動素子は、効果的に統合されることが可能である。結果的には、本発明による平衡化システムが特許文献2におけるシステムより著しく単純、安価かつ小型であることが分かる。
【0028】
本発明の具体的な実施形態によれば、
各インバータのエンドポートに保護スイッチが直列に接続されてもよい。
【0029】
ある変形例において、電気化学バッテリの前記素子が各々サブ素子の並列結合によって構成される場合、各保護スイッチは、前記サブ素子の各々と対応するインバータのエンドポートとの間に直列に接続されてもよい。
【0030】
個々のフィルタキャパシタは、対応するインバータの2つのエンドポート間で前記直列結合の各素子と並列に接続されてもよい。
【0031】
また本システムは、前記インバータを、前記素子を平衡化するようにして制御するための制御手段も含んでもよい。
【0032】
また本システムは、前記直列結合における各素子の端子間の電圧を測定するための測定手段も含んでもよく、前記制御手段は、2素子間の最大電圧差が第1のしきい値を超えた時点で、かつ前記差が第2のしきい値より下に降下するまで前記インバータを動作させるように構成されている。
【0033】
前記測定手段は、インバータのスイッチと並列に接続される電流センサを備えてもよく、制御手段は、エネルギーを磁気カプラのコア内に磁気形式で蓄積し、続いて前記電流センサが装着されたインバータを、前記エネルギーを前記センサを介して方向づけられる電流の形式で放電するように制御すべく、各インバータを個別方式で制御するように構成されている。
【0034】
前記制御手段は、
図3に示されているシステムの場合のように「自然平衡化」を実行するために、複数の前記インバータを0.5に略等しい共通デューティ比で同期的に制御するように構成されてもよい。このような状況下で、前記制御手段は、「マスタ」インバータと称される前記インバータのうちの1つを制御するように調整されてもよく、一方で、「スレーブ」インバータと称されるシステムの他のインバータのスイッチは、前記マスタインバータによる動作の結果として個々の巻線の端子に現出する電圧により制御されてもよい。
【0035】
ある変形例において、前記制御手段は、
基準値より大きい電圧を提供する前記直列結合の1つまたは複数の素子に接続される1つまたは複数のインバータを、磁気カプラのコア内にエネルギーを磁気形式で蓄積するようにして制御すべくハーフサイクルに渡って行動するように、次に、
ハーフサイクルに渡って、より低い電圧を提供する前記直列結合の1つまたは複数の素子へ接続されるインバータを、前記磁気エネルギーを放電するようにして制御するように、
前記直列結合の1つまたは複数の素子からエネルギーが、磁気カプラを介して具体的には1つまたは複数の他の素子内へ注入されるように抽出される「強制平衡化」を実行するために、上述の動作を周期的に反復するように構成されてもよい。
【0036】
前記制御手段は、前記インバータを、様々なインバータを制御する信号間の調整可能な位相シフトと同期式に制御するように構成されてもよい。
【0037】
先に説明したように、各インバータは、個々のチップ上へモノリシックに集積されてもよい。また前記チップは各々、パワートランジスタの形式で実装される前記スイッチのための精密制御手段を集積してもよい。効果的には、前記チップはCMOS技術を用いて製造されてもよい。
【0038】
また本発明は、電気エネルギーを電気化学的に蓄積するための太陽電池または素子の直列結合も提供し、本結合は先に述べたような平衡化システムを装備している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明の他の特徴、詳細および優位点は、例としての添付の図面を参照して行う説明を読めば明らかとなる。
【
図1】
図1は、電気化学バッテリのモジュラ構造を示す。
【
図2A】
図2Aは、電気化学エネルギー蓄積素子の直列結合における電圧平衡化の問題を示す。
【
図2B】
図2Bは、太陽電池の直列結合における平衡化の必要性を示す。
【
図2C】
図2Cは、太陽電池の直列結合における平衡化の必要性を示す。
【
図3】
図3は、先行技術において既知の能動型の平衡化システムを示す。
【
図4】
図4は、本発明の能動型平衡化システムを示す全体図である。
【
図7】
図7は、
図4のシステムによる3つの電気化学セルの充電電位の漸進的平衡化を示す。
【
図9A】
図9Aは、各バッテリ素子の端子において電圧測定が如何にして行われるかを示す。
【
図9B】
図9Bは、各バッテリ素子の端子において電圧測定が如何にして行われるかを示す。
【
図10A】
図10Aは、バッテリ素子またはそのサブ素子が故障しているという状況に対処するための、
図10Bとは異なる保護スキームを示す。
【
図10B】
図10Bは、バッテリ素子またはそのサブ素子が故障しているという状況に対処するための、
図10Aとは異なる保護スキームを示す。
【
図11】
図11は、本発明の能動型平衡化システムに使用される電力チップを示す理論図である。
【
図12】
図12は、パワートランジスタに隣接する制御回路を示す図である。
【
図13】
図13は、インバータの切換コマンドが磁気カプラによって伝達される、本発明の具体的な一実施形態を示す。
【
図14】
図14は、太陽電池の直列結合を平衡化するための本発明によるシステムの使用法を示す。
【
図15】
図15は、太陽電池の直列結合を平衡化するための本発明によるシステムの使用法を示す。
【
図16】
図16は、本発明によるシステムの「混合」制御モードを示す。
【
図17】
図17は、本発明によるシステムの「混合」制御モードを示す。
【
図18】
図18は、本発明によるシステムの「混合」制御モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図4に示されているように、本発明の平衡化システムは、各バッテリ素子CA
1、CA
2、…、CA
Nを、フルブリッジ型インバータおよび磁気カプラ巻線によって形成されるモジュールと結合させる。
【0041】
各フルブリッジ型インバータOPC
1、OPC
2、…、OPC
Nは、そのエンドポートが個々のコネクタによって対応するバッテリ素子の端子へ接続されている2つのブリッジアームの並列結合によって構成され、各ブリッジアームは、直列する2つのスイッチによって構成される。ここに記述されている実施形態において、ブリッジアームは相補形金属酸化膜オンシリコン(CMOS)技術を用いて製造され、各アーム内の(バッテリ素子のプラス端子へ接続するための)「トップ」スイッチはP型金属酸化物オンシリコン(PMOS)を用いて製造され、一方で対応する(バッテリ素子のマイナス端子へ接続するための)「ボトム」スイッチはn型金属酸化物オンシリコン(NMOS)で製造される。本図において、「T
hnm」および「T
bnm」は各々、バッテリ素子番号
m(m=1からN)に関連づけられるインバータにおけるアーム番号
n(n=1または2)のトップ(「高」)トランジスタおよびボトムトランジスタを示す。トランジスタ本体のダイオードは、「D
hnm」で参照される。
【0042】
アームの中点P
1i、P
2i(但し、「i」はインバータの指数)は、全ての巻線間に磁気カップリングを提供する共通の磁気コアNM上へ巻き付けられる個々の巻線W
iへ接続される。磁気コアNMおよび巻線W
iは、全てのモジュールを互いに接続する磁気カプラを形成する。
【0043】
参照記号L
mは、カプラの磁化インダクタンスを示す。
【0044】
個々のキャパシタC
1、…、C
Nは、各バッテリ素子と並列に接続される。これらの主たる機能は、トランジスタの切換時に電気的な力(電圧、電流)のチョッピングによって発生される高周波成分を濾波することにある。後にさらに詳述するように、これらは、インバータおよび関連する電子機器への連続的な電力供給を保証する働きもする。
【0045】
図5Aおよび
図5Bは、
図4のシステムの「自然な」平衡化状態における動作を示す。このような状態下では、全てのインバータは、騒音公害の発生を回避するために、0.5に等しいデューティ比を有する、かつ好ましくは20キロヘルツ(kHz)より高い周波数、即ち聴力しきい値を上回る周波数を有するパルス幅変調制御信号によって同期的に制御される。
【0046】
第1のハーフサイクルの間(
図5A)は、各インバータの第1のアームにおけるボトムスイッチおよび第2のアームにおけるトップスイッチが閉止され、第2のハーフサイクルの間(
図5B)は、第1のアームにおけるトップスイッチおよび第2のアームにおけるボトムスイッチが閉止される。
図5Aおよび
図5Bが示すバッテリ素子および対応するインバータは2つだけであるが、素子CA
iはより多く充電される素子であり、一方で素子CA
jはより低い電圧レベルまで充電される。
【0047】
より多く充電される素子CA
iは、巻線W
iを介して放電する傾向があって、この巻線を介して流れる電流は磁気コアNM内で変動する磁束を発生し、変動する磁束は次に巻線W
j内で電流を発生する。
図5Aに示されているように、この電流は、W
iを介して流れる電流とは反対方向に流れ、かつCA
jを充電する傾向がある。よって、エネルギー移動は2つの素子CA
iおよびCA
j間のインピーダンス、即ち、巻線の直列抵抗、導電状態にある間のトランジスタの抵抗、によって制限される。トランジスタの大きさは、許容されることが望まれる電流平衡化の最大レベルを基礎として決定される。ある変形例では、離散抵抗器を直列に接続することが可能であり、用途毎に離散抵抗器のみを変更して「標準」チップを様々な用途に使用できるようにするという利点がある。
【0048】
問題は、巻線W
iを介して流れる電流の一部が、磁気コアおよび様々な巻線により形成される磁気カプラの磁化インダクタンスL
mを荷電することにある(この電流は、過密を避けるために
図5Aおよび
図5Bには示されていない)。このインダクタンスが飽和状態にならないことを保証するためには、端子における平均電圧がゼロであることを保証すべく所定の時間長(数十マイクロ秒)の後に巻線の極性を反転することが必要であり、第1のハーフサイクルの間に閉止されていたスイッチは開放され、かつ開放されていたスイッチは閉止される。電流は、
図5Bに示されているように方向を逆転するが、素子CA
jはCA
iを犠牲にして充電し続ける。さらに、カプラの磁化インダクタンスL
mに蓄積されるエネルギーは放出され、再度反対方向の電流形式で蓄積される。
【0049】
CA
jに関する先の叙述は、CA
iの電圧より低い電圧まで充電される全ての素子にも等しく当て嵌まる。
【0050】
図6Aにおいて、線I
Wi、I
WjおよびI
Lmは各々、2つの巻線W
i、W
jおよび磁化インダクタンスL
mを介して流れる電流の時間変動(目盛り:ミリ秒(ms))を示す。この図からは、電流振動が漸進的に減衰されていることが分かり、2つの蓄電素子CA
iおよびCA
j間に平衡が確立されつつあることが表されている。
【0051】
図6Bにおいて、線I
CAiおよびI
CAjは、2つのバッテリ素子CA
iおよびCA
jを介して流れる電流の経時的変動(目盛り単位:ms)を示す(マイナス符号は放電電流、プラス符号は荷電電流)。これらの電流はゆっくりとゼロへ向かって収束しているが、これもまた、荷電平衡が確立されつつあることを表している。
【0052】
図7は、3つの蓄電池ユニット、即ち、当初4.1Vに充電されたCA1、当初3.8Vに充電されたCA2および当初3.7Vに充電されたCA3、による自然平衡化を示す。3ユニットの電圧は、7ms未満で約3.85Vという共通の値に収束することが分かる。
【0053】
「自然」平衡化は、必ずしも全てのバッテリ素子に当て嵌まるものではなく、インバータの部分集合のみを制御して、他の部分集合は、対応するバッテリ素子を平衡化システムから分断するように開放構造のままにすることも可能である。このような状況下では、平衡化は、能動型インバータに関連づけられるバッテリ素子間でのみ発生する。
【0054】
また動作モードには、エネルギーが磁化インダクタンスL
mを介する一時的な蓄積によって間接的に伝達される、「強制」と称される場合もある別のモードも存在する。この動作モードでは、動作が2段階で発生する。第1のハーフサイクルでは、1つのインバータ(または、差が数ミリボルト以下である類似の電圧レベルまで充電される素子に関連づけられる複数のインバータ)のみが動作し、一方で他のインバータは不活性でありかつ個々のバッテリ素子を磁気カプラから絶縁する。動作しているインバータは、その過剰な電荷を他の素子へ移動させるために部分的に放電される必要があるバッテリ素子に関連づけられる。インバータの2つのスイッチは、巻線に電流を流せるように閉止される(たとえば、第2のアームのトップスイッチおよび第1のアームのボトムスイッチ)。磁気カプラの他の巻線は開路であることから、この電流は、完全に磁化インダクタンスL
mを荷電する働きをする。
【0055】
第2のハーフサイクルにおいて、先に動作していたインバータのスイッチは開放され、一方で、追加的な電荷を受け入れるべきバッテリ素子に関連づけられるインバータは、第1のハーフサイクルの間に磁化インダクタンスに蓄積されたエネルギーを放電できるようにすべく動作する。
【0056】
図8Aおよび
図8Bは詳細線図であって、素子CA
1から素子CA
3へ、磁化インダクタンスL
m内の一時的なエネルギー蓄積を介して進むエネルギーの強制移動を示している。
【0057】
先に説明したように、第1のハーフサイクル(
図8A)では、第1のインバータOPC
1のスイッチT
h11およびT
b12のみが閉止され、よって素子CA
1は部分的に巻線W
1を介して放電する。これは、磁化インダクタンスL
m内に電流I
Lmを誘導し、この電流は時間に比例して増大する。この第1のハーフサイクルの間、他のインバータの他のスイッチは全て開放されている。したがって、磁気カップリングによってその端子間に現出する電位差(V
CA1に等しい)にも関わらず、巻線W
2、W
3、…内に電流は流れ得ない。
【0058】
この後、第2のハーフサイクル(
図8B)では、OPC
1のスイッチT
h11およびT
b12が開放され、一方でインバータOPC
3のスイッチT
h32およびT
b32が閉止される。磁化インダクタンスL
mを介して流れる電流は線形的に減少し始め、これにより巻線W
1、W
2、W
3、…の端子における電位差が逆転される。スイッチT
h32およびT
b32が閉止されているとすれば、電流は巻線W
3内を流れることができ、この電流は、素子CA
3を荷電する傾向のあることが分かる。したがって、CA
1に蓄積されるエネルギーの一部は、第1のハーフサイクルの間はL
mへ移動され、次に、第2のハーフサイクルの間はCA
3へ移動される。
【0060】
強制平衡化の実装は、自然平衡化より複雑である。さらに、制御が正しく実行されなければ「過剰平衡」に至る、即ち当初充電不足であった素子が過充電になる可能性がある。
【0061】
その長所はそのフレキシブルさによって表され、これは、エネルギーが所定のバッテリ素子から1つまたは複数の他の素子へ制御されて移動できるようにする。さらに、ある特殊な状況においては、たとえば、放電中に1素子側の弱さを「見込む」ことが望ましければ、(それが他の素子より急速に放電するという事実を補償するために、安全限度を超過することなく、過充電することによる)「過剰平衡」は意図的である可能性もある。
【0062】
これに対して、強制平衡化は、最も多く充電された素子と最も少なく充電された素子との間の電位差が典型的には約1.4Vを上回って大きすぎれば、動作することができない。インバータは、理想的なスイッチによって構成されるものではなく、個々のアンチパラレル・ボディ・ダイオードを含むパワートランジスタによって構成されることを忘れてはならない。V
CA1−V
CA3が約1.4V(これらのダイオードの起動電圧の2倍)より大きければ、これらは望ましくない方式で導電性となるが、これは、上述の動作スキームには適合しない。
【0063】
強制平衡化については、先に、唯一のエネルギードナー素子(CA
1)および1つのエネルギーレシーバ素子(CA
2)を含む例を参照して記述している。しかしながら、複数のドナー素子−但し、全てが同じ電圧レベルまで充電されるものとする−および複数のレシーバ素子−異なる電圧レベルまで充電される場合でも−を用いることも可能である。バッテリ内で直列に接続される素子の電圧平衡化は、様々な素子の端子間の電圧測定が(連続的または周期的に)行われることを必要とする。強制平衡化の場合、これが必須であることは明白であり、かつ自然平衡化の場合も事実上不可避である。自然平衡化は、不可避的にエネルギー損失を生じさせ、結果的に、インバータは必要な場合にのみ動作されることが好ましい。具体的には、自然平衡化は、最も多く充電された素子と最も少なく充電された素子との間の電位差が第1のしきい値を超えると起動され、この差が第2のしきい値(第1のしきい値より少ない:ヒステリシス)より下がると平衡化は停止される。
【0064】
先行技術では、これらの測定が、バッテリ素子毎の個々の電圧センサを用いて実行される。このソリューションは、システムの複雑さおよびコストを高める。また、異なるセンサを用いることによって結果的に生じる測定誤差にばらつきがあるという問題も存在する。
【0065】
平衡化手段としてフルブリッジ型インバータを使用すれば、これらの欠点を軽減することができる。
図9Aおよび
図9Bに示されているように、バッテリの任意の素子上の電圧を測定するためには、インバータのうちの1つに、そのスイッチのうちの1つと並列に接続される電流センサCCを装備することで足りる。図示されている例において、このスイッチはスイッチT
bN2であり、即ち、そのマイナス端子が接地されているユニットCA
N(バッテリの「ボトム」ユニット)に関連づけられる、N番目のインバータの第2のアーム内のボトムスイッチである。仮に、ユニットCA
iの充電電圧の測定が希望されているものとする。これを行うために(
図9A)、このユニットに関連づけられるインバータのスイッチT
hi2およびT
bi1は閉止され、よって電流I
Lがインバータを介して流れ、磁化インダクタンスL
mを荷電する(システムの他のスイッチは全て開放されている)。このインダクタンスに蓄積されるエネルギーの量は、CA
iの端子間の電圧に依存する。この後、N番目のスイッチT
bN1が閉じられる間、スイッチT
hi2およびT
bi1は閉止される。
図9Bに示されているように、磁化インダクタンスL
m内に蓄積されたエネルギーはこれでスイッチおよび電流センサCCを介して放電される。センサによって測定される電流は、磁化インダクタンスにより蓄積されるエネルギーに比例し、延てはCA
iの端子間の電圧に比例する。この動作は、全てのユニット(CA
Nを含む)に関して反復され、全ての測定が同一センサによって実行されることから、ユニット間の充電レベルの差は遙かに信頼性が高く決定される。さらに、専ら測定値を得ることに専念される唯一のコンポーネントはセンサCCであって、これは、対応するインバータへの容易な組込みが可能である。
【0066】
この技術の欠点は、測定が同時的ではなく、順次的に実行されることにある。しかしながら、個々の測定に要する時間は数マイクロ秒であることから、検討中の用途において容認できないわけではない。
【0067】
本発明のシステムを制御するモードとしては、「混合」モードと称される場合もある第3のモードが存在する。この制御モードは、唯一、様々なインバータを制御する信号間に可変位相オフセットが導入されることにおいて自然平衡化と異なる。自然平衡化の場合、エネルギー移動は主として、誘導蓄積なしにカプラを介して直に発生し、強制平衡化の場合、エネルギーは本質的に、カプラの磁化インダクタンスを介して移動される。混合平衡化でも、やはりユニット間の直接的なエネルギー移動が用いられるが、その大きさおよびその方向は、カプラと直列である漏れインダクタンスを考慮して調整されることが可能である。この調整は、様々なインバータを制御する信号間に位相シフトを導入することによって達成される。
図16は、直列する漏れインダクタンスL
fを有する理想的なカプラであるとして表現されるカプラを介する、2つのユニットCA
iおよびCA
jのカップリングを示している。
【0068】
図17は、
図16に示す回路の様々なトランジスタの制御信号、即ち、C
hi1(トランジスタT
hi1)、C
hi2(トランジスタT
hi2)、C
bi1(トランジスタT
bi1)、C
bi2(トランジスタT
bi2)、C
hj1(トランジスタT
hj1)、C
hj2(トランジスタT
hj2)、C
bj1(トランジスタT
bj1)、C
bj2(トランジスタT
bj2)を示している。βTは位相シフトであることが分かる。但し、0<β<0.5であり、かつTは制御サイクルの持続時間である。デューティ比は、0.5に等しい。
【0069】
図18は、(放電されるべき素子に対応する)一次巻線上の電圧V
E、(充電されるべき素子に対応する)二次巻線上の電圧V
Sおよび漏れインダクタンス内の電流I
Lを示す。
【0070】
2ユニット間の電力の流れの大きさおよび方向は、位相シフトβを修正することによって調整することが可能である。
【0071】
理論解析は、入力電圧と出力電圧との関係性をβの関数として、次式、
【0072】
【数1】
のように規定し、かつ下記のような出力電力も規定する。
【0074】
様々な段階間の位相シフトが一度、かつ永久的に設定されれば、平衡化モードは再び厳密な自然モードになる。このような状況下であっても、位相シフトβ≠0(一定の位相シフト)の使用は、漏れインダクタンスの損失を低減するために、具体的には、高周波数(100kHz以上)での制御に際して役に立つ可能性がある。
【0075】
平衡化モードが何であれ、バッテリ素子が故障することはあり、このような状況下ではその電位が下がったままであって、このような素子に注入される電流は何れも充電の機能を果たすことなく放散される。電圧平衡化、具体的には「自然」(または「混合」)平衡化の存在下でのこのような故障は破滅的である可能性があり、故障した素子は、平衡化によって利用可能にされる全てのエネルギーを吸収する。したがって、故障した場合に素子を絶縁するための手段を提供することが必要である。
【0076】
図10Aは、スイッチT
pi(NMOSトランジスタ)が各インバータのエンドポートと直列に接続される第1の絶縁スキームを示している。このスイッチの開放は、ユニットCA
iを磁気カプラから絶縁する働きをする。
【0077】
図10Bのスキームでは、バッテリ素子(ユニット)は並列に接続される複数のサブ素子(蓄電池)、CA
i1、CA
i2、CA
i3、によって構成され、これらは各々、個々の保護スイッチ、T
pi1、T
pi2、T
pi3と直列に接続される。この方法では、単一の蓄電池の故障がユニット全体の損失を引き起こすことはない。
【0078】
保護スイッチは、効果的にはN型トランジスタであり、これは、導電状態における抵抗がより低いことに起因してP型トランジスタよりも好ましい。
【0079】
先に述べたように、本発明のシステムの(トランジスタにより構成される)能動部分は、限定数のチップ内に集積されてもよい。従来的なCMOS技術が使用されれば、各インバータは、その制御用電子機器および関連の保護スイッチと共にモノリシックに集積されてもよい。基準電圧はインバータ毎に異なることから、複数のインバータにモノリシックな集積を用いることが所望されれば、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)タイプの技術に頼る必要がある。
【0080】
O.Deleage、J.C.Crebier、Y.LembeyeおよびR.Rolland共著の非特許文献4は、CMOS技術を用いてモノリシックに集積されかつ本発明の実装に適するフルブリッジ型インバータについて記述している。この論文で説明されているように、CMOSブリッジのアームの切換は、電力アプリケーションにおいて極めて重要である。切換中になんら予防策が講じられなければ、双方のパワーMOSFETが同時に導電性となり、接続先であるバッテリ素子を短絡させる。この問題を回避するためには、第1に、パワートランジスタのスイッチング速度を高めること、第2に、切換する時刻をオフセットすることが必要である。これは、インバータと同じチップ上へ組み込まれ得る精密制御回路を用いて達成される。
【0081】
図11は、このようなチップの原理の回路図を示す。チップのコアは、インバータの2つのブリッジアームを形成する4つのパワートランジスタ、T
h1、T
h2、T
b1およびT
b2によって構成される。先に説明したように、各ブリッジアームは、
図12に示されている構造の精密制御回路CR1、CR2に関連づけられる。トランジスタT
1−T
11は、制御信号v
cの3段増幅を形成し、これらのトランジスタは、電力素子への接近時点で増大する大きさであり、かつこれらの特性は、スイッチング損失と占有するシリコン面積との間に最良の譲歩をもたらすように決定される。トランジスタT
12−T
17は制御シフト回路を形成し、T
18の導電状態における抵抗はT
20の抵抗より遙かに(たとえば、10倍)大きく、同様に、T
19の導電状態における抵抗はT
17の抵抗より遙かに大きい。このような状態下では、v
cが低値から高値へ切り換わると、v
2はv
1より急速に追随し、結果的に、ブリッジアームのトップスイッチを構成するPMOSトランジスタは、ボトムスイッチを形成するNMOSトランジスタが導電を開始する前に導電を終える。逆に、v
cが低値に戻ると、v
1はv
2より迅速に追随し、結果的に、NMOSトランジスタは、PMOSトランジスタが導電を開始する前に導電を終える。これは、各切換における所定量の「不感時間」を保証し、この間、ブリッジアーム内のトランジスタはどれも導電しない。
【0082】
また電位スイッチT
pにも、遙かに単純である精密制御回路CTPが装備される。
【0083】
ブロックMRCは、制御または構成信号を受信するためのモジュールを構成し、外部制御モジュールMCから「高レベル」制御信号を受信してこれらを回路CTP、CR1、CR2を駆動するための信号に変換する。制御モジュールMCが、(バッテリ素子の直列結合におけるその位置の関数としての)基準電位を異にする複数のチップを駆動する必要がある、という事実は考慮されなければならない。したがって、モジュールMRCは、従来のレベルシフタまたは光カプラの形式で実装されてもよい。
【0084】
全体として、チップは、それが管理するバッテリ素子CAによって給電され、キャパシタCが(そのフィルタリング機能に加えて)前記電力供給の連続性を保証する。
図11において、太線は電力を伝達する導線を表し、一方で細線は信号のみを伝達する導線を表す。
【0085】
制御モジュールMCは、専用チップの形式で製造されてもよく、またはインバータを形成するチップのうちの1つと共に集積されてもよい。
【0086】
ある特に効果的な実施形態では、単一のインバータ(「マスタインバータ」)が制御モジュールによって直に駆動され、他のインバータ(「スレーブ」)は、磁気カプラを介して電力移動に使用されるスイッチングコマンドを受信する。この原理は
図13に示されているが、
図13からは、「スレーブ」インバータの第1のアームのトランジスタT
h1、T
b1のグリッドが巻線Wの第1の端子へ接続され、第2のアームのトランジスタT
h2、T
b2のグリッドが同じ巻線Wの第2の端子へ接続されることが分かる。
【0087】
本システムの「マスタ」インバータは、スレーブインバータの巻線Wの第2の端子が陽電位に存在するようにして駆動されるものとされている(本図において、陽電位は点で表されている)。陽電位は、T
h1およびT
b1のグリッドへ伝達される。必然的に、T
h1は導電性になるのに対して、T
b1は導電しない。同様に、インバータの第1の端子における負電位は、導電しないT
h2のグリッドへ、かつ導電するT
b2のグリッドへ印加される。本図において、導電しているトランジスタは円で囲まれている。したがって、「スレーブ」インバータは、「マスタ」インバータと同じ構造である。
【0088】
「マスタ」インバータが切換する際は、短い遅延の後に「スレーブ」インバータが追随する。
【0089】
「スレーブ」インバータは、本質的に同期整流器のように行動することが観察され得る。
【0090】
この実施形態は、専用の制御伝達回路の必要性を排除することにおいて効果的である。しかしながら、これは、自然または混合状態においてしか動作することができない。
【0091】
図13は単純化された図でしかなく、実際には、パワートランジスタのグリッドは個々の精密制御回路を介してのみ巻線Wの端子へ接続されるが、その理由は先に述べた通りであることは理解されるべきである。
【0092】
上述の説明は、蓄電池または蓄電池ユニットの直列結合における電圧の平衡化のみに関連している。
図14は、各々が並列接続されるキャパシタC
1、…、C
Nを提示する太陽電池PV
1、…、PV
Nの直列接続に関連づけられる本発明の平衡化システムを示している。より一般的には、素子PV
1、…、PV
Nは、個々の太陽電池であっても、このような電池の直列および/または並列結合であってもよい。この限定において、これらは、大規模な太陽光発電システムにおける太陽電池パネルであってもよい。
【0093】
図2Bの例の場合のように、MPPTモジュールは、セル内を流れる電流の値I
OPTIを、発生される電力を最大化するように設定する。セルPV
2は陰になっている、または故障していて、その電圧−電流特性は
図2Cの曲線CIV2に対応することが想定されている。
【0094】
フルブリッジ型インバータOPC
1およびOPC
2−OPC
Nは、エネルギーをインバータOPC
2へ移動させるために「自然」モードで動作するが、このインバータは、電流ΔIを送出する日陰の、または故障したセルPV
2を「サポート」している。したがって、このセルは、このセルがその端子において電圧V
2<V
OPTIを有する発電機として作用できるようにする電流、
I
2=I
OPTI−ΔIを送出するだけでよい。この方法では、平衡化が理想的な効率で実行されるという想定において、N個全てのセルにより発生される電力は、
[(N−1)V
OPTI・I
OPTI]+V
2・(I
2−ΔI)によって与えられる。言い替えれば、故障した、または日陰のセルの存在はもはや他のセルのパフォーマンスに影響せず、他のセルはその最大電力V
OPTI・I
OPTIを送出し続けることができる。
【0095】
電気エネルギー蓄電素子の電圧を平衡化する場合と同様に、発電素子PV
1−PV
Nは、自然平衡化ではなく「強制」平衡化によって平衡されてもよい。
【0096】
また、
図9Aおよび
図9Bを参照して先に述べた電圧測定方法は、電気エネルギー発生素子の直列結合に適用することも可能である。素子PV
1−PV
Nの端子間の電位差は、自然平衡化の実行をいつ開始する必要があるか、または強制平衡化をいつ実装する必要があるかを決定するために測定されることが可能である。
【0097】
故障が過酷である場合、セルPV
2は開回路のように行動してもよい。平衡化回路が存在しなければ、太陽電池の全体的結合は使用不可になると思われる。
図15に示されているように、本発明の平衡化回路は単に存在するだけで、それが不活性状態の間であっても、このような全体的な電力損失を回避することを可能にし、インバータOPC
2内のトランジスタのボディダイオードD
h21、D
b21、D
h22、D
b22が故障セルの迂回経路を提供する。したがって、発生される電力の損失は、
ΔP=−(V
OPTI・I
OPTI)−(2V
d・I
OPTI)に制限される。但し、V
dは、直列接続された2つのボディダイオードの各々の端子間の電圧降下である。この電力損失は、各インバータのポート間に接続されるダイオードD(図中の破線で示される)を提供することによって大幅に低減されることが可能である。このダイオードも、同様に集積されてもよい。
【0098】
また、1つまたは複数の素子PV
1−PV
Nが短絡される状況に対処するためには、
図10Aおよび
図10BにおけるトランジスタT
piおよびT
pi1、T
pi2、T
pi3等の絶縁スイッチを用いることも有益である。
【符号の説明】
【0099】
CA1、CA2、CAN バッテリ素子
OPC1、OPC2、OPCN フルブリッジ型インバータ
Thnm トップトランジスタ
Tbnm ボトムトランジスタ
Dhnm ダイオード
NM 磁気コア
Wj 巻線
C1、CN キャパシタ
CC 電流センサ
CR1、CR2、CTP 精密制御回路
MC 外部制御モジュール
PV1、PV2、PVN 太陽電池